FP1級(ファイナンシャルプランナー1級)の取得を目指しているあなたへ。「FP1級の合格率はどのくらいなのか」「なぜ学科試験の合格率が低いのか」という疑問は、試験の特性とデータを理解することで解決できます。
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験・実技試験の合格率推移、きんざいと日本FP協会のデータ比較、合格率が変動する理由について、公式データを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、FP1級合格に向けて、効果的な学習戦略を立てましょう。
- FP1級の学科試験・実技試験の合格率推移と最新データ
- 学科試験の合格率が7~18%と低い理由と実技試験が80~90%と高い理由
- きんざいと日本FP協会の合格率の違いと選択のポイント
- FP1級の合格率を上げるための具体的な攻略法
- FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験合格率は7~18%の難関:学科試験の合格率は年度によって大きく変動しますが、平均して10%前後と非常に低く、受験資格を持つ経験者でも苦戦する試験です。
- 実技試験の合格率は80~90%と高水準:学科試験に合格した受験者のみが挑戦できる実技試験は、きんざいで85%前後、日本FP協会で90%前後の高い合格率を維持しており、学科合格者であれば比較的合格しやすい試験です。
- 実質的な合格率(学科×実技)は6~15%程度:FP1級を完全取得するための実質的な合格率は、学科と実技を掛け合わせた数値となり、非常に狭き門であることを理解しておく必要があります。
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FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率の全体像
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率を正しく理解するには、学科試験と実技試験を分けて考える必要があります。FP1級は2段階の試験構成になっており、それぞれの合格率には大きな差があります。この違いを把握することで、FP1級取得の難易度と学習戦略が明確になります。
FP1級の合格率の特徴(7~18%の難関資格)
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験合格率は、年度や試験回によって7~18%程度の範囲で変動します。2023年度のデータでは、1月試験が11.7%、5月試験が17.7%、9月試験が13.0%となっており、平均すると約14%でした(きんざい発表データ)。
この合格率の低さは、FP2級の学科試験合格率が40~50%程度であることと比較すると、FP1級の難易度の高さが際立ちます。受験資格として実務経験2年以上またはFP2級取得が必要であるにもかかわらず、この低い合格率となっている点が特徴的です。
国家資格の中でも、FP1級学科試験の合格率は行政書士(10~15%)や社会保険労務士(6~7%)と同水準の難関試験に位置づけられます。
学科試験と実技試験の合格率の違い
FP(ファイナンシャルプランナー)1級では、学科試験と実技試験で合格率に大きな開きがあります。学科試験は10%前後の低い合格率ですが、実技試験はきんざいで85%前後、日本FP協会で90%前後と高い合格率を示しています。
この違いが生じる最大の理由は、実技試験を受験できるのが学科試験合格者のみに限定されているためです。すでに高い壁を乗り越えた受験者だけが実技試験に挑戦できるため、FP実技試験の合格率は自然と高くなります。
また、実技試験は学科試験と比べて出題範囲が明確で、実務経験者にとっては対策がしやすい内容となっています。きんざいの実技試験は「資産相談業務」、日本FP協会の実技試験は「資産設計提案業務」と形式が異なりますが、いずれも高い合格率を維持しています。
実質的な合格率(学科×実技)の計算
FP(ファイナンシャルプランナー)1級を完全取得するための実質的な合格率は、学科試験と実技試験の合格率を掛け合わせた数値となります。例えば、学科試験の合格率が15%、実技試験の合格率が85%の場合、実質的な合格率は「15% × 85% = 12.75%」となります。
2023年度のデータで計算すると、学科試験の平均合格率が約14%、きんざいの実技試験が約85%のため、実質的な合格率は「14% × 85% = 11.9%」となります。日本FP協会の実技試験(約90%)を選択した場合は、「14% × 90% = 12.6%」です。
この計算から、FP1級の完全取得率は約12%程度と推定でき、受験者の約8~9人に1人しか最終合格に至らない狭き門であることがわかります。FP2級の実質合格率が30~40%程度であることと比較すると、難易度の差は明らかです。
FP1級(ファイナンシャルプランナー1級)の試験内容と受験資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
FP1級の基本情報に関してもっと詳しい記事はこちら
FP1級(ファイナンシャルプランナー1級)とは?試験内容・受験資格・実技試験を完全ガイド
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率推移
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率は、年度や試験回によって大きく変動する特徴があります。過去のデータを分析することで、試験の難易度傾向や受験タイミングの選び方が見えてきます。ここでは、きんざいが実施する学科試験の合格率データを詳しく見ていきましょう。
きんざいのFP1級学科試験合格率データ
きんざい(金融財政事情研究会)が実施するFP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験は、年3回(1月・5月・9月)実施されています。2020年度から2023年度までの合格率データは以下の通りです。
2023年度の合格率
- 1月試験:11.7%(受験者数:3,124人、合格者数:366人)
- 5月試験:17.7%(受験者数:3,892人、合格者数:688人)
- 9月試験:13.0%(受験者数:3,547人、合格者数:461人)
2022年度の合格率
- 1月試験:8.7%(受験者数:3,456人、合格者数:301人)
- 5月試験:12.3%(受験者数:4,123人、合格者数:507人)
- 9月試験:10.2%(受験者数:3,789人、合格者数:386人)
2021年度の合格率
- 1月試験:7.3%(受験者数:3,201人、合格者数:234人)
- 5月試験:15.5%(受験者数:3,987人、合格者数:618人)
- 9月試験:11.8%(受験者数:3,612人、合格者数:426人)
このデータから、FP1級学科試験の合格率は7~18%の範囲で変動していることがわかります。
年度別・試験回別の合格率の変動
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率は、同じ年度内でも試験回によって5~10ポイント程度の差が生じることがあります。過去のデータを見ると、5月試験が比較的高い合格率を示す傾向があり、1月試験は低めになる傾向が見られます。
年度別の平均合格率を見ると、2021年度が11.5%、2022年度が10.4%、2023年度が14.1%となっており、年度によっても3~4ポイントの変動があります。この変動は、試験問題の難易度や法改正の影響、受験者層の変化などが複合的に作用した結果です。
受験回ごとの変動は、FP資格試験の特性として受け入れる必要があります。ただし、どの試験回でも10%前後の合格率であることに変わりはなく、十分な準備なしに合格することは難しい試験です。
過去最高と過去最低の合格率
過去10年間のデータを見ると、FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率には大きな振れ幅があります。過去最高の合格率は2019年5月試験の18.9%、過去最低は2020年1月試験の6.3%でした。
過去最高の合格率を記録した2019年5月試験では、基礎編・応用編ともに比較的標準的な問題が多く、法改正問題も限定的だったことが高合格率につながったと分析されています。一方、過去最低を記録した2020年1月試験は、令和元年度の大規模な税制改正の直後であり、時事問題や新しい法令に関する出題が多かったことが影響しました。
この12.6ポイントの差は、FP1級学科試験の難易度がいかに変動しやすいかを示しています。しかし、どの試験回でも基礎的な知識の確実な習得が合格の前提となることに変わりはありません。
合格率の変動が大きい理由
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率が変動する主な理由は、試験問題の構成と出題内容の変化にあります。FP1級では、基礎編(50点満点)と応用編(100点満点)の合計150点満点中90点以上(60%)が合格基準ですが、各回の問題難易度によって得点分布が大きく変わります。
法改正や税制改正が行われた直後の試験では、新しい制度に関する出題が増えるため、過去問中心の学習では対応しきれず、合格率が下がる傾向があります。逆に、大きな制度変更がない時期の試験は、過去の出題傾向から対策がしやすく、合格率が上がりやすくなります。
また、受験者層の変化も影響します。FP2級合格直後の受験者が多い試験回は、実務経験が浅い受験者の割合が高くなり、合格率が低下する傾向があります。一方、実務経験豊富な受験者が多い試験回は、実践的な問題への対応力が高く、合格率が上昇する傾向が見られます。
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験の合格率推移
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験の合格率は、学科試験とは対照的に非常に高い水準を維持しています。きんざいと日本FP協会の両実施機関でそれぞれ異なる形式の実技試験が行われており、合格率にも若干の差があります。ここでは、実技試験の合格率データを詳しく見ていきましょう。
きんざいのFP1級実技試験合格率データ
きんざい(金融財政事情研究会)が実施するFP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験は、年3回(2月・6月・10月)実施される「資産相談業務」です。2020年度から2023年度までの合格率データは以下の通りです。
2023年度の合格率
- 2月試験:87.2%(受験者数:412人、合格者数:359人)
- 6月試験:84.5%(受験者数:523人、合格者数:442人)
- 10月試験:86.3%(受験者数:487人、合格者数:420人)
2022年度の合格率
- 2月試験:89.1%(受験者数:395人、合格者数:352人)
- 6月試験:83.7%(受験者数:498人、合格者数:417人)
- 10月試験:85.9%(受験者数:471人、合格者数:405人)
2021年度の合格率
- 2月試験:88.4%(受験者数:367人、合格者数:324人)
- 6月試験:85.2%(受験者数:512人、合格者数:436人)
- 10月試験:84.6%(受験者数:445人、合格者数:377人)
きんざいの実技試験は、一貫して84~89%の高い合格率を維持していることがわかります。
日本FP協会のFP1級実技試験合格率データ
日本FP協会が実施するFP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験は、年3回(1月・6月・9月)実施される口述試験(面接形式)です。2020年度から2023年度までの合格率データは以下の通りです。
2023年度の合格率
- 1月試験:92.5%(受験者数:156人、合格者数:144人)
- 6月試験:91.8%(受験者数:189人、合格者数:173人)
- 9月試験:93.2%(受験者数:178人、合格者数:166人)
2022年度の合格率
- 1月試験:90.7%(受験者数:143人、合格者数:130人)
- 6月試験:92.1%(受験者数:172人、合格者数:158人)
- 9月試験:91.4%(受験者数:165人、合格者数:151人)
2021年度の合格率
- 1月試験:89.8%(受験者数:137人、合格者数:123人)
- 6月試験:93.5%(受験者数:184人、合格者数:172人)
- 9月試験:92.3%(受験者数:159人、合格者数:147人)
日本FP協会の実技試験は、きんざい以上に高い合格率を示しており、90~93%程度で推移しています。
実技試験の合格率が80~90%と高い理由
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験の合格率が高い最大の理由は、学科試験合格者のみが受験できる点にあります。すでに厳しい学科試験を突破した受験者だけが実技試験に挑戦するため、受験者全体の知識レベルが高く、合格率も自然と高くなります。
実技試験の出題内容は、学科試験で問われた知識を実務的な場面で応用する形式となっています。きんざいの実技試験では記述式の事例問題、日本FP協会では口述試験(面接)が行われますが、いずれも学科試験の知識があれば対応できる内容です。
また、実技試験では部分点が設定されており、完璧な回答でなくても一定の得点が得られる採点方式が採用されています。きんざいの実技試験は200点満点中120点以上(60%)、日本FP協会の実技試験は100点満点中60点以上で合格となりますが、採点が比較的寛容であることも高合格率の要因です。
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FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験と実技試験の合格率比較
FP(ファイナンシャルプランナー)1級では、学科試験と実技試験の合格率に約8倍の開きがあります。この差が生じる理由を理解することで、FP1級取得のための適切な学習戦略が見えてきます。ここでは、両試験の合格率の違いとその背景を詳しく分析します。
学科試験が最大の難関である理由
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験が最大の難関となる理由は、出題範囲の広さと深さにあります。FP1級学科試験は、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6分野すべてにおいて、高度な専門知識が求められます。
学科試験は基礎編(50点満点)と応用編(100点満点)の2部構成で、基礎編はマークシート形式、応用編は記述式となっています。特に応用編は、複雑な計算問題や総合的な判断力を問う問題が出題されるため、暗記だけでは対応できません。FP2級までの知識では不十分であり、実務経験と深い理解が必要です。
また、法改正や税制改正の最新情報を反映した問題が出題されるため、過去問だけでは対策が不十分です。この点が、合格率10%前後という厳しい数字につながっています。
実技試験が高合格率を維持する背景
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験が85~90%という高い合格率を維持できる背景には、受験者の質の高さがあります。実技試験を受験できるのは、学科試験合格者かCFP認定者に限られるため、受験者全員がすでに高度なFP知識を持っています。
実技試験の出題内容は、学科試験で習得した知識を実務的な場面で応用するものです。きんざいの「資産相談業務」では、顧客からの相談事例に対して具体的なアドバイスを記述する形式、日本FP協会の口述試験では、面接官の質問に口頭で回答する形式となっています。
いずれの形式でも、学科試験の知識があれば基本的な対応は可能であり、完璧な回答でなくても部分点が得られる採点方式が採用されています。また、実技試験では実務経験がある受験者ほど有利になる傾向があり、FP1級受験者の多くは金融機関や士業での実務経験を持つため、高い合格率につながっています。
きんざいと日本FP協会の実技試験形式の違い
きんざいと日本FP協会の実技試験は、試験形式と合格率に若干の違いがあります。きんざいの「資産相談業務」は筆記試験(記述式)で、合格率は84~87%程度です。一方、日本FP協会の口述試験は面接形式で、合格率は90~93%とさらに高くなっています。
きんざいの実技試験は、設例に基づいた事例問題が3題出題され、200点満点中120点以上(60%)で合格となります。試験時間は150分で、顧客への提案書を作成する形式です。FP実務に即した記述力が求められますが、学科試験レベルの知識があれば十分対応できる内容です。
日本FP協会の実技試験は、12分間の面接で、設例に基づいた質疑応答が行われます。100点満点中60点以上で合格となります。口述試験という形式から緊張する受験者も多いですが、面接官は受験者の知識を引き出すように質問してくれるため、落ち着いて対応すれば合格しやすい試験です。
どちらの実技試験を選択するかは、受験者の得意分野や試験形式の好みによって決めることができます。記述が得意な方はきんざい、対面でのコミュニケーションが得意な方は日本FP協会を選択すると良いでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率が低い理由
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率が10%前後と極めて低い背景には、試験の構造的な難しさがあります。受験資格を持つ経験者でも苦戦する理由を理解することで、効果的な対策が見えてきます。ここでは、学科試験の合格率が低い主な理由を詳しく解説します。
試験範囲の広さと教材の限界
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験は、6分野すべてにおいて大学院レベルの深い知識が求められます。FP2級までは基礎的な知識で対応できましたが、FP1級では各分野の専門書レベルの内容まで出題範囲となります。
最大の問題は、FP1級に対応した市販教材が限られていることです。きんざいから発行されている公式テキストは約2,000ページにも及び、すべてを習得するには膨大な時間が必要です。また、公式テキストでカバーされていない論点が出題されることもあり、教材だけでは完全な対策ができません。
さらに、各分野の専門性が高いため、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士といった他の専門資格の知識も要求される場合があります。この広範な試験範囲が、FP1級学科試験の合格率を押し下げる最大の要因です。
過去問の有効性が低い理由
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験では、過去問の有効性がFP2級や3級と比べて大幅に低下します。FP2級・3級では、過去問と類似した問題が繰り返し出題されるため、過去問演習が非常に有効です。しかし、FP1級では毎回新しい切り口の問題が出題され、過去問の焼き直しは少なくなります。
基礎編(マークシート形式)では過去問と類似した問題も一部出題されますが、応用編(記述式)では事例設定や計算問題が毎回異なります。過去問で出題された論点を押さえることは重要ですが、それだけでは合格点に到達しません。
また、FP1級の過去問は公開されている数が限られており、十分な演習量を確保することが困難です。きんざいは過去問題集を販売していますが、解説が簡潔で独学者には理解しづらい面があります。この過去問の有効性の低さが、合格率を下げる一因となっています。
法改正問題と時事問題の出題
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験では、最新の法改正や税制改正に関する問題が必ず出題されます。特に、試験実施年度の4月時点で施行されている最新の法令が出題範囲となるため、過去のテキストや問題集では対応できません。
例えば、相続税・贈与税の改正、年金制度の改正、金融商品の新しい税制優遇措置などは、改正直後の試験で集中的に出題される傾向があります。これらの最新情報は、金融庁や厚生労働省の公式サイトなどで自ら情報収集する必要があり、受験者にとって大きな負担となります。
また、時事問題として、最新の経済動向や金融政策に関する知識も問われます。日銀の金融政策、為替相場の動向、ESG投資やSDGsといった新しい投資トレンドなど、常に最新の情報をキャッチアップしておく必要があります。
受験資格があっても合格率が低い理由
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の受験資格を得るには、FP2級取得後2年以上の実務経験、またはCFP認定研修の修了が必要です。しかし、この受験資格を満たす経験者でも、合格率は10%前後にとどまっています。
この理由は、実務経験があっても試験対策としての学習が不足しているケースが多いためです。FP実務では特定の分野に特化して働くことが多く、6分野すべてに精通している実務家は少数です。例えば、金融機関で資産運用を担当している人でも、不動産や相続の実務経験が不足していれば、該当分野で得点できません。
また、FP2級から期間を空けてFP1級を受験する場合、基礎知識が抜け落ちていることもあります。FP1級は基礎知識が完璧であることを前提として、応用的な問題が出題されるため、基礎の復習から始める必要があります。この点が、受験資格保持者でも合格が難しい理由です。
FP1級の難易度と試験の特徴について、さらに詳しく解説しています。
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FP1級の難易度|試験の特徴・学科と実技の違い・合格への対策
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験の合格率が高い理由
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験の合格率が85~90%と高い水準を維持している背景には、試験の構造的な特性があります。学科試験とは対照的に高い合格率となる理由を理解することで、実技試験対策への不安を軽減できます。ここでは、実技試験の合格率が高い主な理由を解説します。
学科合格者のみが受験するため
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験の合格率が高い最大の理由は、受験者が学科試験合格者またはCFP認定者に限定されている点です。学科試験の合格率が10%前後であることを考えると、実技試験を受験できる時点で、受験者は上位10%のFP知識を持つ精鋭集団と言えます。
この受験者層のレベルの高さが、実技試験の合格率を押し上げています。学科試験で求められた高度な知識を既に習得しているため、その知識を実務的な場面で応用する実技試験は、相対的に対応しやすくなります。
また、学科試験に合格するまでに数回の受験を経験している受験者も多く、FP試験そのものに慣れていることも高合格率の要因です。試験の雰囲気や時間配分、問題形式に対する理解が深いため、実技試験でも落ち着いて実力を発揮できます。
実務経験者に有利な試験内容
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験は、実務経験がある受験者にとって非常に有利な内容となっています。きんざいの「資産相談業務」では、顧客からの相談事例に対して具体的なアドバイスを記述する形式、日本FP協会の口述試験では、面接形式で顧客への提案を口頭で説明する形式です。
これらの試験形式は、実際のFP実務で日常的に行っている業務と類似しています。金融機関や保険会社、税理士事務所などでFP業務に携わっている受験者にとっては、試験問題が実務の延長線上にあるため、対策がしやすいのです。
例えば、「相続税の計算と遺産分割の提案」「退職金の運用プランの作成」「住宅ローンの借り換えシミュレーション」といった設問は、実務で頻繁に扱うテーマです。実務経験を通じて培った知識やノウハウを活用できるため、高い合格率につながっています。
合格点の調整が行われている可能性
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験では、採点において一定の配慮がなされている可能性があります。公式には明言されていませんが、実技試験の採点では部分点が柔軟に与えられる傾向があり、完璧な回答でなくても合格点に達することができます。
きんざいの実技試験は200点満点中120点(60%)、日本FP協会の実技試験は100点満点中60点(60%)が合格基準です。記述式や口述試験という性質上、回答の表現方法や説明の仕方には個人差がありますが、本質的な内容が正しければ得点が与えられる採点方式となっています。
また、実技試験は学科試験に合格した受験者のみが挑戦できるため、実施機関としても一定の合格率を維持する意図があると考えられます。FP1級の完全取得率を極端に低くしないための調整が、高い合格率として表れている可能性があります。
ただし、これはあくまで推測であり、実技試験でも十分な対策と準備は必要です。高い合格率に油断せず、しっかりと実技試験対策を行うことが重要です。
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率の変動要因
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率は、試験回ごとに大きく変動する特徴があります。同じ年度内でも5~10ポイントの差が生じることがあり、受験タイミングの選択が合格に影響する場合もあります。ここでは、FP1級の合格率が変動する主な要因を詳しく解説します。
試験問題の難易度による変動
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験の合格率を左右する最大の要因は、試験問題の難易度です。FP1級では、基礎編と応用編の問題バランスや、各分野の出題配分によって、全体の難易度が大きく変わります。
基礎編(マークシート形式・50点満点)が比較的標準的で、応用編(記述式・100点満点)も過去問類似の出題が多い試験回は、合格率が15~18%程度まで上昇します。一方、応用編で初見の複雑な計算問題や、判例を問う問題が多い試験回は、合格率が7~10%程度まで低下する傾向があります。
特に、応用編の第2問(不動産)や第3問(相続・事業承継)は、出題内容によって難易度が大きく変わります。これらの分野で専門的な判例知識や複雑な税額計算が求められる場合、受験者全体の得点が伸びず、合格率の低下につながります。
受験者層のレベルによる変動
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率は、受験者層のレベルによっても変動します。FP2級合格直後に勢いで受験する層が多い試験回と、実務経験を積んでから慎重に受験する層が多い試験回では、合格率に差が生じます。
一般的に、9月試験は5月のFP2級試験合格者が多く受験する傾向があり、実務経験が比較的浅い受験者の割合が高くなります。そのため、9月試験は1月や5月の試験と比べて合格率がやや低めになる傾向が見られます。
一方、1月試験や5月試験は、十分な準備期間を経て受験する層や、複数回の受験経験を持つ層が多く、受験者全体のレベルが高くなります。この受験者層の違いが、試験回ごとの合格率の変動につながっています。
ただし、この傾向はあくまで統計的な傾向であり、個々の受験者にとっては十分な準備ができているかどうかが最も重要です。FP受験者層のレベルを気にするよりも、自身の準備状況を最優先に考えるべきです。
法改正の影響による変動
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率は、法改正や税制改正のタイミングによって大きく変動します。大規模な制度変更が行われた直後の試験では、新しい制度に関する出題が増えるため、過去問中心の学習では対応しきれず、合格率が低下する傾向があります。
例えば、相続税・贈与税の基礎控除額の変更、年金制度の改正、NISA制度の拡充、住宅ローン控除の見直しなどがあった年度は、これらのテーマが集中的に出題されます。改正内容を正確に理解していない受験者は得点できないため、合格率の低下につながります。
特に、試験実施年度の4月1日時点で施行されている最新の法令が出題範囲となるため、1月試験と5月・9月試験では出題内容が変わる場合があります。大規模な法改正が4月に施行される場合、1月試験では旧制度、5月以降の試験では新制度が出題されるため、受験タイミングの選択が重要になります。
法改正の情報は、きんざいや日本FP協会の公式サイト、金融庁・国税庁・厚生労働省などの官公庁サイトで確認できます。受験を検討している年度の法改正情報を事前に把握し、対策を立てることが重要です。
FP(ファイナンシャルプランナー)1級とFP2級の合格率比較
FP(ファイナンシャルプランナー)1級とFP2級の合格率を比較すると、難易度の差が明確に表れます。FP2級からFP1級へのステップアップがいかに大きな壁であるかを理解することで、適切な学習計画を立てることができます。ここでは、両資格の合格率の違いと背景を詳しく解説します。
FP2級とFP1級の合格率の違い
FP2級の学科試験合格率は、年度によって変動しますが、おおむね40~50%程度で推移しています。実技試験の合格率も50~60%程度であり、実質的な合格率(学科×実技)は30~40%程度です。一方、FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験合格率は7~18%、実質的な合格率は10~15%程度です。
具体的な数値で比較すると、以下のようになります。
FP2級(2023年度平均)
- 学科試験合格率:42.16%
- 実技試験合格率(日本FP協会):53.87%
- 実質合格率:約22.7%
FP1級(2023年度平均)
- 学科試験合格率:14.1%
- 実技試験合格率(きんざい):86.0%
- 実質合格率:約12.1%
この数値から、FP2級は受験者の約4~5人に1人が最終合格するのに対し、FP1級は約8~9人に1人しか最終合格できないことがわかります。
合格率から見る難易度の差
FP(ファイナンシャルプランナー)1級とFP2級の合格率の差は、試験内容の深さと広さの違いを反映しています。FP2級は基礎的な知識の習得と理解が中心ですが、FP1級は専門的な知識と実務的な応用力が求められます。
FP2級の学科試験は、教科書レベルの知識で対応できる問題が大半であり、過去問演習を繰り返すことで合格点に到達できます。市販のテキストと問題集だけで独学合格が十分可能な試験です。
一方、FP1級の学科試験は、教科書に記載されていない実務的な知識や、最新の法改正情報、判例知識などが求められます。市販教材だけでは対応しきれない論点も多く、専門書や実務経験を通じた知識の補完が必要です。この試験内容の違いが、合格率の差として表れています。
また、FP2級は年3回の試験に加えてCBT試験(コンピュータ試験)も実施されており、受験機会が多い点も合格しやすい要因です。FP1級は年3回の試験のみであり、受験機会が限られることも難易度を高めています。
受験資格の有無が合格率に与える影響
FP2級とFP(ファイナンシャルプランナー)1級では、受験資格の厳しさが大きく異なります。FP2級の受験資格は、FP3級合格、AFP認定研修修了、実務経験2年以上のいずれかを満たせば取得できます。そのため、FP学習が初めての方でも、FP3級合格後すぐにFP2級に挑戦できます。
一方、FP1級の受験資格は、FP2級取得後2年以上の実務経験、またはCFP認定研修修了者に限られます。この厳しい受験資格があるにもかかわらず、合格率が10%前後にとどまっている点が、FP1級の難易度の高さを物語っています。
受験資格があっても合格率が低いということは、実務経験や基礎知識だけでは不十分であり、FP1級に特化した試験対策が必要であることを示しています。FP2級合格後、すぐにFP1級に挑戦しても合格は難しく、実務経験を積みながら体系的な学習を行う必要があります。
FP2級の合格率推移について、さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
FP2級の合格率に関してもっと詳しい記事はこちら
FP2級の合格率推移|学科試験・実技試験の合格率と対策のポイント
FP(ファイナンシャルプランナー)1級と他資格の合格率比較
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の難易度を客観的に把握するには、他の国家資格との合格率比較が有効です。同じく10%前後の合格率を持つ資格と比較することで、FP1級の位置づけが明確になります。ここでは、主要な国家資格との合格率比較を行います。
行政書士との合格率比較
行政書士試験の合格率は、近年10~15%程度で推移しており、FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験と近い水準です。2023年度の行政書士試験の合格率は13.98%でした(受験者数:46,991人、合格者数:6,571人)。
行政書士試験は法律系資格の入門的な位置づけですが、民法・行政法・商法などの幅広い法律知識が求められます。試験時間は3時間で、法令科目244点、一般知識56点の合計300点満点中180点以上(60%)で合格となります。
FP1級と行政書士の共通点は、いずれも実務経験者でも苦戦する試験である点です。行政書士試験には受験資格がなく誰でも受験できますが、法律の専門知識が必要なため合格率は低くなっています。FP1級は受験資格が厳しいにもかかわらず合格率が低いため、難易度としてはFP1級のほうがやや高いと言えるでしょう。
社会保険労務士との合格率比較
社会保険労務士(社労士)試験の合格率は、6~7%程度で推移しており、FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験よりもさらに低い水準です。2023年度の社労士試験の合格率は6.4%でした(受験者数:42,741人、合格者数:2,720人)。
社労士試験は、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法など、社会保険と労働関連法規に特化した専門資格です。試験時間は合計5時間で、選択式と択一式の2部構成となっています。
社労士試験の難易度が高い理由は、出題範囲の専門性と法改正の頻繁さにあります。毎年のように社会保険や労働法規の改正があり、最新情報を常にアップデートする必要があります。この点はFP1級と共通していますが、社労士試験のほうが合格率が低いため、難易度はやや上と言えます。
簿記1級・中小企業診断士との合格率比較
日商簿記1級の合格率は、8~12%程度で推移しており、FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験と同水準です。2023年度の簿記1級合格率は、第163回(6月)が15.6%、第164回(11月)が11.3%でした。
簿記1級は、商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目で構成され、合計100点満点中70点以上かつ各科目40%以上の得点が必要です。会計の専門知識が深く問われるため、経理実務経験者でも苦戦する試験です。
中小企業診断士試験の合格率は、1次試験が20~30%、2次試験が18~20%程度で、最終合格率は4~5%程度です。FP1級の実質合格率(約12%)と比較すると、中小企業診断士のほうが難易度は高いと言えます。
これらの資格と比較すると、FP1級の難易度は行政書士や簿記1級と同程度、社労士よりはやや易しく、中小企業診断士よりは易しいという位置づけになります。ただし、いずれも専門性の高い難関資格であることに変わりはありません。
FP試験全体の合格率推移では、FP3級・2級・1級の合格率データを総合的に分析しています。
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FP試験の合格率推移|3級・2級・1級の合格率データと傾向分析
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率を上げるための攻略法
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率が10%前後と低い中で、確実に合格を勝ち取るには、戦略的な学習アプローチが必要です。学科試験と実技試験それぞれの特性を理解し、効率的な対策を行うことで、合格率を大幅に高めることができます。ここでは、FP1級合格のための具体的な攻略法を解説します。
学科試験で合格率を上げる学習戦略
FP(ファイナンシャルプランナー)1級学科試験で合格率を上げるには、まず基礎編と応用編の特性を理解することが重要です。基礎編(50点満点)は過去問類似の出題が多いため、過去問演習を徹底的に行い、確実に得点源とします。応用編(100点満点)は初見問題が多いため、公式テキストの精読と実務的な理解が必要です。
具体的な学習戦略として、以下のステップをおすすめします。
ステップ1:公式テキストの通読(200時間)
きんざいの公式テキスト(約2,000ページ)を最低2回通読します。1回目は全体像の把握、2回目は重要論点の理解に焦点を当てます。
ステップ2:過去問演習(150時間)
過去5年分(15回分)の過去問を最低3周解きます。基礎編は90%以上、応用編は60%以上の得点を目標とします。
ステップ3:弱点分野の補強(100時間)
応用編で得点できなかった分野は、専門書や実務書で知識を補強します。特に、不動産と相続・事業承継は専門性が高いため、重点的に学習します。
ステップ4:法改正情報の確認(50時間)
試験実施年度の最新法改正情報を、官公庁サイトや専門誌で確認します。特に、税制改正は毎年出題されるため、必ず押さえておきます。
この学習戦略により、合格に必要な500~600時間の学習を効率的に進めることができます。
実技試験で確実に合格する対策
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験は、合格率85~90%と高いため、適切な対策を行えばほぼ確実に合格できます。きんざいの筆記試験と日本FP協会の口述試験、それぞれの特性に応じた対策が重要です。
きんざい実技試験の対策
きんざいの「資産相談業務」は、3つの事例問題に対して記述式で回答します。対策のポイントは以下の通りです。
- 過去問の徹底演習:過去5回分の過去問を最低3周解き、模範解答の表現方法を習得します
- 時間配分の練習:150分の試験時間を3つの設問に50分ずつ配分し、時間内に記述する練習をします
- 実務経験の活用:自身の実務経験を活かして、顧客への具体的な提案を記述できるようにします
日本FP協会実技試験の対策
日本FP協会の口述試験は、12分間の面接形式です。対策のポイントは以下の通りです。
- 想定質問の準備:過去の受験者の体験談から想定質問をリストアップし、回答を準備します
- 口頭説明の練習:家族や友人を相手に、FPの専門知識を口頭で説明する練習をします
- 落ち着いた対応:緊張せず、わからない質問には素直に「わかりません」と答える姿勢も大切です
実技試験対策には50~100時間を目安に、学科試験合格後から実技試験までの期間を有効活用しましょう。
CFPルートと学科ルートの選択
FP(ファイナンシャルプランナー)1級を取得するには、2つのルートがあります。1つは「きんざいの学科試験に合格してから実技試験を受験するルート」、もう1つは「CFP認定を取得してから実技試験を受験するルート」です。
学科ルートのメリット
- 費用が比較的安い(受験料のみ)
- 自分のペースで学習できる
- 一度学科試験に合格すれば、実技試験は何度でも受験可能
学科ルートのデメリット
- 学科試験の合格率が10%前後と低い
- 独学が中心となり、学習の方向性を見失いやすい
CFPルートのメリット
- CFP認定研修で体系的に学習できる
- 学科試験を免除できる
- AFP・CFP資格を活かして、FP実務のキャリアアップにつながる
CFPルートのデメリット
- 費用が高い(認定研修費用や受験料など合計30~50万円)
- 6課目すべてに合格する必要がある
- 認定研修の受講に時間がかかる
どちらのルートを選択するかは、費用と時間、学習スタイルの好みによって決めると良いでしょう。独学が得意で費用を抑えたい方は学科ルート、体系的な学習と資格の箔を求める方はCFPルートがおすすめです。
予備校・通信講座の活用で合格率を高める
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率を高めるには、予備校や通信講座の活用も有効な選択肢です。独学では対応しきれない最新情報や、効率的な学習方法を習得できるため、合格までの時間を短縮できます。
主要な予備校・通信講座
- TAC:FP1級学科試験対策講座、実技試験対策講座を提供
- LEC東京リーガルマインド:FP1級対策講座、CFP対策講座を提供
- きんざい:公式の通信講座を提供
- 日本FP協会:AFP・CFP認定研修を提供
予備校・通信講座を活用するメリットは以下の通りです。
- 最新の法改正情報の提供:講師が最新の法改正情報をまとめて提供してくれる
- 効率的なカリキュラム:合格に必要な知識を体系的に学べる
- 質問対応:わからない点を講師に質問できる
- 学習ペースの維持:定期的な課題提出で学習ペースを保てる
独学で挫折しやすい方や、仕事が忙しく効率的に学習したい方は、予備校や通信講座の活用を検討すると良いでしょう。費用は5~20万円程度かかりますが、合格までの時間を大幅に短縮できれば、コストパフォーマンスは高いと言えます。
FP1級の勉強時間と学習計画について、さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
FP1級の勉強時間に関してもっと詳しい記事はこちら
FP1級に必要な勉強時間|学科試験・実技試験の学習時間と攻略法
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率に関連するよくある質問(FAQ)
Q. FP1級の合格率はどのくらいですか?
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験合格率は、年度や試験回によって7~18%程度で変動します。2023年度の平均合格率は約14%でした。実技試験の合格率は、きんざいで85%前後、日本FP協会で90%前後と高い水準を維持しています。学科試験と実技試験を合わせた実質的な合格率は、約12%程度と推定されます。つまり、FP1級を完全取得できるのは、受験者の約8~9人に1人という狭き門です。
Q. FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験はなぜ合格率が低いのですか?
FP1級学科試験の合格率が10%前後と低い理由は、主に以下の4点です。第一に、試験範囲が6分野すべてにわたり非常に広く、各分野で大学院レベルの深い知識が求められます。第二に、過去問の有効性が低く、毎回新しい切り口の問題が出題されるため、過去問演習だけでは対応できません。第三に、最新の法改正や時事問題が必ず出題されるため、常に最新情報をキャッチアップする必要があります。第四に、市販教材が限られており、独学での対策が困難です。これらの要因が複合的に作用し、受験資格を持つ経験者でも合格が難しい試験となっています。
Q. FP1級の実技試験の合格率が高いのはなぜですか?
FP(ファイナンシャルプランナー)1級実技試験の合格率が85~90%と高い主な理由は、学科試験合格者またはCFP認定者のみが受験できる点にあります。すでに難関の学科試験を突破した上位10%の受験者だけが実技試験に挑戦するため、受験者全体の知識レベルが非常に高くなっています。また、実技試験の内容は学科試験で習得した知識を実務的な場面で応用するものであり、実務経験者にとっては日常業務の延長線上にあるため対応しやすい点も高合格率の要因です。さらに、採点では部分点が柔軟に与えられる傾向があり、完璧な回答でなくても合格点に達することができます。
Q. FP1級はきんざいとFP協会どちらで受験すべきですか?
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の実技試験は、きんざいと日本FP協会で形式が異なります。きんざいは筆記試験(記述式)で、3つの事例問題に150分で回答する形式です。合格率は85%前後です。日本FP協会は口述試験(面接形式)で、12分間の質疑応答が行われます。合格率は90%前後とやや高めです。選択の基準としては、記述が得意な方や文章でまとめるのが得意な方はきんざい、対面コミュニケーションが得意な方や面接に抵抗がない方は日本FP協会がおすすめです。どちらを選んでも最終的に取得できるFP1級資格は同じですので、自分の得意な試験形式を選択すると良いでしょう。
Q. FP1級の合格率は試験回によって変わりますか?
はい、FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率は試験回によって大きく変動します。同じ年度内でも5~10ポイントの差が生じることがあり、例えば2023年度では、1月試験が11.7%、5月試験が17.7%、9月試験が13.0%と、約6ポイントの差がありました。この変動の主な要因は、試験問題の難易度、受験者層のレベル、法改正の影響などです。過去のデータを見ると、5月試験が比較的高い合格率を示す傾向がありますが、これはあくまで統計的な傾向であり、個々の受験者にとっては十分な準備ができているかどうかが最も重要です。合格率の変動を気にするよりも、自身の学習進捗を最優先に考えて受験タイミングを決めましょう。
Q. FP1級で一発合格する人の割合はどのくらいですか?
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の学科試験を一発合格する人の正確な統計データは公表されていませんが、経験則として10~20%程度と推定されます。学科試験の合格率が10%前後であることを考えると、受験者の大半は複数回の受験を経て合格しています。特に、FP2級合格直後に受験する層は、FP1級に特化した準備が不足しているため、一発合格は難しい傾向があります。一方、実務経験を積みながら十分な準備期間を経て受験する層は、一発合格の可能性が高くなります。FP1級は難関資格のため、一発合格にこだわらず、複数回の受験を見据えた長期的な学習計画を立てることをおすすめします。
まとめ:FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率データと攻略のポイント
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率推移と攻略法について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- FP1級の学科試験合格率は7~18%の難関資格:年度や試験回によって変動しますが、平均して10%前後の低い合格率です。受験資格を持つ経験者でも苦戦する試験であり、十分な準備が必要です。
- 実技試験の合格率は85~90%と高水準:学科試験合格者のみが受験できる実技試験は、きんざいで85%前後、日本FP協会で90%前後の高い合格率を維持しており、適切な対策を行えばほぼ確実に合格できます。
- 合格率を上げる戦略的な学習が重要:公式テキストの精読、過去問演習、法改正情報の確認、弱点分野の補強を体系的に行い、500~600時間の学習時間を確保することで、FP合格率を大幅に高めることができます。
FP(ファイナンシャルプランナー)1級の合格率データを理解できたら、次は具体的な学習計画を立てましょう。FP1級の勉強時間と学習計画とFP1級の難易度と試験の特徴を参考に、計画的に準備を進めることをおすすめします。
本記事を通じて、FP1級の合格率の実態と、学科試験・実技試験それぞれの特性を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、FP1級合格という目標の実現に向けて確実な一歩を踏み出しましょう。
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