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社労士になるには?資格取得の流れ・受験資格・費用を完全解説【2025年最新】

社労士(社会保険労務士)になりたいと考えているあなたへ。「どうすれば社労士になれるのか」「どんな資格や経験が必要なのか」という疑問は、正しい手順と必要な情報を知ることで解決できます。

本記事では、社労士になるまでの具体的な5つのステップ、試験の受験資格の詳細、必要な費用の総額、試験内容と難易度、登録手続きの流れについて、2025年最新の情報を交えて詳しく解説します。この情報をもとに、社労士資格取得に向けて、計画的な準備を始めましょう。

この記事を読むとわかること
  • 社労士になるまでの5つのステップと全体の流れ
  • 試験の受験資格を満たす3つの方法(学歴・実務経験・試験合格)
  • 資格取得から登録までに必要な費用の詳細(30~50万円)
  • 最短ルートと標準ルートの期間の違い
押さえておきたい3つのポイント
  1. 受験資格の確認が第一歩:社労士試験は誰でも受験できるわけではなく、学歴・実務経験・他資格のいずれかで受験資格を満たす必要があります。大卒であれば基本的に受験可能ですが、高卒の場合は実務経験3年以上または行政書士試験合格などの条件を満たさなければなりません。
  2. 試験合格だけでは社労士になれない:年1回実施される社労士試験に合格した後、実務経験2年以上を積むか、事務指定講習(約4か月・費用75,600円)を受講することが求められます。その後、全国社会保険労務士会連合会に登録して初めて社労士として業務を開始できます。
  3. 資格取得までの総費用は30~50万円:受験料15,000円、勉強費用3~15万円、事務指定講習75,600円、登録費用20~30万円を合計すると、最低でも30万円以上の費用がかかります。開業する場合はさらに初期投資が必要になるため、計画的な資金準備が重要です。
目次

社労士(社会保険労務士)になるまでの流れ【5ステップ】

社労士(社会保険労務士)になるには、単に試験に合格するだけでなく、受験資格の確認から登録手続きまで、いくつかの段階を経る必要があります。ここでは、社労士になるまでの全体像を5つのステップに分けて解説します。各ステップで必要な準備や手続きを理解することで、計画的に資格取得を目指せます。

ステップ1:受験資格を満たす

社労士試験を受験するには、まず受験資格を満たしているか確認しなければなりません。受験資格は「学歴」「実務経験」「試験合格」のいずれかで満たすことができます。大学卒業者であれば基本的に受験資格がありますが、高卒の場合は実務経験3年以上または行政書士などの他資格保有が求められます。

短期大学や高等専門学校の卒業者も受験資格があります。また、大学で62単位以上を修得していれば、卒業していなくても受験可能です。自分がどの条件で受験資格を満たせるのか、試験の申込み前に必ず確認しましょう。受験資格の詳細は後ほど詳しく解説します。

ステップ2:社労士試験に合格する(年1回8月実施)

受験資格を確認できたら、次は社労士試験の合格を目指します。試験は年1回、8月の第4日曜日に実施されます。試験科目は労働関係5科目と社会保険関係5科目の計10科目で、選択式と択一式のマークシート方式です。合格率は約6~7%と難関試験のため、800~1,000時間の学習時間を要します。

試験対策には独学、通信講座、予備校通学など複数の選択肢があります。社労士試験の勉強法では効果的な学習方法を詳しく解説していますので、自分に合った学習スタイルを見つけましょう。多くの受験生は1年から2年かけて準備し、合格を目指しています。

ステップ3:実務経験2年以上を積むor事務指定講習を受講

社労士試験に合格しても、すぐに社労士として登録できるわけではありません。登録には実務経験2年以上が求められます。実務経験とは、企業の人事・労務部門や社労士事務所での労働社会保険諸法令に関する業務経験を指します。

実務経験がない場合や早期に登録したい場合は、全国社会保険労務士会連合会が実施する「事務指定講習」を受講する方法があります。この講習は通信指導課程(約2か月)と面接指導課程(約2か月)で構成され、受講料は75,600円です。講習を修了すれば、実務経験2年に相当すると認められます。

ステップ4:全国社会保険労務士会連合会に登録する

実務経験を満たすか事務指定講習を修了したら、全国社会保険労務士会連合会への登録申請を行います。登録には各都道府県の社労士会を経由して申請する必要があり、登録免許税30,000円、登録手数料30,000円、社労士会への入会金や会費など、合計で20~30万円程度の費用がかかります。

登録申請には試験合格証明書、実務経験証明書または事務指定講習修了証、住民票などの書類を用意しなければなりません。書類審査や面接を経て登録が完了すると、社労士証票が交付され、正式に社労士として業務を行えるようになります。登録手続きには通常1~2か月程度かかります。

ステップ5:社労士として業務開始(開業or勤務)

登録が完了したら、いよいよ社労士として業務を開始できます。働き方は大きく分けて「開業社労士」と「勤務社労士」の2つがあります。開業社労士は自分で事務所を構えて独立開業する形態で、全体の約8割を占めます。社労士の開業では、独立開業の具体的な準備や手順を詳しく解説しています。

勤務社労士は企業の人事・労務部門や社労士事務所、会計事務所などで働く形態です。開業には初期投資やクライアント開拓の営業力が不可欠ですが、勤務社労士なら安定した収入を得ながら経験を積めます。自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、働き方を選択しましょう。

社労士(社会保険労務士)試験の受験資格を徹底解説

社労士試験は誰でも受験できるわけではなく、一定の受験資格を満たす必要があります。受験資格は「学歴」「実務経験」「試験合格」の3つの区分があり、いずれか1つを満たせば受験可能です。ここでは各区分の詳細と、高卒の場合の対応方法について解説します。

受験資格は「学歴」「実務経験」「試験合格」のいずれかが必要

社労士試験の受験資格は、学歴・実務経験・試験合格のいずれかで満たすことができます。複数の条件を満たしている必要はなく、1つでも該当すれば受験できます。最も一般的なのは学歴による受験資格で、大学卒業者の多くがこの条件を満たしています。

実務経験や他資格による受験資格もあるため、学歴要件を満たしていない場合でも受験できる可能性があります。自分がどの条件に該当するか、社労士の受験資格で詳細を確認することをおすすめします。受験申込みの際には、該当する受験資格を証明する書類の提出が求められます。

学歴による受験資格(大卒・短大卒・高専卒など)

学歴による受験資格は、最も多くの受験生が該当する条件です。具体的には以下の学歴があれば受験できます。

学歴要件を満たす例

  • 大学を卒業した者(学位の種類は問わない)
  • 大学で62単位以上を修得した者(中退者も含む)
  • 短期大学または高等専門学校を卒業した者
  • 修業年限が2年以上で総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了した者

これらの条件に該当する場合、卒業証明書や成績証明書などの書類を提出することで受験資格が認められます。なお、学部や専攻分野は問われないため、文系・理系を問わず受験可能です。大学在学中でも62単位以上を修得していれば受験できるため、学生のうちから挑戦する人もいます。

実務経験による受験資格(3年以上の事務経験)

学歴要件を満たしていない場合でも、実務経験があれば受験資格を得られます。具体的には、労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員または従業員として、労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が通算3年以上ある場合です。

対象となる実務経験には、企業の人事・労務部門での勤務、社会保険労務士事務所や弁護士事務所での補助業務、公務員としての労働・社会保険関連業務などが含まれます。ただし、事務経験であることが条件のため、営業職や製造職などは原則として認められません。

実務経験で受験する場合は、勤務先から「実務経験証明書」を発行してもらう必要があります。複数の勤務先での経験を合算できるため、転職経験がある方も通算3年以上あれば受験資格を満たせます。

試験合格による受験資格(行政書士など他資格保有)

他の国家資格試験に合格している場合も、社労士試験の受験資格が認められます。この区分で受験資格が得られる主な資格は以下の通りです。

受験資格が認められる資格

  • 行政書士試験合格者
  • 司法試験予備試験合格者
  • 公認会計士試験の短答式試験合格者
  • 税理士試験の受験資格を有する者(科目合格者も含む)

特に行政書士試験は社労士試験と親和性が高く、行政書士試験に合格してから社労士を目指す人も多くいます。社労士のダブルライセンスでは、相性の良い資格の組み合わせについて詳しく解説しています。

これらの資格を持っている場合は、合格証書や資格者証のコピーを提出することで受験資格が認められます。すでに他の資格を取得している方は、この方法で受験資格をクリアできます。

高卒の場合の受験資格取得方法

高校卒業のみの学歴では、残念ながら直接的には社労士試験の受験資格を満たせません。しかし、以下の方法で受験資格を得ることができます。

高卒から受験資格を得る方法

  • 労働社会保険諸法令に関する事務経験を3年以上積む
  • 行政書士試験に合格する
  • 専修学校の専門課程(修業年限2年以上、総授業時間数1,700時間以上)を修了する
  • 大学で62単位以上を修得する(通信制大学も可)

最も現実的な方法は、企業の人事・労務部門で3年以上勤務して実務経験を積むか、行政書士試験に合格することです。行政書士試験は受験資格の制限がないため、高卒の方でもすぐに挑戦できます。通信制大学で62単位を取得する方法もあり、働きながら受験資格を満たすことが可能です。

社労士(社会保険労務士)試験の概要と難易度

社労士試験は国家資格試験の中でも難関試験として知られており、合格までには十分な準備が求められます。ここでは試験の実施時期、試験科目、出題形式、合格率、合格基準について詳しく解説します。試験の特徴を理解することで、効果的な学習計画を立てられます。

試験日程:年1回8月第4日曜日実施

社労士試験は年1回のみ、毎年8月の第4日曜日に全国各地で一斉に実施されます。試験は午前と午後の2部構成で、午前10時30分から選択式試験(80分)、午後1時20分から択一式試験(210分)が行われます。1日で両方の試験を受験しなければならないため、体力と集中力が求められます。

受験申込みは例年4月中旬から5月末までの期間に、郵送またはインターネットで行います。受験票は7月下旬に発送され、合格発表は10月上旬です。試験から合格発表まで約2か月かかるため、その間は次年度の学習を始めるか、結果を待つかの判断が必要です。

年1回しか実施されないため、受験機会を逃すと1年待つことになります。計画的に学習を進め、確実に受験できるよう準備しましょう。試験当日のスケジュールや持ち物については、受験票で詳細を確認できます。

試験科目:労働関係5科目+社会保険関係5科目

社労士試験は労働関係法令5科目と社会保険関係法令5科目の計10科目で構成されています。各科目とも選択式と択一式の両方で出題されます。

労働関係法令(5科目)

  • 労働基準法および労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
  • 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識
  • 社会保険に関する一般常識

社会保険関係法令(5科目)

  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

試験範囲が非常に広いため、全科目をバランスよく学習しなければなりません。特に労働基準法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法の5科目は配点が高く、重点的な学習が求められます。社労士の勉強時間とスケジュールでは、各科目の学習時間の配分について詳しく解説しています。

試験形式:選択式と択一式のマークシート方式

社労士試験は選択式と択一式の2つの形式で出題されます。どちらもマークシート方式のため、記述式の問題はありません。

選択式試験(午前)

  • 試験時間:80分
  • 問題数:8問(各問5つの空欄)
  • 配点:各1点×40問=計40点
  • 20の選択肢から適切な語句を選んで空欄を埋める形式

択一式試験(午後)

  • 試験時間:210分(3時間30分)
  • 問題数:70問
  • 配点:各1点×70問=計70点
  • 5肢択一のマークシート方式

選択式は語句の正確な知識が求められ、択一式は法令の理解と応用力が試されます。特に選択式は難易度が高く、1つの科目で基準点を下回ると不合格になるため、苦手科目を作らないことが重要です。

マークシート方式のため、時間配分と見直しの時間確保が合格のカギになります。択一式では1問あたり約3分のペースで解答する必要があり、時間管理能力も求められます。

合格率:約6~7%の難関試験

社労士試験の合格率は例年6~7%前後で推移しており、国家資格試験の中でも難関試験の部類に入ります。2023年度の合格率は6.4%で、受験者数38,192人に対して合格者は2,454人でした(全国社会保険労務士会連合会発表データ)。

合格率が低い理由として、以下の要因が挙げられます。

合格率が低い理由

  • 試験範囲が非常に広く、10科目全てをカバーしなければならない
  • 各科目に基準点(足切り点)があり、1科目でも基準点を下回ると不合格
  • 法改正が毎年あり、最新の法令知識が求められる
  • 選択式試験の難易度が高く、語句を正確に覚える必要がある

受験者の多くは社会人で、仕事をしながら学習時間を確保している人が大半です。十分な学習時間を確保できずに不合格になるケースも多く、複数回受験する人も珍しくありません。社労士の合格率と難易度では、試験の難易度について詳しく分析しています。

合格基準点:各科目の足切りと総得点の2つの基準

社労士試験の合格基準は、「各科目の基準点」と「総得点の合格点」の両方を満たす必要があります。どちらか一方でも満たさなければ不合格となるため、全科目をバランスよく得点することが重要です。

選択式の合格基準

  • 各科目の基準点:原則として各科目3点以上(各科目5点満点)
  • 総得点の合格点:総得点の約60%以上(40点満点中24点前後)

択一式の合格基準

  • 各科目の基準点:原則として各科目4点以上(各科目10点満点)
  • 総得点の合格点:総得点の約60%以上(70点満点中45点前後)

特に注意すべきは各科目の基準点で、1科目でも基準点を下回ると総得点が高くても不合格になります。この「足切り」制度により、苦手科目を作らないことが合格の必須条件となっています。

ただし、問題の難易度によって基準点が調整される「救済措置」があります。選択式で極端に難しい科目があった場合、その科目のみ基準点が2点または1点に引き下げられることがあります。しかし、救済措置に頼るのではなく、全科目で確実に基準点を上回る実力をつけることが大切です。

社労士試験合格後の登録手続き

社労士試験に合格しても、すぐに社労士として業務を行えるわけではありません。登録手続きには実務経験または事務指定講習の修了が求められ、その後、全国社会保険労務士会連合会への登録申請を行います。ここでは登録までの流れと必要な費用について解説します。

実務経験2年以上が必要(または事務指定講習)

社労士試験に合格した後、社労士として登録するには実務経験2年以上が求められます。実務経験とは、労働社会保険諸法令に基づく事務に従事した期間を指します。企業の人事・労務部門、社労士事務所、弁護士事務所などでの勤務経験が該当します。

実務経験は試験合格前の経験も含めて通算できます。例えば、人事部で3年働いた後に社労士試験に合格した場合、合格時点で実務経験の要件を満たしています。試験合格後に実務経験を積むことも可能です。

実務経験がない場合や、早期に社労士登録したい場合は、事務指定講習を受講する方法があります。事務指定講習を修了すれば、実務経験2年に相当すると認められ、すぐに登録申請できます。社労士の実務経験では、実務経験の詳細について解説しています。

事務指定講習とは?受講期間・費用・内容

事務指定講習は、全国社会保険労務士会連合会が実施する講習で、実務経験2年に代わるものとして認められています。試験合格後すぐに社労士登録したい人や、実務経験がない人が受講します。

事務指定講習の概要

  • 受講期間:約4か月(通信指導課程2か月+面接指導課程2か月)
  • 受講料:75,600円
  • 通信指導課程:自宅学習で課題レポートを提出
  • 面接指導課程:全国各地の会場で4日間の集合研修

通信指導課程では、労働社会保険諸法令に関する実務的な知識を学び、計8回の課題レポートを提出します。その後、面接指導課程で実践的な演習や事例研究を行います。すべてのカリキュラムを修了すると修了証が発行され、これをもって実務経験2年に相当すると認められます。

講習は年2回(4月開講と10月開講)実施されており、8月の試験に合格した場合、最短で10月の講習を受講できます。ただし、定員があるため、合格後すぐに申し込む必要があります。

全国社会保険労務士会連合会への登録申請

実務経験または事務指定講習を修了したら、各都道府県の社労士会を経由して全国社会保険労務士会連合会に登録申請を行います。登録申請には以下の書類を用意します。

登録申請に必要な書類

  • 登録申請書
  • 社労士試験合格証書(原本)
  • 実務経験証明書または事務指定講習修了証
  • 住民票(本籍地記載、3か月以内発行)
  • 写真(縦3cm×横2.4cm、4枚)
  • 誓約書
  • 履歴書

申請書類を提出後、都道府県社労士会での面接審査があります。面接では社労士としての適格性や倫理観、業務への理解度などが確認されます。審査を通過すると、全国社会保険労務士会連合会に書類が送られ、最終審査が行われます。

登録が承認されると社労士証票が交付され、正式に社労士として業務を行えるようになります。登録手続き全体には通常1~2か月程度かかるため、余裕を持って申請しましょう。

登録にかかる費用は20~30万円

社労士登録には、登録免許税や各種手数料、社労士会への入会金・会費など、合計で20~30万円程度の費用がかかります。具体的な内訳は以下の通りです。

登録費用の内訳

  • 登録免許税:30,000円
  • 登録手数料:30,000円
  • 都道府県社労士会の入会金:30,000~50,000円(地域により異なる)
  • 都道府県社労士会の年会費:50,000~100,000円(地域により異なる、初年度分)
  • 社労士会連合会の登録手数料:約30,000円

都道府県によって社労士会の入会金や年会費が異なるため、登録する地域によって総額は変わります。例えば、東京都社労士会の場合、入会金50,000円、年会費(月額6,500円×12か月)78,000円が必要です。

開業社労士として登録する場合と勤務社労士として登録する場合で、費用が若干異なることもあります。開業する場合は、これらの登録費用に加えて事務所の開設費用も必要になるため、合計で100万円以上の初期投資が必要になることもあります。

社労士になるまでに必要な費用の総額

社労士になるまでには、受験料、勉強費用、事務指定講習、登録費用など、さまざまな費用がかかります。ここでは各段階で必要な費用を詳しく解説し、合計でどれくらいの予算が必要かを明らかにします。計画的な資金準備に役立ててください。

受験料:15,000円

社労士試験の受験料は15,000円です。この金額は受験申込み時に支払う必要があり、郵送申込みの場合は払込取扱票、インターネット申込みの場合はクレジットカードまたはコンビニ払いで支払います。

受験料は年1回の試験ごとに必要なため、複数回受験する場合はその都度15,000円がかかります。例えば、3回受験した場合は合計45,000円になります。不合格の場合でも受験料の返金はないため、できる限り少ない受験回数で合格できるよう、十分な準備をしましょう。

受験申込み期間は例年4月中旬から5月末までで、期限を過ぎると受験できません。受験料の支払い期限も決まっているため、早めに手続きを済ませることをおすすめします。

勉強費用:独学3~5万円、通信講座6~15万円

社労士試験の勉強方法は、独学、通信講座、予備校通学の3つに大きく分けられます。それぞれ必要な費用が異なります。

独学の場合(3~5万円)

  • 基本テキスト:5,000~10,000円(科目別に複数必要)
  • 問題集:5,000~10,000円(科目別に複数必要)
  • 過去問題集:3,000~5,000円
  • 法改正対策テキスト:2,000~3,000円
  • 模擬試験:5,000~10,000円(1回あたり)

独学は最も費用を抑えられる方法ですが、学習計画の立案やモチベーション維持を自分で行わなければなりません。社労士の独学勉強法では、独学での効果的な学習方法を詳しく解説しています。

通信講座の場合(6~15万円)

  • 大手予備校の通信講座:10~15万円
  • オンライン専門の通信講座:6~10万円
  • 教材、動画講義、質問対応、模擬試験などが含まれる

通信講座は講義動画やサポート体制が充実しており、初学者でも学習しやすいのが特徴です。費用は独学より高くなりますが、効率的に学習できるため、合格率は独学よりも高い傾向があります。社労士の通信講座比較で各講座の特徴を確認できます。

予備校通学の場合(20~30万円)

  • 大手予備校の通学講座:20~30万円
  • 直接講師に質問できる環境と強制力がある

費用は最も高くなりますが、学習環境とサポート体制が最も充実しています。通学時間が確保できる人や、確実に合格したい人に適しています。

事務指定講習:75,600円

実務経験がない場合や早期に登録したい場合に受講する事務指定講習の費用は、75,600円です。この費用には通信指導課程と面接指導課程の両方が含まれています。

事務指定講習は全国社会保険労務士会連合会が実施しており、全国統一料金です。受講料の支払いは講習申込み時に行います。分割払いはできないため、一括で準備しなければなりません。

講習期間は約4か月で、面接指導課程では全国各地の会場に4日間通う必要があります。遠方の会場の場合は交通費や宿泊費も別途かかるため、実質的な負担はさらに増える可能性があります。住んでいる地域によっては、合計で10万円以上になることもあります。

登録費用:20~30万円

前述の通り、社労士登録には20~30万円程度の費用がかかります。これには登録免許税、登録手数料、都道府県社労士会の入会金と年会費が含まれます。

登録費用は地域によって異なるため、自分が登録する予定の都道府県社労士会のウェブサイトで正確な金額を確認しましょう。開業社労士として登録する場合、勤務社労士よりも会費が高い場合もあります。

開業する場合はこれらの登録費用に加えて、事務所の賃貸費用、パソコンや事務機器の購入費、名刺や看板の作成費など、初期投資として別途50~100万円程度が必要になります。

合計:30~50万円程度

社労士になるまでに必要な費用を合計すると、30~50万円程度になります。最も費用を抑えたルートと、標準的なルートでの費用は以下の通りです。

最小費用ルート(約30万円)

  • 受験料:15,000円
  • 勉強費用(独学):30,000円
  • 事務指定講習:75,600円
  • 登録費用:200,000円
  • 合計:約320,000円

標準ルート(約50万円)

  • 受験料(2回受験):30,000円
  • 勉強費用(通信講座):100,000円
  • 事務指定講習:75,600円
  • 登録費用:250,000円
  • 合計:約455,000円

開業する場合はさらに事務所開設費用が加わるため、合計で80~150万円程度の初期投資が必要になります。これらの費用を見据えて、計画的に資金を準備することが大切です。社労士として働き始めれば、これらの投資を回収できる見込みがあります。

社労士になるまでの期間はどれくらい?

社労士になるまでの期間は、学習開始から試験合格、登録完了までの全体で考える必要があります。人によって学習時間の確保状況や受験回数が異なるため、期間には個人差があります。ここでは最短ルートと標準ルートに分けて、それぞれの期間を解説します。

最短ルート:1年~1年半(試験合格+事務指定講習)

最短で社労士になるには、1年から1年半程度の期間を要します。これは、集中的に学習して1回目の受験で合格し、合格後すぐに事務指定講習を受講した場合のルートです。

最短ルートのスケジュール

  • 学習開始~試験まで:約1年(800~1,000時間の学習)
  • 試験合格発表:10月上旬
  • 事務指定講習申込み・受講:10月~翌年1月(約4か月)
  • 登録申請・承認:2月~3月(約1~2か月)
  • 合計:学習開始から約1年4か月~1年半

このルートを実現するには、毎日2~3時間の学習時間を確保し、計画的に進めなければなりません。特に社会人の場合、仕事と両立しながら学習時間を確保するのは容易ではありません。しかし、効率的な学習方法と強い意志があれば、最短での合格も可能です。

ただし、1回目の受験で合格できる確率は高くありません。合格率6~7%という数字を考えると、複数回受験する可能性も見込んでおく必要があります。最短ルートは理想的なケースと考え、余裕を持った計画を立てることをおすすめします。

標準ルート:2~3年(試験合格+実務経験2年)

多くの受験生が辿る標準的なルートは、2~3年程度の期間がかかります。これは、1~2回の受験で合格し、実務経験2年を積んでから登録する場合のルートです。

標準ルートのスケジュール(1回目で合格の場合)

  • 学習開始~試験まで:約1年~1年半
  • 試験合格発表:10月上旬
  • 実務経験:2年間(合格前の経験も含む場合は短縮可能)
  • 登録申請・承認:約1~2か月
  • 合計:学習開始から約3年~3年半

標準ルートのスケジュール(2回目で合格の場合)

  • 1年目:学習開始~不合格
  • 2年目:再学習~合格(10月)
  • 3年目~4年目:実務経験2年間
  • 5年目:登録申請・承認
  • 合計:学習開始から約4年~4年半

実務経験を試験合格前から積んでいる場合、合格時点ですでに2年以上の経験があれば、すぐに登録申請できます。例えば、企業の人事部で働きながら3年かけて合格した場合、合格後すぐに登録可能です。

標準ルートでは、焦らず確実に合格を目指し、実務経験を通じて実践的なスキルを身につけられます。事務指定講習よりも費用を抑えられる点もメリットです。

学習開始から社労士登録までのスケジュール例

実際の学習開始から登録までの具体的なスケジュール例を紹介します。ここでは、社会人が働きながら社労士を目指すケースを想定します。

ケース1:最短ルート(1年4か月)

  • 1月:学習開始、独学または通信講座申込み
  • 1月~8月:集中学習(毎日2~3時間)
  • 4月:受験申込み
  • 8月:社労士試験受験
  • 10月:合格発表、事務指定講習申込み
  • 10月~翌年1月:事務指定講習受講
  • 2月:登録申請
  • 3月:登録承認、社労士として業務開始

ケース2:標準ルート(3年半)

  • 1年目1月:学習開始
  • 1年目8月:社労士試験受験
  • 1年目10月:不合格、再学習開始
  • 2年目8月:社労士試験受験
  • 2年目10月:合格発表
  • 2年目10月~4年目10月:実務経験2年間(人事部で勤務)
  • 4年目11月:登録申請
  • 4年目12月:登録承認、社労士として業務開始

自分のライフスタイルや学習環境、キャリアプランに合わせて、無理のないスケジュールを立てましょう。焦って詰め込むよりも、着実に進めることが長期的には成功につながります。

社労士になった後のキャリアパス

社労士資格を取得した後、どのようなキャリアパスがあるのかを理解しておくことは、資格取得の目標設定に役立ちます。社労士の働き方は多様で、独立開業から企業勤務まで幅広い選択肢があります。ここでは主なキャリアパスについて解説します。

開業社労士として独立する(全体の約8割)

社労士の最も一般的なキャリアパスは、開業社労士として独立することです。全国の社労士のうち約8割が開業社労士として活動しています。開業社労士は自分で事務所を構え、企業と直接契約して業務を行います。

開業社労士の主な業務

  • 労働社会保険手続きの代行(新規加入、資格取得・喪失届など)
  • 就業規則の作成・変更
  • 給与計算代行
  • 労務相談・労務管理アドバイス
  • 助成金申請サポート

開業社労士は自分で営業活動を行い、クライアントを獲得しなければなりません。軌道に乗るまでには1~3年かかることが多く、初期の収入は不安定です。しかし、顧客基盤を築けば安定した収入と時間の自由を得られます。社労士の開業では、独立開業の詳細を解説しています。

開業には事務所開設費用や運転資金として100~200万円程度の初期投資が求められます。営業力やコミュニケーション能力も不可欠です。リスクはありますが、努力次第で高収入を目指せるのが魅力です。

勤務社労士として企業で働く

勤務社労士は、一般企業の人事・労務部門で社労士資格を活かして働くキャリアパスです。開業社労士とは異なり、安定した給与を得ながら社労士としての専門性を発揮できます。

勤務社労士のメリット

  • 安定した収入と福利厚生
  • 営業活動が不要
  • 大企業の人事制度設計に携わる機会
  • ワークライフバランスを保ちやすい

勤務社労士として働く場合、企業の正社員として雇用されるため、一般的な会社員と同様の労働条件が適用されます。社労士資格を持っていることで、人事・労務部門での専門性が評価され、昇進や昇給に有利に働くことがあります。

ただし、勤務社労士の年収は開業社労士ほど高くない傾向があります。社労士の年収では、開業社労士と勤務社労士の年収の違いについて詳しく解説しています。

社労士事務所・社労士法人で働く

社労士事務所や社労士法人に勤務するキャリアパスもあります。この場合、開業社労士の下で働きながら実務経験を積み、将来的な独立を目指す人が多くいます。

社労士事務所での勤務のメリット

  • 実践的な実務経験を積める
  • 多様なクライアントの事例に触れられる
  • 独立開業のノウハウを学べる
  • 先輩社労士からの指導を受けられる

社労士事務所での勤務は、将来独立を目指す人にとって貴重な経験の場となります。顧客対応、書類作成、労務相談など、実務のすべてを学べます。通常3~5年程度勤務した後、独立する人が多いようです。

給与水準は事務所の規模や地域によって異なりますが、一般企業の人事部門よりやや低い傾向があります。しかし、独立のための修業期間と考えれば、価値のある選択肢です。

会計事務所・税理士法人で働く

会計事務所や税理士法人で社労士として働くキャリアパスもあります。多くの会計事務所が労務サービスも提供しており、社労士資格保有者を求めています。

会計事務所で働くメリット

  • 税務と労務の両方を学べる
  • 中小企業の経営全般に関われる
  • 税理士とのダブルライセンスを目指しやすい
  • 幅広いクライアントとの接点

会計事務所では、税理士が顧問先に対して労務サービスも提供することが多く、社労士はその専門家として重要な役割を果たします。税務と労務の両方を理解することで、クライアントに対してより総合的なアドバイスができます。

会計事務所での経験は、将来的に独立開業する際にも役立ちます。税理士とのネットワークを築くことで、独立後の顧客紹介にもつながる可能性があります。

一般企業の人事・労務部門で働く

社労士資格を持っていても、必ずしも社労士業務に専念する必要はありません。一般企業の人事・労務部門で、社労士の知識を活かして働くこともできます。

企業人事部門で働くメリット

  • 安定した雇用と収入
  • 大企業の人事戦略に携わる機会
  • ワークライフバランスを保ちやすい
  • 資格手当が支給されることがある

社労士資格を持っていることで、人事・労務の専門家として社内での地位が高まります。労働法令の改正対応、就業規則の整備、労使トラブルの対応など、専門知識を活かせる場面は多くあります。

大企業では人事制度の企画・設計にも関われるため、やりがいのある仕事です。社労士の転職では、社労士資格を活かした転職について詳しく解説しています。

社労士に向いている人の5つの特徴

社労士として成功するには、単に試験に合格するだけでなく、職業に適した資質や性格も重要です。ここでは、社労士に向いている人の特徴を5つ紹介します。自分がこれらの特徴に当てはまるかチェックしてみましょう。

法律や制度に興味がある人

社労士の仕事は労働法令や社会保険制度に関わるため、法律や制度に興味を持てることが大切です。労働基準法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法など、多くの法令を理解し、適切に運用しなければなりません。

法律は毎年改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップする姿勢が求められます。法令集を読むことが苦痛でなく、むしろ新しい制度を知ることが楽しいと感じられる人は、社労士に向いています。

法律の条文を正確に理解し、実務に応用する能力も必要です。単に暗記するだけでなく、条文の意味を深く理解し、クライアントの状況に応じて適切なアドバイスができることが求められます。

細かい作業を正確にこなせる人

社労士の業務には、労働社会保険の各種手続き、給与計算、就業規則の作成など、細かく正確性が求められる作業が多くあります。書類の記入ミスや計算ミスは、クライアントに迷惑をかけるだけでなく、行政からの信頼も失います。

細かさが求められる業務例

  • 社会保険の資格取得・喪失届の作成(氏名、生年月日、住所などの正確な記入)
  • 給与計算(社会保険料、所得税、住民税の計算)
  • 労働時間の集計と残業代の計算
  • 36協定や就業規則の作成

ミスを防ぐためのチェック体制を整えることや、丁寧に確認作業を行うことが大切です。細かい作業が得意で、正確性を追求できる人は社労士に向いています。

コミュニケーション能力がある人

社労士の仕事は書類作成だけではありません。クライアント企業の経営者や人事担当者と打ち合わせをしたり、労務相談に対応したりするため、高いコミュニケーション能力が求められます。

コミュニケーションが必要な場面

  • クライアントの労務課題をヒアリングし、解決策を提案
  • 経営者に労働法令の改正内容を分かりやすく説明
  • 従業員からの労務相談に丁寧に対応
  • 労働基準監督署や年金事務所との折衝

特に開業社労士の場合、営業活動も必要なため、信頼関係を築くコミュニケーション能力は必須です。相手の話をよく聞き、分かりやすく説明する能力がある人は、社労士として成功しやすいでしょう。

従業員と経営者の間に立って調整する場面もあるため、双方の立場を理解し、バランスを取る能力も重要です。

継続的な学習意欲がある人

社労士に関する法律は毎年改正されるため、資格取得後も継続的な学習が求められます。試験に合格したら終わりではなく、常に最新の知識をアップデートし続ける姿勢が不可欠です。

継続学習が必要な理由

  • 労働法令や社会保険制度の改正が毎年ある
  • 判例や行政通達による解釈の変更がある
  • クライアントの多様なニーズに応えるため幅広い知識が必要
  • 助成金制度など新しい制度が次々と登場する

社労士会が実施する研修会への参加や、専門誌の購読など、自己研鑽の機会を積極的に活用することが大切です。学ぶことが好きで、知識を深めることに喜びを感じられる人は、社労士に向いています。

資格取得後も勉強を続けることで、クライアントからの信頼を得られ、業務の幅も広がります。

人の役に立ちたいという思いが強い人

社労士の仕事は、企業の労務管理をサポートし、従業員が安心して働ける環境を作ることです。労災事故や労働トラブルで困っている人を助けることもあります。人の役に立ちたい、社会に貢献したいという思いが強い人は、社労士の仕事にやりがいを感じられます。

社労士が人の役に立つ場面

  • 適切な労務管理により、従業員の権利を守る
  • 中小企業の経営者を労務リスクから守る
  • 労災事故の被害者が適切な補償を受けられるよう支援
  • 働きやすい職場環境づくりをサポート

クライアント企業の経営を守りながら、従業員の権利も尊重するバランス感覚が必要です。単に利益を追求するのではなく、社会正義や公正性を大切にできる人は、社労士として信頼されます。

困っている人を助けたい、より良い労働環境を作りたいという使命感があれば、困難な業務にも前向きに取り組めます。

社労士と相性の良いダブルライセンス

社労士資格に加えて他の資格を取得することで、業務の幅が広がり、クライアントに対してより総合的なサービスを提供できます。ここでは、社労士と相性の良いダブルライセンスを紹介します。

行政書士:書類作成業務で相乗効果

行政書士は社労士と業務内容が一部重なり、最も相性の良い資格の1つです。行政書士は官公署に提出する書類の作成が主な業務で、社労士の業務と合わせることで、クライアントに対してワンストップサービスを提供できます。

行政書士との組み合わせのメリット

  • 会社設立手続き(定款認証)と社会保険加入手続きを一括対応
  • 外国人雇用の在留資格申請と労務管理を統合サポート
  • 建設業許可申請と労働保険手続きをセットで提供
  • 相続手続きと遺族年金の申請をまとめて対応

特に開業社労士にとって、行政書士資格を持つことで業務の幅が大きく広がります。会社設立時から関われるため、新しいクライアントを獲得しやすくなります。行政書士試験は受験資格の制限がないため、社労士試験の前に取得する人もいます。

税理士:総合的なコンサルティング提供

税理士は社労士と並んで中小企業の経営をサポートする専門家です。税務と労務の両方をカバーできれば、クライアントに対して総合的な経営コンサルティングを提供できます。

税理士との組み合わせのメリット

  • 税務申告と給与計算・社会保険手続きを統合提供
  • 節税対策と労務コスト最適化を同時に提案
  • 役員報酬の設計と社会保険料負担のバランス調整
  • 事業承継における税務と労務の両面からのアドバイス

ただし、税理士試験は社労士試験以上に難関で、合格までに5~10年かかることも珍しくありません。実務経験も必要なため、両方の資格を取得するハードルは高いです。

多くの場合、税理士と社労士が業務提携する形でサービスを提供しています。自分が社労士の場合、税理士と良好な関係を築くことで、相互に顧客を紹介し合えます。

中小企業診断士:経営コンサルティングの幅が広がる

中小企業診断士は、企業の経営課題を診断し、改善策を提案する経営コンサルタントの国家資格です。社労士と組み合わせることで、労務管理だけでなく経営全般にわたるアドバイスができます。

中小企業診断士との組み合わせのメリット

  • 経営戦略と人事戦略を統合的に提案
  • 組織改革と労務管理改善を同時にサポート
  • 補助金・助成金の申請支援を総合的に行う
  • 事業計画書作成と人件費計画を一体化

中小企業診断士は経営全般の知識が求められるため、社労士としての専門性に加えて経営視点を持てるようになります。特に、企業の成長支援や事業再生に関わりたい人に適した組み合わせです。

ただし、中小企業診断士試験も難関で、1次試験と2次試験があり、合格率は約4~5%です。取得には相応の努力が求められますが、取得できれば市場価値が大きく向上します。

ファイナンシャルプランナー:ライフプラン提案が可能

ファイナンシャルプランナー(FP)は、個人の資産設計やライフプランニングをサポートする資格です。社労士と組み合わせることで、年金相談や退職後のライフプラン提案など、個人向けサービスの幅が広がります。

FPとの組み合わせのメリット

  • 年金相談と老後の資産設計を一体的に提案
  • 退職金制度の設計と個人の資産運用アドバイス
  • 遺族年金と生命保険の見直しを統合サポート
  • 育児休業給付と家計管理のアドバイス

FP資格は比較的取得しやすく、特に2級FP技能士(AFP)なら、社労士試験の勉強と並行して取得できます。個人向けの相談業務を充実させたい社労士にとって、FP資格は有用です。

社労士の業務では企業向けサービスが中心ですが、FP資格を持つことで個人向けの年金相談や生活設計サポートもできるようになり、顧客層を広げられます。

社労士になるにはに関連するよくある質問(FAQ)

社労士になる過程で多くの人が抱く疑問について、Q&A形式で回答します。これらの情報を参考に、自分の状況に合わせた計画を立ててください。

Q. 高卒でも社労士になれますか?

はい、高卒でも社労士になることは可能です。ただし、高校卒業だけでは社労士試験の受験資格を満たせないため、まず受験資格を得なければなりません。最も現実的な方法は、労働社会保険諸法令に関する事務経験を3年以上積むことです。企業の人事・労務部門で3年以上働けば受験資格が得られます。

行政書士試験に合格する方法もあります。行政書士試験は受験資格の制限がないため、高卒の方でもすぐに挑戦できます。合格すれば社労士試験の受験資格が得られます。他にも、専修学校の専門課程(修業年限2年以上、総授業時間数1,700時間以上)を修了する方法や、通信制大学で62単位を取得する方法もあります。

Q. 未経験でも社労士になれますか?

はい、未経験でも社労士になることは可能です。社労士試験は受験資格を満たせば誰でも受験でき、法律や労務の実務経験がなくても合格できます。実際、全く異なる業界から社労士を目指して転職する人も多くいます。

ただし、試験合格後の登録には実務経験2年以上が求められます。実務経験がない場合は、事務指定講習を受講することで実務経験に代えられます。事務指定講習は約4か月で修了でき、費用は75,600円です。未経験から社労士を目指す場合、まず試験合格を目指し、合格後に事務指定講習を受講するのが最も効率的なルートです。

登録後、実務経験を積むために社労士事務所に勤務する方法もあります。未経験でも採用してくれる事務所はありますので、実践的なスキルを学びながらキャリアをスタートできます。

Q. 社労士になるまでに何年かかりますか?

社労士になるまでの期間は、学習開始から登録完了まで、最短で1年4か月程度、標準的には2~3年程度です。期間は受験回数、実務経験の有無、事務指定講習の利用などによって変わります。

最短ルートは、1年間集中的に学習して1回目の試験で合格し、合格後すぐに事務指定講習を受講する方法です。この場合、学習開始から約1年4か月で登録できます。ただし、1回目で合格できる人は少数派です。

標準的なルートでは、1~2回の受験で合格し、その後実務経験を2年積むか事務指定講習を受講します。合計で2~3年程度かかるのが一般的です。すでに人事・労務の実務経験がある場合は、試験合格後すぐに登録できるため、期間を短縮できます。自分の状況に合わせて、無理のないスケジュールを立てることが大切です。

Q. 社労士試験は独学でも合格できますか?

社労士試験は独学でも合格可能ですが、相応の努力と計画性が求められます。独学での合格率は正確なデータがありませんが、通信講座や予備校利用者より低いと考えられます。独学に向いているのは、法律学習の経験がある人、自己管理能力が高い人、学習計画を立てて実行できる人です。

独学のメリットは費用を抑えられることで、テキストや問題集を含めて3~5万円程度で済みます。一方、デメリットは、疑問点をすぐに解決できないこと、モチベーション維持が難しいこと、法改正情報を自分で収集しなければならないことなどです。

初学者や確実に合格したい人には、通信講座の利用をおすすめします。通信講座なら講義動画で理解を深められ、質問対応や法改正情報の提供も受けられます。社労士の独学勉強法では、独学で合格するための具体的な方法を解説していますので、独学を検討している方は参考にしてください。

Q. 社労士登録後にやるべきことは何ですか?

社労士登録が完了した後、業務を開始する前にやるべきことがいくつかあります。まず、開業社労士として独立する場合は、事務所の開設準備が必要です。事務所の賃貸契約、パソコンや事務機器の購入、電話・インターネット回線の契約、名刺やウェブサイトの作成などを行います。

次に、営業活動の準備です。顧客開拓のため、既存の人脈への挨拶、異業種交流会への参加、ウェブマーケティングの開始などが必要です。初期の顧客獲得が軌道に乗るまでには時間がかかるため、運転資金を十分に確保しておきましょう。

勤務社労士として働く場合は、勤務先の社労士事務所や企業での業務に慣れることが最優先です。実務経験を積みながら、顧客対応のスキルや専門知識を深めていきます。

社労士会が実施する新規登録者向けの研修会に参加することも重要です。実務に必要な最新情報や、他の社労士とのネットワーク構築の機会になります。継続的な学習と自己研鑽を怠らないことが、社労士として成功するカギです。

まとめ:社労士になるには計画的な準備が重要

本記事では、社労士になるための流れ、受験資格、試験内容、必要な費用、期間、登録手続き、そしてその後のキャリアパスについて詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 受験資格の確認が第一歩:社労士試験は「学歴」「実務経験」「試験合格」のいずれかで受験資格を満たす必要があります。大卒であれば基本的に受験可能ですが、高卒の場合は実務経験3年以上または行政書士試験合格などの条件をクリアしなければなりません。自分がどの条件に該当するか、まず確認することから始めましょう。
  2. 試験合格だけでは社労士になれない:年1回実施される社労士試験に合格した後、実務経験2年以上を積むか、事務指定講習(約4か月・費用75,600円)を受講することが求められます。その後、全国社会保険労務士会連合会に登録申請を行い、承認されて初めて社労士として業務を開始できます。登録までの全体の流れを理解しておくことが大切です。
  3. 資格取得までの総費用と期間を把握する:社労士になるまでには、受験料、勉強費用、事務指定講習、登録費用を合わせて30~50万円程度の費用がかかります。最短で1年4か月、標準的には2~3年程度の期間が必要です。開業する場合はさらに初期投資が必要になるため、計画的な資金準備とスケジュール管理が重要です。

受験資格の確認から始めよう

社労士を目指すと決めたら、まず自分が受験資格を満たしているか確認しましょう。学歴、実務経験、他資格のいずれかで受験資格を満たせれば、すぐに学習を開始できます。受験資格を満たしていない場合は、社労士の受験資格で詳細を確認し、受験資格を得る方法を検討してください。

受験資格の確認と並行して、学習方法を決めることも重要です。独学、通信講座、予備校通学のいずれかを選び、自分に合った学習スタイルで進めましょう。

試験合格には800~1,000時間の学習が必要

社労士試験の合格には、一般的に800~1,000時間の学習時間を要します。1日2~3時間の学習を1年間継続すれば、この時間を確保できます。働きながら学習する場合は、朝の時間や週末を有効活用し、計画的に学習を進めることが大切です。

効率的な学習方法については、社労士試験の勉強法で詳しく解説しています。過去問演習を中心に、弱点科目を重点的に学習することで、合格率を高められます。

登録まで含めた全体スケジュールを把握しよう

社労士を目指す際は、試験合格だけでなく、その後の登録手続きまで含めた全体スケジュールを把握しておくことが重要です。実務経験を積むのか、事務指定講習を受講するのか、開業するのか勤務するのかなど、目標を明確にして計画を立てましょう。

本記事を通じて、社労士になるまでの全体像と必要な準備を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、社労士資格取得という目標の実現に向けて、今日から一歩を踏み出しましょう。計画的な準備と継続的な努力が、必ず合格という結果につながります。

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