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行政書士試験とは?2025年試験日程・科目・合格基準を完全解説

「行政書士ってどんな資格?」「試験は難しいの?」「実際に稼げるの?」

このように、行政書士という資格に興味を持ちながらも、具体的なイメージが掴めず迷っている方は多いのではないでしょうか。行政書士は、許認可申請や契約書作成など、私たちの生活や企業活動に欠かせない法律事務を扱う国家資格です。開業すれば年収1000万円以上も可能で、副業や定年後のキャリアとしても注目されています。しかし、試験の難易度や実際の仕事内容、本当に食べていけるのかなど、不安や疑問も尽きません。

本記事では、行政書士資格の基本から試験情報、年収の実態まで、初心者の方でも理解できるよう体系的に解説します。

この記事でわかること
  • 行政書士の資格概要と3つの独占業務の詳細
  • 2025年最新の試験日程・申込方法・試験科目の全体像
  • 合格基準・合格率・必要な勉強時間の具体的データ
  • 行政書士の年収相場と収入を上げる実践的な方法
  • 独学・通信講座・予備校それぞれの学習スタイル比較
  • 試験合格から開業・就職までの具体的なキャリアパス
特に注目すべきポイント

行政書士は年齢・学歴不問で誰でも受験できる国家資格です。中卒・高卒の方でも制限なく挑戦でき、合格すれば法律の専門家として活躍できます。受験資格が不要なため、キャリアチェンジや定年後の独立開業を目指す方にも人気があります。

試験は年1回11月実施で合格率は10〜13%前後という難関試験ですが、600〜1000時間の学習で合格可能です。法令等科目(憲法・民法・行政法など)と基礎知識科目の両方で基準点をクリアする必要があり、計画的な学習が合格の鍵となります。

開業行政書士の年収は300万円〜1500万円以上と幅広く、専門分野の選択と営業力が収入を大きく左右します。建設業許可や相続・遺言、外国人ビザなど高単価な業務に特化すれば、年収1000万円以上も現実的です。一方、勤務行政書士や副業としての活用など、多様な働き方も可能です。

本記事は、行政書士資格の基本情報だけでなく、2025年最新の試験情報、科目別の具体的な対策法、年収の実態データまで網羅した完全ガイドです。単なる概要説明にとどまらず、「どうすれば合格できるか」「合格後どう稼ぐか」という実践的な視点で解説しています。

目次

行政書士試験とは|年1回実施の国家資格試験

行政書士試験は、行政書士として必要な法律知識と実務能力を測る国家資格試験です。毎年11月の第2日曜日に全国で一斉に実施され、合格者には行政書士としての業務を行う資格が与えられます。

行政書士試験の基本情報

項目内容
試験実施日毎年11月第2日曜日(年1回のみ)
試験時間13:00〜16:00(3時間)
受験資格なし(年齢・学歴・国籍不問)
受験手数料10,400円
試験形式筆記試験(択一式・記述式)
合格基準300点満点中180点以上+科目別基準点
合格率10〜13%前後
実施機関一般財団法人 行政書士試験研究センター

行政書士試験の最大の特徴は、受験資格が一切不要という点です。司法書士や税理士など他の法律系資格の多くは受験資格や実務経験が求められますが、行政書士試験は誰でも挑戦できます。これにより、学生から社会人、定年退職者まで幅広い層が受験しています。

試験は絶対評価制を採用しており、300点満点中180点以上(60%)を獲得し、かつ各科目の基準点をクリアすれば合格となります。相対評価ではないため、受験者全員が合格基準を満たせば全員が合格する仕組みです。

行政書士試験が行政書士になる最短ルート

行政書士になるには3つのルートがありますが、行政書士試験に合格することが最も一般的で確実な方法です。

行政書士になる3つのルート

  1. 行政書士試験に合格する(最も一般的)
  2. 弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格を持つ(他資格からの登録)
  3. 公務員として17年または20年以上の実務経験を積む(特認制度)

他の国家資格を持っている場合は試験免除で行政書士登録が可能ですが、そのような資格を持たない大多数の方にとって、行政書士試験に合格することが唯一かつ最短のルートとなります。特認制度は公務員としての長期勤務が必要なため、一般の方が行政書士を目指す場合は試験合格を目指すことになります。

行政書士試験は年1回しか実施されないため、不合格の場合は次のチャンスまで1年間待つ必要があります。計画的な学習スケジュールを立て、一発合格を目指すことが重要です。

行政書士試験の実施機関

行政書士試験は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが実施しています。試験の公示から受験願書の配布、試験実施、合格発表まで、すべてこの機関が管理運営しています。

試験に関する最新情報や正式な案内は、行政書士試験研究センターの公式ウェブサイトで確認できます。受験申込の詳細や試験会場の案内、過去の試験問題なども同サイトで公開されています。

行政書士資格そのものは総務省が所管する国家資格ですが、試験の実施は行政書士試験研究センターに委託されているという関係です。合格後の行政書士登録手続きは、各都道府県の行政書士会を通じて行います。

行政書士試験の詳細では、試験の全体像をさらに詳しく解説しています。

【2025年最新】行政書士試験の日程・スケジュール

行政書士試験は毎年決まったスケジュールで実施されます。試験日程を把握し、逆算して学習計画を立てることが合格への第一歩です。ここでは2025年(令和7年度)の最新試験日程と、年間の流れを詳しく解説します。

行政書士試験日は毎年11月第2日曜日

行政書士試験は、法律により毎年11月の第2日曜日と定められています。2025年は11月9日(日)が試験日となります。試験時間は13:00〜16:00の3時間で、全国の試験会場で一斉に実施されます。

試験日が固定されているため、学習計画が立てやすいというメリットがあります。例えば、4月から学習を開始すれば約7ヶ月、7月からなら約4ヶ月の学習期間を確保できます。初学者の場合は600〜800時間の学習が必要とされるため、少なくとも半年前からの準備をおすすめします。

試験当日は昼過ぎからの実施となるため、午前中は最終確認の時間として活用できます。ただし、試験会場によっては自宅から遠い場所になる可能性もあるため、事前に会場までの交通手段と所要時間を確認しておくことが重要です。

2025年(令和7年度)行政書士試験の日程一覧

項目日程備考
試験公示2025年7月初旬官報および試験センターウェブサイトで公示
受験願書配布開始2025年7月下旬〜8月下旬郵送請求またはウェブサイトからダウンロード
受験申込期間(郵送)2025年7月下旬〜8月下旬当日消印有効
受験申込期間(ネット)2025年7月下旬〜8月下旬24時間受付可能
受験票発送2025年10月中旬試験日の約3週間前に郵送
試験実施日2025年11月9日(日)13:00〜16:00(3時間)
試験問題・正解発表2025年11月中旬試験当日夜〜翌日に各予備校が解答速報を公開
合格発表2026年1月下旬試験日から約2ヶ月半後

注意すべきポイント

申込期間は約1ヶ月と短く、願書の入手から提出までに時間がかかる場合があります。特に郵送申込の場合、願書の取り寄せに数日かかることもあるため、余裕を持って準備しましょう。インターネット申込なら期限ギリギリでも対応可能ですが、システムトラブルのリスクを考えて早めの申込をおすすめします。

受験票が届かない場合、試験日の10日前までに試験センターに問い合わせる必要があります。受験票には試験会場や受験番号が記載されているため、届いたらすぐに内容を確認し、試験会場までのアクセスをチェックしておきましょう。

行政書士試験の公示から合格発表までの流れ

7月:試験公示・受験申込開始
7月初旬に官報で試験が公示され、下旬から受験願書の配布と申込受付が始まります。この時期は学習の追い込み期ではなく、基礎固めの段階です。まだ申込をしていない方も、早めに申込を済ませて試験に向けた気持ちを固めましょう。

8月:受験申込締切
8月下旬に受験申込が締め切られます。この時期を過ぎると受験できなくなるため、必ず期限内に申込を完了させてください。申込後は本格的な試験対策に集中できます。

9月〜10月:追い込み学習期間
試験まで残り2ヶ月となり、過去問演習や模擬試験を中心とした実践的な学習期間です。10月中旬には受験票が届くため、試験会場の確認と当日のシミュレーションを行いましょう。

11月:試験実施
11月第2日曜日に試験が実施されます。試験終了後、その日の夜から翌日にかけて各予備校が解答速報を公開するため、自己採点が可能です。自己採点で合格の可能性が高い場合は、次のステップ(開業準備や就職活動)に向けた準備を始められます。

1月:合格発表
試験から約2ヶ月半後の1月下旬に合格発表が行われます。合格者には合格証書が郵送され、行政書士会への登録手続きが可能になります。合格後は速やかに登録手続きを進めることで、早期に業務開始できます。

行政書士試験の申し込み方法では、具体的な申込手順を画像付きで詳しく解説しています。

行政書士試験の申込方法|郵送とインターネット

行政書士試験の申込方法には、郵送申込とインターネット申込の2種類があります。それぞれの手順と特徴を理解し、自分に合った方法で確実に申込を完了させましょう。

行政書士試験の受験願書の入手方法

郵送で入手する場合
受験願書を郵送で請求するには、返信用封筒と切手が必要です。角型2号封筒(A4サイズが入る大きさ)に、自分の住所・氏名を記入し、140円分の切手を貼って、行政書士試験研究センターに送付します。請求から到着まで1週間程度かかる場合があるため、申込期間の初日に請求するくらいの余裕を持ちましょう。

都道府県庁で入手する場合
各都道府県庁の行政書士担当窓口でも受験願書を無料で配布しています。直接窓口に行けば即日入手できるため、郵送を待つ時間がない方におすすめです。ただし、配布場所や時間が限られているため、事前に確認してから訪問しましょう。

ウェブサイトからダウンロードする場合
行政書士試験研究センターの公式ウェブサイトから、受験願書をPDF形式でダウンロードできます。自宅で印刷できるため、最も手軽な方法です。ただし、この方法で入手した願書は郵送申込専用で、インターネット申込では使用しません。

行政書士試験の郵送申込の手順

手順1:受験願書への記入
受験願書に必要事項を記入します。氏名、生年月日、住所、電話番号、受験地などを正確に記入してください。記入ミスがあると受理されない可能性があるため、慎重に記入しましょう。黒のボールペンで記入し、修正液や修正テープの使用は避けてください。

手順2:写真の準備と貼付
受験願書には、申込前6ヶ月以内に撮影した証明写真(縦4cm×横3cm)を貼付します。写真の裏面には氏名を記入しておくと、万が一剥がれた場合でも対応できます。スナップ写真やデジタル加工した写真は使用できません。

手順3:受験手数料の支払
受験手数料10,400円を、銀行の払込取扱票を使って支払います。郵便局やコンビニのATMでも支払い可能です。払込後、受領証(領収書)を受験願書の指定位置に貼付します。

手順4:郵送
記入が完了した受験願書を、配布時に同封されている返信用封筒に入れて郵送します。簡易書留で送付することが推奨されており、申込期間内の消印有効です。期限ギリギリではなく、余裕を持って投函しましょう。

郵送申込のメリットは、インターネットに不慣れな方でも確実に申込できる点です。デメリットは、願書の入手や郵送に時間がかかり、申込完了までに1週間以上かかる可能性があることです。

行政書士試験のインターネット申込の手順

手順1:試験センターウェブサイトにアクセス
行政書士試験研究センターの公式ウェブサイトにアクセスし、インターネット申込のページに進みます。申込期間中のみアクセス可能で、24時間いつでも申込できます。

手順2:申込フォームへの入力
画面の指示に従って、氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、受験地などを入力します。入力後、内容を確認して次の画面に進みます。メールアドレスは受験票の案内や試験に関する重要な連絡に使用されるため、確実に受信できるアドレスを登録してください。

手順3:顔写真データのアップロード
申込前6ヶ月以内に撮影した顔写真のデータをアップロードします。ファイル形式はJPEGで、ファイルサイズやピクセル数に指定があるため、事前に確認して準備しましょう。スマートフォンで撮影した写真も、規定を満たせば使用可能です。

手順4:受験手数料の支払
クレジットカード、コンビニ決済、Pay-easy(ペイジー)から支払方法を選択します。クレジットカード決済なら即時決済が完了し、申込が確定します。コンビニ決済の場合は、支払期限内にコンビニで支払いを完了させる必要があります。

手順5:申込完了メールの受信
申込が完了すると、登録したメールアドレスに申込完了メールが届きます。このメールは受験票が届くまで保管しておきましょう。万が一受験票が届かない場合の問い合わせ時に必要になります。

インターネット申込のメリットは、願書を入手する手間がなく、期限ギリギリでも申込できる点です。支払方法も多様で、クレジットカードなら即時に申込完了できます。デメリットは、デジタル写真の準備やパソコン・スマートフォンの操作が必要な点ですが、現在では多くの受験者がインターネット申込を利用しています。

行政書士試験の受験手数料と支払方法

行政書士試験の受験手数料は10,400円です。この金額は2025年時点のもので、今後変更される可能性もあるため、申込時に必ず最新情報を確認してください。

郵送申込の場合
銀行または郵便局の窓口、ATMで払込取扱票を使って支払います。手数料は別途かかる場合があります。支払後に発行される受領証(領収書)を、受験願書に貼付して郵送します。

インターネット申込の場合

  • クレジットカード決済:VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubが利用可能。即時決済で申込が確定します。
  • コンビニ決済:セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなどで支払い可能。申込後に発行される払込票番号を使って、指定期限内にコンビニで支払います。
  • Pay-easy(ペイジー):インターネットバンキングやATMから支払い可能。銀行口座から直接引き落とされます。

受験手数料は一度支払うと返金されません。試験を欠席した場合や不合格だった場合でも返金されないため、確実に受験できる日程であることを確認してから申込みましょう。

行政書士試験の受験資格|年齢・学歴不問

行政書士試験の大きな特徴は、受験資格が一切不要という点です。他の多くの国家資格とは異なり、誰でも制限なく受験できる門戸の広さが、行政書士試験の魅力の一つです。

行政書士試験は誰でも受験可能

行政書士試験には、年齢、学歴、国籍、実務経験などの受験資格が一切ありません。中学生でも、外国籍の方でも、法律の学習経験がまったくない方でも、誰でも受験できます。

受験資格が不要なため、以下のような方々が受験しています

  • 法学部出身ではない一般大学生や専門学校生
  • 高卒・中卒で社会人として働いている方
  • 定年退職後の第二のキャリアを目指すシニア層
  • 主婦・主夫で在宅での独立開業を目指す方
  • 外国籍の方で日本での起業・就職を考えている方
  • 他の資格(宅建、社労士など)を持ち、ダブルライセンスを目指す方

司法書士試験や税理士試験では一部の科目で受験資格が設けられていますが、行政書士試験は完全に門戸が開かれています。この点が、キャリアチェンジを考える社会人や、学歴に自信のない方にとって大きなメリットとなっています。

ただし、受験資格が不要だからといって試験が簡単というわけではありません。合格率10〜13%という難関試験であり、しっかりとした学習準備が必要です。受験のハードルは低いものの、合格のハードルは決して低くないことを理解しておきましょう。

行政書士の受験資格では、受験資格の詳細と他の資格取得ルートについて解説しています。

行政書士試験の受験地の選び方

行政書士試験は全国の都道府県で実施されますが、受験地は申込時に選択する必要があります。基本的には、現住所に最も近い都道府県を選ぶのが一般的です。

受験地選択のポイント

受験地は都道府県単位で選択しますが、具体的な試験会場は受験票が届くまでわかりません。通常、各都道府県の主要都市(県庁所在地など)に試験会場が設置されますが、受験者数によっては複数の会場が設けられることもあります。

試験当日は昼過ぎからの実施のため、自宅から会場までの移動時間を考慮する必要があります。遠方の会場になった場合、前泊を検討することも選択肢の一つです。試験前日に慌てないよう、受験票到着後すぐに会場までのアクセスを確認しましょう。

原則として、申込後の受験地変更はできません。引っ越しなど特別な事情がある場合は、試験センターに早めに相談する必要があります。住所変更があった場合も、必ず試験センターに連絡して受験票の送付先を変更してください。

行政書士試験の試験科目と配点

行政書士試験は、法令等科目と基礎知識科目の2つの分野から出題されます。各科目の配点と出題内容を正確に把握することが、効率的な学習計画の第一歩です。

行政書士試験は法令等科目と基礎知識科目の2分野

行政書士試験は、法令等科目244点基礎知識科目56点の合計300点満点で構成されています。法令等科目が全体の約81%を占めており、試験対策の中心となります。

科目分類満点割合基準点
法令等科目244点81.3%122点以上(50%以上)
基礎知識科目56点18.7%24点以上(40%以上)
合計300点100%180点以上(60%以上)

合格するには、全体で180点以上を獲得しながら、法令等科目で122点以上、基礎知識科目で24点以上という各科目の基準点もクリアする必要があります。どちらか一方の科目で基準点に達しなければ、総合得点が180点を超えていても不合格となります。

法令等科目は、憲法・民法・行政法・商法・基礎法学の5科目で構成され、行政書士業務に直接関わる実務的な法律知識が問われます。基礎知識科目は、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の3分野で構成され、一般教養的な知識が問われます。

行政書士試験の法令等科目の内訳(憲法・民法・行政法・商法・基礎法学)

憲法(28点)
憲法は日本の最高法規であり、基本的人権、統治機構、憲法改正などが出題範囲です。5肢択一式が5問出題され、配点は各5点×5問=25点、多肢選択式が1問出題され、配点は8点(2点×4空欄)となっています。比較的得点しやすい科目とされ、確実に得点したい分野です。

民法(76点)
民法は行政書士試験で最も配点が高い科目です。総則、物権、債権、親族、相続など幅広い範囲から出題されます。5肢択一式が9問(5点×9問=45点)、記述式が2問(20点×2問=40点、ただし部分点あり)出題されます。学習量が多く難易度も高いですが、配点が大きいため重点的な学習が必要です。

行政法(112点)
行政法は行政書士試験で最も配点が高く、最重要科目です。行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法などが出題範囲です。5肢択一式が19問(5点×19問=95点)、多肢選択式が2問(8点×2問=16点)、記述式が1問(20点、ただし部分点あり)出題されます。行政書士の実務に直結する科目のため、確実にマスターする必要があります。

商法(20点)
商法は会社法が中心で、会社の設立、株式、機関、組織再編などが出題されます。5肢択一式が5問出題され、配点は各5点×5問=20点です。出題範囲は広いものの問題数が少ないため、効率的な学習が求められます。

基礎法学(8点)
基礎法学は、法学の基礎理論や外国法、法制史などが出題されます。5肢択一式が2問出題され、配点は各5点×2問=8点です。配点が少なく対策が難しいため、深入りせず基本事項の理解にとどめるのが効率的です。

行政書士試験の基礎知識科目の内訳

政治・経済・社会(28点)
政治・経済・社会分野は、時事問題、政治制度、経済理論、社会問題などが出題されます。5肢択一式が7問出題され、配点は各5点×7問=28点です。範囲が広く対策が難しいため、日頃から新聞やニュースに触れておくことが重要です。

情報通信・個人情報保護(16点)
情報通信技術や個人情報保護法に関する問題が出題されます。5肢択一式が4問出題され、配点は各5点×4問=16点です。個人情報保護法は行政書士業務にも関連するため、しっかり学習しておきましょう。

文章理解(12点)
文章の内容把握や要旨把握を問う問題が出題されます。5肢択一式が3問出題され、配点は各5点×3問=12点です。国語の読解力が問われるため、過去問で出題形式に慣れておくことが重要です。

行政書士試験の科目別配点と問題数

科目出題形式問題数1問配点満点
基礎法学5肢択一式2問5点8点
憲法5肢択一式5問5点25点
憲法多肢選択式1問8点8点
民法5肢択一式9問5点45点
民法記述式2問20点40点
行政法5肢択一式19問5点95点
行政法多肢選択式2問8点16点
行政法記述式1問20点20点
商法5肢択一式5問5点20点
基礎知識5肢択一式14問5点56点
合計全形式60問300点

この配点表から、行政法と民法で全体の約63%(188点)を占めることがわかります。この2科目を重点的に学習することが、合格への最短ルートとなります。

基礎知識科目は56点と配点が少ないものの、基準点24点(40%以上)をクリアする必要があるため、完全に捨てることはできません。ただし、法令等科目に比べて対策の効率が悪いため、過度に時間をかけず、過去問演習で出題傾向を把握する程度にとどめるのが現実的です。

行政書士試験の出題形式|3つの解答方式

行政書士試験には、5肢択一式、多肢選択式、記述式という3つの解答方式があります。それぞれの特徴と攻略法を理解することが、得点力アップの鍵となります。

行政書士試験の5肢択一式問題

5肢択一式は、5つの選択肢の中から正解または誤りを1つ選ぶ形式です。全60問中46問が5肢択一式で、試験の大部分を占めています。

5肢択一式の特徴

  • 1問5点の配点で、全体で230点分(300点満点の約77%)
  • 法令等科目から40問、基礎知識科目から6問出題(文章理解3問を除く)
  • 問題文が「正しいものを選べ」または「誤っているものを選べ」の2パターン

5肢択一式の攻略ポイント
正誤問題では、各選択肢の正誤を判断していく消去法が効果的です。確実に誤りだとわかる選択肢を消していくことで、正解の確率を上げられます。すべての選択肢の正誤が判断できなくても、2つまで絞り込めれば正解率は50%になります。

組合せ問題では、1つの選択肢が明らかに誤りだとわかれば、その選択肢を含む解答を除外できます。また、確実に正しい選択肢が2つわかれば、その組合せを含む解答が正解となります。

時間配分も重要です。5肢択一式は1問あたり3〜4分程度で解答するのが理想的です。わからない問題は後回しにして、全問題に目を通すことを優先しましょう。

行政書士試験の多肢選択式問題

多肢選択式は、文章中の空欄に当てはまる語句を、20個の選択肢の中から選ぶ形式です。憲法1問と行政法2問の計3問が出題されます。

多肢選択式の特徴

  • 1問あたり4つの空欄があり、各空欄2点で1問8点の配点
  • 3問で合計24点(300点満点の8%)
  • 20個の選択肢から4つを選ぶため、完全な記述式よりは易しい

多肢選択式の攻略ポイント
多肢選択式は、条文や判例の重要なキーワードを正確に暗記していることが求められます。空欄前後の文脈から推測できる場合もありますが、基本的には正確な知識が必要です。

選択肢を見る前に、自分で空欄に入る語句を考えてから選択肢を見ると、迷いが少なくなります。また、同じ選択肢を複数の空欄に使うことはできないため、確実にわかる空欄から埋めていき、残りの選択肢を絞り込むという戦略も有効です。

憲法と行政法の重要条文・判例については、正確なキーワードまで暗記しておくことが重要です。特に行政法の多肢選択式は配点が大きいため、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の重要条文は完璧に押さえておきましょう。

行政書士試験の記述式問題

記述式は、40字程度で解答を記述する形式です。民法2問と行政法1問の計3問が出題されます。

記述式の特徴

  • 1問20点の配点で、3問で合計60点(300点満点の20%)
  • 40字程度の論述が求められるが、実際は20〜30字程度の簡潔な解答が多い
  • 部分点が認められるため、完璧な解答でなくても得点可能

記述式の攻略ポイント
記述式は行政書士試験の最大の難関とされますが、実は部分点制度があるため、完全な解答を書けなくても得点できます。重要なキーワードを含んでいれば部分点がもらえるため、白紙で提出するのは絶対に避けましょう。

民法の記述式では、法律効果(「〜することができる」「〜は無効である」など)と理由(「〜だから」「〜のため」)を簡潔に記述することが求められます。判例や条文の知識を基に、論理的に説明できるように練習しましょう。

行政法の記述式では、行政手続法や行政不服審査法、行政事件訴訟法の条文知識が問われます。条文の趣旨や手続きの流れを理解し、正確に説明できるようにしておくことが重要です。

記述式対策としては、過去問を実際に書いて練習することが最も効果的です。模範解答を読むだけでなく、自分で書いてみることで、表現力と論理的思考力が養われます。通信講座や予備校の添削サービスを利用すると、客観的な評価を受けられるため、弱点の把握と改善につながります。

行政書士試験の合格基準|3つの基準点をクリア

行政書士試験は単に合計点が高いだけでは合格できません。総合得点と各科目の基準点、すべてをクリアする必要があります。

行政書士試験の合格に必要な得点

行政書士試験の合格基準は、以下の3つの条件をすべて満たすことです:

3つの合格基準

  1. 総合得点180点以上(300点満点中60%以上)
  2. 法令等科目122点以上(244点満点中50%以上)
  3. 基礎知識科目24点以上(56点満点中40%以上)

これらすべての基準を同時にクリアして、初めて合格となります。例えば、総合得点が200点あっても、法令等科目が120点だった場合、法令等科目の基準点122点に2点足りないため不合格となります。

この基準点制度により、特定の科目に偏った学習では合格できないようになっています。法令等科目を重視しすぎて基礎知識科目を疎かにすると、基礎知識科目の基準点24点に届かず不合格になるリスクがあります。

行政書士試験の基準点制度とは

基準点制度は、行政書士として必要な幅広い知識をバランスよく習得することを目的としています。法令等科目は行政書士業務の核心となる知識であり、基礎知識科目は社会常識や情報リテラシーなど、行政書士として活動する上で必要な一般教養を測ります。

基準点制度の実務的な意味

法令等科目の基準点50%は、行政書士業務を行う上での最低限の法律知識を保証するためのラインです。民法、行政法を中心とした法令知識が不足していては、依頼者に適切なアドバイスができません。

基礎知識科目の基準点40%は、他の科目より低く設定されていますが、それでも最低限の一般常識を持っていることを求めています。行政書士は多様な依頼者と接するため、社会情勢や時事問題への理解も必要です。

学習戦略への影響

基準点制度があるため、得意科目だけを伸ばす学習では合格できません。苦手科目も基準点をクリアできるレベルまで底上げする必要があります。特に、基礎知識科目は範囲が広く対策が難しいため、完全に捨てることはできません。

一方で、総合得点で180点を目指すには、法令等科目で高得点を取ることが効率的です。法令等科目は学習量と得点が比例しやすく、記述式で部分点も狙えるため、重点的に学習すべき分野です。

行政書士試験の補正措置について

行政書士試験では、試験問題に不備があった場合や、全体の得点分布が著しく低い場合に、補正措置が取られることがあります。ただし、これは例外的な措置であり、通常は上記の合格基準がそのまま適用されます。

過去の補正措置の例

過去には、特定の問題が不適切だったとして全員正解扱いになったケースや、試験問題の難易度が極端に高かった年に合格基準点が若干引き下げられたケースがあります。しかし、これらは非常に稀なケースであり、補正措置を期待して学習するのは現実的ではありません。

基本的には、総合得点180点以上、法令等科目122点以上、基礎知識科目24点以上という基準を確実にクリアできる実力をつけることを目標に学習を進めましょう。

行政書士の合格率では、過去10年の合格率推移と合格基準点の変動について詳しく解説しています。

行政書士試験の合格率と難易度

行政書士試験は合格率10〜13%という難関試験です。受験者のほとんどが不合格となる厳しい試験ですが、適切な学習により合格は十分可能です。

行政書士試験の合格率は10〜13%

行政書士試験の合格率は、近年10〜13%前後で推移しています。これは、受験者10人のうち1人程度しか合格できないという計算になります。

過去5年間の合格率推移

年度受験者数合格者数合格率
2024年46,991人6,571人13.98%
2023年46,991人6,571人13.98%
2022年47,850人5,802人12.13%
2021年47,870人5,353人11.18%
2020年41,681人4,470人10.72%

合格率は年度によって変動しますが、これは試験の難易度が変わるためです。行政書士試験は絶対評価制のため、理論的には受験者全員が合格基準を満たせば全員合格できます。しかし実際には、毎年10〜13%程度の合格率に落ち着いています。

合格率が低い理由として、以下の3点が挙げられます:

  1. 出題範囲が広く、深い理解が求められる:民法だけでも膨大な範囲があり、表面的な理解では正解できない問題が多い
  2. 記述式問題の存在:択一式だけでなく、論理的思考力と表現力が求められる記述式問題がある
  3. 基準点制度:総合得点だけでなく、各科目の基準点もクリアする必要があり、バランスの良い学習が必要

行政書士試験の受験者数と合格者数の推移

行政書士試験の受験者数は、近年4万人台後半で安定しています。2000年代には5万人を超える年もありましたが、現在は横ばいとなっています。

受験者の内訳を見ると、社会人が約7割を占めており、働きながら資格取得を目指す方が多いことがわかります。年齢層も20代から60代まで幅広く、特に30代〜40代の受験者が多い傾向にあります。

合格者の平均年齢は約40歳で、最年少合格者は10代、最高齢合格者は70代以上という年もあります。これは、行政書士試験が年齢に関係なくチャレンジできる試験であることを示しています。

行政書士試験の難易度を他資格と比較

行政書士試験の難易度を、他の法律系資格や人気資格と比較してみましょう。

資格難易度ランキング(偏差値順)

資格偏差値合格率勉強時間目安
司法試験77約45%(予備試験は4%)5,000時間以上
司法書士674〜5%3,000時間
税理士6510〜20%(科目別)3,000〜4,000時間
行政書士6210〜13%600〜1,000時間
社会保険労務士605〜7%800〜1,000時間
宅地建物取引士5715〜17%300〜500時間
FP1級5510〜15%600時間

行政書士試験は、司法書士や税理士よりは易しいものの、宅建やFP2級よりは明らかに難しい試験です。法律系資格の中では中堅レベルの難易度といえます。

行政書士の難易度行政書士と司法書士の違いでは、他資格との詳しい比較を行っています。

行政書士試験の科目別対策法

合格するには、各科目の特徴を理解し、効率的に学習することが重要です。配点の高い科目から優先的に対策しましょう。

行政書士試験の民法対策|最重要科目の攻略法

民法は76点と最も配点が高く、かつ範囲も広いため、最も学習時間をかけるべき科目です。総則、物権、債権、親族、相続の5編すべてが出題範囲となります。

民法学習のポイント

民法は暗記だけでは対応できず、制度の趣旨や条文の解釈を理解する必要があります。具体的な事例を想定しながら学習することで、理解が深まります。例えば、契約不履行の問題では、実際の売買契約で問題が起きた場合をイメージして考えます。

記述式対策として、論理的に説明する練習が必要です。「〜だから〜である」という因果関係を明確に示せるようにしましょう。過去問を解いた後、模範解答を見る前に自分で答案を書いてみることが効果的です。

判例学習も重要で、特に最高裁判例は必ず押さえましょう。判例の結論だけでなく、その理由も理解することで、応用問題にも対応できます。

行政書士試験の行政法対策|配点最大の得点源

行政法は112点と全科目中最も配点が高く、行政書士試験の合否を分ける最重要科目です。行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法が主な出題範囲です。

行政法学習のポイント

行政法は条文知識が中心のため、暗記が重要です。特に行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の重要条文は正確に覚える必要があります。条文の構造(原則→例外→例外の例外)を理解すると、記憶しやすくなります。

手続きの流れを図解すると理解が深まります。例えば、行政不服審査の流れ(審査請求→審理→裁決)を図にして、各段階の期限や要件を整理しましょう。

過去問を繰り返し解くことで、出題パターンが見えてきます。行政法は同じような論点が繰り返し出題される傾向があるため、過去問演習が特に効果的です。

行政書士試験の憲法対策

憲法は28点の配点で、人権と統治機構が主な出題範囲です。判例問題が多く出題されるのが特徴です。

憲法学習のポイント

憲法は他の科目に比べて学習しやすく、得点源にすべき科目です。人権分野では、表現の自由、職業選択の自由、財産権など、重要判例を中心に学習しましょう。判例の事実関係と結論だけでなく、裁判所の判断理由まで理解することが重要です。

統治機構では、国会、内閣、裁判所の権限と相互関係を整理します。特に国会と内閣の関係(議院内閣制)、裁判所の違憲審査権は頻出テーマです。

多肢選択式対策として、条文の正確な文言を覚える必要があります。特に人権に関する条文(第11条〜第40条)は、キーワードまで正確に暗記しましょう。

行政書士試験の商法・会社法対策

商法は20点の配点で、会社法が中心に出題されます。株式会社の設立、株式、機関(株主総会、取締役会など)、組織再編が主な出題範囲です。

商法学習のポイント

商法は範囲が広い割に配点が少ないため、効率的な学習が求められます。深入りせず、頻出論点に絞って学習するのが賢明です。株式会社の機関設計(取締役会設置会社と非設置会社の違いなど)は特に重要です。

数字(設立時の出資金額、株主総会の定足数・決議要件など)を正確に覚える必要があります。表にまとめて整理すると記憶しやすくなります。

過去問で出題傾向を把握し、頻出分野を重点的に学習しましょう。マイナーな論点まで深追いすると時間がかかりすぎるため、メリハリをつけた学習が重要です。

行政書士試験の基礎法学対策

基礎法学は8点と配点が少なく、範囲も広いため、深入りは禁物です。法の分類、法源、法解釈、外国法制、法制史などが出題範囲です。

基礎法学学習のポイント

基礎法学は対策の費用対効果が低いため、過去問演習程度にとどめましょう。過去問で出題されたテーマは再度出題される可能性があるため、過去10年分程度の過去問は確認しておくと安心です。

法の分類(公法と私法、実体法と手続法など)や法源の種類(成文法と不文法、条約、判例など)は基本事項として押さえておきましょう。

基礎法学に過度に時間をかけるより、配点の高い民法や行政法に時間を使う方が合格に近づきます。

行政書士試験の基礎知識科目対策

基礎知識科目は56点の配点で、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の3分野から出題されます。

基礎知識科目学習のポイント

基礎知識科目は範囲が広く対策が難しいものの、基準点24点(40%以上)のクリアが必須です。完全に高得点を狙うのではなく、基準点クリアを最低目標とします。

政治・経済・社会分野は時事問題が多いため、日頃から新聞やニュースに触れることが有効です。過去問で出題傾向を把握し、頻出テーマ(選挙制度、経済指標、社会保障制度など)を重点的に学習しましょう。

個人情報保護法は行政書士業務にも関連するため、しっかり学習すべき分野です。個人情報の定義、個人情報取扱事業者の義務、本人の権利などを体系的に理解しましょう。

文章理解は国語の読解力が問われるため、短時間での対策は難しい分野です。過去問で出題形式に慣れ、時間内に正確に解答する練習をしましょう。

行政書士試験に必要な勉強時間

行政書士試験合格に必要な勉強時間は、法律学習の経験や学習の効率によって個人差がありますが、一般的な目安を知ることで学習計画が立てやすくなります。

行政書士試験合格に必要な勉強時間の目安

学習経験別の勉強時間目安

  • 法律初学者:800〜1,000時間
  • 法学部出身者:600〜800時間
  • 他の法律系資格保持者(宅建、社労士など):500〜600時間

初学者の場合、法律用語や基本概念の理解から始める必要があるため、より多くの時間がかかります。法学部出身者は憲法や民法の基礎知識があるため、やや短縮できます。

800時間の学習を確保するには、1日2時間の学習で約400日(13ヶ月)、1日3時間なら約267日(9ヶ月)、1日4時間なら約200日(7ヶ月)が必要です。働きながら資格取得を目指す場合、平日2時間、休日5時間の学習で週24時間、約33週(8ヶ月)で800時間に達します。

行政書士試験の学習開始時期

試験は11月実施のため、初学者は遅くとも3月〜4月には学習を開始するのが理想的です。これにより、7〜8ヶ月の学習期間を確保でき、焦ることなく計画的に学習できます。

学習開始時期別の特徴

  • 1月〜3月開始:10ヶ月以上の余裕があり、初学者でも無理なく学習できる。基礎からじっくり固められる。
  • 4月〜5月開始:7〜8ヶ月の学習期間で、標準的なスケジュール。初学者の一般的な開始時期。
  • 6月〜7月開始:5〜6ヶ月の短期学習。法学部出身者や効率的な学習が求められる。
  • 8月以降開始:3〜4ヶ月以下の超短期。他資格保持者や再受験者以外は厳しい。

早めに学習を開始するメリットは、余裕を持って学習でき、理解不足の分野を繰り返し復習する時間があることです。また、模擬試験を複数回受験し、弱点を克服する時間も確保できます。

行政書士試験の効率的な学習スケジュール

合格するには、時期に応じた学習内容の切り替えが重要です。基礎固め期、応用力養成期、直前期の3段階に分けて学習を進めましょう。

基礎固め期(学習開始〜試験4ヶ月前)

この時期は、各科目の基本事項を理解し、全体像を把握することが目標です。テキストを読み、基本問題を解いて知識を定着させます。特に民法と行政法は時間をかけて丁寧に学習しましょう。焦らず、わからないところは繰り返し学習し、確実に理解することが重要です。

応用力養成期(試験4ヶ月前〜2ヶ月前)

過去問演習を本格的に開始し、実践力を養う時期です。過去5年分以上の過去問を繰り返し解き、出題パターンと頻出論点を把握します。記述式問題も積極的に解き、答案作成力を高めましょう。模擬試験を受験し、時間配分や弱点科目を確認します。

直前期(試験2ヶ月前〜試験当日)

総仕上げの時期です。弱点科目・分野を重点的に復習し、知識の穴を埋めます。条文や判例の重要事項を再確認し、多肢選択式対策として正確な文言を暗記します。複数回の模擬試験で本番のシミュレーションを行い、時間配分を最適化します。

試験1週間前は新しい知識を詰め込むのではなく、これまで学習した内容の総復習に集中しましょう。特に、記述式の頻出論点、多肢選択式の重要条文、行政法の手続きの流れなど、確実に得点したい部分を最終確認します。

行政書士の勉強時間では、最短合格のための詳細な学習計画を解説しています。

行政書士試験当日の注意点

試験当日は、これまでの学習の成果を発揮する大切な日です。事前準備を万全にし、落ち着いて試験に臨みましょう。

行政書士試験の試験時間と休憩

行政書士試験は、13:00〜16:00の3時間、途中休憩なしで実施されます。長時間の集中力が求められるため、体調管理と時間配分が重要です。

試験時間の使い方

3時間で60問を解くため、1問あたり3分が目安となります。しかし、記述式問題は1問10〜15分程度かかるため、実際の配分は以下のようになります:

  • 5肢択一式(46問):約100〜120分(1問2〜3分)
  • 多肢選択式(3問):約15〜20分(1問5〜7分)
  • 記述式(3問):約30〜45分(1問10〜15分)
  • 見直し時間:約15〜30分

わからない問題は後回しにして、確実に解ける問題から解答しましょう。試験開始後、まず全問題に目を通し、難易度を把握してから解答順序を決めるのも有効です。

試験終了30分前にトイレに行くことは可能ですが、その間も試験時間は進みます。試験開始前に必ずトイレを済ませ、試験中は極力席を立たないよう、水分摂取を調整しましょう。

行政書士試験当日の持ち物

必須の持ち物

  • 受験票(忘れた場合は試験センターに連絡し、仮受験票の発行を受ける)
  • 写真付き身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • HBまたはBの黒鉛筆・シャープペンシル(数本持参、マークシート用)
  • プラスチック製の消しゴム(2個以上持参、予備が重要)
  • 時計(腕時計または置時計、スマートウォッチやアラーム機能付きは不可)

持参推奨の持ち物

  • 鉛筆削り(試験中の使用も可能)
  • 上着やカーディガン(会場の温度調整のため)
  • 軽食(試験前に軽く食べられるもの、チョコレートなど)
  • 飲み物(ペットボトルや水筒、試験中も飲用可)
  • マスク(任意だが、会場によっては推奨される場合も)
  • 雨具(当日の天候に備えて)

持ち込み禁止のもの

  • 携帯電話・スマートフォン(電源を切ってカバンにしまう)
  • 電子辞書、電卓
  • 参考書、六法(試験開始後は閲覧不可)
  • 筆箱(ペンケースも原則不可、机上に出せるのは筆記用具のみ)

受験票は試験前日までに届いているはずですが、万が一届いていない場合は、試験センターに連絡しましょう。当日、受験票を忘れた場合でも、身分証明書があれば仮受験票を発行してもらえるため、諦めずに会場に向かってください。

行政書士試験会場での注意事項

試験開始前

  • 試験会場には余裕を持って到着しましょう(最低30分前が理想)
  • 指定された座席に着席し、受験票と身分証明書を机上に置く
  • 試験開始まで参考書やノートで最終確認ができる
  • トイレは試験開始前に必ず済ませる

試験中

  • 途中退室は認められていないため、最後まで会場に留まる必要がある
  • 問題用紙への書き込みは自由にできる(計算、メモなど)
  • マークシートは丁寧に塗りつぶし、はみ出しや薄い塗りに注意
  • 記述式は読みやすい字で書き、誤字脱字に注意
  • 試験監督の指示には必ず従う

試験終了後

  • 試験終了の合図があるまで解答を続けられる
  • 試験終了後、問題用紙は持ち帰ることができる(自己採点に使用)
  • 解答用紙(マークシート)の回収が完了するまで退室できない
  • 試験会場を出たら、予備校の解答速報で自己採点が可能

試験当日は緊張するものですが、落ち着いて実力を発揮しましょう。わからない問題があっても焦らず、解ける問題から確実に得点していくことが重要です。

行政書士試験の合格発表

試験終了後、約2ヶ月半の待機期間を経て合格発表が行われます。合格後は速やかに登録手続きを進め、行政書士として活動を開始できます。

行政書士試験の合格発表日

行政書士試験の合格発表は、試験実施日の約2ヶ月半後の1月下旬に行われます。2025年の試験(11月9日実施)の場合、2026年1月下旬に合格発表となります。

合格発表の具体的な日時は、試験実施後に行政書士試験研究センターのウェブサイトで告知されます。例年、1月の最終金曜日前後に発表されることが多いです。

行政書士試験の合格発表の確認方法

インターネットでの確認
行政書士試験研究センターのウェブサイトで、受験番号による合否照会が可能です。合格発表日の午前9時から閲覧できます。受験番号を入力すると、合否がすぐに表示されます。最も早く結果を知る方法であり、多くの受験者がこの方法を利用します。

郵送での通知
合格者には、合格発表日に合格証書が簡易書留で郵送されます。地域によって到着日は異なりますが、発表日から数日以内に届くことが一般的です。不合格者には通知が送られないため、インターネットで確認するか、ウェブサイトで合格者受験番号一覧を確認することになります。

掲示板での確認
一部の試験実施機関では、合格者の受験番号を掲示板に掲示する場合もありますが、現在は主にインターネットでの確認が中心となっています。

行政書士試験の合格後の手続き

行政書士会への登録
行政書士として業務を行うには、試験合格後に都道府県の行政書士会を通じて日本行政書士会連合会に登録する必要があります。登録には以下の要件があります:

  • 試験合格または他の資格要件を満たしていること
  • 成年被後見人または被保佐人でないこと
  • 破産者で復権を得ない者でないこと
  • 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者でないこと
  • 公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者でないこと

登録に必要な書類と費用

  • 登録申請書
  • 合格証書のコピー
  • 住民票
  • 身分証明書(市区町村発行のもの)
  • 誓約書
  • 登録免許税:30,000円
  • 登録手数料:25,000円
  • 入会金:200,000円程度(都道府県により異なる)
  • 年会費:60,000〜100,000円程度(都道府県により異なる)

登録には合計で30万円〜40万円程度の費用がかかります。これは開業の初期費用として必要になるため、合格後すぐに準備できるよう、事前に資金計画を立てておくことをおすすめします。

登録後の手続き
登録が完了すると行政書士証票(身分証明書)が交付され、行政書士として業務を開始できます。事務所を開設する場合は、事務所の届出も必要です。勤務行政書士として働く場合は、勤務先の行政書士事務所を通じて手続きを行います。

行政書士合格発表では、合格後の詳細な手続きについて解説しています。

行政書士試験に関するよくある質問(FAQ)

行政書士試験に関する代表的な質問とその回答をまとめました。

行政書士試験は年に何回実施されますか?

行政書士試験は年に1回のみ、毎年11月の第2日曜日に実施されます。春や秋に複数回実施される試験ではないため、不合格の場合は次の年まで待つ必要があります。年1回しかチャンスがないため、十分な準備をして確実な合格を目指すことが重要です。計画的な学習スケジュールを立て、一発合格を目指しましょう。

行政書士試験に科目免除制度はありますか?

行政書士試験には科目免除制度はありません。すべての受験者が同じ試験問題を解き、同じ合格基準を満たす必要があります。他の国家資格試験では、一部科目の免除制度がある場合もありますが、行政書士試験では一切の免除制度が設けられていません。ただし、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を持っている場合は、試験を受けずに行政書士登録が可能です。

行政書士試験の過去問はどこで入手できますか?

行政書士試験の過去問は、以下の方法で入手できます:

  1. 行政書士試験研究センターのウェブサイト:公式サイトで過去3年分程度の試験問題が無料で公開されています
  2. 市販の過去問題集:書店やオンラインショップで購入できます(詳細な解説付き)
  3. 過去問道場などの無料ウェブサイト:インターネット上で無料で過去問演習ができるサイトがあります
  4. 予備校・通信講座の教材:講座の教材として、詳しい解説付きの過去問が提供されます

過去問は最低でも5年分、できれば10年分は解くことをおすすめします。行政書士過去問の活用方法で、効果的な過去問の使い方を詳しく解説しています。

行政書士試験は独学で合格できますか?

行政書士試験は独学でも合格可能です。実際に、合格者の中には独学で勉強した方も一定数います。独学のメリットは、費用を抑えられることと、自分のペースで学習できることです。

ただし、独学の場合は以下の点に注意が必要です:

  • 学習スケジュールの管理を自分で行う必要がある
  • わからない点を質問できる相手がいない
  • 記述式問題の添削を受けられない
  • モチベーションの維持が難しい

独学で合格するには、質の高いテキストと過去問題集を選び、計画的に学習を進めることが重要です。行政書士独学での合格方法では、独学合格のための具体的な戦略を解説しています。

一方、通信講座や予備校を利用すれば、体系的なカリキュラム、質問サポート、記述式添削などのサービスを受けられ、効率的に学習できます。行政書士のおすすめ通信講座で各講座を比較できます。

行政書士試験の受験票が届かない場合は?

受験票は試験日の約3週間前(10月中旬)に発送されます。試験日の10日前になっても届かない場合は、すぐに行政書士試験研究センターに連絡してください。

連絡する際には、以下の情報を準備しましょう:

  • 氏名
  • 受験番号(申込完了メールに記載されている場合)
  • 申込方法(郵送またはインターネット)
  • 連絡先電話番号

受験票の再発行には時間がかかるため、早めの連絡が重要です。万が一、試験当日までに受験票が届かない場合でも、身分証明書を持参すれば仮受験票を発行してもらえます。

行政書士試験の記述式は部分点がありますか?

はい、行政書士試験の記述式問題には部分点制度があります。完璧な解答を書けなくても、重要なキーワードや法律効果が含まれていれば部分点がもらえます。

1問20点満点ですが、0点か20点かの二択ではなく、10点、15点といった部分点が認められます。そのため、わからない問題でも白紙で提出せず、知っている知識を書き出すことが重要です。

部分点を獲得するポイント:

  • 問われている法律効果(「できる」「無効である」など)を明記する
  • 理由や根拠条文を示す
  • 重要なキーワードを含める
  • 論理的な文章構造を心がける

記述式は配点が高い(60点)ため、部分点の積み重ねが合否を分けます。過去問で繰り返し練習し、答案作成力を高めましょう。

行政書士試験の法改正はいつ時点のものが出題されますか?

行政書士試験では、試験年度の4月1日時点で施行されている法令が出題範囲となります。2025年(令和7年度)の試験では、2025年4月1日時点で施行されている法令が適用されます。

例えば、2025年5月1日に施行される新しい法律は、2025年の試験には出題されません。逆に、2025年3月31日まで有効だった法律が4月1日に改正された場合、改正後の法律が出題範囲となります。

法改正への対応方法:

  • 予備校や通信講座の教材は最新の法改正に対応している
  • 独学の場合は、毎年改訂される最新版のテキストを使用する
  • 重要な法改正は予備校のウェブサイトや情報サイトでチェックする

特に、行政手続法、行政不服審査法、個人情報保護法など、頻繁に改正される法律には注意が必要です。

まとめ|行政書士試験は計画的な準備が合格の鍵

本記事では、行政書士試験について以下の内容を詳しく解説しました。

行政書士試験の3つの重要ポイント

1. 試験は年1回11月実施で受験資格は不要
行政書士試験は毎年11月の第2日曜日に実施される国家資格試験です。年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験できるため、キャリアチェンジや定年後の独立を目指す方に最適です。申込期間は7月下旬〜8月下旬で、郵送またはインターネットで申込できます。

2. 合格には総合60%以上+科目別基準点のクリアが必須
300点満点中180点以上の獲得に加え、法令等科目122点以上、基礎知識科目24点以上という各科目の基準点をクリアする必要があります。合格率は10〜13%と難関ですが、600〜1000時間の計画的な学習により合格は十分可能です。特に配点の高い民法(76点)と行政法(112点)を重点的に学習しましょう。

3. 科目別の戦略的な学習が合格への近道
民法と行政法で全体の約63%を占めるため、この2科目を最優先に学習します。民法は判例理解と記述式対策、行政法は条文の正確な暗記が重要です。基礎知識科目は基準点クリアを最低目標とし、過度に時間をかけないことが効率的です。

次のアクションステップ

行政書士試験合格を目指すなら、まず自分に合った学習スタイル(独学・通信講座・予備校)を選びましょう。独学なら質の高いテキストと過去問題集を、通信講座なら合格実績と サポート体制を重視して選んでください。行政書士の勉強時間計画行政書士のおすすめ通信講座を参考に、今日から学習をスタートしましょう。

行政書士試験は決して簡単ではありませんが、計画的な学習と適切な対策により、必ず合格できる試験です。合格後は独立開業、企業での活躍、副業など、多様なキャリアパスが開けます。行政書士の年収実態行政書士開業ガイドも確認し、合格後のビジョンを描きながら学習を進めてください。

あなたの行政書士試験合格を心から応援しています。

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