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技術士の部門一覧と選び方|21部門の特徴と選択基準

技術士の部門選択について知りたいあなたへ。「21ある技術士の部門から、どれを選べばよいのか」という悩みは、各部門の特徴と選択基準を理解することで解決できます。

本記事では、技術士の21部門の全体像、各部門の特徴と仕事内容、一次試験と二次試験での部門の選び方について、実際のデータと選択基準を交えて詳しく解説します。この情報をもとに、あなたに最適な技術士部門の選択と、資格取得に向けた具体的な一歩を踏み出しましょう。

この記事を読むとわかること
  • 技術士の21部門の全体像と各部門の特徴
  • 部門別の受験者数と人気部門のランキング
  • 一次試験と二次試験における部門選択の基準
  • 自分に最適な部門を選ぶための具体的な判断方法
押さえておきたい3つのポイント
  1. 技術士は21の技術部門に分かれている:機械、電気電子、建設、情報工学など、科学技術の全分野をカバーする21部門が存在し、それぞれに専門性と役割があります。
  2. 一次試験と二次試験で異なる部門を選べる:一次試験は合格しやすい部門を選び、二次試験では実務経験に基づいた部門を選択することが可能です。
  3. 部門選択はキャリアパスに影響する:選択した部門によって、将来の業務範囲や就職先、専門性の方向性が大きく変わります。
目次

技術士の部門とは?21部門の全体像

技術士制度では、科学技術の広範な分野をカバーするために21の技術部門が設定されています。この部門制度により、技術者は自身の専門分野に応じた資格を取得し、専門性を社会的に証明することができます。

部門選択は技術士試験における最も大切な決定の一つです。なぜなら、選択した部門によって試験内容、必要な知識、そして取得後のキャリアパスが大きく異なるためです。技術士資格の全体像について詳しく知りたい方は、技術士資格の基本も参考にしてください。

技術士試験は21の技術部門に分かれている

技術士制度では、機械部門、電気電子部門、建設部門、情報工学部門など、合計21の技術部門が設定されています。これらの部門は日本の産業構造と科学技術の発展に合わせて整備されており、それぞれが明確な専門領域を持っています。

各部門はさらに「選択科目」に分かれており、より詳細な専門分野を選ぶことができます。例えば機械部門には、機械設計、材料力学、熱工学など複数の選択科目が存在します。この二段階の専門性の設定により、技術者は自身の専門分野を正確に表現できる仕組みとなっています。

21部門は以下のように分類されます:機械、船舶・海洋、航空・宇宙、電気電子、化学、繊維、金属、資源工学、建設、上下水道、衛生工学、農業、森林、水産、経営工学、情報工学、応用理学、生物工学、環境、原子力・放射線、総合技術監理の各部門です。

技術士の部門は科学技術の全分野をカバー

技術士の21部門は、日本の科学技術分野のほぼ全領域をカバーする設計となっています。製造業に関連する機械や電気電子、インフラ整備に関わる建設や上下水道、環境や資源といった現代的な課題に対応する部門まで、幅広い専門分野が含まれています。

この包括的な部門設計により、技術士制度は国内最高峰の技術者資格として機能しています。どの産業分野で活躍する技術者も、自身の専門性に応じた部門を見つけることができ、その専門性を社会的に証明できる仕組みとなっているのです。

また、時代の変化に応じて部門の見直しも行われてきました。情報工学部門は2001年に新設され、IT技術の重要性の高まりに対応しました。このように、技術士制度は社会のニーズに合わせて進化を続けています。

技術士の部門選択とキャリアの関係

技術士の部門選択は、単なる試験科目の選択ではなく、将来のキャリアパスに直結する大切な決定です。選択した部門は、技術士として活動する際の専門領域を示すものであり、仕事の依頼や評価の基準となります。

例えば、建設部門の技術士は建設コンサルタントや公共工事の監理技術者として活躍する機会が多く、情報工学部門の技術士はシステム開発やIT戦略の専門家として評価されます。このように、部門によって活躍できる分野や求められる役割が異なるのです。

また、複数の部門を取得することで、より広い専門性を証明することも可能です。例えば、機械部門と総合技術監理部門を併せ持つことで、技術的専門性とマネジメント能力の両方をアピールできます。部門選択は一度きりの決定ではなく、キャリアの発展に応じて追加取得を検討することも有効な戦略です。

技術士資格の基本に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士とは?資格の仕事内容・試験制度・取得メリットを徹底解説

技術士の21部門一覧|各部門の概要

技術士の21部門は、専門分野の特性に応じて大きく7つのカテゴリーに分類することができます。ここでは各カテゴリーごとに、部門の特徴と専門領域について詳しく解説します。自分の専門分野や興味のある分野がどの部門に該当するのかを確認しましょう。

技術士の機械・船舶・航空系部門(3部門)

機械系の部門には、機械部門、船舶・海洋部門、航空・宇宙部門の3つがあります。これらは製造業やものづくりの中核を担う部門です。

機械部門は最も伝統的な部門の一つで、機械設計、材料力学、熱工学、流体工学など、機械工学の基礎から応用まで幅広い選択科目を持ちます。自動車、産業機械、精密機器など、あらゆる機械製品の開発・製造に関わる技術者が対象となります。

船舶・海洋部門は、船舶の設計・建造、海洋開発、港湾施設などを専門とします。日本は海洋国家であり、造船業や海運業における技術士の役割は欠かせません。航空・宇宙部門は、航空機や宇宙機の設計・製造、航空管制システムなど、最先端の技術分野をカバーしています。

技術士の電気・情報・通信系部門(2部門)

電気電子部門と情報工学部門が、この分野の中核を担っています。現代社会のインフラを支える中心的な部門といえます。

電気電子部門は、電力システム、電子回路、通信工学、制御工学など、電気・電子技術全般を対象とします。発電所、送配電網、電子機器、通信システムなど、社会インフラから消費者製品まで幅広い分野で活躍できます。

情報工学部門は2001年に新設された比較的新しい部門で、ソフトウェア開発、情報システム、ネットワーク、情報セキュリティなど、IT技術全般を専門とします。デジタル化が進む現代社会において、この部門の技術士に対する需要は急速に高まっています。

技術士の建設・環境系部門(4部門)

建設部門、上下水道部門、衛生工学部門、環境部門の4つが、社会インフラと環境保全を担う部門群です。

建設部門は技術士試験で最も受験者数が多い部門で、道路、橋梁、トンネル、ダムなどの土木構造物の設計・施工・維持管理を専門とします。公共工事における監理技術者の要件として技術士資格が求められることが多く、実務的な価値が非常に高い部門です。

上下水道部門は、水道施設や下水道システムの計画・設計・維持管理を専門とし、衛生工学部門は廃棄物処理や大気汚染防止などを扱います。環境部門は環境影響評価や環境保全計画など、持続可能な社会づくりに貢献する専門分野です。

技術士の化学・材料・繊維系部門(4部門)

化学部門、繊維部門、金属部門、資源工学部門が、材料と素材産業を支える部門群です。

化学部門は、化学プロセス、高分子材料、触媒技術など、化学工学と化学技術全般を対象とします。化学メーカーや素材産業で活躍する技術者に適した部門です。繊維部門は繊維製品の製造技術や機能性繊維の開発などを専門とし、日本の伝統的な産業分野を支えています。

金属部門は、金属材料の製造、加工、熱処理などを扱い、鉄鋼業や非鉄金属産業における専門家を対象とします。資源工学部門は、鉱物資源の探査、採掘、選鉱など、資源開発に関する技術を専門としています。

技術士の農林水産・生物系部門(4部門)

農業部門、森林部門、水産部門、生物工学部門が、食料生産と生物資源を担う部門群です。

農業部門は、農業生産技術、農業土木、農業機械など、農業に関する幅広い技術分野をカバーします。森林部門は森林の育成・管理、林業技術、木材利用などを専門とし、持続可能な森林経営に貢献します。水産部門は水産資源の管理、養殖技術、水産加工などを扱います。

生物工学部門は、バイオテクノロジーを活用した技術開発、遺伝子工学、発酵工学など、現代的なバイオ技術を専門としています。医薬品、食品、環境分野など、幅広い応用が期待される分野です。

技術士の資源・エネルギー・経営系部門(3部門)

経営工学部門、原子力・放射線部門、応用理学部門が、この分野を構成しています。

経営工学部門は、生産管理、品質管理、IE(インダストリアル・エンジニアリング)など、製造現場の効率化と最適化を専門とします。技術と経営の橋渡しを担う専門分野です。

原子力・放射線部門は、原子力発電、放射線利用技術、放射性廃棄物管理などを専門とし、高度な専門知識が求められる分野です。応用理学部門は、物理、化学、地学などの基礎科学を産業応用する技術を扱い、研究開発に携わる技術者に適しています。

技術士の総合技術監理部門の特徴

総合技術監理部門は、他の20部門とは異なる特別な位置づけの部門です。この部門は、技術士の最上位資格として設計されており、高度な技術マネジメント能力を証明します。

総合技術監理部門では、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理という5つの管理分野を統合的に扱います。受験要件として、既に他の部門で技術士資格を取得しているか、または総合技術監理部門の筆記試験と同時に他部門の二次試験に合格する必要があります。

この部門の技術士は、大規模プロジェクトの統括や、組織の技術戦略立案など、経営層に近い立場で活躍することが期待されます。技術的専門性だけでなく、経営的視点も持ち合わせた技術リーダーとしての能力を証明する資格といえます。

技術士の各部門の仕事内容と業務範囲

技術士の資格取得後、実際にどのような業務に携わるかは選択した部門によって大きく異なります。ここでは、受験者数が多く人気の高い4つの部門について、具体的な仕事内容と選択科目について詳しく解説します。

技術士機械部門の仕事内容と選択科目

機械部門の技術士は、製品開発、設計、製造プロセスの改善など、ものづくりの中核を担う業務に従事します。自動車メーカーや機械メーカーでは、新製品の設計検証や製造工程の最適化において技術士の専門知識が活用されます。

選択科目には、機械設計、材料力学、機械力学・制御、熱工学、流体工学、加工・生産システム・産業機械などがあります。機械設計を選択した技術士は、強度計算や耐久性評価などの専門業務を担当し、加工・生産システムを選択した技術士は、生産ラインの設計や効率化を主導します。

機械部門の技術士は、製造業における品質保証や技術監理の責任者として、また技術コンサルタントとして独立開業する道もあります。機械部門についてさらに詳しく知りたい方は、技術士機械部門の詳細をご覧ください。

技術士電気電子部門の仕事内容と選択科目

電気電子部門の技術士は、電力システムの設計・運用、電子機器の開発、通信ネットワークの構築など、幅広い分野で活躍します。電力会社では送配電システムの設計や保守管理、電機メーカーでは新製品の開発や技術評価を担当します。

選択科目には、電力・エネルギーシステム、電気応用、電子応用、情報通信、電気設備などがあります。電力・エネルギーシステムを選択した技術士は発電所や変電所の設計・運用を、情報通信を選択した技術士は通信インフラの構築や管理を専門とします。

近年、再生可能エネルギーの普及やスマートグリッドの導入により、電気電子部門の技術士に対する需要は高まっています。電気電子部門の詳細については、技術士電気電子部門の詳細で解説しています。

技術士建設部門の仕事内容と選択科目

建設部門の技術士は、道路、橋梁、トンネル、ダムなどの社会インフラの計画・設計・施工管理・維持管理に携わります。建設コンサルタント会社では、公共工事の設計業務や環境影響評価を担当し、ゼネコンでは大規模プロジェクトの技術管理者として活躍します。

選択科目には、土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、都市及び地方計画、河川・砂防及び海岸・海洋、港湾及び空港、電力土木、道路、鉄道、トンネル、施工計画・施工設備及び積算などがあります。

建設部門の技術士は、公共工事における監理技術者の要件として認められており、資格の実務的価値が非常に高いことが特徴です。大規模な公共工事では技術士の配置が義務付けられるケースも多く、キャリアアップに直結する資格といえます。

技術士情報工学部門の仕事内容と選択科目

情報工学部門の技術士は、情報システムの企画・設計・開発、ネットワークインフラの構築、情報セキュリティ対策など、IT分野全般で専門性を発揮します。システム開発会社では大規模システムの設計や品質管理を、企業の情報システム部門ではIT戦略の立案や導入プロジェクトの管理を担当します。

選択科目には、情報システム・データ工学、計算機システム、ソフトウェア工学、情報ネットワーク、情報セキュリティなどがあります。情報セキュリティを選択した技術士は、企業のセキュリティ対策の設計や監査を、ソフトウェア工学を選択した技術士は開発プロセスの改善や品質保証を専門とします。

デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、情報工学部門の技術士に対する需要は急速に拡大しています。技術的な専門性だけでなく、ビジネスと技術の橋渡しをする役割も期待されています。

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技術士機械部門とは?試験内容・勉強法・キャリアを解説

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技術士電気電子部門とは?試験内容・過去問・メリットを解説

技術士の部門別受験者数|人気部門TOP5

技術士試験の部門別受験者数を見ることで、各部門の人気度や需要の高さを把握することができます。受験者数が多い部門は、それだけ実務での活用機会が多く、資格の価値が認められているといえます。ここでは、2023年度のデータをもとに部門別の受験状況を分析します。

技術士試験で最も受験者が多い建設部門

建設部門は、技術士二次試験において圧倒的に最も受験者が多い部門です。2023年度の二次試験では、全受験者の約50%が建設部門を選択しており、他の部門を大きく引き離しています。

建設部門の受験者が多い理由は、公共工事における監理技術者の要件として技術士資格が認められており、実務的な価値が極めて高いためです。建設コンサルタントやゼネコンに勤務する技術者にとって、技術士資格は昇進や業務受注の条件となるケースが多く、資格取得が実質的に必須となっています。

また、建設部門は選択科目の数が11と最も多く、土木工学のあらゆる専門分野に対応しています。自身の専門分野に合わせた選択科目を選べることも、受験者数の多さにつながっています。

技術士試験の部門別受験者数ランキング

2023年度の技術士二次試験における部門別受験者数の上位5部門は以下の通りです。

1位は建設部門で約8,500人、2位は電気電子部門で約1,800人、3位は機械部門で約1,500人、4位は情報工学部門で約1,200人、5位は上下水道部門で約800人となっています(日本技術士会発表データ)。

建設部門が突出して多いのに対し、他の部門は比較的分散しています。電気電子部門と機械部門は、製造業における需要の高さを反映しており、情報工学部門は近年のIT需要の高まりにより受験者が増加傾向にあります。

一方、森林部門、繊維部門、水産部門などは受験者数が少なく、それぞれ100人未満となっています。これらの部門は産業規模が限られているため、受験者数も少なくなっています。

技術士試験の受験者が少ない部門の特徴

受験者数が少ない部門には、いくつかの共通した特徴があります。一つは、対象となる産業規模が限られていることです。例えば森林部門や水産部門は、従事する技術者の総数自体が少ないため、受験者数も自然と少なくなります。

もう一つの特徴は、技術士資格が業務上の必須要件となっていない分野です。経営工学部門や応用理学部門などは、専門性は高いものの、資格がなくても業務を行えるため、受験動機が限られます。

ただし、受験者が少ない部門だからといって難易度が低いわけではありません。むしろ、専門性が高く出題範囲が特殊であるため、対策が難しいケースもあります。部門選択では、単純な人気度ではなく、自身の専門分野と実務経験に基づいて判断することが肝心です。

技術士の部門選び方|一次試験の場合

技術士一次試験における部門選択は、二次試験とは異なる視点で考える必要があります。一次試験は技術士への第一歩であり、ここでの部門選択が必ずしも将来の専門分野を決定するわけではありません。効率的に合格を目指すための戦略的な選択が求められます。

技術士一次試験は合格しやすい部門を選ぶべき理由

技術士一次試験では、自分の専門分野にこだわらず、合格しやすい部門を選択することが推奨されます。なぜなら、一次試験に合格して修習技術者となった後、二次試験では別の部門を選択することが可能だからです。

一次試験は基礎科目、適性科目、専門科目で構成される択一式試験です。基礎科目と適性科目は全部門共通であり、専門科目のみが部門ごとに異なります。つまり、自分が得意とする、または学習しやすい専門科目を持つ部門を選ぶことで、効率的に合格を目指せます。

例えば、大学で機械工学を専攻していても、仕事で建設分野に携わる予定であれば、一次試験では機械部門を選択して合格を確実にし、実務経験を積んだ後の二次試験で建設部門にチャレンジするという戦略が有効です。

技術士一次試験の部門選択で重視すべきポイント

一次試験の部門選択では、以下の3つのポイントを重視しましょう。

第一に、自分の知識基盤との整合性です。大学や大学院で学んだ専門分野、または現在の業務で日常的に接している技術分野を選ぶことで、学習負担を大幅に軽減できます。全く知識のない分野を選ぶと、基礎から学習する必要があり、合格までの時間が大幅に延びます。

第二に、過去問の入手しやすさと参考書の充実度です。受験者数が多い建設部門、機械部門、電気電子部門は、過去問の解説や参考書が豊富に出版されており、独学でも対策しやすい環境が整っています。

第三に、試験の難易度傾向です。部門によって合格率に若干の差があります。2023年度のデータでは、部門別の合格率は概ね40〜50%の範囲に収まっていますが、出題傾向によって対策のしやすさは異なります。技術士一次試験の詳細については、技術士一次試験の詳細で解説しています。

技術士一次試験と二次試験で異なる部門を選べる

技術士制度の大きな特徴の一つは、一次試験と二次試験で異なる部門を選択できることです。この柔軟性を活用することで、効率的な資格取得戦略を立てることができます。

一次試験合格後は修習技術者として登録され、実務経験を積みながら二次試験の準備を進めます。この期間に業務内容が変わったり、専門分野が広がったりすることは珍しくありません。そのような場合でも、二次試験で新たな部門を選択することで、現在の実務に即した資格取得が可能です。

実際に、一次試験を機械部門で合格し、その後建設会社に転職して二次試験を建設部門で受験するケースや、電気電子部門の一次試験合格後にIT企業に就職して情報工学部門の二次試験を受けるケースなど、多様なキャリアパスが存在します。

この柔軟性は、技術士制度が技術者の成長とキャリアの変化に対応できる設計となっていることを示しています。一次試験では確実な合格を、二次試験では実務に基づいた専門性の証明を、それぞれの段階で最適な選択をすることが肝要です。

技術士一次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士一次試験とは?試験制度・科目・日程を詳しく解説

技術士の部門選び方|二次試験の場合

技術士二次試験における部門選択は、一次試験とは全く異なるアプローチが必要です。二次試験で取得する部門が、正式な技術士としての専門分野となるため、実務経験と将来のキャリアを十分に考慮した慎重な選択が求められます。

技術士二次試験は実務経験に基づいた部門を選ぶ

技術士二次試験では、実務経験に基づいた部門を選択することが絶対的な原則です。なぜなら、二次試験では業務経歴票の提出が必須であり、筆記試験でも実際の業務経験に基づいた論述が求められるからです。

業務経歴票では、過去の業務内容を詳細に記述し、どのような技術的課題に取り組み、どのように解決したかを説明する必要があります。この内容と選択した部門・選択科目の整合性は、筆記試験の採点だけでなく、口頭試験でも厳しく評価されます。

例えば、機械設計の実務経験が5年以上ある技術者が、流行を理由に情報工学部門を選択しても、業務経歴との不整合により合格は非常に困難です。逆に、実務経験に基づいた部門を選択すれば、日々の業務で得た知識や経験を直接試験対策に活かすことができ、合格率は大幅に向上します。

実務経験の年数としては、二次試験の受験要件として、修習技術者の場合は4年以上、一定の実務経験者の場合は7年以上(総合技術監理部門を除く部門の場合)が必要とされています。

技術士二次試験の部門選択で重視すべきポイント

二次試験の部門選択では、以下の4つのポイントを重視する必要があります。

第一に、業務経歴との整合性です。過去7年程度の業務内容を振り返り、最も経験豊富な分野、最も多くの時間を費やした分野を選択しましょう。複数の分野にまたがる場合は、より専門性が高く、技術的判断を多く行った分野を優先します。

第二に、選択科目の詳細です。各部門には複数の選択科目があり、自分の実務経験がどの選択科目に該当するかを正確に判断する必要があります。例えば建設部門には11の選択科目があり、道路設計の経験者は「道路」を、橋梁設計の経験者は「鋼構造及びコンクリート」を選ぶといった具合です。

第三に、将来のキャリアビジョンです。技術士として取得する部門は、今後のキャリアにおける専門性の証明となります。現在の業務だけでなく、今後5〜10年のキャリアプランも考慮に入れて選択しましょう。

第四に、口頭試験での説明可能性です。口頭試験では、業務経歴について詳細な質問を受けます。自分の経験を明確に、自信を持って説明できる部門を選ぶことが大切です。技術士二次試験の詳細については、技術士二次試験の詳細で詳しく解説しています。

技術士の部門選択に迷った場合の判断基準

部門選択に迷った場合は、以下の判断基準を参考にしてください。

まず、業務経歴票を実際に書いてみることです。どの部門で書くと内容が充実するか、具体的な技術的課題や解決策を豊富に記述できるかを確認しましょう。スムーズに書ける部門が、あなたに最適な選択です。

次に、過去問を複数年分確認することです。各部門の筆記試験(必須科目)の問題を見て、自分が論述できそうな内容かどうかを判断します。全く見当がつかない問題ばかりであれば、その部門は避けるべきです。

また、先輩技術士や職場の上司に相談することも有効です。特に同じ業界で活躍する技術士の意見は、実践的な判断材料となります。どの部門を選択すれば業界内で評価されやすいか、実務にどう活かせるかについて、貴重なアドバイスを得られるでしょう。

最後に、資格の活用場面を具体的にイメージすることです。技術士として独立開業を考えているのか、現在の組織でキャリアアップを目指すのか、転職を視野に入れているのかによって、最適な部門は変わります。自分のキャリアゴールから逆算して部門を選択することが、長期的には最も合理的な判断となります。

技術士二次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
技術士二次試験とは?試験制度・受験資格・日程を詳しく解説

技術士の総合技術監理部門とは?

総合技術監理部門は、技術士制度の中で特別な位置づけを持つ部門です。この部門は、高度な技術マネジメント能力を証明するものであり、技術士の最上位資格として設計されています。他の20部門とは受験要件も試験内容も大きく異なるため、詳しく理解しておく必要があります。

技術士総合技術監理部門の位置づけ

総合技術監理部門は、1999年に新設された比較的新しい部門で、技術と経営を統合的に管理できる技術者を育成することを目的としています。単一の技術分野の専門性だけでなく、複数の管理視点から総合的に判断・決定できる能力が求められます。

この部門の技術士は、大規模プロジェクトの統括、企業の技術戦略立案、技術部門の経営管理など、組織の上位レイヤーでの活躍が期待されます。技術的専門性を維持しながら、経営的視点も持ち合わせた「技術経営者」としての役割を担うことができます。

総合技術監理部門の受験者数は年々増加傾向にあり、2023年度の二次試験では約1,400人が受験しました。企業の技術部門管理職や、プロジェクトマネージャーとして活躍する技術者からの注目が高まっています。

技術士総合技術監理部門の受験要件

総合技術監理部門の受験には、他の部門とは異なる特別な要件があります。以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

第一の条件は、既に他の部門で技術士資格を取得していることです。この場合、総合技術監理部門のみの試験を受験します。技術士として7年以上の実務経験があれば、追加の二次試験として総合技術監理部門に挑戦できます。

第二の条件は、総合技術監理部門と他の部門の二次試験を同時に受験し、両方に合格することです。この場合、修習技術者または相応の実務経験者(4年または7年以上)であれば受験可能です。同時受験は負担が大きいですが、一度に二つの部門の技術士資格を取得できるメリットがあります。

いずれの場合も、実務経験の中で複数の管理視点(経済性、人的資源、情報、安全、社会環境)を統合した判断や意思決定を行った経験が求められます。単なる専門技術の実務経験だけでは、総合技術監理部門の受験要件を満たしません。

技術士総合技術監理部門の5つの管理分野

総合技術監理部門の試験では、5つの管理分野についての総合的な理解と実践能力が問われます。

経済性管理は、プロジェクトや業務のコスト管理、投資対効果の評価、経済性の観点からの技術的判断を扱います。人的資源管理は、チーム編成、人材育成、組織マネジメント、労働環境の整備などを対象とします。

情報管理は、情報システムの活用、データ管理、知的財産権の保護、情報セキュリティなどを含みます。安全管理は、労働安全、設備の安全性確保、リスクマネジメント、事故防止対策を扱います。

社会環境管理は、環境保全、地域社会との調和、持続可能性への配慮、社会的責任などを対象とします。これら5つの管理分野を統合的に扱い、トレードオフの関係にある要素を適切にバランスさせる能力が求められます。

筆記試験では、これら5つの管理分野に関する択一式問題と、実際の業務における管理事例を論述する記述式問題が出題されます。口頭試験では、業務経歴における統合的マネジメントの実践について詳しく質問されます。

技術士で複数部門を取得することは可能?

技術士制度では、複数の部門で資格を取得することが認められています。一つの部門の技術士資格を取得した後、別の部門の二次試験に合格することで、複数部門の技術士となることができます。ここでは、複数部門取得のメリットと手続きについて解説します。

技術士は複数部門の資格取得ができる

技術士制度では、部門数に制限はなく、理論的には21部門全てで技術士資格を取得することも可能です。実際に、複数の部門で技術士資格を持つ技術者は珍しくありません。

複数部門を取得する手順は、まず一つの部門で技術士資格を取得した後、追加で取得したい部門の二次試験を受験します。この場合、一次試験は免除され、二次試験のみの受験となります。受験要件としては、技術士として登録されていることが必須で、追加取得する部門の実務経験年数は問われません。

ただし、筆記試験では追加取得する部門の専門知識が十分にあることが求められ、口頭試験でもその部門における実務経験や技術的判断能力が評価されます。形式的な複数取得ではなく、実質的な専門性が必要です。

実際の統計データでは、技術士全体の約10〜15%が複数部門の資格を保有しているとされています。特に、専門部門に加えて総合技術監理部門を取得するケースが最も多く見られます。

技術士の複数部門取得のメリット

複数の部門で技術士資格を取得することには、いくつかの明確なメリットがあります。

第一のメリットは、専門性の幅が広がることです。例えば、機械部門と電気電子部門の両方を持つことで、メカトロニクス分野における総合的な技術者として評価されます。建設部門と環境部門を併せ持つことで、環境に配慮したインフラ整備の専門家として差別化できます。

第二のメリットは、業務の受注範囲が広がることです。特に独立開業している技術士にとって、複数部門の資格は業務の多角化につながります。建設コンサルタントとして、土木設計だけでなく電気設備の設計にも対応できれば、受注機会は大幅に増加します。

第三のメリットは、組織内での評価向上です。複数の専門性を持つ技術士は、部門横断的なプロジェクトのリーダーや、技術部門の統括責任者として重宝されます。昇進やキャリアアップにおいて有利に働くケースが多いです。

第四のメリットは、技術士としての社会的信頼性の向上です。複数部門の資格保有は、継続的に学習し、専門性を高めている証明となり、クライアントや取引先からの信頼を得やすくなります。

技術士の部門別併願受験のルール

技術士試験では、同一年度に複数の部門を併願受験することも可能です。ただし、受験できる組み合わせには制限があります。

二次試験の併願パターンとしては、総合技術監理部門と他の部門の同時受験のみが認められています。例えば、機械部門と総合技術監理部門を同時に受験することは可能ですが、機械部門と電気電子部門を同時に受験することはできません。

総合技術監理部門との同時受験の場合、筆記試験は両部門とも受験する必要があります。両部門とも合格すれば、一度に二つの部門の技術士資格を取得できます。一方の部門のみ合格した場合は、その部門のみの技術士となります。

一次試験においても、同一年度に複数の部門を受験することはできません。一次試験は年に一度、一つの部門のみの受験となります。ただし、前述の通り、一次試験と二次試験で異なる部門を選択することは可能です。

併願受験は受験料も二重にかかり、学習負担も大きいため、よほど両部門に精通している場合を除いて推奨されません。通常は、一つの部門で確実に合格した後、追加で別の部門を取得する方が効率的です。

技術士の部門別選択科目一覧

技術士の各部門には、さらに詳細な専門分野を示す「選択科目」が設定されています。選択科目の選択は、二次試験における専門性の方向性を決定する大切な判断です。ここでは、選択科目の構造と選び方について解説します。

技術士の部門と選択科目の関係

技術士の専門性は、「部門」と「選択科目」の二段階で定義されます。例えば「技術士(建設部門・道路)」という場合、建設部門が大分類、道路が選択科目として専門分野を示します。

選択科目の数は部門によって大きく異なります。建設部門は11の選択科目を持ち最も細分化されていますが、航空・宇宙部門のように選択科目が設定されていない(または一つのみの)部門もあります。

二次試験の筆記試験では、選択科目に関する専門知識を問う問題が出題されます。必須科目は部門全体の共通的な知識を問われますが、選択科目Ⅱ-1とⅡ-2では、より専門的で実務的な問題が出題されるため、実務経験と完全に一致した選択科目を選ぶことが不可欠です。

選択科目は技術士登録の際にも記載され、技術士としての専門領域を公式に示すものとなります。そのため、将来の業務展開やキャリア形成を見据えた選択が求められます。

技術士の選択科目の決め方

選択科目を決める際の最も大切な基準は、実務経験との整合性です。業務経歴票に記載する過去の業務内容が、選択科目の専門領域と一致している必要があります。

具体的には、過去7年程度の業務を振り返り、最も長期間携わった専門分野、最も技術的判断を多く行った分野を特定します。建設部門を例にとると、道路設計の実務が5年以上あれば「道路」、橋梁設計の実務が中心であれば「鋼構造及びコンクリート」を選択するのが適切です。

複数の専門分野にまたがる業務を経験している場合は、より技術的に深い判断を要求された分野、または今後のキャリアで中心としたい分野を選びます。例えば、都市計画と交通計画の両方に携わってきた場合、「都市及び地方計画」を選択することで、両方の経験を統合的に示すことができます。

また、選択科目の過去問を確認することも欠かせません。各選択科目の筆記試験問題を複数年分確認し、自分の実務経験に基づいて論述できる内容かどうかを判断します。問題の傾向が自分の経験と大きく乖離している場合は、選択科目の再検討が必要かもしれません。

技術士の専門とする事項の設定方法

選択科目よりさらに詳細な専門性を示すものとして、「専門とする事項」があります。これは技術士登録の際に記載する任意の項目で、より具体的な専門領域を示すことができます。

専門とする事項は、選択科目の範囲内でさらに絞り込んだ専門分野を記載します。例えば、建設部門の道路選択科目であれば、「高速道路の設計」「道路トンネルの計画」「道路防災」など、より具体的な専門性を記載できます。

専門とする事項の記載は、独立開業している技術士や、特定分野での専門性を明確にアピールしたい技術士にとって有効です。クライアントや発注者が技術士を選定する際の判断材料となるため、自身の強みを適切に表現する記載を心がけましょう。

ただし、専門とする事項を狭く限定しすぎると、業務の受注範囲が制限される可能性もあります。自身の実務能力の範囲を適切に表現し、将来の業務展開の可能性も考慮したバランスの取れた記載が理想的です。

技術士の部門選択とキャリアパス

技術士の部門選択は、資格取得後のキャリアパスに大きな影響を与えます。部門によって活躍できる業界や職種、求められる役割が異なるため、中長期的なキャリアビジョンを持って選択することが求められます。

技術士の部門選択が将来のキャリアに与える影響

技術士の部門は、単なる試験科目の区分ではなく、プロフェッショナルとしての専門領域を社会に対して宣言するものです。取得した部門によって、キャリアの方向性が大きく影響を受けます。

例えば、建設部門の技術士は、建設コンサルタントとしての独立開業や、ゼネコン・官公庁での技術管理職としてのキャリアが開かれます。公共工事における監理技術者の要件として技術士が求められることが多く、実務的な価値が非常に高い部門です。

一方、情報工学部門の技術士は、企業の情報システム部門の責任者、ITコンサルタント、システム監査人など、IT分野でのキャリアパスが広がります。近年のデジタルトランスフォーメーションの流れの中で、この部門の技術士に対する需要は急速に高まっています。

機械部門や電気電子部門の技術士は、製造業における研究開発、品質保証、技術管理の責任者として活躍します。また、技術コンサルタントとして独立し、複数の企業に対して技術アドバイスを提供する道もあります。

部門選択は、現在の業務だけでなく、5年後、10年後のキャリアビジョンも考慮に入れて行うべきです。技術士資格は一生有効な資格であり、その専門性の方向性を決める部門選択は、長期的なキャリア形成の基盤となります。

技術士の部門別の需要と就職先

部門によって、技術士に対する市場ニーズや主な就職先・活躍の場は大きく異なります。

建設部門の技術士は、建設コンサルタント会社、ゼネコン、官公庁(国土交通省、地方自治体の土木部門など)で高い需要があります。特に建設コンサルタントでは、技術士の有資格者数が会社の評価や業務受注に直結するため、資格取得者は優遇されます。

電気電子部門と機械部門の技術士は、製造業全般で需要があります。自動車メーカー、電機メーカー、重機械メーカーなどでは、技術部門の管理職や品質保証部門の責任者として評価されます。また、電力会社やプラント会社でも、電気電子部門の技術士は重宝されます。

情報工学部門の技術士は、IT企業、システムインテグレーター、企業の情報システム部門で需要が高まっています。特に大規模システムの設計・構築や、情報セキュリティ対策の責任者として、技術士の専門性が評価されます。

環境部門の技術士は、環境コンサルタント、環境アセスメント会社、企業の環境管理部門などで活躍します。環境規制の強化やSDGsへの関心の高まりにより、この分野の専門家としての需要は増加傾向にあります。

技術士の部門を変更して再受験することは可能か

技術士取得後に、当初選択した部門とは異なる分野で活躍したくなった場合、部門を変更することは可能なのでしょうか。

結論として、技術士の部門そのものを「変更」することはできません。しかし、追加で別の部門の技術士資格を取得することは可能です。既に一つの部門で技術士資格を持っている場合、追加取得したい部門の二次試験を受験し、合格すれば複数部門の技術士となることができます。

この場合、元の部門の技術士資格は保持されたまま、新たな部門の技術士資格が追加されます。技術士登録証には複数の部門が併記され、両方の専門性を公式に証明できるようになります。

追加取得の際は、一次試験は免除され、二次試験のみの受験となります。ただし、追加取得する部門の実務経験と専門知識が十分にあることが求められます。形式的な追加取得ではなく、実質的な専門性を持っていることが合格の前提です。

キャリアチェンジや業務内容の変化により、新たな専門分野が必要になった場合は、数年間の実務経験を積んだ上で追加部門の取得を目指すことが現実的な選択肢です。技術士制度の柔軟性を活用し、キャリアの発展に応じて専門性を拡大していくことができます。

技術士の部門に関連するよくある質問(FAQ)

技術士の部門選択に関して、受験者から多く寄せられる質問とその回答をまとめました。部門選択で迷っている方は、こちらも参考にしてください。

Q. 技術士の部門はどのように選べばよいですか?

技術士の部門選択は、一次試験と二次試験で異なるアプローチが必要です。一次試験では、自分が学習しやすい、または知識基盤がある部門を選ぶことで効率的に合格を目指せます。一方、二次試験では必ず実務経験に基づいた部門を選択してください。

業務経歴票を書いてみて、最も充実した内容を記述できる部門が、あなたに最適な選択です。また、過去問を確認し、自分の経験で論述できる問題が出題されている部門を選ぶことも押さえておくべきポイントです。迷った場合は、先輩技術士や職場の上司に相談することをおすすめします。

Q. 技術士一次試験と二次試験で違う部門を選べますか?

はい、技術士一次試験と二次試験で異なる部門を選択することは可能です。これは技術士制度における大きな柔軟性の一つです。

一次試験では合格しやすい部門を選び、修習技術者となった後、実務経験を積みながら二次試験で別の部門にチャレンジできます。例えば、一次試験を機械部門で合格し、その後建設関連の業務に従事して二次試験を建設部門で受験することは一般的なパターンです。この柔軟性を活用して、効率的な資格取得戦略を立てましょう。

Q. 技術士で複数の部門を取得するメリットはありますか?

技術士で複数の部門を取得することには、いくつかの明確なメリットがあります。

第一に、専門性の幅が広がり、部門横断的なプロジェクトでのリーダーシップを発揮しやすくなります。第二に、特に独立開業している技術士にとっては、業務の受注範囲が広がります。第三に、組織内での評価が向上し、昇進や要職への登用につながりやすくなります。

ただし、複数部門の取得には追加の学習時間と受験費用がかかります。自身のキャリアプランと照らし合わせて、本当に必要かどうかを検討してから挑戦することをおすすめします。

Q. 技術士試験で最も人気がある部門はどれですか?

技術士試験で最も受験者数が多い部門は、圧倒的に建設部門です。2023年度の二次試験では、全受験者の約50%が建設部門を選択しています。

建設部門の人気が高い理由は、公共工事における監理技術者の要件として技術士資格が認められており、実務的な価値が非常に高いためです。次いで電気電子部門、機械部門、情報工学部門が人気です。ただし、人気部門だからといって自分に適しているとは限りません。実務経験に基づいた部門選択が最優先となります。

Q. 技術士の総合技術監理部門とは何ですか?

技術士の総合技術監理部門は、他の20部門とは異なる特別な位置づけの部門で、技術士の最上位資格とされています。

この部門では、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理という5つの管理分野を統合的に扱う能力が求められます。受験要件として、既に他の部門で技術士資格を取得しているか、総合技術監理部門と他部門の二次試験を同時に受験して両方に合格する必要があります。

大規模プロジェクトの統括や、技術部門の経営管理など、上位レイヤーでの活躍を目指す技術者に適した部門です。

Q. 技術士の部門によって難易度は変わりますか?

技術士試験の難易度は、部門によってある程度の差があります。ただし、「この部門が簡単」と一概に言えるものではありません。

一次試験では、部門別の合格率は概ね40〜50%の範囲に収まっており、大きな差はありません。二次試験の合格率も部門によって若干の違いはありますが、最も大切なのは実務経験との整合性です。

実務経験が豊富な部門であれば、相対的に合格しやすくなります。逆に、合格率が高い部門でも実務経験がなければ合格は困難です。難易度よりも、自分の専門性に合った部門を選ぶことが合格への近道です。

Q. 技術士の部門選択を間違えた場合はどうすればよいですか?

技術士二次試験で部門選択を間違えたと感じた場合、いくつかの対応策があります。

まず、試験前であれば受験申込書の提出前に再考することをおすすめします。業務経歴票を実際に書いてみて、内容が充実しない場合は部門の見直しを検討しましょう。

既に受験して不合格だった場合は、次回の受験で部門を変更することが可能です。実務経験により適合した部門を選び直すことで、合格の可能性は高まります。

技術士取得後に「他の部門の方が良かった」と感じた場合は、追加で別の部門の二次試験を受験することができます。技術士制度の柔軟性を活用し、キャリアの発展に応じて専門性を拡大していくことが可能です。

まとめ:技術士の部門選択で失敗しないためのポイント

本記事では、技術士の21部門の全体像、各部門の特徴、一次試験と二次試験における部門の選び方について詳しく解説しました。押さえておくべきポイントを改めて確認しましょう。

  1. 技術士は21の技術部門に分かれており、科学技術の全分野をカバーしている:機械、電気電子、建設、情報工学など、各部門は明確な専門領域を持ち、それぞれの産業分野で中心的な役割を果たしています。部門選択はキャリアパスに直結するため、慎重な判断が必要です。
  2. 一次試験では合格しやすい部門を、二次試験では実務経験に基づいた部門を選ぶ:一次試験と二次試験で異なる部門を選択できる柔軟性を活用し、効率的な資格取得戦略を立てることが大切です。二次試験では必ず実務経験との整合性を最優先してください。
  3. 複数部門の取得や総合技術監理部門への挑戦でキャリアを広げられる:技術士資格取得後も、キャリアの発展に応じて追加の部門を取得したり、最上位資格である総合技術監理部門に挑戦したりすることで、専門性をさらに拡大できます。

技術士の部門選択で迷ったら、まず業務経歴票を実際に書いてみて、どの部門で最も充実した内容を記述できるかを確認しましょう。技術士一次試験の対策技術士二次試験の対策を参考に、計画的に準備を進めることをおすすめします。

本記事を通じて、技術士の部門選択の大切さと具体的な選び方を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、あなたのキャリアに最適な部門を選択し、技術士資格取得という目標に向けて着実に前進しましょう。

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