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公認会計士短答式試験の科目・難易度・合格率と対策方法

公認会計士短答式試験について知りたいあなたへ。「短答式試験はどんな試験なのか」「どのように対策すればよいのか」という疑問は、試験制度と効果的な学習方法を理解することで解決できます。

本記事では、公認会計士短答式試験の4つの科目の詳細、合格基準と合格率の推移、科目別の具体的な対策方法について、最新のデータと合格者の実例を交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士試験合格に向けて、計画的な学習をスタートさせましょう。

この記事を読むとわかること
  • 公認会計士短答式試験の制度と4科目の内容
  • 合格基準と合格率の推移、足切りラインの仕組み
  • 科目別の効果的な勉強法と過去問の活用方法
  • 短答式合格後の論文式試験への移行戦略
押さえておきたい3つのポイント
  1. 短答式試験は4科目の択一式試験:財務会計論(200点)、管理会計論(100点)、監査論(100点)、企業法(100点)の合計500点満点で実施され、総得点の70%を基準として相対的に合格者が決定されます。
  2. 合格率は7〜15%で推移:公認会計士短答式試験の合格率は年度によって変動しますが、第I回(12月)が10〜15%前後、第II回(5月)が7〜12%前後で推移しており、難関試験の一つとされています。
  3. 合格後は2年間の免除期間:短答式試験に合格すると、その後2年間は短答式試験が免除され、論文式試験のみを受験できます。この期間内に最大3回の論文式受験チャンスがあります。

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目次

公認会計士(CPA)短答式試験とは?試験制度の基本を解説

公認会計士短答式試験は、公認会計士試験の第一段階として実施される試験です。この試験に合格することで、論文式試験への受験資格を得ることができます。公認会計士試験の全体像を理解することで、短答式試験の位置づけがより明確になります。

短答式試験の位置づけと論文式試験との関係

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で構成されています。短答式試験は基礎的な知識を問う試験として位置づけられ、合格者のみが論文式試験に進むことができます。

短答式試験は会計士として必要な基本的知識の有無を判定するための試験です。一方、論文式試験は応用力や思考力、論述能力を評価する試験となっています。両試験に合格し、実務補習と修了考査を経て、初めて公認会計士として登録できます。

マークシート形式による客観的な知識判定

公認会計士短答式試験は、すべてマークシート方式の択一式問題で構成されています。各問題は4つまたは5つの選択肢から正解を選ぶ形式となっており、記述式の回答は求められません。

この形式により、受験者の基礎知識を客観的に測定することが可能です。計算問題も選択肢から答えを選ぶ形式のため、計算過程は採点対象となりません。ただし、正確な計算力と理論の理解が求められる点に変わりはありません。

年2回実施(12月・5月)される試験スケジュール

公認会計士短答式試験は、年2回の実施機会があります。第I回試験は12月中旬に、第II回試験は5月下旬に実施されるのが通例です。

試験の申込期間は試験日の約2〜3ヶ月前に設定され、公認会計士・監査審査会のウェブサイトで詳細が公表されます。合格発表は試験実施から約1ヶ月後に行われ、第I回は1月中旬、第II回は6月下旬が発表日となることが一般的です。年2回の受験機会があることで、不合格となった場合でも半年後に再チャレンジすることができます。

受験資格不要で誰でもチャレンジ可能

公認会計士短答式試験には、学歴や年齢による受験資格の制限がありません。高校生でも大学生でも社会人でも、誰でも受験することができます。

この点は司法試験など他の難関資格試験と異なる特徴です。ただし、受験資格が不要であることは試験の難易度が低いことを意味しません。むしろ、誰でも受験できるからこそ、しっかりとした準備と計画的な学習が合格への鍵となります。

公認会計士試験制度に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験とは?試験制度・受験資格・科目を詳しく解説

公認会計士(CPA)短答式試験の4つの試験科目

公認会計士短答式試験は、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目で構成されています。各科目には配点と試験時間が定められており、バランスよく学習することが合格への近道です。

財務会計論(配点200点・試験時間120分)

財務会計論は短答式試験の中で最も配点が高く、合計500点満点中200点を占める重要科目です。試験時間は120分で、他の科目の2倍の時間が配分されています。

出題範囲は簿記(計算問題)と財務会計理論の2分野に大別されます。簿記分野では個別論点から連結会計まで幅広い計算問題が出題され、財務会計理論では会計基準や概念フレームワークの理解が問われます。配点が高い分、この科目での得点が合否を大きく左右するため、十分な学習時間を確保することが重要です。

管理会計論(配点100点・試験時間60分)

管理会計論は配点100点、試験時間60分の科目です。原価計算を中心とした計算問題と、管理会計の理論問題で構成されています。

原価計算では標準原価計算、直接原価計算、活動基準原価計算(ABC)などが頻出論点です。管理会計理論では、意思決定会計、業績管理会計、戦略的管理会計の各分野から出題されます。計算と理論がバランスよく出題されるため、両方の学習が不可欠です。

監査論(配点100点・試験時間60分)

監査論は配点100点、試験時間60分で実施されます。監査基準、監査実務、監査報告、内部統制監査など、監査に関する理論的知識が問われる科目です。

監査論は暗記科目と思われがちですが、単なる丸暗記では対応できません。監査基準の趣旨や背景にある考え方を理解し、具体的な監査手続きと結びつけて学習することが重要です。また、金融商品取引法や会社法に関連する監査制度についても出題されるため、法律との関連性も押さえておく必要があります。

企業法(配点100点・試験時間60分)

企業法は配点100点、試験時間60分の科目です。主に会社法を中心として、商法、金融商品取引法の一部が出題範囲となっています。

会社法では、株式、機関設計、資金調達、組織再編などが主要な論点です。条文の正確な理解が求められると同時に、判例や学説の知識も必要となります。企業法は理論科目ですが、実務で頻繁に参照される法律であるため、実務的な観点からの理解も重要です。

公認会計士試験の科目一覧|短答式・論文式の試験科目と免除制度では、各科目の詳細と科目免除制度について解説しています。

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公認会計士試験の科目一覧|短答式・論文式の試験科目と免除制度

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公認会計士(CPA)短答式試験の合格基準と合格率

公認会計士短答式試験の合格基準は、総得点と各科目の得点の両方で判定されます。合格率は年度や回によって変動しますが、概ね7〜15%の範囲で推移しています。公認会計士試験の合格率推移を参照すると、長期的な傾向を把握することができます。

合格基準は総得点の70%を目安とする相対評価

公認会計士短答式試験の合格基準は、総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相対的に決定します。500点満点の試験であれば、350点が合格ラインの目安となります。

ただし、この70%はあくまで「基準」であり、実際の合格ラインは受験者全体の得点分布によって若干変動することがあります。近年の実績では、第I回試験で概ね70〜72%、第II回試験で68〜70%がボーダーラインとなるケースが多く見られます。公認会計士・監査審査会は、一定の合格者数を確保するために、この基準点を微調整しています。

各科目40%未満で不合格となる足切りライン

総得点が合格基準を満たしていても、いずれかの科目で40%未満の得点となった場合は不合格となります。これが「足切りライン」と呼ばれる制度です。

具体的には、財務会計論で80点未満(200点満点の40%)、管理会計論・監査論・企業法でそれぞれ40点未満(各100点満点の40%)の場合、総得点に関係なく不合格となります。この制度により、特定科目だけを極端に捨てる戦略は通用しません。4科目すべてで一定水準以上の得点を確保する必要があります。

短答式試験の合格率推移(7〜15%で推移)

公認会計士短答式試験の合格率は、2006年の制度改正以降、概ね7〜15%の範囲で推移しています。2023年度を例に取ると、第I回試験の合格率は12.5%、第II回試験の合格率は9.8%でした。

この合格率は他の難関資格試験と比較しても低水準です。司法試験の合格率が約45%(予備試験合格者を含む受験者ベース)、税理士試験の科目別合格率が10〜20%程度であることを考えると、公認会計士短答式試験の難易度の高さがわかります。合格者数は年間で約2,000〜2,500名程度となっています。

第I回(12月)と第II回(5月)の合格率の違い

第I回(12月)試験と第II回(5月)試験では、合格率に違いが見られることがあります。一般的に、第I回試験の方が合格率がやや高い傾向にあります。

この理由として、第I回試験は前年度から継続して学習している受験者が多く、準備期間が長い受験者の割合が高いことが挙げられます。一方、第II回試験は第I回で不合格となった受験者の再受験が多く含まれるため、競争が激しくなる傾向があります。ただし、年度によっては第II回の合格率が高いこともあるため、どちらが有利かは一概には言えません。

公認会計士試験の合格率に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験の合格率推移と短答式・論文式の傾向分析

公認会計士短答式試験の免除制度

公認会計士試験には、一定の条件を満たすことで短答式試験が免除される制度があります。免除制度を理解し、活用することで、効率的に公認会計士資格を取得できる可能性があります。

短答式合格後の2年間免除制度

公認会計士短答式試験に合格すると、合格した年を含めて2年間、短答式試験が免除されます。この期間中は論文式試験のみを受験すればよく、短答式試験の再受験は不要です。

例えば、2024年5月の短答式試験に合格した場合、2024年、2025年、2026年の3回の論文式試験を受験できます。これは、短答式試験の負担から解放され、論文式試験の対策に集中できる重要な制度です。ただし、この期間内に論文式試験に合格できなかった場合、再度短答式試験から受験する必要があります。

会計専門職大学院修了者の科目免除

会計専門職大学院(アカウンティングスクール)の課程を修了し、一定の単位を取得した場合、短答式試験の一部科目が免除されます。

具体的には、財務会計論、管理会計論、監査論の3科目が免除対象となることがあります。ただし、免除を受けるためには、修了した会計専門職大学院が文部科学大臣の指定を受けていることや、所定の科目を履修していることなど、複数の要件を満たす必要があります。免除制度の詳細は、通学する大学院や公認会計士・監査審査会に確認することをおすすめします。

司法試験合格者などの全部免除制度

司法試験に合格した者や、会計に関する高度な学識を有する者として一定の要件を満たす者は、短答式試験の全科目が免除される場合があります。

司法試験合格者は企業法の免除を受けられるほか、一定の要件を満たせば短答式試験自体が免除されることもあります。また、税理士資格を持ち、一定の実務経験がある場合も免除対象となることがあります。これらの免除制度は要件が複雑なため、該当する可能性がある場合は公認会計士・監査審査会の公式サイトで最新情報を確認することが重要です。

公認会計士短答式試験に必要な勉強時間

公認会計士短答式試験に合格するためには、相当な学習時間が必要です。効率的な学習計画を立てるために、必要な勉強時間の目安を把握しておきましょう。公認会計士試験の勉強時間では、短答式と論文式を含めた総合的な学習計画について解説しています。

合格までに必要な総勉強時間は1,500時間以上

公認会計士短答式試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に1,500〜2,000時間程度とされています。これは初学者が基礎から学習する場合の目安です。

1日3時間の学習を継続した場合、約1年半から2年程度の期間が必要となります。1日5時間確保できれば約10ヶ月から1年程度で到達可能です。ただし、この時間は個人の学習効率や予備校の利用有無、簿記の前提知識の有無によって大きく変動します。効率的な学習方法を実践することで、必要時間を短縮することも可能です。

科目別の推奨勉強時間配分

4科目の推奨勉強時間配分は、財務会計論に全体の40〜45%、管理会計論に25〜30%、監査論に15〜20%、企業法に15〜20%程度が目安となります。

総学習時間を1,800時間と仮定すると、財務会計論に720〜810時間、管理会計論に450〜540時間、監査論に270〜360時間、企業法に270〜360時間を配分する計算になります。財務会計論の配点が200点と他科目の2倍であることから、この科目により多くの時間を投資することが合理的です。ただし、個人の得意不得意によって調整が必要です。

簿記知識の有無による勉強時間の違い

日商簿記検定2級以上の知識がある場合、短答式試験の学習時間を大幅に短縮できます。簿記2級保持者であれば1,200〜1,500時間程度、簿記1級保持者であれば1,000時間程度で合格レベルに到達する可能性があります。

これは、財務会計論の計算分野の基礎がすでに身についているためです。簿記の知識がない場合、まず簿記3級から学習を始め、基礎を固めてから本格的な受験勉強に入る方が効率的です。簿記2級レベルまでの学習に200〜300時間程度を見込んでおくとよいでしょう。

公認会計士試験の勉強時間に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験に必要な勉強時間|合格までのスケジュール

公認会計士短答式試験の科目別対策方法

各科目には特性があり、それぞれに適した勉強法があります。科目別の効果的な対策方法を理解し、実践することが合格への近道です。

財務会計論の効果的な勉強法(計算と理論のバランス)

財務会計論は計算問題と理論問題がバランスよく出題されるため、両方の対策が必要です。計算問題については、基礎的な個別論点から連結会計まで、網羅的に演習を重ねることが重要です。

理論問題では、会計基準や企業会計原則の趣旨を理解することが求められます。単なる暗記ではなく、「なぜその会計処理が求められるのか」を理解しながら学習を進めましょう。計算と理論の学習時間配分は、概ね6:4または7:3程度が目安です。過去問演習では、時間配分の感覚を養うことも忘れずに行いましょう。

管理会計論の勉強法(原価計算の理解が鍵)

管理会計論の学習では、まず原価計算の基礎を固めることが最優先です。個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算の基本的な計算パターンを確実にマスターしましょう。

原価計算の基礎が身についたら、CVP分析や予算管理、事業部制会計などの管理会計理論に進みます。管理会計論は財務会計論ほど出題範囲が広くないため、頻出論点を重点的に学習する効率的なアプローチが有効です。計算問題と理論問題の比率は概ね5:5程度で、両方とも重要度が高いことに注意が必要です。

監査論の勉強法(暗記と理解の両立)

監査論は暗記科目と捉えられがちですが、単なる丸暗記では応用問題に対応できません。監査基準や実務指針の内容を「理解」しながら暗記することが重要です。

具体的には、監査手続きの目的や、各監査基準が設けられた背景を理解しながら学習を進めます。また、監査論は実務との結びつきが強い科目であるため、監査実務のイメージを持ちながら学習すると理解が深まります。短答式試験では細かい知識も問われるため、テキストの精読と過去問演習の反復が効果的です。

企業法の勉強法(条文理解と過去問演習)

企業法の学習では、会社法の条文を正確に理解することが基本となります。条文の丸暗記ではなく、条文の趣旨や体系を理解しながら学習を進めることが重要です。

頻出論点である株式、機関設計、資金調達、組織再編などは、条文と判例をセットで押さえておきましょう。企業法は過去問の出題パターンが比較的固定されているため、過去問演習を繰り返すことで出題傾向を把握できます。論点ごとに整理したノートを作成し、試験直前に見直せるようにしておくと効果的です。

公認会計士の効果的な勉強法|科目別対策と時間管理術では、より詳細な科目別対策と時間管理の方法を解説しています。

公認会計士の勉強法に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士の効果的な勉強法|科目別対策と時間管理術

公認会計士短答式試験の過去問活用法

過去問は短答式試験対策において最も重要な教材の一つです。効果的な活用方法を理解し、実践することで合格率を大きく高めることができます。公認会計士試験の過去問活用法では、過去問の入手方法から具体的な使い方まで詳しく解説しています。

過去問分析による出題傾向の把握

過去問を解く前に、まず過去5年分程度の試験問題を分析し、出題傾向を把握することが重要です。どの論点が頻出なのか、どのような形式で問われるのかを理解することで、効率的な学習計画が立てられます。

財務会計論であれば連結会計や金融商品、管理会計論であれば標準原価計算やCVP分析、監査論であれば監査計画や監査報告、企業法であれば株式や機関設計などが頻出論点です。これらの重要論点については、過去問を繰り返し解き、確実に得点できるようにしておきましょう。

論点別に整理して解く効率的な学習法

過去問は年度順に解くのではなく、論点別に整理して解く方法が効果的です。例えば、財務会計論の連結会計の問題を過去5年分まとめて解くことで、出題パターンの変化や頻出論点が明確になります。

論点別に解くことで、自分の弱点も発見しやすくなります。同じ論点で繰り返し間違える場合は、その論点の理解が不十分である可能性が高いため、テキストに戻って復習しましょう。予備校のテキストや問題集には、論点別に過去問が整理されているものもあるので、それらを活用するのも有効です。

模試・答練を活用した実践力の養成

過去問演習に加えて、予備校が実施する模擬試験(模試)や答案練習(答練)を活用することで、実践的な力を養うことができます。模試は本試験と同じ形式・時間で実施されるため、時間配分の感覚を養うのに最適です。

答練は特定の論点に焦点を当てた演習問題で、学習の進捗に応じて定期的に受けることで理解度を確認できます。模試の結果は全国の受験者との比較もできるため、自分の位置を客観的に把握する指標となります。試験直前期には、毎週のように模試を受けることで、本番の緊張感に慣れることも重要です。

公認会計士試験の過去問に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験の過去問活用法|入手方法と効果的な解き方

公認会計士短答式試験合格後の流れ

短答式試験に合格した後は、論文式試験への移行準備が始まります。2年間の免除期間を有効活用し、計画的に論文式試験に臨むことが重要です。

論文式試験への移行と受験資格

短答式試験に合格すると、論文式試験の受験資格を得ることができます。論文式試験は毎年8月に3日間にわたって実施され、会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、民法、統計学から1科目選択)の5科目で実施されます。

論文式試験は記述式の試験で、短答式試験とは大きく異なる対策が必要です。短答式合格後は速やかに論文式試験の学習に切り替え、記述力や論述力を養成していく必要があります。

短答式免除期間内(2年間)の論文式受験戦略

短答式試験合格後の2年間の免除期間内に、どのように論文式試験に臨むかは合格を左右する重要な要素です。一般的には、初回の論文式試験で合格を目指す「一発合格戦略」と、1年目は経験を積み2年目で本気で合格を狙う「2段階戦略」があります。

一発合格を目指す場合、短答式合格後すぐに論文式対策に切り替え、3〜4ヶ月の短期集中学習で論文式試験に臨みます。一方、2段階戦略では1年目の論文式試験を「実践的な模試」と位置づけ、本試験の雰囲気や出題傾向を把握した上で、2年目に万全の準備で臨む方法です。どちらの戦略を取るかは、学習の進捗状況や生活環境によって判断しましょう。

3回の論文式受験チャンスを活かす計画

2年間の免除期間内には、最大3回の論文式受験機会があります。例えば、2024年12月の短答式試験に合格した場合、2025年、2026年、2027年の8月に実施される論文式試験を受験できます。

この3回のチャンスを最大限に活かすためには、計画的な学習スケジュールが不可欠です。1回目の受験までに基礎を固め、2回目で合格レベルに到達し、3回目があれば最後のチャンスとして全力で臨む、といった段階的な計画を立てるとよいでしょう。ただし、3回目まで使い切ると精神的な負担も大きいため、できれば2回目までの合格を目標とすることをおすすめします。

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公認会計士短答式試験に関連するよくある質問(FAQ)

公認会計士短答式試験について、受験生からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q. 公認会計士短答式試験は独学でも合格できますか?

公認会計士短答式試験に独学で合格することは可能ですが、難易度は非常に高いと言えます。独学の場合、テキスト選びから学習計画の立案まですべて自分で行う必要があり、効率的な学習が難しくなる可能性があります。

独学で挑戦する場合は、市販のテキストと問題集を体系的に揃え、計画的に学習を進めることが重要です。また、過去問分析を徹底的に行い、出題傾向を把握することも欠かせません。ただし、多くの合格者は予備校や通信講座を利用しており、効率的に合格を目指すのであれば、これらの活用を検討することをおすすめします。公認会計士の独学勉強法では、独学のメリット・デメリットと具体的な学習方法を詳しく解説しています。

Q. 公認会計士短答式試験の第I回と第II回はどちらを受験すべきですか?

公認会計士短答式試験の第I回(12月)と第II回(5月)のどちらを受験すべきかは、学習の進捗状況によって判断します。学習開始時期が早く、12月までに十分な準備ができる場合は第I回受験が有利です。

第I回で合格すれば、翌年8月の論文式試験まで約8ヶ月の準備期間が確保できます。一方、学習開始が遅れている場合や、十分な準備ができていない場合は、無理に第I回を受験せず、第II回に照準を合わせる方が賢明です。第II回合格でも約3ヶ月の論文式準備期間があり、短期集中で対策することは可能です。

Q. 公認会計士短答式試験に働きながら合格することは可能ですか?

公認会計士短答式試験に働きながら合格することは十分可能です。実際、社会人として働きながら合格を果たした事例は多数あります。ただし、仕事と学習の両立には強い意志と計画性が必要です。

働きながら合格を目指す場合、平日は朝と夜の時間を活用し、1日2〜3時間程度の学習時間を確保することが目安となります。週末にはまとまった時間を確保し、5〜8時間程度の学習を行うことで、年間1,500〜2,000時間の学習が可能です。効率的な学習方法と継続的な努力が、働きながらの合格を実現する鍵となります。

Q. 公認会計士短答式試験の合格ラインは毎回変わりますか?

公認会計士短答式試験の合格ラインは、総得点の70%を基準としていますが、実際の合格ラインは毎回若干変動します。これは相対評価の要素が含まれているためです。

公認会計士・監査審査会は、一定の合格者数を確保するため、試験の難易度や受験者全体の得点分布を考慮して合格ラインを調整します。過去のデータを見ると、第I回試験で70〜72%、第II回試験で68〜70%程度が合格ラインとなることが多いです。ただし、75%程度の得点を目標とすることで、合格ライン変動のリスクを軽減できます。

Q. 公認会計士短答式試験の科目合格制度はありますか?

公認会計士短答式試験には科目合格制度はありません。4科目すべてを同時に受験し、総得点と各科目の足切りライン(40%)の両方をクリアする必要があります。

これは税理士試験の科目合格制度とは異なる点です。短答式試験では、どれか1科目でも40%未満の得点となった場合、他の科目で高得点を取っていても不合格となります。したがって、特定の科目だけに集中するのではなく、4科目全体をバランスよく学習することが重要です。

Q. 公認会計士短答式試験の過去問はどこで入手できますか?

公認会計士短答式試験の過去問は、公認会計士・監査審査会の公式ウェブサイトで無料で公開されています。過去5年分程度の問題と解答が掲載されており、誰でもダウンロードして利用できます。

また、予備校や書店で販売されている過去問題集を購入することもできます。これらの問題集には詳しい解説が付いているため、独学で学習する場合は特に有用です。予備校に通っている場合は、予備校が提供する過去問題集や論点別に整理された問題集を活用するとよいでしょう。

Q. 公認会計士短答式試験に合格したらすぐに論文式試験を受験すべきですか?

公認会計士短答式試験に合格した場合、できるだけ早く論文式試験を受験することをおすすめします。短答式合格後すぐに論文式対策に切り替えることで、学習のモメンタムを維持できるためです。

特に、5月の第II回短答式試験に合格した場合、同年8月の論文式試験までは約3ヶ月しかありません。この短期間でも基礎的な論文式対策は可能であり、本試験の雰囲気を体験することは次回の受験に大きく役立ちます。ただし、短答式合格後に体調を崩している場合や、仕事の都合で学習時間が確保できない場合は、無理せず翌年の論文式試験に照準を合わせる判断も必要です。

まとめ:公認会計士短答式試験の攻略と合格への道筋

本記事では、公認会計士短答式試験の制度、科目、合格基準、効果的な対策方法について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 4科目バランスよく学習する:財務会計論(200点)、管理会計論(100点)、監査論(100点)、企業法(100点)の4科目すべてで40%以上を確保し、総得点70%を目指す必要があります。科目合格制度はないため、特定科目に偏らないバランスの取れた学習が不可欠です。
  2. 1,500〜2,000時間の計画的学習:合格に必要な学習時間は初学者で1,500〜2,000時間程度です。1日3〜5時間の学習を1年半から2年間継続することで、合格レベルに到達できます。簿記の前提知識がある場合は学習時間を短縮できます。
  3. 過去問と模試で実践力を養成:過去問分析で出題傾向を把握し、論点別に繰り返し演習することが重要です。予備校の模試や答練を活用することで、本番の時間配分や緊張感に慣れることができます。

公認会計士短答式試験の学習を理解できたら、次は具体的な学習計画を立てましょう。公認会計士試験の勉強時間公認会計士の勉強法を参考に、計画的に進めることをおすすめします。また、独学か予備校かを検討している方は、公認会計士の独学勉強法公認会計士予備校の選び方も参考にしてください。

本記事を通じて、公認会計士短答式試験の全体像と具体的な対策方法を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、公認会計士試験合格という目標の実現に向けて一歩を踏み出しましょう。計画的な学習と継続的な努力が、必ず合格への道を開きます。

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