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行政書士とは?仕事内容・試験概要・年収までわかりやすく徹底解説

「行政書士ってどんな仕事をしているの?」「弁護士や司法書士とは何が違うの?」「資格を取るのは難しい?」このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。行政書士は「街の法律家」として、私たちの暮らしやビジネスに密接に関わる法律専門家です。会社設立の手続き、遺言書の作成、建設業許可の申請など、官公署に提出する書類作成を中心に、幅広い業務を担っています。しかし、その具体的な仕事内容や資格取得の方法について、詳しく知る機会は意外と少ないかもしれません。

本記事では、行政書士の基本的な役割から、具体的な業務内容、試験の難易度、年収の実態まで、これから行政書士を目指す方や資格に興味のある方に向けて、初心者でも理解できるようわかりやすく徹底解説します。

この記事でわかること
  • 行政書士の定義と「街の法律家」としての役割
  • 行政書士の3つの独占業務と具体的な仕事内容15選
  • 行政書士と司法書士・税理士などの他士業との違い
  • 行政書士試験の受験資格・日程・科目・合格率
  • 行政書士の年収実態と働き方別の収入比較
  • 行政書士資格取得のメリットと向いている人の特徴
特に注目すべきポイント

1. 誰でも受験可能な国家資格:行政書士試験には学歴・年齢・国籍などの受験資格が一切必要ありません。中卒でも高卒でも、誰でもチャレンジできる国家資格です。年1回の試験で、合格率は10〜13%程度。法律初学者でも600〜1,000時間の学習で合格を目指せるため、社会人の資格取得やキャリアチェンジに適しています。

2. 独立開業しやすい実務資格:行政書士は「開業型資格」として知られ、試験合格後に行政書士会へ登録すれば、すぐに事務所を開業できます。初期費用も他士業と比較して抑えられ、自宅開業も可能です。許認可申請や相続手続きなど、需要の安定した業務分野で独立できるため、定年後のセカンドキャリアとしても注目されています。

3. 幅広い業務領域とキャリアの選択肢:行政書士が扱える書類は1万種類以上。官公署への許認可申請から、契約書作成、遺言・相続手続き、外国人ビザ申請まで、業務範囲は非常に広範囲です。建設業許可や飲食店開業など特定分野に特化することも、総合的に業務を扱うこともできます。また、独立開業だけでなく、企業の法務部門や行政書士事務所への就職という選択肢もあります。

本記事と類似記事の違い:一般的な行政書士の紹介記事は、定義や概要の説明に留まることが多いですが、本記事では初心者の方が実際に行動を起こせるよう、試験の具体的な情報、年収の現実的なデータ、資格取得後のキャリアパスまで体系的に解説しています。また、15種類の具体的な業務事例や他士業との明確な違いを示すことで、行政書士という仕事のイメージを具体的に掴んでいただける内容となっています。


目次

行政書士とは|国民に最も身近な「街の法律家」

行政書士は、国民と行政機関をつなぐ「街の法律家」として位置づけられる国家資格者です。弁護士や司法書士と並ぶ法律専門職でありながら、より身近で日常的な法律問題に対応する専門家として、私たちの暮らしやビジネスを支えています。

行政書士の定義と役割

行政書士は、行政書士法に基づいて設置された国家資格者であり、官公署(役所や警察署など)に提出する書類の作成や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を業務とする法律の専門家です。1951年に行政書士法が制定されて以来、行政手続きの専門家として国民の権利実現をサポートする役割を担ってきました。

行政書士の最大の特徴は、「予防法務」の専門家であるという点です。トラブルが起きてから解決する弁護士とは異なり、行政書士はトラブルが起きないように事前に適切な書類を作成し、手続きを代行します。たとえば、会社を設立する際の定款作成、外国人を雇用する際のビザ申請、建設業を始める際の許可申請など、事業や生活をスムーズに進めるための「入口」の手続きを担当します。

行政書士が誕生した歴史的背景

行政書士制度は、戦後の日本社会において国民の権利意識が高まる中で誕生しました。それまでは、官公署への書類提出は個人が自ら行うか、代書屋と呼ばれる無資格者に依頼するしかありませんでした。しかし、法令が複雑化し、行政手続きが増加する中で、専門的な知識を持った資格者の必要性が認識されるようになります。

1951年に「行政書士法」が制定され、行政書士という国家資格が正式に誕生しました。この法律により、行政書士は官公署に提出する書類作成の独占業務を持つ専門職として位置づけられ、国民の権利擁護と行政の円滑な運営の両立を図る役割を担うことになったのです。現在では全国に約5万人の行政書士が登録されており、地域に密着した法律サービスを提供しています。

行政書士が「街の法律家」と呼ばれる理由

行政書士が「街の法律家」と呼ばれる理由は、弁護士と比べて気軽に相談できる身近な存在であり、日常生活やビジネスで頻繁に発生する手続きに対応できるからです。弁護士への相談には心理的なハードルがありますが、行政書士は地域の商店街や住宅街に事務所を構え、遺言書の作成や飲食店開業の相談など、身近な法律問題に気軽に応じてくれます。

また、行政書士の業務範囲は非常に広く、暮らしとビジネスの両面をカバーしています。個人向けには相続手続きや遺言書作成、離婚協議書の作成など、企業向けには会社設立や建設業許可、外国人雇用のビザ申請など、多岐にわたる分野で専門的なサポートを提供します。このように、法律の専門知識を持ちながら、庶民的で親しみやすい存在として、地域社会に根差した活動を行っていることが、「街の法律家」と呼ばれる所以なのです。


行政書士の仕事内容|3つの独占業務を詳しく解説

行政書士の業務は、行政書士法第1条の2および第1条の3に規定されており、大きく分けて3つの独占業務があります。これらは行政書士のみが行える業務であり、無資格者が報酬を得て行うことは法律で禁止されています。

行政書士の独占業務①官公署提出書類の作成

官公署提出書類の作成は、行政書士の最も代表的な業務です。官公署とは、国や地方公共団体の役所、警察署、保健所などの行政機関を指します。これらの機関に提出する許認可申請書類や届出書類を作成し、必要に応じて提出代行も行います。

具体的には、建設業許可申請、飲食店営業許可申請、運送業許可申請、産業廃棄物処理業許可申請など、事業を始める際に必要な許認可の申請書類を作成します。また、会社設立時の定款認証や、各種法人設立の届出書類、自動車の車庫証明や名義変更なども、この業務に含まれます。

これらの許認可申請は、法令の知識と実務経験が必要な専門的な作業です。申請書類に不備があれば許可が下りず、事業開始が遅れてしまうため、行政書士の専門性が活かされる重要な業務といえます。許認可申請の種類は1万種類以上あると言われ、行政書士が扱える書類の範囲は非常に広範囲です。

行政書士の独占業務②権利義務に関する書類作成

権利義務に関する書類とは、権利の発生・変更・消滅に関わる書類のことです。代表的なものとしては、各種契約書(売買契約書、賃貸借契約書、業務委託契約書など)、示談書、協議書、念書、内容証明郵便などがあります。

特に重要なのは、遺産分割協議書や遺言書の作成です。相続が発生した際、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、その内容を書面にまとめたものが遺産分割協議書です。また、遺言書は本人の意思を法的に有効な形で残すための重要な書類であり、行政書士は公正証書遺言の作成サポートを行います。

その他にも、離婚協議書の作成、クーリングオフの通知書、会社の定款作成、株主総会議事録の作成なども、権利義務に関する書類作成の業務に含まれます。これらの書類は法的効力を持つため、正確で適切な内容で作成することが求められ、行政書士の専門知識が不可欠です。

行政書士の独占業務③事実証明に関する書類作成

事実証明に関する書類とは、社会生活上の事実を証明するための書類を指します。代表的なものとしては、各種図面(建物の配置図、案内図など)、会計帳簿、財務諸表、定款、株主名簿、議事録などがあります。

実務では、建設業許可申請に必要な配置図や案内図の作成、飲食店営業許可に必要な店舗の平面図作成などが頻繁に行われます。また、会社の会計帳簿や決算書類の作成補助も事実証明書類の作成に含まれます。ただし、税務申告に関する書類は税理士の独占業務であるため、行政書士は作成できません。

事実証明書類の作成は、許認可申請や契約書作成に付随して必要になることが多く、他の独占業務と組み合わせて提供されることが一般的です。たとえば、建設業許可を申請する際には、申請書類(官公署提出書類)とともに、事業所の配置図(事実証明書類)が必要になります。

行政書士の業務についてさらに詳しく知りたい方は、行政書士の具体的な業務事例をご覧ください。


行政書士の具体的な業務事例15選

行政書士が扱える書類は1万種類以上あり、その業務範囲は非常に広範囲です。ここでは、実際に行政書士が日常的に扱っている代表的な業務を、暮らし・ビジネス・専門特化の3つのカテゴリーに分けて15種類ご紹介します。

行政書士の暮らしに関する業務

相続手続き:相続が発生した際の遺産分割協議書の作成、相続財産目録の作成、金融機関での名義変更手続きなどを行います。相続人の調査や戸籍謄本の収集も含まれます。

遺言書作成:本人の意思を法的に有効な形で残すための遺言書作成をサポートします。特に公正証書遺言の作成において、公証役場との調整や証人の手配なども行います。

離婚協議書作成:離婚時の財産分与、慰謝料、養育費などの取り決めを書面化します。公正証書にすることで、将来的な支払いトラブルを防止できます。

内容証明郵便作成:賃貸トラブルの解決や債権回収、クーリングオフの通知など、法的な主張を証拠として残すための内容証明郵便を作成します。

自動車登録手続き:自動車の名義変更、車庫証明の取得、廃車手続きなど、自動車に関する各種登録手続きを代行します。

行政書士のビジネスに関する業務

会社設立手続き:株式会社や合同会社の設立時に必要な定款作成、定款認証、設立登記の書類準備を行います。登記そのものは司法書士の業務ですが、その前段階の書類作成は行政書士が対応できます。

建設業許可申請:建設業を営むために必要な許可申請を行います。許可要件の確認、必要書類の収集、申請書の作成、行政庁への提出代行までをサポートします。更新申請や業種追加も対応します。

飲食店営業許可申請:飲食店や喫茶店を開業する際に必要な営業許可申請を行います。保健所への申請書類作成、店舗図面の作成、食品衛生責任者の設置確認などを含みます。

外国人在留資格(ビザ)申請:外国人を雇用する企業や、日本で働きたい外国人のために、就労ビザや配偶者ビザなどの在留資格認定証明書の申請を行います。入管法の知識が必要な専門性の高い業務です。

産業廃棄物処理業許可申請:産業廃棄物の収集運搬業や処分業を営むために必要な許可申請を行います。各都道府県への許可申請が必要で、複雑な要件の確認と書類作成が求められます。

行政書士の専門特化業務の例

運送業許可申請:トラック運送事業や旅客運送事業を始める際の許可申請を専門的に扱います。運輸支局への申請や、運行管理者の選任など、専門的な知識が必要です。

農地転用許可申請:農地を宅地や駐車場に転用する際に必要な許可申請を行います。農業委員会や都道府県知事への申請が必要で、農地法の知識が求められます。

風俗営業許可申請:パチンコ店、ゲームセンター、スナック、キャバクラなどの風俗営業を始める際の許可申請を行います。警察署への申請となり、厳格な要件があります。

知的資産経営支援:企業の持つ知的資産(技術、ブランド、ノウハウなど)を可視化し、経営に活かすための報告書作成や事業計画策定をサポートします。

古物商許可申請:中古品の売買業を営むために必要な古物商許可の申請を行います。警察署への申請となり、インターネット販売の場合はURL届出も必要です。

これらの業務は、行政書士が各自の得意分野を活かして提供しているものです。すべての業務をこなす総合型の行政書士もいれば、建設業許可や外国人ビザなど特定分野に特化した専門型の行政書士もいます。


行政書士と他士業との違い|司法書士・税理士・社労士との比較

法律関連の資格には、行政書士以外にも司法書士、税理士、社会保険労務士、弁護士など、いわゆる「士業」と呼ばれる専門資格が複数存在します。それぞれ独占業務が異なり、役割分担がなされています。

資格主な独占業務扱う主要分野試験難易度(合格率)
行政書士官公署提出書類作成許認可申請、契約書、相続10〜13%
司法書士登記申請、簡裁訴訟代理不動産登記、商業登記、裁判4〜5%
税理士税務申告、税務代理税務、会計15〜20%
社労士労働社会保険手続労務、年金、助成金5〜7%
弁護士訴訟代理、法律相談訴訟、紛争解決20〜30%(予備試験4%)

行政書士と司法書士の違い

行政書士と司法書士の最も大きな違いは、行政書士が「官公署への書類作成」を扱うのに対し、司法書士は「登記申請」を扱う点です。たとえば、会社を設立する場合、定款の作成は行政書士が行い、法務局への設立登記申請は司法書士が行います。不動産を購入した場合も、登記申請は司法書士の独占業務です。

また、司法書士は簡易裁判所における訴訟代理権を持っており、140万円以下の民事訴訟を弁護士と同様に代理できます。一方、行政書士は訴訟代理権を持たないため、裁判に関する業務は行えません。ただし、特定行政書士の資格を取得すれば、行政不服申立ての代理業務が可能になります。

試験難易度は司法書士の方が高く、合格率は4〜5%程度と行政書士の約半分です。業務の専門性も高く、報酬も一般的に司法書士の方が高い傾向にあります。詳しい比較は行政書士と司法書士の違いで解説しています。

行政書士と税理士の違い

税理士の独占業務は「税務申告」「税務代理」「税務相談」の3つです。確定申告書の作成、税務署への申告代理、税金に関する相談などは、すべて税理士のみが行える業務です。行政書士は会社設立の手続きや許認可申請を行いますが、その後の税務申告は税理士に依頼する必要があります。

ただし、行政書士も会計帳簿の作成補助は可能です。中小企業の記帳代行サービスなどを提供している行政書士もいますが、税務申告そのものは税理士に依頼する必要があります。実務では、行政書士と税理士が連携して、会社設立から税務処理まで一貫してサポートするケースも多く見られます。

税理士試験は5科目に合格する必要があり、1科目ずつ受験できるため、数年かけて取得するのが一般的です。合格率は科目により異なりますが、全体では15〜20%程度です。行政書士と税理士の違いでより詳しく解説しています。

行政書士と社会保険労務士の違い

社会保険労務士(社労士)の独占業務は、労働社会保険に関する手続きです。具体的には、健康保険や厚生年金の加入手続き、雇用保険・労災保険の手続き、助成金申請、就業規則の作成などを行います。従業員を雇用する企業にとって、社労士は労務管理の専門家として欠かせない存在です。

行政書士も会社設立時の定款作成や許認可申請を行いますが、従業員の社会保険手続きは社労士の業務です。実務では、会社設立時に行政書士が定款作成と設立手続きを行い、その後の労働保険・社会保険の手続きを社労士が行うという連携が一般的です。

社労士試験の合格率は5〜7%程度で、行政書士よりやや難易度が高いとされています。行政書士と社労士のダブルライセンスを持つことで、会社設立から労務管理まで一貫してサポートできるため、両資格の相性は良好です。詳しくは行政書士と社労士の違いをご覧ください。

行政書士と弁護士の違い

弁護士は法律専門職の最上位資格であり、法律に関するすべての業務を行うことができます。訴訟代理権を持ち、裁判所での訴訟活動や法廷弁護を行えるのは弁護士のみです。また、弁護士は行政書士の業務も行うことができますが、実務では訴訟案件に集中することが多く、許認可申請などの行政手続きは行政書士に依頼することが一般的です。

行政書士と弁護士の大きな違いは「紛争性」の有無です。行政書士は紛争が起きる前の「予防法務」を担当し、弁護士は紛争が起きた後の「解決法務」を担当します。たとえば、離婚協議書の作成は行政書士も行えますが、夫婦間で争いがあり調停や訴訟が必要な場合は、弁護士に依頼する必要があります。

弁護士になるには司法試験に合格する必要があり、その難易度は非常に高いです。予備試験の合格率は4%程度、法科大学院修了者が受ける司法試験の合格率は20〜30%程度です。行政書士と弁護士の違いでより詳細に比較しています。


行政書士の試験概要|受験資格・日程・科目

行政書士になるには、原則として行政書士試験に合格する必要があります。ここでは試験の基本情報を詳しく解説します。

行政書士試験の受験資格

行政書士試験の最大の特徴は、受験資格が一切不要という点です。年齢、学歴、国籍、性別などの制限が全くなく、誰でも受験することができます。中学生でも高校生でも、学歴がなくても、外国人でも受験可能です。

これは法律系国家資格の中でも珍しい特徴で、司法書士や社労士には受験資格の制限はありませんが、弁護士になるための司法試験には法科大学院修了などの要件があります。行政書士試験は、法律の知識さえあれば誰でも平等にチャレンジできる開かれた試験なのです。

ただし、試験に合格しても、行政書士として登録できない欠格事由があります。破産者で復権していない者、公務員で懲戒免職処分を受けた者などは、行政書士会への登録ができません。詳しくは行政書士の受験資格ガイドをご覧ください。

行政書士試験の日程と申込方法

行政書士試験は年1回、毎年11月の第2日曜日に実施されます。試験時間は13:00〜16:00の3時間です。試験会場は全国の主要都市に設置され、受験地は申込時に選択できます。

申込期間は例年7月下旬から8月下旬の約1ヶ月間で、郵送申込とインターネット申込の2つの方法があります。受験手数料は10,400円です。申込方法の詳細や必要書類については行政書士試験の申し込み方法で詳しく解説しています。

合格発表は翌年1月下旬に行われます。試験実施から合格発表までは約2ヶ月半かかります。合格者には合格通知書が郵送され、合格証書は後日交付されます。合格後の手続きについては行政書士の合格発表ガイドをご覧ください。

行政書士試験の出題科目と配点

行政書士試験は「法令等科目」と「一般知識等科目」の2つで構成されています。

法令等科目(244点満点)

  • 基礎法学:8点
  • 憲法:28点
  • 行政法:112点(最重要科目)
  • 民法:76点(第2重要科目)
  • 商法:20点

一般知識等科目(56点満点)

  • 政治・経済・社会:28点
  • 情報通信・個人情報保護:16点
  • 文章理解:12点

合格基準は以下の3つをすべて満たす必要があります:

  1. 法令等科目で122点以上(50%以上)
  2. 一般知識等科目で24点以上(40%以上)
  3. 試験全体で180点以上(60%以上)

この基準点制度により、法令科目で高得点を取っても、一般知識科目で足切りにあうと不合格になります。両方の科目でバランスよく得点することが重要です。試験の詳細は行政書士試験の完全ガイドでご確認ください。


行政書士試験の難易度と合格率

行政書士試験の難易度は、法律系国家資格の中では「中程度」に位置づけられます。司法書士や社労士よりは易しく、宅建士よりは難しいというのが一般的な評価です。

行政書士試験の合格率と推移

行政書士試験の合格率は、過去10年間でおおむね10〜13%の範囲で推移しています。以下は過去5年間の合格率データです。

年度受験者数合格者数合格率
2024年46,991人6,571人13.98%
2023年46,991人6,571人13.98%
2022年47,850人5,802人12.13%
2021年47,870人5,353人11.18%
2020年41,681人4,470人10.72%

合格率は年度により変動しますが、試験問題の難易度調整により、極端に高くなったり低くなったりすることは避けられています。合格率の詳しい推移と分析は行政書士の合格率データをご覧ください。

行政書士試験の難易度を他資格と比較

法律系資格の難易度を偏差値で表すと、以下のようになります。

  • 司法試験(予備試験):偏差値77(最難関)
  • 司法書士:偏差値77
  • 弁理士:偏差値75
  • 社会保険労務士:偏差値65
  • 行政書士:偏差値62
  • 宅建士:偏差値57
  • FP2級:偏差値54

行政書士は法律系資格の中では、初学者でも十分に合格可能なレベルの難易度です。ただし、合格率10%台という数字が示すように、決して簡単な試験ではありません。詳しい難易度分析は行政書士の難易度ランキングで解説しています。

行政書士試験に必要な勉強時間の目安

行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に以下のように言われています。

  • 法律初学者:800〜1,000時間
  • 法学部出身者・法律学習経験者:500〜800時間
  • 他の法律系資格保有者:300〜500時間

1日3時間勉強できる場合、法律初学者なら約10〜12ヶ月、1日2時間なら約15〜18ヶ月の学習期間が目安となります。働きながら合格を目指す場合、1年〜1年半の学習期間を見込むのが現実的です。

ただし、これはあくまで目安であり、個人の理解力や学習効率によって大きく変わります。効率的な学習方法については行政書士の最短合格勉強時間で詳しく解説しています。


行政書士の年収|働き方別の収入実態

行政書士の年収は、働き方によって大きく異なります。独立開業か事務所勤務か、また専門分野によっても収入には幅があります。

行政書士事務所勤務の年収

行政書士事務所に雇用される場合の年収は、300万円〜500万円程度が一般的です。新人の場合は年収300万円前後からスタートし、経験を積むにつれて400万円〜500万円程度まで上がっていきます。大手事務所や専門性の高い業務を扱う事務所では、600万円以上の年収も可能です。

企業の法務部門や総務部門に就職する場合は、その企業の給与体系に準じます。上場企業であれば、一般的なサラリーマンと同等かそれ以上の年収が期待できます。また、建設会社や不動産会社など、許認可申請が多い業種の企業では、行政書士資格を持つ社員に資格手当が支給されることもあります。

行政書士事務所勤務のメリットは、安定した収入と社会保険完備、実務経験を積めることです。将来的に独立開業を目指す場合、事務所勤務で実務を学ぶことは非常に有益です。

行政書士独立開業後の年収

独立開業している行政書士の年収は、日本行政書士会連合会の調査によると平均551万円とされています。ただし、これは平均値であり、実際には年収200万円以下から3,000万円以上まで、非常に幅があります。

開業1年目は顧客獲得に苦労することが多く、年収300万円以下というケースも珍しくありません。しかし、顧客基盤が安定し、専門分野を確立できれば、年収1,000万円以上も十分に可能です。特に建設業許可や外国人ビザ申請などの専門分野で成功している行政書士は、年収2,000万円〜3,000万円を実現しています。

独立開業のメリットは、収入の上限がないこと、働き方の自由度が高いことです。一方で、収入が不安定なリスクや、営業活動・事務所運営の負担があります。詳しい年収データは行政書士の年収実態をご覧ください。

行政書士の高収入を実現する専門業務

行政書士で高収入を実現するには、専門分野を持つことが重要です。以下は高収入につながりやすい専門分野です。

建設業許可申請:新規許可申請の報酬は15万円〜25万円、更新申請は5万円〜10万円が相場です。建設業者は5年ごとの更新が必要なため、継続的な収入が見込めます。

外国人ビザ申請:就労ビザの認定申請は10万円〜20万円、永住許可申請は15万円〜30万円が相場です。在留期限の更新申請も定期的に発生するため、リピーターが多い分野です。

相続・遺言業務:遺言書作成は10万円〜20万円、遺産分割協議書作成は10万円〜30万円が相場です。相続財産の額により報酬が変動することもあります。

産業廃棄物処理業許可:新規許可申請は30万円〜50万円、更新申請は10万円〜20万円が相場です。複数の都道府県での許可取得が必要な場合、報酬も増えます。

これらの専門分野で顧客基盤を築くことができれば、年収1,000万円以上の実現も十分に可能です。開業や高収入実現のポイントについては行政書士の開業準備ガイドで詳しく解説しています。


行政書士資格取得のメリット5つ

行政書士資格を取得することで得られるメリットは多岐にわたります。独立開業だけでなく、就職・転職、他資格へのステップアップなど、さまざまな可能性が広がります。

行政書士のメリット①独立開業しやすい

行政書士の最大のメリットは、独立開業のハードルが低いことです。試験合格後、行政書士会に登録すれば、すぐに事務所を開業できます。登録には約30万円の費用がかかりますが、事務所は自宅でも開業可能であり、初期投資を抑えられます。

また、行政書士の仕事は在庫を持つ必要がなく、パソコンと知識があれば始められます。許認可申請の報酬は1件あたり数万円〜数十万円と高額で、リピーターも多いため、顧客基盤を築けば安定した収入が得られます。定年がないため、生涯現役で働けることも大きな魅力です。

行政書士のメリット②就職・転職で有利

行政書士資格は、就職・転職市場でも高く評価されます。特に以下のような企業で有利です。

  • 建設会社:建設業許可の更新や変更申請を社内で処理できる
  • 不動産会社:宅建士とのダブルライセンスで専門性が高まる
  • 人材派遣会社:外国人雇用のビザ申請を社内で対応できる
  • 法律事務所:弁護士の補助業務や許認可申請を担当できる
  • コンサルティング会社:会社設立や許認可の相談業務ができる

行政書士資格を持っていることで、法律知識と実務能力を証明でき、法務部門や総務部門への就職が有利になります。

行政書士のメリット③他資格取得のステップになる

行政書士試験の学習を通じて法律の基礎知識が身につくため、他の法律系資格へのステップアップがしやすくなります。特に以下の資格とは学習内容が重複しています。

  • 司法書士:民法の学習範囲が重複。行政書士合格後、登記法を追加学習すれば効率的
  • 社会保険労務士:労働法や社会保険法を追加学習すれば、ダブルライセンスが実現
  • 宅建士:民法の知識が活用できる。宅建士から行政書士を目指す人も多い

行政書士資格を取得後、さらに専門性を高めたい場合や、業務範囲を広げたい場合に、他資格へチャレンジする道が開けます。行政書士のダブルライセンスで相性の良い資格を詳しく解説しています。

行政書士のメリット④法律知識が実生活で役立つ

行政書士試験の学習を通じて、憲法、民法、行政法などの基本的な法律知識が身につきます。これらの知識は、日常生活のさまざまな場面で役立ちます。

たとえば、不動産の売買や賃貸契約を結ぶ際、契約書の内容を正確に理解できます。相続が発生した際も、相続人の範囲や遺産分割の方法について、基本的な知識があれば適切に対応できます。また、会社員として働く上でも、労働法や会社法の知識は業務に活かせます。

法律知識があることで、トラブルを未然に防いだり、不利な契約を避けたりすることができ、自分や家族を守ることにつながります。

行政書士のメリット⑤定年後のキャリアとして最適

行政書士は定年がなく、生涯現役で働ける職業です。体力を使う仕事ではなく、知識と経験が武器になるため、年齢を重ねるほど信頼され、仕事が増える傾向にあります。実際に、60代や70代で現役で活躍している行政書士は多数います。

定年退職後のセカンドキャリアとして行政書士を選ぶ人も増えています。公務員経験者の場合、特認制度を利用して試験免除で資格を取得できることもあります。長年の社会経験や人脈を活かして、地域に根差した行政書士として活動することが可能です。

また、週3日勤務や午前中だけの営業など、働き方を自由に調整できるため、趣味や家族との時間を大切にしながら働けます。年金と行政書士収入を組み合わせることで、ゆとりある老後生活を実現できます。


行政書士に向いている人の特徴

行政書士として成功するには、資格取得だけでなく、性格やスキル、キャリア段階も重要な要素となります。

行政書士に向いている人の性格的特徴

几帳面で正確な作業ができる人:行政書士の仕事は書類作成が中心であり、1つのミスが許認可の不許可につながることもあります。細かい確認作業を厭わず、正確に仕事をこなせる性格が求められます。

コミュニケーション能力がある人:依頼者から状況をヒアリングし、必要な書類や手続きを説明する必要があります。また、役所の担当者と交渉することも多いため、円滑なコミュニケーション能力は不可欠です。

学習意欲が高い人:法律は頻繁に改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップする必要があります。資格取得後も継続的に学習する姿勢が重要です。

責任感が強い人:依頼者の事業開始や生活に直結する重要な手続きを扱うため、期限を守り、責任を持って業務を遂行する姿勢が求められます。

行政書士に向いている人のスキル

文章作成能力:契約書や申請書を作成する際、法的に適切で分かりやすい文章を書く能力が必要です。

調査・リサーチ能力:法令や判例を調べたり、依頼者に必要な情報を収集したりする能力が求められます。

営業力・集客力:独立開業する場合、自分で顧客を獲得する必要があります。ホームページ作成、SNS活用、セミナー開催などの営業活動ができることが成功の鍵となります。

ITリテラシー:近年は電子申請が増えており、パソコンやインターネットを使いこなせることが必須です。また、業務効率化のためにも、ITツールを活用する能力が求められます。

行政書士を目指すべきキャリア段階

新卒・20代:若いうちから法律知識を身につけ、長期的なキャリアを築きたい人に適しています。行政書士事務所や企業の法務部門で経験を積み、30代で独立開業するルートも可能です。

30代・40代のキャリアチェンジ:現在の仕事に限界を感じている人や、より専門性の高い仕事をしたい人に適しています。働きながら1〜2年かけて資格を取得し、独立開業を目指せます。

50代・60代のセカンドキャリア:定年退職後も働き続けたい人や、社会経験を活かして新しい仕事を始めたい人に最適です。公務員経験者は特認制度を利用できる場合もあります。


行政書士になるまでの流れ

行政書士になるための一般的なルートと、各ステップでのポイントを解説します。

行政書士試験に合格する

行政書士になるための最も一般的な方法は、行政書士試験に合格することです。試験は年1回11月に実施され、誰でも受験できます。

学習方法の選択

  • 独学:テキストと過去問だけで学習。費用は3万円〜5万円程度
  • 通信講座:動画講義とテキストで学習。費用は5万円〜20万円程度
  • 予備校通学:教室で講義を受ける。費用は15万円〜30万円程度

法律初学者の場合、独学では挫折するリスクが高いため、通信講座や予備校の利用がおすすめです。おすすめの学習方法については行政書士の合格勉強法をご覧ください。

学習計画の立て方

  1. 基礎講義で各科目の全体像を理解(3〜4ヶ月)
  2. 過去問演習で知識を定着(4〜5ヶ月)
  3. 模擬試験で実践力を養成(2〜3ヶ月)
  4. 直前期の総復習(1ヶ月)

合計10〜12ヶ月の学習期間を見込むのが一般的です。

行政書士会への登録手続き

試験合格後、行政書士として業務を行うには、都道府県の行政書士会を経由して日本行政書士会連合会に登録する必要があります。登録には以下の手続きと費用が必要です。

必要書類

  • 行政書士登録申請書
  • 試験合格証書の写し
  • 履歴書
  • 住民票
  • 身分証明書
  • 誓約書
  • 事務所の使用権限を証する書類

登録費用(東京都の場合):

  • 登録手数料:25,000円
  • 登録免許税:30,000円
  • 行政書士会入会金:200,000円
  • 行政書士会年会費:約60,000円(年間)
  • 合計:約315,000円(初年度)

登録から業務開始までは約1〜2ヶ月かかります。この期間に名刺作成、ホームページ作成、業務知識の習得などの開業準備を進めます。

行政書士として開業または就職

登録完了後、独立開業するか、行政書士事務所や企業に就職するかを選択します。

独立開業の場合

  • 事務所の開設(自宅開業も可能)
  • ホームページ・名刺・パンフレットの作成
  • 営業活動の開始(異業種交流会、セミナー開催など)
  • 専門分野の選定と実務知識の習得

開業直後は顧客獲得に苦労することが多いため、開業前から営業活動を始めることが重要です。また、実務経験がない場合、最初は簡単な業務から始め、徐々に難易度の高い業務に挑戦していくのが現実的です。

就職の場合

  • 行政書士事務所での求人を探す
  • 企業の法務部門や総務部門に応募する
  • 転職サイトや行政書士会の求人情報を活用する

事務所勤務であれば、給与をもらいながら実務経験を積めるため、将来的な独立開業を視野に入れている人にもおすすめです。


行政書士とダブルライセンスで相性の良い資格

行政書士とダブルライセンスを取得することで、業務範囲が広がり、収入アップやキャリアの幅を広げることができます。

行政書士×司法書士

司法書士とのダブルライセンスは、会社設立や不動産取引の分野で強力なシナジー効果を発揮します。行政書士が定款作成を行い、司法書士が設立登記を行うという一連の流れを、一人で完結できるため、ワンストップサービスとして顧客満足度が高まります。

また、相続業務においても、行政書士が遺産分割協議書を作成し、司法書士が不動産の相続登記を行うという連携が可能です。両資格を持つことで、相続手続き全般を一貫してサポートできます。

ただし、司法書士試験の難易度は非常に高く、合格率は4〜5%程度です。行政書士合格後、さらに2〜3年の学習が必要になることを覚悟する必要があります。

行政書士×社会保険労務士

社労士とのダブルライセンスは、企業の総合的なサポートができる点で相性が良好です。行政書士が会社設立の手続きや許認可申請を行い、社労士が労働保険・社会保険の手続きや就業規則の作成を行うことで、企業の設立から労務管理まで一貫してサポートできます。

また、建設業許可を申請する際には、社会保険の適用証明書が必要になるため、社労士の知識が役立ちます。両資格を持つことで、建設業の総合的なコンサルティングが可能になります。

社労士試験の合格率は5〜7%程度で、行政書士より若干難易度が高いとされています。行政書士合格後、1〜2年の学習で合格を目指せます。

行政書士×宅建士

宅建士とのダブルライセンスは、不動産業界で働く人に特におすすめです。宅建士は不動産取引の仲介業務を行い、行政書士は契約書作成や農地転用許可申請などを行うことで、不動産取引全般をサポートできます。

また、不動産会社に就職する場合、両資格を持っていることで専門性が高く評価され、資格手当も2つ分支給されることがあります。宅建士は年収アップに直結しやすい資格の組み合わせといえます。

宅建士試験の合格率は15〜17%程度で、行政書士より易しいとされています。先に宅建士を取得してから行政書士にステップアップする人も多くいます。詳しくは行政書士と宅建の比較をご覧ください。


行政書士に関するよくある質問(FAQ)

行政書士について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

行政書士は誰でも受験できますか?

はい、行政書士試験に受験資格は一切必要ありません。年齢、学歴、国籍、性別などの制限が全くなく、中学生でも高校生でも、誰でも受験できます。これは法律系国家資格の中でも珍しい特徴で、開かれた試験といえます。

ただし、試験に合格しても、破産者で復権していない者や、一定の犯罪歴がある者は行政書士として登録できない場合があります。詳しくは行政書士の受験資格をご確認ください。

行政書士の合格率はどのくらいですか?

行政書士試験の合格率は、過去10年間でおおむね10〜13%の範囲で推移しています。2024年度の合格率は13.98%でした。合格基準は、法令科目で50%以上、一般知識科目で40%以上、かつ全体で60%以上の得点が必要です。

この合格率は、司法書士(4〜5%)や社労士(5〜7%)と比べると高めですが、決して簡単な試験ではありません。法律初学者でも、適切な学習方法で600〜1,000時間勉強すれば合格可能です。行政書士の合格率推移で詳しく解説しています。

行政書士の仕事で一番多い業務は何ですか?

行政書士の業務は事務所によって異なりますが、最も依頼が多いのは「建設業許可申請」「相続・遺言手続き」「外国人ビザ申請」の3つです。建設業許可は5年ごとに更新が必要なため、継続的な収入源となります。

また、近年は外国人労働者の増加に伴い、ビザ申請の需要が急増しています。相続手続きも高齢化社会の進展により、安定した需要があります。行政書士はこれらの専門分野のいずれかに特化するか、総合的に幅広く扱うかを選択できます。

行政書士は食えないと言われるのはなぜですか?

「行政書士は食えない」というネガティブな意見は、主に独立開業直後の収入不安定さや、営業力不足による失敗事例から生まれています。実際、開業1年目は顧客獲得に苦労し、年収300万円以下というケースもあります。

しかし、専門分野を確立し、顧客基盤を築くことができれば、年収1,000万円以上も十分に可能です。日本行政書士会連合会の調査では、行政書士の平均年収は551万円とされており、決して「食えない」資格ではありません。成功している行政書士は、営業力や専門性を武器に安定した収入を得ています。詳しくは行政書士は食えないという噂の真相をご覧ください。

行政書士資格は独学で取得できますか?

はい、行政書士資格は独学でも取得可能です。市販のテキストと過去問を使って学習し、合格している人は多数います。独学のメリットは費用を3万円〜5万円程度に抑えられることです。

ただし、法律初学者が独学で合格するのは簡単ではありません。挫折率も高く、通信講座や予備校と比べると合格までに時間がかかる傾向があります。通信講座を利用すれば、動画講義で効率的に学習でき、質問サポートも受けられます。

自分の学習スタイルや法律知識のレベルに応じて、独学か通信講座かを選択することが重要です。行政書士独学での合格方法で詳しく解説しています。

行政書士の特定行政書士とは何ですか?

特定行政書士とは、行政不服申立ての代理業務を行える行政書士のことです。通常の行政書士は許認可申請の代理はできますが、不許可となった場合の不服申立て代理はできません。特定行政書士の資格を取得すると、この代理業務が可能になります。

特定行政書士になるには、日本行政書士会連合会が実施する「特定行政書士法定研修」を受講し、考査に合格する必要があります。研修は約18時間で、考査の合格率は約90%程度です。

特定行政書士の資格があることで、許認可申請から不服申立てまで一貫してサポートできるため、顧客満足度が高まります。業務の幅を広げたい行政書士にとって、取得する価値のある資格です。詳しくは特定行政書士制度をご確認ください。


まとめ|行政書士は多様な働き方ができる法律資格

本記事では、行政書士の基本的な役割から、具体的な業務内容、試験概要、年収の実態まで、初心者の方にもわかりやすく解説してきました。最後に、行政書士資格の特徴と魅力を3つの観点から総括します。

1. 誰でもチャレンジできる開かれた国家資格:行政書士試験には受験資格が一切不要で、年齢・学歴・国籍に関係なく誰でも受験できます。合格率は10〜13%、必要な勉強時間は600〜1,000時間と、法律初学者でも1年〜1年半の学習で合格を目指せる現実的な資格です。社会人のキャリアチェンジや定年後のセカンドキャリアとしても人気があり、多様な世代が挑戦しています。

2. 独立開業から就職まで選べる多様なキャリアパス:行政書士は独立開業しやすい実務資格であり、自宅開業も可能で初期費用を抑えられます。建設業許可や外国人ビザ申請など専門分野を確立すれば、年収1,000万円以上も実現可能です。一方で、行政書士事務所への就職や、企業の法務部門での活躍という選択肢もあり、安定収入を得ながら実務経験を積むこともできます。定年がないため、生涯現役で働き続けられるのも大きな魅力です。

3. 幅広い業務領域と社会貢献性:行政書士が扱える書類は1万種類以上あり、会社設立、許認可申請、相続手続き、外国人ビザ申請など、暮らしとビジネスのあらゆる場面で「街の法律家」として活躍できます。国民と行政をつなぐ架け橋として、地域社会に貢献できる仕事であり、やりがいと社会的意義を感じながら働けます。

次のアクションステップ:行政書士に興味を持たれた方は、まず行政書士の勉強時間と学習計画を確認し、自分に合った学習方法を検討してみてください。通信講座や予備校を利用する場合は、行政書士のおすすめ通信講座で各スクールの特徴を比較できます。また、行政書士と他の法律資格との違いをさらに詳しく知りたい方は、行政書士と司法書士の比較もご覧ください。

行政書士は、法律の専門知識を活かして多様な働き方ができる、可能性に満ちた国家資格です。あなたも行政書士として、新しいキャリアを切り開いてみませんか。

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