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電験2種とは?第二種電気主任技術者ができることと資格の価値

電験2種の資格取得を検討しているあなたへ。「電験2種とは何か」「どんな仕事ができるのか」という疑問は、資格の特性と価値を正しく理解することで解決できます。本記事では、第二種電気主任技術者の基本概要、扱える電圧範囲と対象設備、具体的な仕事内容について、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、電験2種取得に向けた具体的な一歩を踏み出しましょう。

この記事を読むとわかること

  • 電験2種の正式名称と資格の位置づけ
  • 扱える電圧範囲と対象設備の詳細
  • 電験2種でできる具体的な仕事内容
  • 電験3種・電験1種との違いと資格の価値

押さえておきたい3つのポイント

  1. 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物を扱える中級資格:電験2種は、メガソーラー、データセンター、化学プラントなど大規模施設の電気設備を管理できる専門資格です。
  2. 一次試験・二次試験の両方に合格する必要がある:マークシート形式の一次試験4科目と、記述式の二次試験2科目に合格する必要があり、総合合格率は約5%と狭き門です。
  3. 資格手当は月3~5万円、年収は400~600万円が相場:電験3種より高待遇で、経験を積めば年収800万円以上も可能な将来性の高い資格です。

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目次

電験2種とは?第二種電気主任技術者の基本概要

電験2種は、電気設備の保安監督を行う電気主任技術者の中級資格として位置づけられています。正式名称は「第二種電気主任技術者」で、電気事業法に基づいて国家資格として認定されています。

電験には1種・2種・3種の3つの区分があり、それぞれ扱える電圧範囲が異なります。電験2種は電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物を扱えるため、大規模工場、メガソーラー発電所、データセンターなど、電験3種では対応できない大規模施設の保安監督が可能です。

電気設備の保安監督は法律で電気主任技術者の選任が義務付けられており、電験2種の資格を持つことで、幅広い施設で専門家として活躍できます。電験全体の概要については電験とはで詳しく解説しています。

電験2種の正式名称と資格の位置づけ

電験2種の正式名称は「第二種電気主任技術者」です。この資格は経済産業大臣から交付される国家資格であり、電気事業法第43条に基づいて設置が義務付けられている電気主任技術者の資格区分の一つです。

電気主任技術者には3つの種別があり、上位から順に第一種、第二種、第三種となっています。電験2種は中級資格として位置づけられており、電験3種より広範囲の電気工作物を扱えますが、全ての電圧を扱える電験1種よりは範囲が限定されます。

資格の法的根拠は電気事業法第43条第1項で、事業用電気工作物の設置者は、保安の監督をさせるため電気主任技術者を選任しなければならないと定められています。この法律により、電験2種取得者は法律上必要不可欠な専門家として高い需要があります。

電験2種が中級資格として求められる背景

電験2種が中級資格として重要視される背景には、産業界の電気設備の大規模化があります。近年、太陽光発電所やデータセンターなど、電験3種の対応範囲を超える大規模電気設備が急増しています。

経済産業省の調査によると、2030年には電気主任技術者が約1,000人不足すると予測されています。特に電験2種レベルの技術者不足が深刻で、大規模施設の増加に対して有資格者の供給が追いついていない状況です。

再生可能エネルギーの普及により、メガソーラー発電所の建設が全国で進んでいます。これらの施設の多くは電圧が5万ボルト以上となるため、電験3種では対応できず、電験2種以上の資格保有者が必要です。このような社会的ニーズが、電験2種の価値を高めています。

電気事業法における電験2種の法的根拠

電験2種の法的根拠は、電気事業法第43条および電気事業法施行規則第52条に明記されています。これらの法令により、事業用電気工作物の設置者は、電圧や設備規模に応じた電気主任技術者を選任する義務があります。

電気事業法施行規則第52条では、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物については、第二種電気主任技術者以上の資格保有者を選任できると定められています。この規定により、電験2種取得者は法律で認められた専門家として活動できます。

違反した場合の罰則も厳しく、電気事業法第117条により、電気主任技術者を選任しない事業者には30万円以下の罰金が科されます。この法的強制力により、電験2種取得者の雇用は安定しており、資格の価値が担保されています。

電験2種で扱える電圧範囲と対象設備

電験2種で扱える電圧範囲は「17万ボルト未満の事業用電気工作物」です。これは電験3種の対応範囲(5万ボルト未満)より大幅に広く、大規模な産業施設や発電所の保安監督が可能になります。

事業用電気工作物とは、電力会社の発電所や変電所、大規模工場、商業施設など、事業活動に使用される電気設備を指します。一般家庭の電気設備は一般用電気工作物として区分され、電気主任技術者の選任義務はありません。

電験2種の対応範囲は、日本の電力インフラの大部分をカバーしています。送電線の多くは15万4千ボルトで運用されており、これらの設備も電験2種の管理範囲内です。この広範な対応範囲が、電験2種の高い市場価値につながっています。

電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物とは

事業用電気工作物は、発電・変電・送配電を行う設備と、高圧以上の電圧で受電する需要設備に分類されます。電験2種はこのうち、電圧が17万ボルト未満の設備を管理できます。

具体的な電圧区分は以下の通りです。低圧は600ボルト以下、高圧は600ボルト超~7,000ボルト以下、特別高圧は7,000ボルト超と定義されています。電験2種は特別高圧設備を含む幅広い範囲に対応できるため、大規模施設での需要が高いのです。

送電線の標準電圧は、6万6千ボルト、15万4千ボルトが一般的で、これらは電験2種の管理範囲です。一方、27万5千ボルトや50万ボルトの超高圧送電線は電験1種の領域となります。この違いが、電験2種と電験1種の役割分担を明確にしています。

電験2種で管理できる大規模施設(メガソーラー・データセンター・化学プラント)

電験2種で管理できる代表的な大規模施設として、メガソーラー発電所があります。出力2,000kW以上の太陽光発電所は、多くの場合6万6千ボルトの特別高圧で連系されるため、電験2種以上の資格が必要です。

データセンターも電験2種の重要な活躍の場です。大規模データセンターの受電電圧は6万6千ボルトが標準的で、電験3種では対応できません。クラウドサービスの普及により、データセンターの建設が全国で進んでおり、電験2種保有者の需要が高まっています。

化学プラントや製鉄所などの大規模製造業も、電験2種の主要な就職先です。これらの施設では数万ボルトの特別高圧設備を使用しており、24時間体制での保安監督が求められます。電験2種取得者は、これらの施設で電気設備の安全を守る中心的な役割を担います。

電験2種と電験3種の対応範囲の違い

電験2種と電験3種の最も大きな違いは、対応できる電圧範囲です。電験3種は5万ボルト未満、電験2種は17万ボルト未満の事業用電気工作物を扱えます。この違いにより、管理できる施設の規模が大きく異なります。

具体的には、電験3種で管理できるのは小規模工場、ビル、商業施設など、比較的小さな施設が中心です。受電電圧は6,600ボルト以下の高圧が一般的です。一方、電験2種は6万6千ボルトや15万4千ボルトの特別高圧設備を扱えるため、大規模工場や発電所での活躍が可能です。

出力制限にも違いがあります。電験3種は、出力5,000kW未満の発電所に限定されますが、電験2種にはこの制限がありません(17万ボルト未満の範囲内)。そのため、大規模な太陽光発電所や風力発電所の主任技術者として選任されるには、電験2種以上の資格が必要です。

電験3種との詳しい比較については、電験3種とはも参考にしてください。

電験2種と電験1種の対応範囲の違い

電験1種は全ての電圧の事業用電気工作物を扱える最上位資格です。電験2種は17万ボルト未満に限定されるため、27万5千ボルトや50万ボルトの超高圧送電線は電験1種の領域となります。

実務上の違いとして、大規模火力発電所や原子力発電所の主任技術者には電験1種が求められることが多いです。これらの施設では50万ボルト級の送電設備があり、電験2種では対応できません。

ただし、多くの産業施設や中規模発電所は17万ボルト未満で運用されており、電験2種で十分に対応可能です。実際の就職市場では、電験2種の求人数が電験1種を上回っています。これは、電験1種が必要な施設が限定的であるのに対し、電験2種で対応できる施設が圧倒的に多いためです。

取得難易度も大きく異なります。電験1種の合格率は2~3%台で、電験2種の約5%よりさらに低い水準です。必要な勉強時間も電験1種は1,500~2,000時間とされ、電験2種の1,000~1,500時間より多くの学習が求められます。

電験2種の仕事内容|高圧・特別高圧設備の保安監督

電験2種の主な仕事内容は、高圧・特別高圧の電気設備における保安監督業務です。具体的には、電気設備の日常点検、定期点検、設備の改修計画立案、トラブル対応など多岐にわたります。

保安監督業務は、電気設備の安全性を確保し、事故を未然に防ぐことが目的です。電気事故は人命に関わる重大な事態を招く可能性があるため、電験2種取得者には高度な専門知識と責任感が求められます。

勤務形態は施設によって異なり、24時間稼働する工場では交代制勤務、オフィスビルでは日勤が一般的です。年収は400~600万円が相場で、経験を積めば800万円以上も可能です。資格手当は月3~5万円が標準的で、電験3種より高待遇となっています。

中規模発電所・大規模工場の電気設備管理

中規模発電所での電験2種の役割は、発電設備と送電設備の保安監督です。太陽光発電所の場合、パワーコンディショナー、変圧器、遮断器などの機器を定期的に点検し、異常がないか確認します。

大規模工場では、受電設備から各製造ラインへの配電設備まで、工場全体の電気システムを管理します。製造ラインの停止は大きな損失につながるため、予防保全の計画立案と実施が重要な業務となります。

具体的な業務内容として、月次の定期点検では絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、保護継電器の動作試験などを実施します。年次点検では、変圧器の油中ガス分析、遮断器の動作時間測定など、より詳細な検査を行います。これらの点検結果をもとに、設備の更新計画を立案するのも電気主任技術者の重要な役割です。

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電気設備の設計・施工・保守業務

電験2種取得者は、新規電気設備の設計業務にも携わります。工場の増設や設備更新の際、必要な電力容量の計算、変圧器や遮断器の選定、配線経路の設計などを行います。

施工段階では、工事業者が設計図通りに施工しているか監督します。電気工事の品質は設備の安全性に直結するため、厳格な施工管理が求められます。竣工時には、設備が正常に動作するか試運転を行い、安全性を確認してから運用を開始します。

保守業務では、設備の劣化状態を継続的に監視し、故障を予防します。赤外線サーモグラフィーを使った過熱箇所の検出、振動計による機器の異常診断など、最新の診断技術も活用します。設備の経年劣化に応じて、部品交換や設備更新のタイミングを判断するのも重要な役割です。

送配電設備の運用・監督業務

送配電設備の運用業務では、電力の安定供給を維持することが最優先です。電力需要の変動に応じて、変圧器のタップを切り替えたり、力率改善装置を調整したりして、電圧や周波数を適正範囲に保ちます。

監督業務として、保護継電器の整定値管理があります。短絡事故や地絡事故が発生した際、事故区間を迅速に切り離して被害を最小限に抑えるため、継電器の動作タイミングを適切に設定する必要があります。この整定計算は電験2種レベルの専門知識が必要です。

停電作業の計画と実施も重要な業務です。設備の点検や更新のため計画停電を行う際、停電範囲を最小限にし、安全な作業手順を立案します。作業当日は現場で作業を指揮し、安全確保と作業品質の確認を行います。

電験2種でできることの具体例

電験2種でできる具体例として、メガソーラー発電所の主任技術者への就任があります。出力10MW(1万kW)の太陽光発電所の場合、連系電圧は通常6万6千ボルトとなり、電験2種以上の資格が必要です。

データセンターの電気主任技術者として、UPS(無停電電源装置)や非常用発電機を含む電源システム全体を管理できます。データセンターでは99.99%以上の稼働率が求められるため、高度な電源管理技術が必要とされ、電験2種の専門知識が活かされます。

化学プラントでは、防爆エリアの電気設備管理も担当できます。可燃性ガスが存在する環境では、電気設備が爆発の着火源とならないよう特殊な設計が必要で、電験2種レベルの知識が求められます。安全性が最優先される環境で、責任ある立場として活躍できます。

電験2種の試験制度について詳しく知りたい方は、電験2種の試験日程で確認できます。

電験2種と電験3種の違い

電験2種と電験3種の違いは、対応できる電圧範囲、試験制度、難易度、そして待遇の4つの観点から理解できます。両資格とも電気主任技術者としての国家資格ですが、活躍できるフィールドと求められる知識レベルには明確な差があります。

資格選択の際は、自分のキャリアプランと照らし合わせることが重要です。電験3種から始めて実務経験を積んだ後に電験2種に挑戦するステップアップも一般的です。一方、最初から大規模施設での活躍を目指すなら、電験2種を直接目指す選択肢もあります。

両資格の違いを正しく理解することで、自分に適した学習計画を立て、効率的にキャリアを構築できます。

対応電圧と管理対象設備の違い

対応電圧の違いは、電験3種が5万ボルト未満、電験2種が17万ボルト未満です。この違いにより、電験3種は主に高圧受電設備(6,600ボルト以下)を持つ中小規模施設が対象となります。

管理対象設備の規模も大きく異なります。電験3種で管理できるのは、中小ビル、小規模工場、商業施設などです。受電容量は数百kVA~数千kVA程度が一般的です。電験2種になると、大規模工場、データセンター、発電所など、受電容量が1万kVAを超える施設も管理できます。

出力制限の違いも重要です。電験3種は出力5,000kW未満の発電所に限定されますが、電験2種にはこの制限がありません。そのため、10MW(1万kW)を超える大規模太陽光発電所や風力発電所では、電験2種以上の資格が必須となります。

試験制度の違い(一次試験・二次試験の有無)

試験制度の最大の違いは、電験2種には二次試験が存在することです。電験3種はマークシート形式の一次試験のみで合格できますが、電験2種は一次試験合格後、記述式の二次試験にも合格する必要があります。

電験3種の試験は、理論・電力・機械・法規の4科目で構成され、全てマークシート形式です。2022年度からCBT方式が導入され、試験日程の柔軟性が向上しました。科目合格制度があり、3年以内に4科目全てに合格すれば資格を取得できます。

電験2種の一次試験も同じ4科目ですが、問題の難易度が電験3種より高く設定されています。二次試験は「電力・管理」と「機械・制御」の2科目で、論述形式と計算問題が出題されます。実務に即した応用力が試されるため、暗記だけでは対応できません。

難易度と必要な勉強時間の違い

難易度は電験2種の方が大幅に高く、合格率にも明確な差があります。電験3種の合格率は8~12%程度ですが、電験2種の総合合格率は約5%と半分以下です。特に二次試験の合格率は20%前後で、一次試験合格者の多くが二次試験で苦戦しています。

必要な勉強時間も大きく異なります。電験3種は800~1,000時間が目安とされるのに対し、電験2種は1,000~1,500時間が必要です。電験3種の知識を前提として、さらに深い理解と応用力が求められます。

二次試験対策には、一次試験とは異なるアプローチが必要です。論述問題では、設備の設計や事故対応について自分の言葉で説明する能力が求められます。そのため、過去問演習だけでなく、実務的な知識の習得も重要になります。

電験2種の難易度についてさらに詳しく知りたい方は、電験2種の難易度で合格率の推移や他資格との比較を確認できます。

年収・待遇の違い

年収面では、電験2種の方が明確に優遇されます。電験3種取得者の平均年収は350~500万円ですが、電験2種取得者は400~600万円が相場です。経験を積んだベテランでは、電験2種で800万円以上、電験3種で600万円程度と差が開きます。

資格手当にも差があります。電験3種の資格手当は月1~3万円が一般的ですが、電験2種は月3~5万円が標準的です。年間では24~36万円の差となり、長期的には大きな収入差につながります。

就職・転職市場での評価も異なります。電験2種は大規模施設での需要が高く、求人の選択肢が広がります。特に、再生可能エネルギー分野やデータセンター業界では、電験2種を優遇する企業が増えています。電験3種で経験を積んだ後、電験2種を取得してキャリアアップする事例も多く見られます。

電験2種試験の制度と試験科目

電験2種試験は、一次試験と二次試験の二段階で構成されています。一次試験はマークシート形式で理論・電力・機械・法規の4科目、二次試験は記述式で電力・管理と機械・制御の2科目が出題されます。

試験は年1回実施され、一次試験は8月下旬、二次試験は11月中旬に行われます。一次試験に合格した者のみが二次試験を受験でき、両方に合格して初めて電験2種の資格を取得できます。

科目合格制度があり、一次試験は3年間、二次試験は翌年まで合格が持ち越せます。この制度を活用することで、働きながらでも計画的に合格を目指せます。ただし、二次試験は一次試験より持ち越し期間が短いため、一次試験合格後は速やかに二次試験対策を始める必要があります。

一次試験の4科目(理論・電力・機械・法規)

理論科目は、電気回路、電磁気学、電子回路などが出題範囲です。交流回路の複素数計算、過渡現象、三相交流回路など、電気工学の基礎となる理論を深く理解する必要があります。計算問題が中心で、数学的な処理能力も求められます。

電力科目では、発電、送電、配電、変電に関する知識が問われます。火力・水力・原子力発電の仕組み、送電線の電圧降下計算、配電系統の保護協調など、電力システム全体に関する幅広い知識が必要です。

機械科目は、電動機、変圧器、パワーエレクトロニクス、自動制御などが範囲です。誘導電動機の特性計算、変圧器の等価回路、インバータの動作原理など、電気機器の動作原理と計算方法を理解する必要があります。

法規科目では、電気事業法、電気設備技術基準、その他関連法規が出題されます。条文の暗記だけでなく、実際の設備にどう適用されるかを理解することが重要です。計算問題として、電線の太さや遮断器の定格を求める問題も出題されます。

二次試験の2科目(電力・管理、機械・制御)

電力・管理科目は、発電所や変電所の設計、運用、保守に関する論述問題と計算問題が出題されます。具体的には、送電線の故障計算、系統安定度の評価、発電所の運用計画などが問われます。

実務に即した応用問題が多く、単なる知識だけでなく、実際の設備でどう対処するかを論述する能力が求められます。例えば「変電所で地絡事故が発生した場合の保護継電器の動作について説明せよ」といった問題です。

機械・制御科目では、電動機の制御、パワーエレクトロニクス、自動制御理論などが出題されます。誘導電動機のベクトル制御、インバータの制御方式、フィードバック制御系の安定性など、高度な理論と実務の両方が問われます。

二次試験は採点基準が厳しく、部分点はありますが、論述の論理性や計算の正確性が重視されます。時間配分も重要で、電力・管理は2時間30分、機械・制御は2時間の試験時間内に、複数の大問を解く必要があります。

記述式試験の特徴と対策

記述式試験の最大の特徴は、自分の言葉で解答を構成する必要があることです。マークシート形式のように選択肢から選ぶのではなく、設問の意図を理解し、論理的に説明する文章力が求められます。

論述問題では、まず結論を明確に述べ、その後に根拠や理由を説明する構成が基本です。箇条書きを活用して要点を整理し、読みやすい解答を心がけます。専門用語は正確に使用し、曖昧な表現は避けるべきです。

計算問題では、途中経過を丁寧に記述することが重要です。最終的な答えが間違っていても、途中過程が正しければ部分点がもらえます。単位の記載漏れや有効数字の処理ミスにも注意が必要です。

対策としては、過去問を繰り返し解き、解答例と自分の解答を比較して改善点を見つけることが効果的です。時間を計って解答する練習も必須で、本番での時間配分感覚を養います。可能であれば、経験者に解答を添削してもらうと、論述の質を大きく向上させられます。

科目合格制度と一次試験免除制度

科目合格制度により、一次試験は一度に全科目合格する必要はありません。合格した科目は3年間有効で、その間に残りの科目に合格すれば一次試験突破となります。この制度を活用すれば、働きながらでも計画的に合格を目指せます。

例えば、1年目に理論と法規に合格し、2年目に電力と機械に合格するという戦略が可能です。苦手科目を集中的に学習する時間を確保でき、効率的な学習計画を立てられます。

一次試験免除制度もあります。認定校(大学・高専)で指定科目を修得し、実務経験を積むことで一次試験が免除されます。必要な実務経験年数は、大学卒で3年以上、短大・高専卒で5年以上です。

二次試験の科目合格は翌年のみ有効です。一次試験より持ち越し期間が短いため、一次試験合格後は速やかに二次試験対策を開始し、可能な限り同年度内の合格を目指すべきです。2年連続で二次試験を受験する場合、1年目に合格した科目は2年目免除されます。

電験2種の合格率と難易度

電験2種の合格率は、一次試験が約25%、二次試験が約20%、総合合格率は約5%と非常に厳しい水準です。国家資格の中でも高難度な部類に入り、十分な学習時間と計画的な対策が合格には不可欠です。

難易度が高い理由は、出題範囲の広さと深さにあります。一次試験では電気工学の広範な知識が問われ、二次試験では実務に即した応用力が試されます。特に二次試験の記述式問題は、知識だけでなく論理的思考力と文章表現力も必要です。

合格率の推移を見ると、年度によって多少変動しますが、大きな傾向としては安定して5%前後で推移しています。この数字は、電験2種が一定の難易度を保ち続けている国家資格であることを示しています。

一次試験の合格率(25%前後)

一次試験の合格率は、近年では20~30%の範囲で推移しています。2022年度は28.4%、2021年度は23.9%、2020年度は26.2%と、おおむね25%前後です。4人に1人程度が合格する計算ですが、受験者の多くは電験3種合格者や電気系の実務経験者のため、決して易しい試験ではありません。

科目別の合格率にはばらつきがあります。一般的に、理論科目の合格率が最も低く15~20%程度、法規科目が最も高く30~40%程度となる傾向があります。理論科目は計算問題が多く、数学的な処理能力が求められるため、苦手とする受験者が多いのです。

一次試験の難易度を電験3種と比較すると、同じ科目名でも出題内容の深さが異なります。電験3種で出題される基礎的な内容に加え、より複雑な計算や応用問題が含まれます。例えば、電験3種では単相交流回路が中心ですが、電験2種では対称座標法を用いた三相不平衡回路の計算も求められます。

二次試験の合格率(20%前後)

二次試験の合格率は、一次試験よりさらに低く、15~25%の範囲で推移しています。2022年度は19.2%、2021年度は17.8%、2020年度は21.4%と、おおむね20%前後です。一次試験を突破した実力者でも、5人に1人しか合格できない狭き門です。

二次試験が難しい理由は、記述式であることに加え、実務的な応用力が問われることです。一次試験のように公式を暗記して当てはめるだけでは対応できず、設備の動作原理を深く理解し、自分の言葉で説明する能力が必要です。

科目別では、電力・管理と機械・制御でやや難易度が異なります。電力・管理は発電所や送配電設備の運用に関する問題が多く、実務経験が解答に役立つ場合があります。機械・制御は制御理論やパワーエレクトロニクスの数学的な扱いが必要で、理論的な理解が重視されます。

電験2種の総合合格率(5%前後)

総合合格率は、一次試験と二次試験の両方に合格する割合で、近年は4~6%程度です。2022年度は5.4%、2021年度は4.2%、2020年度は5.5%と、一貫して5%前後の水準を保っています。これは、受験者の95%が不合格となる難関資格であることを示しています。

科目合格制度を活用した場合、合格までの期間は平均2~3年とされています。一次試験を1~2年で突破し、その後二次試験に1~2年かけて合格するパターンが一般的です。最短で1年での合格も可能ですが、相当な学習時間の確保が必要です。

他の国家資格と比較すると、電験2種の難易度は技術士試験(合格率10~15%)や一級建築士(合格率10~12%)と同等かそれ以上とされています。電気系資格の中では、電験1種(合格率2~3%)に次ぐ難関資格です。

必要な勉強時間の目安(1,000~1,500時間)

電験2種合格に必要な勉強時間は、一般的に1,000~1,500時間が目安とされています。電験3種既取得者で1,000時間程度、電気系の知識がない初学者では1,500時間以上必要です。

内訳としては、一次試験対策に600~800時間、二次試験対策に400~700時間が標準的です。科目別では、理論と機械が各200~300時間、電力と法規が各100~200時間程度の配分が推奨されます。

学習期間は、1日2時間の学習で約2年、1日3時間で約1年半が目安です。社会人が働きながら合格を目指す場合、平日夜2時間、休日5時間の学習で1年半~2年の学習期間を設定するのが現実的です。

効率的な学習のためには、初期段階で基礎理論をしっかり固めることが重要です。応用問題は基礎の組み合わせであるため、基礎が不十分だと後から大幅な時間ロスにつながります。また、過去問演習を中心とした学習が最も効率的で、出題傾向を把握しながら知識を定着させられます。

電験2種の独学での学習法については、電験2種の独学勉強法で具体的な方法を解説しています。

電験2種を取得するメリット

電験2種を取得する最大のメリットは、大規模施設で活躍できる専門家として認められることです。電験3種では対応できない特別高圧設備を扱えるため、キャリアの選択肢が大幅に広がります。

資格手当による収入増加も大きな魅力です。月3~5万円の資格手当は年間36~60万円に相当し、長期的には数百万円の収入差となります。加えて、基本給も電験3種より高く設定される企業が多く、生涯年収で大きな差が生まれます。

将来的な需要も安定しています。経済産業省の予測では、2030年に電気主任技術者が約1,000人不足するとされ、特に電験2種レベルの技術者不足が深刻です。この需給ギャップにより、電験2種取得者の市場価値は今後さらに高まると予想されています。

電験3種では対応できない大規模設備を扱える

電験2種を取得すると、電圧17万ボルト未満の全ての事業用電気工作物を扱えます。これにより、出力10MW以上のメガソーラー発電所、6万6千ボルト受電の大規模データセンター、特別高圧受電の化学プラントなど、電験3種では対応できない施設で主任技術者として活躍できます。

大規模施設は設備投資額が大きく、電気設備の安全性が事業継続に直結します。そのため、電験2種取得者は企業から重要な人材として扱われ、責任ある立場を任されることが多いです。

再生可能エネルギー分野では、電験2種の需要が特に高まっています。固定価格買取制度により、全国で大規模太陽光発電所の建設が進んでおり、これらの施設の多くは6万6千ボルトで連系されるため、電験2種以上の資格が必須です。風力発電所やバイオマス発電所でも同様の需要があります。

幅広い業界で需要が高く転職に有利

電験2種は、電力業界だけでなく、製造業、建設業、不動産業、データセンター業界など幅広い分野で需要があります。電気設備を持つ施設であれば、業種を問わず活躍の場があるため、転職市場での選択肢が豊富です。

求人サイトでの検索結果を見ると、電験2種の求人数は電験3種の1.5~2倍程度あります。これは、電験2種が電験3種の業務範囲を全てカバーしつつ、大規模施設にも対応できるためです。企業側も、できれば電験2種取得者を採用したいと考えています。

年齢を問わず需要があることも大きなメリットです。電気設備は老朽化対策や更新需要が継続的にあるため、50代、60代でも電験2種の資格があれば転職や再就職が可能です。定年後の再雇用でも、電験2種があれば高待遇で契約できるケースが多いです。

資格手当による大幅な収入アップ

電験2種の資格手当は、月3~5万円が相場です。これは年間36~60万円に相当し、10年間では360~600万円、30年間では1,080~1,800万円の収入差となります。資格手当だけでもこれだけの金額になるため、取得する経済的メリットは非常に大きいです。

企業によっては、電験2種取得を昇進の条件としている場合もあります。主任や課長への昇進要件に電験2種が含まれていれば、基本給の増加も期待できます。役職手当と合わせると、月10万円以上の収入増加も可能です。

独立開業の道も開けます。電験2種があれば、保安管理業務を請け負う会社を設立できます。複数の施設と保安管理契約を結べば、年収1,000万円以上も実現可能です。ただし、独立には実務経験と営業力も必要なため、まずは企業で経験を積むことが推奨されます。

将来的な電気主任技術者不足による安定需要

経済産業省の調査によると、2030年には電気主任技術者が約1,000人不足すると予測されています。特に電験2種レベルの技術者不足が深刻で、大規模施設の増加に対して有資格者の供給が追いついていません。

電気主任技術者の高齢化も問題です。現在の電気主任技術者の平均年齢は50代後半とされ、今後10~15年で大量退職の時期を迎えます。一方、若手の電験2種取得者は少なく、世代交代が円滑に進まない懸念があります。

電力インフラの老朽化対策も、電験2種の需要を支えています。高度経済成長期に建設された電気設備の多くが更新時期を迎えており、設備の点検、評価、更新計画の立案に電験2種の専門知識が必要です。この需要は今後20~30年続くと見込まれています。

電験2種の需要と将来性

電験2種の需要は、今後も継続的に増加すると予測されています。再生可能エネルギー施設の建設、データセンターの増設、電力インフラの更新など、複数の要因が需要を押し上げています。

将来性の観点では、電験2種はAIや自動化の影響を受けにくい資格です。電気設備の保安監督は法律で有資格者の選任が義務付けられており、人間による判断と責任が必要なため、AIに代替されるリスクは低いと考えられます。

市場環境の変化も追い風です。脱炭素社会への移行により、太陽光や風力などの再生可能エネルギー施設が増加しています。これらの施設の多くは特別高圧設備を持つため、電験2種以上の資格が必要です。この傾向は2030年以降も続くと見られています。

再生可能エネルギー施設の増加による需要拡大

再生可能エネルギー施設の建設ラッシュにより、電験2種の需要が急増しています。政府の目標では、2030年の再生可能エネルギー比率を36~38%に設定しており、この達成には大規模な太陽光・風力発電所の建設が不可欠です。

メガソーラー発電所は、通常6万6千ボルトまたは15万4千ボルトで電力系統に連系されます。出力10MW以上の施設がほとんどで、これらには電験2種以上の電気主任技術者の選任が必要です。2023年時点で稼働中のメガソーラーは全国に数千箇所ありますが、今後も増加が見込まれています。

洋上風力発電の開発も本格化しています。洋上風力は出力数十MW~数百MWの大規模プロジェクトが多く、電験2種の専門知識が求められます。政府は2030年までに洋上風力を10GW(1,000万kW)導入する目標を掲げており、この分野での電験2種需要は確実に増加します。

2030年に約1,000人不足する見込み

経済産業省の需給予測によると、2030年時点で電気主任技術者が約1,000人不足すると見込まれています。この不足は、新規施設の増加と既存技術者の退職による減少の両方が原因です。

詳細な内訳を見ると、電験3種は需要と供給がほぼ均衡する一方、電験2種は特に不足が深刻です。大規模施設の増加により電験2種の需要が年間約200人増加するのに対し、新規取得者は年間約150人程度にとどまっています。

この需給ギャップは、電験2種取得者にとって有利な状況を生み出します。求人倍率が高まることで、待遇改善や好条件での転職が期待できます。また、企業側も人材確保のため、資格取得支援制度や資格手当の増額を検討するケースが増えています。

電力インフラの老朽化対策で求められる人材

日本の電力インフラの多くは、高度経済成長期(1960~1970年代)に建設されました。これらの設備は耐用年数を迎えており、更新や大規模改修が必要な時期に入っています。変電所や送電線の老朽化対策には、電験2種レベルの専門知識が不可欠です。

設備の状態診断には、高度な技術が必要です。変圧器の絶縁油の劣化評価、遮断器の動作特性の測定、ケーブルの部分放電検出など、専門的な測定技術と判断力が求められます。これらの業務は、電験2種の知識と実務経験の両方が必要です。

更新計画の立案も重要な役割です。限られた予算の中で、どの設備を優先的に更新すべきか判断するには、設備の重要度、劣化状況、故障リスクを総合的に評価する必要があります。電験2種取得者は、この判断を行える専門家として期待されています。

電験2種が活躍できる業界(電力・製造・建設)

電力業界は、電験2種の最も伝統的な活躍の場です。発電所、変電所、送配電設備の運用・保守業務において、電験2種は中核的な役割を担います。電力会社だけでなく、新電力会社や発電事業者でも需要があります。

製造業では、大規模工場の電気設備管理で電験2種が必要とされます。自動車工場、製鉄所、化学プラント、半導体工場など、特別高圧受電の施設では電験2種が必須です。これらの業界では、24時間操業が一般的なため、交代勤務での採用が多いです。

建設業では、電気工事会社や設備管理会社での需要があります。大規模ビルやショッピングモールの電気設備の設計、施工監理、保守点検において、電験2種の専門知識が活かされます。また、電気設備の点検・保守を専門とする保安管理業務会社でも、電験2種取得者は重要な戦力です。

電験2種取得者の年収と待遇

電験2種取得者の年収は、業界や経験年数によって幅がありますが、平均で400~600万円が相場です。電験3種より100万円程度高く、経験を積めば800万円以上も可能な高収入資格です。

待遇面では、資格手当に加えて、福利厚生や休暇制度も充実している企業が多いです。電気設備の保安監督は企業にとって法的義務であり、有資格者は貴重な人材として扱われます。

勤務形態は職場によって異なります。24時間稼働の工場では交代勤務、オフィスビルでは日勤が一般的です。保安管理業務会社では、複数の施設を巡回する形態もあります。自分のライフスタイルに合った働き方を選べるのも、電験2種の魅力です。

電験2種の平均年収(400~600万円)

電験2種取得者の平均年収は400~600万円が標準的です。初任給では350~450万円程度からスタートし、経験を積むにつれて年収が上がっていきます。10年以上の経験があれば、600~700万円も珍しくありません。

業界別に見ると、電力会社や大手製造業が最も高く、平均年収600~800万円です。中小企業や保安管理業務会社では400~550万円が一般的です。ただし、中小企業でも電験2種の希少性から、好条件を提示するケースが増えています。

地域差も存在します。首都圏や大都市圏では需要が高く、年収も高めに設定されます。一方、地方では年収がやや低めですが、生活費も安いため、実質的な生活水準は大きく変わらない場合もあります。

資格手当の相場(30,000~50,000円/月)

電験2種の資格手当は、月3~5万円が相場です。企業規模や業界によって幅がありますが、多くの企業で3万円以上の手当が支給されています。これは年間36~60万円に相当し、生涯での累計額は数百万円から千万円以上になります。

大手企業では月5万円の資格手当を設定しているケースもあります。さらに、電験1種を取得すれば月7~10万円の手当が支給される企業もあり、資格のステップアップによる収入増加が見込めます。

資格手当とは別に、業務手当や役職手当が加算される場合もあります。電気主任技術者として選任されると、責任者手当として月1~3万円が追加されることがあります。複数の手当を合計すると、月10万円以上の収入増加も可能です。

経験年数・業界による年収の違い

経験年数による年収の違いは明確です。新卒・未経験者は350~450万円、3~5年の経験者は450~550万円、10年以上のベテランは600~800万円が目安です。経験を積むほど、設備の異常判断や緊急時対応など、高度な業務を任されるようになります。

業界別では、電力会社が最も高待遇で、平均年収700~900万円です。大手製造業も600~800万円と高水準です。建設業や保安管理業務会社は450~600万円が中心ですが、実力次第で高収入を得ることも可能です。

役職による違いも大きいです。一般職の電気主任技術者は400~600万円ですが、電気部門の課長や部長に昇進すれば、800~1,200万円も可能です。電験2種は昇進の必須資格としている企業も多く、キャリアアップに直結します。

年収800万円以上も目指せる高収入の可能性

電験2種取得者で年収800万円以上を実現する方法はいくつかあります。大手企業で管理職に昇進する、専門性を活かしてコンサルタントになる、独立して保安管理業務会社を経営する、などの選択肢があります。

大手電力会社や重電メーカーでは、電験2種取得者が管理職に昇進すれば年収800~1,200万円も可能です。電気設備の専門家として、経営層に近い立場で設備投資の意思決定に関わることもあります。

独立開業も高収入の道です。複数の施設と保安管理契約を結べば、年収1,000万円以上も実現できます。ただし、顧客開拓や契約管理など、技術以外のスキルも必要です。まずは企業で10年程度経験を積み、人脈と実績を作ってから独立するのが成功のパターンです。

電験2種の取得方法

電験2種を取得する方法は、試験による取得と認定による取得の2つがあります。ほとんどの人は試験ルートを選択しますが、条件を満たせば認定ルートも利用できます。

試験ルートでは、一次試験4科目と二次試験2科目の全てに合格する必要があります。科目合格制度があるため、複数年かけて段階的に合格を目指すことも可能です。働きながら資格取得を目指す社会人にとって、この制度は大きなメリットです。

認定ルートは、認定校で指定科目を修得し、必要な実務経験を積むことで免状を取得できます。一次試験が免除されるため、二次試験のみの受験で済みます。ただし、実務経験の要件が厳しいため、利用できる人は限られています。

試験による取得(一次試験・二次試験)

試験による取得は、最も一般的なルートです。まず一次試験の4科目(理論・電力・機械・法規)に合格し、その後二次試験の2科目(電力・管理、機械・制御)に合格する必要があります。

一次試験は年1回、8月下旬の日曜日に実施されます。マークシート形式で、各科目60点以上が合格基準です。科目合格制度があり、合格した科目は3年間有効です。そのため、1年で全科目合格を目指す必要はなく、計画的に学習できます。

二次試験は年1回、11月中旬の日曜日に実施されます。記述式で、電力・管理が2時間30分、機械・制御が2時間の試験時間です。各科目60点以上が合格基準で、二次試験の科目合格は翌年のみ有効です。

合格後は、経済産業省に免状交付申請を行います。申請から約1~2ヶ月で免状が交付され、正式に第二種電気主任技術者として認定されます。

認定による取得(実務経験ルート)

認定ルートは、認定校(大学・高専)で電気工学の指定科目を修得し、一定期間の実務経験を積むことで、試験を受けずに免状を取得できる制度です。一次試験が免除され、二次試験のみの受験で済みます。

認定校の指定科目には、電気回路、電気磁気学、電力工学、電気機器、制御工学などが含まれます。これらの科目で必要な単位を取得していることが条件です。大学の電気工学科や電子工学科の卒業生であれば、多くの場合この要件を満たしています。

実務経験の内容も重要です。電気設備の設計、施工、運用、保守のいずれかに従事していることが求められます。単に電気関連の仕事をしているだけでなく、電気主任技術者の業務に関連する実務経験である必要があります。

認定取得に必要な学歴と実務経験年数

認定取得に必要な学歴と実務経験年数は以下の通りです。大学卒業者は3年以上、短期大学または高等専門学校卒業者は5年以上の実務経験が必要です。専門学校卒業者は認定の対象外となります。

実務経験の計算では、電気主任技術者の指揮監督のもとで行った業務のみが認められます。独自判断で行った業務や、電気主任技術者の関与がない業務は実務経験として認められません。そのため、実際には規定年数より長い期間が必要になる場合があります。

認定申請には、実務経験証明書の提出が必要です。この証明書は、勤務先の電気主任技術者または責任者に作成してもらいます。証明書には、具体的な業務内容、従事期間、指導者の氏名などを詳細に記載する必要があります。

認定取得のメリットは、一次試験の負担がないことです。二次試験のみに集中して学習できるため、効率的に資格を取得できます。ただし、実務経験の要件を満たすには数年かかるため、早期に資格取得したい人には試験ルートが適しています。

電験2種取得までのステップ

電験2種取得までの標準的なステップは以下の通りです。まず、学習計画を立て、必要な参考書や問題集を揃えます。初期段階では基礎理論の理解に重点を置き、電気回路や電磁気学の基本をしっかり固めます。

次に、一次試験対策として過去問演習を中心に学習します。各科目の過去問を最低5年分、できれば10年分解くことが推奨されます。苦手科目を特定し、重点的に学習時間を配分します。科目合格制度を活用し、1~2年で一次試験を突破します。

一次試験合格後は、速やかに二次試験対策を開始します。論述問題の解答練習、計算問題の解法パターン習得、時間配分の練習などを行います。可能であれば、通信講座や予備校を利用して、論述問題の添削を受けると効果的です。

二次試験合格後、免状交付申請を行います。申請に必要な書類を揃え、経済産業省に提出します。免状取得後は、実務経験を積みながら、電験1種へのステップアップや、専門分野の深化を目指すことも選択肢の一つです。

電験2種に関連するよくある質問(FAQ)

電験2種について、多くの受験希望者が共通して抱く疑問があります。ここでは、受験資格、併願制度、転職事情、免除制度、科目合格の有効期間、キャリアパスなど、実践的な質問に答えます。

これらの疑問を事前に解消しておくことで、効率的な学習計画を立て、資格取得後のキャリアを見据えた準備ができます。

Q. 電験2種の受験資格はありますか?

いいえ、電験2種には受験資格の制限はありません。年齢、学歴、実務経験、国籍を問わず、誰でも受験できます。この点は電験3種や電験1種も同様で、電気主任技術者試験の大きな特徴です。

学歴不問であるため、独学で電気工学を学んだ人でも挑戦できます。実際に、文系出身者や他分野からの転職者が、独学で電験2種に合格した事例も多数あります。ただし、試験の難易度は高いため、十分な学習時間の確保が必要です。

受験申込は、インターネットまたは郵送で行います。申込期間は通常5月下旬~6月中旬で、受験手数料は一次試験のみが5,200円、一次試験と二次試験の同時受験が12,400円です。科目合格により一部科目が免除される場合は、受験料が減額されます。

Q. 電験2種と電験3種を併願できますか?

はい、電験2種と電験3種の併願は可能です。ただし、試験日程が重複する場合があるため、事前に確認が必要です。電験3種は2022年度からCBT方式が導入され、試験日を選択できるようになったため、併願しやすくなりました。

併願のメリットは、どちらかに合格すれば資格取得できることです。電験2種が難しいと感じた場合、電験3種の合格を先に目指し、その後電験2種にステップアップする戦略も有効です。

併願の注意点として、学習範囲が広くなるため、十分な学習時間の確保が必要です。電験3種と電験2種は試験範囲が重複する部分も多いですが、電験2種の方が難易度が高いため、両方を同時に完璧に仕上げるのは困難です。まずは電験3種に集中し、合格後に電験2種を目指すのが現実的な選択です。

Q. 電験2種は実務経験なしでも転職できますか?

電験2種は実務経験なしでも転職できる可能性はありますが、実務経験者の方が有利です。特に30代以降では、資格だけでなく実務経験も重視される傾向があります。

未経験者を採用する企業は、主に保安管理業務会社や電気工事会社です。これらの企業では、先輩技術者の指導のもとで実務を学べる体制があります。初年度の年収は350~450万円程度と、経験者より低めですが、経験を積めば昇給が期待できます。

実務経験を積む方法として、まずは電験3種で転職し、実務経験を積みながら電験2種を取得する戦略もあります。電験3種であれば未経験でも採用されやすく、実務経験を積んだ後に電験2種を取得すれば、さらに好条件での転職が可能になります。

Q. 電験2種の一次試験免除制度とは何ですか?

一次試験免除制度は、認定校で電気工学の指定科目を修得し、必要な実務経験を積むことで、一次試験が免除される制度です。この制度を利用すれば、二次試験のみの受験で電験2種を取得できます。

免除を受けるには、経済産業大臣の認定を受けた大学または高等専門学校で、電気工学に関する課程を修めて卒業していることが条件です。さらに、卒業後に一定期間の実務経験(大学卒で3年以上、高専卒で5年以上)が必要です。

申請手続きでは、卒業証明書、成績証明書、実務経験証明書などの書類を提出します。審査が通れば、一次試験免除の通知が届き、次回の二次試験から受験できます。ただし、二次試験は年1回しかないため、申請タイミングを逃さないよう注意が必要です。

Q. 電験2種の科目合格は何年間有効ですか?

一次試験の科目合格は3年間有効です。例えば、2024年に理論と法規に合格した場合、2026年まで(合格年を含めて3年間)はこれらの科目が免除され、残りの電力と機械のみを受験すればよいことになります。

二次試験の科目合格は翌年のみ有効です。2024年に電力・管理に合格した場合、2025年は機械・制御のみ受験すれば全科目合格となります。ただし、2025年に機械・制御に不合格だった場合、2026年は再び電力・管理と機械・制御の両方を受験する必要があります。

科目合格制度を最大限活用するには、計画的な学習スケジュールが重要です。一次試験は3年計画でじっくり取り組めますが、二次試験は持ち越しが1年のみのため、一次試験合格後は速やかに二次試験対策を開始すべきです。

Q. 電験2種取得後のキャリアパスはどうなりますか?

電験2種取得後のキャリアパスは多様です。最も一般的なのは、電気主任技術者として経験を積み、より責任ある立場に昇進するパターンです。電気部門の課長や部長に昇進し、年収800万円以上を目指せます。

さらなる資格取得も選択肢の一つです。電験1種を取得すれば、全ての電圧の設備を扱え、大規模発電所でも活躍できます。また、技術士(電気電子部門)やエネルギー管理士などの関連資格を取得し、専門性を高める道もあります。

独立開業も可能です。保安管理業務会社を設立し、複数の施設と契約を結べば、年収1,000万円以上も実現できます。ただし、独立には実務経験10年以上が推奨され、営業力や経営スキルも必要です。まずは企業で経験と人脈を築いてから独立するのが成功のパターンです。

Q. 電験2種は独学で合格できますか?

はい、電験2種は独学でも合格可能です。実際に、多くの合格者が独学で資格を取得しています。市販の参考書と過去問題集を使い、計画的に学習すれば、十分に合格を目指せます。

独学のメリットは、費用を抑えられることです。参考書代と受験料のみで、通信講座の数十万円と比べて大幅にコストを削減できます。また、自分のペースで学習できるため、仕事との両立もしやすいです。

独学のデメリットは、質問できる相手がいないことです。特に二次試験の論述問題は、独学では解答の適切さを判断しにくいです。この点は、インターネット上の学習コミュニティや、有料の添削サービスを活用することで補えます。

独学での合格に必要なのは、強い意志と計画性です。1,000~1,500時間の学習時間を確保し、継続的に勉強する習慣を作ることが成功の鍵です。

電験を一発合格するための通信講座

まとめ:電験2種は大規模施設で活躍できる高価値資格

電験2種について、重要なポイントを振り返りましょう。

本記事の要点:

  • 電験2種は電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物を扱える国家資格で、メガソーラー、データセンター、大規模工場などで活躍できる
  • 一次試験4科目と二次試験2科目に合格する必要があり、総合合格率は約5%と難関だが、科目合格制度を活用すれば働きながらでも取得可能
  • 資格手当は月3~5万円、平均年収は400~600万円で、経験を積めば800万円以上も可能な高収入資格
  • 2030年に約1,000人不足する見込みで、再生可能エネルギー施設の増加により需要が拡大している
  • 受験資格は不要で誰でも挑戦でき、独学でも十分に合格を目指せる

電験2種は、電験3種より広範な設備を扱え、電験1種より取得しやすい、バランスの取れた資格です。大規模施設での専門家として活躍したい方、将来の安定したキャリアを築きたい方にとって、非常に価値の高い選択肢です。

電験2種の資格取得は、電気技術者としてのキャリアを大きく広げます。難関資格ですが、適切な学習計画と継続的な努力により、必ず合格できます。本記事で紹介した情報を参考に、電験2種取得に向けた第一歩を踏み出してください。

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