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技術士二次試験の勉強法|筆記試験・口頭試験の対策方法

技術士二次試験の勉強法について知りたいあなたへ。「どのように勉強すれば合格できるのか」という疑問は、体系的な学習計画と正しい対策方法で解決できます。本記事では、技術士二次試験に必要な勉強時間の目安、筆記試験と口頭試験それぞれの効果的な対策方法、過去問や白書の活用法について、合格者の実例を交えて詳しく解説します。この情報をもとに、技術士二次試験合格に向けて、確実な一歩を踏み出しましょう。

この記事を読むとわかること

  • 技術士二次試験で求められる能力と勉強法の全体像
  • 筆記試験(必須科目・選択科目)の具体的な対策方法
  • 口頭試験の準備手順と効果的な学習計画
  • 過去問・白書・キーワード学習の実践的な活用法

押さえておきたい3つのポイント

  1. 技術士二次試験は一次試験とは異なる勉強法が必要:二次試験では暗記だけでなく、課題解決能力や論理的思考力が求められます。単なる知識の習得ではなく、実務経験を活かした論文作成力の向上が合格への鍵となります。
  2. 平均300~500時間の勉強時間が必要:技術士二次試験の合格には、筆記試験と口頭試験を合わせて300~500時間程度の学習時間が必要です。実務経験年数や部門によって必要時間は異なりますが、半年から1年の計画的な学習が一般的です。
  3. 論文添削による客観的な評価が重要:独学だけでは自分の論文の問題点を把握しにくいため、技術士合格者や通信講座による論文添削を活用することで、効率的に合格レベルの論文作成力を身につけることができます。

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目次

技術士二次試験の勉強法とは

技術士二次試験は、一次試験とは異なる能力が求められる試験です。単なる知識の暗記ではなく、実務で培った技術的応用能力やマネジメント能力が評価されます。そのため、適切な勉強法を理解し、体系的に学習を進めることが合格への近道となります。

技術士二次試験の基本情報を理解した上で、自分に合った勉強法を選択することが重要です。このセクションでは、一次試験との違いや求められる能力、勉強の重要ポイントについて解説します。

技術士一次試験との勉強法の違い

技術士一次試験と二次試験では、試験形式も求められる能力も大きく異なります。一次試験は択一式のマークシート方式で、基礎科目・適性科目・専門科目の知識が問われました。暗記中心の学習で対応できる部分が多く、参考書と過去問を繰り返し解くことで合格が目指せます。

一方、二次試験は記述式の論文試験と口頭試験で構成されています。筆記試験では、与えられた課題に対して600字から3枚程度の論文を作成する必要があります。ここでは単なる知識の羅列ではなく、問題分析力、論理的思考力、文章構成力が求められます。

また、口頭試験では筆記試験で提出した業務経歴票や論文内容について、試験官との対話形式で技術的見識やコミュニケーション能力が評価されます。そのため、知識のインプットだけでなく、論文作成というアウトプットの訓練が不可欠です。

実務経験を活かした具体的な記述や、技術士としてふさわしい視点での問題解決提案が評価されるため、勉強法も実践的な訓練が中心となります。

技術士二次試験で求められる能力

技術士二次試験では、「コンピテンシー」と呼ばれる6つの能力が評価基準となっています。これらは専門的学識、問題解決能力、評価能力、コミュニケーション能力、リーダーシップ、技術者倫理です。

専門的学識とは、選択した技術部門における専門知識と応用能力を指します。ただし、知識を暗記しているだけでは不十分で、実際の課題に対してどう適用するかが重要です。

問題解決能力は、社会的課題や技術的問題を分析し、複数の解決策を提案できる力です。論文試験では、この能力を論理的な文章で表現することが求められます。

評価能力とは、提案した解決策のメリット・デメリットを客観的に評価し、リスクマネジメントの視点を持つことです。コミュニケーション能力は、技術的な内容を分かりやすく説明し、関係者と協働できる力を指します。

リーダーシップは、プロジェクトや組織をまとめ、目標達成に向けて導く能力です。技術者倫理は、公益確保を最優先とし、技術士法で定められた3義務2責務を理解し実践する姿勢です。

これらのコンピテンシーは、一朝一夕には身につきません。日々の業務での意識と、体系的な学習による理解の深化が必要です。

技術士二次試験の勉強で重要な3つのポイント

技術士二次試験の勉強で最も重要なのは、論文作成力の向上です。どれだけ知識があっても、それを限られた時間内で論理的な文章として表現できなければ合格できません。そのため、実際に手を動かして論文を書く練習を繰り返すことが不可欠です。

第二のポイントは、過去問分析による出題傾向の把握です。技術士試験は毎年類似のテーマが出題される傾向があります。過去10年分程度の過去問を分析することで、頻出キーワードや求められる論述内容のパターンが見えてきます。

第三のポイントは、白書やガイドラインなど公的文書の活用です。技術士試験の論文では、社会的課題や技術動向について最新の知見が求められます。国土交通白書、科学技術白書、ものづくり白書などの主要白書から、論文のネタとなるキーワードや統計データを抽出しておくことが有効です。

これら3つのポイントを意識しながら、計画的に学習を進めることで、効率的に合格レベルの力を身につけることができます。独学で進める場合も、通信講座を利用する場合も、これらの基本は変わりません。

技術士二次試験の基本的な制度に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験とは?試験制度・受験資格・日程を詳しく解説

技術士二次試験に必要な勉強時間

技術士二次試験の合格に必要な勉強時間は、個人の実務経験や知識レベルによって大きく異なります。しかし、平均的な目安を知っておくことで、現実的な学習計画を立てることができます。このセクションでは、合格者のデータに基づく勉強時間の目安と、効果的な年間スケジュールについて解説します。

技術士二次試験の平均勉強時間

技術士二次試験の合格者の平均勉強時間は、300時間から500時間程度とされています。これは筆記試験と口頭試験を合わせた総学習時間です。一次試験の勉強時間が100~200時間程度であることと比較すると、二次試験ではより多くの時間が必要となります。

具体的な内訳としては、筆記試験対策に200~400時間、口頭試験対策に50~100時間程度を充てるケースが一般的です。筆記試験では論文作成力の向上に最も時間がかかります。1本の論文作成に2~3時間かかるため、30~50本程度の論文演習を行うと想定すると、この程度の時間が必要になります。

また、過去問分析や白書の読み込み、キーワード整理にも相当な時間を要します。白書1冊を読み込むのに10~20時間程度かかることもあります。主要白書を3~5冊読むだけで50~100時間の学習時間が必要です。

ただし、これらはあくまで平均値です。実務経験が豊富で、日頃から論文作成の機会が多い人は、もっと短時間で合格レベルに到達できる可能性があります。逆に、論文作成に慣れていない人や、実務経験が浅い人は、より多くの時間が必要になるでしょう。

技術士試験の勉強時間では、一次試験を含めた全体の勉強時間について詳しく解説しています。

実務経験年数による勉強時間の違い

実務経験年数は、技術士二次試験の勉強時間に大きな影響を与えます。二次試験を受験するには、一次試験合格後に4年以上(総合技術監理部門は7年以上)の実務経験が必要ですが、最低年数で受験する場合と、10年以上の豊富な経験を持つ場合では、必要な勉強時間が異なります。

実務経験が4~5年の受験者は、業務経験が浅いため、論文で記述できる具体的な事例が限られることがあります。また、技術的な視野も狭くなりがちです。そのため、白書やガイドラインから幅広い知識を補充する必要があり、400~500時間程度の学習時間が必要になることが多いです。

実務経験が7~10年程度の受験者は、ある程度の業務実績があり、論文のネタとなる事例も豊富です。技術的な知識も実務で身についているため、論文作成の技術と試験特有の書き方を習得することに集中できます。必要な勉強時間は300~400時間程度が目安となります。

実務経験が10年以上の受験者は、豊富な経験と知識を持っているため、それを論文として適切に表現する技術を磨くことが主な課題となります。場合によっては200~300時間程度の学習で合格レベルに到達できることもあります。

ただし、経験年数が長くても、論文作成に慣れていない場合や、最新の技術動向に疎い場合は、より多くの時間が必要になります。自分の強みと弱みを客観的に分析し、適切な学習時間を確保することが重要です。

技術士試験の年間勉強スケジュール

技術士二次試験は例年7月中旬に筆記試験、11月下旬~12月中旬に口頭試験が実施されます。この試験日程を踏まえて、効果的な年間スケジュールを立てることが合格への鍵となります。

理想的なスケジュールは、前年の12月~1月から学習を開始することです。まず1~3月に基礎固めを行います。この期間に技術士試験の制度理解、過去問分析、主要白書の読み込み、キーワード整理を進めます。週10時間程度の学習で、3カ月間で約120時間を確保します。

4月~6月は論文演習の集中期間です。必須科目と選択科目の論文を繰り返し作成し、添削を受けながら改善を重ねます。この時期は週15~20時間程度の学習時間を確保し、3カ月で約200時間の学習を目指します。少なくとも30本以上の論文を書く練習が必要です。

7月は筆記試験直前期です。過去問の最終確認、答案構成の練習、時間配分の確認を行います。試験2週間前からは新しい論文を書くよりも、過去に作成した論文の見直しや、キーワードの最終チェックに時間を使います。

筆記試験合格発表は10月上旬です。合格発表後から口頭試験対策を本格化させます。業務経歴票の作り込み、想定質問への回答準備、技術士倫理や3義務2責務の学習を進めます。11月~12月の約2カ月で50~100時間程度の学習時間を確保します。

働きながら勉強する場合は、平日は朝1時間、夜1~2時間の学習を基本とし、週末に5~10時間のまとまった学習時間を確保する計画が現実的です。年間を通じて継続的に学習を進めることで、無理なく合格レベルに到達できます。

技術士二次試験の合格率を見ると、合格率は10~15%程度と低いため、計画的な勉強時間の確保が重要です。

技術士試験の勉強時間に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の勉強法|必要な勉強時間と効率的な学習計画

技術士試験の合格率に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験の合格率推移と合格発表・官報確認方法

技術士二次試験の筆記試験勉強法

技術士二次試験の筆記試験は、必須科目と選択科目で構成される記述式の論文試験です。限られた時間内で論理的かつ説得力のある論文を作成する力が求められます。このセクションでは、筆記試験対策の全体像から、科目別の具体的な勉強方法まで詳しく解説します。

技術士筆記試験対策の全体像

技術士筆記試験の対策は、大きく3つのステップで進めます。第一ステップは情報収集と基礎知識の習得です。過去問分析により出題傾向を把握し、主要白書やガイドラインから最新の技術動向や社会的課題に関する知識を得ます。同時に、頻出キーワードを整理し、自分なりのキーワード集を作成します。

第二ステップは論文作成スキルの習得です。技術士論文には独特の書き方があります。問題提起、解決策の提示、評価という論理構成を身につけ、指定された文字数内で簡潔に要点をまとめる練習が必要です。最初は時間をかけて丁寧に書き、徐々に制限時間内で完成させられるよう訓練します。

第三ステップは実践演習と添削による改善です。過去問を使って実際に論文を作成し、技術士合格者や通信講座の添削サービスで客観的な評価を受けます。添削結果をもとに論文を書き直し、同じ問題でも複数回書き直すことで、確実に論文の質を向上させることができます。

これら3つのステップを並行して進めながら、試験までに30~50本程度の論文を作成することが理想的です。多くの合格者が、繰り返しの論文演習と添削による改善を合格の鍵として挙げています。

筆記試験は午前中に必須科目、午後に選択科目が実施されます。それぞれの科目特性を理解し、科目ごとに適切な対策を立てることが重要です。

必須科目の効果的な勉強方法

必須科目は、技術部門全般に関わる課題について論述する科目です。2019年度の制度改正により、従来の「技術部門全般の専門知識」から「社会的課題の解決に関する能力」を問う内容に変更されました。600字詰め用紙3枚以内で論述することが一般的です。

必須科目の勉強では、まず自分の技術部門に関連する社会的課題を整理することから始めます。国土交通白書、科学技術白書、エネルギー白書など、技術部門に関連する白書から、現在社会が直面している課題を抽出します。

例えば機械部門であれば、脱炭素化、生産性向上、人材不足への対応などが主要課題です。電気電子部門なら、エネルギーの安定供給、再生可能エネルギーの導入拡大、スマート社会の実現などがテーマとなります。

次に、各課題に対する複数の解決策を準備します。技術士には多角的な視点が求められるため、1つの課題に対して3~5個程度の解決策を用意しておくことが望ましいです。解決策は技術的側面だけでなく、経済性、環境への配慮、社会的受容性なども考慮します。

さらに、各解決策のメリット・デメリット、リスクとその対策まで整理しておきます。論文では単に解決策を列挙するだけでなく、それらを評価し、最適な選択を提示することが求められます。

必須科目の過去問は数が限られているため、類似問題を自分で作成して練習することも有効です。白書から最新のトピックを抽出し、「○○に関する課題を述べよ」という形式で問題を作り、論文を作成する訓練を行います。

選択科目の勉強法とポイント

選択科目は、自分が実務で専門とする分野について、より詳細な知識と応用力が問われる科目です。Ⅱ(専門知識)とⅢ(応用能力・問題解決能力)の2つの問題から構成されます。

選択科目Ⅱは、専門分野の技術的知識を問う問題です。600字程度の記述を複数求められることが多く、専門用語の正確な理解と、それを分かりやすく説明できる力が必要です。この問題の対策には、自分の専門分野に関連する技術基準、ガイドライン、学会誌などを読み込み、最新の技術動向を把握しておくことが重要です。

選択科目Ⅲは、実務的な課題について、問題分析から解決策の提案、リスクマネジメントまで総合的に論述する問題です。業務経歴を活かした具体的な記述が求められます。この問題の対策には、自分の業務経験を棚卸しし、技術士論文として表現できる形に整理しておくことが有効です。

選択科目の勉強で重要なのは、自分の専門分野に特化したキーワード集の作成です。過去問から頻出するキーワードを抽出し、各キーワードについて定義、現状、課題、対策を簡潔にまとめておきます。試験前にこのキーワード集を見直すだけで、論文に必要な知識を効率的に復習できます。

また、選択科目では実務経験の具体的な記述が評価を高めます。ただし、守秘義務に抵触しない範囲で、プロジェクトの規模、担当した役割、技術的な工夫点などを整理しておきましょう。抽象的な表現ではなく、数値や固有名詞を交えた具体的な記述が説得力を高めます。

選択科目の過去問は必須科目よりも数が多いため、過去10年分程度を徹底的に分析することが効果的です。出題パターンや求められる論述内容の傾向を把握し、それに沿った論文作成の訓練を繰り返します。

論文作成力を磨く練習方法

技術士試験の合否を分ける最大の要因は論文作成力です。どれだけ知識があっても、それを制限時間内に論理的な文章として表現できなければ合格できません。論文作成力を磨くには、段階的な訓練が必要です。

初期段階では、時間制限を設けずに丁寧に論文を作成します。問題文を読み、求められている内容を正確に把握し、論文の構成を考え、文章を練ります。この段階では質を重視し、1本の論文に3~4時間かけても構いません。作成した論文は必ず添削を受け、改善点を明確にします。

中期段階では、徐々に時間制限を導入します。必須科目は2時間、選択科目は3時間半が試験時間です。最初は1.5倍の時間で書き、徐々に制限時間に近づけていきます。時間内に書き切る訓練を繰り返すことで、論文作成のスピードが向上します。

後期段階では、本番と同じ条件での模擬試験を行います。午前中に必須科目、午後に選択科目を時間を計って作成します。この訓練により、体力面や集中力の維持、時間配分の感覚を身につけることができます。

論文の書き方にはいくつかのコツがあります。まず、書き出しの5~10分で論文の構成を決めます。答案用紙の余白にアウトラインをメモし、各段落で何を書くかを明確にしてから本文を書き始めます。

文章は簡潔明瞭を心がけ、1文が長くなりすぎないよう注意します。専門用語は正確に使用し、初出の用語には簡単な説明を付けます。図表の使用も効果的ですが、作成に時間を取られすぎないよう注意が必要です。

何より重要なのは、問題文の要求に正確に答えることです。「課題を述べよ」と問われているのに解決策を長々と書いたり、「3つ挙げよ」と指定されているのに2つしか書かなかったりすると、大幅な減点となります。問題文を何度も読み返し、求められている内容を正確に把握する習慣をつけましょう。

技術士筆記試験の対策に関してもっと詳しい記事はこちら
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技術士二次試験の過去問活用法

技術士二次試験の合格には、過去問の徹底的な活用が不可欠です。過去問分析により出題傾向を把握し、効果的な対策を立てることができます。このセクションでは、過去問を最大限に活用する方法について解説します。

技術士過去問分析の重要性

技術士試験は、毎年類似のテーマや視点から問題が出題される傾向があります。過去問を分析することで、試験委員が重視するポイントや、求められる論述内容のパターンが見えてきます。

過去問分析の第一の目的は、頻出テーマの把握です。技術士試験では、社会的に重要性の高い課題が繰り返し出題されます。例えば機械部門では、生産性向上、品質管理、環境対応などが頻出テーマです。電気電子部門では、エネルギー問題、情報通信技術、社会インフラの維持管理などがよく出題されます。

過去10年分程度の問題を時系列で並べてみると、社会状況の変化に応じて出題内容が変化していることが分かります。近年ではSDGs、デジタルトランスフォーメーション、レジリエンスなど、新しい概念を踏まえた問題が増えています。

第二の目的は、問題文の形式や求められる論述内容の理解です。技術士試験の問題文には独特の言い回しがあります。「課題を述べよ」「解決策を提示せよ」「リスクとその対策を述べよ」など、問題文の表現から何を書くべきかを正確に読み取る訓練が必要です。

第三の目的は、合格レベルの論文のイメージを掴むことです。多くの通信講座や参考書では、過去問に対する模範解答例が掲載されています。これらを参考にすることで、どの程度の内容を、どのような構成で書けば合格レベルに達するかを理解できます。

過去問分析は、学習の初期段階で必ず行うべき重要な作業です。この分析なしに効率的な学習計画を立てることはできません。

過去問から出題傾向を読み取る方法

過去問から出題傾向を読み取るには、体系的なアプローチが必要です。まず、自分の受験する技術部門と選択科目の過去問を、できれば10年分以上集めます。日本技術士会のウェブサイトから過去3年分の問題は無料で入手できます。それ以前の問題は、参考書や通信講座の資料を活用します。

集めた過去問を、科目別、年度別に整理します。エクセルなどの表計算ソフトを使い、年度、科目、問題番号、出題テーマ、関連キーワードを一覧表にまとめると、傾向が視覚的に把握しやすくなります。

次に、各問題に含まれるキーワードを抽出します。例えば「生産性向上」「品質管理」「環境配慮」「安全性確保」など、重要な概念を抽出し、出現回数をカウントします。頻出するキーワードは、それだけ試験で重視されているテーマであることを示しています。

また、問題文の構造にも注目します。「現状を述べ、課題を3つ挙げよ」「解決策を提示し、その効果と留意点を述べよ」など、問題文の要求パターンを分類します。このパターン分析により、論文の型を準備しておくことができます。

制度改正の影響も考慮が必要です。2019年度の制度改正により、必須科目の出題形式が大きく変更されました。改正前の問題も参考にはなりますが、改正後の問題により重点を置いて分析する必要があります。

さらに、最新の白書や技術動向と過去問を照らし合わせることで、今後出題される可能性の高いテーマを予測できます。例えば、2020年以降であれば、新型コロナウイルス感染症への対応、テレワークの普及、サプライチェーンの強靱化など、社会的に重要性が高まったテーマが出題される可能性が高いと予測できます。

技術士過去問を使った論文演習

過去問は、最良の論文演習教材です。実際に出題された問題を使って論文を作成することで、本番に近い訓練ができます。過去問演習は、以下のステップで進めると効果的です。

ステップ1は、問題の選定です。最初は比較的書きやすそうな問題から始め、徐々に難易度を上げていきます。自分の実務経験に関連する問題を優先的に選ぶと、具体的な記述がしやすくなります。

ステップ2は、情報収集です。選んだ問題に関連する白書やガイドライン、論文などを読み、背景知識を得ます。この段階では、論文を書く前にしっかりと調査を行います。

ステップ3は、答案構成の作成です。いきなり論文を書き始めるのではなく、まず論文の構成を考えます。序論、本論、結論でそれぞれ何を書くか、本論ではどのような項目を立てるかをメモします。

ステップ4は、実際の論文作成です。最初は時間制限を設けず、丁寧に論文を作成します。書きながら構成を修正することもあります。論文が完成したら、自分で読み直し、明らかな誤りや表現の不適切な部分を修正します。

ステップ5は、添削を受けることです。自分で作成した論文を客観的に評価することは困難です。技術士の有資格者や通信講座の添削サービスを利用し、専門家の評価を受けます。

ステップ6は、添削結果に基づく書き直しです。指摘された問題点を理解し、論文を書き直します。同じ問題で2回、3回と書き直すことで、論文の質が確実に向上します。

過去問演習は、できれば30問以上行うことが理想的です。必須科目で10問程度、選択科目で20問程度を目安とします。同じ問題を複数回書き直す場合は、その回数も含めて30回以上の論文作成経験を積むことを目指します。

技術士二次試験の過去問活用法では、より詳細な過去問の入手方法や模範解答の活用方法について解説しています。

答案構成の練習方法

答案構成とは、論文を書く前に、論文の全体像や各段落で書く内容を整理する作業です。技術士試験では、制限時間内に質の高い論文を完成させる必要があるため、答案構成の技術が非常に重要です。

答案構成の練習は、実際に論文を書く前に行います。問題文を読み、5~10分で答案構成を作成します。答案用紙の余白や下書き用紙に、以下の項目をメモします。

まず、論文の大きな流れを決めます。序論で何を述べるか、本論で何を論じるか、結論でどうまとめるかを明確にします。技術士論文の典型的な構成は、序論(問題の背景と重要性)、本論(課題の分析と解決策の提示)、結論(まとめと今後の展望)です。

次に、本論の項目立てを考えます。例えば、「課題を3つ挙げ、それぞれの解決策を述べよ」という問題であれば、課題1、解決策1、課題2、解決策2、課題3、解決策3という構成になります。項目ごとにどの程度の文字数を割り当てるかも考えます。

各項目で書く内容のキーワードもメモしておきます。詳細な文章を書く必要はありませんが、「ここでは○○について述べる」というキーワードを書いておくことで、本文を書く際に迷いません。

答案構成の練習方法として効果的なのは、過去問を使って答案構成だけを大量に作成する訓練です。10~20問の過去問について、論文本文は書かずに答案構成だけを10分以内で作成します。これにより、問題文から論文の構成を素早く考える力が養われます。

作成した答案構成は、可能であれば技術士の有資格者に見てもらい、アドバイスを受けます。「この構成では問題文の要求に答えられていない」「もっと具体的な項目立てが必要」などの指摘を受けることで、構成力が向上します。

試験本番では、答案用紙に書き始める前に必ず答案構成を行います。この5~10分の投資が、論文全体の質を大きく左右します。答案構成の習慣が身についていれば、本番でも落ち着いて論文を作成できます。

技術士過去問の活用に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験の過去問活用法|模範解答と出題傾向分析

技術士二次試験の白書活用法

白書は、技術士二次試験の論文作成において非常に重要な情報源です。最新の統計データや政策動向、技術トレンドなど、論文に必要な材料が豊富に含まれています。このセクションでは、白書を効果的に活用する方法について解説します。

白書を読む目的と重要性

技術士二次試験において白書が重要な理由は、試験問題の多くが白書に記載されているテーマから出題されるためです。政府が発行する白書は、その年の重要な社会的課題や政策の方向性を示しており、これらは技術士に求められる視点と重なります。

白書を読む第一の目的は、社会的課題の把握です。技術士は、単に技術的な知識を持つだけでなく、社会全体の課題を理解し、技術者としてどう貢献できるかを考える必要があります。白書には、現在日本が直面している課題が体系的にまとめられています。

第二の目的は、最新の統計データの入手です。論文で「○○の現状は□□である」といった記述をする際、具体的な数値やデータがあると説得力が増します。白書には信頼性の高い統計データが豊富に掲載されています。

第三の目的は、政策の方向性の理解です。技術士が提案する解決策は、国の政策方針と矛盾しないことが望ましいです。白書を読むことで、政府が推進している施策や今後の方向性を把握できます。

第四の目的は、専門用語や概念の理解です。近年の技術士試験では、SDGs、Society5.0、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーションなど、新しい概念が出題されます。これらの概念について正確に理解し、適切に使用するためには、白書が最適な参考資料となります。

白書を読む作業は時間がかかりますが、投資する価値は十分にあります。多くの合格者が、白書の読み込みを合格の重要な要因として挙げています。

技術士試験に関連する主要白書

技術士試験に関連する白書は多数ありますが、自分の技術部門に応じて優先的に読むべき白書を選択することが重要です。全ての白書を精読することは現実的ではないため、重点を絞った学習が効果的です。

ほぼ全ての技術部門に関連する白書として、「科学技術・イノベーション白書」があります。この白書は、日本の科学技術政策の現状と課題、研究開発の動向などがまとめられており、技術士として知っておくべき基本的な情報が含まれています。

機械部門、電気電子部門、情報工学部門などの受験者には、「ものづくり白書」が重要です。製造業の現状、生産性向上の取り組み、デジタル化の進展などが詳しく解説されています。

土木部門、建設部門、上下水道部門の受験者には、「国土交通白書」が必読です。社会資本の整備状況、防災・減災対策、インフラの維持管理などのテーマが扱われています。

電気電子部門、機械部門の受験者には、「エネルギー白書」も重要です。エネルギー需給の現状、再生可能エネルギーの導入状況、省エネルギー対策などが記載されています。

情報工学部門の受験者には、「情報通信白書」が参考になります。ICTの利活用状況、サイバーセキュリティ、5Gなどの最新技術動向が解説されています。

環境部門の受験者には、「環境白書」が必須です。地球温暖化対策、循環型社会の形成、生物多様性の保全などのテーマが扱われています。

これらの白書は、いずれも政府の各省庁のウェブサイトから無料でPDF版がダウンロードできます。試験の1年前に発行された最新版を入手し、重点的に読み込むことをお勧めします。

白書から論文ネタを抽出する方法

白書は数百ページに及ぶ膨大な資料です。全てを精読することは困難ですし、その必要もありません。効率的に論文のネタとなる情報を抽出する方法を身につけることが重要です。

まず、白書の構成を理解します。多くの白書は、第1部が特集やトピックス、第2部が分野別の詳細な分析という構成になっています。第1部は比較的読みやすく、重要なテーマが分かりやすくまとめられているため、まずここから読み始めます。

次に、目次を活用します。目次を見ることで、白書全体で扱われているテーマが把握できます。自分の専門分野に関連する章や節を特定し、そこを重点的に読みます。

重要な情報が見つかったら、マーカーを引いたり、メモを取ったりします。特に以下のような情報は、論文作成に直接役立ちます。

  • 現状を示す統計データ(数値、グラフ)
  • 課題の指摘(「○○が問題となっている」といった記述)
  • 政策の方向性(「○○を推進する」といった記述)
  • 具体的な取り組み事例
  • 専門用語の定義や説明

これらの情報をノートやエクセルにまとめます。テーマごとに、現状、課題、対策という構造でまとめると、論文を書く際に使いやすくなります。

また、白書に掲載されている図表は、論文で引用できる可能性があります。特に分かりやすいグラフや表は、そのまま答案用紙に描き起こせるよう、内容を理解しておきます。ただし、試験本番で複雑な図表を正確に再現することは困難なので、簡略化した形で理解しておくことが現実的です。

白書から抽出した情報は、キーワード集に統合します。各キーワードについて、白書で見つけた最新のデータや政策動向を追記することで、より充実したキーワード集が完成します。

白書と過去問の関連性分析

白書と過去問を照らし合わせることで、出題傾向をより深く理解できます。多くの技術士試験問題は、白書で扱われているテーマから出題されています。この関連性を分析することで、今後出題される可能性の高いテーマを予測できます。

具体的な分析方法として、まず過去問のテーマを一覧表にします。次に、各テーマがその年またはその前年の白書のどこで扱われているかを調べます。多くの場合、試験問題で問われているテーマは、試験の1~2年前の白書で詳しく取り上げられています。

例えば、2020年の試験で「生産性向上」に関する問題が出題された場合、2019年または2020年のものづくり白書で生産性向上が主要テーマとして扱われていることが多いです。この関連性を理解することで、最新の白書で大きく取り上げられているテーマは、次回の試験で出題される可能性が高いと予測できます。

また、白書に新しく登場した用語や概念にも注目します。例えば、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が白書で頻繁に使われるようになった年の翌年には、DXに関する問題が出題される可能性が高まります。

社会的に大きな出来事があった場合も、白書と試験問題の関連性が強まります。東日本大震災後には防災・減災に関する問題が増えましたし、新型コロナウイルス感染症の流行後には、レジリエンスやBCP(事業継続計画)に関する問題が出題されるようになりました。

この関連性分析を通じて、試験対策の方向性が明確になります。最新の白書で重点的に扱われているテーマについては、特に念入りに準備をしておくことが賢明です。

技術士白書の活用に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の勉強法|必要な勉強時間と効率的な学習計画

技術士二次試験のキーワード学習法

キーワード学習は、技術士二次試験対策の基本となる勉強法です。試験で頻出する専門用語や概念を体系的に整理し、いつでも引き出せるようにしておくことで、論文作成の効率が大きく向上します。このセクションでは、効果的なキーワード学習法について解説します。

キーワード整理の目的

キーワード整理の第一の目的は、知識の体系化です。技術士試験で求められる知識は膨大で、整理せずに学習すると、必要なときに必要な情報を思い出せなくなります。キーワードを中心に知識を整理することで、関連する情報を効率的に記憶し、引き出せるようになります。

第二の目的は、論文作成の効率化です。試験本番では限られた時間内で論文を完成させる必要があります。キーワードごとに定義、現状、課題、対策がまとめてあれば、そのキーワードに関する段落を素早く書くことができます。

第三の目的は、弱点の把握と補強です。キーワードを整理する過程で、自分が十分に理解していない用語や概念が明らかになります。これらを重点的に学習することで、知識の穴を埋めることができます。

第四の目的は、試験直前の効率的な復習です。キーワード集を作成しておけば、試験の数日前から前日にかけて、短時間で重要事項を総復習できます。数百ページの白書やノートを見直すよりも、厳選したキーワード集を復習する方が効率的です。

キーワード整理は、学習の初期段階から継続的に行うべき作業です。新しい知識を得るたびにキーワード集を更新し、常に最新の状態に保つことが重要です。

技術士試験の頻出キーワード抽出方法

頻出キーワードを抽出するには、複数の情報源を活用します。最も重要な情報源は過去問です。過去10年分程度の問題文を読み、繰り返し登場する用語や概念を抽出します。

過去問からのキーワード抽出では、問題文で問われている用語だけでなく、模範解答例に登場する用語にも注目します。通信講座の教材や参考書に掲載されている模範解答には、試験で評価される表現や用語が含まれています。

次に重要な情報源は白書です。白書の目次や章のタイトル、見出しに使われている用語は、その年の重要テーマを反映しています。また、白書本文で太字や斜体で強調されている用語も、重要なキーワードである可能性が高いです。

技術基準やガイドラインも有効な情報源です。自分の専門分野に関連する公的な技術基準には、正確な定義や標準的な考え方が記載されています。これらの文書から専門用語を抽出します。

学会誌や専門雑誌の特集記事も参考になります。技術士試験で出題されるテーマは、しばしば学会でも注目されているテーマと重なります。学会誌の特集タイトルや基調講演のテーマなどから、現在の技術界で重視されているキーワードを把握できます。

キーワードを抽出する際は、単に用語を列挙するだけでなく、カテゴリーに分類することが効果的です。例えば、「技術動向」「社会的課題」「政策・制度」「手法・ツール」などのカテゴリーを設定し、各キーワードを分類します。

抽出したキーワードは、重要度に応じてA、B、Cのランク付けをします。Aランクは必ず理解しておくべき最重要キーワード、Bランクは重要だが余裕があれば学習するキーワード、Cランクは知っていると有利なキーワードとします。学習時間が限られている場合は、Aランクのキーワードを優先的に整理します。

キーワード集の作り方と活用法

効果的なキーワード集を作成するには、いくつかのポイントがあります。まず、媒体の選択です。ノート、ルーズリーフ、エクセル、ワードなど、自分が使いやすい媒体を選びます。デジタル媒体は検索や編集が容易ですが、手書きの方が記憶に残りやすいという人もいます。

キーワード集の基本構成は、以下の項目を含めます。

  1. キーワード(用語)
  2. 定義・意味
  3. 背景・重要性
  4. 現状(統計データなど)
  5. 課題
  6. 対策・解決策
  7. 関連キーワード

例えば、「カーボンニュートラル」というキーワードであれば、以下のように整理します。

  • 定義:温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること
  • 背景:地球温暖化対策の推進、パリ協定の目標達成
  • 現状:日本は2050年までにカーボンニュートラル実現を目標
  • 課題:化石燃料への依存、再生可能エネルギーのコスト、技術開発の遅れ
  • 対策:再エネ導入拡大、省エネ推進、CCUS技術開発、水素社会の実現
  • 関連:脱炭素、GHG、再生可能エネルギー、水素、カーボンプライシング

このように整理しておけば、論文で「カーボンニュートラル」について書く必要が生じたとき、すぐに必要な情報を引き出せます。

キーワード集は、定期的に見直し、更新します。新しい情報を得たら追記し、理解が深まったら説明を充実させます。また、実際に論文を書いてみて不足を感じた項目があれば、それも追加します。

試験直前期には、このキーワード集を繰り返し読み返します。通勤時間や休憩時間などの隙間時間を活用して、主要なキーワードを頭に入れておきます。試験当日の休憩時間にも、キーワード集を見直すことで、午後の試験に備えることができます。

また、キーワード同士の関連性を図式化することも効果的です。マインドマップやコンセプトマップなどのツールを使い、キーワード間の関係を視覚的に整理します。これにより、単独のキーワードだけでなく、複数のキーワードを組み合わせた論述が可能になります。

技術士試験のキーワード学習に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の勉強法|必要な勉強時間と効率的な学習計画

技術士二次試験の論文添削の重要性

技術士二次試験の合格には、論文添削による客観的な評価とフィードバックが極めて重要です。独学だけでは自分の論文の問題点を把握することが難しく、効率的な改善ができません。このセクションでは、論文添削の重要性と活用方法について解説します。

独学での技術士勉強の限界

独学で技術士試験に挑戦することは可能ですし、実際に独学で合格する人もいます。しかし、独学には明確な限界があることも理解しておく必要があります。

最大の限界は、自分の論文を客観的に評価できないことです。自分で書いた論文は、書いた本人にとっては論理的で分かりやすく感じられます。しかし、第三者が読むと、論理の飛躍があったり、説明不足だったり、問題文の要求に答えていなかったりすることがあります。

特に問題なのは、問題文の読み取りミスです。「課題を3つ挙げよ」という指示に対して、課題を2つしか書いていなかったり、課題ではなく現状を書いていたりする誤りは、本人は気づきにくいものです。このような基本的なミスは大幅な減点につながりますが、独学では発見しにくいのです。

また、論文の構成や論理展開の適切さについても、客観的な評価が困難です。「序論→本論→結論」という基本構成は理解していても、各部のバランスや、項目立ての適切さ、論理の一貫性などは、経験豊富な第三者の視点が必要です。

さらに、独学では学習のモチベーション維持が難しいという問題もあります。論文を何本も書くという作業は地道で時間がかかり、成果が見えにくいため、途中で挫折してしまう人も少なくありません。

技術的な内容の正確性についても、独学では確認が難しい場合があります。特に最新の技術動向や制度変更については、専門家のアドバイスが有益です。

これらの限界を認識した上で、独学を選択する場合は、少なくとも数回は専門家の添削を受けることを強く推奨します。

技術士合格者による添削のメリット

技術士合格者による添削を受けることには、多くのメリットがあります。第一のメリットは、試験官の視点を理解できることです。技術士試験を実際に突破した人は、どのような論文が評価されるかを経験的に理解しています。

合格者は、自身の受験経験から、試験本番で時間が足りなくなるポイントや、陥りやすい誤りを知っています。このような実践的なアドバイスは、参考書には書かれていない貴重な情報です。

第二のメリットは、技術的な内容についての具体的なフィードバックが得られることです。同じ技術部門の合格者であれば、専門的な内容の正確性や、提案した解決策の妥当性について、的確なコメントができます。

第三のメリットは、論文の問題点を具体的に指摘してもらえることです。「この部分は分かりにくい」「ここの論理が飛躍している」「この解決策は現実的ではない」といった具体的な指摘により、自分では気づかなかった問題点が明らかになります。

第四のメリットは、改善の方向性を示してもらえることです。単に問題点を指摘されるだけでなく、「ここはこう書き直すとよい」「この視点を加えるべき」といった建設的なアドバイスが得られます。

第五のメリットは、精神的なサポートが得られることです。受験勉強の過程では、不安や焦りを感じることもあります。同じ道を歩んできた合格者からの励ましやアドバイスは、モチベーション維持に大きく貢献します。

技術士会の各支部や技術部門別の団体では、合格者による論文添削サービスを提供していることがあります。また、職場の先輩や知人に技術士がいる場合は、添削をお願いすることも検討してみましょう。

通信講座での技術士添削サービス

通信講座の添削サービスは、体系的で継続的な論文指導を受けられる点で優れています。多くの技術士向け通信講座では、論文添削が主要なサービスとなっています。

通信講座の添削サービスの特徴は、まず添削の回数が保証されていることです。一般的に、5回から15回程度の添削が含まれています。これにより、計画的に論文力を向上させることができます。

第二の特徴は、複数の添削者による評価が得られることです。大手の通信講座では、複数の技術士合格者が添削を担当し、異なる視点からのフィードバックが得られます。これにより、より多角的な改善が可能になります。

第三の特徴は、体系的な教材とセットになっていることです。添削サービスだけでなく、過去問の解説、模範解答例、論文作成のテクニック集などの教材が提供されます。これらを活用することで、効率的に学習を進められます。

第四の特徴は、学習スケジュールの管理が容易なことです。多くの通信講座では、学習スケジュールが提示され、いつまでに何本の論文を提出すべきかが明確になります。これにより、計画的な学習が可能になります。

第五の特徴は、質問やサポート体制が整っていることです。論文添削以外にも、学習方法の相談や技術的な質問に答えてくれるサポート体制があります。

通信講座を選ぶ際のポイントは、自分の技術部門に対応しているか、添削者が同じ技術部門の合格者か、添削の返却期間はどの程度か、費用は予算内か、などを確認することです。

ただし、通信講座を利用する場合でも、受動的に指示を待つだけでなく、自分から積極的に論文を作成し、添削を求める姿勢が重要です。添削サービスは、自分の努力を最大化するためのツールであることを忘れないようにしましょう。

技術士試験の論文改善サイクル

論文添削を最大限に活用するには、効果的な改善サイクルを回すことが重要です。単に添削を受けて終わりではなく、フィードバックを基に確実に論文を改善していくプロセスが必要です。

論文改善サイクルは、以下のステップで構成されます。

ステップ1は、論文の作成です。過去問や予想問題を選び、時間を計って論文を作成します。最初は時間制限を緩くし、徐々に本番の制限時間に近づけていきます。

ステップ2は、自己評価です。作成した論文を自分で読み返し、明らかな誤りや改善点がないかをチェックします。誤字脱字、計算ミス、論理の矛盾などを修正します。

ステップ3は、添削の依頼です。自己評価を終えた論文を、添削者に提出します。通信講座の場合は指定の方法で提出し、個人的に依頼する場合はメールやFAXなどで送付します。

ステップ4は、添削結果の受け取りと理解です。返却された添削結果を丁寧に読み、指摘された問題点を理解します。分からない点があれば、質問して明確にします。

ステップ5は、論文の書き直しです。添削で指摘された問題点を踏まえて、論文を書き直します。このとき、指摘された部分だけを修正するのではなく、論文全体を見直し、同様の問題が他にもないかをチェックします。

ステップ6は、改善点の記録です。今回の添削で学んだことや気をつけるべき点をノートにまとめます。「論理の飛躍に注意」「具体例を必ず入れる」「問題文の指示を正確に守る」など、自分の弱点と改善方法を記録します。

ステップ7は、次の論文への反映です。次の論文を書く際に、前回の添削で学んだ点を意識して書きます。これにより、同じ誤りを繰り返さず、着実に論文力が向上します。

この改善サイクルを10回、20回と繰り返すことで、確実に合格レベルの論文作成力が身につきます。重要なのは、各サイクルから確実に学び、次に活かすことです。単に添削を受けるだけでは意味がありません。

また、同じ問題で複数回の添削を受けることも効果的です。最初の添削で指摘された点を改善して書き直し、再度添削を受けます。これにより、どこまで改善できたかが明確になり、さらなる向上につながります。

技術士試験の論文添削に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の勉強法|必要な勉強時間と効率的な学習計画

技術士二次試験の口頭試験勉強法

技術士二次試験の口頭試験は、筆記試験合格者を対象に実施される最終関門です。業務経歴や技術的見識、技術者倫理について、試験官との対話形式で評価されます。このセクションでは、口頭試験の効果的な対策方法について解説します。

口頭試験対策を始める時期

口頭試験対策を始める適切な時期については、2つの考え方があります。1つは筆記試験の直後から始める方法、もう1つは筆記試験の合格発表後から始める方法です。

筆記試験直後から始めるメリットは、準備期間を長く確保できることです。筆記試験から口頭試験まで約4~5カ月ありますが、合格発表後だと約1カ月半しかありません。十分な準備をするには、早めに始めた方が安心です。

特に業務経歴票の作り込みは時間がかかります。過去の業務を振り返り、技術士にふさわしい表現で整理するには、相当な時間と労力が必要です。筆記試験後の時間を活用して、丁寧に業務経歴票を作成することは有効な戦略です。

一方、合格発表後から始めるメリットは、筆記試験の結果が分かるまで余計な心配をしなくて済むことです。筆記試験に不合格だった場合、口頭試験対策に費やした時間が無駄になってしまいます。

現実的な対応としては、筆記試験後に軽く口頭試験の準備を始め、合格発表後に本格化させる方法が推奨されます。具体的には、筆記試験後の2週間程度で業務経歴票の下書きを作成し、合格発表を待ちます。合格発表後、業務経歴票を完成させ、想定質問への回答準備や模擬面接を行います。

この方法であれば、無駄を最小限に抑えながら、十分な準備期間を確保できます。特に働きながら受験している場合、合格発表後の1カ月半だけでは準備時間が不足する可能性が高いため、筆記試験後の早い段階で少しずつ準備を進めることが賢明です。

業務経歴票の作り込み

業務経歴票は、口頭試験の基礎となる重要な書類です。試験官はこの業務経歴票を読んで質問を準備しますので、内容の質が試験の難易度を左右すると言っても過言ではありません。

業務経歴票で重要なのは、技術士にふさわしい業務を選択することです。単なる作業の実施ではなく、技術的な判断や工夫、マネジメントが求められた業務を選びます。プロジェクトの規模が大きいことや、社会的な影響が大きい業務であることも重要です。

記述する際は、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を明確にします。特に、自分がどのような立場で、何を担当し、どのような技術的判断や工夫をしたかを具体的に書きます。

例えば、「○○プロジェクトに参加した」という抽象的な表現ではなく、「○○プロジェクト(工期2年、総工費10億円)において、設計担当責任者として、△△工法の選定と詳細設計を担当した」というように、具体的に記述します。

技術的な工夫点や課題解決の事例も重要です。「□□という課題に対して、××という手法を採用し、結果として○○という成果を得た」というように、問題解決のプロセスを明確に示します。

業務経歴票を作成したら、必ず技術士の有資格者にチェックしてもらうことを推奨します。表現が適切か、技術士としての視点が示されているか、質問されやすい箇所はどこかなど、専門家の視点からのアドバイスが有益です。

また、業務経歴票に書いた内容については、詳細に説明できるよう準備しておきます。プロジェクトの背景、採用した技術の詳細、直面した課題とその解決方法、得られた成果など、どのような質問が来ても答えられるようにします。

技術士口頭試験の対策では、業務経歴票の具体的な書き方や評価ポイントについて詳しく解説しています。

想定質問への回答準備

口頭試験では、業務経歴、技術的見識、技術者倫理、3義務2責務など、幅広いテーマについて質問されます。これらの想定質問に対する回答を事前に準備しておくことが、合格の鍵となります。

業務経歴に関する質問としては、以下のようなものが想定されます。

  • 業務経歴票に記載したプロジェクトの詳細(規模、期間、役割など)
  • 直面した技術的課題と解決方法
  • 採用した技術の選定理由と代替案の検討
  • プロジェクトでの自分の貢献と成果
  • 失敗や困難な経験とその対応

これらの質問に対しては、具体的かつ簡潔に答えられるよう準備します。回答は1分から2分程度にまとめ、要点を明確に伝えることが重要です。

技術的見識に関する質問としては、以下のようなものが想定されます。

  • 専門分野の最新技術動向
  • 社会的課題とそれに対する技術者の役割
  • 今後の技術発展の方向性
  • 他分野との連携の重要性

これらの質問には、白書やガイドライン、専門雑誌などから得た知識を基に答えます。自分の意見を述べる際は、根拠を示しながら論理的に説明します。

技術者倫理に関する質問も重要です。「公益確保を最優先とする」という技術士の基本姿勢について、具体的な事例を交えて説明できるよう準備します。利益相反や守秘義務、環境への配慮など、倫理的なジレンマが生じた場合の対応についても考えておきます。

回答を準備する際は、単に文章を暗記するのではなく、要点を理解し、自分の言葉で説明できるようにします。暗記した文章を棒読みすると、追加質問に対応できなくなります。

また、回答の練習は声に出して行うことが重要です。頭の中で考えるだけでなく、実際に声に出して説明してみると、うまく表現できない部分や、論理が不明確な部分が見つかります。

可能であれば、技術士の有資格者や職場の同僚に面接官役を依頼し、模擬面接を行うことを強く推奨します。実際に質問を受けて答える練習は、本番の緊張を和らげる効果もあります。

技術士倫理・3義務2責務の学習

技術士倫理と3義務2責務は、口頭試験で必ず問われる重要なテーマです。これらを正確に理解し、自分の言葉で説明できるようにしておく必要があります。

技術士の3義務とは、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、名称表示義務の3つです。これらは技術士法で定められた法的義務であり、違反した場合は登録の取消しなどの処分を受ける可能性があります。

信用失墜行為の禁止とは、技術士の信用や品位を損なうような行為をしてはならないという義務です。具体例としては、虚偽の報告や不正な行為、技術的判断の歪曲などが挙げられます。

秘密保持義務とは、業務上知り得た秘密を漏らしてはならないという義務です。この義務は、技術士を辞めた後も継続します。守秘義務と公益確保のバランスについても理解しておく必要があります。

名称表示義務とは、技術士がその名称を用いて業務を行う場合、技術部門を明示しなければならないという義務です。

技術士の2責務とは、公益確保の責務と資質向上の責務の2つです。これらは努力義務であり、法的な罰則はありませんが、技術士としての基本的な姿勢を示すものです。

公益確保の責務とは、技術士は公衆の安全、健康、福祉を最優先し、公益の確保に努めなければならないという責務です。依頼者の利益と公益が対立した場合、公益を優先することが求められます。

資質向上の責務とは、技術士は常に技術的能力と倫理観を高める努力を続けなければならないという責務です。継続的な学習や研鑽が重要とされています。

これらの3義務2責務については、単に暗記するだけでなく、実際の業務においてどのように実践するかを考えておくことが重要です。例えば、「あなたの業務で公益確保の責務をどのように果たしていますか」という質問に対して、具体的な事例を挙げて説明できるようにします。

また、技術士会が定める技術士倫理綱領についても理解しておくと良いでしょう。倫理綱領には、技術士が持つべき基本的な倫理観が示されており、口頭試験での質問にも関連します。

技術士の倫理に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士の倫理綱領とは?3つの責務と職業倫理を解説

技術士口頭試験の対策に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士口頭試験の対策方法|質問例・評価基準・合格のコツ

技術士二次試験の独学と講座の比較

技術士二次試験の勉強方法として、独学で進めるか、通信講座を利用するかは重要な選択です。それぞれにメリットとデメリットがあり、自分の状況に合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。このセクションでは、両者を比較し、選択のポイントについて解説します。

独学で技術士合格を目指すメリット・デメリット

独学で技術士試験に挑戦する最大のメリットは、費用を抑えられることです。通信講座を利用すると10万円から30万円程度の費用がかかりますが、独学であれば参考書代や白書の印刷代程度で済みます。予算が限られている場合、独学は魅力的な選択肢です。

第二のメリットは、自分のペースで学習できることです。通信講座には提出期限がありますが、独学では自分の都合に合わせて学習スケジュールを組めます。仕事が忙しい時期は学習量を減らし、余裕がある時期に集中するといった柔軟な対応が可能です。

第三のメリットは、自己管理能力が鍛えられることです。誰からも指示されない環境で計画を立て、実行する力は、技術士として仕事をする上でも重要なスキルです。

一方、独学のデメリットとして最も大きいのは、客観的な評価が得られにくいことです。自分の論文の問題点を自分で見つけることは困難です。特に論理の飛躍や表現の不適切さなど、本人が気づきにくい問題については、第三者の視点が必要です。

第二のデメリットは、効率が悪くなる可能性があることです。何を勉強すればよいか、どの程度のレベルを目指せばよいかが分からないまま、無駄な努力をしてしまうことがあります。通信講座では学習の方向性が明確に示されますが、独学では試行錯誤が必要です。

第三のデメリットは、モチベーション維持が難しいことです。孤独な戦いになりがちで、挫折しやすい環境です。疑問が生じたときに相談できる相手がいないことも、学習の障害となります。

第四のデメリットは、最新情報の入手が遅れる可能性があることです。試験制度の変更や出題傾向の変化など、重要な情報を見逃すリスクがあります。

独学を成功させるには、強い自己管理能力と、情報収集力、そして何よりも継続する意志が必要です。また、完全な独学ではなく、少なくとも数回は専門家の論文添削を受けることを強く推奨します。

通信講座を利用するメリット

通信講座を利用する最大のメリットは、体系的な学習ができることです。合格に必要な知識や技術が整理されたカリキュラムに沿って学習することで、効率的に実力を伸ばせます。何をどの順番で学べばよいかが明確なため、無駄な努力を避けられます。

第二のメリットは、論文添削による客観的な評価が得られることです。プロの添削者からのフィードバックにより、自分では気づかない問題点が明らかになり、確実に論文の質が向上します。多くの通信講座では、複数回の添削が含まれており、繰り返し改善できます。

第三のメリットは、豊富な教材が提供されることです。過去問の詳細な解説、模範解答例、論文作成のテクニック集、重要キーワード集など、独学では入手困難な資料が得られます。これらの教材は、長年の指導経験に基づいて作成されており、効率的な学習を支援します。

第四のメリットは、質問やサポート体制があることです。分からないことがあれば質問でき、学習方法についてのアドバイスも受けられます。孤独に悩む必要がなく、安心して学習を進められます。

第五のメリットは、合格者のノウハウが得られることです。通信講座の講師や添削者は、自身が技術士試験を突破した経験を持っています。試験本番でのコツや、時間管理の方法、よくある失敗など、実践的なアドバイスが得られます。

第六のメリットは、学習ペースの管理がしやすいことです。提出期限が設定されているため、計画的に学習を進める動機付けになります。自己管理が苦手な人にとって、この外的な強制力は有効です。

第七のメリットは、最新の試験情報が提供されることです。制度変更や出題傾向の変化など、重要な情報がタイムリーに提供されます。

ただし、通信講座を利用する場合でも、受動的に指示を待つだけでは十分な効果は得られません。提供された教材を活用し、積極的に論文を作成し、添削を求める姿勢が重要です。

技術士試験の通信講座の選び方

通信講座を利用することを決めた場合、次に重要なのは適切な講座の選択です。いくつかの判断基準があります。

第一の基準は、自分の技術部門に対応しているかです。技術士試験は21の技術部門があり、部門によって試験内容が異なります。自分の受験する技術部門に特化したコースがあるかを確認します。

第二の基準は、添削者の質です。添削を担当するのは誰か、その人は自分と同じ技術部門の合格者か、指導経験は豊富かなどを確認します。可能であれば、添削サンプルを見せてもらい、フィードバックの質を確認することも有効です。

第三の基準は、添削回数と返却期間です。何回の添削が含まれているか、提出してから返却までどの程度の期間がかかるかを確認します。添削回数が多いほど良いというわけではありませんが、最低でも5回程度は必要です。また、返却に1カ月以上かかる講座は、学習のペースが遅くなる可能性があります。

第四の基準は、教材の充実度です。論文添削だけでなく、過去問の解説、模範解答集、キーワード集、白書の要約など、どのような教材が提供されるかを確認します。動画講義やオンライン教材が含まれている講座もあります。

第五の基準は、サポート体制です。質問への対応体制はどうか、学習相談はできるか、受講生同士の交流の場はあるかなどを確認します。充実したサポート体制は、学習のモチベーション維持に貢献します。

第六の基準は、費用と合格実績です。費用は10万円から30万円程度と幅がありますが、高ければ良いというわけではありません。費用対効果を考慮し、自分の予算に合った講座を選びます。また、合格実績が公開されている場合は、それも参考にします。

第七の基準は、口コミや評判です。実際に受講した人の感想や評価を確認します。ただし、個人の感想には主観が含まれるため、複数の情報源を参考にすることが重要です。

多くの通信講座では、無料の資料請求やサンプル教材の提供、説明会の開催などを行っています。複数の講座を比較検討し、自分に最も合ったものを選ぶことが、合格への近道となります。

技術士試験の通信講座に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の勉強法|必要な勉強時間と効率的な学習計画

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技術士二次試験に関連するよくある質問(FAQ)

技術士二次試験の勉強法について、受験者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの情報が、あなたの学習計画立案の参考になれば幸いです。

Q. 技術士二次試験の勉強はいつから始めるべきですか?

技術士二次試験の勉強は、理想的には試験の1年前から始めることをお勧めします。前年の12月から1月頃に学習を開始すれば、7月の筆記試験まで約6~7カ月の準備期間を確保できます。この期間があれば、基礎固め、論文演習、添削による改善というプロセスを余裕を持って進められます。

ただし、実務経験が豊富で論文作成に慣れている人であれば、半年程度の準備でも合格可能です。逆に、論文作成の経験が少ない人や、実務経験が浅い人は、1年以上の準備期間を確保することが望ましいでしょう。

重要なのは、開始時期よりも継続的に学習を進めることです。短期間での詰め込み学習では、論文作成力を十分に養うことができません。計画的に、継続的に学習を進めることが合格への鍵となります。

Q. 技術士二次試験は独学で合格できますか?

技術士二次試験に独学で合格することは可能です。実際に、独学で合格している人も少なくありません。ただし、独学には限界があることも理解しておく必要があります。

独学で合格するためには、強い自己管理能力と、情報収集力、そして何よりも継続する意志が必要です。また、完全な独学ではなく、少なくとも数回は技術士合格者や専門家による論文添削を受けることを強く推奨します。

自分の論文を客観的に評価することは困難です。第三者の視点からのフィードバックにより、自分では気づかない問題点が明らかになり、効率的に論文の質を向上させることができます。技術士会の支部や、職場の先輩、知人などに協力を求めることも検討してみましょう。

予算に余裕がある場合は、通信講座の利用も検討する価値があります。体系的な学習と専門家の指導により、合格の可能性を高めることができます。

Q. 技術士試験の勉強時間は1日何時間必要ですか?

技術士二次試験の合格に必要な総勉強時間は300~500時間程度です。これを試験までの期間で割ると、1日あたりに必要な勉強時間が見えてきます。

例えば、試験の半年前(約180日)から勉強を始める場合、総勉強時間を400時間とすると、1日あたり約2.2時間の学習が必要です。1年前(約365日)から始める場合は、1日あたり約1.1時間となります。

働きながら受験する場合、平日に毎日2~3時間の学習時間を確保することは現実的ではありません。現実的なスケジュールとしては、平日は朝1時間、夜1~2時間の合計2時間程度、週末に5~10時間のまとまった学習時間を確保する計画が考えられます。

週に合計20時間程度の学習を6カ月継続すれば、約480時間の学習時間を確保できます。これだけの時間を確保できれば、十分に合格レベルに到達できる可能性があります。

重要なのは、毎日少しずつでも継続することです。週末だけ集中して勉強するよりも、平日にも少しずつ学習を進める方が、知識の定着や論文力の向上に効果的です。

Q. 技術士二次試験の参考書は何を選べばいいですか?

技術士二次試験の参考書選びは、自分の技術部門と学習目的に応じて行うことが重要です。いくつかのカテゴリーに分けて考えるとよいでしょう。

まず、試験制度と全体像を理解するための入門書が必要です。技術士試験の仕組み、申込方法、試験内容などを解説した書籍を1冊読むことで、全体像が把握できます。

次に、論文作成のテクニックを学ぶための書籍が有用です。論文の構成、書き方のコツ、時間配分の方法などを解説した本は、論文作成の基礎を築くのに役立ちます。

自分の技術部門に特化した参考書も重要です。部門別の出題傾向、重要キーワード、模範解答例などが掲載された書籍を選びます。ただし、全ての技術部門の参考書が充実しているわけではないため、選択肢が限られる場合もあります。

過去問集も必須です。過去問の解説と模範解答例が掲載された書籍を入手し、徹底的に分析します。日本技術士会のウェブサイトから過去3年分の問題は無料で入手できますが、解説がないため、解説付きの過去問集を購入することをお勧めします。

技術士試験のおすすめ参考書では、一次試験・二次試験別に厳選した参考書を紹介しています。

Q. 技術士の論文は何回くらい書く練習をすべきですか?

技術士二次試験の合格には、最低でも30本程度の論文を実際に書く練習が必要です。理想的には、40~50本程度書くことをお勧めします。

論文の本数だけでなく、質も重要です。ただ書くだけでなく、添削を受けて改善するサイクルを繰り返すことが重要です。同じ問題で複数回書き直すことも効果的です。

具体的な配分としては、必須科目の論文を10~15本、選択科目の論文を20~30本程度書くとよいでしょう。選択科目は問題数が多く、より多くの練習が必要です。

また、論文を書く時期も重要です。学習の初期段階では、時間をかけて丁寧に書き、中期以降は徐々に時間制限を設けて書く練習をします。試験の1カ月前からは、本番と同じ条件での模擬試験を数回実施することをお勧めします。

論文を書く際は、必ず手書きで練習することが重要です。パソコンで文章を作成する練習も有用ですが、試験本番は手書きですので、手書きでの論文作成に慣れておく必要があります。長時間の手書きは想像以上に疲れますし、時間もかかります。本番で手が痛くなったり、時間が足りなくなったりしないよう、十分に練習しておきましょう。

Q. 技術士試験の白書は全て読む必要がありますか?

技術士試験の白書を全て精読する必要はありません。時間も限られていますし、全ての白書を読むことは現実的ではありません。重要なのは、自分の技術部門に関連する主要な白書を重点的に読むことです。

まず優先すべきは、自分の技術部門に直接関連する白書です。機械部門であれば「ものづくり白書」、土木部門であれば「国土交通白書」、電気電子部門であれば「エネルギー白書」といった具合に、部門ごとに重要な白書があります。

次に、ほぼ全ての技術部門に関連する「科学技術・イノベーション白書」も重要です。日本の科学技術政策の方向性や、研究開発の動向など、技術士として知っておくべき基本的な情報が含まれています。

白書を読む際は、全てのページを精読する必要はありません。目次を見て自分の専門分野に関連する章や節を特定し、そこを重点的に読みます。特に第1部のトピックスは比較的読みやすく、重要なテーマがまとめられているため、まずここから読み始めるとよいでしょう。

重要な情報が見つかったら、マーカーを引いたり、ノートにまとめたりして、後で参照しやすいようにしておきます。統計データや政策の方向性など、論文作成に直接役立つ情報を抽出することが目的です。

Q. 技術士二次試験の勉強でモチベーションを保つコツは?

技術士二次試験の勉強は長期戦です。半年から1年にわたる学習期間中、モチベーションを維持することは大きな課題です。いくつかの工夫でモチベーションを保つことができます。

第一のコツは、明確な目標を設定することです。単に「合格したい」という漠然とした目標ではなく、「技術士資格を取得して、プロジェクトリーダーとして活躍したい」「技術的権威として社会に貢献したい」など、具体的な目標を持つことが重要です。

第二のコツは、小さな達成感を積み重ねることです。「今週は論文を3本書く」「今月中に白書を1冊読み終える」など、短期的な目標を設定し、達成するたびに自分を褒めます。学習記録をつけて、自分の進歩を可視化することも効果的です。

第三のコツは、学習環境を整えることです。勉強する場所や時間を決めて習慣化すると、モチベーションに頼らず継続できます。朝の通勤時間、昼休み、寝る前の1時間など、決まった時間に勉強することで、習慣として定着します。

第四のコツは、仲間を作ることです。同じ目標を持つ受験仲間がいると、励まし合い、情報交換をすることでモチベーションが維持できます。職場の同僚や、技術士会の勉強会、通信講座の受講生コミュニティなどを活用しましょう。

第五のコツは、適度な休息を取ることです。無理に勉強を続けて燃え尽きてしまうよりも、計画的に休息日を設けることで、長期的に学習を継続できます。

第六のコツは、合格後の自分をイメージすることです。技術士として活躍している姿、周囲から認められている状況を具体的に想像することで、モチベーションが高まります。

技術士試験の勉強法全般に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の勉強法|必要な勉強時間と効率的な学習計画

まとめ:技術士二次試験の効率的な勉強法で合格を目指す

本記事では、技術士二次試験の勉強法について、筆記試験と口頭試験それぞれの対策方法を詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 技術士二次試験には体系的な学習計画が必要:平均300~500時間の勉強時間を確保し、過去問分析、白書の読み込み、キーワード整理、論文演習、添削による改善というプロセスを計画的に進めることが重要です。一次試験とは異なり、論文作成力という実践的なスキルを磨く必要があります。
  2. 論文添削による客観的な評価が合格の鍵:独学だけでは自分の論文の問題点を把握することが困難です。技術士合格者や通信講座の添削サービスを活用し、専門家からのフィードバックを受けながら、繰り返し論文を改善していくことが、確実に合格レベルに到達する方法です。
  3. 口頭試験対策は筆記試験後から着手:筆記試験後に業務経歴票の作成を始め、合格発表後に本格的な対策を行います。業務経歴の整理、想定質問への回答準備、技術士倫理・3義務2責務の学習を通じて、技術士としての姿勢と見識を示せるよう準備します。

技術士二次試験の勉強法を理解できたら、次は実際に学習計画を立てて行動を始めましょう。技術士二次試験の試験制度過去問活用法を参考に、計画的に進めることをおすすめします。

本記事を通じて、技術士二次試験の効果的な勉強法と、合格に必要な準備内容を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、技術士資格取得という目標の実現に向けて一歩を踏み出しましょう。継続的な努力と適切な対策により、必ず合格を勝ち取ることができます。

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