電験3種の試験について調べているあなたへ。「どんな科目があるのか」「試験時間はどれくらいか」という疑問は、試験制度を正しく理解することで解決できます。本記事では、電験3種の4科目の構成、試験時間とスケジュール、各科目の出題範囲と配点、合格基準について、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、電験3種試験合格に向けて、効率的な学習計画を立てましょう。
この記事を読むとわかること
- 電験3種試験の4科目(理論・電力・機械・法規)の構成と特徴
- 筆記方式とCBT方式それぞれの試験時間とスケジュール
- 各科目の出題範囲、問題数、配点の詳細
- 合格基準と科目合格制度の活用方法
押さえておきたい3つのポイント
- 電験3種は4科目で構成される:理論・電力・機械・法規の4科目があり、それぞれ異なる出題範囲と試験時間が設定されています。各科目60点以上で合格となり、科目合格制度により3年間で全科目合格を目指せます。
- 試験時間は科目によって異なる:理論・電力・機械は各90分、法規は65分です。筆記方式では1日で4科目を受験しますが、CBT方式では科目ごとに日程を自由に設定できます。
- 五肢択一のマークシート方式:全科目がマークシート方式で、A問題(配点小)とB問題(配点大)に分かれています。計算問題が多く出題されるため、電卓の使用が認められています。
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電験3種の試験科目|4科目の構成
電験3種試験は、理論・電力・機械・法規の4科目で構成されています。各科目は電気技術者として必要な知識を体系的に問う内容となっており、すべての科目で60点以上を取得することで第三種電気主任技術者の資格を得られます。
4科目すべてを一度に合格する必要はなく、科目合格制度により3年間で全科目の合格を目指せる仕組みになっています。この制度を活用すれば、働きながらでも計画的に学習を進められます。
理論科目の位置づけと重要性
理論科目は電験3種の基礎となる科目で、電気回路と電磁気学を中心に出題されます。他の3科目(電力・機械・法規)を理解するための土台となる知識が問われるため、最も重要な科目といえます。
具体的には、直流回路・交流回路の計算、過渡現象、電界・磁界の性質、静電気・電磁誘導などが出題範囲です。数式を使った計算問題が多く、物理の知識も必要となります。
理論科目をしっかり理解できれば、電力科目や機械科目の学習がスムーズになります。そのため、多くの受験者が最初に理論科目の合格を目指します。
電力科目の位置づけと重要性
電力科目は、発電・送配電・変電に関する知識を問う科目です。実際の電力設備の仕組みや運用方法について出題されるため、実務に直結する内容が多いのが特徴です。
出題範囲には、水力発電・火力発電・原子力発電・再生可能エネルギー発電の仕組み、送電線路・配電線路の構成、変電所の設備、電力系統の保護などが含まれます。
暗記が必要な知識も多い一方で、送電損失の計算や短絡電流の計算など、理論科目の知識を応用した計算問題も出題されます。
機械科目の位置づけと重要性
機械科目は出題範囲が最も広く、多くの受験者が苦手とする科目です。電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、自動制御、情報など、幅広い分野から出題されます。
変圧器・誘導機・同期機などの電気機器の原理と特性、半導体素子を使った電力変換回路、モーターの制御方法、照明設計の計算など、実務で使用する機器の知識が問われます。
出題範囲が広いため、全分野を完璧にカバーするのは困難です。過去問を分析して頻出分野を重点的に学習する戦略が有効です。
法規科目の位置づけと重要性
法規科目は、電気事業法と電気設備技術基準を中心に、電気に関する法令や規格について問う科目です。試験時間が65分と他の科目より短く、暗記中心の学習で対応できます。
出題範囲には、電気事業法の目的と用語の定義、主任技術者の職務と選任、電気設備技術基準の解釈、電線の太さや絶縁耐力の計算などが含まれます。
条文の暗記だけでなく、具体的な数値計算も出題されます。試験時間が短いため、時間配分に注意が必要です。
電験3種の基本的な制度について詳しく知りたい方は、電験3種とはをご覧ください。
電験3種の試験時間とタイムスケジュール
電験3種の試験時間は科目によって異なり、試験方式(筆記方式またはCBT方式)によってもスケジュールが大きく変わります。自分に合った試験方式を選び、適切な時間配分を計画することが合格への第一歩です。
筆記方式の試験時間(1日で4科目)
筆記方式では、1日で4科目すべてを受験します。各科目の試験時間は以下の通りです。
- 理論科目:90分
- 電力科目:90分
- 機械科目:90分
- 法規科目:65分
合計で325分(5時間25分)の試験時間となり、科目間の休憩時間を含めると、朝から夕方まで丸1日がかりの試験です。長時間の集中力が求められるため、体調管理と時間配分が重要になります。
CBT方式の試験時間(科目ごとに自由設定可能)
CBT方式では、各科目の試験時間は筆記方式と同じですが、科目ごとに別の日に受験できます。試験期間内(年2回、それぞれ約2週間)であれば、自分の都合に合わせて日程を設定できるのが大きな特徴です。
例えば、以下のようなスケジュールが可能です。
- 1日目:理論科目のみ受験
- 3日後:電力科目のみ受験
- 1週間後:機械科目と法規科目を同日受験
この柔軟性により、科目ごとに集中して準備できます。働きながら受験する方にとって、体力的な負担を分散できるメリットがあります。
試験当日のタイムスケジュール(筆記方式)
筆記方式の試験当日は、以下のようなタイムスケジュールで進行します(令和6年度の例)。
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 9:15 | 試験会場入場開始 |
| 9:30 | 理論科目の説明開始 |
| 10:00~11:30 | 理論科目(90分) |
| 11:30~12:40 | 休憩(70分) |
| 12:40 | 電力科目の説明開始 |
| 13:10~14:40 | 電力科目(90分) |
| 14:40~15:05 | 休憩(25分) |
| 15:05 | 機械科目の説明開始 |
| 15:35~17:05 | 機械科目(90分) |
| 17:05~17:25 | 休憩(20分) |
| 17:25 | 法規科目の説明開始 |
| 17:55~19:00 | 法規科目(65分) |
昼休憩は70分ありますが、午後の科目に備えて軽めの食事で済ませることをおすすめします。最終科目の法規は19時終了と遅い時間になるため、長時間の集中力維持が必要です。
試験時間の使い方のポイント
試験時間を有効に使うためには、以下のポイントを押さえましょう。
時間配分の基本戦略:各科目とも、A問題(配点が小さい基礎問題)を先に解き、B問題(配点が大きい応用問題)に時間をかける配分が効果的です。理論・電力・機械は90分で17~18問、法規は65分で13問を解く計算になります。
見直し時間の確保:計算ミスや転記ミスを防ぐため、最低10分の見直し時間を確保しましょう。特に法規科目は試験時間が短いため、時間配分に注意が必要です。
捨て問の判断:全問正解を目指す必要はなく、60点以上が合格ラインです。難問に時間をかけすぎず、確実に解ける問題を優先する判断力が重要です。
電験3種の試験日程について詳しく知りたい方は、電験3種の試験日程・申込方法を参考にしてください。
電験3種「理論」科目の試験内容
理論科目は電験3種の基礎となる科目で、電気回路と電磁気学の知識を問います。他の科目を理解するための土台となるため、最優先で学習すべき科目です。
理論科目の出題範囲(電気回路・電磁気学)
理論科目の出題範囲は大きく2つの分野に分かれます。
電気回路分野:直流回路(オームの法則、キルヒホッフの法則、テブナンの定理など)、交流回路(インピーダンス、共振回路、三相交流など)、過渡現象(RL回路、RC回路の過渡応答)、回路網(ブリッジ回路、二端子対回路など)が含まれます。
電磁気学分野:静電気(電界、電位、コンデンサなど)、磁気(磁界、磁束、電磁誘導など)、電子工学(半導体の性質、ダイオード、トランジスタなど)が出題されます。
計算問題が中心で、数式を使って正確に解く能力が求められます。物理の知識(特に力学や波動)があると理解が深まります。
理論科目の問題数と配点
理論科目はA問題14問、B問題3問の合計17問で構成されます。
A問題の特徴:1問あたり5点の配点で、基礎的な知識や計算を問う問題です。14問中11問程度を正解できれば、A問題だけで55点を確保できます。
B問題の特徴:1問あたり15点の配点で、複雑な計算や応用的な思考を要する問題です。3問中2問を正解できれば30点となり、A問題と合わせて85点の高得点も狙えます。
合計100点満点で、60点以上が合格ラインです。B問題の配点が大きいため、難問でも部分点を狙う姿勢が重要です。
理論科目の試験時間(90分)
理論科目の試験時間は90分です。17問を解くため、1問あたり約5分の計算になりますが、実際には問題の難易度に差があります。
推奨される時間配分:A問題14問に60分(1問あたり約4分)、B問題3問に20分(1問あたり約7分)、見直しに10分という配分が目安です。
計算問題が多いため、電卓を素早く正確に使う練習が必要です。複雑な計算式は途中経過をメモし、計算ミスを防ぎましょう。
理論科目の難易度と対策ポイント
理論科目は4科目の中で基礎となる科目ですが、数学的な計算能力が求められるため、文系出身者や数学が苦手な方には難しく感じられます。
効果的な対策方法:基礎となる公式を確実に理解し、過去問を繰り返し解くことが最も効果的です。特に頻出テーマ(交流回路の計算、過渡現象、磁気回路など)を重点的に学習しましょう。
計算力の向上:複雑な計算でも正確に解けるよう、日頃から電卓を使った練習を重ねることが大切です。計算の工夫(近似値の利用、式変形の最適化など)も習得しましょう。
理論科目の学習法については、電験3種の科目別対策で詳しく解説しています。
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電験3種「電力」科目の試験内容
電力科目は発電・送配電・変電に関する知識を問う科目で、実務に直結する内容が多いのが特徴です。理論科目の知識を実際の電力設備にどう応用するかが問われます。
電力科目の出題範囲(発電・送配電・変電)
電力科目の出題範囲は大きく3つの分野に分かれます。
発電分野:水力発電(水車の種類と特性、揚水発電など)、火力発電(ボイラー、タービン、復水器など)、原子力発電(原子炉の構造、核燃料サイクルなど)、再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電など)の仕組みと特性が出題されます。
送配電分野:送電線路の構成(架空送電線、地中送電線)、配電方式(高圧配電、低圧配電)、線路定数(抵抗、リアクタンス、静電容量)、電力円線図、中性点接地方式などが含まれます。
変電分野:変電所の機器(変圧器、遮断器、開閉器など)、保護継電器の種類と動作、調相設備、異常電圧(雷サージ、開閉サージ)とその対策が出題されます。
電力科目の問題数と配点
電力科目もA問題14問、B問題3問の合計17問で構成されます。配点は理論科目と同じく、A問題が各5点、B問題が各15点です。
暗記問題と計算問題のバランス:A問題では発電設備の名称や特性など、暗記で対応できる問題が多く出題されます。B問題では送電損失の計算、短絡電流の計算、変圧器の特性計算など、理論科目の知識を応用した計算問題が中心です。
合格ラインは60点以上です。暗記問題を確実に得点し、計算問題で部分点を積み重ねる戦略が有効です。
電力科目の試験時間(90分)
電力科目の試験時間は90分で、理論科目や機械科目と同じです。17問を解くペースは理論科目と同様ですが、問題文が長い場合があるため、読解に時間がかかることもあります。
時間配分の工夫:暗記問題は素早く解答し、計算問題に十分な時間を確保しましょう。A問題は1問3~4分、B問題は1問7~8分を目安に進めます。
図や表を使った問題も出題されるため、問題文を正確に読み取る能力が必要です。焦らず落ち着いて問題を読むことが大切です。
電力科目の難易度と対策ポイント
電力科目は暗記と計算のバランスが取れた科目で、しっかり準備すれば得点しやすい科目です。実務経験がある方は馴染みのある内容も多く、有利に進められます。
効果的な学習方法:発電設備や送配電設備の構造と名称は図や写真を使って視覚的に覚えることが効果的です。計算問題は過去問を繰り返し解き、パターンを身につけましょう。
頻出テーマの把握:水力発電の水車の種類、火力発電の熱効率計算、送電線の電力損失計算、変圧器の損失計算などは頻出テーマです。これらを重点的に学習することで、効率よく得点力を高められます。
電験3種「機械」科目の試験内容
機械科目は出題範囲が最も広く、多くの受験者が苦手とする科目です。電気機器からパワーエレクトロニクス、制御理論まで、幅広い知識が求められます。
機械科目の出題範囲(電気機器・パワーエレクトロニクス・自動制御)
機械科目の出題範囲は非常に広く、以下の分野が含まれます。
電気機器分野:変圧器(単相変圧器、三相変圧器、特殊変圧器)、誘導機(三相誘導電動機、単相誘導電動機)、同期機(同期発電機、同期電動機)、直流機(直流発電機、直流電動機)の原理と特性が出題されます。
パワーエレクトロニクス分野:半導体素子(ダイオード、サイリスタ、トランジスタ)、整流回路、インバータ、チョッパ、コンバータなどの電力変換回路の動作原理が問われます。
その他の分野:電動機応用(電気鉄道、クレーンなど)、照明(光束、照度、照明設計)、電熱(誘導加熱、抵抗加熱)、電気化学(電気分解、電池)、自動制御(フィードバック制御、伝達関数)、情報処理(論理回路、数の表現)などが出題されます。
機械科目の問題数と配点
機械科目もA問題14問、B問題3問の合計17問で構成されます。配点は他の科目と同じく、A問題が各5点、B問題が各15点です。
出題の特徴:電気機器とパワーエレクトロニクスからの出題が多く、全体の6~7割を占めます。照明や電熱などの分野は出題頻度が低いものの、基礎問題として出題されることがあります。
出題範囲が広いため、全分野を完璧にカバーするのは困難です。頻出分野を重点的に学習し、60点以上を確実に取る戦略が現実的です。
機械科目の試験時間(90分)
機械科目の試験時間は90分で、他の科目と同様に17問を解きます。ただし、問題によって難易度の差が大きいため、時間配分の判断が重要です。
捨て問の見極め:90分で全問を丁寧に解くのは困難な場合があります。難問や未学習の分野の問題は早めに見切りをつけ、得意分野の問題に時間を使う判断力が必要です。
計算問題だけでなく、グラフや特性曲線を読み取る問題も出題されます。問題の種類に応じて柔軟に対応しましょう。
機械科目の難易度と対策ポイント
機械科目は出題範囲の広さから、多くの受験者が最後まで苦労する科目です。合格率も他の科目に比べてやや低い傾向にあります。
効果的な対策:過去問を分析し、頻出分野(変圧器、誘導機、同期機、半導体素子)を優先的に学習しましょう。これらの分野だけでも60点を超える得点が可能です。
学習の優先順位:電気機器の基本原理を理解したうえで、パワーエレクトロニクスに進むのが効率的です。照明・電熱・電気化学などは、余裕があれば学習する程度で構いません。
機械科目の詳しい攻略法については、電験3種の科目別対策をご覧ください。
電験3種「法規」科目の試験内容
法規科目は電気事業法と電気設備技術基準を中心に、電気に関する法令や規格について問う科目です。暗記中心の学習で対応できるため、短期間で得点力を高められます。
法規科目の出題範囲(電気事業法・電気設備技術基準)
法規科目の出題範囲は主に2つの法令に分かれます。
電気事業法:電気事業法の目的と定義、電気工作物の区分(一般用電気工作物、事業用電気工作物)、主任技術者の選任と職務、保安規程の作成と届出、使用前検査・定期検査などが出題されます。
電気設備技術基準:電線の太さと許容電流、絶縁耐力試験の電圧、接地工事の種類と接地抵抗値、過電流遮断器の施設、電路の絶縁、支持物の強度計算などが含まれます。
条文の内容を問う問題だけでなく、具体的な数値を計算する問題も出題されます。例えば、電線の太さの選定、接地抵抗値の計算、絶縁耐力試験の電圧値の算出などです。
法規科目の問題数と配点
法規科目はA問題10問、B問題3問の合計13問で構成されます。他の科目より問題数が少ないのが特徴です。
配点はA問題が各5点、B問題が各15点で、合計100点満点です。問題数が少ない分、1問あたりの重要性が高くなります。
B問題の重要性:B問題3問で45点を占めるため、B問題の出来が合否を大きく左右します。B問題は計算問題が中心なので、公式を正確に覚えて計算練習を重ねることが重要です。
法規科目の試験時間(65分)
法規科目の試験時間は65分で、他の科目より25分短く設定されています。13問を解くため、1問あたり約5分の計算になります。
時間配分の注意点:試験時間が短いため、時間不足になりやすい科目です。A問題は1問3分程度で解答し、B問題に十分な時間を確保しましょう。
条文を読み取る問題では、問題文が長くなることがあります。重要な部分に下線を引くなど、効率的に読む工夫が必要です。
法規科目の難易度と対策ポイント
法規科目は暗記中心の学習で対応できるため、他の科目に比べて短期間で得点力を高められます。試験直前の集中学習でも十分に合格点を狙えます。
効果的な学習方法:条文の丸暗記ではなく、条文の趣旨と具体的な数値(接地抵抗値、絶縁耐力試験電圧など)を理解しながら覚えることが大切です。過去問を解きながら、頻出の条文と数値を確実に押さえましょう。
計算問題の対策:法規科目の計算問題は、出題パターンがある程度決まっています。電線の太さの選定、接地抵抗値の計算、変圧器の規定などは、公式と計算手順を覚えれば確実に得点できます。
電験3種の合格基準と配点
電験3種試験の合格基準を正しく理解することで、効率的な学習計画が立てられます。科目合格制度を活用すれば、働きながらでも無理なく全科目合格を目指せます。
各科目60点以上で合格
電験3種試験は各科目100点満点で、60点以上取得すれば合格です。4科目すべてで60点以上を取得すると、第三種電気主任技術者試験合格となります。
60点という基準は絶対評価であり、受験者の成績分布によって変動することはありません。ただし、年度によって試験の難易度が変わるため、合格基準点が調整されることがあります。
合格基準の調整について
試験の難易度が著しく高かった年度には、合格基準点が引き下げられることがあります。例えば、ある年度の機械科目で難問が多く出題された場合、合格基準点が60点から55点に調整されることがあります。
調整の頻度:毎年必ず調整されるわけではなく、試験の難易度が適正な場合は60点のまま据え置かれます。調整の有無と調整後の点数は、試験実施後に発表されます。
基本的には60点を目標に学習を進め、調整があれば「ラッキー」と考える程度で良いでしょう。
A問題とB問題の配点の違い
電験3種試験は、A問題とB問題で配点が大きく異なります。この配点の違いを理解し、戦略的に得点を積み重ねることが重要です。
A問題の特徴:基礎的な知識や計算を問う問題で、1問あたり5点の配点です。理論・電力・機械はA問題が14問(合計70点)、法規はA問題が10問(合計50点)です。
B問題の特徴:応用的な計算や複合的な知識を問う問題で、1問あたり15点の配点です。理論・電力・機械はB問題が3問(合計45点)、法規もB問題が3問(合計45点)です。
A問題を確実に得点し、B問題で部分点を狙う戦略が効果的です。例えば、A問題で50点、B問題で15点(1問完答)を取れば合格ラインに達します。
科目合格制度の活用方法
電験3種試験には科目合格制度があり、一度に全科目合格する必要はありません。合格した科目は3年間有効で、その間に残りの科目に合格すれば資格を取得できます。
制度の仕組み:例えば、令和6年度に理論と電力に合格した場合、令和7年度と令和8年度は理論と電力が免除され、機械と法規のみ受験すればよいことになります。
戦略的な活用例:初年度に理論と法規を目標にし、2年目に電力と機械を目標にするなど、科目を分割して学習することで、働きながらでも無理なく合格を目指せます。
科目合格制度を最大限に活用するための学習計画については、電験3種の勉強時間で詳しく解説しています。
電験3種の難易度について詳しく知りたい方は、電験3種の難易度・合格率を参考にしてください。
電験3種の試験会場と当日の流れ
試験会場の情報と当日の流れを事前に把握しておくことで、本番で落ち着いて実力を発揮できます。筆記方式とCBT方式では会場や流れが異なるため、注意が必要です。
全国の試験会場
電験3種試験は全国各地で実施されます。試験会場は試験方式によって異なります。
筆記方式の会場:全国10か所程度の主要都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡など)で実施されます。受験者は申込時に希望する試験地を選択します。
具体的な試験会場(大学や専門学校など)は、受験票に記載されます。試験地の希望は出せますが、会場の指定はできません。
CBT方式の会場:全国47都道府県、約200か所のテストセンターで実施されます。受験者は自分の都合に合わせて、近隣のテストセンターを選択できます。
CBT方式の方が会場数が多く、受験しやすい環境が整っています。
筆記方式の試験当日の流れ
筆記方式の試験当日は、以下のような流れで進行します。
試験開始前(9:00~9:30):試験会場に到着し、受験票と本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)を提示して入場します。指定された座席に着席し、受験票、筆記用具、電卓、時計を机上に準備します。
試験中(10:00~19:00):各科目の試験時間と休憩時間に従って進行します。試験開始後20分以降は途中退出が可能ですが、再入場はできません。
試験終了後:法規科目終了後、問題用紙と解答用紙を回収されます。問題用紙は持ち帰ることができます(年度によって異なる場合があります)。
持ち物チェック:受験票、本人確認書類、筆記用具(HBまたはBの鉛筆、消しゴム)、電卓(関数電卓は不可)、腕時計(スマートウォッチは不可)を忘れずに持参しましょう。
CBT方式の試験当日の流れ
CBT方式の試験当日は、筆記方式とは大きく異なる流れで進行します。
予約した時間に来場:試験開始時刻の15分前までにテストセンターに到着します。受付で本人確認を行い、ロッカーに荷物を預けます。
試験の実施:試験室に案内され、パソコンの前に着席します。画面上に問題が表示され、マウスで選択肢をクリックして解答します。試験時間は各科目で設定されており、時間内に解答を完了させます。
試験終了後:解答が自動的に採点され、試験終了後すぐに結果が表示されます(合否は後日正式発表)。荷物を受け取り、退場します。
CBT方式の注意点:筆記用具は不要で、メモ用紙と筆記用具はテストセンターが貸与します。電卓機能はパソコン画面上に用意されています。
試験会場での注意事項
試験当日に注意すべき点をまとめます。
時間厳守:筆記方式では試験開始後の入場が認められないことがあります。余裕を持って会場に到着しましょう。
不正行為の禁止:カンニング、携帯電話の使用、試験中の私語などは厳禁です。不正行為が発覚した場合、その年度の全科目が無効となります。
体調管理:長時間の試験のため、前日は十分な睡眠を取り、当日は軽めの食事で体調を整えましょう。会場は冷暖房が効きすぎることがあるため、調節できる服装がおすすめです。
電卓の確認:電卓は試験前に動作確認を行いましょう。関数電卓、プログラム機能付き電卓、スマートフォンの電卓アプリは使用できません。
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電験3種に関連するよくある質問(FAQ)
電験3種試験について、受験者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. 電験3種の試験時間は何時から何時までですか?
筆記方式の場合、試験は午前10時から始まり、午後7時(19時)に終了します。
具体的には、理論科目が10:00~11:30、電力科目が13:10~14:40、機械科目が15:35~17:05、法規科目が17:55~19:00です。4科目すべてを受験する場合、約9時間を試験会場で過ごすことになります。
CBT方式の場合、試験時間は自分で予約した時間帯で受験します。各科目の試験時間は筆記方式と同じですが、科目ごとに別の日に受験できます。
Q. 電験3種は1日で4科目すべて受験しなければなりませんか?
筆記方式の場合、原則として1日で4科目すべてを受験します。ただし、科目合格制度により、一部の科目を免除して受験することも可能です。
CBT方式の場合、科目ごとに別の日に受験できます。例えば、1日目に理論のみ、3日後に電力のみ、といった柔軟なスケジュールが可能です。
科目合格制度を活用すれば、3年間で段階的に全科目合格を目指すこともできます。初年度に2科目、翌年に残り2科目という計画も現実的です。
Q. 電験3種の試験は記述式ですか?
いいえ、電験3種試験は記述式ではなく、五肢択一のマークシート方式です。5つの選択肢の中から正解を1つ選び、マークシートに記入します。
筆記方式ではマークシート用紙に鉛筆で記入し、CBT方式ではパソコン画面上でマウスをクリックして選択します。
記述式ではないため、正確な計算過程を書く必要はありません。ただし、計算問題が多いため、途中経過をメモ用紙に書きながら解くことが推奨されます。
Q. 電験3種の試験に電卓は持ち込めますか?
はい、電卓の持ち込みが認められています。ただし、使用できる電卓には制限があります。
筆記方式:関数電卓、プログラム機能付き電卓、通信機能付き電卓は使用できません。一般的な四則演算ができる電卓(メモリ機能や√機能付きは可)を使用してください。
CBT方式:電卓の持ち込みは不要で、パソコン画面上に電卓機能が用意されています。
筆記方式で受験する場合、試験前に必ず電卓の動作確認を行いましょう。電池切れに備えて、予備の電池や予備の電卓を持参することをおすすめします。
Q. 電験3種の合格点は何点ですか?
電験3種試験の合格点は各科目60点以上です。100点満点中60点以上を取得すれば、その科目は合格となります。
ただし、試験の難易度が著しく高かった場合、合格基準点が引き下げられることがあります。例えば、ある年度のある科目で55点に調整されることがありますが、これは試験実施後に発表されます。
基本的には60点を目標に学習を進めるのが確実です。4科目すべてで60点以上を取得すると、第三種電気主任技術者試験合格となります。
Q. 電験3種の科目合格は何年間有効ですか?
電験3種の科目合格は3年間有効です。合格した科目は、翌年度と翌々年度の試験で免除されます。
例えば、令和6年度に理論と電力に合格した場合、令和7年度と令和8年度は理論と電力が免除され、機械と法規のみ受験すればよいことになります。令和9年度以降は、理論と電力の合格も無効となり、再度受験が必要です。
この制度を活用すれば、働きながらでも無理なく学習を進められます。初年度に2科目、2年目に残り2科目という計画が現実的です。
Q. 電験3種のCBT方式と筆記方式で試験内容は同じですか?
はい、CBT方式と筆記方式で試験内容(出題範囲、問題数、配点、試験時間)は同じです。どちらの方式を選んでも、同等の難易度で同じ資格を取得できます。
違いは試験の実施方法です。筆記方式は紙の問題用紙とマークシートを使用し、CBT方式はパソコン画面で問題を見て解答します。
どちらの方式を選ぶかは、受験者の都合や好みによります。柔軟なスケジュールで受験したい方はCBT方式、従来の紙での試験に慣れている方は筆記方式がおすすめです。
まとめ:電験3種試験は4科目の内容と時間配分を理解することが重要
電験3種試験の内容と試験時間について、重要なポイントを振り返りましょう。
本記事の要点:
- 電験3種は理論・電力・機械・法規の4科目で構成され、各科目60点以上で合格
- 試験時間は理論・電力・機械が各90分、法規が65分で、筆記方式では1日で4科目を受験
- CBT方式では科目ごとに日程を自由に設定でき、働きながらでも受験しやすい
- A問題(配点5点)とB問題(配点15点)の配点の違いを理解し、戦略的に得点を積み重ねることが重要
- 科目合格制度により3年間で段階的に合格を目指せるため、計画的な学習が可能
電験3種試験は、4科目の内容と試験時間を正しく理解し、適切な時間配分と学習計画を立てることが合格への近道です。本記事で紹介した各科目の特徴と試験制度を参考に、自分に合った受験計画を立ててください。
電験3種の資格取得は、電気技術者としてのキャリアアップに大きく貢献します。試験内容を把握したうえで、着実に学習を進めていきましょう。
電験3種の学習を始める方は、電験3種の過去問活用法も参考にしてください。
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