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電験とは?資格の種類・仕事内容・取得メリットを徹底解説

電験について調べているあなたへ。「電験とは何か」「どんな資格なのか」「取得するメリットは何か」という疑問は、電気主任技術者制度の全体像を理解することで解決できます。本記事では、電験の基本概要、1種・2種・3種の違い、仕事内容、取得メリット、キャリアパスについて、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、電験資格取得に向けて、具体的な一歩を踏み出しましょう。

この記事を読むとわかること

  • 電験の正式名称と資格制度の位置づけ
  • 電験1種・2種・3種の違いと対象範囲
  • 電気主任技術者の仕事内容と独占業務
  • 電験取得による就職・転職・年収面でのメリット

押さえておきたい3つのポイント

  1. 電験は電気設備の保安監督を行う国家資格:電気事業法に基づき、事業用電気工作物の保安監督には電気主任技術者の選任が法律で義務付けられています。
  2. 1種・2種・3種で扱える電圧範囲が異なる:電験3種は5万ボルト未満、電験2種は17万ボルト未満、電験1種は全ての電圧に対応でき、資格の種類によって管理できる施設が明確に区分されています。
  3. 電気業界で高い需要と収入アップが期待できる:電気主任技術者は常に人材不足の状態にあり、資格取得により就職・転職市場での優位性、専門職へのキャリアパス、資格手当による収入増加が見込めます。

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目次

電験とは?電気主任技術者試験の基本概要

電験は、日本の電気設備の安全を守る重要な国家資格です。ビルや工場、発電所など、私たちの生活を支える電気設備の保安監督業務を行うために必要とされる資格であり、電気業界において高い専門性と社会的責任を伴う職種です。

電験の正式名称と資格の位置づけ

電験の正式名称は「電気主任技術者試験」であり、合格者には「電気主任技術者」の免状が交付されます。この資格は、第一種、第二種、第三種の3つの区分があり、それぞれ「第一種電気主任技術者」「第二種電気主任技術者」「第三種電気主任技術者」と呼ばれます。

電気主任技術者は、電気設備の保安監督という独占業務を担う国家資格です。独占業務とは、その資格を持つ者だけが行える業務を意味し、無資格者が業務を行うことは法律で禁止されています。このため、電気主任技術者は電気業界において不可欠な存在となっています。

一般的には「電験3種」「電験2種」「電験1種」という略称で呼ばれることが多く、電気業界では広く認知された資格名称です。特に電験3種は、電気技術者としての基礎資格として位置づけられており、年間約5万人が受験する人気資格となっています。

電験が国家資格として必要とされる理由

電気設備は私たちの生活に欠かせないインフラですが、取り扱いを誤ると感電事故や火災などの重大な災害を引き起こす危険性があります。特に事業用の電気設備は高電圧・大容量であるため、専門的な知識と技術を持つ者による適切な管理が不可欠です。

このような背景から、国は電気設備の安全確保を目的として、電気主任技術者制度を設けました。事業用電気工作物を設置する事業者には、電気主任技術者の選任が法律で義務付けられており、違反した場合は罰則が科せられます。

電気主任技術者には、電気設備の工事計画の審査、設備の定期点検、異常時の対応、保安規程の作成など、幅広い責任が課せられています。これらの業務を通じて、電気設備の安全性を維持し、電気事故を未然に防ぐ役割を果たしています。

電気事業法における電験の法的根拠

電気主任技術者制度の法的根拠は、「電気事業法」第43条に定められています。同条では、「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主任技術者を選任しなければならない」と規定されています。

事業用電気工作物とは、電気事業用および一般用電気工作物以外の電気工作物を指し、具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 高圧以上の電圧で受電する施設(キュービクル式を含む)
  • 出力50kW以上の太陽光発電設備
  • 出力20kW以上の風力発電設備
  • 小規模以外の発電所、変電所

電気事業法では、電気工作物の種類や規模に応じて、選任すべき電気主任技術者の種別が定められています。電験1種、2種、3種のそれぞれで管理できる電圧範囲が異なるため、事業者は設備の規模に応じた適切な資格保有者を選任する必要があります。

電験の種類|電験1種・2種・3種の違いと特徴

電験には第一種、第二種、第三種の3つの区分があり、それぞれ管理できる電気設備の電圧範囲が異なります。自分のキャリアプランや目指す職場に応じて、適切な種別を選択することが重要です。

電験3種(第三種電気主任技術者)の対象範囲

電験3種は、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の保安監督を行うことができる資格です。具体的には、ビルや工場、商業施設などで使用される高圧受電設備(キュービクル)や、小規模な太陽光発電所などが対象となります。

受電電圧が6,600ボルトの高圧受電設備は、電験3種の管理範囲に含まれます。日本国内の多くのビルや工場がこの電圧で受電しているため、電験3種の需要は非常に高く、就職・転職市場でも評価される資格です。

電験3種の試験は一次試験のみで構成されており、理論、電力、機械、法規の4科目があります。2022年度からはCBT方式(コンピュータ試験)も導入され、受験機会が拡大しました。合格率は10%前後と難関資格ですが、電気技術者としての基礎資格として広く認知されています。

電験3種についてさらに詳しく知りたい方は、電験3種とはで資格の詳細を解説しています。

電験2種(第二種電気主任技術者)の対象範囲

電験2種は、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の保安監督を行うことができる資格です。電験3種の上位資格にあたり、中規模の発電所や大規模工場、特別高圧受電設備などを管理できます。

特別高圧とは、7,000ボルトを超える電圧を指し、大規模な工場や商業施設、データセンターなどで使用されます。電験2種があれば、こうした施設の電気主任技術者として選任されることが可能です。

電験2種の試験は、一次試験(4科目)と二次試験(電力・管理、機械・制御)の2段階で構成されています。一次試験は電験3種と同様の科目ですが、より高度な内容が出題されます。二次試験では記述式問題が出題され、実務的な応用力が求められます。合格率は一次試験が約30%、二次試験が約20%と、電験3種よりもさらに難易度が高くなっています。

電験2種の詳細については、電験2種とはで管理できる施設の範囲や資格の価値を詳しく解説しています。

電験1種(第一種電気主任技術者)の対象範囲

電験1種は、全ての電圧の事業用電気工作物の保安監督を行うことができる最高峰の資格です。大型発電所、超高圧変電所、送電線など、電力系統の基幹設備を管理できる唯一の資格となっています。

電圧の制限がないため、50万ボルトを超える超高圧送電設備や、出力数十万kWの大型発電所も管理対象に含まれます。電力会社や大手プラント会社など、電力インフラを支える企業で高く評価される資格です。

電験1種の試験は、電験2種と同様に一次試験と二次試験の2段階構成です。一次試験の内容は電験2種とほぼ同等ですが、二次試験では電力系統や大規模設備に関する高度な知識が問われます。合格率は一次試験が約30%、二次試験が約10%と極めて低く、電気技術者の最高峰資格にふさわしい難易度となっています。

電験1種の全容については、電験1種とはで扱える範囲や取得のメリットを詳しく紹介しています。

電験の種類別対応電圧と設備の比較表

電験の種類別に、管理できる電圧範囲と代表的な設備を整理すると、以下のようになります。

資格の種類管理可能電圧代表的な設備主な活躍の場
電験3種5万ボルト未満ビル・工場の高圧受電設備、小規模太陽光発電所ビル管理会社、製造業、電気工事会社
電験2種17万ボルト未満中規模発電所、大規模工場、特別高圧受電設備大規模工場、電力会社、プラント会社
電験1種全ての電圧大型発電所、超高圧変電所、送電設備電力会社、大手プラント会社

この表から分かるように、電験の種別が上がるにつれて、管理できる電圧範囲が広がり、より大規模で重要な設備を扱えるようになります。自分が目指すキャリアパスに応じて、適切な資格を選択することが重要です。

電験資格が扱える電気設備と対象施設

電気主任技術者は、さまざまな電気設備の保安監督を担当します。資格の種別によって管理できる施設の規模が異なるため、具体的な対象施設を理解しておくことが大切です。

事業用電気工作物とは何か

事業用電気工作物とは、電気事業法で定義される電気工作物の区分のひとつで、電気事業用電気工作物および一般用電気工作物以外のものを指します。簡単に言えば、工場やビルなどで使用される高圧以上の電気設備が該当します。

一般家庭で使用される電気設備は「一般用電気工作物」に分類され、電気主任技術者の選任は不要です。これに対して、事業用電気工作物を設置する施設では、法律により電気主任技術者の選任が義務付けられています。

事業用電気工作物に該当する主な条件は以下の通りです。

  • 高圧(600ボルト超~7,000ボルト以下)または特別高圧(7,000ボルト超)で受電している施設
  • 出力50kW以上の太陽光発電設備
  • 出力20kW以上の風力発電設備
  • 火力発電所、水力発電所などの発電設備

これらの施設では、電気主任技術者を選任し、定期的な点検や保安業務を実施することが求められます。

電験3種で管理できる施設(ビル・工場・小規模発電所)

電験3種で管理できる施設は、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物です。具体的には、以下のような施設が対象となります。

オフィスビルや商業施設の多くは、6,600ボルトの高圧で受電しています。これらのビルには、受変電設備(キュービクル)が設置されており、高圧電力を低圧に変換して各テナントに供給しています。電験3種の資格があれば、こうしたビルの電気主任技術者として選任されることが可能です。

製造業の工場でも、生産設備を動かすために大量の電力を使用します。特に金属加工、化学、食品などの製造業では、高圧受電設備を設置している工場が多く、電験3種の需要が高くなっています。

近年増加している太陽光発電所のうち、出力2,000kW未満の小規模発電所も電験3種の管理対象です。再生可能エネルギーの普及に伴い、太陽光発電所での電気主任技術者の需要も拡大しています。

電験2種で管理できる施設(中規模発電所・大規模工場)

電験2種では、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物を管理できます。電験3種の管理範囲に加えて、より大規模な施設も対象となります。

特別高圧(7,000ボルト超)で受電する大規模工場が代表的な例です。自動車工場、製鉄所、化学プラントなど、大量の電力を消費する施設では、77,000ボルトや154,000ボルトといった特別高圧で受電することがあります。こうした施設では、電験2種以上の資格が必要です。

中規模の発電所も電験2種の管理対象です。出力1万kW程度の太陽光発電所やバイオマス発電所、小水力発電所などでは、電験2種を持つ電気主任技術者が求められます。

データセンターや大規模商業施設など、高い電力品質と安定供給が求められる施設でも、特別高圧受電設備が採用されることがあり、電験2種の活躍の場となっています。

電験1種で管理できる施設(大型発電所・超高圧変電所)

電験1種は、電圧の制限がないため、日本国内の全ての電気設備を管理できます。特に電力系統の基幹設備において、電験1種が必須となります。

火力発電所、原子力発電所、大型水力発電所など、出力数十万kWクラスの発電所は電験1種の管理対象です。これらの発電所は、国の電力供給を支える重要インフラであり、高度な専門知識を持つ電験1種保有者が保安監督を担当します。

275,000ボルトや500,000ボルトといった超高圧の変電所や送電線も、電験1種の管理対象です。電力会社が運営する基幹変電所では、複数の電験1種保有者が配置され、電力系統全体の安定運用に貢献しています。

大規模なプラント施設、例えば石油化学コンビナートや製鉄所の中には、自家発電設備を持つものがあり、こうした施設でも電験1種が求められることがあります。

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電験試験の制度と試験科目

電験試験は、資格の種別によって試験制度が異なります。受験を検討している方は、試験制度の違いを理解した上で、学習計画を立てることが重要です。

電験3種の試験制度(一次試験のみ)

電験3種の試験は、一次試験のみで構成されています。二次試験はなく、一次試験の4科目全てに合格すれば、電験3種の免状を取得できます。

試験科目は、理論、電力、機械、法規の4科目です。各科目とも60点以上で合格となり、科目合格制度が採用されています。科目合格制度とは、合格した科目は翌年度および翌々年度の試験で免除される制度で、3年間で4科目全てに合格すれば資格を取得できます。

2022年度からは、従来の筆記方式に加えて、CBT方式(コンピュータ試験)も選択できるようになりました。CBT方式では、年2回の試験機会があり、受験日や会場を自分で選択できるため、受験しやすくなっています。

試験時間は各科目90分で、四肢択一のマークシート方式(CBTの場合は選択式)です。計算問題が多く出題されるため、電気工学の基礎知識と計算力が求められます。

電験3種の試験スケジュールについて詳しく知りたい方は、電験3種の試験日程で申込方法や試験日程を確認できます。

電験2種・1種の試験制度(一次試験・二次試験)

電験2種と電験1種の試験は、一次試験と二次試験の2段階で構成されています。まず一次試験に合格し、その後二次試験に合格することで、免状を取得できます。

一次試験の科目は、電験3種と同様に理論、電力、機械、法規の4科目です。出題形式も四肢択一のマークシート方式(CBTの場合は選択式)で、各科目60点以上で合格となります。科目合格制度も適用され、合格した科目は翌年度および翌々年度の試験で免除されます。

二次試験は、記述式の問題が出題されます。電験2種では「電力・管理」と「機械・制御」の2科目、電験1種でも同様に「電力・管理」と「機械・制御」の2科目が課されます。試験時間は各科目2時間30分で、計算問題や論述問題が出題されます。

二次試験では、実務に即した応用力が問われます。電力系統の運用、保護協調、制御システムなど、より高度な知識と問題解決能力が必要です。二次試験の合格率は電験2種で約20%、電験1種で約10%と低く、難関試験となっています。

電験試験の4科目(理論・電力・機械・法規)

電験試験の一次試験では、4つの科目が出題されます。各科目の内容を理解しておくことが、効率的な学習につながります。

理論は、電気回路、電子回路、電気磁気学などの基礎理論を扱う科目です。電験試験の基礎となる科目であり、他の科目を学習する上でも重要な位置づけとなっています。直流回路、交流回路、三相交流、過渡現象などが主な出題範囲です。

電力は、発電、送配電、変電に関する知識を問う科目です。水力発電、火力発電、原子力発電、再生可能エネルギー発電の仕組みや、送電線路、配電線路、変電所の構成などが出題されます。電力系統の運用や保護装置に関する問題も含まれます。

機械は、電動機、発電機、変圧器、パワーエレクトロニクス、自動制御などを扱う科目です。誘導電動機、同期発電機、変圧器の原理と特性、半導体素子を用いた電力変換装置、フィードバック制御などが主な出題範囲となっています。

法規は、電気事業法、電気工作物の技術基準、電気施設管理などに関する法令を扱う科目です。電気主任技術者の役割、保安規程、電気設備技術基準、電気用品安全法などが出題されます。

CBT方式と筆記方式の選択制度

電験3種では、2022年度からCBT方式が導入され、受験者は筆記方式かCBT方式を選択できるようになりました。それぞれの方式には特徴があるため、自分の学習スタイルに合った方式を選ぶことができます。

CBT方式の主なメリットは、試験日と会場を自分で選択できることです。全国各地のテストセンターで、約1ヶ月間の試験期間中に受験できます。年2回の試験機会があるため、筆記方式(年1回)よりも受験チャンスが多くなります。

CBT方式では、コンピュータ画面上で問題を解き、マウスやキーボードで解答を入力します。計算用紙は配布されますが、試験問題は画面上でのみ確認できます。試験終了後すぐに合否の目安が分かる点も特徴です。

筆記方式は、従来からの試験方式で、年1回、全国の試験会場で実施されます。問題用紙と解答用紙が配布され、マークシートで解答します。多くの受験者が同じ日に受験するため、試験の雰囲気を感じながら受験したい方に適しています。

電験の合格率と難易度

電験試験は難関資格として知られており、合格率は資格の種別によって異なります。自分が目指す資格の難易度を把握し、適切な学習計画を立てることが重要です。

電験3種の合格率と難易度

電験3種の合格率は、年度によって変動がありますが、概ね8~15%程度で推移しています。科目合格制度を利用した場合の最終的な合格率も含めると、やや上昇しますが、それでも10%前後と難関資格です。

2022年度の電験3種試験では、受験者数約46,000人に対して、合格者数は約4,000人で、合格率は約9%でした。科目別の合格率を見ると、理論が約15%、電力が約20%、機械が約10%、法規が約12%と、科目によって難易度に差があります。

電験3種の難易度が高い理由は、幅広い電気工学の知識が求められることです。高校レベルの数学や物理の知識を前提として、電気回路、電磁気学、電力工学、電気機器など、多岐にわたる分野を学習する必要があります。

合格に必要な学習時間は、電気系の学習経験がない方で800~1,000時間程度と言われています。働きながら学習する場合、1年~1年半程度の学習期間を確保することが一般的です。

電験3種の難易度についてさらに詳しく知りたい方は、電験3種の難易度で他資格との比較や合格のポイントを解説しています。

電験2種の合格率と難易度

電験2種の合格率は、一次試験が約25~35%、二次試験が約15~25%程度です。一次試験と二次試験の両方に合格する必要があるため、最終的な合格率は5%前後と非常に低くなっています。

2022年度の電験2種試験では、一次試験の受験者数約8,000人に対して合格者数約2,400人(合格率約30%)、二次試験の受験者数約3,500人に対して合格者数約700人(合格率約20%)でした。

電験2種の難易度が高い理由は、一次試験の内容が電験3種より高度であることに加えて、二次試験で記述式の問題が出題されることです。二次試験では、電力系統の運用や保護協調、制御システムの設計など、実務に即した応用力が問われます。

合格に必要な学習時間は、電験3種取得者で1,000~1,500時間程度と言われています。電験3種の知識を基礎として、さらに高度な内容を学習する必要があるため、2年~3年程度の学習期間を見込む受験者が多くなっています。

電験1種の合格率と難易度

電験1種は、電気技術者の最高峰資格であり、合格率も最も低くなっています。一次試験の合格率は約25~35%、二次試験の合格率は約8~15%程度で、最終的な合格率は2~3%程度です。

2022年度の電験1種試験では、一次試験の受験者数約1,500人に対して合格者数約450人(合格率約30%)、二次試験の受験者数約900人に対して合格者数約80人(合格率約9%)でした。

電験1種の難易度が極めて高い理由は、二次試験で大規模電力系統や超高圧設備に関する高度な知識が問われることです。電力系統の安定化、故障計算、保護リレーの協調、大型発電機の制御など、実務経験がないと解答が困難な問題も出題されます。

合格に必要な学習時間は、電験2種取得者でも1,500~2,000時間程度と言われており、3年~5年程度の学習期間を要する受験者も少なくありません。電力会社やプラント会社で実務経験を積みながら受験する方が多い資格です。

電気主任技術者の仕事内容と業務範囲

電気主任技術者は、電気設備の保安監督という重要な役割を担っています。具体的な仕事内容と業務範囲を理解することで、資格取得後のキャリアイメージを描くことができます。

電気設備の保安監督業務

電気主任技術者の主要な業務は、電気設備の保安監督です。保安監督とは、電気設備が安全に運用されているかを監督し、事故や故障を未然に防ぐための業務を指します。

具体的には、以下のような業務が含まれます。定期点検では、受変電設備、配電盤、発電機などの電気設備を定期的に点検し、異常や劣化がないかを確認します。点検結果は記録として保管し、必要に応じて改善措置を講じます。

電気設備に異常が発生した際の対応も重要な業務です。停電や設備故障が発生した場合、原因を特定し、速やかに復旧させる必要があります。緊急時には、24時間体制で対応することもあります。

保安規程の作成と運用も電気主任技術者の責任です。保安規程とは、電気設備の保安を確保するために事業者が定める規程で、電気事業法により作成が義務付けられています。電気主任技術者は、この保安規程に基づいて日常の保安業務を実施します。

電気設備の工事・維持・運用管理

電気主任技術者は、電気設備の工事、維持、運用の各段階で重要な役割を果たします。

新設工事や改修工事の際には、工事計画の審査を行います。電気設備の設計図面や工事計画書を確認し、技術基準に適合しているか、安全性に問題がないかをチェックします。工事の施工中も現場を巡回し、適切に施工されているかを監督します。

維持業務では、電気設備の性能を維持するための保守点検を実施します。絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、保護リレー試験などの定期試験を行い、設備の健全性を確認します。設備の劣化が見られる場合は、交換や修繕の計画を立てます。

運用管理では、電気設備の効率的な運用を図ります。電力デマンド(最大需要電力)の管理、力率改善、省エネルギー対策など、電気設備の最適運用に向けた施策を実施します。電力コストの削減にも貢献する重要な業務です。

電気主任技術者の独占業務とは

電気主任技術者には、法律で定められた独占業務があります。独占業務とは、その資格を持つ者だけが行える業務で、無資格者が行うことは法律で禁止されています。

電気主任技術者の独占業務は、事業用電気工作物の保安監督です。電気事業法第43条により、事業用電気工作物を設置する者は、電気主任技術者を選任しなければならないと定められています。

選任された電気主任技術者は、その施設の電気設備に関する全ての保安業務について責任を負います。設備の点検、工事の監督、異常時の対応など、電気設備の安全確保に関わる全ての業務が独占業務の範囲に含まれます。

電気工事士との違いは、電気工事士が「電気工事の施工」を行う資格であるのに対し、電気主任技術者は「電気設備の保安監督」を行う資格である点です。両者は役割が異なり、大規模な施設では電気工事士と電気主任技術者の両方が必要となります。

電験を取得するメリット

電験資格を取得することで、就職・転職、キャリア形成、収入面で多くのメリットが得られます。電気業界でのキャリアを考える上で、電験は非常に価値の高い資格です。

就職・転職市場での優位性

電気主任技術者は常に人材不足の状態にあり、電験資格保有者は就職・転職市場で高く評価されます。特に電験3種は、ビル管理会社、製造業、電気工事会社など、幅広い業界で需要があります。

求人情報を見ると、「電験3種必須」「電験2種歓迎」といった条件を掲げる企業が多数あります。電験資格を持っていることで、応募できる求人の幅が大きく広がり、選択肢が増えます。

未経験者でも、電験資格があれば電気業界への転職が可能です。ビル管理業界では、電験3種を持つ未経験者を積極的に採用する企業が多く、入社後に実務経験を積むことができます。電気業界以外の職種から転職する場合でも、電験資格は大きな武器となります。

中高年層の転職でも、電験資格は有利に働きます。電気設備の保安監督業務は、知識と経験が重視される職種であり、年齢よりも資格と実務経験が評価されます。定年後の再雇用や、シニア層の転職でも、電験資格は強みとなります。

専門性の高い職種へのキャリアパス

電験資格を取得することで、専門性の高い職種へのキャリアパスが開けます。電気主任技術者として実務経験を積むことで、電気設備の設計、施工管理、コンサルティングなど、さまざまな専門職への道が広がります。

電力会社では、電験1種や電験2種を持つ技術者が、発電所や変電所の運用管理、電力系統の計画・設計などの重要業務を担当します。電力インフラを支える中核的な人材として、責任ある立場で活躍できます。

大手プラント会社では、電験資格を持つ技術者が、国内外のプラント建設プロジェクトに参画します。発電プラント、化学プラント、製鉄プラントなど、大規模な電気設備の設計・施工管理を担当し、グローバルに活躍する機会があります。

独立開業の道もあります。電気主任技術者として一定の実務経験を積んだ後、保安管理業務を請け負う会社を設立することができます。複数の施設と保安管理契約を結び、自分のペースで働くことも可能です。

資格手当による収入アップ

多くの企業では、電験資格保有者に対して資格手当が支給されます。資格手当の金額は企業によって異なりますが、電験3種で月額5,000円~15,000円、電験2種で月額10,000円~30,000円、電験1種で月額20,000円~50,000円程度が一般的です。

年額に換算すると、電験3種で6万円~18万円、電験2種で12万円~36万円、電験1種で24万円~60万円の収入増となります。これは基本給とは別に支給されるため、確実な収入アップにつながります。

資格手当以外にも、電験資格保有者は基本給が高く設定されることがあります。電気主任技術者としての専門性が評価され、一般職よりも高い給与水準で採用されるケースも少なくありません。

昇進・昇格の際にも、電験資格は有利に働きます。管理職への昇進条件として電験資格を求める企業もあり、キャリアアップの観点からも資格取得のメリットは大きいと言えます。

電気業界での信頼性向上

電験資格は、電気業界での信頼性を高める重要な要素です。国家資格として広く認知されており、電験資格を持つことは専門知識と技術力を持つことの証明となります。

顧客や取引先との関係構築においても、電験資格は信頼の基盤となります。電気設備の保安監督業務を依頼する側としては、国家資格を持つ技術者に任せることで安心感を得られます。

社内での信頼性も向上します。電験資格を持つ技術者は、電気設備に関する専門家として認識され、トラブル発生時や重要な判断が必要な場面で頼りにされます。チーム内での発言力も高まり、リーダーシップを発揮する機会が増えます。

業界団体や技術研究会などでの活動機会も広がります。電験資格保有者向けの研修会や情報交換会に参加することで、業界の最新動向を把握し、人脈を広げることができます。

電験取得者のキャリアパスと年収

電験資格を取得した後のキャリアパスと年収は、資格の種別や勤務先によって異なります。具体的なデータをもとに、それぞれの活躍の場と収入水準を見ていきましょう。

電験3種取得者の平均年収と活躍の場

電験3種取得者の平均年収は、約400万円~600万円程度です。勤務先の業種や企業規模、実務経験年数によって幅がありますが、一般的なサラリーマンの平均年収と同等かやや高い水準となっています。

ビル管理会社で働く電験3種取得者の年収は、約350万円~500万円程度です。ビル管理業界では、電験3種保有者は設備管理の中核を担う人材として評価されます。大手ビル管理会社では、資格手当に加えて、昇進機会も多くあります。

製造業の工場で電気主任技術者として働く場合、年収は約450万円~650万円程度です。製造業では、生産設備の安定稼働が重要であり、電気主任技術者の役割は大きくなります。大手製造業では、より高い年収が期待できます。

電気工事会社や設備工事会社では、電験3種保有者が施工管理や保安業務を担当します。年収は約400万円~600万円程度で、経験を積むことで現場監督や管理職へのキャリアパスが開けます。

太陽光発電所の保安管理業務を行う場合、年収は約350万円~500万円程度です。複数の発電所を担当することで、収入を増やすことも可能です。

電験2種取得者の平均年収と活躍の場

電験2種取得者の平均年収は、約500万円~800万円程度です。電験3種よりも管理できる設備の規模が大きく、専門性が高いため、年収水準も上昇します。

電力会社で働く電験2種取得者の年収は、約600万円~900万円程度です。電力会社では、変電所や配電設備の運用管理を担当し、電力供給の安定化に貢献します。大手電力会社では、福利厚生も充実しており、安定したキャリアを築けます。

大規模工場の電気主任技術者として働く場合、年収は約550万円~850万円程度です。特別高圧受電設備を持つ工場では、電験2種以上の資格が必要であり、重要なポジションを任されます。

プラント会社では、電験2種保有者が発電プラントや産業プラントの電気設備設計・施工管理を担当します。年収は約600万円~900万円程度で、大規模プロジェクトに携わる機会があります。

保安管理業務を専門とする会社では、電験2種保有者が複数の施設の保安監督を行います。年収は約500万円~700万円程度ですが、独立開業により収入を大きく増やすことも可能です。

電験1種取得者の平均年収と活躍の場

電験1種取得者の平均年収は、約700万円~1,200万円程度です。電気技術者の最高峰資格として、高い専門性が評価され、年収水準も最も高くなります。

電力会社で働く電験1種取得者の年収は、約800万円~1,300万円程度です。大型発電所や基幹変電所の運用管理、電力系統の計画・設計などの重要業務を担当します。管理職に就くことで、さらに高い年収が期待できます。

大手プラント会社では、電験1種保有者が国内外の大規模プロジェクトに参画します。年収は約900万円~1,400万円程度で、プロジェクトマネージャーや技術責任者として活躍します。

電気設備のコンサルティング会社では、電験1種保有者が高度な技術アドバイスを提供します。年収は約800万円~1,200万円程度で、豊富な実務経験を活かして活躍できます。

独立開業した場合、収入は契約内容や担当施設数によって大きく変動しますが、年収1,000万円以上を実現している方もいます。電験1種の希少性を活かして、高単価の保安管理契約を獲得することが可能です。

電験と電気工事士の違い

電験と電気工事士は、どちらも電気に関する国家資格ですが、仕事内容や役割が大きく異なります。両者の違いを理解することで、自分のキャリアプランに合った資格選択ができます。

仕事内容の違い(保安監督 vs 工事施工)

電験(電気主任技術者)と電気工事士の最も大きな違いは、仕事内容です。電気主任技術者は「電気設備の保安監督」を行う資格であり、電気工事士は「電気工事の施工」を行う資格です。

電気主任技術者の主な仕事は、既に設置されている電気設備が安全に運用されているかを監督することです。定期点検、設備の保守管理、工事計画の審査、異常時の対応などを担当し、電気事故を未然に防ぐ役割を果たします。

電気工事士の主な仕事は、電気配線や電気機器の設置、修理などの電気工事を実際に施工することです。建物の電気配線工事、照明器具の取り付け、コンセントの設置など、手を動かして工事を行います。

両者の関係を例えるなら、電気主任技術者は「監督」、電気工事士は「施工者」と言えます。大規模な施設では、電気工事士が工事を施工し、電気主任技術者がその工事を監督するという形で、両者が協力して業務を進めます。

必要資格と受験資格の違い

電験と電気工事士では、受験資格や資格の種類にも違いがあります。

電験試験には、学歴・年齢・実務経験などの受験資格はありません。電験1種、2種、3種のいずれも、誰でも受験することができます。順番に取得する必要もなく、いきなり電験1種を受験することも可能です。

電気工事士にも、基本的に受験資格はありません。第一種電気工事士と第二種電気工事士があり、どちらも誰でも受験できます。ただし、第一種電気工事士の免状交付には、3年または5年以上の実務経験が必要です。

資格の種類も異なります。電験は、管理できる電圧範囲によって1種、2種、3種に区分されます。電気工事士は、施工できる工事の範囲によって第一種と第二種に区分されます。第二種電気工事士は一般住宅や小規模店舗の工事、第一種電気工事士は大規模な工事も可能です。

どちらを先に取得すべきか

電験と電気工事士のどちらを先に取得すべきかは、自分のキャリアプランによって異なります。

電気設備の保安監督業務に就きたい場合は、電験を優先すべきです。ビル管理会社や工場の設備管理部門では、電験資格が必須とされることが多く、電気工事士の資格は必ずしも必要ありません。

電気工事の施工を仕事にしたい場合は、電気工事士を優先すべきです。電気工事会社では、まず電気工事士の資格を取得し、実務経験を積んでから電験に挑戦する方も多くいます。

難易度の面では、電気工事士の方が取得しやすいと言えます。第二種電気工事士の合格率は約60%と比較的高く、電気の基礎知識がない方でも数ヶ月の学習で合格できます。電験3種の合格率は約10%と低く、1年以上の学習期間が必要です。

両方の資格を持つことで、キャリアの選択肢が大きく広がります。電気工事士として施工の実務経験を積んだ後、電験を取得して保安監督業務に携わるというキャリアパスも一般的です。

電験資格の取得方法

電験資格を取得する方法には、試験による取得と認定による取得の2つがあります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

試験による取得方法

最も一般的な取得方法は、電気主任技術者試験に合格することです。試験は経済産業省の委託を受けた一般財団法人電気技術者試験センターが実施しています。

受験申込は、インターネットまたは郵送で行います。CBT方式の場合は、試験センターのウェブサイトから申し込み、受験日と会場を選択します。筆記方式の場合は、決められた期間内に申し込みを行い、後日受験票が送付されます。

受験料は、インターネット申込の場合、電験3種が5,200円、電験2種と電験1種が6,100円です。郵送申込の場合は、それぞれ300円高くなります。科目合格制度により一部の科目が免除される場合も、受験料は変わりません。

試験当日は、受験票、筆記用具、電卓(関数電卓は使用不可)を持参します。CBT方式の場合は、本人確認書類も必要です。試験時間は各科目90分(二次試験は各科目150分)で、途中退出はできません。

合格発表は、筆記方式の場合は試験日の約2ヶ月後、CBT方式の場合は試験終了後すぐに合否の目安が分かり、正式な合格発表は約1ヶ月後です。合格者には合格通知書が送付され、免状の交付申請を行うことができます。

認定による取得方法(実務経験)

試験以外の取得方法として、認定による取得があります。認定とは、一定の学歴と実務経験を満たした場合に、試験を受けずに免状が交付される制度です。

認定の条件は、資格の種別によって異なります。電験3種の場合、認定校(電気科のある大学、高専、専門学校など)を卒業し、3年以上の実務経験があれば認定申請が可能です。電験2種と電験1種の場合は、さらに高度な学歴と長期の実務経験が必要です。

実務経験として認められるのは、電気工作物の工事、維持または運用に関する業務です。具体的には、電気設備の設計、施工監理、保守点検、運転管理などが該当します。単なる事務作業や補助的な業務は実務経験として認められません。

認定申請は、各地域の産業保安監督部に対して行います。申請には、卒業証明書、実務経験証明書、申請書などの書類が必要です。審査には数ヶ月かかることがあります。

認定による取得は、試験合格と同等の効力を持ちます。ただし、認定の条件を満たすには長期間の実務経験が必要であり、多くの方は試験による取得を目指すことになります。

科目合格制度の活用方法

電験試験では、科目合格制度が採用されています。この制度を活用することで、働きながらでも無理なく合格を目指すことができます。

科目合格制度とは、4科目全てに一度に合格する必要はなく、合格した科目は翌年度および翌々年度の試験で免除される制度です。つまり、3年間で4科目全てに合格すれば、資格を取得できます。

効果的な活用方法は、1年目に2科目、2年目に残り2科目を合格するという計画です。例えば、1年目に理論と法規を受験し、2年目に電力と機械を受験するという戦略が考えられます。1科目ずつ集中的に学習できるため、合格の可能性が高まります。

科目選択のポイントは、得意科目から受験することです。理論は他の科目の基礎となるため、最初に合格しておくと有利です。法規は暗記中心の科目であるため、短期間の学習でも合格しやすく、1年目に理論と法規を選択する受験者が多くなっています。

科目合格には有効期限があることに注意が必要です。合格した科目は、合格年度の翌年度と翌々年度の2回まで免除されますが、3年以内に全科目に合格できなかった場合、古い科目合格から無効になります。計画的に受験することが重要です。

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電験に関連するよくある質問(FAQ)

電験に関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。資格取得を検討する際の参考にしてください。

Q. 電験は1種から3種まで順番に取得する必要がありますか?

いいえ、電験は順番に取得する必要はありません。電験1種、2種、3種のいずれも受験資格に制限がなく、誰でも自由に受験できます。

いきなり電験1種から受験することも可能ですし、電験3種を飛ばして電験2種を受験することもできます。ただし、電験1種と2種は二次試験があり、一次試験の内容も電験3種より高度であるため、実際には電験3種から順番に取得する方が多くなっています。

自分の学習レベルや目標に応じて、どの種別を受験するか決めることができます。電気工学の基礎知識がある方は、いきなり電験2種や電験1種に挑戦することも選択肢のひとつです。

Q. 電験3種の受験資格はありますか?

電験3種の受験資格は一切ありません。年齢、学歴、実務経験などの制限がなく、誰でも受験できます。

高校生や大学生でも受験可能ですし、電気とは無関係の職種に就いている社会人でも受験できます。定年退職後のシニア層が受験することもあります。

受験資格がないため、まずは電験3種に挑戦してみて、自分の実力を確認するという使い方もできます。不合格でも何度でも再受験できますので、諦めずに挑戦を続けることが大切です。

Q. 電験2種と電験3種を併願することは可能ですか?

はい、電験2種と電験3種を併願することは可能です。ただし、試験日が重なる場合は同時受験できません。

筆記方式の場合、電験2種と電験3種の試験日は異なる日に設定されることが多いため、両方を受験できます。一方、CBT方式では自分で受験日を選択できますが、同じ日に両方を受験することはできません。

併願する場合は、学習時間の確保が重要です。電験3種だけでも800~1,000時間の学習が必要ですので、併願する場合はさらに多くの時間を投入する必要があります。無理のない学習計画を立てることが合格への鍵となります。

Q. 電験の資格手当はどのくらいもらえますか?

電験の資格手当は企業によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

電験3種の資格手当は、月額5,000円~15,000円程度です。年額では6万円~18万円の収入増となります。ビル管理会社では月額5,000円~10,000円、製造業では月額10,000円~15,000円が多いようです。

電験2種の資格手当は、月額10,000円~30,000円程度です。年額では12万円~36万円の収入増となります。電力会社や大手製造業では、より高額な資格手当が設定されていることもあります。

電験1種の資格手当は、月額20,000円~50,000円程度です。年額では24万円~60万円の収入増となります。電験1種は希少性が高いため、高額な資格手当を設定する企業が多くなっています。

Q. 電験の有資格者は全国に何人いますか?

電験の免状交付者数は、経済産業省のデータによると以下の通りです(令和3年度末時点)。

電験3種の免状交付者数は約25万人です。ただし、これは過去に免状が交付された全ての方の累計であり、現役で活躍している方はこの数より少なくなります。

電験2種の免状交付者数は約2万5千人です。電験3種と比較すると約10分の1の人数であり、希少性が高い資格であることが分かります。

電験1種の免状交付者数は約5千人です。電験の中で最も少なく、電気技術者の最高峰資格としての価値が高いことを示しています。

毎年の新規合格者数は、電験3種が約4,000人、電験2種が約700人、電験1種が約80人程度です。

Q. 電験の資格は一生有効ですか?

はい、電験の資格は一度取得すれば一生有効です。更新試験や更新講習などはなく、免状の有効期限もありません。

電気主任技術者として実際に業務に従事する際には、最新の法令や技術基準を理解している必要がありますが、資格自体が失効することはありません。長期間ブランクがあっても、免状は有効です。

ただし、実務に就く際には、保安講習の受講が推奨されています。保安講習とは、電気保安に関する最新の知識や技術を学ぶための講習で、3年に1回の受講が望ましいとされています。講習の受講は義務ではありませんが、電気主任技術者として業務に従事する場合は受講しておくことが推奨されます。

Q. 電験と電気工事士はどちらが難しいですか?

一般的に、電験3種の方が第一種電気工事士よりも難しいとされています。合格率を比較すると、電験3種が約10%、第一種電気工事士が約40~50%であり、電験3種の難易度の高さが分かります。

電験3種は、電気工学の幅広い知識が求められ、計算問題の比重が高いことが特徴です。高校レベルの数学や物理の知識を前提として、電気回路、電磁気学、電力工学など、多岐にわたる分野を学習する必要があります。

第一種電気工事士は、電気工事に関する実務的な知識が中心です。法令、配線設計、工事施工などの知識が問われますが、電験3種ほど高度な計算問題は出題されません。実技試験もありますが、適切な練習を積めば合格できます。

どちらの資格も電気業界で価値がありますが、取得難易度では電験3種の方が高いと言えます。

まとめ:電験は電気業界でのキャリアを支える重要資格

電験(電気主任技術者試験)について、重要なポイントを振り返りましょう。

本記事の要点:

  • 電験は電気設備の保安監督を行う国家資格であり、電気事業法に基づいて電気主任技術者の選任が義務付けられている
  • 電験1種・2種・3種は管理できる電圧範囲が異なり、3種は5万ボルト未満、2種は17万ボルト未満、1種は全ての電圧に対応できる
  • 合格率は電験3種が約10%、電験2種が約5%、電験1種が約2~3%と難関資格だが、科目合格制度を活用すれば働きながらでも取得可能
  • 電験資格の取得により、就職・転職市場での優位性、資格手当による収入アップ、専門職へのキャリアパスが開ける
  • 電験3種の平均年収は約400万円~600万円、電験2種は約500万円~800万円、電験1種は約700万円~1,200万円と、資格の種別に応じて収入水準が上昇する

電験は、電気業界でのキャリア形成において極めて価値の高い資格です。合格には長期間の学習が必要ですが、適切な学習計画と継続的な努力により、必ず取得できます。

電気設備の安全を守る電気主任技術者として、社会に貢献しながら専門性を高めていくことができます。本記事で紹介した情報を参考に、電験資格取得に向けて一歩を踏み出してください。

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