女性公認会計士について調べているあなたへ。「公認会計士は女性でも働きやすい職業なのか」「出産・育児と両立できるのか」という疑問は、実際のデータと現場の実態を知ることで解決できます。
本記事では、女性公認会計士の割合と推移、年収の実態、ワークライフバランスを実現する働き方について、日本公認会計士協会の公式データを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士として充実したキャリアを築くための具体的なイメージを持ちましょう。
- 公認会計士業界における女性の割合と協会の取り組み
- 女性公認会計士の年収実態と男性との比較データ
- 出産・育児と両立できる具体的な働き方と制度
- ライフステージに応じた多様なキャリアパスの選択肢
- 女性公認会計士の割合は増加傾向:試験合格者の女性比率は約20〜25%で推移し、協会では女性比率30%を目標に掲げた取り組みを進めています。男女平等な評価制度と柔軟な働き方が整備されつつあります。
- 年収は実力主義で性別による差は縮小:女性公認会計士の平均年収は約610万円で、男性との差は主に勤続年数や勤務形態の違いによるものです。同じ条件であれば、性別による給与差はほとんど見られません。
- 育児との両立を支える充実した制度:大手監査法人では産休・育休制度が完備され、時短勤務や非常勤勤務への切り替えも可能です。専門性を活かした復職がしやすく、ライフステージに応じた柔軟なキャリア設計ができます。
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公認会計士(CPA)における女性の割合と推移
公認会計士業界における女性の参画状況は、近年着実に改善が進んでいます。公認会計士とは何かを理解したうえで、女性がこの職業を選択する際の現状を把握しておくことが大切です。このセクションでは、試験合格者と協会会員の女性比率、そして業界全体での取り組みについて解説します。
公認会計士試験合格者の女性比率|約20〜25%
公認会計士試験の合格者における女性の割合は、ここ数年で20〜25%の範囲で推移しています。公認会計士・監査審査会のデータによると、2023年度の短答式試験合格者では女性が約22%を占めており、論文式試験でも同程度の比率となっています。この数字は10年前と比較すると5〜7ポイント増加しており、女性受験者が着実に増えていることを示しています。
試験合格者の女性比率が増加している背景には、公認会計士という職業が持つ魅力が女性にも広く認識されるようになったことがあります。実力主義で評価される環境、専門性を活かした高収入、ライフステージに応じた柔軟な働き方など、女性のキャリア形成に適した要素が注目されています。大学での説明会や予備校の広報活動でも、女性向けの情報発信が積極的に行われるようになりました。
公認会計士協会会員の女性比率|約16%
日本公認会計士協会の会員全体における女性の割合は、2024年時点で約16%となっています。試験合格者の女性比率が20〜25%であるのに対し、会員全体では16%にとどまる理由は、過去の合格者における女性比率が低かったことが影響しています。しかし、新規登録者に限れば女性の割合は年々高まっており、今後は会員全体の女性比率も上昇していくと見込まれています。
協会会員の女性比率を業種別に見ると、監査法人勤務では約18%、事業会社では約15%、独立開業では約12%となっています。監査法人では新卒採用において性別に関係なく優秀な人材を採用する方針が定着しており、女性の活躍の場が広がっています。一方、独立開業の比率が低いのは、育児期間中に開業のタイミングを見送るケースが多いためと考えられています。
女性比率30%を目指す協会の取り組み
日本公認会計士協会では、女性会員の比率を30%まで引き上げることを目標に掲げ、様々な施策を展開しています。2020年に設立された「女性会計士活躍促進協議会」を中心に、女性会計士のネットワーク構築、キャリア支援セミナーの開催、育児中の会員向けサポートプログラムなどが実施されています。
具体的な取り組みとしては、産休・育休中の会費減免制度の拡充、復職支援研修の充実、女性向けメンター制度の整備などがあります。大手監査法人でも女性管理職の登用を積極的に進めており、ロールモデルとなる先輩会計士の事例が増えてきました。こうした環境整備により、公認会計士は女性にとっても長期的なキャリアを築きやすい職業へと変化しています。
女性公認会計士(CPA)の年収|男性との比較
公認会計士の年収は、性別よりも経験年数や勤務先、働き方によって大きく変動します。ここでは、女性公認会計士の平均年収と男性との比較、そして年収差が生じる背景について、公認会計士の年収の詳細データとともに解説します。
女性公認会計士の平均年収|約610万円
女性公認会計士の平均年収は約610万円とされており、日本の女性全体の平均年収(約300万円台)と比較すると、倍以上の水準となっています。この数字は厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした推計値であり、正社員として勤務する女性公認会計士の実態を反映しています。勤務先別に見ると、大手監査法人勤務で約650万円、中堅監査法人で約580万円、事業会社で約620万円程度が平均的な水準です。
年齢別に見ると、20代後半で約500〜600万円、30代前半で約600〜750万円、30代後半で約700〜900万円と、経験を積むにつれて着実に収入が増加していきます。管理職に昇進すれば1,000万円を超える年収も十分に実現可能です。特に近年では、女性管理職の登用が進んでおり、性別に関係なくキャリアアップできる環境が整いつつあります。
男性公認会計士との年収差とその理由
男性公認会計士の平均年収は約730万円とされており、女性との差は約120万円程度存在します。ただし、この差は主に勤続年数と勤務形態の違いによるもので、同じ条件下では性別による給与差はほとんど見られません。監査法人の給与体系は実力主義が基本であり、男女で基本給や昇給率に差を設けることはありません。
年収差が生じる主な理由は、育児期間中に時短勤務や非常勤勤務を選択する女性が多いことです。フルタイム勤務の女性会計士と男性会計士を比較した場合、年収の差はわずか数パーセント程度にとどまります。また、出産・育児後にフルタイムに復帰したり、パートナーに昇進したりする女性も増えており、キャリアを継続することで男性と同等の年収を得ることは十分可能です。
経験年数別・企業規模別の年収
経験年数別に見ると、公認会計士試験合格直後の初任給は男女とも約500〜550万円でスタートします。Big4と呼ばれる大手監査法人では、1年目から約550万円、3年目で約650万円、5年目で約800万円と順調に昇給していきます。この昇給ペースに性別による差はなく、評価は業務の成果と専門性によって決まります。
企業規模別に見ると、Big4大手監査法人では女性会計士の平均年収が約650万円、準大手監査法人で約600万円、中小監査法人で約550万円となっています。事業会社への転職では、上場企業の経理部門で約600〜700万円、CFOやコントローラーといった管理職では1,000万円を超えるケースも珍しくありません。独立開業した場合は、受注する案件数や規模によって年収が大きく変動しますが、安定した顧客基盤を築けば800〜1,200万円程度の収入を得ることも可能です。
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公認会計士(CPA)が女性にとって働きやすい5つの理由
公認会計士は、女性が長期的なキャリアを築くうえで多くのメリットがある職業です。実力主義の評価制度や柔軟な働き方の選択肢など、ライフステージの変化にも対応しやすい環境が整っています。ここでは、公認会計士が女性にとって働きやすい5つの理由を具体的に解説します。
実力主義で男女平等に評価される
監査法人をはじめとする公認会計士の職場では、性別に関係なく実力と成果で評価される文化が根付いています。監査業務では専門知識と論理的思考力が重視されるため、性別による先入観や偏見が入り込む余地が少ないのです。昇進や昇給の判断基準も明確で、担当したクライアント数、監査品質、専門性の向上度合いなど、客観的な指標に基づいて評価されます。
大手監査法人では女性パートナーの割合も年々増加しており、2024年時点でBig4全体では約10%の女性パートナーが在籍しています。10年前は5%未満だったことを考えると、着実に女性の管理職登用が進んでいることがわかります。公認会計士協会でも女性理事の登用を推進しており、業界全体として男女平等な環境づくりが加速しています。
柔軟な働き方が選択できる
公認会計士の大きな魅力の一つは、ライフステージに応じて働き方を柔軟に選択できることです。監査法人では、フルタイム勤務、時短勤務、非常勤勤務、在宅勤務など、多様な勤務形態が用意されています。特にコロナ禍以降、リモートワークの環境整備が進み、自宅からの監査業務も可能になりました。
フレックスタイム制度を導入している法人も多く、始業・終業時刻を自分で調整できるため、子どもの送迎や家事との両立がしやすくなっています。繁忙期(12〜3月、5〜6月)には残業が増える傾向がありますが、閑散期には有給休暇を取得しやすく、メリハリのある働き方が可能です。勤務地の選択肢も豊富で、地方事務所への異動やUターン転職も実現しやすい環境にあります。
復職・転職がしやすい環境
公認会計士は国家資格であり、専門性が高く評価されるため、出産・育児でブランクがあっても復職しやすいのが特徴です。監査法人では復職支援プログラムが充実しており、ブランク期間中の会計基準の変更点や最新の監査手法について研修を受けることができます。日本公認会計士協会でも、復職を希望する女性会計士向けのセミナーや相談窓口を設けています。
転職市場においても、公認会計士の需要は常に高く、事業会社の経理部門やコンサルティングファーム、金融機関など、幅広い選択肢があります。年齢や性別よりも、保有する専門知識と実務経験が重視されるため、30代後半や40代での転職も珍しくありません。育児と両立しやすい勤務先を選んだり、非常勤として複数の企業で働いたりと、自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現できます。
専門性が高く安定した収入が得られる
公認会計士は高度な専門知識を要する職業であり、その対価として高水準の収入を得ることができます。前述のとおり、女性公認会計士の平均年収は約610万円で、一般的な女性の平均年収を大きく上回っています。また、非常勤勤務でも日給2〜4万円程度の報酬が得られるため、育児期間中でも家計に十分貢献できる収入を確保できます。
公認会計士資格は一度取得すれば更新の必要がなく、生涯にわたって活用できる資格です。経験を積むほど専門性が高まり、市場価値も上がっていくため、年齢を重ねても収入が維持・向上しやすいのです。独立開業すれば、自分のペースで仕事量を調整しながら、年収1,000万円以上を目指すことも可能になります。
女性公認会計士の出産・育児との両立
公認会計士として働く女性にとって、出産・育児と仕事をどう両立するかは重要な関心事です。近年、監査法人では育児支援制度が大幅に充実し、多くの女性会計士が出産後も仕事を継続しています。ここでは、具体的な制度と活用事例、両立のポイントについて解説します。
監査法人の産休・育休制度の充実
大手監査法人では、産前産後休暇と育児休業の制度が法定基準を上回る水準で整備されています。産前休暇は出産予定日の8週間前から、産後休暇は出産後8週間まで取得でき、その後最長で子どもが3歳になるまで育児休業を取得することが可能です。育休中は給与の一部が支給される法人もあり、経済的な不安を軽減する仕組みが整っています。
育休取得率は、女性では90%以上、男性でも近年は20〜30%程度まで上昇しています。法人によっては、育休取得中もオンライン研修を受講できる制度や、定期的な面談を通じて復職後のキャリアプランを相談できる窓口も設けられています。復職のタイミングは本人の希望を最大限尊重する方針が一般的で、1年未満で復帰する人もいれば、3年間しっかり育児に専念してから戻る人もいます。
時短勤務制度の活用事例
育児休業後は、多くの女性会計士が時短勤務制度を活用しています。標準的な時短勤務は、1日6時間勤務(午前10時〜午後5時など)で、給与は勤務時間に応じて調整されます。時短勤務の期間は法人によって異なりますが、子どもが小学校3年生になるまで利用できるケースが一般的です。
時短勤務を活用している先輩会計士の事例を見ると、午前中は自宅で資料作成やメールチェックを行い、午後からオフィスに出勤して会議や監査業務に参加するといったハイブリッド型の働き方が増えています。繁忙期でも残業時間に上限を設けることで、子どもの保育園送迎に支障が出ないよう配慮されています。時短勤務中でも、専門性を活かした重要な業務を担当でき、キャリアの継続性が保たれる点が評価されています。
育児と監査業務を両立させるポイント
育児と監査業務を両立させるには、いくつかの工夫が必要です。まず重要なのは、職場とのコミュニケーションです。育児の状況や勤務上の制約について上司や同僚と率直に話し合い、無理のない業務分担を調整することが欠かせません。監査チーム内で情報共有を徹底すれば、急な子どもの体調不良にも柔軟に対応できます。
また、パートナーや家族との協力体制を築くことも大切です。夫婦で家事・育児を分担したり、保育サービスやベビーシッターを活用したりすることで、精神的・時間的な余裕が生まれます。監査法人の中には、育児中の社員向けに託児所を併設している事務所もあり、こうした福利厚生を積極的に利用することも検討しましょう。
先輩会計士からは「完璧を求めすぎない」「優先順位をつける」といったアドバイスがよく聞かれます。繁忙期は周囲のサポートを受けながら乗り切り、閑散期には家族との時間を大切にするなど、長期的な視点でバランスを取ることが両立成功の鍵となります。
女性公認会計士のワークライフバランスの実現方法
公認会計士として働く女性が、仕事と私生活の調和を図りながらキャリアを継続するには、自分に合った働き方を選択することが重要です。フルタイムから非常勤への切り替えや、リモートワークの活用など、ワークライフバランスを実現するための具体的な方法を紹介します。
非常勤勤務という選択肢|報酬2〜4万円/日
非常勤勤務は、育児や介護と仕事を両立したい女性会計士に人気の働き方です。非常勤の公認会計士は、週1〜3日程度の勤務で、日給制の報酬体系となるのが一般的です。報酬は経験や専門性によって異なりますが、1日あたり2〜4万円程度が相場となっています。月10日勤務すれば月収20〜40万円、年収にして240〜480万円を確保できます。
非常勤勤務では、特定の監査業務や内部統制の評価、会計アドバイザリー業務など、専門性を活かした業務を担当します。複数の監査法人や企業と契約し、自分のスケジュールに合わせて勤務日を調整できるため、子どもの学校行事や家族の予定を優先しやすいのが魅力です。また、非常勤から徐々に勤務日数を増やし、将来的にフルタイムに戻ることも可能です。
フルタイムから非常勤への切り替え
育児期間中に、一時的にフルタイムから非常勤へ切り替える女性会計士は少なくありません。監査法人では、社員の長期的なキャリアを重視する観点から、フルタイムと非常勤の間での切り替えを柔軟に認める方針を取っています。切り替えのタイミングは、育児休業明けや子どもの小学校入学時など、ライフステージの変化に合わせて相談できます。
非常勤への切り替え後も、元の所属先で引き続き勤務するケースが多く、担当していたクライアントとの関係性を維持しながら働けることがメリットです。給与体系は変わりますが、賞与や福利厚生の一部も継続されるケースがあります。子どもが成長して手が離れてきたら、再びフルタイムに戻り、管理職を目指すといったキャリアプランも描けます。
リモートワーク・フレックスの活用
新型コロナウイルス感染拡大を契機に、監査法人でもリモートワークの環境整備が急速に進みました。現在では、監査計画の策定、調書作成、クライアントとのオンライン会議など、多くの業務を自宅から行うことが可能になっています。週の半分以上をリモートで働く会計士も珍しくなく、通勤時間の削減によってワークライフバランスが大きく改善したという声が多く聞かれます。
フレックスタイム制度を活用すれば、始業・終業時刻を自分で調整できるため、朝の通勤ラッシュを避けたり、子どもの送迎に合わせたりすることができます。コアタイム(必ず勤務すべき時間帯)は午前10時から午後3時までとする法人が多く、その前後の時間は柔軟に設定できます。こうした制度を上手に組み合わせることで、育児や介護と両立しながらキャリアを継続することが現実的になっています。
女性公認会計士のキャリアパス
公認会計士の資格を取得した女性には、多様なキャリアの選択肢が開かれています。監査法人でのキャリア形成はもちろん、事業会社への転職、独立開業、講師やコンサルタントとしての活躍など、自分のライフスタイルや志向に合わせた道を選ぶことができます。公認会計士の仕事内容とキャリアパスを参考に、具体的な選択肢を見ていきましょう。
監査法人でのキャリア形成
監査法人は、公認会計士のキャリアをスタートさせる最も一般的な場所です。新人会計士は、まず監査チームのメンバーとして、上場企業の財務諸表監査に携わります。3〜5年で主査(インチャージ)に昇格し、監査チームの実務責任者として複数のクライアントを担当します。その後、マネージャー、シニアマネージャーを経て、最終的にはパートナー(社員)を目指すのが標準的なキャリアパスです。
女性会計士の中には、監査業務と並行してアドバイザリー部門やIPO支援部門へ異動し、より広範な専門性を身につける人もいます。近年は、サステナビリティ報告やESG監査といった新しい分野でも女性会計士の活躍が目立っています。育児期間中に一時的に非常勤となった後、マネージャーとして復帰し、最終的にパートナーに昇進した女性の事例も増えており、長期的なキャリア形成が可能な環境になっています。
事業会社のCFO・経理部門への転職
監査法人で経験を積んだ後、事業会社の経理部門やCFO(最高財務責任者)として転職する道も人気があります。上場企業の経理部門では、決算業務、財務報告、内部統制の整備運用など、監査法人で培った知識を直接活かせる業務が多くあります。部長職やCFOといった管理職ポジションでは、年収1,000万円以上を得ることも珍しくありません。
事業会社への転職は、監査法人と比べて残業が少なく、ワークライフバランスを重視したい女性会計士に適しています。また、一つの企業に腰を据えて、中長期的な経営戦略に関わることができる点も魅力です。スタートアップ企業では、CFOとして経営に深く関与し、IPOの実現に向けてリーダーシップを発揮する女性会計士も増えています。
独立開業・税理士法人での働き方
公認会計士は税理士登録もできるため、独立開業して会計事務所や税理士法人を運営することも可能です。独立開業すれば、自分のペースで仕事量を調整でき、育児や家庭との両立がしやすくなります。中小企業の税務顧問や決算支援、経営コンサルティングなど、幅広いサービスを提供できます。
独立開業の初期は顧客獲得に苦労することもありますが、監査法人時代の人脈や専門性を活かすことで、着実にクライアントを増やすことができます。年収は案件数と規模によって大きく変動しますが、安定した顧客基盤を築けば800〜1,500万円程度の収入を得ることが可能です。また、税理士法人のパートナーとして参画し、経営にも携わるといった選択肢もあります。
講師・コンサルタントとしての活躍
公認会計士の専門知識を活かして、大学や専門学校の講師、企業研修の講師として活躍する道もあります。会計学や監査論の授業を担当したり、公認会計士試験の受験指導を行ったりする仕事は、比較的時間の融通が利くため、育児と両立しやすい働き方の一つです。講師業は、自分の知識を次世代に伝えるやりがいがあり、社会貢献の側面も強い職種です。
また、経営コンサルタントやM&Aアドバイザーとして、企業の財務戦略や組織再編のサポートを行う女性会計士も増えています。コンサルティングファームに所属する場合もあれば、フリーランスとして複数のプロジェクトに関わる場合もあります。報酬は案件ごとに設定され、高度な専門性が求められるプロジェクトでは、月額100万円以上の報酬を得ることも可能です。
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女性公認会計士への支援制度
日本公認会計士協会や監査法人では、女性会計士の活躍を促進するための様々な支援制度を設けています。復職支援、研修制度、会費減免など、ライフステージに応じたサポートを受けることで、長期的なキャリア継続が可能になります。
日本公認会計士協会「女性会計士活躍促進協議会」
日本公認会計士協会では、2020年に「女性会計士活躍促進協議会」を設立し、女性会計士のキャリア支援に力を入れています。この協議会では、女性会計士同士のネットワーク構築、キャリアプランに関する相談窓口の設置、ロールモデルとなる先輩会計士との交流会など、多岐にわたる活動を展開しています。
年に数回開催されるセミナーでは、ワークライフバランスの実現方法、復職後のキャリア形成、管理職を目指すための戦略など、女性会計士が関心を持つテーマが取り上げられます。参加者からは「同じような悩みを持つ仲間と出会えた」「具体的なアドバイスが得られた」といった好評の声が寄せられています。協議会の活動を通じて、女性会計士のコミュニティが着実に広がっています。
復職支援・研修制度
出産・育児などで一時的にキャリアを中断した女性会計士のために、協会や監査法人では復職支援プログラムを提供しています。ブランク期間中に改正された会計基準や新しい監査手法について学べる研修、最新のIT監査ツールの使い方講座、ビジネススキルのブラッシュアップセミナーなど、復職に必要な知識を効率的に習得できる内容となっています。
大手監査法人では、復職前に短期間のリハビリ勤務を行い、職場の雰囲気や業務の流れを確認できる制度を設けているところもあります。また、復職後も定期的なフォローアップ面談を行い、困りごとや不安に対するサポートを継続します。こうした手厚い支援により、育児休業後の復職率は90%以上を維持しており、多くの女性会計士が安心してキャリアを再開しています。
会費免除・軽減制度
日本公認会計士協会では、育児や介護で休職・離職している会員に対して、会費の減免制度を設けています。産休・育休中の会員は、申請により年会費の一部または全額が免除されます。また、非常勤勤務や短時間勤務に切り替えた会員に対しても、勤務実態に応じた会費軽減措置が適用されます。
この制度により、育児期間中の経済的負担が軽減され、公認会計士としての資格を維持しながら休職することができます。会費免除期間中も、協会が提供する研修や情報提供サービスは継続して利用できるため、最新の専門知識をキャッチアップすることが可能です。こうした配慮により、ライフイベントを理由に資格を手放すことなく、長期的にキャリアを継続できる環境が整っています。
女性が公認会計士を目指すメリット
女性が公認会計士を目指すことには、多くのメリットがあります。性別に関係なく高収入を得られる点、ライフイベントに左右されにくいキャリアを築ける点、多様な働き方から選択できる点など、女性のキャリア形成において理想的な条件が揃っています。公認会計士になるにはの情報も参考に、資格取得を検討してみましょう。
ライフイベントに左右されにくいキャリア
公認会計士の最大のメリットは、結婚や出産といったライフイベントがあってもキャリアを継続しやすいことです。一般的な企業では、育児休業後に元のポジションに戻れなかったり、キャリアが停滞したりするケースが少なくありませんが、公認会計士は専門資格があるため、ブランクがあっても復職しやすく、市場価値が維持されます。
特に、資格を活かした転職市場は常に活況で、年齢や性別よりも実務経験と専門性が重視されます。30代後半や40代でも、希望する条件での転職が十分可能です。また、独立開業やフリーランスとして働くことも選択肢に入るため、家庭の事情に合わせて柔軟にキャリアを設計できます。こうした特性により、公認会計士は女性の生涯キャリアとして非常に適した職業と言えます。
性別に関係なく高収入が得られる
公認会計士の給与体系は実力主義が基本であり、性別による給与差はほとんど存在しません。前述のとおり、女性公認会計士の平均年収は約610万円で、日本の女性全体の平均年収を大きく上回っています。同じ経験年数とスキルレベルであれば、男性と同等の給与を得ることができ、管理職に昇進すれば1,000万円以上の年収も十分に実現可能です。
高収入を得られることは、経済的自立や家計への貢献という面でも大きなメリットです。育児期間中に時短勤務や非常勤勤務を選択しても、日給2〜4万円程度の報酬があるため、家計に与える影響は最小限に抑えられます。また、独立開業すれば収入の上限がなくなり、自分の努力次第でさらに高い収入を目指すことができます。
多様な働き方から選択できる
公認会計士は、フルタイム、時短勤務、非常勤勤務、リモートワーク、独立開業など、多様な働き方を選択できる職業です。ライフステージの変化に応じて働き方を柔軟に変更できるため、仕事と私生活のバランスを保ちながらキャリアを継続できます。子どもが小さいうちは非常勤で働き、成長してからフルタイムに戻るといったキャリアプランも現実的です。
また、監査法人、事業会社、コンサルティングファーム、独立開業など、勤務先の選択肢も豊富です。自分の興味や適性、家庭の事情に合わせて最適な職場を選ぶことができ、転職もしやすいのが公認会計士の強みです。公認会計士を目指す大学生への記事では、女子大学生向けの情報も詳しく紹介していますので、これから資格取得を目指す方はぜひ参考にしてください。
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女性公認会計士に関連するよくある質問(FAQ)
Q. 公認会計士は女性でも働きやすい職業ですか?
はい、公認会計士は女性にとって非常に働きやすい職業です。実力主義の評価制度が定着しており、性別による昇進や給与の差はほとんどありません。監査法人では産休・育休制度が充実し、時短勤務や非常勤勤務への切り替えも柔軟に対応してもらえます。復職支援制度も整っており、出産・育児後のキャリア継続が現実的に可能です。
Q. 女性公認会計士の年収は男性と比べて低いですか?
同じ経験年数と勤務形態であれば、女性と男性の年収に大きな差はありません。平均値では女性が約610万円、男性が約730万円と差がありますが、これは主に育児期間中に時短勤務や非常勤勤務を選択する女性が多いためです。フルタイムで勤務している女性会計士の年収は男性とほぼ同水準で、実力次第で1,000万円以上を得ることも十分可能です。
Q. 公認会計士は出産・育児と両立できますか?
公認会計士は出産・育児との両立がしやすい職業です。大手監査法人では産休・育休制度が法定基準を上回る水準で整備され、最長で子どもが3歳になるまで育児休業を取得できます。復職後は時短勤務を利用でき、リモートワークやフレックスタイム制度も活用できます。多くの女性会計士が育児と仕事を両立しながらキャリアを継続しています。
Q. 女性公認会計士の非常勤勤務はどれくらい稼げますか?
女性公認会計士の非常勤勤務では、日給2〜4万円程度が一般的な報酬水準です。経験や専門性によって報酬は変動しますが、月10日勤務すれば月収20〜40万円、年収にして240〜480万円を確保できます。週1〜3日程度の勤務で育児と両立しながら、専門性を活かした収入を得られる点が魅力です。複数の企業や監査法人と契約すれば、さらに収入を増やすことも可能です。
Q. 女性公認会計士の割合はどれくらいですか?
公認会計士試験の合格者における女性比率は約20〜25%で推移しています。日本公認会計士協会の会員全体では女性が約16%を占めていますが、新規登録者に限れば女性の割合は年々高まっています。協会では女性比率30%を目標に掲げており、女性会計士活躍促進協議会を通じた支援策を展開しています。今後さらに女性の参画が進むと見込まれています。
Q. 公認会計士は女性の独立開業に向いていますか?
公認会計士は女性の独立開業にも適した資格です。税理士登録もできるため、中小企業の税務顧問や経営コンサルティングなど、幅広いサービスを提供できます。自宅やシェアオフィスを活用すれば初期投資も抑えられ、自分のペースで仕事量を調整できるため、育児や家庭との両立がしやすくなります。安定した顧客基盤を築けば、年収800〜1,500万円程度を目指すことも可能です。
Q. 公認会計士の勉強と育児は両立できますか?
公認会計士試験の勉強と育児の両立は簡単ではありませんが、計画的に進めれば不可能ではありません。子どもが小さいうちは短答式試験に集中し、少し成長してから論文式試験に挑戦するといった段階的なアプローチも有効です。予備校の通信講座やオンライン学習を活用すれば、自宅で効率的に学習できます。家族のサポートを得ながら、長期的な視点で合格を目指しましょう。
まとめ:女性公認会計士は働きやすくキャリアの選択肢が豊富
本記事では、女性公認会計士のキャリアと働き方について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- 女性の参画は着実に増加している:公認会計士試験合格者の女性比率は約20〜25%で、協会会員全体でも約16%を占めています。日本公認会計士協会は女性比率30%を目標に掲げ、女性会計士活躍促進協議会を中心とした支援策を展開しています。実力主義の評価制度と柔軟な働き方により、女性が長期的なキャリアを築きやすい環境が整っています。
- 年収は実力次第で男性と同等:女性公認会計士の平均年収は約610万円で、同じ条件下では男性との給与差はほとんどありません。管理職に昇進すれば1,000万円以上の年収も実現可能です。非常勤勤務でも日給2〜4万円程度の報酬が得られるため、ライフステージに応じて柔軟に収入を確保できます。
- 出産・育児と両立できる制度が充実:大手監査法人では産休・育休制度が手厚く、復職支援プログラムも整備されています。時短勤務、非常勤勤務、リモートワーク、フレックスタイムなど、多様な働き方を選択でき、育児と仕事の両立が現実的に可能です。公認会計士資格は一度取得すれば更新不要で、ブランク後も復職しやすいのが大きな魅力です。
公認会計士は、性別に関係なく専門性を活かして高収入を得られ、ライフイベントに左右されにくいキャリアを築ける職業です。監査法人でのキャリア形成、事業会社への転職、独立開業、講師やコンサルタントとしての活躍など、多様なキャリアパスがあり、自分のライフスタイルや志向に合わせた道を選択できます。
これから公認会計士を目指す女性は、公認会計士になるにはと公認会計士の勉強時間を参考に、計画的に学習を進めましょう。すでに公認会計士として働いている女性は、公認会計士の仕事内容とキャリアパスで将来の選択肢を確認し、自分らしいキャリアを築いていきましょう。
本記事を通じて、女性公認会計士としてのキャリアの可能性と働きやすさを理解いただけたはずです。公認会計士は、女性が専門性を活かして長期的に活躍できる、魅力的な職業です。この情報を活用して、充実したキャリアの実現に向けて一歩を踏み出しましょう。
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