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公認会計士を目指す大学生へ|在学中の学習計画と合格戦略

公認会計士を目指す大学生の皆さんへ。「在学中に公認会計士試験に合格できるのか」「大学生活と両立しながら勉強できるのか」という疑問は、適切な学習計画と戦略を立てることで解決できます。本記事では、公認会計士を目指す大学生の合格者データと現状、大学生活との両立方法、学年別の最適な学習開始時期について、実際のデータと合格者の実例を交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士試験合格に向けて、無理のない学習計画を立てましょう。

この記事を読むとわかること

  • 公認会計士試験における大学生の合格者割合と合格率が高い理由
  • 大学生活と勉強を両立させるための具体的な時間管理術
  • 学年別の最適な学習開始時期と効率的なスケジュールの立て方
  • 在学中に合格するための予備校選びと独学の判断基準

押さえておきたい3つのポイント

  1. 大学生の合格率は社会人より高い:公認会計士試験の合格者の約6割が大学生・大学院生で、時間的余裕と学習能力の高さが合格に有利に働きます。
  2. 学習開始は大学1〜2年生が理想的:早期に学習を開始することで、短答式試験と論文式試験の両方に十分な準備期間を確保でき、在学中合格の可能性が高まります。
  3. 予備校活用が合格への近道:公認会計士試験の範囲は膨大で、独学では効率的な学習が困難です。大学の授業と両立しやすい通信コースの活用がおすすめです。

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目次

公認会計士(CPA)を目指す大学生の合格者データと現状

公認会計士試験において、大学生は最も合格率の高い受験者層です。このセクションでは、大学生の合格者割合や合格率が高い理由について、公認会計士・監査審査会の公式データをもとに詳しく解説します。大学生が公認会計士を目指す際の優位性を理解することで、学習計画をより具体的に立てることができます。

公認会計士試験における大学生の合格者割合

公認会計士試験の合格者のうち、大学生・大学院生が占める割合は非常に高いという特徴があります。2023年度の公認会計士試験(論文式試験)では、合格者1,544名のうち、約60%にあたる約930名が大学生・大学院生でした(公認会計士・監査審査会発表データ)。これは、社会人や既卒者と比較して、大学生が圧倒的に多く合格している実態を示しています。

特に注目すべきは、短答式試験においても大学生の合格者割合が高いことです。短答式試験では、受験者全体の合格率が10〜13%程度であるのに対し、大学生の合格率はそれを上回る傾向にあります。これは、大学生が学習に専念できる環境にあることや、記憶力・集中力が高い時期であることが影響していると考えられます。

また、合格者の年齢構成を見ると、20代前半が最も多く、大学在学中または卒業直後に合格している人が多数を占めています。このデータは、若いうちに公認会計士試験に挑戦することの有利性を裏付けています。

大学生の合格率が高い理由とデータ分析

大学生の公認会計士試験における合格率が高い理由は、主に3つの要因に分けられます。

第一に、学習時間の確保が比較的容易であることです。社会人と異なり、大学生は授業の合間や長期休暇を活用して、まとまった学習時間を確保できます。公認会計士試験には3,000〜5,000時間の学習が必要とされますが、大学生であれば平日3〜4時間、休日6〜8時間の学習で、2〜3年での合格が十分可能です。

第二に、記憶力と学習能力が高い時期であることです。20代前半は脳の可塑性が高く、新しい知識の吸収や複雑な概念の理解がしやすい時期です。公認会計士試験で出題される会計学、監査論、企業法、租税法などの専門科目は、暗記と理解の両方が求められるため、学習能力の高さが合格に直結します。

第三に、就職活動との相乗効果があることです。公認会計士試験の学習を進めることで、ビジネスの基礎知識や論理的思考力が身につきます。これらは一般企業の就職活動でも高く評価されるため、万が一試験に不合格だった場合でも、就職活動において有利になるという安心感があります。

年齢別・学歴別の合格者構成比

公認会計士試験の合格者を年齢別に見ると、20〜24歳の合格者が全体の約50%を占めています。これは、大学在学中または卒業直後に合格している人が最も多いことを示しています。25〜29歳の合格者も約30%を占めており、大学卒業後に勉強を続けて合格する人も一定数いることがわかります。

学歴別の合格者構成比では、有名大学出身者の割合が高い傾向にあります。慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、明治大学などの出身者が多く、これらの大学には公認会計士試験に特化したカリキュラムや学内予備校が設置されているケースもあります。ただし、これは学歴そのものが合格に影響するのではなく、学習環境や情報へのアクセスが充実していることが要因と考えられます。

実際、地方大学や中堅大学からの合格者も毎年多数おり、学歴に関係なく合格することは十分可能です。重要なのは、大学のブランドではなく、いかに効率的に学習時間を確保し、質の高い学習を継続できるかという点です。

大学生が公認会計士(CPA)を目指すべき5つのメリット

大学生が公認会計士を目指すことには、社会人になってから挑戦する場合と比較して、多くのメリットがあります。このセクションでは、時間的余裕、学習能力、就職活動での優位性、非常勤勤務の機会など、大学生ならではの利点を詳しく解説します。これらのメリットを理解することで、公認会計士を目指す決断がより明確になるでしょう。

勉強時間を確保しやすい環境

大学生が公認会計士を目指す最大のメリットは、勉強時間を確保しやすい環境にあることです。社会人の場合、1日の勤務時間が8時間以上あり、通勤時間や残業を含めると、自由に使える時間は限られます。一方、大学生は授業のコマ数によって異なりますが、平日でも3〜5時間、休日は6〜8時間の学習時間を確保することが可能です。

特に、大学1〜2年生のうちは必修科目が少なく、時間割を自分で調整しやすい傾向にあります。午前中に授業を集中させて、午後は予備校の講義や自習に充てる、あるいは週に2〜3日は丸一日勉強に使うといったスケジュール管理が可能です。また、夏休みや春休みなどの長期休暇は、集中的に学習を進める絶好の機会となります。

さらに、大学生は体力的にも恵まれており、長時間の学習にも耐えられます。公認会計士試験の勉強は、特に試験直前期には1日10時間以上の学習が必要になることもあります。若さゆえの体力と回復力は、学習を継続する上で大きなアドバンテージとなります。

記憶力・集中力が高い時期に学習できる

20代前半は、記憶力と集中力が人生で最も高い時期の一つです。脳科学の研究によれば、記憶力や情報処理能力は20代前半でピークを迎え、その後緩やかに低下していくことが知られています。公認会計士試験は膨大な知識の暗記と理解が求められるため、記憶力が高い時期に学習することは非常に有利です。

公認会計士試験の科目には、会計学(財務会計論・管理会計論)、監査論、企業法、租税法、経営学などがあり、各科目で覚えるべき内容は膨大です。特に財務会計論では、会計基準や仕訳のルールを正確に暗記する必要がありますし、企業法では会社法や金融商品取引法の条文を理解し記憶することが求められます。

また、大学生は日常的に授業やレポート作成を通じて学習習慣が身についているため、公認会計士試験の勉強にもスムーズに適応できます。ノートの取り方、要点のまとめ方、試験対策の進め方など、大学での学習経験が公認会計士試験でも活かせる場面は多くあります。

集中力の面でも、大学生は有利です。若いうちは長時間集中して学習することが可能で、また休憩後の回復も早いため、効率的に学習を進めることができます。年齢を重ねるにつれて集中力の持続時間は短くなる傾向があるため、若いうちに難関試験に挑戦することには大きな意義があります。

就職活動で圧倒的に有利になる

公認会計士試験に合格している、または学習中であることは、就職活動において非常に大きなアドバンテージとなります。まず、監査法人への就職を考えた場合、公認会計士試験の短答式試験に合格していれば、大学在学中でも内定を得ることが可能です。Big4と呼ばれる大手監査法人(有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwCあらた有限責任監査法人)では、短答式合格者を対象とした採用活動を積極的に行っています。

論文式試験に合格すれば、監査法人への就職はほぼ確実です。近年、公認会計士の需要は高まっており、合格者に対する求人倍率は常に1倍を超える売り手市場となっています。初任給も一般企業と比較して高く、新卒の公認会計士の年収は500〜600万円程度が相場です。

また、一般企業への就職においても、公認会計士試験の学習経験は高く評価されます。会計知識は全てのビジネスの基礎であり、財務諸表を読み解く力や経営分析のスキルは、営業職、企画職、財務職など幅広い職種で求められます。面接では、「なぜ公認会計士を目指したのか」「学習を通じて何を学んだか」といった質問を通じて、目標に向かって努力できる人材であることをアピールできます。

さらに、公認会計士試験の学習を通じて身につく論理的思考力、問題解決能力、時間管理能力は、社会人として必須のスキルです。これらの能力は、どの業界・職種でも評価されるため、万が一公認会計士試験に不合格だった場合でも、就職活動で不利になることはありません。

在学中から監査法人で非常勤勤務が可能

公認会計士試験の短答式試験に合格すると、大学在学中でも監査法人で非常勤勤務(アルバイト)として働くことができます。これは、大学生が公認会計士を目指す大きなメリットの一つです。非常勤勤務では、実際の監査業務をサポートする仕事に携わることができ、試験勉強で学んだ知識を実務で活かす経験を積めます。

監査法人の非常勤勤務は、時給が2,000〜3,000円程度と高く、週に2〜3日、1日4〜6時間程度の勤務でも月に10〜15万円の収入を得ることができます。この収入は、予備校の費用や生活費の足しになるだけでなく、論文式試験の学習費用を自分で賄うこともできるため、経済的な自立にもつながります。

また、非常勤勤務を通じて、監査法人の雰囲気や業務内容を実際に体験できることは、将来のキャリア選択において非常に有益です。公認会計士として働くイメージが具体的になり、論文式試験へのモチベーションも高まります。さらに、非常勤勤務の経験は、論文式試験合格後の本採用においても有利に働くことが多く、すでに働いている監査法人から正式なオファーを受けるケースも少なくありません。

ただし、非常勤勤務を始める場合は、学習時間の確保とのバランスが重要です。論文式試験の合格を最優先に考え、週の勤務日数や勤務時間を調整しながら、無理のない範囲で働くことをおすすめします。

公認会計士(CPA)試験と大学生活の両立は可能か

公認会計士を目指す大学生にとって、「試験勉強と大学生活を両立できるのか」「遊ぶ時間はあるのか」という疑問は切実です。このセクションでは、公認会計士試験の学習と大学生活の両立について、サークル活動、アルバイト、授業との時間管理術を具体的に解説します。両立に成功した合格者の実例も紹介しますので、自分の大学生活をイメージしながら読み進めてください。

大学生は公認会計士を目指しながら遊べるのか

結論から言えば、公認会計士を目指しながらも、大学生活をある程度楽しむことは可能です。ただし、一般的な大学生と同じように、毎日のように遊んだり、深夜まで飲み会に参加したりする生活は難しいのが現実です。公認会計士試験の勉強には、平日3〜4時間、休日6〜8時間の学習時間が必要であり、この時間を確保するためには、遊びや趣味の時間をある程度制限する必要があります。

しかし、全く遊べないわけではありません。学習スケジュールを立て、計画的に勉強を進めることで、週に1〜2回は友人と食事に行ったり、月に数回は趣味の時間を楽しんだりすることは十分可能です。重要なのは、「遊ぶ時間」と「勉強する時間」をしっかり区別し、メリハリをつけることです。

また、試験直前期(短答式試験の1〜2ヶ月前、論文式試験の2〜3ヶ月前)は、さらに学習時間を増やす必要があるため、この期間は遊びを控える覚悟が必要です。逆に言えば、試験が終わった後や、学習の進捗が順調な時期には、リフレッシュのために遊ぶ時間を作ることも大切です。適度な息抜きは、学習効率を高める効果があります。

実際に公認会計士試験に合格した大学生の多くは、「完全に遊びを諦めたわけではないが、遊ぶ頻度や時間は減った」と語っています。大学生活を100%楽しむことは難しいかもしれませんが、公認会計士という資格を取得することで得られる将来の価値を考えれば、一時的な制限は十分に価値があると言えるでしょう。

サークル・アルバイト・授業との時間管理術

公認会計士を目指す大学生にとって、サークル活動やアルバイト、大学の授業との両立は大きな課題です。ここでは、効率的な時間管理術を紹介します。

まず、サークル活動についてです。サークル活動は大学生活の楽しみの一つですが、週に何度も活動があるサークルに所属すると、学習時間の確保が難しくなります。公認会計士を目指すのであれば、活動頻度が少ないサークルを選ぶか、1年生の間だけ参加して2年生以降は退部するという選択肢もあります。あるいは、公認会計士を目指す学生が集まるサークルや勉強会に参加することで、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨しながら学習を進めることも有効です。

アルバイトについては、できるだけ控えることをおすすめします。公認会計士試験の学習には集中力が必要であり、アルバイトで体力を消耗すると、学習効率が低下します。ただし、経済的な理由でアルバイトが必要な場合は、週に1〜2回、1日4時間程度に抑え、シフトの融通が利く仕事を選ぶことが重要です。前述の通り、短答式試験に合格すれば監査法人での非常勤勤務が可能になるため、それまでの期間は最小限のアルバイトで済ませるのが理想的です。

大学の授業については、履修する科目を慎重に選ぶことが時間管理のカギとなります。1年生のうちは必修科目を中心に履修し、2年生以降は興味のある科目や単位取得が比較的容易な科目を選ぶことで、勉強時間を確保しやすくなります。また、公認会計士試験の科目と関連する授業(会計学、経営学、経済学など)を履修すれば、大学の授業が試験勉強の一部となり、一石二鳥です。

時間管理のコツは、週単位でスケジュールを立てることです。月曜日から金曜日までは授業と予備校の講義、週末は過去問演習と復習といったように、1週間の予定を明確にすることで、無駄な時間を減らせます。また、スマートフォンのカレンダーアプリやタスク管理アプリを活用し、勉強時間を記録することで、自分がどれだけ学習できているかを可視化できます。

両立に成功した合格者の実例

ここでは、公認会計士試験と大学生活の両立に成功した合格者の実例を紹介します。

実例1:Aさん(早稲田大学商学部、大学3年生で論文式試験合格)
Aさんは大学1年生の後期から公認会計士試験の勉強を始めました。平日は大学の授業が午前中に集中するように時間割を組み、午後は予備校の通信講座を受講していました。サークルには所属せず、アルバイトも週1回程度に抑え、平日3〜4時間、休日は8時間の学習時間を確保しました。2年生の12月に短答式試験に合格し、3年生の8月に論文式試験に合格しました。Aさんは「完全に遊びを諦めたわけではなく、月に数回は友人と食事に行っていました。ただし、試験2ヶ月前は遊びを完全に控えて勉強に集中しました」と語っています。

実例2:Bさん(中央大学経済学部、大学4年生で論文式試験合格)
Bさんは大学2年生の4月から勉強を始めました。軽音楽サークルに所属しており、週1回の活動には参加していましたが、ライブやイベントには参加せず、勉強を優先しました。3年生の5月に短答式試験に合格し、4年生の8月に論文式試験に合格しました。Bさんは「サークルは完全に辞めるのではなく、適度に参加することでストレス発散になりました。ただし、活動は週1回に限定し、それ以外の時間は勉強に充てました」と述べています。

実例3:Cさん(地方国立大学経済学部、大学4年生で論文式試験合格)
Cさんは大学2年生の夏から勉強を始めました。アルバイトは経済的な理由で続けざるを得ませんでしたが、週2回、1日4時間程度に抑え、残りの時間を勉強に充てました。3年生の12月に短答式試験に合格し、その後アルバイトを辞めて監査法人の非常勤勤務に切り替えました。4年生の8月に論文式試験に合格しました。Cさんは「アルバイトと勉強の両立は大変でしたが、短答式合格後に非常勤勤務に切り替えたことで、収入を得ながら実務経験も積めて良かったです」と語っています。

公認会計士になるための全体の流れについては、別の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

公認会計士試験の学習開始時期|学年別のベストタイミング

公認会計士を目指す大学生にとって、「いつから勉強を始めるべきか」は非常に重要な問題です。学習開始時期によって、在学中に合格できる可能性や、大学生活との両立のしやすさが大きく変わります。このセクションでは、大学1年生、2〜3年生、4年生それぞれの学習開始時のメリットとスケジュールを詳しく解説します。

大学1年生から始めるメリットと学習計画

大学1年生から公認会計士試験の勉強を始めることは、最も理想的な選択肢の一つです。1年生から始める最大のメリットは、時間的余裕が十分にあることです。公認会計士試験には3,000〜5,000時間の学習が必要とされますが、1年生から始めれば3〜4年の準備期間があり、無理のないペースで学習を進めることができます。

具体的な学習計画としては、1年生の4月から勉強を始めた場合、以下のようなスケジュールが考えられます。1年生の4月〜2年生の3月(1年間)は、簿記の基礎から財務会計論、管理会計論の基礎を固める時期です。この期間は、予備校の入門講座や基礎講座を受講し、会計の基本概念を理解することに重点を置きます。2年生の4月〜12月(9ヶ月)は、短答式試験の全科目(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法)の学習を進め、12月の短答式試験に合格することを目指します。

短答式試験に合格した後、2年生の1月〜3年生の8月(1年8ヶ月)は、論文式試験の科目(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法、選択科目)の学習を深めます。この期間は、論文式試験特有の論述力や応用力を養うことに重点を置き、3年生の8月の論文式試験で合格を目指します。

1年生から始めるもう一つのメリットは、失敗してもリカバリーの時間があることです。仮に2年生の12月の短答式試験に不合格でも、3年生の5月の試験で再挑戦できますし、論文式試験も複数回受験するチャンスがあります。また、大学1年生はまだ就職活動の心配がないため、勉強に集中しやすい環境にあります。

ただし、1年生から始める場合の注意点もあります。入学直後から勉強に追われることで、大学生活の楽しみが減ると感じる可能性があることです。また、モチベーションを長期間維持することが難しく、途中で挫折するリスクもあります。そのため、同じ目標を持つ仲間を作る、定期的に模擬試験を受けて進捗を確認する、などの工夫が必要です。

大学2〜3年生から始める場合のスケジュール

大学2年生や3年生から公認会計士試験の勉強を始めるケースも多く見られます。この時期から始める場合、在学中に合格することは十分可能ですが、1年生から始める場合よりも学習密度が高くなるため、より計画的な学習が求められます。

大学2年生の4月から勉強を始めた場合の学習計画は以下の通りです。2年生の4月〜12月(9ヶ月)は、簿記の基礎から財務会計論、管理会計論の基礎を固め、監査論と企業法の学習も並行して進めます。この期間は、予備校の速習コースを活用し、効率的に基礎を習得します。2年生の12月または3年生の5月に短答式試験の合格を目指します。

短答式試験に合格した後、3年生の夏〜4年生の8月(1年〜1年半)は、論文式試験の学習を進めます。租税法と選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のいずれか)を新たに学習し、既習科目の論文対策も行います。4年生の8月の論文式試験で合格を目指すスケジュールとなります。

大学3年生から始める場合は、さらに学習密度が高くなります。3年生の4月から勉強を始めた場合、3年生の12月または4年生の5月に短答式試験、4年生の8月または卒業後に論文式試験に合格するスケジュールを想定する必要があります。この場合、1日の学習時間を5〜6時間以上確保し、長期休暇は集中的に勉強する必要があります。

2〜3年生から始めるメリットは、大学1年生の時期に大学生活を楽しめることや、公認会計士を目指すかどうかをじっくり考える時間があることです。また、2年生以降は大学の授業で会計学や経営学を学んでいることも多く、その知識を公認会計士試験の勉強に活かせる点もメリットです。

一方、デメリットとしては、在学中に合格するためには短期間で集中的に学習する必要があり、大学生活との両立が難しくなることです。また、就職活動の時期と試験勉強が重なるため、両方をうまく調整する必要があります。

大学4年生・就活期との両立戦略

大学4年生から公認会計士試験の勉強を始める、あるいは4年生の時期に就職活動と試験勉強を両立させる必要がある場合の戦略について解説します。

まず、4年生から勉強を始める場合、在学中に合格することは非常に困難です。公認会計士試験には最低でも2〜3年の準備期間が必要であり、4年生から始めた場合、卒業後も勉強を続けることを前提に計画を立てる必要があります。ただし、就職留年や大学院進学を選択肢に入れることで、在学中に合格を目指すことも不可能ではありません。

4年生で就職活動と試験勉強を両立する場合、優先順位をはっきりさせることが重要です。多くの大学生は、3年生の3月〜4年生の6月に就職活動のピークを迎えます。この期間は、試験勉強を一時的に中断し、就職活動に専念することも一つの選択肢です。ただし、公認会計士を第一志望とする場合は、就職活動を最小限にとどめ、試験勉強を優先する覚悟が必要です。

具体的な戦略としては、以下のような方法があります。まず、就職活動は監査法人または経理職に絞り、受験する企業数を限定します。これにより、就職活動にかける時間を減らし、試験勉強に集中できます。次に、短答式試験に合格している場合は、監査法人の内定を目指し、論文式試験の勉強に専念します。監査法人は短答式合格者を積極的に採用しているため、就職活動は比較的スムーズに進みます。

また、就職活動で一般企業の内定を得た上で、公認会計士試験の勉強を続けるという選択肢もあります。この場合、内定を保留にしてもらう、あるいは入社を1年延期してもらう交渉をすることも可能です。ただし、企業によっては対応が難しい場合もあるため、事前に確認が必要です。

4年生の時期に論文式試験を受験する場合、試験は8月下旬に行われるため、就職活動が一段落した後に集中的に勉強する時間を確保できます。6月以降は卒業論文や卒業研究に時間を取られることもありますが、できる限り勉強時間を確保し、論文式試験に臨むことが重要です。

公認会計士試験の全体像については、公認会計士になるための全体の流れで詳しく解説していますので、学習開始時期を決める前にぜひご覧ください。

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公認会計士を目指す大学生の勉強時間とスケジュール

公認会計士試験に合格するためには、どれくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。このセクションでは、1日あたり・1週間あたりの必要勉強時間、短答式試験と論文式試験までの総合学習時間、そして長期休暇の効果的な活用方法について、具体的なデータとスケジュール例を交えて解説します。

1日あたり・1週間あたりの必要勉強時間

公認会計士試験に合格するためには、一般的に3,000〜5,000時間の学習が必要とされています。ただし、これはあくまで目安であり、個人の学習能力や基礎知識、学習方法によって大きく変動します。大学生の場合、平日と休日で勉強時間を分けて考えることが現実的です。

平日の勉強時間については、大学の授業がある日は3〜4時間が目安となります。具体的には、午前中に授業があれば午後から夕方にかけて2時間、夜に2時間といったスケジュールです。授業がない日や午後だけ授業がある日は、5〜6時間の学習時間を確保できます。予備校に通っている場合、講義時間も勉強時間に含まれますが、講義を受けるだけでなく、復習や問題演習の時間を必ず確保することが重要です。

休日の勉強時間については、1日6〜8時間が理想的です。朝から夕方まで図書館や予備校の自習室で集中して勉強し、夜は軽めの復習やリラックスする時間に充てるのが効果的です。ただし、週に1日は完全に休む日を設けることも大切で、心身のリフレッシュが学習効率の維持につながります。

1週間あたりの勉強時間を計算すると、平日3〜4時間×5日=15〜20時間、休日6〜8時間×2日=12〜16時間で、合計27〜36時間となります。これを1ヶ月続ければ約100〜150時間、1年間で約1,400〜1,800時間の学習時間を確保できます。2〜3年間継続すれば、3,000〜5,000時間の学習時間に到達する計算です。

ただし、試験直前期は勉強時間を大幅に増やす必要があります。短答式試験の1〜2ヶ月前、論文式試験の2〜3ヶ月前は、平日でも5〜6時間、休日は10時間以上の学習時間を確保し、集中的に過去問演習や総復習を行います。この時期は、大学の授業やアルバイトを最小限にし、試験勉強を最優先にすることが合格への近道です。

短答式・論文式までの総合学習時間

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の二段階制となっています。それぞれの試験に必要な学習時間について詳しく見ていきましょう。

短答式試験に合格するまでには、約1,500〜2,500時間の学習が必要とされています。短答式試験は、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目で構成され、すべてマークシート形式です。科目別の学習時間の目安は、財務会計論が600〜1,000時間、管理会計論が400〜600時間、監査論が300〜500時間、企業法が300〜500時間程度です。

財務会計論は範囲が最も広く、簿記の基礎から会計基準の理解まで幅広い知識が求められます。特に簿記は、仕訳や財務諸表の作成など実務的なスキルを身につける必要があるため、多くの時間を割く必要があります。管理会計論は、原価計算や予算管理など企業の内部管理に関する科目で、計算問題が中心となります。監査論は、監査の手続きや監査報告書の作成など、監査実務に関する理論を学びます。企業法は、会社法や金融商品取引法の条文を理解し、暗記することが求められます。

論文式試験に合格するまでには、短答式試験後からさらに1,500〜2,500時間の学習が必要です。論文式試験は、短答式試験の4科目に加えて、租税法と選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のいずれか)が追加され、全て記述式試験となります。租税法の学習には400〜600時間、選択科目には300〜500時間程度が必要です。また、短答式試験で学習した4科目についても、論文対策として論述力や応用力を養うために、さらに600〜1,000時間の学習が必要となります。

論文式試験では、単に知識を暗記するだけでなく、その知識を使って論理的に文章を書く能力が求められます。そのため、過去問を繰り返し解き、答案作成の練習をすることが非常に重要です。また、予備校の答練(答案練習)や模擬試験を活用し、時間内に答案を作成する練習を積むことも欠かせません。

短答式試験と論文式試験を合わせた総合学習時間は、3,000〜5,000時間となりますが、これはあくまで平均的な目安です。効率的に学習を進められる人は3,000時間程度で合格することもありますし、基礎知識が不足している場合や学習方法が非効率な場合は、5,000時間以上かかることもあります。重要なのは、単に時間をかけるのではなく、質の高い学習を継続することです。

長期休暇(夏休み・春休み)の活用方法

大学生が公認会計士試験の学習を進める上で、夏休みと春休みの長期休暇は非常に重要な期間です。この期間をどう活用するかが、合格への大きな鍵となります。

夏休みは通常7月下旬〜9月末までの約2ヶ月間あります。この期間を有効活用すれば、約400〜500時間の学習時間を確保できます。夏休みの活用方法としては、まず苦手科目の克服に時間を使うことが効果的です。通常の学期中は時間が限られているため、理解が不十分な分野をじっくり復習する時間がありません。夏休みはこれらの弱点を補強する絶好の機会です。

また、夏休みは短答式試験の直前期(試験は12月と5月)ではないため、基礎固めや新しい科目の学習に集中するのに適しています。例えば、1年生の夏休みは簿記の基礎を徹底的に固める、2年生の夏休みは監査論や企業法の基礎学習を進める、3年生の夏休みは論文式試験の租税法や選択科目の学習を開始する、といった使い方が考えられます。

夏休み中の学習スケジュールとしては、毎日8〜10時間の勉強を目指します。朝9時から夕方6時まで図書館や予備校の自習室で集中して勉強し、夜は軽めの復習やリラックスする時間に充てるのが理想的です。ただし、2ヶ月間ずっと勉強漬けでは疲れてしまうため、週に1日は完全にオフの日を設け、友人と遊んだり趣味の時間を楽しんだりすることも大切です。

春休みは通常2月初旬〜3月末までの約2ヶ月間あります。この期間も夏休み同様、約400〜500時間の学習時間を確保できます。春休みの特徴は、短答式試験(5月実施)の直前期に当たることです。そのため、春休みは短答式試験の総仕上げに使うのが効果的です。過去問演習を繰り返し、模擬試験を受けて弱点を把握し、直前期の追い込み学習を行います。

短答式試験合格後の春休みは、論文式試験の学習を本格的に開始する時期となります。租税法や選択科目の学習を進めるとともに、既習科目の論文対策も並行して行います。論文式試験は8月に実施されるため、春休みから夏休みにかけての約半年間が論文式試験対策の中心期間となります。

長期休暇を有効活用するためのポイントは、事前に学習計画を立てることです。休暇が始まる前に、「この2ヶ月で何を達成するか」を明確にし、週単位・日単位の学習スケジュールを立てます。また、休暇中も規則正しい生活を心がけることが重要です。夜更かしや朝寝坊を続けると学習リズムが崩れ、効率が低下します。毎日決まった時間に起きて勉強を始める習慣を維持しましょう。

公認会計士試験の勉強時間については、より詳しい情報を別の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

公認会計士試験|大学生の予備校選びと独学の判断基準

公認会計士を目指す大学生にとって、予備校を利用するか独学で進めるかは重要な選択です。このセクションでは、予備校の通学コースと通信コースの違い、大学の授業との両立方法、そして独学での合格の可能性について詳しく解説します。自分に合った学習方法を見つける参考にしてください。

予備校通学コースと通信コースの違い

公認会計士試験の予備校には、主に通学コースと通信コースの2つがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分の生活スタイルや学習スタイルに合わせて選ぶことが重要です。

通学コースのメリットは、まず講師から直接授業を受けられることです。講義中に疑問が生じた場合、その場で質問できるため、理解が深まりやすくなります。また、教室には同じ目標を持つ受験生が集まっているため、切磋琢磨しながら勉強できる環境があります。仲間と情報交換したり、一緒に勉強したりすることで、モチベーションを維持しやすいという利点もあります。

さらに、通学コースでは決まった時間に教室に行く必要があるため、強制的に勉強のリズムを作ることができます。自己管理が苦手な人や、自宅では集中して勉強できない人にとって、通学コースは有効な選択肢です。予備校の自習室も利用できるため、授業がない日でも勉強する場所を確保できます。

一方、通学コースのデメリットは、時間の拘束があることです。授業の時間が固定されているため、大学の授業やアルバイトとの調整が必要になります。また、予備校が自宅や大学から遠い場合、通学時間が負担になることもあります。さらに、通学コースは通信コースよりも費用が高い傾向にあります。

通信コースのメリットは、時間と場所の自由度が高いことです。オンラインで講義動画を視聴できるため、自分の都合の良い時間に勉強できます。大学の授業が夕方まである日は夜に、午前中だけの日は午後に、というように柔軟にスケジュールを組めます。また、講義を倍速で視聴したり、わからない箇所を繰り返し見たりできるため、効率的に学習を進められます。

通信コースは通学コースよりも費用が安いことも大きなメリットです。予備校によっては、通学コースの半額程度の料金で受講できる場合もあります。また、通学時間がかからないため、その分を勉強時間に充てることができます。

デメリットとしては、自己管理が求められることです。決まった時間に授業を受ける必要がないため、サボりがちになる人もいます。また、講師に直接質問できないため、疑問点の解決に時間がかかる場合があります。ただし、多くの通信コースでは、メールやオンラインチャットで質問できるサポート体制が整っているため、この点は大きな問題にはなりません。

大学生にとっては、通信コースの方が大学の授業との両立がしやすいため、通信コースを選ぶ人が多い傾向にあります。ただし、自己管理に自信がない場合や、仲間と一緒に勉強したい場合は、通学コースを選ぶのも良い選択です。また、基礎期は通信コースで学び、直前期は通学コースの答練や模擬試験に参加するというハイブリッド型の学習スタイルも効果的です。

大学の授業と予備校の両立方法

大学の授業と予備校の勉強を両立させることは、公認会計士を目指す大学生にとって大きな課題です。ここでは、効果的な両立方法を紹介します。

まず、履修する科目を慎重に選ぶことが重要です。1年生のうちは必修科目が多いため、ある程度の単位を取得しておき、2年生以降は履修科目数を減らして勉強時間を確保する戦略が有効です。また、公認会計士試験に関連する科目(会計学、経営学、経済学、法学など)を優先的に履修すれば、大学の授業が試験勉強の一部となり、一石二鳥です。

時間割の組み方も工夫が必要です。授業を午前中に集中させ、午後は予備校の講義や自習に充てる、あるいは週に2〜3日は授業を入れずに丸一日勉強できる日を作る、といった工夫が考えられます。また、1限や5限などの授業はできるだけ避け、連続した空き時間を作ることで、まとまった勉強時間を確保しやすくなります。

単位の取得については、最低限の単位を確保することを心がけましょう。公認会計士試験の勉強に集中するあまり、大学の単位が不足して卒業できないという事態は避けなければなりません。各学期で取得すべき単位数を計算し、必要な単位を確実に取得するよう計画を立てます。試験前の期間は大学の勉強にも時間を割き、単位を落とさないようにすることが重要です。

大学の課題やレポートについては、締め切りを守ることを最優先にしつつ、できるだけ効率的にこなす工夫が必要です。レポートのテーマが公認会計士試験に関連する内容であれば、試験勉強と重ね合わせて取り組むこともできます。また、グループワークが必要な授業は、できるだけ避けるか、役割分担をしっかり行って自分の負担を最小限にすることも一つの方法です。

予備校との両立においては、通信コースを選ぶことで柔軟性が高まります。大学の授業がない時間や長期休暇に集中して講義を視聴し、日々の復習や問題演習を継続することで、効率的に学習を進められます。通学コースの場合は、授業の時間が固定されるため、大学の時間割との調整が必要ですが、夜間コースや週末コースを選べば、大学の授業との衝突を避けられます。

独学での合格は可能か|メリット・デメリット

公認会計士試験を独学で合格することは可能でしょうか。結論から言えば、理論上は可能ですが、非常に困難であり、おすすめはしません。ここでは、独学のメリットとデメリットを詳しく解説します。

独学のメリットは、まず費用を大幅に抑えられることです。予備校の受講料は通学コースで70〜80万円、通信コースでも40〜60万円程度かかります。独学であれば、テキストや問題集の購入費用のみで済むため、10〜20万円程度に抑えることができます。経済的に余裕がない場合、独学は魅力的な選択肢に見えるかもしれません。

また、独学は自分のペースで学習を進められるというメリットもあります。予備校のカリキュラムに縛られることなく、得意な科目は速く進め、苦手な科目には時間をかけるといった調整が可能です。自己管理能力が高く、自分に合った学習方法を確立できる人にとっては、独学も一つの選択肢となります。

しかし、独学のデメリットは非常に大きく、多くの受験生にとって合格を難しくする要因となります。まず、公認会計士試験の範囲は膨大であり、どこから手をつければ良いのか、どの程度の深さで学習すれば良いのかを判断することが困難です。予備校では、過去の出題傾向を分析し、重要度の高い論点に絞って効率的に学習できるカリキュラムが組まれていますが、独学ではこのような情報を得ることが難しいです。

また、論文式試験では、論述力や答案作成のテクニックが求められますが、これらは独学では身につけにくいスキルです。予備校では、答練や模擬試験を通じて、講師から答案の添削やフィードバックを受けることができ、答案作成のノウハウを学べます。独学では、自分の答案が合格レベルに達しているのか判断することが難しく、試験本番で十分な点数を取れない可能性があります。

さらに、独学ではモチベーションの維持が難しいという問題もあります。公認会計士試験の勉強は長期間に及び、途中で挫折する人も少なくありません。予備校に通っていれば、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨し、講師からの励ましを受けることでモチベーションを保ちやすくなりますが、独学では孤独な戦いになりがちです。

独学で合格している人は、元々会計学を大学で専門的に学んでいた人や、簿記1級などの資格を既に持っている人が多い傾向にあります。全くの初学者が独学で合格することは極めて困難です。もし独学を考えている場合は、まず簿記3級・2級を独学で取得してみて、自分に独学が向いているかを確認することをおすすめします。

結論として、公認会計士試験に合格するためには、予備校の利用が最も効率的で確実な方法です。特に大学生の場合、予備校の通信コースを活用すれば、大学の授業と両立しながら、効率的に学習を進めることができます。費用はかかりますが、合格までの時間を短縮できることを考えれば、投資する価値は十分にあると言えるでしょう。

公認会計士予備校の選び方については公認会計士予備校の選び方と比較で、独学に関しては公認会計士の独学勉強法でそれぞれ詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

大学在学中に公認会計士試験に合格するための5つのポイント

大学在学中に公認会計士試験に合格するためには、効率的な学習計画と継続的な努力が不可欠です。このセクションでは、学習スケジュールの立て方、大学の履修科目の選択方法、モチベーション維持のコツなど、合格に直結する5つの重要なポイントを解説します。

学習スケジュールの立て方と守り方

公認会計士試験に合格するためには、長期的かつ計画的な学習スケジュールを立てることが不可欠です。まず、試験日から逆算して、いつまでに何を学習するかを明確にします。短答式試験は年2回(5月と12月)、論文式試験は年1回(8月)実施されるため、これらの試験日を基準に学習計画を立てます。

具体的なスケジュールの立て方としては、まず長期目標を設定します。例えば、「2年後の5月に短答式試験合格、3年後の8月に論文式試験合格」といった大きな目標を立てます。次に、この目標を達成するために、各時期に何を学習すべきかを中期目標として設定します。「1年目は簿記と財務会計論の基礎」「1年半後までに短答式4科目を一通り学習」「2年目は短答式の過去問演習」といった具合です。

さらに、中期目標を短期目標に落とし込みます。月単位、週単位で「今月はこの範囲を終わらせる」「今週はこの問題集を解く」といった具体的な計画を立てます。特に重要なのは、毎日の学習内容を明確にすることです。「今日は財務会計論のテキスト第3章を読む」「今日は管理会計論の問題集を20問解く」といったように、達成可能な具体的な目標を設定します。

学習スケジュールを守るためには、以下のような工夫が有効です。まず、毎日決まった時間に勉強を始める習慣をつけます。朝型の人は朝に、夜型の人は夜に、自分が最も集中できる時間帯を勉強時間に充てます。また、スマートフォンのカレンダーアプリやタスク管理アプリを活用し、学習予定を可視化することで、計画通りに進めやすくなります。

学習の進捗を記録することも重要です。毎日の学習時間や学習内容を記録し、週末に1週間の振り返りを行います。計画通りに進んでいない場合は、原因を分析し、次週の計画を修正します。ただし、計画通りに進まないからといって自分を責めすぎないことも大切です。人間は完璧ではありませんし、予期せぬ用事が入ることもあります。多少の遅れは許容しつつ、長期的には目標を達成できるよう調整していきます。

また、定期的に模擬試験を受けることで、自分の実力を客観的に把握し、学習計画を見直す機会を作ることも重要です。予備校の模擬試験は、本番と同じ形式で実施されるため、時間配分や解答のペースを確認するのに役立ちます。模擬試験の結果をもとに、弱点科目や苦手分野を把握し、重点的に学習することで、効率的に実力を伸ばせます。

大学の履修科目選択で効率化する方法

大学の履修科目を戦略的に選択することで、公認会計士試験の学習時間を確保しやすくなるだけでなく、試験勉強にも役立てることができます。

まず、公認会計士試験に関連する科目を積極的に履修することをおすすめします。会計学(財務会計、管理会計)、監査論、経営学、商法、税法などの科目は、公認会計士試験の学習内容と重なる部分が多く、大学の授業が試験勉強の一部となります。これらの科目で高得点を取ることを目指せば、大学の成績も公認会計士試験の実力も同時に向上させることができます。

逆に、公認会計士試験とは関連性の低い科目や、課題やレポートの負担が重い科目は、できるだけ避けるか最小限に抑えることが賢明です。特に、グループワークが多い科目や、フィールドワークが必要な科目は、時間の拘束が大きいため、公認会計士試験の勉強に支障をきたす可能性があります。

卒業に必要な単位を早めに取得しておくことも重要な戦略です。1年生と2年生のうちに、できるだけ多くの単位を取得しておけば、3年生以降は履修科目数を減らして試験勉強に集中できます。また、卒業要件ギリギリで単位を取得していると、万が一単位を落とした場合に卒業できなくなるリスクがあるため、余裕を持って単位を取得しておくことが安心につながります。

授業の出席が厳しくない科目や、テストのみで評価される科目を選ぶことも、時間を効率的に使う方法の一つです。毎回出席が必須で、小テストやレポートが頻繁にある科目は、公認会計士試験の勉強時間を圧迫します。シラバスをよく読み、評価方法や課題の内容を確認してから履修科目を選びましょう。

また、教授や先輩から情報を集めて、「単位が取りやすい科目」「試験が簡単な科目」を把握することも有効です。ただし、単位を取ることだけを目的にするのではなく、自分の興味や将来のキャリアに役立つ科目も適度に選ぶことで、充実した大学生活を送ることができます。

モチベーション維持のコツと挫折対策

公認会計士試験の勉強は長期間に及ぶため、モチベーションを維持することが非常に重要です。多くの受験生が、途中で挫折してしまうのは、モチベーションの低下が原因です。ここでは、モチベーションを維持するためのコツと、挫折しそうになったときの対処法を紹介します。

まず、明確な目標を持つことがモチベーション維持の基本です。「なぜ公認会計士になりたいのか」「公認会計士になって何をしたいのか」を明確にし、常に意識することで、困難な状況でも頑張り続けることができます。目標を紙に書いて机に貼る、スマートフォンの待ち受け画面にする、といった工夫も効果的です。

同じ目標を持つ仲間を作ることも、モチベーション維持に大きく役立ちます。予備校で知り合った友人や、大学の同級生で公認会計士を目指している人と一緒に勉強することで、お互いに励まし合い、切磋琢磨することができます。SNSやオンラインコミュニティで、全国の受験生とつながることも一つの方法です。

小さな成功体験を積み重ねることも重要です。問題集を1冊終わらせる、模擬試験で目標点数を達成する、といった小さな目標を設定し、達成するたびに自分を褒めることで、自信がつき、次の目標に向かう原動力となります。また、学習の進捗を可視化することで、「自分はこれだけ頑張った」という実感を得ることができます。

適度な休息とリフレッシュも、モチベーション維持には欠かせません。毎日勉強漬けの生活では、心身ともに疲弊し、かえって効率が低下します。週に1日は完全に休む日を設ける、趣味の時間を確保する、運動をする、といったリフレッシュ方法を取り入れることで、長期的に高いモチベーションを保つことができます。

挫折しそうになったときの対処法としては、まず原因を冷静に分析することが重要です。勉強が思うように進まない、模擬試験の成績が悪い、周りと比較して焦る、といった原因は何なのかを考えます。原因が明確になれば、対策も立てやすくなります。例えば、勉強方法が非効率であれば方法を変える、睡眠不足で集中できないのであれば生活リズムを整える、といった具合です。

また、一時的に勉強から離れることも、時には必要です。どうしてもやる気が出ないときは、1日完全に休んでリフレッシュすることで、翌日から再び集中して勉強できることもあります。無理に勉強を続けても効率が悪く、かえって時間の無駄になることもあるため、自分の心身の状態を見極めることが大切です。

最後に、公認会計士試験に挑戦していること自体が、すでに大きな一歩であることを忘れないでください。多くの大学生が遊びやアルバイトに時間を使う中で、難関資格に挑戦していることは立派なことです。仮に一度試験に不合格になったとしても、その経験は必ず将来の財産になります。前向きな気持ちを持ち続けることが、最終的な合格につながります。

公認会計士資格と大学の学部・学歴の関係性

公認会計士試験において、大学の学部や学歴は合格に影響するのでしょうか。このセクションでは、有名大学出身者が多い理由、学部による有利不利の有無、そして学歴に関係なく合格できる根拠について、データをもとに詳しく解説します。

有名大学出身者が多い理由

公認会計士試験の合格者を大学別に見ると、慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、明治大学などの有名私立大学や、東京大学、京都大学、一橋大学などの難関国立大学の出身者が多い傾向にあります。これは、これらの大学の学生が特別に優秀だからというよりも、いくつかの環境的要因が影響していると考えられます。

まず、これらの大学には公認会計士を目指す学生が多く集まっているという点が挙げられます。慶應義塾大学や中央大学には、学内に公認会計士試験対策の講座やサポート体制が充実しており、同じ目標を持つ仲間が多い環境があります。このような環境では、情報交換がしやすく、モチベーションも維持しやすいため、合格率が高くなります。

また、これらの大学の学生は、大学受験で高い学力を証明しており、学習能力や記憶力が高い傾向にあります。公認会計士試験は膨大な知識の暗記と理解が求められるため、高い学習能力を持つ学生が有利になるのは自然なことです。ただし、これは大学のブランドそのものが有利なのではなく、元々学力の高い学生がその大学に集まっているという相関関係です。

さらに、有名大学の周辺には大手予備校の校舎が多く、アクセスが良いことも一因です。東京や大阪などの大都市にある大学の学生は、CPA会計学院、TAC、大原などの予備校に通いやすく、質の高い教育を受ける機会が多いです。一方、地方の大学では予備校の選択肢が限られるため、通信コースを利用せざるを得ないこともあります。

経済的な要因も無視できません。有名私立大学の学生は、比較的経済的に余裕のある家庭出身であることが多く、予備校の費用(70〜80万円程度)を負担できる環境にあります。また、アルバイトをせずに勉強に専念できる時間的余裕があることも、合格率の高さにつながっています。

学部による有利不利は存在するか

公認会計士試験において、商学部や経済学部、経営学部の学生が有利なのではないかという疑問を持つ人も多いでしょう。結論から言えば、学部による有利不利は存在しますが、それほど大きな影響ではありません。

商学部や経済学部の学生は、大学の授業で会計学や経営学の基礎を学んでいるため、公認会計士試験の学習をスムーズに始められるというメリットがあります。特に、簿記を大学で学んでいる場合、公認会計士試験の財務会計論の導入がスムーズです。また、経済学や経営学の知識は、公認会計士試験の選択科目としても活用できます。

一方、法学部の学生は、企業法(会社法、金融商品取引法)の学習において有利です。大学で法律の学習方法を身につけているため、条文の理解や暗記に慣れており、企業法の学習がスムーズに進みます。また、民法を選択科目とする場合、法学部で学んだ知識をそのまま活かせます。

理系学部の学生は、数学的な思考力が高いため、管理会計論や統計学(選択科目)で有利になることがあります。また、論理的思考力が求められる公認会計士試験において、理系のバックグラウンドは決してマイナスではありません。

ただし、これらの有利不利は、試験勉強の初期段階で多少の差がつく程度であり、長期的には大きな影響はありません。実際、文学部や教育学部、理学部など、会計とは全く関係のない学部から公認会計士試験に合格している人も多数います。重要なのは、学部の知識ではなく、試験に向けてどれだけ効率的に学習できるかという点です。

また、公認会計士試験は受験資格に制限がないため、どの学部の学生でも平等に受験できます。大学での専攻よりも、予備校での学習や自習の質と量が合格を左右する最も大きな要因です。

学歴に関係なく合格できる根拠

公認会計士試験は、学歴に関係なく誰でも合格できる試験です。その根拠をいくつか挙げてみましょう。

まず、公認会計士試験には受験資格の制限がありません。大学生であれば、どの大学のどの学部に所属していても受験できますし、年齢制限もありません。これは、弁護士試験(司法試験)が法科大学院の修了を原則として求めるのとは対照的です。誰でも挑戦できるという意味で、公認会計士試験は非常にオープンな試験と言えます。

次に、試験内容は完全に公平です。試験問題は全受験生に対して同じであり、採点も客観的に行われます。学歴や所属大学によって採点基準が変わることはありません。短答式試験はマークシート形式で機械的に採点されますし、論文式試験も複数の試験委員による客観的な採点が行われます。

実際のデータを見ても、地方大学や中堅大学からの合格者は毎年多数います。確かに有名大学出身者の割合が高いのは事実ですが、これは前述の通り環境的要因や学習能力の相関によるものであり、大学名そのものが合格に影響するわけではありません。地方の国立大学や公立大学、さらには私立大学からも、毎年安定して合格者が出ています。

また、予備校の通信コースの発達により、地方在住者や地方大学の学生でも、都市部の学生と同じ質の教育を受けることができるようになりました。オンライン講義の質は通学コースと変わらず、質問もメールやチャットで対応してもらえるため、地理的なハンディキャップはほとんどなくなっています。

さらに、公認会計士試験は、学歴よりも努力と継続力が重要な試験です。3,000〜5,000時間という膨大な学習時間を確保し、質の高い学習を継続できるかどうかが、合格の鍵を握ります。有名大学の学生でも、十分な学習時間を確保しなければ合格できませんし、逆にどの大学の学生でも、適切な学習方法で努力を続ければ合格できます。

最後に、合格後のキャリアにおいても、学歴はほとんど影響しません。監査法人は実力主義の世界であり、仕事の成果や専門知識が評価されます。公認会計士という資格を持っている時点で、どの大学出身であっても平等に評価され、キャリアを築くチャンスがあります。

大学別の合格実績については公認会計士試験に強い大学ランキングで詳しく解説していますので、興味のある方はご覧ください。

公認会計士試験合格後の就職活動と大学生のキャリア

公認会計士試験に合格した後、どのような就職活動が待っているのでしょうか。このセクションでは、監査法人への就職活動の流れ、大学在学中に内定を得た場合の働き方、そして一般企業への就職でも有利になる理由について詳しく解説します。

監査法人への就職活動の流れ

公認会計士試験の論文式試験に合格すると、監査法人への就職活動を開始します。監査法人の採用活動は、論文式試験の合格発表(11月中旬頃)の直後から始まるため、合格発表から内定までは非常に短期間で進みます。

まず、論文式試験の合格発表があると、Big4監査法人(有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwCあらた有限責任監査法人)をはじめとする各監査法人が、合格者向けの説明会や採用イベントを開催します。これらのイベントには積極的に参加し、各監査法人の特徴や業務内容、社風などを把握することが重要です。

説明会に参加した後、興味のある監査法人にエントリーします。多くの合格者は、複数の監査法人にエントリーし、比較検討しながら最終的な就職先を決めます。エントリー後、書類選考(履歴書、エントリーシート)が行われ、通過者には面接の案内が届きます。

面接は通常、1〜2回実施されます。面接では、なぜ公認会計士を目指したのか、なぜこの監査法人を選んだのか、将来どのようなキャリアを築きたいのか、といった質問がされます。また、学生時代に力を入れたことや、公認会計士試験の学習で苦労したことなども聞かれることがあります。面接対策としては、自己分析をしっかり行い、自分の強みや志望動機を明確にしておくことが重要です。

面接に合格すると、内定となります。内定から入社までの期間は、合格発表が11月、入社が翌年の4月または7月というケースが一般的です。大学4年生で合格した場合、卒業後すぐに入社することができます。大学3年生以下で合格した場合は、在学中に内定を得て、卒業後に入社するか、あるいは非常勤勤務として働きながら大学を卒業する選択肢もあります。

近年、公認会計士の需要は高まっており、合格者に対する求人倍率は常に1倍を超える売り手市場です。そのため、論文式試験に合格していれば、ほぼ確実にどこかの監査法人から内定を得ることができます。ただし、希望する監査法人に入るためには、面接対策や自己PRの準備をしっかり行うことが大切です。

大学在学中に内定を得た場合の働き方

大学3年生以下で公認会計士試験に合格し、監査法人から内定を得た場合、いくつかの働き方の選択肢があります。

最も一般的なのは、大学を卒業してから正式に入社する方法です。この場合、内定を得た後も大学に通い続け、残りの単位を取得して卒業します。監査法人によっては、内定者向けの懇親会や研修が開催されることもあり、入社前から監査法人の雰囲気に慣れることができます。また、内定者同士で交流する機会もあり、入社後の人間関係の構築にも役立ちます。

もう一つの選択肢は、非常勤勤務として働きながら大学を卒業する方法です。多くの監査法人では、内定者を対象に非常勤勤務の機会を提供しています。非常勤勤務では、週に2〜3日、1日4〜6時間程度の勤務で、実際の監査業務をサポートする仕事に携わることができます。時給は2,000〜3,000円程度と高く、実務経験を積みながら収入も得られるため、非常に有益です。

非常勤勤務のメリットは、実務経験を早期に積めることです。公認会計士になるためには、試験合格後に2年間の実務経験が必要ですが、非常勤勤務の期間も実務経験としてカウントされる場合があります(監査法人や勤務時間によって異なるため、確認が必要です)。また、実務を通じて会計や監査の知識を深めることができ、正式に入社した後のスムーズな業務遂行につながります。

ただし、非常勤勤務を始める場合は、大学の授業との両立が課題となります。残りの単位を確実に取得し、卒業できるよう計画的に履修することが重要です。また、卒業論文や卒業研究がある場合は、それらの時間も確保する必要があります。無理のない範囲で勤務日数や勤務時間を調整し、大学卒業を最優先に考えることが大切です。

なお、大学2年生以下で合格した場合は、すぐに正式入社することは現実的ではないため、非常勤勤務をしながら大学を卒業するか、あるいは内定を保留にして大学生活に専念するかを選ぶことになります。どちらを選ぶかは、個人の状況や価値観によりますが、大学生活を楽しむ時間も大切にすることをおすすめします。

一般企業への就職でも有利になる理由

公認会計士試験に合格している、または学習中であることは、一般企業への就職活動においても非常に大きなアドバンテージとなります。ここでは、その理由を詳しく解説します。

まず、会計知識は全てのビジネスの基礎であり、どの業界・職種でも重宝されるスキルです。企業の財務諸表を読み解く力、経営状況を分析する力、予算管理や原価計算のスキルなどは、営業職、企画職、財務職、経営企画職など幅広い職種で求められます。公認会計士試験の学習を通じてこれらのスキルを身につけていることは、企業から高く評価されます。

次に、公認会計士試験に挑戦していること自体が、目標に向かって努力できる人材であることの証明になります。面接では、「なぜ公認会計士を目指したのか」「学習を通じて何を学んだか」「試験勉強で苦労したことをどう乗り越えたか」といった質問を通じて、あなたの努力や成長をアピールできます。特に、論文式試験に合格している場合は、非常に高い評価を受けることができます。

また、公認会計士試験の学習で身につく論理的思考力や問題解決能力は、社会人として必須のスキルです。複雑な会計基準を理解し、応用問題を解く能力は、ビジネスの現場で直面する様々な課題を解決する力に直結します。企業は、このような能力を持つ人材を積極的に採用したいと考えています。

さらに、公認会計士試験に挑戦している学生は、時間管理能力やセルフマネジメント能力に優れていると評価されます。大学の授業や試験勉強を両立させながら、計画的に学習を進めてきた経験は、仕事においても効率的にタスクをこなす能力があることを示しています。

一般企業の中でも、特に金融業界、コンサルティング業界、商社、大手メーカーの財務部門などでは、公認会計士資格や学習経験が非常に高く評価されます。これらの業界では、会計知識や財務分析のスキルが直接業務に活かせるため、公認会計士試験合格者は即戦力として期待されます。

ただし、一般企業への就職を考える場合は、公認会計士試験の勉強に専念しすぎて、就職活動の準備が疎かにならないよう注意が必要です。エントリーシートの作成、面接対策、企業研究など、就職活動にも十分な時間を割くことが重要です。また、公認会計士試験に不合格だった場合でも、学習経験は十分アピールポイントになるため、自信を持って就職活動に臨むことができます。

公認会計士を目指す大学生が失敗しないための注意点

公認会計士を目指す大学生には、いくつかの落とし穴があります。このセクションでは、単位不足で卒業できないリスク、資格浪人になった場合の対処法、予備校費用と奨学金の計画について解説します。これらの注意点を事前に理解し、対策を講じることで、安心して公認会計士を目指すことができます。

単位不足で卒業できないリスク

公認会計士試験の勉強に集中するあまり、大学の授業や試験を疎かにし、単位不足で卒業できないという事態は絶対に避けなければなりません。このリスクを避けるための対策を紹介します。

まず、卒業に必要な単位数を正確に把握することが重要です。大学によって卒業要件は異なりますが、一般的には124〜130単位程度が必要です。これには、必修科目、選択必修科目、選択科目、語学科目、教養科目などが含まれます。入学時に配布される学生便覧やシラバスをよく読み、卒業までに取得すべき単位の内訳を確認しましょう。

次に、各学期で取得すべき単位数を計画的に設定します。例えば、4年間で124単位が必要な場合、1学期あたり15〜16単位を取得すれば、順調に卒業できる計算になります。ただし、公認会計士試験の勉強に集中する3年生や4年生は履修科目を減らす予定であれば、1年生や2年生のうちに多めに単位を取得しておくことが賢明です。

各学期の履修登録前に、時間割と公認会計士試験の学習スケジュールを照らし合わせ、無理のない範囲で履修科目を選びましょう。特に、出席が厳しい科目、課題が多い科目、グループワークが必要な科目は、試験勉強との両立が難しくなる可能性があるため、慎重に選ぶ必要があります。

また、試験前の期間は、大学の勉強にもしっかり時間を割くことが大切です。公認会計士試験の直前期と大学の定期試験が重なる場合は、スケジュール調整が難しくなりますが、単位を落とさないよう優先順位をつけて対応します。特に必修科目は絶対に落とさないよう、最優先で対策を行いましょう。

万が一、単位を落としてしまった場合は、すぐにリカバリーの計画を立てます。次の学期で追加の単位を取得する、夏期集中講義や補講を活用する、といった方法で、単位不足を解消できます。また、卒業要件を満たせない可能性がある場合は、早めに指導教員や学務課に相談し、対策を講じることが重要です。

卒業できないという事態になると、公認会計士試験に合格していても、正式に就職することができない、あるいは就職が1年遅れるといった問題が生じます。これは非常にもったいないことですので、大学の単位取得は最優先事項として意識し続けましょう。

資格浪人になった場合の対処法

大学在学中に公認会計士試験に合格できず、卒業後も試験勉強を続ける「資格浪人」になる可能性もあります。資格浪人になること自体は決して珍しいことではなく、多くの合格者が経験していますが、適切な対処法を知っておくことが重要です。

まず、資格浪人になる前に、本当に公認会計士を目指し続けるかを冷静に考えることが大切です。卒業後も勉強を続ける場合、収入がない期間が続くため、経済的な負担が大きくなります。また、年齢を重ねるごとに、万が一不合格が続いた場合の就職活動が難しくなる可能性もあります。自分の本気度や家族のサポート状況、経済的な余裕などを総合的に考え、決断しましょう。

資格浪人として勉強を続ける場合、生活費や予備校費用をどう賄うかが大きな課題となります。選択肢としては、以下のようなものがあります。

一つ目は、親の支援を受ける方法です。家族が経済的に支援してくれる場合、勉強に専念できる環境が整います。ただし、期限を決めることが重要です。「あと1年だけ」「論文式試験を2回受けるまで」といった具合に、明確な期限を設定し、それまでに合格できなければ就職するという計画を立てることが、家族の理解を得るためにも必要です。

二つ目は、アルバイトをしながら勉強を続ける方法です。週に2〜3日程度のアルバイトで生活費を賄いながら、残りの時間を勉強に充てます。ただし、アルバイトで体力を消耗すると、学習効率が低下するため、できるだけ負担の少ない仕事を選ぶことが重要です。短答式試験に合格している場合は、監査法人の非常勤勤務を選ぶことで、収入を得ながら実務経験も積めるため、非常に有益です。

三つ目は、一般企業に就職しながら勉強を続ける方法です。この場合、仕事と勉強の両立は非常に大変ですが、経済的な不安がなくなるため、精神的には安定します。経理職や財務職など、会計知識を活かせる仕事を選べば、実務経験を積みながら試験勉強も進められます。ただし、繁忙期には勉強時間の確保が難しくなるため、長期戦を覚悟する必要があります。

資格浪人になった場合、孤独感や焦りを感じることもあるでしょう。周りの同級生が就職して社会人として活躍している中、自分だけが試験勉強を続けていることに不安を感じるかもしれません。しかし、公認会計士という資格を取得することで得られる将来の価値を信じ、前向きに努力を続けることが大切です。また、同じ境遇の受験生仲間とつながり、お互いに励まし合うことも、モチベーション維持に役立ちます。

最後に、何度か試験に挑戦しても合格できない場合は、方向転換を考えることも一つの選択肢です。公認会計士試験は難関試験であり、誰もが合格できるわけではありません。他の資格(税理士、簿記1級など)を目指す、あるいは一般企業で会計知識を活かしたキャリアを築くといった選択肢もあります。自分の人生を長期的に考え、最善の判断をすることが重要です。

予備校費用と奨学金の計画

公認会計士試験の勉強には、予備校の受講料をはじめとする費用がかかります。このセクションでは、必要な費用の目安と、奨学金や教育ローンを活用する方法について解説します。

公認会計士試験の予備校費用は、コースによって大きく異なりますが、一般的には以下のような金額が目安となります。通学コースの場合、2年本科コース(初学者向け)で70〜80万円程度、通信コースの場合は40〜60万円程度です。これに加えて、テキストや問題集の費用、模擬試験の受験料などが別途必要になることもあります。

また、短答式試験と論文式試験の受験料も必要です。短答式試験の受験料は19,500円、論文式試験の受験料は19,500円で、両方合わせて約4万円程度です。仮に短答式試験を2回、論文式試験を1回受験する場合、受験料だけで約6万円がかかります。

その他、勉強に関連する費用として、予備校の自習室や図書館への交通費、参考書や文房具の購入費用、カフェで勉強する場合の飲食代なども発生します。これらを合計すると、公認会計士試験の合格までに総額で50〜100万円程度の費用がかかると考えておくと良いでしょう。

この費用をどのように賄うかは、大きな課題です。親の支援を受けられる場合は、その恩恵を最大限に活かし、勉強に専念することができます。ただし、経済的に余裕がない場合は、奨学金や教育ローンを活用する方法もあります。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、多くの大学生が利用しています。第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)があり、家庭の経済状況や成績によって利用できる金額が異なります。奨学金を予備校費用に充てることで、経済的な負担を軽減できます。ただし、卒業後に返済が必要になるため、計画的に利用することが重要です。

また、一部の予備校では、独自の奨学金制度や割引制度を設けています。成績優秀者向けの特待生制度や、早期申込割引、友人紹介割引などがある場合もあるため、各予備校のウェブサイトや資料を確認してみましょう。

さらに、短答式試験に合格した後は、監査法人の非常勤勤務で収入を得ることができます。時給2,000〜3,000円で、週に2〜3日働けば月に10〜15万円の収入になるため、論文式試験の学習費用を自分で賄うことも可能です。

費用の計画を立てる際は、合格までにかかる期間を現実的に見積もることが重要です。2年で合格する場合と、3〜4年かかる場合では、必要な費用が大きく変わります。長期戦になる可能性も考慮し、余裕を持った資金計画を立てることをおすすめします。

公認会計士を目指す大学生に関連するよくある質問(FAQ)

公認会計士を目指す大学生から寄せられる代表的な質問に回答します。これらのFAQを読むことで、公認会計士試験に関する疑問や不安を解消し、より具体的なイメージを持つことができるでしょう。

Q. 公認会計士は大学何年生から目指すのがベストですか?

公認会計士は、大学1年生または2年生から目指すのがベストです。1年生から始めれば、3〜4年の準備期間があり、無理のないペースで学習を進めることができます。2年生から始めても、在学中に合格する十分な時間があります。ただし、3年生以降に始める場合は、より集中的な学習が必要となり、卒業後も勉強を続ける可能性が高くなります。早く始めるほど、時間的余裕が生まれ、大学生活との両立もしやすくなるため、興味があるなら早めに挑戦することをおすすめします。学習開始時期の詳細については、公認会計士になるための全体の流れでも解説しています。

Q. 公認会計士を目指す大学生は遊べないのでしょうか?

公認会計士を目指していても、全く遊べないわけではありません。ただし、一般的な大学生と比べると、遊びや趣味に使える時間は制限されます。公認会計士試験の勉強には平日3〜4時間、休日6〜8時間の学習が必要であり、この時間を確保するためには、ある程度遊びを我慢する必要があります。しかし、週に1〜2回は友人と食事に行ったり、月に数回は趣味の時間を楽しんだりすることは十分可能です。重要なのは、勉強と遊びのバランスを取り、メリハリをつけた生活を送ることです。試験直前期は遊びを控える必要がありますが、それ以外の時期は適度にリフレッシュしながら勉強を続けることができます。

Q. 公認会計士試験に大学の学歴は影響しますか?

公認会計士試験において、大学の学歴は合格に直接的な影響を与えません。試験内容は全受験生に対して公平であり、採点も客観的に行われます。確かに、有名大学出身者の合格者が多いのは事実ですが、これは学習環境や情報へのアクセス、元々の学習能力などの相関であり、大学名そのものが有利に働くわけではありません。地方大学や中堅大学からも毎年多数の合格者が出ており、どの大学からでも合格することは十分可能です。重要なのは、大学のブランドではなく、試験に向けてどれだけ効率的に学習できるかという点です。公認会計士試験に強い大学ランキングでは、大学別の合格実績を詳しく解説しています。

Q. 公認会計士試験と就活を両立することは可能ですか?

公認会計士試験と就職活動の両立は可能ですが、優先順位を明確にすることが重要です。公認会計士を第一志望とする場合は、就職活動を最小限にとどめ、試験勉強を優先する覚悟が必要です。一方、一般企業への就職も視野に入れる場合は、3年生の3月〜4年生の6月の就職活動のピーク時は試験勉強を一時的に中断し、就職活動に専念することも一つの選択肢です。短答式試験に合格している場合は、監査法人への就職活動に絞ることで、活動期間を短縮できます。また、公認会計士試験の学習経験は、一般企業の就職活動でも高く評価されるため、仮に試験に不合格でも就職活動で不利になることはありません。

Q. 公認会計士試験に落ちた場合、大学卒業後はどうすればいいですか?

公認会計士試験に落ちた場合、いくつかの選択肢があります。第一に、資格浪人として勉強を続ける方法です。親の支援を受けるか、アルバイトをしながら生活費を賄い、試験勉強に専念します。ただし、期限を決めて挑戦することが重要です。第二に、一般企業に就職しながら勉強を続ける方法です。経理職や財務職を選べば、実務経験を積みながら試験勉強も進められます。第三に、方向転換して他のキャリアを目指す方法です。公認会計士試験の学習で得た会計知識は、一般企業でも十分に活かせるため、就職活動で高く評価されます。また、税理士や簿記1級など、他の資格を目指すことも選択肢の一つです。どの道を選ぶにしても、公認会計士試験に挑戦したこと自体が貴重な経験であり、決して無駄にはなりません。

Q. 公認会計士の予備校費用はどれくらいかかりますか?

公認会計士の予備校費用は、通学コースで70〜80万円程度、通信コースで40〜60万円程度が目安です。これに加えて、テキストや問題集の費用、模擬試験の受験料などが別途必要になる場合があります。また、短答式試験と論文式試験の受験料(各19,500円)も必要です。総額では50〜100万円程度の費用がかかると考えておくと良いでしょう。費用を抑えたい場合は、通信コースを選ぶ、早期申込割引や友人紹介割引を活用する、奨学金を利用するといった方法があります。また、短答式試験合格後は監査法人の非常勤勤務で収入を得ることができるため、論文式試験の学習費用を自分で賄うことも可能です。予備校の詳しい比較は公認会計士予備校の選び方と比較をご覧ください。

まとめ:公認会計士を目指す大学生の成功戦略と学習計画

本記事では、公認会計士を目指す大学生のための学習計画と合格戦略について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 大学生は公認会計士試験で有利な立場にある:合格者の約6割が大学生・大学院生であり、時間的余裕、高い学習能力、就職活動での優位性など、多くのメリットがあります。特に、記憶力と集中力が高い20代前半という時期は、難関試験に挑戦する絶好のタイミングです。
  2. 学習開始は早ければ早いほど有利:大学1〜2年生から勉強を始めることで、無理のないペースで学習を進められ、在学中に合格する可能性が高まります。3,000〜5,000時間の学習時間を確保するためには、長期的な計画と継続的な努力が必要です。予備校の通信コースを活用し、大学の授業との両立を図ることが成功の鍵となります。
  3. 大学生活との両立は計画次第で可能:公認会計士を目指しながらも、適度に大学生活を楽しむことは可能です。履修科目を戦略的に選び、時間管理を徹底し、長期休暇を有効活用することで、勉強と大学生活の両立を実現できます。ただし、試験直前期は勉強を優先し、メリハリをつけた生活を送ることが重要です。

公認会計士試験の学習を始めたら、公認会計士試験の勉強時間公認会計士の効果的な勉強法を参考に、効率的な学習計画を立てることをおすすめします。また、予備校選びについては公認会計士予備校の選び方と比較で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

本記事を通じて、公認会計士を目指す大学生としての学習計画とキャリア戦略を理解いただけたはずです。公認会計士という資格は、努力次第で誰でも取得できる可能性があります。明確な目標を持ち、計画的に学習を進め、困難を乗り越えながら、公認会計士合格という夢の実現に向けて一歩を踏み出しましょう。

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