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技術士口頭試験の対策方法|質問例・評価基準・合格のコツ

技術士口頭試験について知りたいあなたへ。「口頭試験でどんな質問をされるのか」「どう対策すれば合格できるのか」という不安は、適切な準備と対策方法を理解することで解決できます。本記事では、技術士口頭試験の評価項目と配点、よくある質問例と回答のコツ、効果的な対策方法について、実際の試験データを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、技術士二次試験の最終合格に向けて、確実な準備を進めましょう。

この記事を読むとわかること

  • 技術士口頭試験の実施概要と評価基準
  • コンピテンシー評価の具体的な内容と対策方法
  • 口頭試験でよく聞かれる質問例と効果的な回答方法
  • 合格率を高めるための実践的な対策方法

押さえておきたい3つのポイント

  1. 技術士口頭試験の合格率は約95%:筆記試験合格者のほとんどが口頭試験も合格していますが、適切な準備がなければ不合格になる可能性があります。合格基準は全項目60%以上の評価を得ることです。
  2. コンピテンシー評価が重視される:技術士としてのコミュニケーション能力、リーダーシップ、評価能力、マネジメント能力が評価されます。技術的な知識だけでなく、技術者としての資質が問われる試験です。
  3. 業務経歴票の作り込みが成否を分ける:口頭試験の質問の多くは、提出した業務経歴票に基づいて行われます。経歴票を戦略的に作成することで、質問をコントロールし、自分の強みをアピールできます。

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目次

技術士口頭試験とは

技術士口頭試験は、技術士二次試験の最終段階として実施される面接形式の試験です。筆記試験で専門的な知識や応用能力を評価された後、この口頭試験では技術士としての適性や人物像が総合的に判断されます。

試験時間は約20分間で、試験官2名との対面形式で行われます。提出した業務経歴票の内容、筆記試験の答案、受験動機、技術士としての適性などについて質問されます。緊張する場面ですが、試験官は受験者を落とすためではなく、技術士としての資質を確認するために質問しているという理解が欠かせません。

技術士二次試験における口頭試験の位置づけ

技術士二次試験は、筆記試験と口頭試験の2段階で構成されています。筆記試験では必須科目と選択科目の記述式試験を通じて、専門知識や課題解決能力が評価されます。筆記試験に合格した受験者のみが口頭試験に進むことができます。

口頭試験は二次試験の最終関門であり、ここで合格すれば技術士資格を取得できます。筆記試験が知識や能力の評価であるのに対し、口頭試験は技術士としての資質や倫理観、コミュニケーション能力など、人物面の評価が中心となります。

技術士二次試験の基本情報では、二次試験全体の流れと各試験の位置づけについて詳しく解説しています。

技術士筆記試験との違い

筆記試験と口頭試験には明確な違いがあります。筆記試験は記述式で、専門知識、応用能力、課題解決能力、論理的思考力などが評価されます。解答時間が長く、じっくりと考えて論述する形式です。

一方、口頭試験は対話形式で、その場で質問に即答する必要があります。評価されるのは、コミュニケーション能力、技術者としての実務能力、倫理観、継続研さんへの姿勢などです。準備した内容を話すだけでなく、予想外の質問にも適切に対応する柔軟性が求められます。

筆記試験は「何を知っているか」を問う試験であり、口頭試験は「どう考え、どう行動するか」を問う試験と言えるでしょう。

技術士口頭試験の目的と重要性

技術士口頭試験の目的は、受験者が技術士法に定められた技術士の資質を備えているかを直接確認することです。技術士は公益を確保する責務を負う重要な資格であり、専門知識だけでなく、高い倫理観と社会的責任感が求められます。

口頭試験では、受験者の人柄、考え方、価値観などを通じて、技術士としてふさわしい人物かどうかが判断されます。業務経歴から実務経験の実態を確認し、技術者倫理に関する理解度を測り、継続的に学び続ける姿勢があるかを評価します。

この試験を通過することで、受験者は単に知識を持つだけでなく、技術士としての自覚と責任感を持つ人物として認められることになります。技術士資格の信頼性を保つ上で、口頭試験は極めて大きな役割を果たしています。

技術士二次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験とは?試験制度・受験資格・日程を詳しく解説

技術士口頭試験の実施概要

技術士口頭試験の実施時期、会場、試験時間などの基本情報を理解しておくことは、試験準備の第一歩です。試験日程や会場の制約を把握することで、早めの準備計画を立てることができます。

口頭試験は筆記試験合格者のみが受験できる試験です。受験票が届いてから試験日までの期間は比較的短いため、事前に実施概要を理解し、準備を進めておくことが欠かせません。

技術士口頭試験の実施時期・日程

技術士口頭試験は、通常、筆記試験の合格発表後、1~2ヶ月程度の期間内に実施されます。具体的には、筆記試験が7月に実施され、10月下旬に合格発表があり、口頭試験は11月中旬から12月中旬にかけて行われることが一般的です。

試験日は受験者ごとに指定され、受験票に記載されています。日程の変更は基本的にできないため、仕事の調整などは早めに行わなければなりません。総合技術監理部門の受験者は、一般部門の口頭試験とは別に、総監の口頭試験も受験する必要があり、2回の試験日が指定されます。

受験票は筆記試験合格発表の約2週間後に郵送されるため、それまでに模擬面接や想定質問の準備を進めておくことをおすすめします。

試験会場(東京のみ)と試験時間

技術士口頭試験の会場は東京都内のみで実施されます。日本技術士会の会議室や、東京都内の貸会議室などが使用されることが多く、具体的な会場は受験票に記載されています。全国各地の受験者が東京に集まるため、遠方の受験者は宿泊や交通手段の手配が不可欠です。

試験時間は1人あたり約20分間です。受験票には集合時刻が記載されており、その時刻に会場へ到着しなければなりません。遅刻は原則として認められないため、余裕を持って会場に向かうことが不可欠です。

試験当日は、複数の受験者が同じ時間帯に集合し、順番に試験室に呼ばれます。待機時間が長くなることもあるため、待ち時間に最終確認できる資料を持参すると良いでしょう。

技術士口頭試験の試験官の構成

技術士口頭試験の試験官は、原則として2名で構成されます。両名とも技術士の資格を持ち、受験者と同じ部門または関連する部門の技術士が担当することが一般的です。試験官は受験者の専門分野を理解した上で質問を行います。

試験官の役割は、受験者が技術士としてふさわしい資質を備えているかを公平に評価することです。威圧的な態度で接することはなく、むしろ受験者の良い面を引き出そうとする姿勢で臨んでいます。技術士としての経験豊富な先輩として、受験者と対話をする形式で試験が進められます。

試験官は事前に受験者の業務経歴票と筆記試験の答案を確認しており、それらに基づいて質問を準備しています。そのため、提出書類の内容を正確に把握し、一貫性のある回答ができるように準備することが欠かせません。

技術士試験の申し込みでは、業務経歴票の作成方法など、申し込み時の重要なポイントを解説しています。

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技術士試験の申し込み方法|期間・手続き・必要書類を解説

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技術士口頭試験の合格率と合格基準

技術士口頭試験の合格率は非常に高く、適切な準備をすれば合格できる試験です。しかし、合格基準を満たせなければ不合格となり、翌年度の再受験が必要になります。合格率の推移と合格基準を理解し、確実に合格できる準備を進めましょう。

技術士口頭試験の合格率推移

技術士口頭試験の合格率は、例年95%前後と非常に高い水準で推移しています。2022年度のデータでは、口頭試験受験者のうち約95.8%が合格しています。この高い合格率から、筆記試験に合格した受験者の大半が口頭試験も通過していることがわかります。

ただし、この高い合格率は「口頭試験が簡単」という意味ではありません。筆記試験合格者は既に高い専門能力を有しており、多くの受験者が口頭試験に向けて十分な準備をしているからこそ、この合格率が維持されています。

部門によって合格率には若干の差があり、総合技術監理部門は他の部門に比べてやや合格率が低い傾向にあります。これは評価項目が多く、より高度な管理能力が求められるためです。

技術士二次試験の合格率詳細では、筆記試験と口頭試験を含む全体の合格率について詳しく解説しています。

全項目60%以上が合格条件

技術士口頭試験の合格基準は、全ての評価項目において60%以上の評価を得ることです。これは非常に重要なポイントで、特定の項目で満点に近い評価を得ても、1つでも60%未満の項目があれば不合格となります。

評価は試験官2名が各項目について採点し、その平均点で判定されます。評価項目は部門によって異なりますが、一般的な20部門では、コミュニケーション、リーダーシップ、評価、マネジメントの4項目が評価されます。総合技術監理部門では、これらに加えて総監固有の評価項目が追加されます。

各項目の配点は均等ではなく、それぞれの重要度に応じて配分されています。そのため、全ての項目について偏りなく準備し、バランスの取れた回答ができるようにすることが合格への鍵となります。

技術士口頭試験で不合格になるケース

技術士口頭試験で不合格になるケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。最も多いのは、技術者倫理に関する理解が不足しているケースです。技術士の3義務2責務について正確に説明できない、または公益確保の重要性を理解していないと判断されると、不合格となる可能性が高まります。

次に多いのは、業務経歴票の内容と口頭での説明に矛盾があるケースです。経歴票に記載した業務内容を正確に説明できない、または実際には主導的な役割を果たしていなかったことが判明すると、実務経験が不十分と判断されます。

コミュニケーション能力に問題があると判断されるケースもあります。質問の意図を理解せず的外れな回答を繰り返す、極端に短い回答しかしない、逆に長すぎて要点が伝わらないなどの場合です。さらに、継続研さんの計画が具体性に欠ける、または技術士としての自覚が感じられないと判断されると、不合格となることがあります。

これらの不合格ケースを理解し、それぞれに対する適切な対策を講じることで、合格率を高めることができます。

技術士二次試験の合格率に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験の合格率推移と合格発表・官報確認方法

技術士口頭試験の評価項目と配点

技術士口頭試験では、部門によって評価項目が異なります。20の一般部門と総合技術監理部門では評価の観点が異なるため、自分の受験部門の評価項目を正確に理解することが欠かせません。

評価項目を理解することで、どのような質問が想定され、どのような回答を準備すべきかが明確になります。各項目の配点や時間配分を把握し、効率的な対策を立てましょう。

20部門の技術士口頭試験の評価項目

機械、電気電子、建設、情報工学など20の一般部門では、共通の評価項目が設定されています。具体的には、コミュニケーション、リーダーシップ、評価、マネジメントの4つの能力(コンピテンシー)が評価されます。

コミュニケーションでは、業務内容の説明能力や質問への的確な応答が評価されます。リーダーシップでは、業務遂行における主体性や周囲との協働能力が問われます。評価の項目では、業務の成果や課題を客観的に分析し、改善策を提案できる能力が評価されます。マネジメントでは、業務の計画立案や資源配分、進捗管理などの能力が確認されます。

これら4つの項目は、それぞれ独立して評価されるのではなく、相互に関連しています。例えば、業務経歴の説明ではコミュニケーション能力が、その業務での役割説明ではリーダーシップが、成果の分析では評価能力が、業務の進め方ではマネジメント能力が問われます。

総合技術監理部門の評価項目

総合技術監理部門の口頭試験では、20部門の評価項目に加えて、総監固有の評価項目が追加されます。具体的には、総合技術監理の5つの管理技術(経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理)に関する理解度と応用能力が評価されます。

総監部門の受験者は、一般部門の口頭試験と総監部門の口頭試験の両方を受験する必要があります。一般部門の試験では基本的なコンピテンシーが評価され、総監部門の試験では統合的な管理能力が評価されます。

総監部門の試験では、複数の管理技術を横断的に活用した事例や、トレードオフの関係にある課題をどのように調整したかなど、より高度な判断能力が問われます。筆記試験で記述した総監の視点が、実際の業務でどのように活用されているかを具体的に説明できるよう準備しましょう。

各評価項目の配点と時間配分

技術士口頭試験の約20分間は、大まかに以下のように配分されます。業務経歴に関する質問が約10分、技術士としての適性に関する質問が約8分、受験動機や今後の継続研さんに関する質問が約2分程度です。ただし、これはあくまで目安であり、受験者の回答内容によって時間配分は変動します。

評価項目の配点は公表されていませんが、コミュニケーション能力とリーダーシップが重視される傾向にあります。これは、技術士として業務を遂行する上で、これらの能力が特に求められるためです。技術的な知識は筆記試験で評価されているため、口頭試験では人物面の評価に重点が置かれます。

各質問において、複数の評価項目が同時に評価されることも多くあります。例えば、業務での問題解決について質問された場合、コミュニケーション能力(説明の分かりやすさ)、リーダーシップ(主体的な取り組み)、評価能力(問題の分析)、マネジメント能力(解決策の実施)が総合的に評価されます。そのため、各質問に対して多面的な視点を持って回答することが欠かせません。

技術士口頭試験のコンピテンシー評価

技術士口頭試験では、コンピテンシー(行動特性)が重点的に評価されます。コンピテンシーとは、技術士として求められる能力や資質を行動として表したものです。具体的な業務経験を通じて、これらの能力をどのように発揮してきたかが問われます。

コンピテンシー評価を理解することで、どのような観点で自分の経験を整理し、説明すべきかが明確になります。それぞれの評価項目について、具体例を交えて説明できるように準備しましょう。

コミュニケーション能力の評価

コミュニケーション能力は、技術士として最も基本的かつ不可欠な能力の一つです。口頭試験では、質問の意図を正確に理解し、簡潔で分かりやすく回答できるかが評価されます。専門用語を適切に使用しながらも、相手が理解できる説明ができることが欠かせません。

評価のポイントは、回答の論理性、説明の明瞭さ、適切な言葉遣いなどです。長々と話すのではなく、質問に対して端的に答え、追加で聞かれたら詳細を説明する姿勢が好まれます。自分の考えを整理して伝える能力、相手の反応を見ながら説明を調整する柔軟性も評価されます。

業務経歴の説明では、プロジェクトの背景、自分の役割、実施内容、成果を順序立てて説明できることが望ましいでしょう。専門外の人でも理解できるように、技術的な内容を分かりやすく伝える工夫が必要となります。聞かれていないことまで話しすぎず、聞かれたことに的確に答える姿勢が、高いコミュニケーション能力として評価されます。

リーダーシップの評価

リーダーシップは、単に管理職であることを意味するのではありません。技術士におけるリーダーシップとは、技術的な判断において主体的に考え、行動し、周囲を巻き込んで業務を推進する能力を指します。

評価されるのは、業務において自分がどのような役割を担い、どう主導的に動いたかです。問題が発生した際に自ら解決策を提案したか、チームメンバーや関係者との調整をどのように行ったか、技術的な判断を自分で下したかなどが問われます。

若手技術者の場合、大規模プロジェクトの統括経験がなくても問題ありません。自分が担当した範囲において、主体的に考え、行動した経験を具体的に説明できれば十分です。例えば、上司の指示を待つのではなく自ら提案をした、新しい手法を導入して効率を改善した、後輩に技術指導を行ったなどの経験が、リーダーシップの発揮として評価されます。

評価能力とマネジメント能力

評価能力は、自分の業務や成果を客観的に分析し、改善点を見出す能力です。口頭試験では、担当した業務について「どのような成果が得られたか」「何が課題だったか」「次に同様の業務を行うとしたらどう改善するか」といった質問を通じて評価されます。

単に「うまくいった」「問題なかった」という回答ではなく、定量的なデータや具体的な事例を示しながら、成果と課題を分析できることが求められます。失敗した経験についても、その原因を分析し、そこから学んだことを説明できれば、高い評価能力として認められます。

マネジメント能力は、業務を計画し、資源を配分し、進捗を管理する能力です。業務をどのように計画したか、スケジュール管理や予算管理をどう行ったか、リスクをどう想定し対応したかが問われます。大規模プロジェクトの経験がなくても、自分の担当範囲における計画立案と実行管理の経験を説明できれば十分です。

これら2つの能力は密接に関連しており、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)の観点で業務を説明できると、両方の能力を効果的にアピールできます。

技術士としての実務能力の確認

技術士としての実務能力とは、専門技術を実務で応用できる能力です。口頭試験では、業務経歴票に記載された業務について、技術的な詳細や判断根拠を質問されます。表面的な理解ではなく、技術的な本質を理解し、実務に適用できることを示す必要があります。

質問では、採用した技術の選定理由、他の選択肢との比較、技術的な課題とその解決方法などが問われます。最新の技術動向を把握し、自分の専門分野における位置づけを説明できることも欠かせません。専門分野の知識を単に暗記しているのではなく、実務経験と結びつけて理解していることを示すことが欠かせません。

さらに、業務における技術的な判断が、公益確保や安全性の観点から適切であったかも評価されます。コスト削減や効率化だけでなく、社会的な影響や環境への配慮など、技術士としての広い視野を持って業務に取り組んでいることを説明できることが求められます。

技術士口頭試験の技術者倫理

技術者倫理は技術士口頭試験において最も重視される項目の一つです。技術士法で定められた3義務2責務を正確に理解し、それらを実務でどのように実践しているかを説明できることが合格の必須条件です。

倫理に関する質問への回答が不十分な場合、たとえ他の項目で高評価を得ていても不合格となる可能性があります。技術士としての倫理観と社会的責任を深く理解しましょう。

技術士の3義務2責務とは

技術士の3義務とは、信用失墜行為の禁止、技術士等の秘密保持義務、技術士等の名称表示の場合の義務の3つです。信用失墜行為の禁止は、技術士の信用や品位を損なう行為をしてはならないという義務です。秘密保持義務は、業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならないという義務です。名称表示の義務は、技術士の名称を表示して業務を行う際には、技術部門を明示しなければならないという義務です。

技術士の2責務とは、公益確保の責務と資質向上の責務の2つです。公益確保の責務は、技術士が業務を行うに当たって、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならないという責務です。資質向上の責務は、技術士は常に技術の習得と知識の向上に努めなければならないという責務です。

これら3義務2責務は、技術士法に明記されており、技術士としての基本的な行動規範となっています。口頭試験では、これらを正確に説明できるだけでなく、実務でどのように実践しているかを具体例とともに説明することが求められます。

公益確保の責務の説明方法

公益確保の責務は、技術士の最も重要な責務です。口頭試験では、公益確保とは何か、なぜ重要なのか、実務でどう実践しているかを具体的に説明できることが求められます。

公益とは、不特定多数の人々の利益や社会全体の利益を意味します。技術士は専門的な技術判断を行う際、依頼者や雇用者の利益だけでなく、社会全体への影響を考慮する必要があります。例えば、コスト削減のために安全性を犠牲にしない、環境への負荷を最小限に抑える設計を行う、利用者の安全を最優先するなどが公益確保の実践例です。

説明する際は、自分の業務において公益をどのように意識し、どのような判断をしたかを具体的に述べることが求められます。「公益を考慮しました」という抽象的な表現ではなく、「〇〇の観点から△△という判断をし、□□という結果を得ました」という具体的な説明が求められます。

また、公益確保と依頼者の利益が対立した場合、どのように調整するかという質問もよく聞かれます。その際は、技術士として公益を優先すべきことを明確に述べた上で、依頼者の理解を得るためのコミュニケーション方法について説明すると良いでしょう。

技術士の倫理綱領では、3義務2責務の詳細と実務での活用方法について解説しています。

技術士倫理に関する質問例と回答

技術士倫理に関する典型的な質問には、以下のようなものがあります。「技術士の3義務2責務について説明してください」という基本的な質問から始まり、「あなたの業務で公益確保をどのように実践していますか」「秘密保持義務と情報共有のバランスをどう取っていますか」といった実践的な質問が続きます。

回答のポイントは、定義を正確に述べた後、必ず自分の実務経験と結びつけることです。例えば、「公益確保の責務とは、公共の安全や環境保全などの公益を害さないよう努める責務です。私の業務では、設計時に安全率を十分に確保し、環境負荷の低い材料を選定することで実践しています」という形で説明します。

難しい質問として、倫理的ジレンマについて聞かれることもあります。「依頼者から安全性よりもコスト優先を要求されたらどうしますか」といった質問です。この場合、技術士として公益を優先すべきことを明確に述べ、依頼者にリスクを説明し理解を求める姿勢を示すことが求められます。ただし、現実的には両立の方法を探る柔軟性も必要であり、代替案の提示などの建設的なアプローチも説明すると良いでしょう。

技術士の倫理綱領に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士の倫理綱領とは?3つの責務と職業倫理を解説

技術士口頭試験の継続研さん(CPD)

継続研さんは、技術士の資質向上の責務を果たすための重要な活動です。口頭試験では、これまでの継続研さんの実績と、技術士取得後の継続研さん計画について質問されます。

技術の進歩が早い現代において、技術士が常に最新の知識や技術を習得し続けることは極めて求められます。具体的な継続研さんの計画を示すことで、技術士としての自覚と向上心をアピールできます。

技術士CPDとは

CPD(Continuing Professional Development)とは、継続研さんのことで、技術士が専門知識や技術を継続的に向上させるための学習活動です。技術士法では、技術士に資質向上の責務が課されており、CPDはその責務を果たすための具体的な活動となります。

日本技術士会では、CPD活動を記録・管理するシステムを提供しており、多くの技術士が活用しています。CPD活動には、学会や講習会への参加、論文執筆、社内勉強会の開催、技術書の執筆や翻訳、後輩への技術指導など、様々な形態があります。

口頭試験では、既に技術士補や修習技術者として、どのようなCPD活動を行ってきたかが質問されます。単に「勉強しています」という抽象的な回答ではなく、具体的にどのような活動を何回行い、何を学んだかを説明できるようにしておきましょう。

継続研さんの具体例

継続研さんの具体例としては、まず学会や技術団体への参加があります。専門分野の学会に所属し、年次大会や研究発表会に参加することで、最新の技術動向を把握できます。学会での発表や論文投稿も、質の高いCPD活動として評価されます。

講習会やセミナーへの参加も重要な活動です。新しい規格や法令の改正に関する講習会、最新技術に関するセミナー、マネジメント能力向上のための研修などがあります。社外の講習会だけでなく、社内で開催される技術研修や勉強会も継続研さんに含まれます。

資格取得も継続研さんの一つです。専門分野に関連する資格を取得することで、体系的な知識を習得できます。技術書や専門誌の購読、オンライン学習プラットフォームの活用、業界団体の委員会活動への参加なども有効な継続研さん活動です。これらの活動を定期的に行い、年間50時間以上のCPD時間を確保することが望ましいとされています。

技術士になってからの継続研さん計画

口頭試験では、「技術士になったらどのような継続研さんを行う予定ですか」という質問が必ず聞かれます。この質問に対しては、具体的で実現可能な計画を述べることが求められます。

計画には、短期的な目標と長期的な目標の両方を含めると良いでしょう。短期的には、技術士登録後すぐに開始できる活動を述べます。例えば、「技術士会に入会し、〇〇委員会に参加する」「専門分野の最新規格について学ぶ」「社内で若手技術者向けの勉強会を開催する」などです。

長期的には、自分の専門性をさらに深めるための計画や、関連分野への知識拡大の計画を述べます。「3年以内に関連する〇〇資格を取得する」「5年以内に学会で研究発表を行う」「後進の育成に積極的に関わる」などの具体的な目標を示すことで、向上心と計画性をアピールできます。

技術士として社会貢献を行う計画も述べると良いでしょう。「技術士会の活動に参加して社会貢献を行う」「地域の教育活動に協力する」などです。ただし、実現不可能な壮大な計画ではなく、現実的で継続可能な内容にすることが求められます。

技術士口頭試験でよくある質問例

技術士口頭試験では、ある程度パターン化された質問が多く出題されます。これらの質問を事前に把握し、適切な回答を準備しておくことで、試験当日に落ち着いて対応できます。

質問は大きく分けて、業務経歴に関する質問、筆記試験の答案に関する質問、受験動機や将来計画に関する質問の3つに分類されます。それぞれの質問パターンと回答のポイントを理解しましょう。

業務経歴に関する質問例

業務経歴に関する質問は、口頭試験の中心となる質問です。提出した業務経歴票に基づいて、具体的な業務内容、技術的判断、自分の役割などが詳しく質問されます。

典型的な質問としては、「業務経歴票の〇〇業務について詳しく説明してください」「その業務でのあなたの役割は何でしたか」「どのような技術的課題があり、どう解決しましたか」「その業務の成果を定量的に教えてください」などがあります。

これらの質問に答える際は、STAR法(Situation:状況、Task:課題、Action:行動、Result:結果)を使うと効果的です。業務の背景や状況を説明し、直面した課題を述べ、自分がとった行動を説明し、得られた成果を定量的に示す、という流れで説明すると、論理的で分かりやすい回答になります。

また、「なぜその技術を選んだのですか」「他の選択肢は検討しましたか」といった技術的判断の根拠を問う質問もよくあります。単に「上司の指示だった」ではなく、自分なりの技術的判断があったことを示すことが求められます。

筆記試験の答案に関する質問例

筆記試験の答案内容について質問されることもあります。特に、必須科目や選択科目で論述した内容について、より詳しい説明や補足を求められることがあります。

「筆記試験の〇〇の問題で、△△と書かれていますが、その根拠を教えてください」「その解決策を実際に適用する場合の課題は何ですか」「他にどのような解決策が考えられますか」といった質問です。

これらの質問に答えるためには、筆記試験で自分が何を書いたか、口頭試験までに再確認しておく必要があります。特に、問題の見解や提案した解決策については、その根拠や実現可能性を深掘りして考えておくことが欠かせません。

筆記試験の答案は、コピーを取っておくか、記憶している範囲でメモを作成しておくことをおすすめします。口頭試験での質問に一貫性を持って答えられるよう、自分の主張を再確認しましょう。

受験動機に関する質問例

受験動機に関する質問は、技術士を目指す意識や将来のビジョンを確認するための質問です。「なぜ技術士を取得しようと思ったのですか」「技術士を取得して何をしたいですか」「あなたにとって技術士とは何ですか」などが典型的な質問です。

この質問に対しては、単に「キャリアアップのため」「会社に言われたから」という表面的な理由ではなく、技術士としての社会的責任や公益確保への意識を示すことが求められます。例えば、「専門技術を通じて社会に貢献したい」「公益確保の責務を果たせる技術者になりたい」といった、技術士の理念に沿った動機を述べることが望ましいでしょう。

「技術士を取得した後のキャリアプランは」という質問もあります。具体的な目標を持っていることを示すため、「〇〇の分野でより高度な技術開発に携わりたい」「後進の育成に力を入れたい」「技術士としての社会貢献活動に参加したい」など、実現可能な計画を述べると良いでしょう。

成功・失敗事例に関する質問

業務における成功事例や失敗事例について質問されることもあります。成功事例については、「これまでの業務で最も成功した事例を教えてください」「その成功の要因は何ですか」「その経験から何を学びましたか」といった質問です。

成功事例を説明する際は、自慢話にならないよう注意が求められます。成功に至るまでの課題や困難、チームメンバーの協力なども含めて説明し、謙虚な姿勢を示すことが求められます。その成功が社会や顧客にどのような価値をもたらしたかという視点も盛り込むと良いでしょう。

失敗事例については、「業務で失敗した経験はありますか」「その原因は何でしたか」「そこから何を学び、その後どう活かしましたか」という質問です。失敗経験を隠すのではなく、正直に説明し、原因分析と改善策を具体的に述べることが求められます。

失敗から学び、成長できる人物であることを示すことで、技術士としての資質をアピールできます。「同じ失敗を繰り返さないために、〇〇という対策を講じました」「この経験から△△の重要性を学びました」という形で説明すると効果的です。

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技術士口頭試験の回答方法のコツ

質問への回答方法は、評価を大きく左右する重要な要素です。内容が良くても、伝え方が不適切であれば評価が下がる可能性があります。効果的な回答方法のコツを押さえることで、自分の能力を最大限にアピールできます。

回答のコツは、単なるテクニックではなく、技術士としてのコミュニケーション能力そのものです。これらのポイントを意識して回答することで、高い評価を得ることができます。

簡潔で明瞭な回答の重要性

技術士口頭試験での回答は、簡潔で明瞭であることが求められます。質問に対して端的に答え、必要に応じて詳細を説明するという姿勢が評価されます。長々と話し続けると、要点が伝わらず、コミュニケーション能力が低いと判断される可能性があります。

理想的な回答の長さは、1つの質問に対して30秒から1分程度です。まず結論を述べ、その後に理由や背景を説明するという構造にすると、分かりやすくなります。例えば、「〇〇を採用しました。理由は△△だからです。具体的には□□という状況で、◇◇という判断をしました」という形です。

説明が長くなりそうな場合は、「詳しく説明しましょうか」と確認するのも良い方法です。試験官が詳細を求めている場合は説明を続け、そうでない場合は簡潔に留めることで、相手のニーズに応じたコミュニケーションができていると評価されます。

専門用語を使う際は、試験官が理解しているかを意識することも求められます。専門外の試験官がいる可能性もあるため、必要に応じて補足説明を加えるなどの配慮が求められます。

質問の意図を正確に把握する方法

質問に適切に答えるためには、まず質問の意図を正確に理解することが求められます。試験官の質問を最後まで聞き、何を聞かれているのかを確認してから回答を始めることが肝心です。途中で遮って答え始めたり、質問を聞き違えたりすると、的外れな回答になってしまいます。

質問の意図が不明確な場合は、確認することをためらってはいけません。「〇〇についてのご質問でよろしいでしょうか」と確認することは、むしろコミュニケーション能力の高さを示すことになります。誤解したまま回答するよりも、正確に理解してから答える方が評価されます。

また、質問には表面的な意図と深層的な意図がある場合があります。例えば、「その技術を選んだ理由は」という質問には、技術的判断能力だけでなく、公益確保や経済性への配慮、リスク管理なども含めて聞いている可能性があります。質問の背景にある評価項目を意識して回答することが求められます。

聞き取りにくかった場合や、長い質問で要点を把握しきれなかった場合は、「恐れ入りますが、もう一度お願いできますか」と依頼することも問題ありません。聞き直すことと、的外れな回答をすることを比較すれば、前者の方が明らかに適切です。

技術士としての視点で回答する

技術士口頭試験では、単なる技術者としてではなく、技術士としての視点で回答することが求められます。技術士としての視点とは、技術的な判断に加えて、公益確保、社会的責任、倫理的配慮などを含む総合的な視点です。

例えば、技術選定について質問された場合、コストや性能だけでなく、安全性、環境への影響、社会的な意義なども含めて説明することが求められます。「この技術を採用することで、コスト削減だけでなく、環境負荷も低減でき、地域社会にも貢献できると判断しました」という形で、多面的な視点を示すことが求められます。

技術士としての責任感や使命感を示すことも欠かせません。業務の説明において、「依頼者の要求を満たすだけでなく、公共の安全を最優先に考えました」「技術士としての倫理観に基づいて判断しました」といった表現を自然に盛り込むことで、技術士としての自覚があることをアピールできます。

ただし、不自然に「技術士として」という言葉を多用するのは逆効果です。あくまで実際の業務経験に基づいて、技術士の視点で考え、行動してきたことを示すことが肝心です。

コミュニケーションを意識した態度

口頭試験では、回答内容だけでなく、態度や姿勢も評価の対象となります。適切な言葉遣い、落ち着いた態度、相手の目を見て話すこと、適切な声の大きさなど、基本的なコミュニケーションマナーが求められます。

試験官の反応を見ながら話すことも欠かせません。試験官が理解していない様子であれば説明を補足する、逆に理解している様子であれば簡潔に留めるなど、相手に応じた柔軟なコミュニケーションが評価されます。一方的に話すのではなく、対話を意識することが肝心です。

緊張は自然なことですが、極端に緊張して声が小さくなったり、早口になったりしないよう注意しましょう。深呼吸をして落ち着き、ゆっくりと明瞭に話すことを心がけます。分からない質問があっても、焦らず冷静に対応することが求められます。

試験官に対して敵対的な態度や防御的な態度を取らないことも欠かせません。試験官は受験者を落とそうとしているのではなく、技術士としての資質を確認しようとしているだけです。協力的な姿勢で、誠実に回答することが求められます。

技術士口頭試験の対策方法

技術士口頭試験の対策は、筆記試験合格発表後から本格的に始めることが一般的ですが、できれば筆記試験の時点から意識して準備を進めることが理想的です。効果的な対策方法を理解し、計画的に準備を進めましょう。

対策の基本は、業務経歴票の作り込み、想定質問への準備、模擬口頭試験の活用の3つです。これらを組み合わせることで、本番での自信と余裕が生まれます。

業務経歴票の作り込み

業務経歴票は、口頭試験の質問の基礎となる極めて重要な書類です。試験官は業務経歴票を見ながら質問するため、この書類の内容次第で、自分に有利な質問を引き出すことができます。単に経歴を羅列するのではなく、戦略的に作成することが欠かせません。

業務経歴票を作成する際は、自分が主導的に関わった業務を中心に記載します。チームの一員として参加しただけの業務よりも、自分が技術的判断を下し、問題解決に貢献した業務を詳しく書くことで、リーダーシップや実務能力をアピールできます。

公益確保や技術者倫理に関連する経験があれば、それを強調して記載することも有効です。安全性を優先した判断、環境への配慮、社会貢献につながる業務などは、技術士としての資質を示す良い材料となります。

業務経歴票に記載した内容は、全て口頭で説明できるように準備する必要があります。記載した技術用語の意味、採用した技術の詳細、数値の根拠などを明確に説明できるようにしておきましょう。曖昧な記載は、口頭試験で詳しく追及される可能性があるため、避けるべきです。

想定質問リストの作成

口頭試験の対策として、想定質問リストを作成することは極めて有用です。過去の受験者の体験談や、試験対策講座の情報などを参考に、自分の業務経歴や専門分野に応じた質問を洗い出します。

想定質問は、大きく分けて、業務経歴に関する質問、技術士制度に関する質問、倫理に関する質問、受験動機に関する質問の4つのカテゴリに分類できます。各カテゴリについて10問程度、合計40~50問程度の想定質問を準備すると良いでしょう。

質問リストを作成したら、各質問に対する回答を書き出します。ただし、回答を丸暗記するのではなく、要点を整理しておく程度にとどめることが肝心です。完全に暗記した回答は不自然に聞こえ、柔軟性に欠けると判断される可能性があります。

想定質問への回答を準備する過程で、自分の業務や考えを深く掘り下げることができます。「なぜその判断をしたのか」「他にどんな選択肢があったか」「その経験から何を学んだか」など、自分自身への問いかけを通じて、理解を深めることが対策の本質です。

技術士二次試験の勉強法では、筆記試験から口頭試験までの総合的な対策方法について詳しく解説しています。

回答の準備と暗記の違い

口頭試験の対策において、回答の準備と暗記は明確に区別する必要があります。準備とは、質問に対する要点や論点を整理し、自分の考えを明確にすることです。一方、暗記とは、文章を一字一句覚えて、そのまま話すことです。

回答を丸暗記すると、いくつかの問題が生じます。暗記した内容を思い出すことに集中してしまい、不自然な話し方になる恐れがあります。想定外の質問や追加質問に対応できず、柔軟性がないと判断される可能性もあります。暗記した内容を忘れてしまうと、パニックになってしまうリスクもあるでしょう。

適切な準備とは、質問に対する回答の構造や要点を理解し、自分の言葉で説明できるようにしておくことです。例えば、「公益確保の責務について」という質問に対しては、「定義→重要性→実務での実践例」という構造を頭に入れておき、具体的な言葉は毎回変えても良いという柔軟性を持つことが肝心です。

キーワードやキーフレーズを覚えておくことは有効ですが、文章全体を暗記する必要はありません。むしろ、試験官との対話の流れに応じて、柔軟に回答を調整できる方が、高いコミュニケーション能力として評価されます。

模擬口頭試験の活用

模擬口頭試験は、口頭試験対策の中で最も有効な方法の一つです。実際の試験に近い環境で質問を受け、回答する経験を積むことで、本番での緊張を軽減し、回答の質を向上させることができます。

模擬口頭試験は、技術士会や民間の試験対策機関、勤務先の先輩技術士などに依頼して実施してもらうことができます。可能であれば、複数回、異なる試験官役の人と模擬試験を行うことが理想的です。人によって質問の傾向や観点が異なるため、多様な視点からのフィードバックを得ることができます。

模擬試験では、本番と同じ20分間という時間制限を設け、できるだけリアルな環境で実施することが望ましいでしょう。スーツを着用し、立って入室する練習から始めるなど、本番の流れを再現することで、より実践的な準備ができます。

模擬試験後のフィードバックは非常に貴重です。回答内容だけでなく、話し方、態度、声の大きさ、目線などについても指摘を受けることで、自分では気づかない改善点を発見できます。指摘された点は次の模擬試験で改善し、徐々に完成度を高めていくことが大切です。

技術士二次試験の勉強法に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験の勉強法|筆記試験・口頭試験の対策方法

技術士口頭試験当日の心構え

口頭試験当日は、十分な準備をしていても緊張するものです。試験当日の心構えと対処法を理解しておくことで、落ち着いて実力を発揮することができます。

当日の流れを事前に把握し、緊張への対処法を身につけることで、自信を持って試験に臨むことができます。試験官に対する適切な認識を持つことも欠かせません。

試験前日の準備

試験前日は、新しいことを詰め込むのではなく、これまで準備してきた内容の最終確認に充てることが望ましいでしょう。業務経歴票の内容、3義務2責務の定義、想定質問への回答の要点などを見直します。ただし、深夜まで勉強するのは避け、十分な睡眠を取ることを優先しましょう。

試験会場までのアクセスを再確認し、余裕を持った時間で到着できるよう計画します。東京での試験の場合、慣れない場所であれば、前日に会場周辺を下見しておくと安心です。遠方から参加する場合は、前泊することをおすすめします。

持ち物の確認も前日に行います。受験票、身分証明書は必須です。腕時計、ハンカチ、ティッシュなども持参しましょう。待ち時間用の資料として、業務経歴票のコピーや想定質問リストなどを持参すると、最終確認ができます。

服装はスーツが基本です。清潔感があり、ビジネスシーンに適した服装を選びます。靴も含めて、事前に準備しておくことで、当日慌てることがありません。

技術士口頭試験当日の流れ

試験当日は、受験票に記載された集合時刻の30分前には会場に到着するようにします。遅刻は原則として認められないため、交通機関のトラブルなども想定して、十分な余裕を持って出発しましょう。

会場に到着したら、受付で受験票を提示し、待機室に案内されます。待機室では、他の受験者とともに順番を待ちます。待ち時間は人によって異なり、すぐに呼ばれることもあれば、1時間以上待つこともあります。この時間を有効に使い、最終確認を行いましょう。

自分の順番が来ると、試験室の前に案内されます。ノックをして入室し、試験官に挨拶をします。着席を促されたら、姿勢を正して座ります。試験は約20分間で、試験官からの質問に答える形式で進みます。

試験終了後は、試験官に挨拶をして退室します。退室後は、試験内容について他の受験者と話さないことが一般的なマナーです。会場を出たら、自分の回答を振り返り、反省点があれば記録しておくと、万が一不合格だった場合の次年度への参考になります。

緊張への対処法

口頭試験での緊張は誰もが経験することです。適度な緊張は集中力を高めますが、過度な緊張は実力発揮を妨げます。緊張をコントロールする方法を知っておくことが有効です。

まず、深呼吸を活用しましょう。試験室に入る前、質問を受ける前など、要所要所で深呼吸をすることで、心拍数を落ち着かせることができます。腹式呼吸を意識して、ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐くことを繰り返します。

そして、「緊張するのは当然」と受け入れることも大切です。緊張を否定しようとすると、かえって緊張が増してしまいます。「準備はしてきたのだから、自分の力を出せば良い」と考えることで、気持ちが楽になります。

質問に答える際は、急いで答えようとせず、少し間を取ってから答え始めることも効果的です。質問を聞いた後、2~3秒考えてから答え始めることで、落ち着きを取り戻し、より適切な回答につながります。試験官も、考える時間は必要と理解していますので、焦る必要はありません。

もし頭が真っ白になってしまったら、正直に「少し考えさせてください」と伝えることも一つの方法です。無理に答えようとして支離滅裂な回答をするよりも、一度冷静になってから答える方が良い結果につながります。

試験官は味方であるという意識

口頭試験に臨む際、最も重要な心構えは「試験官は味方である」という認識を持つことです。試験官は受験者を落とすために質問しているのではなく、技術士としての資質を確認し、できれば合格させたいと考えています。

試験官の多くは、自身も同じ試験を経験してきた先輩技術士です。受験者の緊張や不安を理解しており、できるだけリラックスして実力を発揮できるよう配慮しています。威圧的な質問や意地悪な質問をする意図はなく、むしろ受験者の良い面を引き出そうとしています。

質問が難しく感じられても、それは受験者を困らせるためではありません。技術士として必要な思考力や判断力を確認するためです。分からない質問があっても、誠実に「その点については知識が不足していますが、〇〇のように考えます」と答えることで、謙虚さと誠実さを示すことができます。

試験官を敵対視するのではなく、技術士としての先輩と対話をしているという意識を持つことで、より自然なコミュニケーションができます。この心構えは、緊張を和らげるだけでなく、試験官に対する態度や言葉遣いにも良い影響を与えます。

技術士口頭試験に関連するよくある質問(FAQ)

技術士口頭試験について、受験者から多く寄せられる質問をまとめました。試験準備や当日の対応について、具体的な疑問を解消することで、より安心して試験に臨むことができます。

Q. 技術士口頭試験の合格率が高いのはなぜですか?

技術士口頭試験の合格率が約95%と高い理由は、筆記試験合格者が既に高い専門能力を有しており、多くの受験者が適切な準備をしているためです。筆記試験の難易度が高く、その時点で一定水準以上の能力が証明されています。

口頭試験は受験者の人柄や適性を確認する試験であり、常識的な対応ができれば合格できる試験です。技術士としての基本的な倫理観を持ち、コミュニケーション能力があれば、不合格になることは少ないでしょう。ただし、準備不足や不適切な態度があれば、合格率が高くても不合格になる可能性があります。十分な準備が欠かせません。

Q. 技術士口頭試験で落ちる人の特徴は?

技術士口頭試験で不合格になる人には、いくつかの共通した特徴があります。最も多いのは、技術者倫理に関する理解が不足しているケースです。3義務2責務を正確に説明できない、公益確保の重要性を理解していないと判断されると不合格となります。

次に、業務経歴票の内容を正確に説明できないケースです。経歴票に記載した業務について詳しく質問された際、技術的な詳細を答えられない、または主導的な役割を果たしていなかったことが明らかになると、実務経験不足と判断されます。また、コミュニケーション能力に問題がある場合、例えば質問の意図を理解せず的外れな回答を繰り返す、極端に短い回答しかしない、長すぎて要点が伝わらないなども不合格の要因となります。

Q. 技術士の3義務2責務は暗記する必要がありますか?

技術士の3義務2責務は、定義を正確に説明できるよう暗記する必要があります。これは技術士法に明記された基本事項であり、技術士として最低限知っておくべき知識です。口頭試験では必ず質問される項目なので、確実に答えられるように準備しましょう。

ただし、単に暗記するだけでは不十分です。それぞれの義務・責務が実務でどのように適用されるか、自分の業務でどう実践しているかを説明できることが求められます。定義を述べた後、必ず具体例を交えて説明することで、表面的な暗記ではなく、深い理解があることを示すことができます。3義務2責務について詳しくは、技術士の倫理綱領の記事も参考にしてください。

Q. 技術士口頭試験は何回模擬面接を受けるべきですか?

技術士口頭試験の模擬面接は、最低でも2~3回は受けることをおすすめします。1回目で基本的な回答の流れを確認し、2回目でフィードバックを反映した改善を行い、3回目で仕上げをするというイメージです。可能であれば、異なる試験官役の人と複数回実施することで、様々な視点からの質問に対応できるようになります。

模擬面接の回数よりも、質が重要になります。単に形式的に行うのではなく、毎回真剣に取り組み、フィードバックを活かして改善することが大切です。模擬面接を受けられない場合は、家族や友人に試験官役を依頼したり、鏡の前で練習したりする方法もあります。声に出して回答する練習を繰り返すことで、本番での自信につながります。

Q. 技術士口頭試験で緊張して答えられなかったらどうなりますか?

技術士口頭試験で緊張して一時的に答えられなくなっても、それだけで不合格になることはありません。試験官は緊張を理解しており、落ち着くまで待ってくれることが多いです。肝心なのは、パニックにならず、冷静さを取り戻す努力をすることです。

もし頭が真っ白になってしまったら、「申し訳ございません、少し考えさせてください」と正直に伝え、深呼吸をして落ち着きましょう。試験官も人間ですので、誠実な態度で対応すれば理解してくれます。どうしても答えられない質問があった場合は、「その点については知識が不足しており、今後学習したいと思います」と正直に伝えることも一つの方法です。分からないことを誠実に認めることも、技術士としての資質の一つです。

Q. 技術士口頭試験の服装はスーツが必須ですか?

技術士口頭試験の服装は、スーツが基本です。技術士は専門的な職業であり、口頭試験は正式な試験の場ですので、ビジネスシーンに適した服装が求められます。男性はダークスーツにネクタイ、女性もビジネススーツが標準的です。

服装に関する明確な規定はありませんが、清潔感があり、落ち着いた印象を与える服装を選ぶことが求められます。派手な色や柄、カジュアルすぎる服装は避けるべきです。技術士としての自覚と社会人としての常識を持っていることを、服装からも示すことが求められます。靴も磨いておくなど、細部にも気を配ることで、全体的に好印象を与えることができます。

Q. 技術士筆記試験の点数は口頭試験に影響しますか?

技術士筆記試験の点数は、口頭試験の評価には直接影響しません。筆記試験と口頭試験は別々に評価され、それぞれの合格基準を満たす必要があります。筆記試験で高得点を取っても、口頭試験で不合格になることはありますし、逆に筆記試験がギリギリ合格でも、口頭試験で十分な評価を得られれば最終合格できます。

ただし、試験官は筆記試験の答案を確認しているため、答案の内容について質問されることはあります。答案で述べた内容と口頭での説明に一貫性があるかは確認されますので、その意味では筆記試験の内容が口頭試験に影響すると言えます。筆記試験の答案内容を覚えておき、口頭試験で矛盾のない説明ができるように準備することが求められます。

まとめ:技術士口頭試験対策で最終合格を目指す

本記事では、技術士口頭試験の対策方法について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 技術士口頭試験の合格率は約95%だが、適切な準備が必須:合格率は高いものの、技術者倫理の理解不足や業務経歴の説明不足があれば不合格となります。全ての評価項目で60%以上を取ることが合格条件です。コンピテンシー評価を理解し、バランスの取れた準備が必要です。
  2. 業務経歴票の作り込みと想定質問への準備が成功の鍵:口頭試験の質問の多くは業務経歴票に基づいて行われます。戦略的に経歴票を作成し、全ての記載内容について詳しく説明できるように準備しましょう。3義務2責務を正確に理解し、実務での実践例を説明できることも必須です。
  3. 模擬口頭試験で実践的な準備を:実際の試験に近い環境で模擬試験を行うことで、本番での緊張を軽減し、回答の質を向上させることができます。フィードバックを活かして改善を重ね、自信を持って本番に臨みましょう。簡潔で明瞭な回答、質問の意図の正確な理解、技術士としての視点での回答が評価されます。

技術士口頭試験は、筆記試験とは異なる準備と心構えが必要です。技術士二次試験の勉強法技術士二次試験の合格率詳細を参考に、総合的な対策を進めることをおすすめします。

本記事を通じて、技術士口頭試験の全体像と具体的な対策方法を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、技術士二次試験の最終合格に向けて確実な一歩を踏み出しましょう。適切な準備と自信を持って試験に臨めば、技術士としての新たなキャリアが開けます。

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