公認会計士試験の独学での合格について知りたいあなたへ。「予備校に通わず独学で合格できるのか」という疑問は、独学の特性とリスクを正しく理解することで解決できます。
本記事では、公認会計士試験を独学で合格する可能性と難易度、独学のメリットとデメリット、効果的な独学勉強法について、実際の合格率データを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士試験合格に向けて、自分に最適な学習方法を選択しましょう。
- 公認会計士試験の独学合格率と難易度の実態
- 独学で目指すメリット・デメリットの詳細
- 独学に向いている人・向いていない人の特徴
- 効果的な独学勉強法とおすすめ教材
- 独学合格は可能だが極めて困難:公認会計士試験の独学合格率は1%以下とされ、合格者の9割以上が予備校出身者です。試験範囲の膨大さと市販教材の不足が主な理由となっています。
- 独学の最大のメリットは費用削減:予備校費用は70万円〜100万円程度かかりますが、独学なら10万円〜30万円程度に抑えられます。ただし学習効率が大幅に低下する可能性があります。
- 独学成功には強い自己管理能力が必須:独学での合格には計画的な学習スケジュール管理、高いモチベーション維持、情報収集能力が不可欠です。これらの能力がない場合、予備校や通信講座の利用を検討すべきでしょう。
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公認会計士試験は独学で合格できるのか?
公認会計士試験に独学で挑戦することを考えている方にとって、最も気になるのは「本当に合格できるのか」という点でしょう。結論から言えば、独学での合格は理論上可能ですが、現実的には極めて困難な道のりです。
ここでは公認会計士試験における独学合格の実態と、その厳しさの理由について詳しく解説します。
結論:独学合格は可能だが極めて困難
公認会計士試験を独学で突破することは、法律上何の制限もありません。受験資格に学歴要件や実務経験は不要であり、誰でも独学で挑戦できる試験です。実際に独学で合格した方も存在します。
しかし、その道のりは想像以上に険しいものです。公認会計士試験は試験範囲が膨大で、会計学、監査論、企業法、租税法、経営学など多岐にわたる専門知識が求められます。これらを独学で体系的に習得するには、相当な学習能力と自己管理能力が必要となります。
予備校では、試験に特化したカリキュラムと教材、経験豊富な講師陣によるサポートが提供されます。独学ではこれらを自力で補う必要があり、多くの受験生にとって大きな負担となるでしょう。
独学での合格率は1%以下
公認会計士試験全体の合格率は約10%前後で推移していますが、独学での合格率は推定で1%以下と言われています。正確な統計データは公表されていませんが、予備校関係者や合格者の証言から、独学合格者は極めて少数であることが分かります。
公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2段階で構成されており、短答式試験の合格率が約10〜15%、論文式試験の合格率が約30〜40%です。両方に合格する必要があるため、最終的な合格率は10%程度となります。この中で独学合格者が占める割合は、1%にも満たないと考えられます。
独学での合格が難しい理由は、試験範囲の広さだけではありません。法改正への対応、試験傾向の分析、学習計画の立案など、予備校では当たり前に提供される情報やサポートを、独学では全て自分で行わなければならないのです。
合格者の9割以上が予備校出身者
公認会計士試験の合格者を分析すると、9割以上が何らかの予備校や通信講座を利用していることが分かります。主要な予備校であるTAC、大原、CPA会計学院、LECなどが、毎年多くの合格者を輩出しています。
予備校出身者が圧倒的に多い理由は、試験対策の質と効率性にあります。予備校では長年の試験研究に基づいた教材と指導ノウハウが蓄積されており、受験生は最短ルートで合格に必要な知識とスキルを身につけることができます。
また、予備校では定期的な模擬試験や答練が実施され、自分の実力を客観的に把握できます。講師への質問や受験仲間との交流も、学習モチベーションの維持に大きく貢献します。これらの環境が、高い合格率につながっているのです。
独学での挑戦を考えている方は、この現実をしっかりと認識した上で判断する必要があります。
公認会計士試験の難易度に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験の難易度|他資格との比較と合格への道筋
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公認会計士試験の合格率推移と短答式・論文式の傾向分析
公認会計士試験の独学が難しい5つの理由
公認会計士試験を独学で目指すことが極めて困難な理由について、具体的に解説します。これらの障壁を理解することで、独学での挑戦が自分に適しているかどうかを判断できるでしょう。
理由①試験範囲が膨大で学習計画が立てにくい
公認会計士試験の試験範囲は非常に広範囲で、短答式試験では財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目、論文式試験では会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目の5科目を学習する必要があります。
各科目のボリュームも膨大で、例えば財務会計論だけでも、簿記、財務諸表論、連結会計、税効果会計など、多岐にわたる論点を理解しなければなりません。独学でこれらの学習範囲を把握し、適切な学習順序と時間配分を計画することは、経験のない受験生にとって非常に困難です。
予備校では、長年の試験研究に基づいて最適化されたカリキュラムが用意されています。どの科目をいつ、どのペースで学習すべきか、どの論点を重点的に学ぶべきかが明確に示されるため、受験生は迷うことなく学習を進められます。独学ではこの指針がないため、非効率な学習や学習漏れが発生するリスクが高まります。
理由②市販の教材が不十分
公認会計士試験の独学用教材として、市販のテキストや問題集が一部販売されています。しかし、これらの教材は予備校の教材と比較すると、内容の網羅性や試験対策としての質において大きな差があります。
予備校の教材は、毎年の試験傾向を分析して最新の内容にアップデートされており、出題可能性の高い論点が重点的に解説されています。また、理論と実務のバランス、問題演習の充実度なども、長年の経験に基づいて最適化されています。
市販教材では、このレベルの質と量を確保することが難しいのが現状です。特に論文式試験の論述対策や応用問題については、市販教材だけでは不十分と言わざるを得ません。
独学で合格を目指す場合、予備校教材を中古で入手するか、オークションサイトで購入するなどの工夫が必要となります。ただし、古い教材では法改正に対応できない可能性もあるため注意が必要です。
理由③法改正・試験傾向の情報収集が困難
公認会計士試験に関連する会計基準や法律は、頻繁に改正されます。企業会計基準や監査基準の改正、会社法や税法の改正など、毎年何らかの変更が行われており、これらの最新情報を把握することが合格には不可欠です。
予備校では、法改正情報が迅速に教材やカリキュラムに反映され、受験生は最新の試験対策を受けることができます。講師からも重要な改正ポイントについて詳しい解説があり、試験での出題可能性についても情報が提供されます。
独学の場合、これらの情報を自分で収集し、理解し、学習に反映させる必要があります。公認会計士・監査審査会のウェブサイトや専門誌をチェックし、どの改正が試験に影響するかを自分で判断しなければなりません。この作業には専門知識と時間が必要で、多くの独学受験生にとって大きな負担となります。
また、試験の出題傾向も年々変化しています。どの論点が頻出か、どのような形式で問われるかといった情報は、予備校では模試や答練を通じて把握できますが、独学では過去問分析を自力で行う必要があります。
理由④質問できる環境がない
学習を進める中で、理解できない論点や疑問点が生じることは避けられません。予備校であれば、講師に直接質問したり、質問受付窓口を利用したりすることで、すぐに疑問を解消できます。
独学の場合、この質問環境がないことが大きなハンディキャップとなります。インターネットで調べたり、書籍で調べたりすることは可能ですが、専門的で複雑な会計・監査の論点については、適切な情報を見つけることが難しい場合も多いでしょう。
特に論文式試験の論述問題では、自分の答案が合格レベルに達しているかどうかを判断することが困難です。予備校では答練の採点とフィードバックを受けられますが、独学では自己採点のみとなり、客観的な評価を得られません。
最近ではオンラインで質問できるサービスや受験生コミュニティも存在しますが、専門的な指導を受けられる環境としては、やはり予備校に劣ると言わざるを得ません。
理由⑤長期間のモチベーション維持が難しい
公認会計士試験の合格には、一般的に3,000時間〜5,000時間の学習が必要とされ、多くの受験生が2年〜3年かけて合格を目指します。この長期間にわたる学習を、独学で継続することは精神的に大きな負担となります。
予備校に通っていれば、定期的な講義や模試があり、学習のペースメーカーとなります。また、同じ目標を持つ受験仲間の存在も、モチベーション維持に大きく貢献します。講師からの励ましやアドバイスも、挫折しそうな時の支えになるでしょう。
独学では、これらの外部からの刺激やサポートがありません。一人で学習計画を立て、一人で進捗を管理し、一人で挫折と戦わなければなりません。学習が順調に進まない時期や、試験に不合格だった時のダメージも、独学では大きくなりがちです。
実際、独学で挑戦した多くの受験生が、長期間のモチベーション維持ができず途中で挫折しているのが現状です。この点は、独学を選択する前に慎重に考慮すべき重要な要素と言えるでしょう。
公認会計士試験に必要な勉強時間に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験に必要な勉強時間|合格までのスケジュール
公認会計士を独学で目指すメリット
公認会計士試験の独学は困難が多い一方で、いくつかのメリットも存在します。独学を検討している方は、これらのメリットが自分の状況に合致するかを考えてみましょう。
メリット①費用を大幅に抑えられる
独学の最大のメリットは、費用を大幅に削減できることです。公認会計士試験の予備校費用は、大手予備校で70万円〜100万円程度かかります。通信講座でも50万円〜80万円程度が相場となっています。
これに対して独学の場合、必要なのは教材費のみです。市販のテキストと問題集を揃えても、10万円〜30万円程度で済むでしょう。予備校教材を中古で入手する場合でも、20万円〜40万円程度に抑えられます。
経済的な理由で予備校に通えない方や、既に社会人として働いており自己投資に限界がある方にとって、この費用削減は大きな魅力です。また、独学で合格できれば、その費用差額を生活費や他の自己投資に回すことができます。
ただし、費用を抑えられる反面、合格までの時間が長くなる可能性があることも考慮が必要です。予備校なら2年で合格できるところを、独学では3年〜4年かかる場合、その間の機会損失も考える必要があるでしょう。
メリット②自分のペースで学習できる
独学では、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて、柔軟に学習を進められます。予備校のような決まったカリキュラムや講義スケジュールに縛られることなく、自分の理解度や進捗に応じて学習内容を調整できます。
例えば、得意な科目は早めに進めて、苦手な科目により多くの時間を割くことが可能です。また、仕事や家庭の都合で学習時間が不規則になる方でも、自分の都合に合わせて学習計画を立てられます。
早朝や深夜など、自分が最も集中できる時間帯に学習することもできます。予備校の講義時間に制約されないため、効率的に学習時間を確保できる点もメリットと言えるでしょう。
ただし、この自由度の高さは、裏を返せば自己管理能力が問われることを意味します。自分でペースを作り、維持できる能力がない場合、かえって非効率な学習になる可能性があります。
メリット③通学時間が不要
予備校に通う場合、通学時間が必要となります。都市部であれば片道30分〜1時間程度、地方であればそれ以上かかる場合もあります。往復で1時間〜2時間を通学に費やすことになり、これが長期間続くと大きな時間損失となります。
独学であれば、この通学時間を学習時間に充てることができます。年間で考えると、通学時間だけで数百時間の差が生まれます。この時間を有効活用できれば、独学でも十分な学習時間を確保できるでしょう。
また、通学のストレスや疲労もありません。満員電車での通学や悪天候での移動など、通学に伴う負担を避けられることも、独学のメリットの一つです。
自宅や近くの図書館、カフェなど、自分が最も集中できる環境で学習できる点も、独学の利点と言えます。通信講座という選択肢もありますが、完全な独学であれば教材費以外のコストが発生しない点も魅力的です。
公認会計士を独学で目指すデメリット
独学のメリットを理解した上で、デメリットについても正確に把握しておく必要があります。これらのデメリットが自分にとって致命的かどうかを見極めることが、適切な選択につながります。
デメリット①学習効率が悪い
独学の最も大きなデメリットは、学習効率の低さです。予備校では、試験に出やすい論点を重点的に学び、出題可能性の低い内容は軽く流すなど、メリハリのある学習が可能です。
独学の場合、どの論点が重要で、どの程度の深さまで学習すべきかを自分で判断しなければなりません。この判断を誤ると、重要な論点の学習が不十分だったり、逆に試験に出ない細かい内容に時間をかけすぎたりする可能性があります。
また、予備校では講義を通じて効率的に知識をインプットできますが、独学ではテキストを読んで自力で理解する必要があります。特に複雑な論点や初めて学ぶ内容については、理解に時間がかかることが多いでしょう。
予備校なら2年で習得できる内容が、独学では3年〜4年かかる可能性があります。この時間差は、受験生活全体の長期化につながり、精神的・経済的な負担を増大させます。
デメリット②最新情報の入手が困難
先述の通り、公認会計士試験に関連する法改正や試験傾向の情報を独学で入手することは困難です。予備校では、これらの情報が自動的に提供され、教材やカリキュラムに反映されますが、独学では自分で情報を集めなければなりません。
情報収集には専門知識と時間が必要です。公認会計士・監査審査会のウェブサイト、日本公認会計士協会の資料、会計専門誌など、様々な情報源をチェックする必要があります。しかし、これらの情報から、試験に関連する重要な変更点を抽出し、理解することは、会計の専門知識がない段階では非常に難しいでしょう。
情報が不足していると、古い基準や法律で学習してしまい、試験本番で対応できない可能性があります。特に法改正があった年の試験では、改正内容が出題されることが多いため、最新情報の把握は合否を分ける重要な要素となります。
デメリット③孤独な戦いになる
公認会計士試験の学習は長期間に及ぶため、精神的なサポートが重要です。予備校では、同じ目標を持つ受験仲間がおり、互いに励まし合いながら学習を続けることができます。また、講師や事務局スタッフからのサポートも受けられます。
独学では、このような人間関係やサポート体制がありません。一人で黙々と学習を続けることになり、孤独感や不安感を抱えやすくなります。学習が思うように進まない時や、試験に不合格だった時のダメージも大きく、立ち直るのに時間がかかる可能性があります。
最近ではSNSやオンラインコミュニティで受験仲間を見つけることも可能ですが、対面での交流と比べると、得られるサポートの質や量は限定的です。孤独に耐えられるか、一人でモチベーションを維持できるかは、独学成功の重要な要素と言えるでしょう。
デメリット④挫折リスクが高い
上記のデメリットが複合的に作用し、独学での挑戦は挫折リスクが非常に高くなります。実際、独学で公認会計士試験に挑戦した多くの受験生が、途中で挫折しています。
挫折の主な原因は、学習の非効率性、孤独感、モチベーション低下、情報不足などです。これらが積み重なると、「このまま続けても合格できないのではないか」という不安が大きくなり、最終的に受験を断念してしまいます。
予備校であれば、講師や事務局スタッフが受験生の状況を把握し、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。学習の進捗が芳しくない時も、軌道修正の方法を示してくれるでしょう。独学では、これらのサポートを自分で補う必要があり、多くの受験生にとって大きな負担となります。
費用を節約できるメリットは魅力的ですが、挫折してしまえば投資した時間と費用が全て無駄になります。この挫折リスクの高さは、独学を選択する際に最も慎重に検討すべき点と言えるでしょう。
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公認会計士の独学に向いている人・向いていない人
独学での挑戦を検討している方は、自分が独学に向いているかどうかを冷静に判断する必要があります。ここでは、独学に向いている人と向いていない人の特徴を解説します。
独学に向いている人の5つの特徴
独学で公認会計士試験の合格を目指すのに向いている人には、いくつかの共通した特徴があります。以下の条件を多く満たしている方は、独学での合格可能性が高いと言えるでしょう。
1. 高い自己管理能力を持っている
独学では、学習計画の立案から日々の学習の実行まで、全てを自分で管理する必要があります。計画的に物事を進められる能力、自分を律する意志の強さが不可欠です。過去に独学で資格試験に合格した経験がある方や、自己管理が得意な方は独学に向いています。
2. 会計や法律の基礎知識がある
既に簿記1級や税理士科目合格などの実績があり、会計や法律の基礎知識を持っている方は、独学でも対応しやすいでしょう。全くの初学者と比べて、教材の理解が早く、学習の効率も高くなります。
3. 情報収集能力が高い
法改正や試験傾向の情報を自分で収集し、理解し、学習に反映させる能力が必要です。インターネットや専門書を活用して、必要な情報を効率的に集められる方は、独学の大きなハンディキャップを克服できるでしょう。
4. 孤独に耐えられる精神力がある
長期間一人で学習を続けることに抵抗がなく、孤独に耐えられる精神力を持っている方は、独学に向いています。一人の時間を楽しめる性格や、内省的な性格の方は、独学でも継続しやすいでしょう。
5. 十分な学習時間を確保できる
学生や時間に余裕のある社会人など、毎日3時間〜5時間の学習時間を確保できる環境にある方は、独学でも合格を目指せます。独学は予備校より効率が悪い分、より多くの学習時間が必要となるためです。
独学に向いていない人の特徴
一方で、以下の特徴を持つ方は、独学での挑戦が非常に厳しく、予備校や通信講座の利用を強くおすすめします。
初学者で会計の知識が全くない方
簿記の知識も全くない状態から公認会計士試験に挑戦する場合、独学は極めて困難です。会計の基礎から体系的に学ぶ必要があり、予備校の講義やカリキュラムが大きな助けとなります。
自己管理が苦手な方
計画を立てても実行できない、ついつい勉強をサボってしまうという傾向がある方は、独学では合格が難しいでしょう。予備校の定期的な講義や模試が、学習のペースメーカーとなります。
一人での学習が苦痛な方
孤独感を感じやすい方、周囲とのコミュニケーションを重視する方は、独学では精神的に辛くなる可能性が高いです。予備校での仲間との交流が、モチベーション維持に大きく貢献するでしょう。
できるだけ短期間で合格したい方
最短ルートで効率的に合格したい方は、予備校の利用をおすすめします。独学は予備校より時間がかかる傾向があり、短期合格を目指すのであれば、予備校のカリキュラムに従う方が確実です。
情報収集や自己学習に不安がある方
どのように学習を進めればよいか分からない、法改正などの情報を自分で集める自信がないという方は、予備校のサポートが必要です。独学で不安を抱えながら学習するより、プロの指導を受ける方が安心でしょう。
自分が独学に向いているか判断する方法
自分が独学に向いているかどうかを判断するには、以下のステップで自己分析を行うことをおすすめします。
まず、これまでの学習経験を振り返りましょう。過去に独学で資格試験や検定試験に合格した経験があれば、独学に向いている可能性が高いです。逆に、独学で挫折した経験がある場合は、同じ轍を踏む可能性があります。
次に、自分の性格や学習スタイルを分析します。一人で黙々と作業するのが好きか、グループで学ぶ方が楽しいか。計画的に物事を進められるか、ついついサボってしまうか。これらの傾向を正直に評価することが重要です。
また、公認会計士試験の難易度と範囲を十分に理解した上で、独学で対応できるかを考えましょう。簿記1級レベルの知識があれば独学も可能ですが、簿記3級程度の知識しかない場合、独学は非常に厳しいでしょう。
最後に、経済的な状況と時間的な余裕を考慮します。予備校費用を捻出できるか、独学で時間がかかっても問題ないか、これらの要素も判断材料となります。
判断が難しい場合は、まずは簿記1級や税理士科目の一部を独学で挑戦してみることをおすすめします。これらの試験で独学での合格が難しいと感じた場合、公認会計士試験の独学は更に困難である可能性が高いでしょう。
公認会計士になるまでの全体像に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士になるには?資格取得の流れ・必要な勉強・実務要件を解説
公認会計士試験の独学におすすめの教材・テキスト
独学で公認会計士試験に挑戦する場合、教材選びが非常に重要です。適切な教材を使用することで、学習効率を高めることができます。ここでは独学におすすめの教材について解説します。
予備校教材を入手する方法
独学での合格を目指す場合、最もおすすめなのは予備校教材を入手することです。市販教材より質が高く、試験対策として優れているためです。予備校教材を入手する方法をいくつか紹介します。
中古教材の購入
メルカリやヤフオクなどのオークションサイトで、予備校の教材が出品されています。TAC、大原、CPA会計学院などの教材が、定価の30%〜50%程度で購入できる場合があります。ただし、古い年度の教材は法改正に対応していない可能性があるため、できるだけ新しい年度のものを選ぶことが重要です。
単科講座の受講
完全に独学ではなく、予備校の単科講座を一部だけ受講するという方法もあります。特に苦手な科目や重要な科目だけを選んで受講することで、費用を抑えつつ予備校のメリットを享受できます。
答練・模試のみの受講
予備校の答練や模試だけを受講するという選択肢もあります。自分の実力を客観的に測ることができ、また予備校の解説や資料を入手できるメリットがあります。費用も講座全体を受講するより大幅に安くなります。
短答式試験のおすすめテキスト
短答式試験は択一式試験であり、幅広い知識が問われます。以下のテキストが独学におすすめです。
財務会計論
財務会計論は短答式試験で最も重要な科目です。市販教材では、TAC出版の「簿記の教科書」シリーズが初学者にも分かりやすく、おすすめです。また、「財務諸表論の要点整理」などの理論テキストも併用すると良いでしょう。
管理会計論
管理会計論は、原価計算や管理会計の理論が出題されます。市販教材では、TAC出版の「管理会計論」シリーズが体系的で使いやすいです。
監査論
監査論は、監査基準や実務指針の理解が重要です。予備校教材を入手できない場合、日本公認会計士協会が発行している「監査基準集」を使用することをおすすめします。
企業法
企業法(会社法)については、市販の法律テキストも活用できます。「会社法入門」などの基本書と、短答式試験用の問題集を組み合わせると効果的です。
論文式試験のおすすめテキスト
論文式試験は記述式であり、応用力と論述力が求められます。市販教材だけでは対応が難しいため、予備校教材の入手を強くおすすめします。
会計学(財務会計論・管理会計論)
論文式試験の会計学は、計算問題と理論問題が出題されます。予備校の事例演習テキストや答練が非常に重要です。独学の場合、過去問を徹底的に研究し、出題パターンを把握することが必要です。
監査論
監査論の論文式試験では、論述力が問われます。予備校の論述対策テキストや答案例集が有効ですが、入手できない場合は過去問の模範解答を研究し、自分なりの答案構成を習得しましょう。
企業法
企業法の論文式試験も論述問題が中心です。会社法の論点を体系的に整理し、論述できるようにする必要があります。司法試験用の基本書も参考になります。
租税法
租税法は論文式試験特有の科目です。法人税法、所得税法、消費税法の基本的な内容を学習します。市販の税法テキストと、公認会計士試験用の問題集を組み合わせると良いでしょう。
選択科目
選択科目は、経営学、経済学、民法、統計学から1科目を選択します。自分の得意分野や興味のある科目を選ぶことをおすすめします。
科目別のおすすめ教材
各科目の独学におすすめの教材をまとめます。
財務会計論(簿記)
- TAC出版「簿記の教科書」シリーズ
- TAC出版「簿記の問題集」シリーズ
- 予備校の計算テキスト(中古)
財務会計論(理論)
- TAC出版「財務諸表論の要点整理」
- 企業会計基準委員会の会計基準原文
- 予備校の理論テキスト(中古)
管理会計論
- TAC出版「管理会計論」テキスト
- 原価計算基準
- 予備校の管理会計論テキスト(中古)
監査論
- 日本公認会計士協会「監査基準集」
- 予備校の監査論テキスト(中古)
- 監査・保証実務委員会報告書
企業法
- 市販の会社法基本書
- TAC出版「企業法」テキスト
- 予備校の企業法テキスト(中古)
租税法
- 市販の法人税法、所得税法テキスト
- 予備校の租税法テキスト(中古)
これらの教材を組み合わせて使用することで、独学でも一定レベルの学習が可能です。ただし、市販教材だけでは不十分な部分も多いため、可能な限り予備校教材を入手することをおすすめします。
公認会計士のテキストに関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士のおすすめテキスト|短答式・論文式別に厳選紹介
公認会計士試験を独学で合格するための勉強法
独学で公認会計士試験の合格を目指す場合、効率的な勉強法を実践することが不可欠です。ここでは、独学での合格に向けた具体的な勉強法を解説します。
学習スケジュールの立て方
独学で最も重要なのは、適切な学習スケジュールを立てることです。公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2段階があり、それぞれに向けた計画が必要です。
全体スケジュールの作成
まず、試験日から逆算して全体のスケジュールを立てます。短答式試験は年2回(5月と12月)実施されるため、どの回を目標とするかを決めます。初学者の場合、短答式試験合格まで1年半〜2年、その後の論文式試験合格まで1年程度を見込むと良いでしょう。
科目別の学習順序
公認会計士試験の各科目には、学習の順序があります。一般的には、簿記(財務会計論の計算部分)を最初に学習し、その後に財務会計論の理論、管理会計論、監査論、企業法の順で進めることが推奨されます。簿記は全ての基礎となるため、しっかりと固めることが重要です。
短期・中期・長期の目標設定
長期目標(試験合格)だけでなく、中期目標(3ヶ月ごとの到達レベル)、短期目標(週ごとの学習内容)を設定します。これにより、日々の学習の進捗を確認でき、モチベーション維持にもつながります。
学習時間の確保
毎日の学習時間を明確にします。社会人であれば、平日2〜3時間、休日5〜8時間程度の学習時間を確保することが目安です。学生であれば、平日4〜5時間、休日8〜10時間程度の学習が可能でしょう。
科目別の学習アプローチ
各科目には特性があり、それに応じた学習アプローチが必要です。
財務会計論(簿記)
簿記は計算問題が中心であり、繰り返しの演習が重要です。基本的な仕訳から始め、連結会計、キャッシュフロー計算書など、段階的に難易度を上げていきます。毎日計算問題に触れることで、スピードと正確性を向上させましょう。
財務会計論(理論)
財務諸表論の理論は、会計基準や概念フレームワークの理解が必要です。基準原文を読み込み、重要な論点をノートにまとめることが効果的です。暗記だけでなく、なぜそのような会計処理が求められるのかを理解することが重要です。
管理会計論
管理会計論は、計算と理論の両方が出題されます。原価計算の基本をマスターした後、意思決定や業績評価などの応用論点に進みます。計算問題は反復演習、理論は論点整理とアウトプット練習が効果的です。
監査論
監査論は、監査基準や実務指針の理解と暗記が中心です。監査の流れを体系的に理解し、各段階での監査手続きを整理します。論文式試験では論述力が求められるため、自分の言葉で説明できるようにする必要があります。
企業法
企業法(会社法)は、条文と判例の理解が重要です。会社の設立、株式、機関、資金調達など、各論点を体系的に学習します。論文式試験では、事例問題に対して法的根拠を示しながら論述する能力が求められます。
租税法
租税法は、法人税法を中心に、所得税法、消費税法を学習します。計算問題と理論問題の両方が出題されるため、バランスよく学習することが重要です。
過去問・模試の活用方法
過去問と模試は、独学での学習において非常に重要なツールです。
過去問の重要性
公認会計士試験の過去問は、試験の出題傾向や難易度を把握するために不可欠です。公認会計士・監査審査会のウェブサイトで、過去の試験問題が公開されているため、必ず入手して研究しましょう。
過去問は、少なくとも過去5年分を解くことをおすすめします。同じ論点が繰り返し出題されることも多いため、過去問の徹底的な分析が合格への近道となります。
過去問の使い方
まず、問題を解く前に、出題論点を確認します。自分が学習した内容と照らし合わせ、どの程度カバーできているかをチェックしましょう。
実際に時間を計って解くことも重要です。試験では時間配分が合否を分けるため、本番を想定した演習を行います。解答後は、正答率だけでなく、なぜ間違えたのか、どの知識が不足していたのかを分析します。
模試の活用
独学の場合、予備校の模試を受験することを強くおすすめします。模試は、自分の実力を客観的に測定でき、また本番の雰囲気に慣れることができます。
予備校では、短答式模試や論文式模試が定期的に実施されており、単発での受験も可能です。費用はかかりますが、独学での弱点を補うために有効な投資と言えるでしょう。
模試の結果を真摯に受け止め、弱点科目や論点を洗い出し、その後の学習計画に反映させることが重要です。
アウトプット重視の学習法
独学では、インプットだけでなく、アウトプットを重視した学習が不可欠です。
問題演習の重要性
テキストを読んで理解したつもりでも、実際に問題を解くと解けないことがよくあります。知識を定着させ、試験で使える力に変えるには、問題演習が不可欠です。
各科目で、基本問題、応用問題、過去問と段階的に演習を進めます。間違えた問題は必ず復習し、同じミスを繰り返さないようにします。
論述練習
論文式試験では、論述力が重要です。自分で答案を作成し、模範解答と比較することで、論述力を高めることができます。特に監査論と企業法では、論理的に分かりやすく記述する練習が必要です。
説明練習
学習した内容を、他人に説明するつもりで声に出して説明することも効果的です。説明できない部分は理解が不十分であることを示しているため、その論点を重点的に復習します。
ノート作成
重要な論点や自分が間違えやすい内容を、ノートにまとめることも有効です。試験直前の復習用として、コンパクトにまとめたノートがあると便利です。
公認会計士の効果的な勉強法に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士の効果的な勉強法|科目別対策と時間管理術
独学での学習を成功させる5つのコツ
独学で公認会計士試験の合格を目指すには、学習面だけでなく、メンタル面や環境面の工夫も重要です。ここでは、独学を成功させるための具体的なコツを紹介します。
モチベーションを維持する工夫
長期間の独学では、モチベーションの維持が最大の課題となります。以下の方法を実践してみましょう。
小さな目標を設定する
最終目標の合格だけでなく、週ごと、月ごとの小さな目標を設定します。「今週は簿記の連結会計を終わらせる」「今月中に財務会計論の基礎を一通り学習する」など、達成可能な目標を立てることで、達成感を得やすくなります。
学習記録をつける
毎日の学習時間や内容を記録することで、自分の頑張りを可視化できます。積み重ねた学習時間が増えていくのを見ることで、モチベーションの維持につながります。学習アプリやノートを活用しましょう。
ご褒美を設定する
目標を達成したら、自分へのご褒美を用意するのも効果的です。「今週の目標を達成したら好きな映画を見る」「模試で目標点を取れたら美味しいものを食べる」など、楽しみを設定することで学習意欲が高まります。
合格後のイメージを持つ
公認会計士として働く自分の姿を具体的にイメージすることも、モチベーション維持に有効です。どのような仕事をしたいか、どのようなキャリアを築きたいかを明確にすることで、学習の目的意識が強まります。
学習環境を整える
学習に集中できる環境を整えることも、独学成功の重要な要素です。
専用の学習スペースを確保する
自宅に学習専用のスペースを設けることをおすすめします。机と椅子を用意し、学習に必要な教材や文房具を整理します。このスペースでは学習以外のことはしないようにすることで、集中力が高まります。
図書館やカフェの活用
自宅では集中できない場合、図書館やカフェなど、外部の学習スペースを活用しましょう。環境を変えることで気分転換になり、集中力が戻ることもあります。
スマートフォンの管理
学習中はスマートフォンを別の部屋に置く、通知をオフにするなど、誘惑を排除することが重要です。SNSやゲームは学習の大敵であり、集中力を大きく削ぎます。
学習ツールの活用
タブレットやPCを使った学習も効果的です。オンラインの学習動画や電子書籍、学習管理アプリなどを活用することで、学習効率を高めることができます。
SNSで受験仲間を見つける
独学の孤独感を軽減するために、SNSで受験仲間を見つけることをおすすめします。
Twitter(X)の活用
Twitterには、公認会計士試験の受験生が多く存在します。「#公認会計士試験」「#会計士受験生」などのハッシュタグで検索し、同じ目標を持つ仲間とつながりましょう。日々の学習報告をツイートすることで、互いに励まし合うことができます。
オンライン受験生コミュニティ
公認会計士試験の受験生向けのオンラインコミュニティやフォーラムも存在します。疑問点を質問したり、情報交換をしたりすることで、独学の弱点を補うことができます。
勉強会への参加
オンラインやオフラインで開催される受験生向けの勉強会に参加することも有効です。他の受験生との交流を通じて、新たな学習方法や情報を得られる可能性があります。
定期的に学習計画を見直す
学習を進める中で、計画通りに進まないことは珍しくありません。定期的に学習計画を見直し、修正することが重要です。
月次の振り返り
毎月末に、その月の学習内容と達成度を振り返ります。予定通り進んだ部分、遅れている部分を明確にし、翌月の計画を調整します。
弱点科目の洗い出し
模試や過去問演習の結果から、弱点科目や論点を洗い出します。弱点部分には追加の学習時間を割り当て、計画を修正します。
学習方法の見直し
学習効果が上がっていないと感じたら、学習方法自体を見直すことも必要です。例えば、理論科目で暗記がうまくいかない場合、音読や書き出しなど、別の方法を試してみましょう。
適切な休息を取る
独学では、つい無理をしてしまいがちですが、適切な休息も学習効率を高める重要な要素です。
週1日の休養日
週に1日は完全に学習を休む日を設けることをおすすめします。心身をリフレッシュさせることで、翌週の学習効率が向上します。
睡眠時間の確保
睡眠不足は学習効率を大きく低下させます。少なくとも6時間、できれば7〜8時間の睡眠を確保することが重要です。夜遅くまで勉強するより、早寝早起きの生活リズムを整えましょう。
適度な運動
長時間の座学は体に負担をかけます。ウォーキングやジョギング、ストレッチなど、適度な運動を取り入れることで、心身の健康を保つことができます。
趣味の時間
全ての時間を学習に費やすのではなく、趣味やリラックスの時間も大切にしましょう。メリハリのある生活が、長期間の学習を継続する秘訣です。
公認会計士の独学と予備校・通信講座の比較
独学で挑戦するか、予備校や通信講座を利用するかは、多くの受験生が悩む選択です。ここでは、それぞれの特徴を比較し、どちらを選ぶべきかを考えます。
費用の比較
まず、最も分かりやすい違いである費用面を比較しましょう。
独学の費用
独学の場合、主な費用は教材費です。市販のテキストと問題集を揃える場合、10万円〜30万円程度で済みます。予備校の中古教材を購入する場合でも、20万円〜40万円程度に抑えられるでしょう。
また、模試を受験する費用や、学習用のツール(タブレットやアプリ)の費用が追加でかかる場合がありますが、それでも総額50万円以内に収まることが多いです。
予備校の費用
大手予備校の2年コースでは、70万円〜100万円程度が相場です。TAC、大原、CPA会計学院などの主要予備校は、この価格帯に収まります。LECなど一部の予備校では、やや安い価格設定もあります。
予備校の費用には、教材費、講義視聴、答練・模試、質問対応などが含まれています。追加で受講する科目や答練がある場合、さらに費用が上乗せされることもあります。
通信講座の費用
通信講座は、予備校より若干安い価格設定が一般的です。50万円〜80万円程度で受講できる講座が多く、予備校の通学講座との中間的な価格帯となっています。
通信講座では、オンラインで講義動画を視聴し、質問もメールやチャットで行います。通学の必要がないため、予備校より安価に設定されています。
合格率の比較
次に、合格率の観点から比較してみましょう。
独学の合格率
先述の通り、独学での合格率は推定で1%以下とされています。公認会計士試験の全体合格率が約10%であることを考えると、独学は非常に厳しい道のりであることが分かります。
独学で合格できる方は、極めて高い能力と意志力を持った一部の受験生に限られます。多くの独学受験生が、途中で挫折したり、予備校に切り替えたりしているのが実情です。
予備校・通信講座の合格率
予備校や通信講座の合格率は、独学と比較して圧倒的に高くなります。大手予備校では、受講生の合格率が30%〜40%に達することもあり、全体平均の10%を大きく上回ります。
特にCPA会計学院など、合格実績を売りにしている予備校では、さらに高い合格率を謳っている場合もあります。ただし、これらの数字には、途中で受講を断念した受験生が含まれていない場合もあるため、注意が必要です。
それでも、予備校や通信講座を利用した方が、合格の可能性が大幅に高まることは間違いありません。
学習効率の比較
学習効率の観点からも、両者を比較してみましょう。
独学の学習効率
独学の学習効率は、一般的に予備校より低くなります。試験に出やすい論点の選別、学習順序の最適化、法改正への対応など、予備校では当たり前に提供される情報を、独学では自分で判断しなければならないためです。
また、理解できない論点があった時に、自力で解決しなければならない点も、学習効率を低下させます。調べても分からない場合、その論点を飛ばして先に進むか、時間をかけて理解を試みるか、判断が難しくなります。
予備校なら2年で習得できる内容が、独学では3年〜4年かかる可能性があります。この時間差は、機会損失として考慮すべきでしょう。
予備校・通信講座の学習効率
予備校や通信講座では、長年の試験研究に基づいた最適化されたカリキュラムが用意されています。出題可能性の高い論点を重点的に学習し、重要度の低い内容は軽く流すなど、効率的な学習が可能です。
また、講師の解説により、独学では時間がかかる理解が短時間で可能になります。質問対応も充実しており、疑問点を迅速に解決できる点も、学習効率の向上につながります。
定期的な答練や模試により、自分の実力を客観的に把握でき、弱点を洗い出して重点的に学習することもできます。これらの要素が、高い学習効率を実現しています。
どちらを選ぶべきか
独学と予備校・通信講座、どちらを選ぶべきかは、以下の要素を考慮して判断しましょう。
独学を選ぶべき人
- 予備校費用を捻出することが困難な方
- 会計や法律の基礎知識が既にある方(簿記1級合格レベル)
- 高い自己管理能力と学習能力を持つ方
- 独学での資格取得経験がある方
- 時間的制約がなく、長期間かかっても問題ない方
予備校・通信講座を選ぶべき人
- できるだけ短期間で合格したい方
- 初学者で会計の知識がない方
- 自己管理が苦手な方
- 確実に合格したい方
- 費用を投資として考えられる方
折衷案も検討する
完全な独学と予備校の中間として、以下のような選択肢もあります。
- 通信講座を利用する(予備校より安価)
- 予備校の単科講座を一部だけ受講する
- 答練・模試だけ予備校を利用する
- 初年度は独学、2年目から予備校に切り替える
これらの方法により、費用と学習効率のバランスを取ることができます。自分の状況と目標に応じて、最適な選択をしましょう。
公認会計士予備校の比較に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士予備校の選び方|大手校の特徴と費用を比較
独学合格者の体験談と成功事例
独学での合格は困難ですが、実際に独学で合格を果たした方も存在します。ここでは、独学合格者の体験談や成功事例を紹介し、独学での合格に必要な要素を探ります。
1年で独学合格した社会人の事例
Aさん(30代・男性)は、簿記1級合格後、独学で公認会計士試験に挑戦し、1年で短答式試験に合格、その後1年で論文式試験にも合格しました。
Aさんの特徴
Aさんは、大学で経営学を専攻し、会計の基礎知識を持っていました。また、社会人として経理部門で働いており、実務での会計処理の経験もありました。簿記1級を独学で取得した実績もあり、独学での学習に慣れていました。
学習方法
Aさんは、予備校の中古教材を入手し、それを中心に学習を進めました。毎日、早朝2時間と帰宅後2時間、休日は8時間程度の学習時間を確保しました。
特に重視したのは、過去問の徹底的な分析です。過去10年分の過去問を繰り返し解き、出題傾向と重要論点を把握しました。また、公認会計士・監査審査会のウェブサイトで法改正情報をチェックし、最新の試験対策を心がけました。
成功の要因
Aさんの成功要因は、以下の点にあります。
- 会計の基礎知識と実務経験があった
- 独学での学習経験があり、自己管理能力が高かった
- 毎日一定の学習時間を確保できた
- 過去問分析を徹底し、効率的に学習した
- 法改正情報を自分で収集し、対応した
独学成功者が使っていた教材
独学で合格した方々が使用していた教材には、共通点があります。
予備校教材の活用
多くの独学合格者が、予備校の中古教材を入手して使用していました。市販教材だけでは不十分であることを理解し、予備校教材の質の高さを活用したのです。
特に、TACや大原の教材は人気が高く、中古市場でも比較的入手しやすいため、多くの独学受験生に利用されています。
過去問の徹底活用
独学合格者の多くが、過去問を徹底的に研究していました。単に解くだけでなく、出題論点を分析し、頻出論点を洗い出し、重点的に学習することで、効率的な対策を実現しました。
過去問は、公認会計士・監査審査会のウェブサイトで無料で入手できるため、独学受験生にとって最も重要な教材の一つと言えます。
オンライン情報の活用
最近では、YouTubeやブログで公認会計士試験の学習内容を解説しているものもあります。独学合格者の中には、これらのオンライン情報を補助教材として活用した方もいます。
ただし、オンライン情報は質にばらつきがあるため、信頼できる情報源を選ぶことが重要です。
独学成功者の共通点
独学で公認会計士試験に合格した方々には、いくつかの共通点があります。
1. 会計の基礎知識があった
ほとんどの独学合格者が、挑戦前に簿記1級や税理士科目など、一定レベルの会計知識を持っていました。全くの初学者から独学で合格した例は極めて稀です。
2. 高い自己管理能力
独学合格者は、例外なく高い自己管理能力を持っています。計画的に学習を進め、毎日の学習時間を確保し、長期間にわたって継続できる意志の強さがありました。
3. 情報収集能力が高い
法改正情報や試験傾向の情報を、自分で積極的に収集していました。公認会計士・監査審査会のウェブサイト、専門誌、受験生コミュニティなど、様々な情報源を活用していました。
4. 柔軟な学習方法
一つの学習方法に固執せず、効果が上がらない場合は別の方法を試すなど、柔軟に対応していました。例えば、理論の暗記がうまくいかない場合、音読や書き出しなど、別のアプローチを試していました。
5. 孤独に耐える精神力
長期間一人で学習を続けることに耐えられる精神力を持っていました。孤独感を感じても、目標に向かって進み続ける強い意志がありました。
これらの共通点を持つ方であれば、独学での合格も不可能ではありません。しかし、これらの条件を満たしていない場合、予備校や通信講座の利用を検討すべきでしょう。
独学で挫折しないための注意点
独学での挑戦は挫折リスクが高いため、挫折を防ぐための工夫が必要です。ここでは、独学で挫折しないための具体的な注意点を解説します。
完璧主義に陥らない
独学では、全ての論点を完璧に理解しようとしすぎると、学習が進まなくなります。公認会計士試験は範囲が広いため、完璧を目指すより、重要論点を確実に押さえることが重要です。
理解できない論点は一旦飛ばす
学習を進める中で、どうしても理解できない論点が出てくることがあります。そのような場合、一旦その論点を飛ばして先に進むことも必要です。全体を一通り学習した後で戻ってくると、理解できることもあります。
80%の理解で先に進む
100%の理解を目指すより、80%の理解で次の論点に進む方が効率的です。後から過去問演習や答練を通じて、理解を深めることができます。
優先順位をつける
全ての論点が同じ重要度ではありません。過去問分析から、頻出論点と出題可能性の低い論点を区別し、優先順位をつけて学習しましょう。
孤独を避ける工夫をする
独学の孤独感は、挫折の大きな原因となります。孤独を避けるための工夫を実践しましょう。
オンラインコミュニティへの参加
Twitterや受験生フォーラムなど、オンラインコミュニティに参加することで、他の受験生とつながることができます。学習報告を共有したり、励まし合ったりすることで、孤独感を軽減できます。
家族や友人に目標を伝える
家族や友人に、公認会計士試験への挑戦を伝えることも有効です。周囲のサポートや理解を得ることで、精神的な支えになります。
定期的に外部との接点を持つ
完全に一人で学習するのではなく、図書館で学習したり、カフェで勉強したりすることで、他者の存在を感じることができます。予備校の模試を受験することも、外部との接点を持つ良い機会です。
定期的に自己評価を行う
独学では、客観的な評価を得る機会が少ないため、定期的に自己評価を行うことが重要です。
模試の活用
予備校の模試を受験し、自分の実力を客観的に測定しましょう。模試の結果から、弱点科目や論点を洗い出し、その後の学習計画に反映させます。
少なくとも、短答式試験前と論文式試験前には、それぞれ2〜3回の模試を受験することをおすすめします。
過去問での自己採点
過去問を解いた後、厳しく自己採点を行います。論文式試験の論述問題では、模範解答と比較し、自分の答案の不足点を洗い出します。
客観的な採点が難しい場合、予備校の答練だけを受講するという選択肢もあります。
学習計画の見直し
毎月末に、その月の学習成果を評価します。予定通り進んでいるか、理解度は十分か、弱点はどこかを分析し、次月の計画を調整します。
計画と実績の差が大きい場合、計画自体が現実的でない可能性があるため、より実現可能な計画に修正することも必要です。
公認会計士の独学に関連するよくある質問(FAQ)
公認会計士試験の独学に関して、受験生からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. 公認会計士試験は独学で何年かかりますか?
公認会計士試験を独学で目指す場合、合格までに3年〜5年程度かかることが一般的です。予備校を利用した場合の平均合格年数が2年〜3年であることを考えると、独学では1年〜2年程度長くかかる傾向があります。
ただし、これは学習時間を十分に確保でき、継続できた場合の話です。独学では、学習の非効率性や途中での挫折リスクが高いため、さらに時間がかかる可能性もあります。
既に簿記1級レベルの知識がある方や、会計の実務経験がある方であれば、2年〜3年での合格も可能です。しかし、全くの初学者が独学で挑戦する場合、合格まで5年以上かかる、あるいは途中で挫折する可能性が高いでしょう。
独学での挑戦を考えている方は、この時間的コストを十分に理解した上で判断することが重要です。機会損失も考慮すると、予備校への投資が結果的に合理的な選択となる場合もあります。
Q. 公認会計士の独学におすすめのテキストは何ですか?
公認会計士試験の独学におすすめのテキストは、予備校教材を中古で入手することです。TAC、大原、CPA会計学院などの大手予備校の教材は、試験対策として非常に優れており、市販教材より質が高いためです。
予備校教材を入手できない場合、市販教材としては以下がおすすめです。
財務会計論(簿記)では、TAC出版の「簿記の教科書」「簿記の問題集」シリーズが初学者にも分かりやすく、体系的に学習できます。財務会計論(理論)では、「財務諸表論の要点整理」などの理論テキストが有効です。
管理会計論、監査論、企業法については、市販教材だけでは不十分な部分も多いため、予備校教材の入手を強くおすすめします。また、公認会計士のおすすめテキストでも詳しく紹介しているので、参考にしてください。
過去問は、公認会計士・監査審査会のウェブサイトで無料で入手できるため、必ず活用しましょう。過去問の研究が、独学での合格には不可欠です。
Q. 公認会計士を独学で目指すメリットは何ですか?
公認会計士を独学で目指す最大のメリットは、費用を大幅に抑えられることです。予備校では70万円〜100万円程度の費用がかかりますが、独学なら10万円〜30万円程度に抑えられます。
また、自分のペースで学習できる点もメリットです。予備校のカリキュラムに縛られず、得意な科目は早く進め、苦手な科目により時間をかけるなど、柔軟に学習を進められます。
通学時間が不要な点も魅力です。通学に往復1〜2時間かかる場合、年間で数百時間の時間を節約でき、その分を学習時間に充てることができます。
ただし、これらのメリットは、合格までの時間が長くなる、学習効率が悪い、挫折リスクが高いなどのデメリットとのトレードオフであることを理解しておく必要があります。費用を節約できても、合格できなければ意味がありません。
Q. 公認会計士の独学が無理と言われる理由は?
公認会計士の独学が「無理」と言われる主な理由は、以下の通りです。
第一に、試験範囲が膨大で、独学では効率的な学習計画を立てることが極めて困難だからです。公認会計士試験は、会計学、監査論、企業法、租税法、経営学など多岐にわたる専門知識が求められ、各科目のボリュームも非常に大きいです。
第二に、市販の教材が不十分で、予備校教材の質と量に遠く及ばないためです。特に論文式試験の論述対策については、市販教材だけでは対応が難しいでしょう。
第三に、法改正や試験傾向の情報収集が困難で、最新の試験対策を行うことが難しいためです。予備校では自動的に提供される情報を、独学では自分で収集しなければなりません。
第四に、質問できる環境がなく、理解できない論点を解決することが困難だからです。また、長期間のモチベーション維持が難しく、多くの独学受験生が途中で挫折しています。
これらの理由から、独学での合格率は1%以下と推定されており、「無理」と言われることが多いのです。
Q. 公認会計士の独学と通信講座はどちらがおすすめですか?
公認会計士の独学と通信講座では、ほとんどの場合、通信講座の方がおすすめです。通信講座は、予備校より費用が安く(50万円〜80万円程度)、独学より学習効率が高いという、両者の良いところを取った選択肢だからです。
通信講座では、講義動画を視聴して学習でき、質問もメールやチャットで行えます。教材も予備校レベルの質が保証されており、法改正情報も提供されます。自分のペースで学習できる点も、独学と同様のメリットです。
ただし、通信講座にも弱点はあります。対面での質問ができないため、込み入った疑問の解決に時間がかかる場合があります。また、受験仲間との交流が限定的で、孤独感を感じやすい点も注意が必要です。
完全な独学を選ぶべきなのは、どうしても費用を最小限に抑えたい方、既に簿記1級レベルの知識がある方、独学での学習に自信がある方に限られるでしょう。初学者や自己管理が苦手な方は、通信講座または予備校の利用を強くおすすめします。
公認会計士予備校の比較では、通信講座も含めた詳しい情報を提供しているので、参考にしてください。
Q. 公認会計士試験に独学で一発合格できますか?
公認会計士試験に独学で一発合格することは、理論上は可能ですが、現実的には極めて困難です。一発合格とは、短答式試験と論文式試験を連続で合格することを意味しますが、これは予備校を利用しても難しく、独学ではさらに困難度が増します。
予備校を利用した場合でも、一発合格できる受験生は全体の数%程度と言われています。多くの受験生が、短答式試験で1年、論文式試験で1年以上かけて合格しています。
独学で一発合格するには、以下の条件が必要です。
- 既に簿記1級以上の会計知識がある
- 極めて高い学習能力と自己管理能力を持つ
- 毎日5時間以上の学習時間を確保できる
- 法改正情報を自分で収集・理解できる
- 孤独に耐えられる強い精神力がある
これらの条件を全て満たす方は極めて少数であり、現実的には、独学での一発合格はほぼ不可能と考えるべきでしょう。独学で挑戦する場合は、短答式試験合格に1年〜2年、論文式試験合格にさらに1年〜2年かかることを覚悟すべきです。
一発合格を目指す方は、予備校や通信講座の利用を強くおすすめします。
まとめ:公認会計士の独学は慎重に判断しよう
本記事では、公認会計士試験の独学での合格について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- 独学合格は可能だが極めて困難:公認会計士試験の独学合格率は1%以下とされ、合格者の9割以上が予備校出身者です。試験範囲の膨大さ、市販教材の不足、法改正情報の収集困難、質問環境の欠如、モチベーション維持の難しさなど、独学には多くの障壁があります。
- 独学のメリットとデメリットを正確に理解する:独学の最大のメリットは費用削減(10万円〜30万円程度)ですが、学習効率の低さ、最新情報入手の困難さ、孤独感、高い挫折リスクなどのデメリットも大きいです。費用を節約できても、合格できなければ投資した時間が無駄になります。
- 自分が独学に向いているかを冷静に判断する:独学に向いているのは、会計の基礎知識がある方、高い自己管理能力を持つ方、情報収集能力が高い方、孤独に耐えられる方、十分な学習時間を確保できる方です。これらの条件を満たさない場合、予備校や通信講座の利用を検討すべきです。
公認会計士試験の独学を理解できたら、次は自分に最適な学習方法を選択しましょう。公認会計士予備校の比較と公認会計士の効果的な勉強法を参考に、計画的に進めることをおすすめします。
本記事を通じて、公認会計士試験の独学の実態とその困難さを理解いただけたはずです。独学での挑戦は魅力的に見えるかもしれませんが、合格の可能性と投資する時間を考慮すると、多くの方にとって予備校や通信講座の利用が賢明な選択となるでしょう。自分の状況と能力を冷静に分析し、最適な学習方法を選択してください。
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