FP(ファイナンシャルプランナー)試験には学科試験と実技試験があり、両方に合格する必要があります。特に実技試験は選択科目が複数あるため、「どの科目を選べばいいのか」「学科試験とどう違うのか」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の基本概要、学科試験との違い、3級・2級・1級それぞれの選択科目の特徴について、最新のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、自分に最適な実技科目を選び、FP試験合格に向けて具体的な一歩を踏み出しましょう。
- FP実技試験の目的と学科試験との違い
- 日本FP協会ときんざいの実技科目の特徴
- 級別の実技試験科目と自分に合った選び方
- 実技試験の効果的な対策方法と合格のポイント
- FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験は学科試験とセットで合格が必要:学科試験が基礎知識を問うのに対し、実技試験は実務的な応用力を測定します。両方合格して初めてFP技能士の資格を取得できます。
- 実技試験の科目は級によって異なる:FP3級は3種類、FP2級は5種類、FP1級は2つの選択肢があり、自分の業務内容や目的に合わせて選択できます。
- 実技試験は学科試験より合格率が高い傾向:FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の合格率は学科試験より10-20%程度高く、実務経験がなくても過去問演習で十分対応可能です。
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FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験とは?試験の基本概要
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験は、FP技能士資格を取得するために学科試験とともに合格が必要な試験です。学科試験が金融・保険・不動産などの基礎知識を問うのに対し、実技試験はそれらの知識を実務的な場面でどう活用するかを測定します。
FP実技試験の目的と位置づけ
FP実技試験の目的は、顧客に対する実践的なアドバイス能力を評価することにあります。実際の相談業務を想定した事例問題や計算問題が出題され、FPとして必要な提案力や問題解決能力が問われます。
試験は日本FP協会ときんざい(金融財政事情研究会)の2つの団体が実施しており、それぞれ異なる科目を用意しています。どちらの団体で受験しても取得できる資格は同じFP技能士ですが、科目の内容や出題形式には違いがあります。
FP実技試験で問われる能力
実技試験では以下のような能力が評価されます。まず、顧客の状況を正確に把握し、適切な分析を行う力です。提示された家族構成や収入状況などの情報から、ライフプランニングや資金計画を立案します。
次に、税制や社会保険制度などの知識を実務に応用する力が求められます。FP(ファイナンシャルプランナー)は学科試験で学んだ知識を、具体的な数値計算や提案書作成に活かせなければなりません。
さらに、複数の選択肢から最適な提案を選ぶ判断力も重要です。不動産購入、保険加入、資産運用など、顧客の状況に応じて最も適切なアドバイスを導き出す能力が試されます。
学科試験と実技試験の両方合格が必要
FP技能士の資格を取得するには、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。どちらか一方だけ合格した場合は、次回以降の試験で不合格科目のみ受験することが可能です。この「一部合格」の有効期限は、合格した試験日の翌々年度末までとなっています。
例えば、2025年1月の試験で学科試験だけ合格した場合、2027年3月末までに実技試験に合格すれば、FP技能士の資格を取得できます。ただし、期限内に両方合格できなかった場合は、再度両方の試験を受け直す必要があります。
FP試験の全体像に関してもっと詳しい記事はこちら
FP(ファイナンシャルプランナー)試験とは?試験制度・受験資格・学科試験と実技試験の全体像を解説
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験と学科試験の違い
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験と学科試験には、出題形式・内容・難易度において明確な違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、効率的な学習計画を立てられます。
出題形式の違い(選択式・記述式・計算問題)
学科試験は全てマークシート方式の選択問題です。FP3級は○×問題と三答択一問題、FP2級とFP1級は四答択一問題で構成されています。解答時間はFP3級が120分、FP2級が120分、FP1級が150分です。
一方、実技試験の出題形式は級や選択科目によって異なります。FP3級はマークシート方式ですが、FP2級は記述式が中心となり、計算過程や具体的な数値を記入する問題が増えます。試験時間はFP3級が60分、FP2級が90分です。
FP1級の実技試験は最も特殊で、日本FP協会は記述式(120分)、きんざいは面接試験(口頭試問形式、約20分)という大きな違いがあります。
出題内容の違い(基礎知識と実務応用)
学科試験では、6つの分野(ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継)から幅広く出題されます。基本的な用語の定義、制度の概要、計算式の理解など、FPとして必要な基礎知識が問われます。
実技試験では、これらの知識を実際の相談場面で活用する能力が試されます。例えば、ある家族のライフプランシートを見て、将来の資金計画を立てる問題や、相続税の具体的な計算を行う問題などが出題されます。
特にFP2級以降は、複数の分野にまたがる総合的な問題が増えます。不動産購入に関する税制優遇措置を考慮しながら資金計画を立てるなど、FP(ファイナンシャルプランナー)としての総合的な提案力が求められるのです。
合格率の違いと難易度比較
実技試験の合格率は、学科試験よりも10-20%程度高い傾向にあります。2023年度のデータを見ると、FP2級の学科試験合格率が約42%だったのに対し、実技試験(日本FP協会)の合格率は約54%でした。
この違いは出題範囲の広さに起因します。学科試験は6分野全てから出題されるため、幅広い知識が必要です。一方、実技試験は選択した科目に特化した内容となるため、集中的に対策しやすいのです。
ただし、合格率が高いからといって実技試験が簡単というわけではありません。計算問題では単位の間違いや計算ミスが命取りになりますし、記述式では正確な数値記入が求められます。FP試験では両方の試験に対応できる実力を養うことが大切です。
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験を実施する2つの団体
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験は、日本FP協会ときんざい(金融財政事情研究会)の2つの団体が実施しています。どちらで受験するかによって選択できる科目や試験内容が異なります。
日本FP協会ときんざいの違い
日本FP協会は、FPの普及と質の向上を目的とした組織で、AFP・CFPといった民間資格も運営しています。実技試験では「資産設計提案業務」という科目を提供しており、総合的な資産設計能力を問う内容となっています。
きんざいは金融機関職員の教育を主な目的とした組織で、銀行・保険・証券など各業界に特化した科目を用意しています。「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」など、業務内容に応じた専門的な科目が選択できます。
試験会場も異なり、日本FP協会は全国の主要都市で実施されますが、きんざいはより多くの地方都市でも受験可能です。申し込み方法や受験票の送付時期なども各団体で異なるため、それぞれのホームページで確認が必要です。
どちらで受験しても取得資格は同じ
重要なポイントとして、日本FP協会で受験してもきんざいで受験しても、取得できる資格は同じ「FP技能士」です。履歴書に記載する際も区別はなく、「○級ファイナンシャル・プランニング技能士」という国家資格として認定されます。
したがって、どちらの団体を選ぶかは、自分の業務内容や学習しやすい科目で判断すればよいでしょう。金融機関で働いている方はきんざいの専門科目、幅広い相談業務を想定する方は日本FP協会の資産設計提案業務を選ぶ傾向があります。
また、学科試験は一方の団体で受験し、実技試験はもう一方の団体で受験することも可能です。例えば、学科試験をきんざいで受験して一部合格し、次回の実技試験を日本FP協会で受験するといった選択もできます。
団体別の合格率の違い
合格率は団体や科目によって差があります。一般的に、日本FP協会の「資産設計提案業務」は合格率が高い傾向にあり、FP2級で50-60%程度です。きんざいの各科目は30-50%程度と、科目によってばらつきがあります。
ただし、合格率の違いは必ずしも難易度の違いを意味しません。日本FP協会の受験者は総合的な学習をしている方が多く、きんざいの受験者は特定の業界で実務経験がある方が多いという受験者層の違いも影響しています。
FP(ファイナンシャルプランナー)試験の合格率に関してもっと詳しい記事はこちら
FP試験の合格率推移|3級・2級・1級の合格率データと傾向分析
FP(ファイナンシャルプランナー)3級の実技試験科目(3種類)
FP(ファイナンシャルプランナー)3級の実技試験には3つの科目があります。初めてFP試験に挑戦する方は、この中から自分に合った科目を選ぶことが大切です。
資産設計提案業務(日本FP協会)の特徴
日本FP協会が実施する「資産設計提案業務」は、FP3級実技試験で最も人気の高い科目です。6つの分野を総合的にカバーしており、個人のライフプラン全体を設計する能力が問われます。
出題内容は、キャッシュフロー表の作成、保険の見直し提案、住宅ローンの計算、相続の基礎知識など、実生活に密接した内容が中心です。計算問題も基本的なものが多く、初学者でも取り組みやすいのが特徴です。
合格率は60-80%と高く、FP資格の入門として最適です。幅広い知識を身につけられるため、FP2級以降の学習にもスムーズにつながります。
個人資産相談業務(きんざい)の特徴
きんざいの「個人資産相談業務」は、主に金融機関での相談業務を想定した科目です。出題は資産運用、不動産、相続といった分野に重点が置かれています。
具体的には、投資信託の基礎知識、不動産の取得・譲渡に関する税制、相続税の計算などが出題されます。銀行や証券会社で働く方にとって業務に直結した内容となっており、実務経験がある方は学習しやすいでしょう。
合格率は40-60%程度で、資産設計提案業務よりもやや低めです。ただし、出題範囲が絞られているため、集中的に学習すれば十分合格できます。
保険顧客資産相談業務(きんざい)の特徴
きんざいのもう1つの科目「保険顧客資産相談業務」は、生命保険業界で働く方向けの内容です。リスク管理(保険)の分野に特化しており、生命保険・損害保険の具体的な提案力が問われます。
出題内容は、保険商品の選択、保険金・給付金の税務、保険を活用した相続対策などです。保険募集人や保険代理店で働いている方には馴染みやすい内容でしょう。
合格率は30-50%程度と、3つの科目の中では最も低い傾向があります。保険分野の専門知識が必要なため、保険業界以外の方にはやや難しく感じられるかもしれません。
FP3級実技試験の出題形式と試験時間
FP3級実技試験は全てマークシート方式で実施されます。試験時間は60分で、大問3問で構成されます。各科目とも配点は100点満点で、60点以上で合格です。
日本FP協会の資産設計提案業務は、大問1が関連問題(資料を読み取って複数の設問に答える形式)となっており、実践的な思考力が試されます。きんざいの2科目も同様に、事例に基づいた出題が中心です。
計算問題では電卓の使用が認められています(スマートフォンの電卓機能は不可)。試験時間は十分にあるため、焦らず丁寧に解答することが合格のポイントです。
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FP3級(ファイナンシャルプランナー3級)とは?試験内容・取得メリット・学習方法を徹底解説
FP(ファイナンシャルプランナー)2級の実技試験科目(5種類)
FP(ファイナンシャルプランナー)2級になると実技試験の選択肢が5種類に増え、より専門的な内容になります。自分のキャリアや業務内容に応じて最適な科目を選びましょう。
資産設計提案業務(日本FP協会)の特徴
日本FP協会の「資産設計提案業務」は、FP2級でも最も受験者数が多い科目です。6つの分野を総合的に扱い、顧客のライフプラン全体を設計する実践的な能力が求められます。
出題形式は記述式が中心で、具体的な数値計算や提案内容の記述が必要です。例えば、住宅購入資金の計算、保険の必要保障額の算出、退職後の生活設計など、FPとして実際に行う業務に近い問題が出題されます。
合格率は50-60%程度で、FP2級実技試験の中では比較的高い水準です。総合的な学習が必要ですが、FP3級からステップアップする方にとっては学習の連続性があり、取り組みやすい科目といえます。
個人資産相談業務(きんざい)の特徴
きんざいの「個人資産相談業務」は、金融機関での窓口相談や資産運用アドバイス業務を想定した科目です。タックスプランニング、不動産、相続の分野に重点が置かれています。
出題では、不動産の取得・保有・譲渡に関する税金の計算、金融商品の選択、相続税・贈与税の計算などが中心となります。計算問題の比重が高く、正確な数値処理能力が求められます。
合格率は30-50%程度です。銀行や信用金庫などで働く方が多く受験しており、実務に直結した知識を身につけられるメリットがあります。
生保顧客資産相談業務(きんざい)の特徴
きんざいの「生保顧客資産相談業務」は、生命保険会社や代理店で働く方向けの科目です。リスク管理を中心に、保険を活用した資産設計や相続対策が出題されます。
具体的には、生命保険の商品選択、保険金の税務、保険を活用した事業承継対策などが問われます。FP(ファイナンシャルプランナー)として、顧客のリスクを適切に評価し、最適な保険提案を行う能力が試されます。
合格率は30-40%程度で、5つの科目の中でもやや低めです。生命保険に関する専門知識が必要なため、保険業界での実務経験がある方に適した科目といえます。
損保顧客資産相談業務(きんざい)の特徴
きんざいの「損保顧客資産相談業務」は、損害保険業界で働く方向けの科目です。リスク管理の中でも特に損害保険に焦点を当てた内容となっています。
出題内容は、火災保険・自動車保険などの損害保険商品、企業のリスク管理、事業活動に関する保険の活用などです。個人向けだけでなく、法人向けの保険提案も含まれるのが特徴です。
受験者数は5つの科目の中で最も少なく、合格率も30-40%程度です。損害保険会社や代理店で働いている方以外にはあまり馴染みのない内容のため、該当業界の方向けの科目といえます。
中小事業主資産相談業務(きんざい)の特徴
きんざいの「中小事業主資産相談業務」は、中小企業の経営者や個人事業主への相談業務を想定した科目です。事業運営に関する税務や資金繰り、事業承継などが出題されます。
具体的には、法人の税務、役員報酬や退職金の設計、事業承継対策、経営者の個人資産管理などが問われます。FPとして中小企業をサポートする際に必要な知識が体系的に学べます。
合格率は30-50%程度です。税理士事務所や会計事務所で働く方、中小企業診断士を目指す方などが受験する傾向があります。
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FP(ファイナンシャルプランナー)1級の実技試験の特徴
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の実技試験は、3級・2級とは大きく異なる特徴があります。最高峰の資格にふさわしい高度な専門性が求められます。
FP1級実技試験の2つの選択肢
FP1級の実技試験には、日本FP協会ときんざいで全く異なる試験方式があります。どちらか一方を選択して受験しますが、試験内容・形式・難易度が大きく異なるため、自分に合った方を慎重に選ぶ必要があります。
日本FP協会は記述式の筆記試験(120分)で、きんざいは面接形式の口頭試問(約20分)です。どちらも難易度は高く、FPとしての深い知識と実践的な提案力が問われます。
日本FP協会の実技試験(記述式)
日本FP協会のFP1級実技試験は、「資産設計提案業務」という科目名で、完全記述式の筆記試験です。試験時間は120分で、複雑な事例に基づいた総合的な資産設計提案が求められます。
出題は2題の大問で構成され、それぞれに複数の設問があります。顧客家族の詳細な情報(家族構成、収入、資産、ライフイベントなど)が提示され、それに基づいて具体的な提案を記述します。
合格率は90%を超えることもあり、きんざいに比べて高い水準です。ただし、受験資格として「FP1級学科試験合格」または「CFP資格審査試験の合格」が必要なため、受験者のレベルが高いことが影響しています。
きんざいの実技試験(面接試験)
きんざいのFP1級実技試験は、「資産相談業務」という科目名で、面接形式の口頭試問です。試験時間は約20分で、設例に基づいた口頭での提案が求められます。
試験は2回に分かれており、1回目は事前に渡された設例について準備した上で、面接官に対して提案を行います。2回目はその場で提示された新たな設例について、即座に回答する形式です。
合格率は80-90%程度で、こちらも高い水準です。ただし、FP(ファイナンシャルプランナー)として口頭で的確に説明する能力が必要なため、実務経験が豊富な方に有利な試験形式といえます。
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FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の出題形式と問題内容
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の出題形式は、級によって大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、適切な対策を立てることが重要です。
FP3級の出題形式(マークシート方式)
FP3級の実技試験は、全てマークシート方式で実施されます。日本FP協会では大問3問で20問程度、きんざいでは大問3問で15問程度の構成です。
解答はすべて選択式ですが、単純な知識問題ではなく、資料やグラフを読み取って答える問題が中心です。例えば、ねんきん定期便の見方、保険証券の読み取り、不動産広告の理解などが出題されます。
計算問題も含まれますが、基本的な四則演算で解ける問題がほとんどです。電卓を使用できるため、落ち着いて計算すれば正解できるレベルです。
FP2級の出題形式(記述式)
FP2級の実技試験は記述式が中心となります。マークシート方式ではなく、解答用紙に具体的な数値や内容を記入する形式です。
日本FP協会の資産設計提案業務では、大問10問程度が出題され、それぞれに複数の設問があります。計算問題では途中式は不要ですが、最終的な数値を正確に記入する必要があります。
きんざいの各科目も同様に記述式で、大問5問程度で構成されます。FP(ファイナンシャルプランナー)として実務に近い形式のため、より実践的な能力が試されます。
実技試験特有の計算問題と事例問題
実技試験では、学科試験以上に計算問題の比重が高くなります。主な計算問題には以下のようなものがあります。
まず、ライフプランニング分野では、将来の資金計画や住宅ローンの返済計算、教育資金の準備計算などが出題されます。キャッシュフロー表を完成させる問題も頻出です。
金融資産運用では、投資信託の基準価額の計算、株式の配当利回り、債券の利回り計算などが問われます。不動産分野では、建ぺい率・容積率の計算、不動産取得税・固定資産税の計算などが出題されます。
相続分野では、相続税の計算が最も重要です。基礎控除額、各相続人の相続税額の計算など、複雑な計算が求められます。これらの計算問題は、過去問を繰り返し解いて計算手順を身につけることが効果的です。
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の難易度と合格率
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の難易度は、級や選択科目によって異なります。合格率のデータから、実技試験の特徴を理解しましょう。
級別・団体別の合格率データ
2023年度のデータによると、FP3級実技試験の合格率は、日本FP協会(資産設計提案業務)が約88%、きんざい(個人資産相談業務)が約67%、きんざい(保険顧客資産相談業務)が約43%でした。
FP2級実技試験では、日本FP協会(資産設計提案業務)が約54%、きんざい(個人資産相談業務)が約36%、きんざい(生保顧客資産相談業務)が約35%程度です。きんざいの損保顧客資産相談業務と中小事業主資産相談業務も同様に30-40%台で推移しています。
FP1級実技試験の合格率は、日本FP協会・きんざいともに80-90%以上と非常に高い水準です。ただし、これはFP1級学科試験合格者(合格率10%前後)という厳選された受験者層であることが影響しています。
実技試験は学科試験より合格率が高い傾向
FP実技試験の合格率は、多くの級・科目で学科試験より10-20%程度高くなっています。これにはいくつかの理由があります。
まず、学科試験は6つの分野全てから幅広く出題されるのに対し、実技試験は選択した科目に特化した内容のため、集中的に対策しやすいという点があります。
また、実技試験は過去問と類似した問題が出題される傾向が強く、過去問演習を繰り返すことで高い効果が得られます。特に計算問題は解法パターンが決まっているため、練習すれば確実に得点できるようになります。
さらに、FP(ファイナンシャルプランナー)試験では学科試験を先に受験する方が多いため、実技試験を受験する時点で基礎知識がしっかり身についているという背景もあります。
実務経験がなくても合格できる理由
「実技試験」という名称から、実務経験がないと合格できないのではと不安に思う方もいるかもしれません。しかし、実際には実務経験がなくても十分合格可能です。
実技試験で問われるのは、実務の経験そのものではなく、FPとして必要な知識を実践的な場面で応用する力です。出題される事例は標準化されており、過去問を通じて出題パターンを把握できます。
特にFP3級・2級では、教科書的な知識と計算能力があれば対応できる問題がほとんどです。むしろ、実務経験者が陥りやすい「実務の慣習に基づいた回答」ではなく、「試験で求められる正確な知識に基づいた回答」が必要となります。
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FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験科目の選び方
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験では、複数の科目から自分に最適なものを選ぶことが重要です。適切な選択が合格への近道となります。
自分の業務内容や目的から選ぶ
実技試験の科目選択では、まず自分の業務内容や資格取得の目的を考えましょう。金融機関で働いている方は、きんざいの「個人資産相談業務」が実務に直結した内容で学習しやすいでしょう。
生命保険会社や保険代理店で働く方は、「保険顧客資産相談業務」(FP3級)や「生保顧客資産相談業務」(FP2級)を選ぶことで、業務知識の体系化ができます。
一方、特定の業界に属さず幅広くFPの知識を身につけたい方、将来的に独立開業を考えている方は、日本FP協会の「資産設計提案業務」がおすすめです。総合的な提案力が養えるため、FP(ファイナンシャルプランナー)としての基礎力が確実に身につきます。
合格率や難易度から選ぶ
合格率の高さで選ぶなら、日本FP協会の「資産設計提案業務」が最適です。FP3級では80-90%、FP2級でも50-60%という高い合格率を誇っています。
初めてFP試験に挑戦する方や、確実に短期間で合格したい方には、合格率の高い科目を選ぶことが現実的な選択といえます。試験勉強に使える時間が限られている社会人の方にもおすすめです。
ただし、合格率だけで判断するのではなく、学習のしやすさも考慮しましょう。業務で日常的に接している分野であれば、たとえ合格率がやや低くても、効率的に学習を進められる可能性があります。
初心者におすすめの実技科目
FPの学習が初めての方や、金融業界での実務経験がない方には、日本FP協会の「資産設計提案業務」を強くおすすめします。
この科目は6つの分野を総合的にカバーしているため、FP(ファイナンシャルプランナー)として必要な知識を偏りなく学べます。また、出題される事例が日常生活に近い内容のため、イメージしやすく理解が深まります。
さらに、FP3級で資産設計提案業務を選び、FP2級でも同じ科目を選択すると、学習の連続性があり効率的です。3級で学んだ内容が2級でさらに深化する形になるため、段階的にスキルアップできます。
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の効果的な対策方法
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験に合格するには、学科試験とは異なる対策が必要です。実践的な問題に対応できる力を養いましょう。
過去問演習の重要性と活用法
実技試験対策で最も重要なのは過去問演習です。過去問を繰り返し解くことで、出題パターンや解答の型を身につけられます。
日本FP協会ときんざいのホームページでは、過去の試験問題と模範解答が無料で公開されています。最低でも過去3回分(1年分)、できれば過去6回分(2年分)以上を解くことをおすすめします。
過去問演習のポイントは、単に答えを覚えるのではなく、なぜその答えになるのかという過程を理解することです。計算問題では計算式と手順を確実に身につけ、事例問題では資料のどこに注目すべきかを学びます。
間違えた問題は必ず解説を読み、同じ種類の問題を他の回の過去問でも探して解いてみましょう。FP試験では似たパターンの問題が繰り返し出題されるため、この反復練習が非常に効果的です。
時間配分を意識した問題演習
実技試験では、限られた時間内で正確に解答することが求められます。FP3級は60分、FP2級は90分という試験時間に対し、計算問題や資料読み取り問題が多数出題されます。
過去問演習では、必ず時間を計って本番と同じ条件で解く練習をしましょう。最初は時間オーバーしても構いませんが、徐々に制限時間内で解けるようにスピードを上げていきます。
時間配分のコツは、まず全体を見渡して易しい問題から解くことです。計算問題で時間がかかりそうな場合は、いったん飛ばして後回しにし、確実に取れる問題を先に解答します。
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験では、部分点がもらえることもあるため、分からない問題でも空欄にせず、何らかの解答を記入することが大切です。
学科試験の知識を実務的に応用する練習
実技試験では、学科試験で学んだ知識を実務的に応用する力が試されます。単なる暗記では対応できず、知識を使いこなす訓練が必要です。
例えば、学科試験では「住宅ローン控除の控除期間は最大13年」という知識を問われますが、実技試験では実際の年収や借入額から控除額を計算する問題が出題されます。
このような応用力を養うには、テキストの事例問題を丁寧に解くことが効果的です。事例問題では、複数の知識を組み合わせて解く必要があるため、知識の統合力が身につきます。
また、日常生活の中でFP的な視点を持つことも役立ちます。ニュースで税制改正を知ったら、それが自分の家計にどう影響するか考えてみる。保険の広告を見たら、どんな人に向いているか分析してみる。こうした習慣が、実技試験での応用力につながります。
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FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験に関連するよくある質問(FAQ)
- FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験は実務経験がなくても合格できますか?
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はい、実務経験がなくてもFP実技試験には合格できます。実技試験で問われるのは実務経験そのものではなく、FPとしての知識を実践的な場面で応用する力です。過去問演習を十分に行い、出題パターンを理解すれば、実務経験がない方でも十分に対応できます。実際、多くの合格者が金融業界以外の出身者や学生です。
- FP実技試験と学科試験はどちらが難しいですか?
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一般的に、FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の方が学科試験より合格率が10-20%程度高く、相対的に易しいとされています。学科試験は6つの分野全てから出題されるため幅広い知識が必要ですが、実技試験は選択した科目に特化した内容のため、集中的に対策しやすいのが理由です。ただし、計算ミスや記入ミスには十分注意が必要です。
- FP実技試験の科目はどのように選べばよいですか?
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実技試験の科目選択では、まず自分の業務内容や目的を考えましょう。金融機関で働く方はきんざいの「個人資産相談業務」、保険業界の方は「保険顧客資産相談業務」や「生保顧客資産相談業務」が実務に直結します。特定の業界に属さない方や初心者には、日本FP協会の「資産設計提案業務」がおすすめです。この科目は合格率が高く、総合的な知識を身につけられます。
- FP実技試験だけ合格した場合はどうなりますか?
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FP(ファイナンシャルプランナー)試験では、学科試験と実技試験の片方だけ合格した場合、「一部合格」として認定されます。一部合格の有効期限は、合格した試験日の翌々年度末までです。この期間内に不合格だった科目に合格すれば、FP技能士の資格を取得できます。例えば、2025年1月に実技試験だけ合格した場合、2027年3月末までに学科試験に合格すればよいことになります。
- FP実技試験の試験時間は何分ですか?
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FP実技試験の試験時間は級によって異なります。FP3級は60分、FP2級は90分です。FP1級は試験形式によって大きく異なり、日本FP協会の記述式試験は120分、きんざいの面接試験は約20分(準備時間を含めると40分程度)となっています。試験時間は学科試験よりも短いため、時間配分を意識した練習が重要です。
- FP実技試験は日本FP協会ときんざいどちらがおすすめですか?
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初心者や幅広い知識を身につけたい方には、日本FP協会の「資産設計提案業務」をおすすめします。合格率が高く、総合的な内容で学習しやすいためです。一方、金融機関や保険業界で働いている方は、きんざいの業務特化型科目を選ぶと実務に直結した知識が得られます。どちらで合格しても取得資格は同じFP(ファイナンシャルプランナー)技能士なので、自分の状況に合わせて選びましょう。
- FP実技試験で電卓は使えますか?
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はい、FP実技試験では電卓の使用が認められています。ただし、使用できるのは通常の電卓のみで、スマートフォンやタブレットの電卓機能は使用できません。また、関数電卓やプログラム機能付きの電卓も禁止されています。普通の計算機能だけの電卓を用意しましょう。試験会場では音が気になる方もいるため、サイレント機能付きの電卓がおすすめです。
まとめ:FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の理解と科目選択が合格への鍵
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- FP実技試験は学科試験とセットで合格が必要:学科試験が基礎知識を問うのに対し、実技試験は実務的な応用力を測定します。両方合格して初めてFP技能士の資格を取得でき、一部合格の有効期限は翌々年度末までです。
- 級や団体によって選択科目が異なる:FP3級は3種類、FP2級は5種類、FP1級は2つの選択肢があります。日本FP協会の「資産設計提案業務」は総合的な内容で合格率が高く、きんざいの各科目は業務特化型で実務に直結した内容です。
- 過去問演習と時間配分の練習が合格の秘訣:実技試験では過去問と類似した問題が多く出題されるため、過去問演習が最も効果的です。また、限られた試験時間内で正確に解答する練習も欠かせません。
FP(ファイナンシャルプランナー)実技試験の特徴を理解できたら、次は自分に合った科目を選び、計画的に学習を進めましょう。FP3級(ファイナンシャルプランナー3級)とは?試験内容・取得メリット・学習方法を徹底解説とFP(ファイナンシャルプランナー)試験の効果的な勉強法|科目別対策・時間管理術・合格への学習戦略を参考に、効率的な学習計画を立てることをおすすめします。
本記事を通じて、FP実技試験の全体像と各科目の特徴、効果的な対策方法を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、FP試験合格という目標の実現に向けて一歩を踏み出しましょう。
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