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社労士試験の年度別情報まとめ【過去20年データ】合格率・合格基準点・受験者数の推移

社労士(社会保険労務士)試験の年度別情報について知りたいあなたへ。「過去のデータから何がわかるのか」「合格率や合格基準点はどう推移しているのか」という疑問は、過去20年の統計データを分析することで解決できます。

本記事では、社労士試験の年度別合格率推移、合格基準点の変動、受験者数と合格者数の推移、さらに合格者の年齢・職業・男女別データについて、公式統計を交えて詳しく解説します。この情報をもとに、社労士試験の傾向を把握し、効果的な受験戦略を立てましょう。

この記事を読むとわかること
  • 過去20年間の社労士試験合格率の詳細な推移と傾向
  • 年度別の合格基準点の変動と救済措置の実態
  • 受験者数・合格者数の推移から見る試験の競争状況
  • 合格者の年齢・職業・男女別データと統計的特徴
押さえておきたい3つのポイント
  1. 合格率は6〜7%前後で推移:社労士試験の合格率は過去20年間で5.3%〜9.3%の範囲で変動しており、近年は6%台で安定しています。年度による難易度の波を理解することで、受験戦略を立てやすくなります。
  2. 合格基準点は毎年変動する:選択式試験は21〜28点、択一式試験は42〜48点の範囲で基準点が設定され、試験の難易度に応じて調整されます。救済措置も頻繁に発動されており、過去問対策が重要です。
  3. 30〜40代の会社員が合格者の中心:社労士試験合格者の約60%が30〜40代で、職業別では会社員が50〜60%を占めます。働きながら合格を目指す受験生が多く、誰でもチャレンジ可能な資格といえます。
目次

社労士(社会保険労務士)試験の年度別合格率推移【過去20年】

社労士試験の合格率は、受験生にとって最も気になるデータの一つです。過去20年間の合格率推移を分析することで、試験の難易度傾向や受験戦略のヒントが見えてきます。ここでは、令和時代から平成19年までの合格率推移を詳しく見ていきましょう。

令和7年(2025年)〜令和元年(2019年)の合格率

令和時代に入ってからの社労士試験は、合格率が6%台前半で安定している傾向にあります。令和5年(2023年)の合格率は6.4%で、受験者数42,741人に対して合格者数は2,720人でした(全国社会保険労務士会連合会発表データ)。令和4年(2022年)は5.3%とやや低めでしたが、これは試験問題の難易度が高かったことが影響しています。

令和3年(2021年)は7.9%、令和2年(2020年)は6.4%、令和元年(2019年)は6.6%と推移しており、概ね6〜8%の範囲内で変動しています。新型コロナウイルス感染症の影響があった時期でも、試験は適切に実施され、合格率に大きな変動は見られませんでした。

平成30年(2018年)〜平成26年(2014年)の合格率

平成30年(2018年)の合格率は6.3%、平成29年(2017年)は6.8%、平成28年(2016年)は4.4%でした。特に平成28年は合格率が低く、難関年度として知られています。この年は択一式試験の難易度が高く、多くの受験生が苦戦しました。

平成27年(2015年)は2.6%と過去20年で最も低い合格率を記録しました。この年は選択式試験で特に難問が出題され、救済措置が発動されたものの、合格者数は1,051人にとどまりました。平成26年(2014年)は9.3%と比較的高い合格率で、受験生にとっては狙い目の年でした。

平成25年(2013年)〜平成19年(2007年)の合格率

平成25年(2013年)の合格率は5.4%、平成24年(2012年)は7.0%、平成23年(2011年)は7.2%と推移しています。この時期は6〜7%台が標準的な合格率でした。東日本大震災があった平成23年も試験は予定通り実施され、合格率に大きな影響は見られませんでした。

平成22年(2010年)は8.6%、平成21年(2009年)は7.7%、平成20年(2008年)は7.3%、平成19年(2007年)は10.6%でした。平成19年は過去20年で最も高い合格率を記録しており、この年は比較的取り組みやすい問題が多かったとされています。

合格率が最も高かった年と低かった年の分析

過去20年間で合格率が最も高かったのは平成19年(2007年)の10.6%です。この年は択一式・選択式ともに基準点が低めに設定され、救済措置も複数の科目で発動されました。試験問題の難易度が相対的に低く、多くの受験生にとってチャンスの年でした。

一方、最も低かったのは平成27年(2015年)の2.6%です。この年は選択式試験で極めて難解な問題が出題され、特に労働一般常識で多くの受験生が苦戦しました。救済措置が発動されたものの、合格者数は大幅に減少しました。このような難関年度では、基礎知識の確実な定着が合否を分ける要因となります。

合格率の高低は試験問題の難易度だけでなく、受験者層の質や学習環境の変化も影響します。近年では通信講座の充実により、効率的な学習が可能になっている点も考慮すべきでしょう。

合格率の推移から見る傾向

過去20年の合格率推移を見ると、いくつかの傾向が読み取れます。まず、合格率は概ね5〜8%の範囲で推移しており、極端に高い年や低い年は例外的です。これは厚生労働省が一定の合格者数を維持する意図があることを示しています。

次に、合格率の変動には一定の周期性は見られず、年度ごとの試験問題の難易度に大きく左右されます。そのため、「今年は合格率が低かったから来年は高くなる」という予測は必ずしも正確ではありません。毎年の試験に真摯に取り組む姿勢が重要です。

また、令和時代に入ってからは6%台前半で安定する傾向にあります。受験者数が4万人前後で推移する中、合格者数は2,000〜3,000人程度に調整されていると考えられます。社労士試験の合格率と難易度では、さらに詳しい分析と対策方法を解説していますので、併せて参考にしてください。

社労士(社会保険労務士)試験の年度別合格基準点推移

社労士試験では、選択式試験と択一式試験それぞれに合格基準点が設定されます。この基準点は試験の難易度に応じて毎年変動し、受験生の得点状況を考慮して決定されます。さらに、特定の科目で著しく難しい問題が出題された場合には救済措置が発動されることもあります。

選択式試験の合格基準点推移(21〜28点)

選択式試験の合格基準点は、満点40点のうち21点から28点の範囲で設定されます。近年の推移を見ると、令和5年(2023年)は23点、令和4年(2022年)は24点、令和3年(2021年)は24点でした。平均的には23〜25点が標準的な合格基準点となっています。

選択式試験では各科目5点満点で、原則として各科目3点以上が必要です。しかし、問題の難易度が高い場合には、特定の科目で基準点が2点または1点に引き下げられる救済措置が発動されます。この救済措置は年度によって発動される科目が異なり、受験生にとっては合否を左右する重要な要素です。

過去には選択式の合格基準点が21点まで下がった年もあり、試験問題の難易度によって大きく変動することがわかります。受験生は総得点だけでなく、各科目で確実に点数を取る必要があるため、偏りのない学習が求められます。

択一式試験の合格基準点推移(42〜48点)

択一式試験の合格基準点は、満点70点のうち42点から48点の範囲で設定されます。令和5年(2023年)は44点、令和4年(2022年)は44点、令和3年(2021年)は45点でした。平均的には44〜46点が標準的な合格基準点となっており、約63〜66%の正答率が求められます。

択一式試験では各科目10点満点で、原則として各科目4点以上が必要です。選択式と同様に、問題の難易度が高い場合には救済措置が発動され、特定の科目で基準点が3点または2点に引き下げられることがあります。

択一式の基準点が最も高かった年は48点、最も低かった年は42点と、6点の幅があります。この変動は問題の難易度を反映しており、難しい年には基準点が下がり、易しい年には基準点が上がる傾向にあります。社労士試験の解答速報では、試験直後の基準点予想も掲載していますので、受験後の参考にしてください。

救済措置が発動された年度まとめ

救済措置は、特定の科目で著しく難しい問題が出題され、多くの受験生が基準点を下回った場合に発動されます。過去20年を見ると、救済措置が全く発動されなかった年はほとんどなく、毎年何らかの科目で救済が行われています。

令和5年(2023年)は選択式の労働一般常識で2点に引き下げ、令和4年(2022年)は選択式の労働安全衛生法と社会保険一般常識で2点に引き下げが行われました。令和3年(2021年)は選択式の労災保険法で2点に引き下げられています。

救済措置が最も頻繁に発動される科目は、選択式の一般常識科目(労働一般常識・社会保険一般常識)です。これらの科目は出題範囲が広く、予測困難な問題が出やすいため、受験生の得点が低くなる傾向にあります。択一式でも労働安全衛生法や国民年金法で救済措置が発動されることがあります。

科目別の基準点割れ救済の傾向

科目別に見ると、選択式では労働一般常識と社会保険一般常識が救済の対象になることが最も多いです。これらの科目は法改正や統計データなど、出題範囲が極めて広いため、受験生にとって対策が難しい科目です。過去10年を見ると、約7割の年度でいずれかの一般常識科目で救済が発動されています。

次に多いのが労働安全衛生法で、こちらも細かい数字や規定が問われることが多く、救済対象となる傾向にあります。労災保険法や雇用保険法でも時折救済が発動されますが、これらは基本法なので比較的頻度は低めです。

択一式では、国民年金法や厚生年金保険法など、計算問題が含まれる科目で救済が発動されることがあります。また、労働安全衛生法は択一式でも救済対象になることがあり、この科目の難易度の高さが伺えます。

合格基準点の決め方と補正方法

社労士試験の合格基準点は、試験実施後に受験生全体の得点分布を分析して決定されます。厚生労働省は、一定水準以上の知識・能力を持つ者を合格とする方針を示しており、毎年の合格者数が極端に変動しないよう調整が行われます。

具体的には、まず原則的な基準点(選択式:各科目3点以上かつ総得点28点以上、択一式:各科目4点以上かつ総得点49点以上)を設定します。その上で、試験問題の難易度や受験生の得点状況を考慮し、合格基準点を補正します。

補正方法には「総得点の引き下げ」と「科目別基準点の引き下げ(救済措置)」の2種類があります。総得点の引き下げは全体的に問題が難しかった場合に行われ、科目別基準点の引き下げは特定の科目で著しく難しい問題があった場合に行われます。この補正により、年度による難易度の差を調整し、公平性を保っています。

社労士(社会保険労務士)試験の年度別受験者数・合格者数推移

社労士試験の受験者数と合格者数の推移を見ることで、試験の人気度や競争状況を把握できます。受験申込者数と実際の受験者数には差があり、また合格者数も年度によって変動します。これらのデータから、社労士試験を取り巻く環境の変化が見えてきます。

受験申込者数の推移

社労士試験の受験申込者数は、平成19年(2007年)頃には6万人を超える年もありましたが、その後は減少傾向にありました。しかし、令和時代に入ってからは5万人台後半で安定しています。令和5年(2023年)の受験申込者数は54,559人、令和4年(2022年)は52,471人でした。

申込者数の推移には社会情勢や雇用環境が影響します。リーマンショック後やコロナ禍では資格取得への関心が高まり、申込者数が増加する傾向が見られました。また、働き方改革や人事労務の専門性への注目度上昇も、申込者数の維持に寄与していると考えられます。

申込者数が5万人台で安定していることは、社労士資格への一定の需要があることを示しています。他の士業と比較しても、社労士は安定した人気を保っている資格といえるでしょう。

実際の受験者数の推移

受験申込者数に対して、実際に試験を受験する人の割合は約75〜80%です。令和5年(2023年)の実際の受験者数は42,741人で、申込者数54,559人の78.3%でした。令和4年(2022年)は40,633人(申込者の77.4%)でした。

申込後に受験しない理由としては、学習が間に合わなかった、仕事や家庭の事情で受験できなくなった、などが考えられます。社労士試験は年1回のみの実施であり、1年間の学習期間を要するため、途中で断念する受験生も一定数存在します。

実際の受験者数は過去10年間で概ね3万8千人から4万3千人の範囲で推移しています。この数字は社労士試験の実質的な競争人数を示しており、合格を目指す受験生はこの4万人前後と競うことになります。社労士になるにはのページでは、受験から登録までの流れを詳しく解説していますので、これから受験を検討している方は参考にしてください。

合格者数の推移(近年は2,000人台)

社労士試験の合格者数は、近年2,000人台で推移しています。令和5年(2023年)の合格者数は2,720人、令和4年(2022年)は2,134人、令和3年(2021年)は2,937人でした。年度によって変動はありますが、概ね2,000〜3,000人の範囲に収まっています。

平成19年(2007年)には4,453人と4,000人を超える合格者が出た年もありましたが、その後は段階的に減少し、現在の水準に落ち着いています。これは試験の難易度調整により、一定の質を保った合格者を輩出する方針が反映されていると考えられます。

合格者数が2,000人台で安定していることは、社労士の供給が適切にコントロールされていることを意味します。毎年約2,500人前後の新規合格者が市場に供給されることで、社労士業界の健全な発展が維持されているといえるでしょう。

受験者数と合格者数から見る競争率

受験者数と合格者数の比率から競争率を計算すると、令和5年(2023年)は約15.7倍、令和4年(2022年)は約19.0倍でした。つまり、15〜20人に1人が合格する計算になります。合格率6〜7%という数字を競争率で表すと、この程度の倍率になります。

過去20年を見ると、競争率は10倍から40倍近くまで変動しています。平成27年(2015年)のような難関年度では競争率が高くなり、平成19年(2007年)のような易しい年度では競争率が低くなります。しかし、近年は15〜20倍の範囲で安定する傾向にあります。

この競争率を他の資格試験と比較すると、社労士は中程度の難易度といえます。行政書士(合格率10〜15%)よりは難しく、司法書士(合格率4〜5%)よりは易しいというポジションです。適切な学習計画を立てることで、十分に合格を狙える資格といえるでしょう。

社労士試験合格者の年齢別データ推移

社労士試験合格者の年齢分布を見ると、受験生層の特徴や傾向が見えてきます。「何歳で受験する人が多いのか」「最年少・最年長は何歳か」といった疑問に答えるデータを分析することで、自分の年齢での受験が一般的かどうかを確認できます。

年代別合格者の割合(30〜40代が中心)

社労士試験合格者の年齢分布を見ると、30代と40代が中心となっています。令和5年(2023年)のデータでは、30代が約35%、40代が約28%を占めており、この2つの年代だけで合格者全体の約63%を占めています。これは社会人経験を積んだ世代が、キャリアアップや転職を目指して受験するケースが多いことを示しています。

20代の合格者は約15%で、学生や若手社会人の受験も一定数存在します。50代は約15%、60代以上は約7%となっており、幅広い年齢層が挑戦していることがわかります。社労士試験は年齢制限がなく、受験資格さえ満たせば何歳でも挑戦できる点が特徴です。

30〜40代が中心となる理由は、企業での人事労務経験を活かせることや、独立開業を視野に入れたキャリアチェンジの時期と重なることが挙げられます。40代・50代からの社労士挑戦では、年齢別の学習戦略を詳しく解説していますので、参考にしてください。

最年少合格者と最年長合格者

社労士試験の最年少合格者は、例年19歳前後です。令和5年(2023年)の最年少合格者は19歳でした。これは受験資格として「短期大学卒業程度」が求められるため、早期に受験資格を満たした若年層の合格例です。最年少合格者は大学在学中に合格するケースが多く、卒業後すぐに実務経験を積むことができます。

一方、最年長合格者は例年70代後半から80代前半です。令和5年(2023年)の最年長合格者は79歳でした。定年退職後に新たな挑戦として社労士試験に臨み、見事合格を勝ち取る方も毎年いらっしゃいます。このような高齢合格者の存在は、社労士試験が年齢を問わず挑戦できる資格であることを象徴しています。

最年少と最年長の年齢差は約60歳にも及び、まさに「誰でもチャレンジできる資格」といえるでしょう。年齢による有利不利はあまりなく、適切な学習方法と継続的な努力が合否を分けると考えられます。

年齢別合格者数の推移

年齢別合格者数の推移を見ると、いくつかの傾向が読み取れます。まず、30代の合格者数は過去10年間で比較的安定しており、常に最大のボリュームゾーンとなっています。この年代は企業での実務経験を持ちながら、キャリアアップを目指す層として安定した需要があります。

40代の合格者数も安定していますが、近年は30代よりも若干少なくなる傾向にあります。これは40代になると家庭や仕事の責任が増し、学習時間の確保が難しくなることが影響していると考えられます。しかし、それでも合格者全体の約3割を占めており、十分に合格を狙える年代です。

20代の合格者数は微増傾向にあります。これは若年層のキャリア意識の高まりや、早期からの資格取得を目指す人が増えていることを示しています。50代以上の合格者数も一定数を保っており、生涯学習やセカンドキャリア構築の一環として社労士を目指す人が継続的に存在します。

平均年齢の推移と傾向

社労士試験合格者の平均年齢は、過去10年間で37〜39歳の範囲で推移しています。令和5年(2023年)の合格者平均年齢は38.4歳でした。この数字は他の士業と比較すると、やや高めの傾向にあります。

平均年齢がやや高い理由は、社労士が実務経験を活かせる資格であり、社会人経験を積んだ後に受験する人が多いためです。企業での人事労務経験があると、試験科目の理解が深まりやすく、実務との関連性を意識した学習が可能になります。

平均年齢の推移を見ると、大きな変動はなく、安定して38歳前後を維持しています。これは社労士試験の受験生層が固定化されていることを示しており、30〜40代の社会人が主要なターゲット層であることがわかります。今後もこの傾向は続くと予想されます。

社労士試験合格者の職業別データ推移

社労士試験合格者の職業別データを分析すると、働きながら合格を目指す人が圧倒的に多いことがわかります。会社員が過半数を占め、公務員や自営業の合格者も一定数存在します。職業別の傾向を知ることで、自分の働き方に合った学習戦略を立てることができます。

会社員の合格者が50〜60%を占める

社労士試験合格者の職業別分布を見ると、会社員が圧倒的多数を占めています。令和5年(2023年)のデータでは、会社員が約58%を占めており、合格者の半数以上が企業に勤務しながら合格を果たしています。この傾向は過去10年間で一貫しており、社労士試験が「働きながら取得できる資格」として認識されていることがわかります。

会社員合格者の中でも、人事・労務部門で働く人が特に多いです。実務経験が試験内容と直結するため、日々の業務で得た知識を試験に活かすことができます。また、営業職や事務職など、人事労務以外の職種から合格する人も少なくありません。

会社員が多い理由は、社労士資格が企業内でのキャリアアップに直結することや、将来の独立開業を視野に入れて働きながら準備できることが挙げられます。平日の夜間や週末を活用した学習スタイルが確立されており、仕事と両立しやすい環境が整っています。

公務員・団体職員・自営業の割合

会社員に次いで多いのが、公務員と団体職員です。令和5年(2023年)のデータでは、公務員が約12%、団体職員が約8%を占めています。公務員の中でも、地方自治体の人事・労務部門で働く職員や、社会保険関係の業務に携わる職員が社労士資格を目指すケースが多いです。

自営業の合格者は約5%で、すでに独立開業している人が社労士資格を追加取得するケースや、他の士業から社労士へのダブルライセンスを目指すケースが含まれます。また、無職(専業受験生)の合格者は約10%で、集中的に学習して短期合格を目指す層です。

その他の職業としては、専業主婦(主夫)が約3%、学生が約4%となっています。近年は働き方の多様化に伴い、フリーランスや在宅ワーカーからの受験も増加傾向にあります。

職業別合格者数の推移

職業別合格者数の推移を見ると、会社員の割合は過去10年間で50〜60%の範囲で安定しています。大きな変動はなく、社労士試験が「社会人向け資格」としての位置づけを維持していることがわかります。

公務員の割合はやや増加傾向にあり、10年前は約8%でしたが、近年は12%前後まで上昇しています。これは地方自治体での働き方改革や人事制度改革が進む中、社労士資格の専門性が評価されるようになったことが影響していると考えられます。

無職(専業受験生)の割合は減少傾向にあります。10年前は約15%でしたが、近年は10%程度まで減少しています。これは通信講座の充実により、働きながらでも効率的に学習できる環境が整ったことや、リスクを取って仕事を辞めずに資格取得を目指す人が増えたことを示しています。

働きながら合格する人が多い理由

社労士試験で働きながら合格する人が多い理由は、いくつかの要因があります。第一に、社労士試験の学習内容が実務と密接に関連しているため、仕事での経験が学習の理解を深める効果があります。人事労務部門で働く人は、日々の業務で社会保険や労働法に触れるため、自然と知識が身につきます。

第二に、通信講座やオンライン学習の充実により、時間や場所に縛られない学習が可能になったことが挙げられます。スマートフォンやタブレットを使って、通勤時間や昼休みに学習することができます。夜間や週末を活用すれば、年間800〜1,000時間の学習時間を確保することも十分可能です。

第三に、社労士資格が実務に直結するため、取得後のキャリアパスが明確であることが挙げられます。企業内でのキャリアアップや、将来の独立開業を視野に入れて、リスクを最小限に抑えながら資格取得を目指せることが、働きながらの受験を後押ししています。

社労士試験合格者の男女別データ推移

社労士試験合格者の男女比は、他の士業と比較して女性の割合が高いことが特徴です。近年では女性合格者の割合が増加傾向にあり、女性が活躍しやすい資格として注目されています。男女別データの推移から、社労士資格の魅力と傾向を分析します。

男女比は男性6割・女性4割

社労士試験合格者の男女比は、男性約60%、女性約40%で推移しています。令和5年(2023年)のデータでは、男性が59.8%、女性が40.2%でした。この比率は過去5年間でほぼ安定しており、社労士試験における男女比の標準的な数値となっています。

男性合格者が多い理由は、受験者数自体が男性の方が多いことが主な要因です。しかし、合格率で見ると男女でほとんど差がなく、女性の方がやや高い年度もあります。これは性別による有利不利がなく、努力次第で誰でも合格できることを示しています。

他の士業と比較すると、司法書士は女性約30%、税理士は女性約20%、公認会計士は女性約18%となっており、社労士の女性比率40%は際立って高い数値です。この数字は、社労士が女性にとって魅力的な資格であることを物語っています。

女性合格者の割合が増加傾向

過去20年の推移を見ると、女性合格者の割合は着実に増加しています。平成19年(2007年)頃は女性比率が約30%でしたが、その後徐々に上昇し、現在は40%前後で安定しています。今後もこの増加傾向は続くと予想されます。

女性合格者数の実数も増加しており、令和5年(2023年)は約1,093人の女性が合格しました。10年前と比較すると約1.5倍に増加しており、女性の社労士志望者が着実に増えていることがわかります。

女性合格者が増加している背景には、働き方改革や女性活躍推進の流れがあります。企業での人事労務担当者として専門性を高めたい女性や、結婚・出産後もキャリアを継続できる資格として社労士を選ぶ女性が増えています。女性社労士のキャリアと働き方では、女性ならではの活躍方法を詳しく解説していますので、参考にしてください。

他の士業と比較した女性比率の高さ

社労士の女性比率40%は、士業の中でも特に高い水準です。行政書士の女性比率は約25%、宅建士は約33%で、社労士はこれらを上回っています。唯一、社労士よりも女性比率が高い士業は、看護師や保育士など医療・福祉系の資格に限られます。

法律系資格の中で社労士の女性比率が高い理由は、業務内容が「人」に関わることが多く、コミュニケーション能力や共感力が重視されるためと考えられます。また、独立開業だけでなく、企業内社労士として働く選択肢も豊富で、ライフスタイルに合わせた働き方が選べることも魅力です。

社労士会においても女性会員の増加に対応して、女性社労士のネットワーク構築や、子育てと両立できる環境整備などの取り組みが進められています。今後も女性が活躍しやすい資格として、社労士の地位はさらに向上すると期待されます。

女性に人気の理由

社労士が女性に人気の理由は、いくつかの要因が考えられます。第一に、社労士の業務内容が人事労務や社会保険など、「人の働き方」に関わる分野であることが挙げられます。女性は一般的にコミュニケーション能力や共感力に優れており、これらの能力が社労士業務で活かされます。

第二に、柔軟な働き方が可能であることです。独立開業すれば自分のペースで仕事を調整でき、企業内社労士として働く場合も専門職として評価されやすいです。結婚や出産後も資格を活かして働き続けられることは、女性にとって大きな魅力となっています。

第三に、社労士試験が学歴や性別に関係なく、努力次第で合格できる公平な試験であることです。受験資格さえ満たせば誰でも挑戦でき、合格後は国家資格者として社会的信用を得られます。また、企業の人事部門には女性が多く在籍しており、実務経験を活かしてステップアップできる点も人気の理由です。

社労士登録者数の年度別推移と予測

社労士資格を取得した後、実際に社労士として活動するには社労士会への登録が必要です。社労士登録者数の推移を見ることで、社労士業界の成長や需要の変化を把握できます。ここでは、過去の推移と将来の予測について詳しく解説します。

2023年末時点で約45,600人

全国社会保険労務士会連合会の統計によると、2023年(令和5年)末時点での社労士登録者数は約45,600人です。これは前年比で約800人の増加となっており、毎年着実に増加し続けています。登録者数の増加は、社労士需要が高まっていることを示す重要な指標です。

社労士登録者数は、試験合格者数よりも増加ペースが緩やかです。これは、試験に合格しても実務経験要件を満たすまで登録できない人や、合格後に登録せずに企業で働き続ける人が一定数存在するためです。それでも年間約800〜1,000人のペースで増加しており、安定した成長を続けています。

都道府県別に見ると、東京都が最も多く約12,000人(全体の約26%)、次いで大阪府が約4,500人、神奈川県が約3,200人となっています。大都市圏に登録者が集中する傾向はありますが、地方でも着実に登録者は増加しており、全国的に社労士の認知度が高まっています。

過去10年間で着実に増加

過去10年間の社労士登録者数の推移を見ると、一貫して増加傾向にあります。2014年(平成26年)末時点では約39,000人でしたが、2023年末には約45,600人となり、10年間で約6,600人(約17%)増加しました。年平均では約660人のペースで増加していることになります。

この増加傾向の背景には、働き方改革の推進や企業のコンプライアンス意識の高まりがあります。労働法規の複雑化や社会保険制度の頻繁な改正により、専門家である社労士への需要が継続的に高まっています。また、中小企業を中心に、人事労務の外部委託が進んでいることも登録者増加の要因です。

登録者の増加ペースは、年度によって若干の変動はありますが、大きな落ち込みはなく安定しています。リーマンショックやコロナ禍といった経済的な困難な時期でも、社労士需要は堅調に推移しており、不況に強い資格といえるでしょう。

開業・法人・勤務等の区分別推移

社労士登録者は、その業務形態によって「開業社労士」「勤務等社労士」「その他(法人社労士など)」に区分されます。2023年末時点のデータでは、開業社労士が約25,000人(全体の約55%)、勤務等社労士が約18,000人(約39%)、その他が約2,600人(約6%)となっています。

過去10年の推移を見ると、開業社労士の割合はやや減少傾向にあり、10年前は約60%でしたが現在は約55%まで低下しています。一方、勤務等社労士の割合は増加傾向にあり、企業内で専門職として活躍する社労士が増えていることがわかります。

法人社労士(社労士法人に所属する社労士)も近年増加しており、組織化による業務効率化や専門化が進んでいます。社労士法人の数は2023年末時点で約3,800法人となっており、10年前の約2倍に増加しています。働き方の多様化が進む中、社労士の業務形態も多様化しているといえます。

2029年には5万人超えの予測

現在の増加ペースが続くと仮定すると、社労士登録者数は2029年には5万人を超えると予測されます。年平均800人のペースで増加すると、2029年末には約50,400人に達する計算になります。この予測は、社労士需要が今後も堅調に推移することを前提としています。

ただし、登録者数の増加が必ずしも競争激化を意味するわけではありません。企業数や人口動態、法改正の頻度などを考慮すると、社労士1人あたりが対応できる顧客数には限界があり、需要も同時に増加すると考えられます。特に働き方改革や高齢化社会の進展により、社労士の専門性はますます重要になるでしょう。

一方で、AIやデジタル化による業務の自動化も進んでおり、社労士に求められる役割も変化しています。単純な手続き業務だけでなく、コンサルティングや経営支援など、高付加価値な業務にシフトしていく必要があります。5万人時代を見据えて、専門性の向上と差別化が求められるでしょう。

社労士の年度別情報に関連するよくある質問(FAQ)

社労士試験の年度別データに関して、受験生からよく寄せられる質問に答えます。合格率の傾向、合格基準点、受験者層、登録者数の見通しなど、データに基づいた回答を提供します。

Q. 社労士試験の合格率は年々下がっていますか?

社労士試験の合格率は年々下がっているわけではありません。過去20年間のデータを見ると、合格率は5.3%〜10.6%の範囲で変動しており、近年は6%台前半で安定しています。平成27年(2015年)の2.6%のような極端に低い年もありましたが、これは例外的なケースです。合格率は試験問題の難易度に応じて調整されており、長期的には大きな変化はありません。

Q. 合格基準点が最も低かった年はいつですか?

選択式試験の合格基準点が最も低かった年は、平成27年(2015年)の21点です。この年は選択式試験で極めて難しい問題が出題され、多くの受験生が苦戦しました。択一式試験では、平成26年(2014年)と平成28年(2016年)の42点が過去20年で最も低い基準点です。いずれの年も救済措置が複数の科目で発動されており、問題の難易度が高かったことがわかります。

Q. 社労士試験は何歳で受験する人が多いですか?

社労士試験は30代と40代の受験者が中心で、合格者の約63%がこの年代です。令和5年(2023年)の合格者平均年齢は38.4歳でした。企業での実務経験を積んだ後、キャリアアップや独立を目指して受験する人が多いため、この年齢層が中心となっています。ただし、19歳の最年少合格者から79歳の最年長合格者まで、幅広い年齢層が挑戦しており、年齢による制限は実質的にありません。

Q. 社労士の登録者数は今後も増え続けますか?

社労士の登録者数は今後も増加すると予測されます。現在の増加ペース(年間約800人)が続けば、2029年には5万人を超える見込みです。働き方改革や企業のコンプライアンス意識の高まりにより、社労士需要は堅調に推移しています。ただし、AIやデジタル化による業務の変化もあり、社労士に求められる専門性も進化していくでしょう。登録者数の増加は必ずしも競争激化を意味せず、需要も同時に拡大すると考えられます。

Q. 救済措置はどのくらいの頻度で発動されますか?

救済措置は、ほぼ毎年何らかの科目で発動されています。過去10年のデータを見ると、全く救済措置が発動されなかった年はわずかで、多くの年度で複数の科目で救済が行われています。特に選択式の労働一般常識と社会保険一般常識は救済対象になることが多く、約7割の年度で救済が発動されています。救済措置の存在は、特定の難問で合否が左右されないようにする配慮であり、受験生にとっては一定の安心材料となります。

まとめ:社労士試験の年度別データから読み取る受験戦略

本記事では、社労士試験の年度別情報について、合格率、合格基準点、受験者数、合格者の属性など、過去20年のデータを詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

合格率6〜7%が標準、年度による難易度の波がある

社労士試験の合格率は過去20年間で5.3%〜10.6%の範囲で変動しており、近年は6%台前半で安定しています。平成19年(2007年)の10.6%のような高い年もあれば、平成27年(2015年)の2.6%のような低い年もありますが、概ね6〜7%が標準的な合格率です。年度による難易度の波を理解し、どの年度でも確実に合格できる実力を身につけることが重要です。

合格基準点は変動するため過去問で対策

選択式試験の合格基準点は21〜28点、択一式試験は42〜48点の範囲で変動します。救済措置もほぼ毎年発動されており、特定の科目で難問が出題された場合には基準点が引き下げられます。過去問演習を通じて、どのような問題が出題されやすいか、どの科目で救済が発動されやすいかを把握することが合格への近道です。

30〜40代・会社員が中心、誰でもチャレンジ可能

社労士試験合格者の約63%が30〜40代で、職業別では会社員が約58%を占めます。働きながら合格を目指す人が圧倒的に多く、仕事と学習の両立が可能な資格です。また、19歳から79歳まで幅広い年齢層が合格しており、性別による有利不利もありません。誰でもチャレンジできる公平な資格といえるでしょう。

社労士試験の年度別データを理解できたら、次は具体的な学習計画を立てましょう。社労士試験の勉強時間とスケジュール社労士試験の効果的な勉強法を参考に、計画的に進めることをおすすめします。

本記事を通じて、社労士試験の過去20年のデータ、合格者の傾向、登録者数の推移などを理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、社労士試験合格に向けた効果的な受験戦略を立て、目標実現に向けて一歩を踏み出しましょう。

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