公認会計士試験に合格し、これから監査法人や企業への就職を考えているあなたへ。「公認会計士の初任給はいくらなのか」という疑問は、具体的なデータと実例をもとに理解することで解決できます。
本記事では、Big4監査法人を含む各規模の監査法人での初任給、手取り額の計算方法、1年目のボーナスの実態について、最新のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士としてのキャリアスタートに向けて、現実的な生活設計と資金計画を立てましょう。
- Big4監査法人の初任給の相場と一般企業との比較
- 監査法人規模別の初任給の違いと手取り額の計算方法
- 公認会計士1年目のボーナスの実態と年収推移
- 新卒と中途採用での初任給の違いと昇給フロー
- 公認会計士の初任給は月収30-35万円が相場:Big4監査法人では月収30-35万円が一般的で、一般企業新卒の約1.5倍の水準です。年収ベースでは残業代込みで500-600万円となり、高水準のスタートを切ることができます。
- 手取り額は月収の75-80%程度:月収30-35万円の場合、社会保険料や税金を差し引いた手取り額は24-27万円となります。生活費を考慮した資金計画を立てることで、一人暮らしでも十分な生活水準を維持できます。
- 初任給は経験による差が少なく、昇給が早い:公認会計士試験合格者の初任給は基本的に一律で、入社時の年齢や社会人経験による差は少ない傾向です。ただし、4年目以降のシニアスタッフ昇格時には年収700-1,000万円と大幅に上昇します。
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公認会計士(CPA)の初任給は月収30-35万円が相場
公認会計士試験に合格して監査法人に就職する場合、初任給は月収30-35万円が相場となっています。この水準は一般企業の新卒初任給と比較して約1.5倍の高水準であり、専門性の高い資格としての評価を反映しています。
Big4監査法人の初任給は月収30-35万円
Big4監査法人(デロイトトーマツ、あずさ監査法人、EY新日本監査法人、PwCあらた監査法人)では、公認会計士試験合格者の初任給は月収30-35万円に設定されています。2024年度のデータでは、トーマツが月収33万円、あずさが月収32万円、EY新日本が月収31万円、PwCが月収30万円と、各法人で若干の差はありますが、概ね同水準です。
これらの法人では、基本給に加えて残業代が別途支給されるため、実際の月収はさらに高くなります。繁忙期(1月から5月の監査繁忙期)には、残業時間が月40-80時間程度発生することが一般的で、残業代込みの月収は40-50万円に達することもあります。
一般企業新卒(22万円)との比較で約1.5倍
一般企業の新卒初任給は、大学卒業者で平均22-23万円程度です(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)。公認会計士の初任給30-35万円は、この一般企業新卒の約1.5倍に相当し、スタート時点から大きな収入差があります。
この差は、公認会計士試験の難易度の高さと、合格に必要な学習時間(平均3,000-5,000時間)に対する評価を反映しています。また、監査という専門性の高い業務に従事することから、初任給の段階から専門職としての処遇が適用されています。
年収ベースでは500-600万円(残業代込み)
月収30-35万円の初任給を年収ベースで計算すると、基本給だけで360-420万円となります。これに残業代とボーナスを加えると、公認会計士1年目の年収は500-600万円に達します。
具体的な内訳としては、基本給360-420万円、残業代80-120万円(月平均40-60時間の残業を想定)、ボーナス60-80万円(1年目は満額支給されないケースが多い)となります。この水準は、一般企業の新入社員の平均年収250-300万円と比較して、2倍以上の差があります。
入社時の年齢による初任給の違いはほぼない
公認会計士試験合格者の初任給は、入社時の年齢や社会人経験にかかわらず、基本的に一律で設定されています。22歳で合格した新卒者も、30歳で合格した社会人経験者も、同じ初任給からスタートするのが一般的です。
ただし、前職での専門的な経験(例:金融機関での実務経験、ITシステム開発経験など)が監査業務に直接活かせる場合は、入社時の給与交渉で考慮されることもあります。また、既に公認会計士登録が完了している場合は、試験合格者よりも若干高い初任給が設定されるケースもあります。
公認会計士の年収については、初任給だけでなく、キャリア全体を通じた収入推移を理解することが重要です。年齢別や働き方別の詳細な年収データについては、専門記事で解説しています。
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公認会計士の年収は?平均給与・年齢別・働き方別の収入を徹底分析
公認会計士(CPA)の初任給を監査法人規模別に比較
公認会計士の初任給は、就職する監査法人の規模によって若干の違いがあります。Big4監査法人、準大手監査法人、中堅・中小監査法人の3つのカテゴリーに分けて、それぞれの初任給水準を見ていきましょう。
Big4監査法人(トーマツ・あずさ・EY・PwC)の初任給
Big4監査法人は日本を代表する大手監査法人であり、初任給は月収30-35万円が相場です。2024年度の各法人の初任給は以下の通りです。
デロイトトーマツ監査法人:月収33万円(年収約540万円)、あずさ監査法人:月収32万円(年収約520万円)、EY新日本監査法人:月収31万円(年収約510万円)、PwCあらた監査法人:月収30万円(年収約500万円)となっています。これらの金額は基本給のみで、残業代とボーナスを含めると年収500-600万円程度となります。
Big4監査法人では、グローバルネットワークを活かした研修制度や、多様なクライアントへの監査経験が得られることから、初任給以上の価値があると評価されています。また、福利厚生も充実しており、住宅手当や資格取得支援制度などが整備されています。
準大手監査法人の初任給
準大手監査法人には、太陽有限責任監査法人、仰星監査法人、三優監査法人、東陽監査法人などが含まれます。これらの法人の初任給は、Big4とほぼ同水準の月収28-33万円が一般的です。
準大手監査法人の特徴は、Big4と比較してクライアント数が限定される分、担当する業務の幅が広く、若手のうちから責任ある立場を任されやすい点です。初任給はBig4より若干低い場合もありますが、その差は月1-2万円程度で、キャリアの初期段階での年収差は大きくありません。
また、準大手監査法人では、Big4よりも柔軟な働き方が可能な場合が多く、残業時間もやや抑えられる傾向にあります。ワークライフバランスを重視する場合は、準大手監査法人も魅力的な選択肢となります。
中堅・中小監査法人の初任給
中堅・中小監査法人の初任給は、法人によって幅がありますが、月収25-30万円が相場です。Big4や準大手と比較すると若干低い水準ですが、その分、アットホームな雰囲気の中で業務を学べる環境が整っていることが多いです。
中小監査法人では、クライアントが中堅企業や中小企業中心となるため、幅広い業務経験を積むことができます。また、パートナーとの距離が近く、直接指導を受けられる機会が多いことも特徴です。初任給は低めですが、早期に責任ある立場に就ける可能性が高く、長期的なキャリア形成には有利な面もあります。
各法人の初任給の差は大きくない
監査法人規模別に初任給を比較すると、Big4が月収30-35万円、準大手が月収28-33万円、中堅・中小が月収25-30万円と、最大でも月5-10万円程度の差に留まります。年収ベースでも60-120万円程度の差であり、他の業界と比較すると、法人規模による初任給の差は比較的小さいと言えます。
この理由は、公認会計士という資格の価値が明確に評価されており、どの監査法人でも一定水準以上の処遇が保証されているためです。また、監査法人間での人材の流動性が高く、初任給での処遇が極端に低いと人材確保が困難になることも影響しています。
就職先を選ぶ際は、初任給だけでなく、働き方、キャリアパス、研修制度、クライアントの特性なども総合的に考慮することが重要です。公認会計士の仕事内容を理解した上で、自分に合った監査法人を選択しましょう。
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公認会計士(CPA)の初任給から手取り額を計算
公認会計士の初任給である月収30-35万円から、実際に受け取れる手取り額を計算してみましょう。社会保険料や税金の控除により、手取り額は額面給与の75-80%程度となります。
月収30-35万円の手取りは24-27万円
月収30万円の場合、手取り額は約24万円、月収35万円の場合は約27万円となります。この差額の6-8万円が、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)と税金(所得税、住民税)として控除されます。
具体的な計算例として、月収32万円(Big4監査法人の平均的な初任給)の場合を見てみましょう。健康保険料が約1.6万円、厚生年金保険料が約2.9万円、雇用保険料が約0.2万円、所得税が約0.8万円、住民税が約1.5万円(前年所得による)で、合計約7万円が控除され、手取り額は約25万円となります。
1年目は前年の所得がないため住民税の負担が軽く、手取り額がやや多くなります。2年目以降は住民税が本格的に課税されるため、手取り額が若干減少することを考慮しておく必要があります。
社会保険料・税金の控除内訳
公認会計士の給与から控除される社会保険料と税金の内訳を詳しく見ていきましょう。
健康保険料は、標準報酬月額に基づいて計算され、月収32万円の場合は約1.6万円(料率約5%)となります。厚生年金保険料は約2.9万円(料率約9.15%)で、将来の年金受給額に直結する重要な保険料です。雇用保険料は約0.2万円(料率0.6%)と少額ですが、失業時の保障となります。
所得税は、給与所得控除後の金額に税率を適用して計算され、月収32万円の場合は約0.8万円となります。住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、1年目は負担が軽く、2年目から本格的に課税が始まります。2年目以降の住民税は月1.5-2万円程度となり、手取り額に影響を与えます。
これらの控除は、将来の年金受給や医療費負担の軽減につながるため、単なる支出ではなく、社会保障への投資と捉えることができます。
年収500-600万円の手取り額
公認会計士1年目の年収500-600万円の場合、手取り額は400-480万円程度となります。年収500万円の場合は手取り約400万円、年収600万円の場合は手取り約480万円と、額面の80%程度が手取り額となります。
月換算すると、手取り年収400万円は月約33万円、手取り年収480万円は月約40万円となります。これは基本給の手取り24-27万円に、残業代とボーナスの手取り分が加算された金額です。
ボーナスからも社会保険料と税金が控除されますが、ボーナスは月給とは異なる計算方法で課税されるため、控除率が若干異なります。ボーナス60万円の場合、手取りは約48万円(控除率約20%)となります。
生活費を考慮した資金計画の立て方
手取り24-27万円で一人暮らしをする場合、家賃、食費、光熱費、通信費などの固定費を管理することが重要です。東京都内で一人暮らしをする場合、家賃8-10万円、食費3-4万円、光熱費・通信費2-3万円、その他生活費3-4万円で、合計16-21万円程度が必要となります。
これにより、毎月3-11万円程度の貯金が可能です。ボーナス時には手取り額がさらに増えるため、年間50-100万円程度の貯金を目標とすることができます。公認会計士1年目から計画的に貯金を行うことで、2-3年後の独立開業資金やマンション購入の頭金を準備することも可能です。
家賃を抑える工夫として、職場に近い場所に住むことで通勤時間を短縮し、生活の質を向上させることができます。また、社宅制度や住宅手当がある監査法人を選ぶことで、実質的な手取り額を増やすことができます。
生活費の管理と並行して、自己投資(資格取得、研修参加など)にも予算を配分することで、長期的なキャリア形成につながります。
公認会計士1年目のボーナスと年収の実態
公認会計士1年目のボーナスと年収の実態について、具体的なデータと実例をもとに解説します。ボーナスの支給額は、入社時期や業績評価によって変動するため、平均的な水準を理解しておくことが重要です。
1年目でもボーナスは基本的に支給される
Big4監査法人や準大手監査法人では、1年目の社員に対してもボーナスが支給されます。ボーナスは年2回(夏と冬)に分けて支給されることが一般的で、合計で基本給の2-3ヶ月分が支給されます。
月収32万円の場合、ボーナスは合計64-96万円となり、年収に大きく影響します。ただし、入社時期によってボーナスの支給額が変動する点に注意が必要です。例えば、4月入社の場合は夏のボーナス時点で在籍期間が短いため、満額支給されないケースが多いです。
中小監査法人では、ボーナスの支給基準が法人によって異なり、1年目は支給されない、または少額のみ支給されるケースもあります。就職先を選ぶ際は、ボーナスの支給条件を事前に確認しておくことが重要です。
ただし満額支給ではないケースが多い
公認会計士1年目のボーナスは、在籍期間や業績評価によって満額支給されないケースが多いです。例えば、4月入社で夏のボーナス(6月支給)の場合、在籍期間が2ヶ月程度のため、基準額の50-70%程度の支給となることが一般的です。
冬のボーナス(12月支給)では、在籍期間が8ヶ月程度となり、80-100%の支給となることが多いです。年間を通じて見ると、1年目のボーナス総額は基本給の2-2.5ヶ月分程度となり、2年目以降の3-4ヶ月分と比較すると少なめです。
業績評価は、監査業務の習熟度、チームへの貢献度、クライアント対応の質などを総合的に評価して決定されます。1年目は習熟期間と位置づけられているため、評価が厳しく行われることは少なく、標準的な評価を受けることが多いです。
2年目以降は賞与満額で年収が安定
2年目以降は、在籍期間が1年を超えるため、ボーナスが満額支給されるようになります。基本給の3-4ヶ月分が支給されることが一般的で、月収32万円の場合は年間96-128万円のボーナスとなります。
2年目の年収は、基本給384万円(月32万円×12ヶ月)、残業代100万円程度、ボーナス96-128万円で、合計580-612万円程度となります。1年目と比較して80-100万円程度の年収増加が見込めます。
3年目以降は、昇給とボーナスの増加により、年収600-700万円程度となり、安定した収入を得ることができます。この段階で、住宅ローンの審査や結婚資金の準備など、ライフプランの実現に向けた具体的な行動を取ることが可能になります。
残業代が年収を大きく左右する
公認会計士1年目の年収を大きく左右するのが残業代です。監査法人では、監査繁忙期(1月から5月)に残業時間が増加し、月40-80時間程度の残業が発生することが一般的です。
残業代は基本給を基に計算され、時間外労働(1.25倍)、深夜労働(1.5倍)、休日労働(1.35倍)などの割増率が適用されます。月収32万円の場合、時給換算で約2,000円となり、月40時間の残業で約10万円、月80時間の残業で約20万円の残業代が支給されます。
年間を通じて平均月50時間の残業をした場合、残業代は年間150万円程度となり、年収に大きな影響を与えます。繁忙期の残業は避けられない面もありますが、効率的な業務遂行により残業時間を抑えることで、ワークライフバランスを改善することができます。
ただし、残業代に依存した収入設計は長期的には望ましくありません。キャリアの初期段階では残業代による収入増加を活用しつつ、昇給や昇格による基本給の増加を目指すことが重要です。
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公認会計士の初任給後の年収推移と昇給フロー
公認会計士として監査法人に入社した後、年収はどのように推移していくのでしょうか。スタッフからパートナーまでの各段階での年収推移と昇給フローを詳しく見ていきましょう。
スタッフ(1-3年目):年収500-600万円
スタッフは、公認会計士としてのキャリアの入り口となる役職で、1年目から3年目までがこの期間に該当します。年収は500-600万円が相場で、1年目が500-550万円、2年目が550-600万円、3年目が600-650万円と、毎年50万円程度ずつ昇給していくのが一般的です。
スタッフ期間中は、監査の基本的な手続きを学び、クライアント企業の財務諸表を確認する業務が中心となります。この期間に、会計基準や監査手続きの実務的な知識を習得し、公認会計士登録のための実務要件(3年間の実務経験)を満たすことが目標となります。
また、スタッフ期間中に修了考査(公認会計士登録のための最終試験)を受験し、合格することで、4年目以降のシニアスタッフへの昇格がスムーズになります。修了考査の合格率は60-70%程度で、適切な準備をすれば合格は十分可能です。
シニアスタッフ(4年目以降):年収700-1,000万円
シニアスタッフは、監査チームのリーダー的な立場を担う役職で、4年目以降に昇格します。年収は700-1,000万円と、スタッフ時代と比較して大幅に増加します。4-5年目は700-800万円、6-7年目は800-900万円、8年目以降は900-1,000万円と、年次を重ねるごとに年収が上昇していきます。
シニアスタッフの業務は、監査手続きの実施だけでなく、スタッフの指導、クライアントとのコミュニケーション、監査調書のレビューなど、より責任ある立場での業務が中心となります。この期間に、専門性を深めるとともに、マネジメントスキルを習得することが重要です。
シニアスタッフとして3-4年程度経験を積むと、マネージャー昇格の候補となります。昇格には、専門的な知識と経験に加えて、リーダーシップやクライアント対応能力が評価されます。
マネージャー(8年目前後):年収800-1,200万円
マネージャーは、複数の監査チームを統括し、監査計画の立案や監査報告書の作成に責任を持つ役職です。8年目前後で昇格することが一般的で、年収は800-1,200万円となります。
マネージャーの業務は、監査業務全体の管理に加えて、クライアント企業の経営層とのコミュニケーション、新規クライアントの獲得、内部管理業務など、多岐にわたります。この段階では、専門性に加えて、ビジネススキルやコミュニケーション能力が重視されます。
マネージャーとして5-7年程度経験を積むと、パートナー(社員)昇格の候補となります。ただし、パートナー昇格は狭き門であり、全てのマネージャーがパートナーになれるわけではありません。パートナーを目指さない場合は、シニアマネージャーとして年収1,000-1,500万円程度で安定したキャリアを築くことも可能です。
パートナー:年収1,500万円以上
パートナー(社員)は、監査法人の経営に参画する最上位の役職で、年収は1,500万円以上となります。パートナーの年収は、担当するクライアントの規模や法人全体の業績によって大きく変動し、2,000-3,000万円以上となることも珍しくありません。
パートナーの業務は、監査業務の最終的な責任を負うとともに、法人の経営戦略の策定、新規ビジネスの開拓、若手会計士の育成など、経営者としての役割が中心となります。パートナーになるまでには、通常15-20年程度のキャリアが必要です。
パートナーへの昇格は、専門性、実績、リーダーシップ、経営貢献度など、多角的に評価されます。全てのマネージャーがパートナーになれるわけではありませんが、マネージャーとして十分な実績を積めば、年収1,000万円以上を維持しながら安定したキャリアを築くことができます。
公認会計士になるまでの道のりを理解することで、長期的なキャリアプランを立てることができます。公認会計士になるまでの流れでは、試験合格から登録までのプロセスを詳しく解説しています。
公認会計士になるまでの流れに関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士になるには?資格取得の流れ・必要な勉強・実務要件を解説
公認会計士の新卒と中途採用で初任給は違うのか
公認会計士試験に合格して監査法人に就職する際、新卒で入社する場合と、社会人経験を経て中途採用で入社する場合では、初任給に違いがあるのでしょうか。実態を詳しく見ていきましょう。
基本的に試験合格者の初任給は一律
Big4監査法人や準大手監査法人では、公認会計士試験合格者の初任給は、年齢や社会人経験にかかわらず一律で設定されています。22歳で合格した新卒者も、30歳で合格した社会人経験者も、同じ月収30-35万円からスタートするのが基本です。
この理由は、公認会計士試験の合格という共通の基準を満たしていることが重視されるためです。監査法人では、試験合格者全員が同じスタートラインから監査業務を学ぶという考え方が根付いており、年齢や経験による差別化は行わない方針を取っています。
ただし、これは「試験合格者」という前提での話であり、既に公認会計士登録が完了している場合は、後述するように別の扱いとなります。
社会人経験による初任給の優遇は少ない
前職で一般企業に勤務していた社会人経験者が、公認会計士試験に合格して監査法人に就職する場合、前職での社会人経験が初任給に反映されることは少ないです。例えば、前職で年収500万円を得ていた30歳の合格者が、監査法人に就職する際の初任給は、22歳の新卒合格者と同じ月収30-35万円となります。
これは、監査法人での業務は専門性が高く、前職での一般的な社会人経験が直接的には活かしにくいためです。監査業務には独自の知識とスキルが必要とされるため、新卒者も社会人経験者も、同じ教育プログラムでスタートすることが一般的です。
ただし、社会人経験が監査業務に直接関連する場合(例:前職が会計事務所、金融機関、上場企業の経理部門など)は、入社後の習熟速度が速く、早期に昇格する可能性が高まります。初任給は同じでも、中長期的なキャリアパスでは有利になることがあります。
中途採用は前職の年収を考慮されることも
監査法人から監査法人への転職、または企業から監査法人への転職など、既に一定の実務経験を持つ中途採用の場合は、前職の年収や経験が考慮されることがあります。
例えば、Big4監査法人でシニアスタッフとして3年間勤務し、年収800万円を得ていた会計士が、準大手監査法人に転職する場合、前職の年収と経験を考慮して、年収750-800万円程度の条件が提示されることがあります。この場合、転職先での役職もシニアスタッフまたはマネージャーとなり、初任給ではなく、経験者としての処遇が適用されます。
また、一般企業から監査法人への転職で、前職で経理部長や財務責任者として高年収を得ていた場合も、その経験が評価され、初任給ではなく、シニアスタッフ相当の処遇で採用されることがあります。ただし、この場合も公認会計士試験合格者または公認会計士登録済みであることが前提となります。
公認会計士登録済みなら初任給が高い場合も
公認会計士試験合格者ではなく、既に公認会計士登録が完了している場合は、初任給が高く設定されることがあります。公認会計士登録には、試験合格に加えて、3年間の実務経験と修了考査の合格が必要です。この要件を満たしている場合、監査法人では即戦力として評価され、スタッフではなくシニアスタッフとして採用されることが一般的です。
この場合の初任給は、月収40-50万円程度となり、年収は700-800万円程度からスタートします。公認会計士登録済みの場合、監査報告書へのサインが可能となるため、法人にとって価値が高く、その分処遇も優遇されます。
公認会計士試験の難易度を理解することで、試験合格の価値と初任給の関係性がより明確になります。公認会計士試験の難易度では、他資格との比較や合格への道筋を詳しく解説しています。
公認会計士試験の難易度に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験の難易度|他資格との比較と合格への道筋
公認会計士の初任給に関連するよくある質問(FAQ)
公認会計士の初任給に関して、多くの方から寄せられる質問にお答えします。就職活動や生活設計の参考にしてください。
Q. 公認会計士の初任給は他の資格と比べて高いですか?
公認会計士の初任給は、他の難関資格と比較しても高水準です。弁護士(司法試験合格者)の初任給は、法律事務所によって異なりますが、一般的に月収30-40万円程度で、公認会計士とほぼ同水準です。税理士の初任給は、税理士法人で月収25-30万円程度が相場で、公認会計士よりやや低い傾向にあります。
また、一般企業の新卒初任給(平均22-23万円)と比較すると、公認会計士の初任給は1.5倍程度の高水準となっています。これは、公認会計士試験の難易度の高さと、専門性の高い業務に従事することへの評価を反映しています。
Q. 公認会計士試験合格者と公認会計士登録済みで初任給は違いますか?
公認会計士試験合格者と公認会計士登録済みでは、初任給に違いがあります。試験合格者の初任給は月収30-35万円が相場ですが、公認会計士登録済みの場合は、月収40-50万円程度と高く設定されます。
この差は、公認会計士登録済みの場合、監査報告書へのサイン権限を持つため、法人にとって即戦力となることが理由です。また、登録には3年間の実務経験と修了考査の合格が必要なため、その経験と知識が評価されます。就職時に既に登録済みの場合は、スタッフではなくシニアスタッフとして採用されることが一般的です。
Q. 公認会計士の初任給で一人暮らしはできますか?
公認会計士の初任給で一人暮らしは十分可能です。月収30-35万円の手取り額は24-27万円程度で、東京都内で一人暮らしをする場合でも、家賃8-10万円、食費3-4万円、光熱費・通信費2-3万円、その他生活費3-4万円で、合計16-21万円程度に抑えることができます。
これにより、毎月3-8万円程度の貯金が可能です。ボーナス時には手取り額がさらに増えるため、年間50-100万円程度の貯金を目標とすることができます。家賃を抑える工夫として、職場に近い場所に住むことで通勤時間を短縮し、生活の質を向上させることもおすすめです。
Q. 公認会計士1年目のボーナスはいくらですか?
公認会計士1年目のボーナスは、入社時期や監査法人の規模によって異なりますが、一般的には基本給の2-2.5ヶ月分が支給されます。月収32万円の場合、ボーナスは合計64-80万円程度となります。
ただし、4月入社の場合、夏のボーナス(6月支給)は在籍期間が短いため、基準額の50-70%程度の支給となることが多いです。冬のボーナス(12月支給)では、在籍期間が8ヶ月程度となり、80-100%の支給となることが一般的です。2年目以降は、基本給の3-4ヶ月分の満額支給となり、年収が大きく上昇します。
Q. 公認会計士の初任給は入社時期で変わりますか?
公認会計士の基本的な初任給は、入社時期にかかわらず一律です。4月入社でも、10月入社でも、月収30-35万円という基準は同じです。ただし、ボーナスの支給額は入社時期によって変動します。
4月入社の場合、夏のボーナス(6月支給)は在籍期間が2ヶ月程度のため、満額支給されないことが多いです。一方、10月入社の場合、冬のボーナス(12月支給)は在籍期間が2ヶ月程度となり、同様に満額支給されません。年間を通じたボーナス総額は、入社時期によって若干の差が生じますが、2年目以降は影響がなくなります。
Q. 公認会計士は何年目で年収1,000万円に到達しますか?
公認会計士が年収1,000万円に到達するのは、一般的に7-10年目頃です。シニアスタッフとして4-5年経験を積んだ後、マネージャーに昇格すると、年収800-1,200万円となります。マネージャー昇格は8年目前後が一般的なため、この時期に年収1,000万円を超えることが多いです。
ただし、昇格のスピードは個人の能力や実績、所属する監査法人の人事制度によって異なります。優秀な人材は7年目でマネージャーに昇格し、年収1,000万円を超えることもあれば、10年目でようやく到達する場合もあります。また、監査法人以外のキャリア(企業内会計士、独立開業など)を選択した場合は、年収の推移が異なることにも注意が必要です。
Q. 公認会計士の初任給で貯金はできますか?
公認会計士の初任給で貯金は十分可能です。手取り24-27万円で、生活費を16-21万円程度に抑えることができれば、毎月3-8万円程度の貯金が可能です。年間では36-96万円の貯金となり、ボーナスからも貯金を追加すれば、年間50-150万円程度の貯金が可能です。
公認会計士の仕事は、繁忙期には忙しいものの、公認会計士の仕事のきつさを理解し、適切にワークライフバランスを管理することで、貯金と自己投資の両立が可能です。1年目から計画的に貯金を行うことで、将来の独立開業資金や住宅購入の頭金を準備することができます。
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公認会計士の仕事はきつい?激務の実態と対処法を現役会計士が解説
まとめ:公認会計士の初任給は高水準でキャリア形成に有利
本記事では、公認会計士の初任給について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- 公認会計士の初任給は月収30-35万円で、一般企業新卒の約1.5倍:Big4監査法人では月収30-35万円が相場で、年収ベースでは残業代とボーナスを含めて500-600万円となります。手取り額は月24-27万円程度で、一人暮らしでも十分な生活水準を維持でき、毎月3-8万円程度の貯金が可能です。
- 監査法人規模による初任給の差は小さく、キャリアパスで選択することが重要:Big4、準大手、中堅・中小監査法人の初任給の差は月5-10万円程度に留まります。初任給だけでなく、働き方、研修制度、クライアントの特性なども総合的に考慮して就職先を選ぶことが重要です。
- 昇給が早く、4年目以降のシニアスタッフで年収700-1,000万円に到達:スタッフ期間(1-3年目)の年収500-600万円から、シニアスタッフ(4年目以降)では年収700-1,000万円と大幅に上昇します。マネージャー昇格(8年目前後)では年収800-1,200万円となり、10年以内に年収1,000万円到達が可能です。
公認会計士の初任給を理解できたら、次は公認会計士になるまでの流れと公認会計士の年収を参考に、長期的なキャリアプランを立てることをおすすめします。
本記事を通じて、公認会計士の初任給の相場、手取り額の計算方法、ボーナスの実態、昇給フローを理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、公認会計士試験合格後のキャリア形成と生活設計の実現に向けて一歩を踏み出しましょう。
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