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技術士になるには?資格取得の流れ・必要な勉強・実務要件を解説

技術士になりたいと考えているあなたへ。「どうすれば技術士になれるのか」「どのくらいの期間が必要なのか」という疑問は、資格取得までの流れを正しく理解することで解決できます。

本記事では、技術士資格取得の全体像、一次試験から二次試験までのプロセス、必要な実務経験の要件について、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、技術士資格取得に向けて、具体的な一歩を踏み出しましょう。

この記事を読むとわかること
  • 技術士になるための資格取得ルートと全体の流れ
  • 一次試験と二次試験の受験資格と試験内容
  • 技術士二次試験に必要な実務経験の具体的な要件
  • 効率的な学習計画の立て方と必要な勉強時間
押さえておきたい3つのポイント
  1. 技術士資格取得には2つのルートがある:一次試験合格後に技術士補を経由するルート(4年の実務経験)と、技術士補を経由せず直接二次試験を目指すルート(7年の実務経験)があります。自分のキャリアに合わせて選択することが重要です。
  2. 実務経験の質が合格を左右する:技術士二次試験では単なる業務経験ではなく、科学技術に関する専門的判断を要する実務経験が求められます。日々の業務をどう捉えて積み上げるかが、合格への鍵となります。
  3. 計画的な準備が成功のカギ:技術士一次試験には約300時間、二次試験には約500〜800時間の勉強時間が必要です。働きながら資格取得を目指す場合、2〜3年の計画的な学習スケジュールが現実的です。

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目次

技術士になるには?資格取得までの全体像

技術士になるためには、試験合格と実務経験の両方が必要です。ここでは、技術士資格取得までの全体の流れと、取得までにかかる期間について解説します。

技術士資格取得の3つのステップ

技術士資格を取得するには、以下の3つのステップを踏む必要があります。

ステップ1:技術士一次試験の合格
一次試験は、基礎科目、適性科目、専門科目の3科目で構成される択一式試験です。受験資格に制限はなく、誰でも受験できます。合格率は45〜50%程度で推移しており、技術系国家資格の中では比較的取り組みやすい試験と言えます。

ステップ2:実務経験の積み上げ
一次試験合格後は、科学技術に関する実務経験を積む必要があります。技術士補として登録する場合は4年以上、登録しない場合は7年以上の実務経験が求められます。この実務経験の質が、二次試験合格の鍵を握ります。

ステップ3:技術士二次試験の合格と登録
実務経験の要件を満たしたら、二次試験に挑戦します。筆記試験(必須科目・選択科目)と口頭試験に合格した後、技術士登録を行うことで、正式に技術士となります。登録には登録免許税と登録手数料が必要です。

一次試験から二次試験までの期間

技術士になるまでの期間は、選択するルートによって異なります。最短でも一次試験合格から4年の実務経験が必要となるため、資格取得までには5年程度が一般的です。

大学卒業後すぐに一次試験を受験し、技術士補として登録した場合、27歳前後で技術士資格を取得することができます。一方、実務経験を積みながら30代で挑戦する方も多く、40代で合格する方も珍しくありません。技術士試験に年齢制限はないため、自分のペースでキャリアプランを立てることが可能です。

技術士になるための2つのルート

技術士になるには、大きく分けて2つのルートがあります。

ルート1:技術士補を経由するルート
一次試験合格後に技術士補として登録し、技術士の指導の下で4年以上の実務経験を積むルートです。このルートでは、指導技術士から専門的な助言を受けながら実務経験を積めるメリットがあります。技術士補登録には登録手数料3,000円が必要です。

ルート2:技術士補を経由しないルート
一次試験合格後、技術士補に登録せずに7年以上の実務経験を積むルートです。このルートを選ぶ方が多く、独立した立場で幅広い業務経験を積むことができます。ただし、実務経験年数が3年長くなる点に注意が必要です。

どちらのルートを選ぶかは、勤務先の環境や自身のキャリアプランによって決まります。技術士の指導者がいる職場環境であれば、技術士補ルートが有利です。一方、指導者がいない場合や、幅広い実務経験を積みたい場合は、技術士補を経由しないルートを選ぶことが一般的です。

技術士資格の基本情報に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士とは?資格の仕事内容・試験制度・取得メリットを徹底解説

技術士一次試験の受験から合格まで

技術士一次試験は、技術士資格取得の第一歩となる試験です。ここでは、一次試験の受験資格、試験内容、合格後の選択肢について解説します。

技術士一次試験に受験資格の制限はない

技術士一次試験には、学歴や実務経験などの受験資格の制限が一切ありません。年齢、学歴、国籍を問わず、誰でも受験できます。このため、大学在学中に受験する学生から、社会人として実務経験を積んでから挑戦する方まで、幅広い受験者がいます。

試験は年1回、例年10月中旬に実施されます。受験申込期間は6月中旬から7月上旬で、受験手数料は11,000円です。試験会場は全国の主要都市に設置されるため、地方在住でも受験しやすい環境が整っています。

一次試験の科目構成と出題内容

技術士一次試験は、以下の3科目で構成されています。

基礎科目(15問中9問選択解答)
設計・計画、情報・論理、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術の5つの分野から出題されます。技術者として必要な基礎的な科学技術知識が問われます。

適性科目(15問全問解答必須)
技術士法、技術士倫理綱領、技術者倫理に関する問題が出題されます。技術者として求められる倫理観や社会的責任についての理解が問われます。適性科目は全問解答が必須で、高い正答率が求められます。

専門科目(35問中25問選択解答)
機械部門、電気電子部門、情報工学部門など、21の技術部門から1つを選択します。選択した部門の専門的知識が問われ、実務に直結する内容が多く出題されます。

試験時間は午前中に基礎科目・適性科目、午後に専門科目が実施され、1日で3科目すべてを受験します。合格基準は、各科目で50%以上の正答率が必要です。

一次試験合格後の選択肢

一次試験に合格すると、修習技術者の称号が与えられ、以下の3つの選択肢から進路を選ぶことができます。

選択肢1:技術士補に登録する
日本技術士会に技術士補として登録し、技術士の指導の下で4年以上の実務経験を積むルートです。名刺や履歴書に「技術士補」の称号を記載できるようになります。

選択肢2:技術士補に登録せず実務経験を積む
技術士補に登録せず、修習技術者として7年以上の実務経験を積むルートです。多くの合格者がこの選択肢を選んでおり、実務経験を幅広く積むことができます。

選択肢3:JABEE認定プログラム修了による一次試験免除
日本技術者教育認定機構(JABEE)が認定する教育プログラムを修了している場合、一次試験が免除されます。この場合は、修了と同時に修習技術者となり、実務経験を積み始めることができます。

どの選択肢を選ぶかは、自身のキャリアプランや職場環境によって判断することが重要です。技術士の指導者がいる環境であれば技術士補登録が有利ですが、そうでない場合は技術士補を経由しないルートを選ぶ方が一般的です。

技術士一次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士一次試験とは?試験制度・科目・日程を詳しく解説

修習技術者と技術士補の違いを理解する

一次試験合格後の身分である修習技術者と技術士補は、混同されやすい概念です。ここでは、両者の違いと技術士補登録のメリット・デメリットについて解説します。

一次試験合格者は修習技術者となる

技術士一次試験に合格すると、自動的に「修習技術者」という資格を得ます。修習技術者は、技術士法に定められた法的な身分であり、技術士になるための修業期間にある技術者を指します。

修習技術者の称号は、技術士補に登録しなくても使用できます。ただし、修習技術者という称号を名刺や履歴書に記載することは一般的ではありません。多くの場合、「技術士一次試験合格」という表記を用いることが推奨されます。

修習技術者として実務経験を7年以上積むことで、技術士補に登録せずに技術士二次試験の受験資格を得ることができます。この期間中は、科学技術に関する専門的な業務に携わり、実務能力を高めることが求められます。

技術士補登録のメリットとデメリット

技術士補に登録するかどうかは、個人のキャリアプランや職場環境によって判断が分かれます。それぞれのメリットとデメリットを理解して、適切な選択をすることが重要です。

技術士補登録のメリット

  1. 実務経験年数が短縮される:技術士の指導の下で4年間の実務経験で二次試験の受験資格を得られます(技術士補を経由しない場合は7年)。
  2. 名刺や履歴書に記載できる:「技術士補(○○部門)」という公的な称号を使用でき、技術者としての信頼性が高まります。
  3. 指導を受けられる:指導技術士から専門的な助言や指導を受けることで、実務能力を効率的に高められます。

技術士補登録のデメリット

  1. 登録手数料が必要:登録時に3,000円の手数料がかかります。
  2. 指導技術士の確保が必要:技術士補として活動するには、指導技術士の存在が必須です。職場に技術士がいない場合、登録のメリットを活かせません。
  3. 継続的な関係維持が必要:指導技術士との関係を継続的に維持する必要があり、異動や転職時に調整が必要になる場合があります。

技術士補登録の手続き方法

技術士補に登録するには、日本技術士会に必要書類を提出し、登録手続きを行います。登録手続きの流れは以下の通りです。

必要書類

  • 技術士補登録申請書
  • 一次試験合格証明書の写し
  • 指導技術士の承諾書
  • 戸籍抄本または住民票
  • 登録手数料3,000円分の収入印紙

手続きの流れ

  1. 指導技術士となる技術士を見つけ、承諾を得る
  2. 日本技術士会のホームページから申請書をダウンロード
  3. 必要書類を揃えて郵送で提出
  4. 審査後、技術士補登録証が交付される

登録手続きには通常1〜2ヶ月程度かかります。登録後は、指導技術士の指導の下で実務経験を積み、4年後に二次試験の受験資格を得ることができます。

なお、技術士補の登録は任意であり、登録せずに修習技術者として実務経験を積むことも可能です。自分のキャリアプランと職場環境を考慮して、最適な選択をすることが重要です。

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技術士二次試験に必要な実務経験の要件

技術士二次試験を受験するには、一定期間の実務経験が必要です。ここでは、実務経験の要件と認められる業務について詳しく解説します。

実務経験4年のルート(指導者の下での経験)

技術士補として登録し、技術士の指導の下で実務経験を積む場合、4年以上の実務経験で二次試験の受験資格を得られます。このルートは、実務経験年数が最も短く、効率的に技術士を目指すことができます。

指導の下での実務経験とは、技術士が実務を通じて継続的に指導・助言を行う環境での業務を指します。指導技術士は、受験申込時に「実務経験証明書」に証明者として署名する必要があります。

このルートを選ぶメリットは、実務経験期間が短いだけでなく、技術士から専門的な指導を受けることで、二次試験で求められる技術的判断力や問題解決能力を効率的に養える点にあります。特に、筆記試験の論文作成や口頭試験対策において、指導技術士の助言は大きな助けとなります。

ただし、このルートを選ぶには、職場に指導技術士となる方がいることが前提条件です。指導技術士がいない職場では、このルートを選ぶことができません。

実務経験7年のルート(独立した経験)

技術士補に登録せず、修習技術者として7年以上の実務経験を積む場合のルートです。多くの技術士がこのルートで資格を取得しており、最も一般的な選択肢と言えます。

「独立した」実務経験とは、技術士の指導を必要としない独立した立場での業務経験を指します。具体的には、自ら判断して業務を遂行する立場での経験や、プロジェクトリーダーとして業務を統括する経験などが該当します。

このルートを選ぶメリットは、技術士補登録の手続きが不要で、幅広い実務経験を積める点にあります。また、指導技術士がいない職場でも問題なく受験資格を得ることができます。

実務経験7年のルートを選ぶ場合、日々の業務をどう捉えて実務経験として積み上げるかが重要です。単なる作業ではなく、科学技術に関する専門的判断を要する業務として整理し、受験申込時の実務経験証明書に適切に記載する必要があります。

科学技術に関する実務経験として認められる業務

技術士二次試験の受験資格として認められる実務経験には、明確な基準があります。単なる業務経験ではなく、「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務」である必要があります。

認められる業務の具体例

製造業の場合:製品設計、生産技術の開発、品質管理システムの構築、工程改善プロジェクトの推進など

建設業の場合:構造設計、施工計画の立案、工事監理、技術的課題の解決、安全管理システムの構築など

情報通信業の場合:システム設計、ネットワーク構築、セキュリティ対策の立案、技術課題の分析と解決など

認められない業務

  • 単純作業や定型業務(データ入力、書類整理など)
  • 営業活動や一般事務
  • 管理職としての人事・労務管理のみ
  • 科学技術的判断を伴わない業務

実務経験として認められるかどうかは、業務に「科学技術的な判断」が含まれているかが重要な判断基準となります。同じ業務でも、どのような技術的判断を行ったかを明確に説明できれば、実務経験として認められる可能性が高まります。

受験申込時には、実務経験を詳細に記載した「業務経歴票」と「実務経験証明書」を提出します。これらの書類には、業務内容、担当した役割、行った技術的判断、成果などを具体的に記載することが求められます。

技術士試験の受験資格に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の受験資格|一次試験・二次試験の要件を解説

JABEE認定プログラムによる技術士一次試験免除制度

JABEE認定プログラムを修了すると、技術士一次試験が免除されます。ここでは、JABEEの仕組みと免除制度について解説します。

JABEE認定プログラムとは

JABEE(日本技術者教育認定機構:Japan Accreditation Board for Engineering Education)は、大学などの高等教育機関で実施される技術者教育プログラムが、適切な水準にあるかを審査・認定する機関です。

JABEE認定プログラムは、国際的な技術者教育の質保証の枠組みである「ワシントン協定」に準拠しています。このため、JABEE認定プログラムを修了することで、国際的にも通用する技術者教育を受けたことが証明されます。

認定対象となるプログラムは、主に大学の工学部や理工学部の学科・コースです。2024年時点で、全国約200のプログラムがJABEEの認定を受けています。認定を受けているプログラムは、JABEEのウェブサイトで確認できます。

JABEE認定プログラムでは、技術者として必要な基礎知識、専門知識、問題解決能力、コミュニケーション能力などを体系的に学ぶカリキュラムが組まれています。

技術士一次試験免除の条件と手続き

JABEE認定プログラムを修了すると、技術士一次試験が免除され、修習技術者として認められます。ただし、免除を受けるには以下の条件を満たす必要があります。

免除の条件

  • 認定されたプログラムを修了していること
  • 修了年度が2005年度以降であること
  • 所定の修了証明書を取得していること

免除の手続きは、技術士二次試験の受験申込時に行います。受験申込書類に、JABEE修了証明書または卒業証明書(JABEE認定プログラム修了の記載があるもの)を添付することで、一次試験免除が認められます。

JABEE認定プログラムを修了している場合、一次試験を受験する必要がないため、大学卒業後すぐに実務経験を積み始めることができます。技術士補として登録すれば4年、登録しなければ7年の実務経験で二次試験の受験資格を得られます。

ワシントン協定加盟国の認定プログラムも適用

ワシントン協定は、技術者教育の質保証に関する国際的な枠組みであり、加盟国間で認定プログラムの相互承認が行われています。日本はJABEEを通じてワシントン協定に加盟しており、他の加盟国で認定されたプログラムを修了した場合も、同様に技術士一次試験が免除されます。

ワシントン協定の主要加盟国

  • アメリカ(ABET認定プログラム)
  • イギリス(Engineering Council認定プログラム)
  • カナダ(CEAB認定プログラム)
  • オーストラリア(Engineers Australia認定プログラム)
  • その他、韓国、中国、シンガポールなど

海外の大学で認定プログラムを修了した場合も、日本で技術士を目指すことができます。この場合、修了したプログラムが加盟国の認定機関から認定を受けていることを証明する書類が必要です。

ワシントン協定による相互承認制度は、グローバル化が進む現代において、国際的に活躍できる技術者を育成するための重要な仕組みとなっています。海外で技術者教育を受けた方も、この制度を活用して日本の技術士資格を取得することができます。

技術士二次試験の受験資格と申込要件

技術士二次試験を受験するには、所定の受験資格を満たし、必要書類を提出する必要があります。ここでは、受験資格と申込手続きについて解説します。

技術士二次試験を受験できる3つの条件

技術士二次試験を受験するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

条件1:技術士補として4年以上の実務経験
技術士一次試験に合格し、技術士補として登録した後、技術士の指導の下で4年以上の実務経験を積んだ方が該当します。この実務経験は、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務である必要があります。

条件2:修習技術者として7年以上の実務経験
技術士一次試験に合格した修習技術者として、技術士補に登録せずに7年以上の実務経験を積んだ方が該当します。実務経験の質は条件1と同様で、科学技術に関する専門的判断を要する業務であることが求められます。

条件3:技術士一次試験免除者として7年以上の実務経験
JABEE認定プログラムまたはワシントン協定加盟国の認定プログラムを修了し、技術士一次試験が免除された方で、7年以上の実務経験を積んだ方が該当します。

いずれの条件でも、実務経験の質が重要です。単なる業務年数ではなく、科学技術に関する専門的な判断や問題解決を行った経験が評価されます。

受験申込時に必要な書類

技術士二次試験の受験申込には、以下の書類を提出する必要があります。書類の不備は不合格の原因となるため、十分な注意が必要です。

必須書類

  1. 受験申込書:受験する技術部門と選択科目を記載します。
  2. 業務経歴票:これまでの職歴と担当業務を時系列で記載します。実務経験年数の計算根拠となる重要な書類です。
  3. 業務内容の詳細(720字以内):業務経歴票に記載した業務の中から、最も技術士にふさわしい業務を選び、その内容を詳しく記載します。
  4. 実務経験証明書:勤務先の代表者または所属長が、実務経験の内容と期間を証明する書類です。
  5. 一次試験合格証明書または卒業証明書:技術士一次試験合格者は合格証明書、JABEE修了者は修了証明書を提出します。

書類作成のポイント

業務経歴票と業務内容の詳細は、二次試験の筆記試験と口頭試験で重要な参考資料となります。特に口頭試験では、この書類に記載した内容について詳しく質問されるため、正確かつ具体的に記載することが重要です。

受験申込期間は例年4月上旬から5月上旬です。受験手数料は14,000円で、申込後の変更や返金はできません。書類は郵送で提出し、不備があった場合は受験できなくなるため、十分な確認が必要です。

実務経験証明の記載方法

実務経験証明書と業務経歴票の記載は、受験資格を証明する重要な作業です。適切に記載しなければ、実務経験年数が不足していると判断され、受験資格が認められない場合があります。

業務経歴票の記載方法

業務経歴票には、入社から現在までの職歴と担当業務を時系列で記載します。各業務について、以下の情報を含める必要があります。

  • 勤務期間(年月)
  • 勤務先の名称と所在地
  • 所属部署と役職
  • 担当業務の内容(簡潔に)
  • 技術士補の場合は指導技術士の氏名

実務経験として認められる業務には、科学技術に関する専門的判断が含まれていることを明記します。「〜の設計を担当」「〜の技術的課題を解決」など、具体的な技術的業務であることが分かる表現を使います。

業務内容の詳細(720字)の記載方法

業務内容の詳細は、最も技術士にふさわしいと考える業務を選び、以下の項目について記載します。

  1. 業務の概要:どのような業務か、何を目的としていたか
  2. 担当した役割:どのような立場で、何を担当したか
  3. 技術的課題:どのような技術的課題があったか
  4. 解決方法:課題に対してどのような判断・解決を行ったか
  5. 成果:その結果、どのような成果が得られたか

この記載内容は、筆記試験の論文や口頭試験での質問の基礎となります。虚偽の記載は厳しく罰せられるため、事実に基づいた正確な記載が不可欠です。また、機密情報や企業秘密に該当する内容は記載せず、一般的な技術的内容に留める配慮も必要です。

実務経験証明書は、勤務先の代表者または所属長に証明を依頼します。証明者は、記載内容の事実確認と証明印の押印を行います。複数の勤務先での経験を合算する場合は、それぞれの勤務先から実務経験証明書を取得する必要があります。

技術士二次試験の内容と合格のポイント

技術士二次試験は、筆記試験と口頭試験で構成されます。ここでは、試験内容と合格に必要な能力について解説します。

筆記試験の科目構成(必須科目・選択科目)

技術士二次試験の筆記試験は、必須科目と選択科目の2科目で構成されています。試験は1日で実施され、午前中に必須科目、午後に選択科目が行われます。

必須科目(2時間)

必須科目では、技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力、課題遂行能力が評価されます。600字詰め答案用紙3枚以内で論述する形式です。

出題内容は、選択した技術部門全般に関わる現代的な課題や社会的問題についてです。例えば機械部門であれば、製造業全体に関わる技術動向や課題が出題されます。技術士として、幅広い視野と深い洞察力を持って問題を捉え、解決策を提案できる能力が求められます。

選択科目(3時間30分)

選択科目では、選択科目に関する専門知識及び応用能力が評価されます。問題は複数出題され、その中から選択して解答します。

問題Ⅱ:専門知識を問う問題(600字×2枚)
問題Ⅲ:応用能力を問う問題(600字×3枚)
問題Ⅳ:問題解決能力と課題遂行能力を問う問題(600字×3枚)

選択科目では、より専門的な技術課題について、具体的な解決策を論理的に提案できる能力が評価されます。実務経験に基づいた実践的な論述が求められます。

口頭試験の評価基準

筆記試験合格者は、口頭試験を受験します。口頭試験は、受験者1名に対して試験官3名で実施され、20分程度行われます。

口頭試験の評価項目

  1. 技術士としての実務能力:業務経歴票に記載した業務内容について、具体的かつ論理的に説明できるか。技術的判断の根拠を明確に述べられるか。
  2. 技術士としての適格性:技術者倫理、継続研鑽、技術士制度の理解など、技術士としての資質を備えているか。
  3. コミュニケーション能力:質問の意図を正確に理解し、適切に回答できるか。専門外の人にも分かりやすく説明できるか。

口頭試験の主な質問内容

  • 業務経歴票に記載した業務内容の詳細
  • 担当した業務での技術的判断とその根拠
  • 技術士となったら取り組みたい課題
  • 技術士法と技術者倫理に関する理解
  • 継続的な能力開発に関する考え方

口頭試験では、暗記した模範解答を述べるのではなく、自分の言葉で誠実に答えることが重要です。分からない質問には「分かりません」と正直に答え、知ったかぶりをしないことも評価されます。

技術士二次試験合格に必要な能力

技術士二次試験に合格するには、以下の3つの能力が求められます。

1. 専門的学識
選択した技術部門における専門知識を体系的に理解し、実務に応用できる能力です。最新の技術動向や法規制についても把握していることが求められます。

筆記試験では、この専門的学識を基礎として、技術的課題を正確に分析し、解決策を提案する能力が評価されます。日々の業務で得た知識だけでなく、技術士としての幅広い視野が必要です。

2. 問題解決能力
技術的課題を発見し、分析し、解決策を立案・実行できる能力です。単に知識があるだけでなく、それを実際の問題解決に活用できることが重要です。

筆記試験の論述では、「課題の背景」「問題点の分析」「解決策の提案」「効果の予測」という論理的な流れで記述することが求められます。実務経験に基づいた具体的な論述が高く評価されます。

3. マネジメント能力
技術的な業務を計画し、実行し、評価し、改善するマネジメント能力です。技術者として、限られた資源(時間、予算、人員)の中で最大の成果を上げる能力が求められます。

口頭試験では、業務経歴票に記載した業務において、どのようなマネジメントを行ったかが質問されます。プロジェクトの計画、リスク管理、品質管理、コスト管理など、具体的な事例を交えて説明できることが重要です。

これらの能力は、一朝一夕で身につくものではありません。日々の実務の中で意識的に技術的判断を行い、その根拠を明確にする習慣をつけることが、合格への近道となります。

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総合技術監理部門を目指すルートの特殊性

総合技術監理部門は、技術士資格の中でも最上位に位置づけられる特別な部門です。ここでは、この部門の特徴と受験ルートについて解説します。

総合技術監理部門の受験要件は7年以上

総合技術監理部門は、他の20の技術部門とは異なる特殊な位置づけにあります。この部門を受験するには、一次試験合格後または指定された教育課程修了後、7年以上の実務経験が必須です。技術士補ルートでも実務経験年数の短縮はなく、必ず7年以上の経験が求められます。

この7年という期間設定には理由があります。総合技術監理部門で求められる能力は、単一の技術分野における専門性だけでなく、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理という5つの管理技術を統合的に運用する能力です。これらの能力を習得するには、十分な実務経験と管理経験が不可欠だからです。

実務経験の内容も、他の部門より高度なものが求められます。単なる技術業務ではなく、プロジェクト管理や組織マネジメントに携わった経験が重視されます。複数の技術分野にまたがる大規模プロジェクトでのマネジメント経験があると、受験資格の説明がしやすくなります。

既に技術士資格を持つ場合のルート

既に他の技術部門で技術士資格を取得している場合、総合技術監理部門への挑戦が容易になります。技術士資格を取得してから3年以上の実務経験(総合技術監理に関する業務経験)があれば、受験資格が得られます。

このルートは、多くの総合技術監理部門合格者が選択しています。まず自分の専門分野で技術士を取得し、その後マネジメント経験を積みながら総合技術監理部門に挑戦するという流れです。

既に技術士資格を持っている場合、一次試験は免除され、二次試験のみの受験となります。また、既に技術士としての基礎的な能力は認められているため、口頭試験では総合技術監理に特化した質問が中心となります。

総合技術監理部門の合格率は、他の部門と比べてやや低い傾向にあります。2023年度の合格率は約15%で、他の部門の平均約11%と比べると高めですが、受験者のレベルが高いことを考慮すると、決して容易な試験ではありません。

総合技術監理部門の試験内容

総合技術監理部門の筆記試験は、必須科目と選択科目で構成されますが、内容は他の部門と大きく異なります。

必須科目(択一式)

総合技術監理に関する共通的知識を問う択一式試験です。経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理の5つの管理分野から出題されます。各分野の基本的な理論や手法、関連法規などの知識が問われます。

選択科目(記述式)

選択科目では、総合技術監理の実践的な応用能力が評価されます。実際の業務を想定した複合的な問題が出題され、5つの管理技術を統合的に活用した解決策を提案する能力が求められます。

論述では、技術的な側面だけでなく、経済性、安全性、環境配慮、人材育成など、多面的な視点からの分析と提案が必要です。単一の正解があるわけではなく、様々な制約条件の中で最適なバランスを見出す能力が評価されます。

口頭試験

総合技術監理部門の口頭試験では、業務経歴に加えて、5つの管理分野に関する理解と実践能力が詳しく質問されます。特に、実務の中でどのように総合的なマネジメントを行ってきたか、具体的な事例を交えて説明することが求められます。

総合技術監理部門は、技術者としてのキャリアの集大成として挑戦する価値のある資格です。すでに技術士資格を持っている方や、マネジメント経験を積んだ方にとって、自身の能力を証明する有力な手段となります。

技術士登録の手続きと費用

技術士二次試験に合格した後、技術士として活動するには登録手続きが必要です。ここでは、登録の流れと必要な費用について解説します。

技術士登録に必要な書類

技術士二次試験に合格しても、登録手続きを完了しなければ技術士を名乗ることはできません。合格発表後、速やかに登録手続きを行う必要があります。

必要書類

  1. 技術士登録申請書:日本技術士会のホームページからダウンロードできます。
  2. 二次試験合格証明書の写し:試験実施機関から送付される合格証明書のコピー。
  3. 戸籍抄本または住民票:発行から3ヶ月以内のもの。
  4. 写真(縦4.5cm×横3.5cm):最近6ヶ月以内に撮影した無帽・正面向きのもの。
  5. 登録免許税の領収証書:登録免許税30,000円を納付した証明。
  6. 登録手数料の払込証明書:登録手数料6,500円を日本技術士会に納付した証明。

書類は郵送で日本技術士会に提出します。不備があると登録が遅れるため、提出前に十分な確認が必要です。特に戸籍抄本や住民票は有効期限があるため、申請直前に取得することをおすすめします。

登録免許税と登録手数料

技術士登録には、登録免許税と登録手数料の2つの費用が必要です。

登録免許税:30,000円
登録免許税は国税であり、税務署または銀行で納付します。納付後に発行される領収証書を、登録申請書に貼付して提出します。この費用は、技術士という国家資格を登録するための税金です。

登録手数料:6,500円
登録手数料は、日本技術士会に支払う手数料です。銀行振込またはゆうちょ銀行の払込取扱票で納付します。振込後の控えまたは受領証を登録申請書に添付して提出します。

合計で36,500円の費用がかかります。これは初回登録時のみの費用で、登録後の更新費用は不要です。技術士資格には有効期限がなく、一度登録すれば生涯にわたって技術士の称号を使用できます。

技術士登録後の名称使用義務

技術士登録が完了すると、技術士登録証が交付されます。登録から約1ヶ月程度で自宅に郵送されます。この登録証には、技術士登録番号、氏名、生年月日、登録日、技術部門が記載されています。

名称使用の義務

技術士法では、技術士の名称使用について以下のように定められています。

  1. 技術士でない者が技術士の名称を使用することは禁止されています(名称独占資格)。
  2. 技術士として登録している部門以外の部門名を表示して技術士を名乗ることは禁止されています。
  3. 技術士の名称を使用する際は、登録した技術部門を明示する必要があります。

例えば、機械部門で登録した技術士が「技術士(機械部門)」と名乗ることは正しいですが、単に「技術士」とだけ名乗ったり、登録していない「技術士(電気電子部門)」と名乗ることは違反となります。

名刺・履歴書での記載例

  • 正しい記載:技術士(機械部門) 登録番号:第○○○○○号
  • 誤った記載:技術士(記載なし)、技術士(複数部門を並記)

技術士登録後は、日本技術士会から定期的に会報や研修案内が届きます。継続的な能力開発(CPD:Continuing Professional Development)の記録や、倫理規定の遵守が求められます。技術士は社会的責任の重い資格であり、登録後も継続的な研鑽が期待されています。

技術士になるために必要な勉強時間と学習方法

技術士試験に合格するには、計画的な学習が不可欠です。ここでは、必要な勉強時間と効果的な学習方法について解説します。

技術士一次試験に必要な勉強時間

技術士一次試験に合格するために必要な勉強時間は、個人の知識レベルや学習環境によって異なりますが、一般的には200〜400時間程度とされています。平均すると約300時間の学習が目安です。

科目別の勉強時間配分

基礎科目:80〜100時間
数学、物理、化学などの基礎的な理工学知識を復習します。大学での学習内容を思い出すことが中心となります。

適性科目:30〜50時間
技術士法、技術者倫理、倫理綱領について学習します。暗記が中心となりますが、倫理的な判断力も問われます。

専門科目:100〜200時間
選択した技術部門の専門知識を体系的に学習します。実務経験がある分野でも、試験対策としての整理が必要です。

学習期間の目安

働きながら学習する場合、平日1〜2時間、休日3〜4時間の学習を確保すると、約4〜6ヶ月で300時間に到達します。試験の半年前から計画的に学習を始めることが理想的です。

大学生や時間に余裕がある方は、3〜4ヶ月の集中学習でも十分に合格を目指せます。一次試験は択一式であるため、過去問を繰り返し解くことが最も効果的な学習方法です。

技術士二次試験に必要な勉強時間

技術士二次試験は一次試験よりも難易度が高く、より多くの勉強時間が必要です。一般的には500〜800時間程度の学習時間が必要とされています。

学習内容別の時間配分

専門知識の体系化:150〜200時間
選択科目に関する専門知識を体系的に整理し、最新の技術動向や法規制について学習します。

論文作成練習:200〜300時間
筆記試験で求められる論述式解答の練習を繰り返します。600字×3枚という分量で、論理的に記述する能力を養います。

口頭試験対策:50〜100時間
業務経歴票の内容を整理し、想定質問への回答を準備します。技術士倫理や技術士法についても学習します。

模擬試験と復習:100〜200時間
過去問や模擬試験を解き、添削を受けて改善点を修正します。論文の質を高めるための重要な時間です。

学習期間の現実的な計画

二次試験の場合、筆記試験が7月に実施されるため、前年の合格発表(10月)後から学習を開始すると約9ヶ月の準備期間が確保できます。この期間に500〜800時間の学習を行うには、以下のような計画が考えられます。

  • 平日:1〜2時間(週10時間)
  • 休日:4〜6時間(週10時間)
  • 合計:週20時間 × 9ヶ月(36週)= 720時間

この計画であれば、働きながらでも十分な学習時間を確保できます。ただし、繁忙期や体調不良などで計画通りに進まないこともあるため、余裕を持った計画が重要です。

効率的な学習計画の立て方

技術士試験の学習を効率的に進めるには、計画的なアプローチが不可欠です。以下のポイントを押さえて学習計画を立てましょう。

1. 長期計画と短期計画の両立

長期計画(6〜12ヶ月):試験日から逆算して、各段階で達成すべき目標を設定します。「基礎知識の習得」「論文作成の習熟」「模擬試験での実力確認」など、段階的な目標を立てます。

短期計画(1週間〜1ヶ月):具体的な学習内容とスケジュールを決めます。「今週は基礎科目の第1章を終える」など、実行可能な小さな目標を設定します。

2. 実務と学習の連携

技術士試験の学習は、日々の実務と密接に関連しています。業務で扱う技術的課題を、技術士試験の視点で捉え直すことで、効率的に学習できます。

業務で作成する技術資料や報告書を、論文の素材として活用することも有効です。実務経験に基づいた論述は、説得力が高く評価されます。

3. 学習記録の継続

学習時間や進捗状況を記録することで、計画の見直しやモチベーション維持に役立ちます。日本技術士会が推奨するCPD(継続的能力開発)の考え方を取り入れ、学習を継続的な自己成長の機会と捉えることが重要です。

4. 講習会や通信教育の活用

独学だけでは不安がある場合、日本技術士会や民間機関が実施する講習会や通信教育を活用することも有効です。特に二次試験の論文対策では、専門家による添削指導が有益です。

講習会では、合格者から直接アドバイスを受けることができ、学習方法の改善につながります。また、同じ目標を持つ受験者との交流は、モチベーション維持にも役立ちます。

技術士試験の勉強法に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の勉強法|必要な勉強時間と効率的な学習計画

技術士になるにはに関連するよくある質問(FAQ)

Q. 技術士になるには何年かかりますか?

技術士になるまでの期間は、選択するルートによって異なります。最短ルートは、技術士一次試験合格後に技術士補として登録し、技術士の指導の下で4年間の実務経験を積むルートです。この場合、一次試験の受験準備期間(約半年)と二次試験の受験準備期間(約1年)を含めると、最短で約5〜6年となります。

技術士補を経由しないルートを選ぶ場合は、一次試験合格後に7年間の実務経験が必要です。このため、トータルで8〜9年程度かかることが一般的です。大学卒業後すぐに一次試験を受験すれば、30歳前後で技術士資格を取得できる計算です。

ただし、JABEE認定プログラムを修了している場合は一次試験が免除されるため、卒業後すぐに実務経験を積み始めることができます。この場合、大学卒業時を起点とすると、技術士補ルートで約4年、技術士補を経由しないルートで約7年で技術士資格を取得できます。

Q. 技術士になるには大学で特定の学科を卒業する必要がありますか?

技術士試験には学歴要件がないため、特定の学科を卒業する必要はありません。技術士一次試験は誰でも受験でき、学歴に関わらず合格すれば修習技術者となることができます。

ただし、実務上は工学系の大学を卒業していることが望ましいとされています。なぜなら、技術士二次試験では高度な専門知識と実務経験が求められるためです。工学系の教育を受けていない場合、実務経験を積みながら必要な知識を独学で習得する必要があり、難易度が高くなります。

一方、JABEE認定プログラムを修了している場合は、一次試験が免除されるメリットがあります。工学系の大学に進学する際には、志望する学科がJABEE認定を受けているかを確認すると良いでしょう。技術士一次試験の詳細で、JABEE認定プログラムについて詳しく解説しています。

Q. 技術士は独学でも取得できますか?

技術士資格は独学でも十分に取得可能です。実際、多くの合格者が独学で資格を取得しています。技術士一次試験は択一式試験であり、市販の参考書や過去問を使った学習で十分に対応できます。

技術士二次試験も独学で合格することは可能ですが、論文添削や口頭試験対策については、経験者からのアドバイスがあると有利です。日本技術士会や各地の技術士会が実施する講習会に参加したり、通信教育を活用したりすることで、独学の弱点を補うことができます。

独学で合格するためには、計画的な学習スケジュールの管理と、継続的な努力が不可欠です。特に働きながら学習する場合は、日々の業務と学習時間のバランスを取ることが重要です。技術士試験の勉強法では、効率的な学習方法を詳しく解説しています。

Q. 技術士補の登録は必須ですか?

技術士補の登録は必須ではありません。技術士一次試験に合格した後、技術士補に登録せずに修習技術者として実務経験を積むことも可能です。実際、多くの技術士が技術士補を経由せずに資格を取得しています。

技術士補に登録するメリットは、実務経験年数が7年から4年に短縮される点です。ただし、このメリットを享受するには、職場に指導技術士となる方がいることが前提条件です。指導技術士がいない職場では、技術士補に登録してもメリットを活かせません。

技術士補に登録するかどうかは、自分の職場環境とキャリアプランを考慮して決めましょう。指導を受けられる環境があり、早期に技術士を取得したい場合は技術士補登録が有利です。一方、幅広い実務経験を積みたい場合や、指導技術士がいない職場では、技術士補を経由しないルートを選ぶことが一般的です。

Q. 技術士の実務経験として認められない業務はありますか?

技術士の実務経験として認められるには、「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務」である必要があります。このため、以下のような業務は実務経験として認められません。

認められない業務の例

  • 単純作業や定型業務(データ入力、書類整理、定型的な検査作業など)
  • 営業活動や販売促進活動
  • 一般事務や庶務業務
  • 管理職としての人事・労務管理のみの業務
  • 科学技術的判断を伴わない管理業務

重要なのは、業務に「科学技術的な判断」が含まれているかどうかです。同じ業務でも、どのような技術的判断を行ったかを明確に説明できれば、実務経験として認められる可能性が高まります。

受験申込時には、業務経歴票と業務内容の詳細を通じて、自分の業務が技術士にふさわしい実務経験であることを証明する必要があります。日々の業務を技術士の視点で捉え直し、記録しておくことが重要です。技術士試験の受験資格詳細では、実務経験の要件について詳しく解説しています。

Q. 技術士試験に年齢制限はありますか?

技術士試験には年齢制限が一切ありません。何歳からでも挑戦でき、定年後に受験する方もいます。実際の受験者層は幅広く、20代から60代まで様々な年齢層の方が受験しています。

技術士一次試験は、大学在学中に受験する学生から、実務経験を積んだ社会人まで幅広い年齢層が挑戦しています。二次試験は実務経験が必要なため、受験者の平均年齢は30代後半〜40代前半となっています。

年齢よりも重要なのは、十分な実務経験と専門知識を持っているかどうかです。技術士は実務能力を証明する資格であるため、長年の経験を持つベテラン技術者が挑戦することも多く、40代、50代での合格者も珍しくありません。

むしろ、豊富な実務経験を持つ方が、二次試験の論述や口頭試験で有利になる側面もあります。自分のペースで、キャリアの集大成として技術士資格に挑戦することができます。

まとめ:技術士になるには計画的な準備と実務経験が重要

本記事では、技術士になるための資格取得の流れ、必要な勉強時間、実務経験の要件について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 技術士資格取得には明確なルートがある:一次試験合格後、技術士補として4年の実務経験を積むルートと、技術士補を経由せず7年の実務経験を積むルートがあります。自分の職場環境やキャリアプランに合わせて、最適なルートを選択することが重要です。
  2. 実務経験の質が合格を左右する:単なる業務年数ではなく、科学技術に関する専門的判断を要する業務経験が求められます。日々の業務を技術士の視点で捉え、技術的判断の根拠を明確にする習慣をつけることが、合格への近道です。
  3. 計画的な学習が成功のカギ:一次試験には約300時間、二次試験には約500〜800時間の学習時間が必要です。働きながら資格取得を目指す場合、2〜3年の長期的な学習計画を立て、継続的に努力することが重要です。

技術士資格取得の準備を始めるなら、まず技術士一次試験の詳細技術士二次試験の詳細を確認し、自分に合った学習計画を立てましょう。また、技術士試験の勉強法では、効率的な学習方法を詳しく解説しています。

本記事を通じて、技術士になるための具体的な道筋と必要な準備を理解いただけたはずです。技術士は、日本の技術者にとって最も権威ある国家資格の一つです。計画的な準備と継続的な努力により、技術士資格取得に向けて一歩を踏み出しましょう。

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