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技術士試験の受験資格|一次試験・二次試験の要件を解説

技術士試験の受験資格について知りたいあなたへ。「一次試験と二次試験、それぞれどんな条件が必要なのか」という疑問は、正確な受験資格の理解で解決できます。

本記事では、技術士一次試験の受験資格(実は制限なし)、二次試験に必要な実務経験の年数と種類、JABEE認定課程による免除制度について、公式情報をもとに詳しく解説します。この情報をもとに、技術士試験合格に向けて、自分がいつ受験できるのかを明確にしましょう。

この記事を読むとわかること
  • 技術士一次試験と二次試験それぞれの受験資格の違い
  • 二次試験に必要な実務経験の具体的な年数とカウント方法
  • JABEE認定課程修了による一次試験免除の仕組み
  • 受験資格に関するよくある勘違いと正しい理解
押さえておきたい3つのポイント
  1. 技術士一次試験に受験資格の制限はありません:学歴、年齢、実務経験を問わず、誰でも受験可能です。技術士を目指す最初のステップとして、まずは一次試験合格を目指しましょう。
  2. 技術士二次試験には実務経験が必須です:技術士補資格を有し、かつ4年超または7年超の実務経験が必要です。実務経験の定義と計算方法を正しく理解することが重要です。
  3. JABEE認定課程修了者は一次試験が免除されます:指定された教育課程を修了すると、一次試験を受けずに修習技術者となり、二次試験受験に進めます。自分の出身校が該当するか確認しましょう。
目次

技術士試験の受験資格の基本構造

技術士試験は一次試験と二次試験の2段階で構成されており、それぞれ異なる受験資格が設定されています。この基本構造を理解することで、技術士資格取得までの道筋が明確になります。

技術士制度全体の仕組みについては、技術士とはで詳しく解説していますので、まずは技術士という資格の位置づけを確認しておくことをおすすめします。

技術士一次試験と二次試験の2段階制

技術士試験は、基礎的な知識を問う一次試験と、応用的な能力を評価する二次試験の2段階で構成されています。一次試験は誰でも受験できる門戸の広い試験ですが、二次試験には実務経験などの明確な要件が設けられています。

この2段階制により、技術士には理論的な知識と実務的な経験の両方が求められる仕組みになっています。一次試験合格者は「修習技術者」と呼ばれ、二次試験受験の資格を得ることができます。

技術士受験資格における修習技術者の位置づけ

修習技術者とは、技術士一次試験に合格した方、またはJABEE認定課程を修了した方に与えられる称号です。修習技術者になることで、技術士二次試験の受験資格の一部を満たすことになります。

修習技術者は技術士補として登録することもできますが、登録は任意です。技術士補に登録しなくても、実務経験の要件を満たせば二次試験を受験できます。この点は後ほど詳しく説明します。

技術士試験受験資格の全体像

技術士試験の受験資格を整理すると、以下のような流れになります。

一次試験の受験資格

  • 学歴、年齢、実務経験の制限なし
  • 誰でも受験可能

二次試験の受験資格

  • 修習技術者であること(一次試験合格またはJABEE認定課程修了)
  • かつ、指定された年数の実務経験を有すること

この基本構造を理解した上で、次のセクションから各試験の受験資格について詳しく見ていきましょう。

技術士一次試験の受験資格

技術士一次試験は、技術士を目指す全ての方に開かれた試験です。受験資格に制限がないため、学生の方でも社会人の方でも、誰でもチャレンジできます。

技術士一次試験は受験資格の制限なし

技術士一次試験には、学歴、年齢、実務経験などの受験資格の制限が一切ありません。高校生でも大学生でも、社会人でも、技術士を目指したいと思った時点で受験できます。

この門戸の広さは、技術士制度の特徴の一つです。他の国家資格では学歴要件や実務経験が必要なものも多い中、技術士一次試験は知識と意欲があれば誰でも挑戦できる試験として設計されています。

技術士一次試験を受験できる対象者

技術士一次試験を受験できる対象者は、以下の通りです。

受験できる方

  • 大学生・大学院生(理系・文系問わず)
  • 高校生・専門学校生
  • 社会人(技術系の仕事に従事している方)
  • 社会人(技術系以外の仕事に従事している方)
  • 主婦・主夫、求職中の方

つまり、実質的に全ての方が受験可能です。ただし、試験内容は工学の基礎知識を問うものなので、理系の基礎的な知識があると有利です。

技術士一次試験合格後の資格と選択肢

技術士一次試験に合格すると、「修習技術者」の称号を得ることができます。この時点で、以下の2つの選択肢があります。

選択肢1:技術士補として登録する

  • 日本技術士会に登録申請を行う
  • 技術士補の称号を名刺に記載できる
  • 登録には費用がかかる(登録免許税と登録手数料)

選択肢2:技術士補として登録せず、実務経験を積む

  • 登録せずに実務経験を積む
  • 実務経験の要件を満たせば二次試験を受験可能
  • 費用がかからない

どちらの選択肢を選んでも、実務経験の要件を満たせば技術士二次試験を受験できます。技術士補登録のメリット・デメリットについては後のセクションで詳しく解説します。

技術士一次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士一次試験とは?試験制度・科目・日程を詳しく解説

技術士二次試験の受験資格【必須要件】

技術士二次試験を受験するには、明確な要件を満たす必要があります。一次試験とは異なり、実務経験が必須となる点が大きな特徴です。

技術士二次試験受験に必要な2つの要件

技術士二次試験を受験するには、以下の2つの要件を両方満たす必要があります。

要件1:技術士補となる資格を有していること
以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 技術士第一次試験に合格していること
  • 指定された教育課程(JABEE認定課程)を修了していること

要件2:指定された年数の実務経験を有していること
科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務を行った経験が必要です。必要な年数は、監督者の有無により異なります。

この2つの要件を両方満たして初めて、技術士二次試験の受験資格が得られます。

技術士補となる資格を有していること

技術士二次試験を受験するための第一の要件は、「技術士補となる資格を有していること」です。これは、以下のいずれかの条件を満たすことを意味します。

条件1:技術士一次試験に合格している

  • 最も一般的なルート
  • 一次試験合格により修習技術者となる
  • 技術士補への登録は任意(登録しなくても受験資格あり)

条件2:JABEE認定課程を修了している

  • 日本技術者教育認定機構(JABEE)が認定した教育課程を修了
  • 一次試験を受けずに修習技術者となる
  • 主に大学・大学院の特定の学科・専攻が該当

重要なのは、「技術士補となる資格を有している」ことであり、実際に技術士補として登録することは必須ではありません。一次試験に合格した時点、またはJABEE認定課程を修了した時点で、この要件は満たされます。

技術士二次試験受験資格における実務経験の定義

技術士二次試験の受験資格における「実務経験」には、明確な定義があります。単なる業務経験ではなく、技術的な判断や応用能力を必要とする業務である必要があります。

実務経験として認められる業務

  • 科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務
  • 計画、研究、設計、分析、試験、評価などの業務
  • これらに関する指導の業務

実務経験として認められない業務

  • 単純な事務作業や補助的な業務
  • 技術的判断を伴わない定型的な業務
  • 技術と関係のない営業・販売業務のみ

実務経験の内容については、二次試験の願書提出時に詳細な業務経歴を記載する必要があります。自分の業務が実務経験として認められるか不安な場合は、日本技術士会に確認することをおすすめします。

技術士二次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験とは?試験制度・受験資格・日程を詳しく解説

技術士二次試験の受験資格【実務経験の3パターン】

技術士二次試験の受験に必要な実務経験には、監督者の有無や状況に応じて3つのパターンがあります。自分がどのパターンに該当するかを正しく理解することが重要です。

パターン①:技術士補として4年超の実務経験

技術士補として登録し、指導技術士の下で実務経験を積む場合は、4年を超える実務経験が必要です。

このパターンの条件

  • 技術士補として正式に登録している
  • 指導技術士(すでに技術士資格を持つ技術者)の下で業務を行っている
  • その状態で4年を超える実務経験を積んでいる

指導技術士とは、技術士の資格を持ち、技術士補を指導する立場にある技術者のことです。企業内に技術士の資格を持つ先輩や上司がいる場合、その方を指導技術士として登録することができます。

このパターンは、技術士による直接指導を受けられるため、最も体系的に実務能力を磨けるルートと言えます。

パターン②:監督者の下で4年超の実務経験

技術士補として登録していない場合でも、監督者の下で実務経験を積むことで二次試験の受験資格を得られます。

このパターンの条件

  • 技術士補として登録していない(一次試験合格者またはJABEE修了者)
  • 職務上の監督者(上司や先輩)の下で業務を行っている
  • その状態で4年を超える実務経験を積んでいる

この「監督者」は技術士の資格を持っている必要はありません。一般的な企業組織における上司や先輩、プロジェクトリーダーなどが該当します。

多くの受験者がこのパターンで二次試験を受験しています。技術士補に登録しなくても、通常の業務を通じて実務経験を積めるため、最も一般的なルートです。

パターン③:指導者なしで7年超の実務経験

監督者や指導者がいない環境で働いている場合、7年を超える実務経験が必要になります。

このパターンの条件

  • 独立して業務を行っている
  • 明確な監督者がいない状況で働いている
  • その状態で7年を超える実務経験を積んでいる

このパターンは、フリーランスのエンジニアや、小規模企業で単独で技術業務を担当している方などが該当します。監督者がいない分、より長い実務経験が求められます。

ただし、中小企業であっても上司や先輩がいる場合は、その方を監督者として4年超のパターン②で受験できる可能性があります。自分の状況がどちらに該当するか、慎重に判断しましょう。

技術士試験受験資格における実務経験のカウント方法

実務経験の年数をカウントする際には、いくつかの重要なポイントがあります。

実務経験のカウント開始時期

  • 修習技術者となった日以降の経験がカウント対象
  • 一次試験合格日またはJABEE課程修了日から起算
  • それ以前の実務経験は原則としてカウントされない

実務経験のカウント方法

  • 基本的に暦年でカウント(月単位で計算)
  • 複数の会社での経験も通算可能
  • 育児休業・病気休職などの期間の扱いは個別判断

注意すべき点

  • 「4年超」とは4年0ヶ月を超えることを意味する(4年1ヶ月以上)
  • 「7年超」とは7年0ヶ月を超えることを意味する(7年1ヶ月以上)
  • 実務経験の詳細は受験申込時に業務経歴票に記載が必要

実務経験の計算に不安がある場合は、日本技術士会に問い合わせることをおすすめします。受験資格を満たしていないまま受験すると、合格しても無効になる可能性があります。

技術士総合技術監理部門の受験資格

技術士には21の技術部門がありますが、その中でも総合技術監理部門は特別な位置づけを持ち、受験資格も他の部門とは異なります。

技術士総合技術監理部門の特別な実務経験要件

総合技術監理部門は、技術士の最上位資格とされており、他の20部門とは異なる実務経験要件が設定されています。

総合技術監理部門の特徴

  • 技術全般の管理を行う能力が求められる
  • 経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理の5つの管理技術が必要
  • より高度な実務経験が要求される

この部門は、単なる技術的な専門性だけでなく、プロジェクトや組織を総合的にマネジメントする能力を証明するものです。そのため、通常の技術部門よりも長い実務経験が必要とされます。

技術士総合技術監理部門受験に必要な年数

総合技術監理部門を受験するには、以下のいずれかの実務経験が必要です。

必要な実務経験の年数

パターン1:監督者の下での実務経験

  • 7年を超える実務経験が必要
  • 通常の技術部門(4年超)より3年長い

パターン2:指導者なしでの実務経験

  • 10年を超える実務経験が必要
  • 通常の技術部門(7年超)より3年長い

技術士補として指導技術士の下で実務経験を積む場合も、7年超の実務経験が必要です。総合技術監理部門では、最短でも7年以上の実務経験が必須となります。

技術士総合技術監理部門の受験資格確認ポイント

総合技術監理部門の受験を考えている方は、以下のポイントを確認しましょう。

確認ポイント1:実務経験の内容

  • 単なる技術業務だけでなく、管理的な業務経験があるか
  • プロジェクトマネジメントやチーム管理の経験があるか
  • 5つの管理技術(経済性、人的資源、情報、安全、社会環境)に関わる業務経験があるか

確認ポイント2:実務経験の年数

  • 修習技術者となってから7年超(または10年超)経過しているか
  • 業務経歴票に記載する実務経験の期間は正確か

確認ポイント3:受験する技術部門

  • 総合技術監理部門と同時に他の技術部門も受験する場合、両方の受験資格を満たしているか
  • すでに他の技術部門で技術士資格を持っている場合は、実務経験の要件が一部免除される場合がある

総合技術監理部門は難易度が高い分、取得後のキャリアアップ効果も大きい資格です。受験資格を満たしたら、十分な準備期間を確保して挑戦しましょう。

技術士の部門に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士の部門一覧と選び方|21部門の特徴と選択基準

技術士一次試験の免除制度(JABEE認定課程)

技術士一次試験には免除制度があり、特定の教育課程を修了した方は一次試験を受けずに修習技術者となることができます。

JABEE認定課程とは何か

JABEE(Japan Accreditation Board for Engineering Education:日本技術者教育認定機構)とは、技術者教育プログラムの品質を保証するための認定機関です。

JABEEの役割

  • 大学や高等専門学校の技術者教育プログラムを審査・認定
  • 国際的な技術者教育の質保証基準に基づく評価
  • 認定されたプログラムの修了者は技術者としての基礎能力を保証

JABEE認定課程を修了することは、技術士一次試験に合格したことと同等と見なされます。これにより、一次試験を受けることなく、直接二次試験の受験資格(実務経験を満たした場合)を得ることができます。

技術士一次試験免除の対象者

技術士一次試験が免除される対象者は、以下の通りです。

免除対象者

  • JABEE認定プログラムを修了した方
  • 認定プログラムの修了証明書を持っている方

重要な注意点

  • 単にJABEE認定校の学科を卒業しただけでは免除されない
  • 認定プログラムとして認定された期間に在籍・修了している必要がある
  • 自分の入学・卒業年度が認定期間に含まれているか確認が必要

JABEE認定プログラムは、主に工学系の大学・大学院に設置されていますが、全ての工学部や工学系学科が認定を受けているわけではありません。自分の出身校・学科が認定を受けていたかどうかは、JABEE公式サイトで確認できます。

JABEE認定課程修了者の技術士試験受験の流れ

JABEE認定課程を修了した方の技術士試験受験の流れは、以下のようになります。

ステップ1:修習技術者としての資格確認

  • JABEE認定プログラム修了証明書を用意
  • 修了した課程がJABEE認定課程であることを確認

ステップ2:実務経験を積む

  • 修了後、必要な実務経験を積む
  • 監督者の下で4年超、または指導者なしで7年超
  • (総合技術監理部門の場合は7年超または10年超)

ステップ3:技術士二次試験を受験

  • 実務経験の要件を満たしたら二次試験に出願
  • 業務経歴票にJABEE修了の旨を記載
  • 修了証明書のコピーを添付

JABEE認定課程修了者は、一次試験の学習時間を節約でき、その分を実務能力の向上や二次試験対策に充てることができます。在学中にJABEE認定プログラムを選択することは、技術士を目指す上で大きなアドバンテージとなります。

技術士一次試験の免除に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士一次試験の免除制度とは?対象者・申請方法を解説

技術士補の登録と受験資格の関係

技術士一次試験に合格すると、技術士補として登録することができます。しかし、この登録は任意であり、登録の有無が二次試験の受験資格に影響することはありません。

技術士補登録は二次試験受験に必須ではない

多くの方が誤解している点ですが、技術士補への登録は技術士二次試験を受験するための必須条件ではありません。

重要なポイント

  • 一次試験に合格すれば修習技術者となる
  • 修習技術者であれば、実務経験を満たせば二次試験を受験できる
  • 技術士補への登録は任意(してもしなくても良い)

技術士法では、「技術士補となる資格を有する者」が実務経験を積めば二次試験を受験できると定められています。ここで言う「資格を有する」とは、登録していることではなく、一次試験合格またはJABEE課程修了を意味します。

実際、多くの技術士二次試験合格者は、技術士補に登録せずに受験しています。登録手続きと費用を省略できるため、登録しない選択をする方が多いのが現状です。

技術士補登録をするメリットとデメリット

技術士補への登録は任意ですが、メリットとデメリットを理解した上で判断することが大切です。

技術士補登録のメリット

  • 名刺や書類に「技術士補」の肩書きを記載できる
  • 公的な証明として技術者としての基礎知識を示せる
  • 指導技術士の下で4年超の実務経験を積む場合、正式な指導関係を明確化できる
  • 技術士会の活動に参加しやすくなる

技術士補登録のデメリット

  • 登録費用がかかる(登録免許税15,000円+登録手数料)
  • 登録手続きに時間と手間がかかる
  • 登録しても二次試験合格後は技術士として再登録が必要
  • 登録情報の変更があれば届出が必要

費用の詳細

  • 登録免許税:15,000円
  • 登録手数料:約5,000円
  • 合計:約20,000円

この費用を払ってまで登録するメリットがあるかどうかは、個人の状況によります。指導技術士の下で明確な指導を受けたい場合や、名刺に記載したい場合は登録するメリットがあるでしょう。

技術士補未登録でも二次試験は受験可能

繰り返しになりますが、技術士補に登録していなくても、以下の条件を満たせば技術士二次試験は受験可能です。

二次試験受験の条件(技術士補未登録の場合)

  • 技術士一次試験に合格している(または、JABEE認定課程を修了している)
  • 監督者の下で4年を超える実務経験がある(または、指導者なしで7年を超える実務経験がある)

技術士補に登録するかどうかは、上記のメリット・デメリットを考慮して、自分の状況に合わせて判断しましょう。登録しない選択をしても、技術士を目指す道は閉ざされません。

多くの技術士が技術士補に登録せずに二次試験に合格しているという事実は、技術士補登録が必須ではないことの証明と言えるでしょう。

技術士試験の受験資格でよくある勘違い

技術士試験の受験資格については、多くの方が誤解している点があります。正しい情報を理解して、無駄な時間を使わないようにしましょう。

技術士一次試験合格後すぐに二次試験は受けられない

最も多い勘違いが、「一次試験に合格したらすぐに二次試験を受験できる」というものです。

よくある勘違い
「一次試験に合格したので、来年の二次試験をすぐに受けられる」
→ これは間違いです

正しい理解

  • 一次試験合格後、最低でも4年超の実務経験が必要
  • 実務経験は一次試験合格日以降からカウント開始
  • つまり、一次試験合格から二次試験受験まで最短で約4年1ヶ月かかる

例えば、2024年10月に一次試験に合格した場合、二次試験を受験できるのは早くても2029年(実務経験4年超を満たした後)になります。在学中に一次試験に合格した場合、就職後の実務経験期間が必要です。

この点を理解せずに早期に技術士資格を取得しようと考えている方は、現実的なスケジュールを立て直す必要があります。

技術士試験の実務経験は「技術的な業務」に限定される

実務経験に関する勘違いも多く見られます。「会社で働いていればどんな業務でも実務経験になる」というのは誤りです。

よくある勘違い
「技術系の会社に勤めていれば、営業や事務の仕事でも実務経験になる」
→ これは間違いです

正しい理解

  • 実務経験として認められるのは「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務」のみ
  • 計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導の業務が該当
  • 単純な事務作業や営業活動だけでは実務経験として認められない

実務経験として認められる例

  • 製品の設計・開発業務
  • 技術的な分析・評価業務
  • 技術文書の作成・レビュー
  • 技術的な判断を伴うプロジェクト管理

実務経験として認められない例

  • 単なる製品の販売・営業活動
  • 技術的判断を伴わない定型的な事務作業
  • 補助的な業務のみ

自分の業務が実務経験として認められるか不安な場合は、業務内容を詳しく確認し、必要に応じて日本技術士会に問い合わせることをおすすめします。

技術士受験資格における業務経歴の証明方法

技術士二次試験を受験する際には、実務経験を証明する書類の提出が必要です。この点も正しく理解しておく必要があります。

業務経歴の証明方法

  • 受験申込時に「業務経歴票」を提出
  • 業務内容、従事期間、監督者の情報などを詳細に記載
  • 虚偽の記載は厳禁(発覚すれば受験資格取り消し)

業務経歴票に記載する内容

  • 業務の名称と概要
  • 業務に従事した期間(年月)
  • 業務における自分の役割
  • 業務で発揮した技術的能力
  • 監督者または指導技術士の情報

業務経歴票は、二次試験の筆記試験や口頭試験でも参照されます。正確に、かつ自分の技術的能力をアピールできる内容で記載することが重要です。

技術士になるための全体の流れに関してもっと詳しい記事はこちら
技術士になるには?資格取得の流れ・必要な勉強・実務要件を解説

技術士試験の受験資格を満たしているか確認する方法

自分が技術士試験の受験資格を満たしているかどうかを、確実に確認する方法を知っておきましょう。

技術士一次試験の受験資格チェックリスト

技術士一次試験を受験できるかどうかは、以下のチェックリストで簡単に確認できます。

技術士一次試験 受験資格チェックリスト

□ 年齢、学歴、実務経験の制限なし → 誰でも受験可能

以上です。技術士一次試験には特別な受験資格がないため、受験を希望する全ての方が出願できます。

一次試験を受けずに修習技術者となれる方

□ JABEE認定課程を修了している → 一次試験免除
□ 修了証明書を持っている → 免除申請可能

JABEE認定課程を修了している方は、一次試験を受けずに直接、実務経験を積んで二次試験に進むことができます。

技術士二次試験の受験資格チェックリスト

技術士二次試験の受験資格は複雑なので、以下のチェックリストで慎重に確認しましょう。

技術士二次試験 受験資格チェックリスト

【必須要件1】修習技術者であること
□ 技術士一次試験に合格している
または
□ JABEE認定課程を修了している

【必須要件2】実務経験を満たしていること

以下のいずれかに該当しますか?

□ パターン①:技術士補として登録し、指導技術士の下で4年を超える実務経験がある
□ パターン②:監督者の下で4年を超える実務経験がある(技術士補未登録)
□ パターン③:指導者なしで7年を超える実務経験がある

【実務経験の内容】
□ 科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務である
□ 計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導のいずれかの業務である
□ 単純な事務作業や補助的な業務だけではない

【実務経験の期間】
□ 修習技術者となった日(一次試験合格日またはJABEE修了日)以降の経験である
□ 必要年数(4年超または7年超)を満たしている
□ 暦年で計算して、正確な年数を確認している

【総合技術監理部門を受験する場合】
□ 監督者の下で7年を超える実務経験がある、または指導者なしで10年を超える実務経験がある

全ての項目にチェックが付けば、技術士二次試験の受験資格を満たしています。1つでも不明な点があれば、日本技術士会に確認することをおすすめします。

技術士試験受験資格に関する相談窓口

受験資格について不明な点がある場合は、以下の窓口に相談できます。

公益社団法人 日本技術士会

  • 公式サイト:https://www.engineer.or.jp/
  • 電話での問い合わせ:試験センター
  • メールでの問い合わせ:公式サイトの問い合わせフォーム

相談できる内容

  • 自分の実務経験が受験資格の要件を満たすか
  • JABEE認定課程の修了証明書の確認方法
  • 業務経歴票の書き方
  • 実務経験の年数計算方法
  • 技術士補登録の手続き

受験資格を満たしていないまま受験申し込みをすると、審査で不合格となり、受験料が無駄になります。不明な点は必ず事前に確認しましょう。

また、受験を決めたら、次のステップである申し込み手続きについても確認しておくことをおすすめします。

技術士試験の申し込み手続きに関してもっと詳しい記事はこちら
技術士試験の申し込み方法|期間・手続き・必要書類を解説

技術士試験の受験資格に関連するよくある質問(FAQ)

技術士試験の受験資格について、多くの方から寄せられる質問をまとめました。

Q. 技術士一次試験に受験資格の制限はありますか?

技術士一次試験には、学歴、年齢、実務経験などの受験資格の制限は一切ありません。高校生でも大学生でも社会人でも、技術士を目指したいと思った時点で誰でも受験できます。理系の基礎知識があると有利ですが、文系の方でも受験は可能です。

Q. 技術士二次試験の受験に必要な実務経験は何年ですか?

技術士二次試験の受験に必要な実務経験は、監督者の有無により異なります。技術士補として指導技術士の下で働く場合、または監督者の下で働く場合は4年を超える実務経験が必要です。指導者なしで独立して働く場合は7年を超える実務経験が必要です。総合技術監理部門の場合は、それぞれ7年超、10年超となります。

Q. 技術士試験の実務経験はいつからカウントされますか?

技術士試験の実務経験は、修習技術者となった日からカウントが開始されます。具体的には、技術士一次試験に合格した日、またはJABEE認定課程を修了した日以降の実務経験がカウント対象となります。一次試験合格前や課程修了前の実務経験は、原則としてカウントされません。

Q. 技術士補の登録をしないと二次試験は受けられませんか?

技術士補への登録は任意であり、登録しなくても技術士二次試験は受験できます。一次試験に合格すれば修習技術者となり、実務経験の要件を満たせば二次試験を受験できます。多くの技術士二次試験合格者は、技術士補に登録せずに受験しています。登録するかどうかは、メリット・デメリットを考慮して判断しましょう。

Q. 技術士試験でJABEE認定課程を修了すると何が免除されますか?

JABEE(日本技術者教育認定機構)認定課程を修了すると、技術士一次試験が免除されます。JABEE認定プログラムの修了は一次試験合格と同等と見なされ、修了時点で修習技術者となります。これにより、一次試験を受けることなく、実務経験を積んで直接二次試験を受験することができます。

Q. 技術士総合技術監理部門の受験資格は通常の部門と異なりますか?

技術士総合技術監理部門の受験資格は、他の20部門よりも長い実務経験が必要です。監督者の下で働く場合は7年を超える実務経験、指導者なしで働く場合は10年を超える実務経験が必要です。通常の技術部門(4年超または7年超)と比べて、3年長い実務経験が求められます。総合技術監理部門は技術士の最上位資格として位置づけられているためです。

Q. 技術士試験の実務経験として認められる業務は何ですか?

技術士試験の実務経験として認められるのは、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務です。具体的には、計画、研究、設計、分析、試験、評価、またはこれらに関する指導の業務が該当します。単純な事務作業や補助的な業務、技術的判断を伴わない定型的な業務は実務経験として認められません。自分の業務が該当するか不安な場合は、日本技術士会に確認することをおすすめします。

まとめ:技術士試験の受験資格と合格への準備

本記事では、技術士試験の受験資格について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 技術士一次試験は誰でも受験可能:学歴、年齢、実務経験の制限なく、技術士を目指す全ての方に開かれています。まずは一次試験合格を目指しましょう。
  2. 技術士二次試験には実務経験が必須:修習技術者であることに加え、監督者の下で4年超、または指導者なしで7年超の実務経験が必要です。技術士補への登録は任意ですが、実務経験の定義を正しく理解することが重要です。
  3. JABEE認定課程修了者は一次試験免除:指定された教育課程を修了すると、一次試験を受けずに修習技術者となれます。自分の出身校が該当するか確認し、該当する場合は効率的に二次試験を目指せます。

技術士試験の受験資格を正しく理解できたら、次は具体的な試験対策を始めましょう。技術士試験の勉強法技術士試験の全体像を参考に、計画的に学習を進めることをおすすめします。

本記事を通じて、技術士試験の受験資格の仕組みと、自分がいつ受験できるのかを理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、技術士資格取得に向けて着実に一歩を踏み出しましょう。

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