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公認会計士の年収は?平均給与・年齢別・働き方別の収入を徹底分析

公認会計士の年収について知りたいあなたへ。「公認会計士になったらどれくらい稼げるのか」という疑問は、実際のデータと具体的なキャリアパスを理解することで解決できます。

本記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づく平均年収922万円の内訳、年齢別・働き方別の収入推移、そして年収1000万円以上を実現する方法について、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士としての高収入キャリアの実現に向けて、具体的な一歩を踏み出しましょう。

この記事を読むとわかること
  • 公認会計士の平均年収922万円の詳細と一般会社員との比較
  • 20代から60代までの年齢別年収推移と昇進による収入変化
  • 監査法人・事業会社・独立開業など働き方別の年収水準
  • 年収1000万円・2000万円・3000万円を実現する具体的な方法
押さえておきたい3つのポイント
  1. 公認会計士の平均年収は922万円:厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、公認会計士の平均年収は922万円で、一般会社員の約2倍の給与水準となっています。生涯年収では約3億円を超える高収入が期待できる職業です。
  2. キャリアステージで年収が大きく変動:20代で449万円からスタートし、30代で682万円、40代・50代では1000万円超も現実的です。監査法人でマネージャーに昇格すれば800万円〜1200万円、パートナーになれば1500万円以上の年収を得られます。
  3. 働き方次第で年収2000万円以上も可能:監査法人パートナー、コンサルティングファーム転職、独立開業など、キャリア戦略によって年収2000万円から3000万円を目指すことも現実的です。M&Aや国際税務などの高度専門分野に特化することで、さらなる高収入を実現できます。

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目次

公認会計士(CPA)の平均年収は922万円|厚生労働省データで見る実態

公認会計士の年収は、他の職業と比較しても非常に高い水準にあります。厚生労働省が実施する賃金構造基本統計調査の最新データによると、公認会計士の平均年収は922万円となっており、専門職としての高い評価を受けていることがわかります。このセクションでは、公認会計士の年収の実態について、公式データを基に詳しく解説していきます。

公認会計士とはどのような資格なのか、基本的な情報を確認しておくと、年収の背景にある専門性の高さをより理解できるでしょう。

公認会計士の平均年収922万円の内訳

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2023年度)によると、公認会計士の平均年収は922万円です。この金額には、基本給のほかに残業手当、賞与(ボーナス)、各種手当が含まれています。月額換算すると、基本給が約50万円〜60万円、年2回の賞与が合計で200万円〜300万円程度という内訳が一般的です。

監査法人に勤務する公認会計士の場合、繁忙期(1月〜5月)には残業時間が増加するため、残業手当が月10万円〜20万円程度上乗せされることもあります。一方で、閑散期(6月〜12月)は残業が少なくなるため、年間を通じて見ると残業手当は平均化されます。このような給与体系により、公認会計士は安定した高収入を得られる職業として知られています。

一般会社員との年収比較|約2倍の給与水準

一般会社員の平均年収は約460万円(国税庁「民間給与実態統計調査」2023年度)であるのに対し、公認会計士の平均年収922万円は約2倍の水準となっています。この差は、公認会計士が高度な専門知識と国家資格を必要とする職業であることに起因します。

特に注目すべきは、公認会計士は比較的若い年代から高収入を得られる点です。一般会社員の場合、30代の平均年収は約450万円ですが、公認会計士の30代平均年収は682万円〜828万円と、この時点ですでに大きな差が生まれています。さらに、40代・50代になると一般会社員との年収差はさらに広がり、公認会計士の中には年収1000万円を超える人も珍しくありません。

公認会計士の生涯年収は約3億円超

生涯年収という観点で見ると、公認会計士の優位性はさらに明確になります。一般的な大卒会社員の生涯年収が約2億円〜2億5000万円であるのに対し、公認会計士の生涯年収は約3億円以上となります。この差は約5000万円〜1億円にも及び、長期的なキャリアで見た場合の経済的メリットは非常に大きいと言えるでしょう。

この生涯年収の高さは、公認会計士が若手時代から比較的高収入を得られること、そして40代以降もキャリアアップによって年収が上昇し続ける可能性が高いことに由来します。監査法人でマネージャーやパートナーに昇進した場合、年収1500万円以上も十分に現実的です。また、独立開業や事業会社のCFO(最高財務責任者)として活躍すれば、生涯年収はさらに増加する可能性があります。

公認会計士の年収に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士の初任給は?新卒・中途・Big4監査法人の年収を比較

公認会計士(CPA)の年齢別年収|20代〜60代の収入推移

公認会計士の年収は年齢とともに上昇し、キャリアステージによって大きく変動します。このセクションでは、20代から60代までの年齢別年収推移について、実際のデータを基に詳しく解説します。公認会計士を目指す方や、キャリアプランを考えている方にとって、各年代でどれくらいの収入が見込めるかを知ることは欠かせません。

20代の公認会計士の平均年収(449万円〜589万円)

20代の公認会計士の平均年収は、449万円〜589万円の範囲となっています。この年代は、監査法人でスタッフとして勤務することが多く、主に監査業務の実務経験を積む時期です。初年度の年収は約500万円〜550万円程度からスタートし、2年目以降は経験と実績に応じて年収が上昇していきます。

20代後半になると、シニアスタッフへの昇格が視野に入ってくるため、年収は600万円前後まで上昇する可能性があります。Big4監査法人(デロイトトーマツ、PwCあらた、EY新日本、KPMG)に勤務する場合、初任給が月30万円〜35万円程度となるため、1年目でも年収500万円〜600万円を得られることが一般的です。

30代の公認会計士の平均年収(682万円〜828万円)

30代の公認会計士の平均年収は、682万円〜828万円となっており、20代と比較して大幅な年収アップが期待できます。この年代は、シニアスタッフからマネージャーへと昇進するタイミングであり、業務の責任範囲が拡大することで年収も増加します。

30代前半では主にシニアスタッフとして活躍し、年収は600万円〜850万円程度です。監査チームのリーダーとして若手スタッフを指導したり、クライアント企業との調整業務を担当したりすることで、実務経験とマネジメント能力を養います。30代後半になると、マネージャーに昇進する人も増え、年収は800万円〜1200万円の範囲に達する可能性があります。

40代・50代の公認会計士の平均年収(1000万円超も可能)

40代・50代の公認会計士になると、年収1000万円を超えることも十分に現実的です。この年代では、監査法人でシニアマネージャーやパートナーに昇進している人が多く、年収は1000万円〜2000万円以上の範囲となります。パートナーとして経営に参画する場合、事業の収益によっては年収3000万円を超えるケースもあります。

加えて、40代・50代は独立開業を選択する公認会計士も増える時期です。自身の会計事務所を経営することで、顧客基盤と専門性次第では年収2000万円〜3000万円以上を実現することも可能です。さらに、事業会社のCFOや経営幹部として活躍する道もあり、企業規模や業績によっては年収1500万円〜2000万円程度の高収入を得られます。

公認会計士の年収は何歳でピークを迎えるか

公認会計士の年収ピークは、一般的に50代前半〜60代前半とされています。この時期は、監査法人でパートナーとして活躍している場合や、独立開業して顧客基盤が確立している場合が多く、年収が最も高くなる傾向があります。監査法人パートナーの場合、年収2000万円〜3000万円以上も珍しくありません。

ただし、公認会計士の年収ピークは個人のキャリア選択によって大きく異なります。監査法人に残り続ける場合と、コンサルティングファームに転職する場合、独立開業する場合では、年収のピーク時期も金額も変わってきます。なお、近年は60歳以降も現役で活躍する公認会計士が増えており、定年後も顧問や非常勤として年収800万円〜1000万円程度を維持することも可能です。

公認会計士(CPA)の男女別年収|性別による収入格差の実態

公認会計士の年収には、男女間で一定の格差が存在しています。このセクションでは、男女別の平均年収データとともに、格差が生まれる理由や、女性公認会計士が高年収を実現するための働き方について解説します。

男性公認会計士の平均年収(989万円)

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、男性公認会計士の平均年収は989万円となっています。この金額は、全職業の中でも非常に高い水準であり、男性の平均年収(約550万円)の約1.8倍です。男性公認会計士の多くは、監査法人で長期的にキャリアを積み、マネージャーやパートナーに昇進することで高収入を実現しています。

特にBig4監査法人や大手コンサルティングファームでは、マネージャー以上の役職に就くことで年収1000万円を超えることが一般的です。また、40代・50代になると独立開業や事業会社の経営幹部として活躍する男性公認会計士も多く、年収2000万円〜3000万円を得ているケースも少なくありません。

女性公認会計士の平均年収(728万円)

女性公認会計士の平均年収は728万円となっており、男性公認会計士と比較すると約260万円の差があります。しかし、女性の全職業平均年収(約350万円)と比較すると、女性公認会計士の年収は約2倍以上であり、女性にとって非常に魅力的な高収入職業であることは間違いありません。

女性公認会計士の中には、結婚や出産を経ても継続してキャリアを積み、年収1000万円以上を実現している人も増えています。近年は、監査法人やコンサルティングファームでも働き方改革が進んでおり、時短勤務やリモートワークなどの制度を活用しながら、高収入を維持することが可能になってきています。

公認会計士の男女格差が生まれる3つの理由

公認会計士の男女間年収格差が生まれる主な理由は、以下の3点です。

1つ目は、勤続年数の違いです。女性公認会計士の場合、出産や育児によって一時的にキャリアを中断したり、時短勤務に切り替えたりするケースが多く、これが年収に影響します。監査法人では、勤続年数と実務経験が昇進と年収に直結するため、キャリアの中断が年収格差を生む要因となっています。

2つ目は、昇進機会の違いです。マネージャーやパートナーなどの上級職に就く女性公認会計士の割合は、まだ男性と比較して少ない状況です。これは、長時間労働が求められる監査法人の文化や、育児との両立の難しさが影響していると考えられます。

3つ目は、転職やキャリアチェンジのタイミングです。男性公認会計士は、コンサルティングファームへの転職や独立開業によって年収を大幅にアップさせるケースが多い一方、女性公認会計士は家庭との両立を優先し、比較的安定した働き方を選ぶ傾向があります。

女性公認会計士の年収アップを実現する働き方

女性公認会計士が高年収を実現するためには、以下のような働き方が有効です。

まず、時短勤務やリモートワークを活用しながらも、重要なプロジェクトに積極的に参加し、実績を積むことが欠かせません。近年の監査法人では、働き方改革が進んでおり、柔軟な勤務形態でもキャリアアップが可能になっています。実際に、時短勤務でありながらマネージャーに昇進し、年収1000万円以上を維持している女性公認会計士も増えています。

次に、専門分野を確立することも年収アップの鍵となります。M&Aアドバイザリー、IPO支援、国際税務など、高度な専門性が求められる分野に特化することで、短時間勤務でも高い報酬を得られる可能性があります。これらの分野では、知識と経験が重視されるため、育児との両立をしながらでも高収入を実現しやすくなります。

加えて、独立開業も選択肢の一つです。自身のペースで顧客対応ができるため、育児と仕事の両立がしやすく、顧客基盤次第では年収1000万円〜2000万円以上も可能です。最近では、女性公認会計士向けの会計事務所や、女性経営者向けのコンサルティングサービスなど、ニッチな市場で成功している事例も増えています。

公認会計士の働き方別年収に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士の仕事内容とは?業務範囲・働き方・キャリアパスを詳しく解説

公認会計士の初任給と1年目の年収|新卒との比較

公認会計士として働き始める際の初任給と1年目の年収は、一般企業の新卒社員と比較してどれほど高いのでしょうか。このセクションでは、Big4監査法人や中小監査法人の初任給について、具体的なデータを基に解説します。

Big4監査法人の初任給は月30〜35万円

Big4監査法人(デロイトトーマツ、PwCあらた、EY新日本、KPMG)の公認会計士試験合格者の初任給は、月額30万円〜35万円程度が一般的です。これは基本給の金額であり、この他に残業手当や各種手当が加算されます。繁忙期には残業時間が増えるため、月給は40万円〜50万円に達することもあります。

Big4監査法人の初任給が高い理由は、グローバルネットワークを持つ大手法人であり、クライアントも大企業が中心であることから、高度な専門性と責任が求められるためです。また、優秀な人材を確保するための競争も激しく、給与水準を高めに設定することで、公認会計士試験合格者を採用する戦略をとっています。

公認会計士1年目の年収は500万円〜600万円

公認会計士1年目の年収は、Big4監査法人の場合で500万円〜600万円程度となります。これは、月額基本給30万円〜35万円に加え、残業手当と賞与(ボーナス)が含まれた金額です。賞与は年2回支給されることが多く、1回あたり基本給の2〜3ヶ月分程度が一般的です。

1年目の公認会計士は、監査業務の基礎を学びながら、実際のクライアント企業の監査チームに配属されます。繁忙期(1月〜5月)には、月80時間〜100時間程度の残業が発生することもあり、残業手当が月10万円〜15万円程度加算されるため、年収が600万円前後に達するケースもあります。

一般企業の新卒初任給との比較

一般企業の新卒初任給は、大卒で月額21万円〜23万円程度(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年度)であり、年収に換算すると約300万円〜350万円程度です。これに対し、公認会計士1年目の年収は500万円〜600万円であるため、一般企業の新卒と比較して約1.5倍〜2倍の収入を得られることになります。

この差は、公認会計士が高度な国家資格であり、試験合格までに平均3000時間〜5000時間の勉強が必要であることに起因します。また、公認会計士は入社時点で既に専門知識を持っており、即戦力として期待されるため、初任給も高めに設定されています。

中小監査法人の初任給と年収

中小監査法人の公認会計士の初任給は、Big4監査法人と比較するとやや低めで、月額25万円〜30万円程度が一般的です。1年目の年収は、400万円〜500万円程度となることが多く、Big4と比較すると約100万円程度の差があります。

ただし、中小監査法人にはBig4にはないメリットもあります。例えば、少人数のチームで幅広い業務を経験できるため、早い段階から責任ある仕事を任されることが多く、スキルアップのスピードが速い傾向があります。また、ワークライフバランスが比較的取りやすく、残業時間もBig4より少ないケースが多いため、プライベートとの両立を重視する方には向いています。

公認会計士の初任給についてさらに詳しく知りたい方は、専門記事をご覧ください。

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監査法人勤務の公認会計士年収|職階別の給与体系を解説

監査法人で働く公認会計士の年収は、職階(スタッフ、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナー)によって大きく異なります。このセクションでは、各職階の年収範囲と昇進の目安について詳しく解説します。

スタッフ(1〜3年目)の年収:450万円〜600万円

監査法人におけるスタッフは、入社1年目から3年目までの若手公認会計士が該当します。この職階の年収は450万円〜600万円の範囲であり、経験年数や業績評価によって昇給していきます。1年目は450万円〜500万円程度からスタートし、3年目には550万円〜600万円程度まで上昇するのが一般的です。

スタッフの主な業務は、クライアント企業の財務諸表を確認し、監査手続きを実施することです。具体的には、勘定科目の残高確認、証憑書類のチェック、棚卸立会、銀行残高の照合などを行います。先輩公認会計士の指導を受けながら実務経験を積み、公認会計士としての基礎スキルを身につける時期です。

シニアスタッフ(4〜7年目)の年収:600万円〜850万円

シニアスタッフは、監査法人での経験が4年目〜7年目程度の中堅公認会計士が該当します。年収は600万円〜850万円の範囲となり、スタッフ時代と比較して大幅な年収アップが期待できます。この職階では、監査チームのリーダーとして若手スタッフを指導したり、クライアント企業の経理担当者と直接やり取りをしたりする責任が増えます。

シニアスタッフになると、監査計画の立案や、監査手続きの設計にも関与するようになります。また、クライアント企業の経営課題を理解し、監査の視点から改善提案を行うこともあります。この時期に培った実務経験とマネジメント能力が、次のステップであるマネージャー昇進の鍵となります。

マネージャー(8〜12年目)の年収:800万円〜1200万円

マネージャーは、監査法人での経験が8年目〜12年目程度の公認会計士が該当し、年収は800万円〜1200万円の範囲です。この職階になると、複数の監査案件を統括し、監査チーム全体のマネジメントを担当します。また、クライアント企業の経営陣と直接対話し、財務報告や内部統制に関するアドバイスを提供する立場となります。

マネージャーの重要な役割の一つは、監査品質の管理です。若手スタッフやシニアスタッフが実施した監査手続きをレビューし、監査調書の品質を確保します。また、新規クライアントの獲得や、既存クライアントとの関係構築にも関わるため、営業スキルやコミュニケーション能力も求められます。マネージャーとして実績を積むことで、次のステップであるシニアマネージャーやパートナーへの道が開けます。

シニアマネージャー・パートナーの年収:1500万円以上

シニアマネージャーやパートナーは、監査法人の上級職であり、年収は1500万円以上となります。パートナーの場合、監査法人の収益に応じて年収が変動するため、2000万円〜3000万円以上を得ることも珍しくありません。パートナーは監査法人の経営に参画し、組織全体の戦略策定や人材育成にも責任を持ちます。

シニアマネージャーは、複数の大型監査案件を統括し、監査法人の収益に直接貢献する立場です。また、業界や専門分野に特化したスペシャリストとして活躍することも多く、M&A、IPO、国際税務などの高度な専門性を持つことで、高収入を実現しています。パートナーに昇進すると、監査法人の経営権を持つことになり、法人の利益に応じた分配を受けるため、年収は大幅に増加します。

Big4監査法人と準大手監査法人の公認会計士年収比較

監査法人の規模によって、公認会計士の年収水準は異なります。このセクションでは、Big4監査法人、準大手監査法人、中小監査法人の年収比較について詳しく解説します。

Big4監査法人の平均年収と特徴

Big4監査法人(デロイトトーマツ、PwCあらた、EY新日本、KPMG)の公認会計士の平均年収は、約900万円〜1000万円程度です。これは、監査法人全体の平均よりも高い水準であり、特にマネージャー以上の職階では年収1000万円を超えることが一般的です。Big4監査法人は、グローバルネットワークを持ち、大企業や上場企業をクライアントとしているため、高度な専門性が求められる分、給与水準も高めに設定されています。

Big4監査法人の特徴は、研修制度や教育プログラムが充実していることです。入社後は、会計・監査の基礎から応用まで体系的に学べる環境が整っており、若手のうちから国際的なプロジェクトに参加できるチャンスもあります。また、コンサルティングサービスやアドバイザリー業務も展開しているため、監査以外のキャリアパスも豊富です。

準大手監査法人の平均年収(300万円〜1500万円)

準大手監査法人(太陽有限責任監査法人、仰星監査法人、三優監査法人など)の公認会計士の年収は、300万円〜1500万円の範囲と幅広くなっています。スタッフレベルでは年収400万円〜500万円程度ですが、マネージャーやパートナーに昇進すれば年収1000万円〜1500万円も可能です。

準大手監査法人は、中堅企業や上場準備企業をクライアントとすることが多く、Big4と比較するとクライアント企業の規模はやや小さい傾向があります。しかし、準大手監査法人にはBig4にはないメリットもあります。例えば、少人数のチームで幅広い業務を担当できるため、早い段階から責任ある仕事を任されることが多く、スキルアップのスピードが速いです。

中小監査法人の年収水準

中小監査法人の公認会計士の年収は、スタッフレベルで350万円〜450万円、マネージャーレベルで600万円〜900万円程度が一般的です。Big4や準大手と比較すると年収はやや低めですが、ワークライフバランスが取りやすく、残業時間が少ないことが多いため、プライベートとの両立を重視する方には魅力的な選択肢です。

中小監査法人は、地域密着型のサービスを提供していることが多く、中小企業や地方企業をクライアントとしています。クライアント企業の経営者と近い距離でコミュニケーションを取ることができるため、経営相談やアドバイザリー業務にも関わりやすく、公認会計士としての幅広い経験を積むことができます。

企業規模別の年収データ(10人以上・100人以上・1000人以上)

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、監査法人の規模別の年収データは以下のようになっています。

従業員10人以上の監査法人では、公認会計士の平均年収は約700万円〜800万円です。これは中小監査法人が該当し、規模は小さいものの、専門性の高いサービスを提供することで一定の収入を確保しています。

従業員100人以上の監査法人では、平均年収は約850万円〜950万円となります。準大手監査法人がこの規模に該当することが多く、Big4と中小の中間的な年収水準となっています。

従業員1000人以上の監査法人では、平均年収は約950万円〜1100万円です。Big4監査法人がこの規模に該当し、組織が大きい分、昇進機会や専門分野への特化が可能となり、高収入を実現しやすい環境が整っています。

公認会計士が年収1000万円を達成する3つの方法

多くの公認会計士にとって、年収1000万円は一つの大きな目標です。このセクションでは、年収1000万円を達成するための具体的な方法を3つ紹介します。

監査法人でマネージャーに昇格する(最も確実な方法)

公認会計士が年収1000万円を達成する最も確実な方法は、監査法人でマネージャーに昇格することです。監査法人での経験が8年〜10年程度になると、マネージャー昇格の機会が訪れます。マネージャーの年収は800万円〜1200万円の範囲であり、実績や評価によっては1年目から年収1000万円を超えることも可能です。

マネージャーに昇格するためには、監査業務の専門知識だけでなく、マネジメント能力やコミュニケーション能力も大切なポイントです。監査チームを統括し、若手スタッフを育成する役割を担うため、リーダーシップスキルが求められます。また、クライアント企業との関係構築や、新規案件の獲得にも関わるため、営業スキルも必要です。これらのスキルを磨くことで、マネージャー昇格への道が開けます。

コンサルティングファームに転職する

公認会計士としてのキャリアの中で、コンサルティングファームに転職することも年収1000万円を達成する有効な方法です。戦略コンサルティングファームや総合コンサルティングファームでは、公認会計士の専門知識を活かした財務アドバイザリー、M&Aアドバイザリー、事業再生コンサルティングなどの業務があります。

コンサルティングファームの年収水準は、監査法人と比較して高めに設定されていることが多く、シニアコンサルタント以上の役職では年収1000万円〜1500万円も一般的です。特に、外資系コンサルティングファームでは、成果主義の給与体系が採用されており、実績を上げることで短期間で大幅な年収アップが可能です。

事業会社でCFO・経営幹部を目指す

事業会社でCFO(最高財務責任者)や経理・財務部門の経営幹部として活躍することも、年収1000万円を達成する方法の一つです。上場企業や成長企業では、公認会計士の専門知識と監査法人での経験を高く評価し、CFOや財務部長として採用するケースが増えています。

事業会社のCFOや経営幹部の年収は、企業規模や業績によって異なりますが、一般的には1000万円〜2000万円程度です。特に、IPO準備中のスタートアップ企業では、公認会計士の専門知識が不可欠であり、ストックオプション(株式報酬)を含めると、さらに高い報酬を得られる可能性があります。事業会社でのキャリアは、経営の全体像を理解し、企業価値向上に直接貢献できるため、やりがいも大きいです。

公認会計士が年収2000万円・3000万円を目指すキャリア戦略

年収1000万円を超えた先に、さらに高い年収2000万円・3000万円を目指す公認会計士も少なくありません。このセクションでは、超高年収を実現するためのキャリア戦略について解説します。

監査法人パートナーで年収2000万円以上を実現

監査法人でパートナーに昇進することは、年収2000万円以上を実現する最も確実な方法の一つです。パートナーは監査法人の経営に参画し、法人の収益に応じた分配を受けるため、年収は2000万円〜3000万円以上となることも珍しくありません。特にBig4監査法人のパートナーになれば、年収3000万円を超えるケースもあります。

パートナーに昇進するためには、監査業務の専門知識だけでなく、クライアント獲得能力や組織マネジメント能力が求められます。また、業界や専門分野に特化したスペシャリストとして認知されることも大切なポイントです。例えば、金融業界、製造業、IT業界などの特定業界に精通していたり、M&A、IPO、国際会計などの専門分野で高い評価を得ていたりすることで、パートナー昇進の可能性が高まります。

独立開業で年収3000万円を目指す方法

公認会計士として独立開業することで、年収3000万円以上を目指すことも可能です。独立開業の場合、顧客基盤と提供するサービスの質次第で収入が大きく変動しますが、成功すれば監査法人勤務よりも高い年収を実現できます。独立開業の魅力は、自分のペースで働けることと、得られる報酬が全て自分のものになることです。

独立開業で成功するためには、監査法人時代に築いた人脈と専門性を活かすことが重要です。例えば、中小企業向けの税務顧問サービス、IPO支援、M&Aアドバイザリー、財務コンサルティングなど、ニーズの高いサービスを提供することで、安定した顧客基盤を構築できます。また、顧客数を増やすだけでなく、一社あたりの単価を上げることも重要です。高度な専門サービスを提供することで、年間100万円〜300万円の顧問契約を複数獲得すれば、年収3000万円も現実的な目標となります。

複数の収入源を確保する戦略

年収3000万円を目指す公認会計士の中には、複数の収入源を持つことで高収入を実現している人もいます。例えば、監査法人や会計事務所での本業に加えて、非常勤公認会計士として複数の企業で働いたり、執筆活動や講演活動で副収入を得たりする方法です。

非常勤公認会計士の場合、時給4000円〜10000円程度が相場であり、週1日〜2日程度の勤務でも月額20万円〜40万円の収入が得られます。これを複数社と契約することで、年間で数百万円の追加収入を確保できます。また、公認会計士としての専門知識を活かして、書籍の執筆や会計・税務セミナーの講師を務めることで、さらなる収入を得ることも可能です。

M&A・国際税務などの高度専門分野で高収入を得る

M&Aアドバイザリーや国際税務などの高度専門分野に特化することで、年収2000万円〜3000万円以上を実現する公認会計士もいます。これらの分野は、専門知識と経験が必要とされるため、サービスの単価が高く設定されています。

M&Aアドバイザリーでは、企業の買収・売却に関する財務デューデリジェンス(財務調査)やバリュエーション(企業価値評価)を行います。大型のM&A案件では、1件あたりの報酬が数百万円〜数千万円に達することもあります。また、国際税務の分野では、多国籍企業の移転価格税制や国際的な税務戦略のアドバイスを提供し、高額な報酬を得ることが可能です。

これらの高度専門分野で成功するためには、監査法人やコンサルティングファームでの実務経験に加えて、MBA(経営学修士)やUSCPA(米国公認会計士)などの追加資格を取得することも有効です。専門性を高めることで、クライアント企業からの信頼を得て、高単価の案件を獲得しやすくなります。

公認会計士の働き方別年収|勤務先による収入の違い

公認会計士の年収は、どこで働くかによって大きく異なります。このセクションでは、監査法人以外の働き方、具体的には一般事業会社、コンサルティングファーム、税理士法人・会計事務所、非常勤公認会計士の年収について詳しく解説します。

一般事業会社勤務の公認会計士年収(400万円〜1000万円)

一般事業会社で働く公認会計士の年収は、400万円〜1000万円と幅広い範囲となっています。企業規模や役職によって年収は大きく変動し、経理部門のスタッフとして勤務する場合は400万円〜600万円程度ですが、経理部長やCFOとして働く場合は800万円〜1000万円以上も可能です。

事業会社で働くメリットは、監査法人と比較してワークライフバランスが取りやすいことです。監査法人のような繁忙期がないため、残業時間が少なく、安定した働き方ができます。また、企業の経営に深く関わることができるため、経理・財務だけでなく、経営企画や事業戦略にも携わるチャンスがあります。

コンサルティングファーム勤務の公認会計士年収

コンサルティングファームで働く公認会計士の年収は、役職や実績によって大きく異なりますが、シニアコンサルタント以上では年収1000万円を超えることが一般的です。アナリストやコンサルタントレベルでは600万円〜900万円程度ですが、マネージャーやパートナーに昇進すれば、年収1500万円〜3000万円以上も可能です。

コンサルティングファームでは、財務アドバイザリー、M&Aアドバイザリー、事業再生、内部統制構築など、公認会計士の専門知識を活かせる業務が豊富にあります。特に、外資系コンサルティングファーム(マッキンゼー、BCG、ベインなど)では、成果主義の給与体系が採用されており、実績を上げることで短期間で大幅な年収アップが可能です。

税理士法人・会計事務所勤務の公認会計士年収

税理士法人や会計事務所で働く公認会計士の年収は、400万円〜800万円程度が一般的です。スタッフレベルでは400万円〜500万円、マネージャーレベルでは600万円〜800万円程度となります。監査法人と比較するとやや低めの年収水準ですが、税務業務を中心に幅広い経験を積むことができます。

公認会計士は税理士資格も自動的に取得できるため、税理士法人や会計事務所で税務業務に従事することが可能です。税務顧問サービス、税務申告書の作成、相続税対策などの業務を通じて、中小企業オーナーや個人富裕層との関係を築くことができ、将来的な独立開業の基盤を作ることもできます。

非常勤公認会計士の年収(時給4000円〜10000円)

非常勤公認会計士として働く場合、時給は4000円〜10000円程度が相場です。週1日〜2日程度の勤務でも月額20万円〜40万円の収入が得られるため、複数の企業と契約することで、年収800万円〜1200万円を実現することも可能です。

非常勤公認会計士の働き方は、柔軟性が高く、自分のペースで仕事量を調整できるメリットがあります。例えば、子育て中の女性公認会計士や、独立開業を準備している公認会計士にとって、非常勤という働き方は魅力的な選択肢です。また、複数の業界や企業で働くことで、幅広い経験とネットワークを構築できる点も大きなメリットです。

公認会計士の仕事内容に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士の仕事内容とは?業務範囲・働き方・キャリアパスを詳しく解説

公認会計士の独立開業後の年収|成功事例と現実

公認会計士として独立開業することで、高年収を実現することが可能です。このセクションでは、独立公認会計士の平均年収や、独立1年目の実態、年収3000万円超を稼ぐ会計士の共通点について解説します。

独立公認会計士の平均年収は1000万円以上

独立して自身の会計事務所を経営する公認会計士の平均年収は、1000万円以上となっています。ただし、独立開業の場合、顧客基盤や提供するサービスの内容によって年収は大きく変動します。順調に顧客を獲得し、高度な専門サービスを提供できれば、年収2000万円〜3000万円以上も十分に可能です。

独立開業のメリットは、自分のペースで働けることと、得られる報酬が全て自分のものになることです。監査法人や事業会社で働く場合と異なり、自分で顧客を選び、提供するサービスの範囲や価格を決定できるため、自由度の高い働き方が実現できます。また、専門分野に特化することで、ニッチ市場で高単価のサービスを提供することも可能です。

独立1年目の年収実態|アンケート結果

公認会計士が独立開業する際、最も気になるのが独立1年目の年収です。日本公認会計士協会のアンケート調査によると、独立1年目の平均年収は400万円〜600万円程度となっています。これは、顧客基盤の構築に時間がかかり、初年度は収入が不安定になることが多いためです。

しかし、監査法人時代に築いた人脈を活かして顧客を獲得したり、特定の専門分野で高い評価を得ていたりする公認会計士の場合、独立1年目から年収800万円〜1000万円を実現するケースもあります。独立開業を成功させるためには、開業前からの準備が重要です。具体的には、顧客リストの作成、サービス内容の明確化、価格設定の戦略、マーケティング計画の立案などを事前に行うことで、独立後の収入を安定させることができます。

年収3000万円超を稼ぐ独立会計士の共通点

年収3000万円以上を稼ぐ独立公認会計士には、いくつかの共通点があります。

第一に、高度な専門分野に特化していることです。M&Aアドバイザリー、IPO支援、国際税務、事業承継コンサルティングなど、高単価のサービスを提供している公認会計士は、少ない顧客数でも高収入を実現しています。例えば、1件のM&A案件で300万円〜500万円の報酬を得られるため、年間10件程度の案件をこなせば年収3000万円以上も可能です。

第二に、強固な顧客基盤を持っていることです。長年にわたって信頼関係を築いた顧客がいることで、安定した収入が確保できます。また、既存顧客からの紹介によって新規顧客を獲得できるため、営業コストを抑えながらビジネスを拡大できます。

第三に、複数の収入源を持っていることです。税務顧問サービスによる安定収入に加えて、スポット案件(M&A、IPO支援など)による高額報酬、さらに執筆活動や講演活動による副収入を組み合わせることで、年収3000万円超を実現しています。

独立後に年収を上げる顧客獲得戦略

独立公認会計士が年収を上げるためには、効果的な顧客獲得戦略が不可欠です。

まず、専門分野を明確にすることです。「何でも対応できる会計士」よりも、「IPO支援に強い会計士」「国際税務の専門家」など、特定分野のスペシャリストとして認知されることで、顧客からの信頼を得やすくなります。また、専門分野に特化することで、高単価のサービスを提供できるようになります。

次に、デジタルマーケティングを活用することも重要です。自身のウェブサイトやブログを運営し、専門知識を発信することで、検索エンジンからの集客が可能になります。また、SNS(LinkedIn、Twitterなど)を活用して、業界内での認知度を高めることも効果的です。

さらに、既存顧客からの紹介を増やすことも重要な戦略です。顧客満足度を高めるサービスを提供することで、自然と紹介案件が増えていきます。紹介による新規顧客は、信頼関係がすでにある程度構築されているため、契約につながりやすく、長期的な顧客になりやすい傾向があります。

公認会計士の年収が「低い」と言われる理由と真相

公認会計士は高収入の職業として知られていますが、一部では「年収が低い」という声も聞かれます。このセクションでは、そのような声が生まれる理由と実態について解説します。

資格難易度に対して年収が低いという声

公認会計士試験は、日本の国家資格の中でも最難関の一つとされており、合格までに平均3000時間〜5000時間の勉強時間が必要です。試験合格率は例年10%前後と非常に低く、多大な努力と時間を投資する必要があります。そのため、「試験の難易度に見合った年収が得られていない」と感じる公認会計士もいます。

特に、医師や弁護士といった他の難関資格と比較した場合、公認会計士の平均年収922万円は、医師の平均年収(約1400万円)や弁護士の平均年収(約1200万円)よりも低い水準です。この比較から、「試験の難易度に対して年収が低い」という声が生まれています。

しかし、実際には公認会計士の年収はキャリアステージによって大きく変動し、マネージャー以上に昇進すれば年収1000万円以上も現実的です。また、独立開業やコンサルティングファームへの転職によって、年収2000万円〜3000万円以上を実現することも可能であり、キャリア戦略次第で高収入を得られる職業です。

若手スタッフ時代の年収は期待より低め

公認会計士試験に合格した直後の若手スタッフ時代は、期待していたほど年収が高くないと感じることがあります。Big4監査法人の初任給は月額30万円〜35万円程度で、1年目の年収は500万円〜600万円程度です。これは一般企業の新卒と比較すれば高水準ですが、難関試験を突破した対価としては物足りないと感じる人もいます。

また、若手スタッフ時代は監査業務の基礎を学ぶ時期であり、繁忙期には長時間労働が求められることも多いです。時給換算すると、期待していたほど高くないと感じるケースもあります。しかし、若手時代の年収が低めであっても、経験を積むことで年収は着実に上昇していきます。シニアスタッフになれば年収600万円〜850万円、マネージャーになれば年収800万円〜1200万円と、キャリアを重ねるごとに大幅な年収アップが期待できます。

監査法人の福利厚生は一般企業より薄い傾向

監査法人の年収は高水準ですが、福利厚生については一般企業と比較して薄い傾向があります。例えば、住宅手当や家族手当といった各種手当が少なかったり、退職金制度が整っていなかったりするケースもあります。これは、監査法人が給与を高めに設定している代わりに、福利厚生をシンプルにしているためです。

一方で、監査法人には一般企業のような長期的な終身雇用の文化がなく、転職やキャリアチェンジが一般的です。そのため、退職金制度よりも現在の給与を重視する傾向があります。福利厚生を重視する人にとっては、監査法人の待遇が物足りないと感じることもあるかもしれません。

公認会計士の年収は実力主義|経験・知識が収入を左右

公認会計士の年収が「低い」と感じる背景には、実力主義の給与体系があることも関係しています。監査法人では、経験年数だけでなく、業務の質や専門性、クライアント獲得能力などが評価されます。そのため、同じ年次でも年収に差が生まれることがあります。

逆に言えば、専門性を高め、実績を積むことで、年収を大幅にアップさせることが可能です。M&Aアドバイザリー、IPO支援、国際税務など、高度な専門分野に特化することで、高単価のサービスを提供できるようになります。また、USCPA(米国公認会計士)やMBA(経営学修士)などの追加資格を取得することで、さらなる収入増加を実現できます。

公認会計士は「やめとけ」と言われる理由についての詳細は、専門記事で解説しています。

公認会計士が年収をアップさせる5つの方法

公認会計士としてさらに年収を上げたいと考えている方に向けて、具体的な年収アップの方法を5つ紹介します。これらの方法を実践することで、現在の年収から数百万円の増加も現実的に目指せます。

監査以外の専門スキルを習得する(M&A・IPO・国際税務)

監査業務だけでなく、M&Aアドバイザリー、IPO支援、国際税務などの専門スキルを習得することで、年収を大幅にアップさせることが可能です。これらの分野は、専門知識と経験が必要とされるため、サービスの単価が高く設定されています。

M&Aアドバイザリーでは、企業の買収・売却に関する財務デューデリジェンス(財務調査)やバリュエーション(企業価値評価)を行います。大型のM&A案件では、1件あたりの報酬が数百万円〜数千万円に達することもあり、年間数件の案件をこなすだけで年収が数百万円増加します。

IPO支援では、上場準備企業の財務体制構築や内部統制の整備をサポートします。IPO案件は高単価であり、1社あたり年間300万円〜500万円程度の報酬を得られることが一般的です。複数のIPO支援案件を担当することで、年収1500万円〜2000万円以上も可能です。

USCPA・税理士など追加資格を取得する

追加資格を取得することで、提供できるサービスの幅が広がり、年収アップにつながります。特に、USCPA(米国公認会計士)や税理士資格は、公認会計士にとって有益な追加資格です。

USCPA資格を取得することで、国際的な会計基準(IFRS、US GAAP)に関する専門知識を証明でき、外資系企業や多国籍企業をクライアントとして獲得しやすくなります。また、USCPA資格保有者は、国際的なプロジェクトに参加する機会が増え、年収も100万円〜200万円程度アップすることが一般的です。

公認会計士は税理士資格も自動的に取得できるため、税務業務にも従事できます。税務顧問サービスを提供することで、安定した収入源を確保できるだけでなく、相続税対策や事業承継コンサルティングなどの高単価サービスも提供可能になります。

高年収の職場に転職する

現在の職場で年収アップが難しい場合、高年収の職場に転職することも有効な方法です。公認会計士の転職市場は活発であり、専門知識と経験を持つ人材は常に需要があります。

例えば、準大手監査法人からBig4監査法人に転職することで、年収が100万円〜200万円程度アップすることがあります。また、監査法人からコンサルティングファームに転職する場合、年収が200万円〜300万円以上増加するケースも珍しくありません。特に、外資系コンサルティングファームでは、成果主義の給与体系が採用されており、実績を上げることで短期間で大幅な年収アップが可能です。

事業会社のCFOや経理・財務部門の経営幹部として転職することも選択肢の一つです。上場企業や成長企業では、公認会計士の専門知識を高く評価し、年収1000万円〜2000万円で採用するケースが増えています。

マネジメント経験を積んで昇進する

監査法人や事業会社での昇進は、年収アップの最も確実な方法です。マネジメント経験を積み、リーダーシップを発揮することで、マネージャーやシニアマネージャー、パートナーへの昇進が視野に入ります。

マネジメント経験を積むためには、監査チームのリーダーとして若手スタッフを指導したり、プロジェクトの進行管理を担当したりすることが求められます。加えて、クライアント企業との関係構築や、新規案件の獲得にも積極的に関わることで、組織への貢献度が高まり、昇進の可能性が高まります。

マネージャーに昇進すれば年収800万円〜1200万円、シニアマネージャーやパートナーになれば年収1500万円以上も可能です。昇進による年収アップは、一度に数百万円規模で増加するため、長期的なキャリア戦略として非常に有効です。

英語力を身につけてグローバル案件を担当する

英語力を身につけることで、グローバル案件を担当できるようになり、年収アップにつながります。特に、Big4監査法人や外資系コンサルティングファームでは、英語でのコミュニケーション能力が求められる案件が多く、英語力を持つ公認会計士は高く評価されます。

グローバル案件は、国内案件と比較して単価が高く設定されていることが多く、同じ業務量でも年収が100万円〜200万円程度増加することがあります。また、海外駐在や国際プロジェクトへの参加機会も増え、キャリアの幅が広がります。

英語力を証明するためには、TOEIC800点以上やビジネス英語検定などの資格を取得することが有効です。また、実務で英語を使う機会を積極的に作ることで、実践的なビジネス英語力を養うことができます。

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公認会計士の年収に関連するよくある質問(FAQ)

公認会計士の年収について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。年収に関する疑問を解消し、キャリアプランの参考にしてください。

Q. 公認会計士は何年で年収1000万円に到達できますか?

公認会計士が年収1000万円に到達する時期は、キャリアパスによって異なりますが、一般的には監査法人でマネージャーに昇進するタイミング、つまり入社後8年〜10年程度が目安となります。Big4監査法人では、順調にキャリアを積めば30代後半で年収1000万円を超えることが可能です。また、コンサルティングファームに転職したり、独立開業したりすることで、より早い段階で年収1000万円を達成できるケースもあります。

Q. 公認会計士の年収は税理士と比較してどちらが高いですか?

一般的に、公認会計士の平均年収(922万円)は、税理士の平均年収(約700万円〜800万円)よりも高い傾向があります。これは、公認会計士が大企業や上場企業を主なクライアントとする監査法人で働くケースが多いのに対し、税理士は中小企業や個人を主なクライアントとすることが多いためです。ただし、独立開業して成功している税理士の中には、年収2000万円以上を得ている人もおり、個人の実力や営業力によって年収は大きく変動します。公認会計士と税理士の違いについては、専門記事で詳しく解説しています。

Q. 公認会計士の初任給は一般企業より高いですか?

はい、公認会計士の初任給は一般企業の新卒と比較して高い水準です。Big4監査法人の初任給は月額30万円〜35万円程度であり、1年目の年収は500万円〜600万円程度となります。これに対し、一般企業の新卒初任給は月額21万円〜23万円程度(年収300万円〜350万円程度)であるため、公認会計士の初任給は約1.5倍〜2倍の水準となっています。公認会計士の初任給については、別記事でさらに詳しく解説しています。

Q. 公認会計士のボーナスはどのくらいですか?

公認会計士のボーナスは、監査法人や企業によって異なりますが、一般的には年2回支給され、1回あたり基本給の2〜3ヶ月分程度が目安です。年間のボーナス総額は、基本給の4〜6ヶ月分程度となり、金額にして150万円〜300万円程度が一般的です。Big4監査法人では、業績や個人評価によってボーナス額が変動するため、優秀な成績を収めた場合はさらに高額のボーナスを得られることもあります。

Q. 公認会計士の退職金制度はありますか?

監査法人の多くは、一般企業のような充実した退職金制度を設けていないケースが多いです。これは、監査法人が給与を高めに設定している代わりに、福利厚生をシンプルにしているためです。ただし、一部の大手監査法人では、確定拠出年金制度(401k)を導入しており、退職後の資産形成をサポートする仕組みがあります。一方、事業会社で働く公認会計士の場合は、一般的な退職金制度が適用されることが多く、長期勤続による退職金を受け取ることができます。

Q. 公認会計士が年収2000万円を超えるには何が必要ですか?

公認会計士が年収2000万円を超えるためには、以下のいずれかのキャリアパスが必要です。まず、監査法人でパートナーに昇進することです。パートナーになれば、法人の収益に応じた分配を受けるため、年収2000万円〜3000万円以上も可能です。次に、独立開業して成功することです。M&AアドバイザリーやIPO支援などの高単価サービスを提供し、安定した顧客基盤を築けば、年収2000万円以上も現実的です。また、コンサルティングファームで上級職に就くことや、事業会社のCFOとして活躍することでも年収2000万円を超えることが可能です。

Q. 女性公認会計士でも高年収を実現できますか?

はい、女性公認会計士でも高年収を実現することは十分に可能です。近年は、監査法人やコンサルティングファームでも働き方改革が進んでおり、時短勤務やリモートワークを活用しながらキャリアを継続できる環境が整っています。実際に、時短勤務でありながらマネージャーに昇進し、年収1000万円以上を維持している女性公認会計士も増えています。また、専門分野に特化したり、独立開業したりすることで、柔軟な働き方を実現しながら高収入を得ることも可能です。

まとめ:公認会計士の年収は高水準で1000万円以上も現実的に目指せる

本記事では、公認会計士の年収について、厚生労働省のデータや実際のキャリアパスを基に詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 公認会計士の平均年収は922万円で、一般会社員の約2倍:厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、公認会計士の平均年収は922万円であり、一般会社員の平均年収460万円と比較して約2倍の高水準です。生涯年収では約3億円を超え、長期的なキャリアで見た場合の経済的メリットは非常に大きいです。
  2. 年齢と職階によって年収は大きく変動:20代で449万円〜589万円からスタートし、30代で682万円〜828万円、40代・50代では年収1000万円超も現実的です。監査法人でマネージャーに昇格すれば年収800万円〜1200万円、パートナーになれば年収1500万円以上を得られます。キャリアステージごとに着実に年収が上昇する職業です。
  3. 働き方次第で年収2000万円以上も可能:監査法人パートナー、コンサルティングファーム転職、独立開業など、キャリア戦略によって年収2000万円〜3000万円を目指すことも可能です。M&Aアドバイザリーや国際税務などの高度専門分野に特化することで、さらなる高収入を実現できます。

公認会計士の年収を理解できたら、次は公認会計士になるための方法公認会計士試験に必要な勉強時間を確認し、計画的に資格取得を目指しましょう。また、公認会計士の仕事内容についても理解を深めることで、自分に合ったキャリアパスを描くことができます。

本記事を通じて、公認会計士の年収の実態と、高収入を実現するための具体的な方法を理解いただけたはずです。公認会計士は、専門性と努力次第で高年収を実現できる魅力的な職業です。これらの情報を活用して、公認会計士としてのキャリア成功に向けて一歩を踏み出しましょう。

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