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公認会計士になるには?資格取得の流れ・必要な勉強・実務要件を解説

公認会計士になるには何をすればよいのか、具体的な道筋を知りたいあなたへ。「試験に合格すれば公認会計士になれる」と思われがちですが、実際には試験合格後も実務経験と修了考査が必要です。

本記事では、公認会計士になるための3つのステップ、試験制度と受験資格、必要な勉強時間と学習計画、大学選びのポイント、予備校の活用方法、就職活動と実務経験の積み方について、最新のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士資格取得に向けて、計画的な準備を始めましょう。

この記事を読むとわかること
  • 公認会計士になるための3つのステップと所要期間
  • 試験制度・受験資格・合格に必要な勉強時間の詳細
  • 効果的な学習方法と予備校選びのポイント
  • 実務経験の積み方と修了考査までの流れ
押さえておきたい3つのポイント
  1. 資格取得には最低5年必要:試験合格(2〜4年)、実務経験(3年)、実務補習所(3年、実務経験と並行)の3つのステップを経て、ようやく公認会計士として登録できます。
  2. 受験資格は不要だが合格率は10%前後:年齢・学歴・国籍不問で誰でも受験できますが、短答式試験と論文式試験の合格率は合わせて10%程度の難関試験です。合格には2,500〜3,500時間の学習が必要とされています。
  3. 予備校の活用がほぼ必須:独学での合格は極めて困難で、ほとんどの合格者が大手予備校を利用しています。効率的な学習と最新の試験対策情報の入手には、予備校の活用が不可欠と言えるでしょう。

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目次

公認会計士(CPA)になるには3つのステップが必要

公認会計士になるためには、試験に合格するだけでは不十分です。公認会計士とは何かを正しく理解した上で、資格取得までの全体像を把握することが重要です。

公認会計士として正式に登録し業務を行うには、「試験合格」「実務経験」「実務補習所の修了」という3つのステップを全てクリアする必要があります。これらは順番に進める必要があり、最短でも5年程度の期間を要します。各ステップには明確な要件があり、どれか1つでも欠けると公認会計士として登録することができません。

ステップ1:公認会計士試験に合格する(短答式試験+論文式試験)

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で構成されています。まず短答式試験に合格しなければ、論文式試験を受験することができません。

短答式試験は年2回(12月と5月)実施されるマークシート形式の試験で、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目から出題されます。合格率は例年10〜12%程度で、総得点の70%以上が合格基準とされていますが、実際には科目ごとの最低点要件もあるため、バランスの取れた学習が求められます。

論文式試験は年1回(8月)実施される記述式の試験で、会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学・経済学・民法・統計学から1科目選択)の5科目から構成されています。こちらも合格率は10%前後で、短答式試験よりも深い理解と論述力が問われる試験です。論文式試験に合格して初めて、公認会計士試験の全てをクリアしたことになります。

公認会計士試験の詳細については、試験制度や科目の内容を別途詳しく解説していますので、そちらも参考にしてください。

ステップ2:監査法人などで3年以上の実務経験を積む

試験に合格した後は、実務経験を積む必要があります。公認会計士として登録するには、業務補助等として3年以上の実務経験が必要です。

多くの合格者は、監査法人に就職して実務経験を積みます。特にBig4と呼ばれる大手監査法人(有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツ、EY新日本有限責任監査法人、PwCあらた有限責任監査法人)では、試験合格者を積極的に採用しています。中小の監査法人や、一般企業の財務・経理部門でも実務経験として認められるケースがあります。

実務経験として認められる業務は、公認会計士法で定められた業務補助や実務従事です。具体的には、財務諸表の監査及び証明業務に関する補助的な業務や、会計に関する調査・立案・相談業務などが該当します。この期間中に、実際の監査現場で会計基準や監査手続きを学び、実践的なスキルを身につけていきます。

ステップ3:実務補習所で単位取得と修了考査合格後に登録

試験合格後は、実務経験を積みながら実務補習所に通う必要があります。実務補習所は日本公認会計士協会が運営する教育機関で、公認会計士として必要な実務的な知識とスキルを習得する場です。

実務補習は3年間のカリキュラムで構成されており、基本的には平日の夜間や週末に講義が行われます。監査法人で働きながら通うことを前提としたスケジュールになっているため、仕事との両立が可能です。講義への出席やレポート提出、考査の合格などによって所定の単位を取得する必要があります。

3年間の実務補習を修了すると、修了考査の受験資格が得られます。修了考査は論文式の試験で、会計、監査、税務、経営、法規などの科目から出題されます。合格率は例年70%前後と比較的高めですが、実務補習所での学習を真面目に取り組んでいないと合格は難しいでしょう。

修了考査に合格し、実務経験3年以上の要件を満たすことで、ようやく日本公認会計士協会に公認会計士として登録することができます。登録後は、公認会計士の業務を正式に行うことが可能になります。

公認会計士修了考査については、試験内容や対策方法を詳しく解説した記事もご覧ください。

公認会計士になるまでに最低5年程度かかる

公認会計士として登録するまでの全体の期間は、最短でも5年程度かかります。この期間の内訳は、試験合格まで2〜4年、実務経験と実務補習所が各3年(並行して進める)となります。

試験勉強の期間は個人差が大きく、効率的に学習を進められる方で2年程度、仕事と両立しながら進める場合は3〜5年かかることも珍しくありません。大学在学中に合格する方もいれば、社会人になってから挑戦して合格する方もいます。

実務経験と実務補習所は並行して進められるため、試験合格後3年で修了考査まで到達できます。つまり、順調に進めば試験勉強開始から5〜7年程度で公認会計士として登録できることになります。ただし、これは全てのステップを一度でクリアした場合の最短ルートです。実際には試験の不合格や、実務補習所での単位取得の遅れなどにより、さらに時間がかかるケースも多くあります。

公認会計士を目指す際には、このように長期間にわたるコミットメントが必要であることを理解した上で、計画的に準備を進めることが重要です。

公認会計士(CPA)試験の制度と受験資格

公認会計士試験は、日本で最も難易度の高い国家資格の1つとされています。試験制度の全体像を理解し、自分に合った受験計画を立てることが合格への第一歩です。

試験は短答式試験と論文式試験の2段階で構成されており、それぞれ年に複数回または1回実施されます。受験資格に制限がない一方で、合格率は10%前後と非常に狭き門です。また、科目合格制度や免除制度も設けられており、戦略的に活用することで効率的に合格を目指すことができます。

公認会計士試験に受験資格は不要(年齢・学歴・国籍不問)

公認会計士試験の大きな特徴は、受験資格に一切の制限がないことです。年齢、学歴、国籍を問わず、誰でも受験することができます。

これは他の難関資格と比較しても非常に開かれた制度です。例えば、司法試験では法科大学院修了または予備試験合格が必要ですし、医師国家試験では医学部を卒業する必要があります。一方、公認会計士試験では高校在学中の受験も理論上は可能で、実際に大学1年生や2年生で合格する方も毎年一定数います。

ただし、受験資格が不要であることと、合格が容易であることは全く別の話です。試験の難易度自体は極めて高く、膨大な学習時間と計画的な準備が必要となります。受験資格がないからこそ、誰でも挑戦できますが、同時に合格するためには相応の努力と覚悟が求められる試験だと言えるでしょう。

短答式試験:年2回実施のマークシート形式

短答式試験は、年2回(12月と5月)実施される択一式のマークシート試験です。財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目から出題され、各科目の理解度を幅広く問われます。

各科目の配点は、財務会計論200点、管理会計論100点、監査論100点、企業法100点の合計500点満点です。合格基準は原則として総得点の70%以上(350点以上)ですが、1科目でも満点の40%未満の得点の科目があれば不合格となります。つまり、全科目でバランス良く得点することが求められます。

合格率は例年10〜12%程度で推移しています。2023年度第I回(12月実施)では合格率11.2%、第II回(5月実施)では12.5%でした。短答式試験に合格すると、2年間の論文式試験受験資格が与えられます。この期間内であれば、論文式試験に不合格でも短答式試験を再度受験する必要はありません。

公認会計士短答式試験の科目別対策や効果的な学習方法については、専門記事で詳しく解説しています。

論文式試験:年1回実施の筆記試験

論文式試験は年1回(8月)のみ実施される記述式の試験で、短答式試験以上に深い理解と論述力が問われます。会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目の5科目から構成されています。

会計学は300点満点で、財務会計論と管理会計論の両方を含む最も配点の大きい科目です。監査論、企業法、租税法はそれぞれ100点満点、選択科目も100点満点で、合計700点満点の試験となります。選択科目は経営学、経済学、民法、統計学の中から1科目を選択できます。

合格基準は短答式試験と同様、総得点の52%以上(364点以上)で、かつ1科目でも満点の40%未満の得点科目がないことが条件です。合格率は例年10%前後で、2023年度は10.1%でした。論文式試験は記述式のため、知識だけでなく論理的な思考力と表現力も評価されます。

論文式試験には科目合格制度があり、一部の科目で基準を満たせば次年度以降その科目が免除されます。この制度を活用することで、複数年かけて段階的に合格を目指すことも可能です。

公認会計士論文式試験の詳細な内容と効果的な対策方法については、別途記事でご紹介しています。

試験科目と免除制度の詳細

公認会計士試験には、一定の条件を満たす場合に試験科目の一部が免除される制度があります。この免除制度を理解し、該当する場合は積極的に活用することで、受験の負担を軽減できます。

短答式試験の免除制度としては、税理士試験や司法試験などの他の国家資格を取得している場合、一部科目が免除されるケースがあります。また、短答式試験に一度合格すれば、2年間は論文式試験の受験資格が継続するため、実質的に短答式試験が免除された状態で論文式試験に集中できます。

論文式試験には科目合格制度があり、合格点に達した科目は2年間免除されます。例えば、1年目に会計学と監査論で合格点を取れば、2年目はその2科目を受験せずに残りの科目に集中できます。ただし、全科目の総合点で合格基準を満たさない限り最終合格とはならないため、戦略的な受験計画が重要です。

また、大学院で会計や経営に関する修士号を取得した場合、論文式試験の選択科目が免除されることがあります。さらに、一定の業務経験がある場合には、実務補習の一部が免除されるケースもあります。これらの免除制度については、日本公認会計士協会のウェブサイトで詳細な条件が公開されています。

公認会計士試験の科目に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験の科目一覧|短答式・論文式の試験科目と免除制度

公認会計士(CPA)試験合格に必要な勉強時間と期間

公認会計士試験の合格には、膨大な学習時間が必要です。効率的な学習計画を立てるためには、必要な勉強時間の目安と期間を正しく理解することが重要です。

一般的に公認会計士試験の合格には2,500〜3,500時間の学習が必要とされています。これは1日の学習時間や生活スタイルによって合格までの期間が大きく変わることを意味します。仕事や学業との両立を考えている方は、特に現実的なスケジュールを立てることが成功の鍵となります。

合格に必要な勉強時間は2,500〜3,500時間

公認会計士試験の合格に必要な総学習時間は、一般的に2,500〜3,500時間と言われています。これは予備校のカリキュラムや合格者の実績データに基づいた目安です。

この時間数の幅が生じる理由は、個人の学習効率、会計や法律の基礎知識の有無、学習環境などによって異なるためです。経済学部や商学部出身で会計の基礎知識がある方は比較的短時間で合格する傾向がありますが、全く異なる分野から挑戦する場合はより多くの時間が必要になることがあります。

科目別に見ると、財務会計論が最も学習時間を要する科目で、800〜1,000時間程度が必要とされています。次いで管理会計論が400〜500時間、監査論と企業法がそれぞれ400〜500時間程度です。論文式試験の租税法は300〜400時間、選択科目は200〜300時間程度が目安となります。

ただし、これらはあくまで目安であり、実際には個人差が大きいことを理解しておく必要があります。重要なのは総時間数よりも、効率的な学習方法と継続的な努力です。公認会計士試験の勉強時間については、より詳しい分析と学習計画の立て方を別記事で解説しています。

合格までの平均期間は2〜4年程度

公認会計士試験の合格までにかかる平均期間は、2〜4年程度とされています。これは学習時間と1日あたりの学習可能時間によって大きく変動します。

大学生で専念して勉強できる環境にある場合、1日6〜8時間の学習時間を確保できれば、1年半〜2年での合格も十分に可能です。実際に大学2年生や3年生で合格する方も多く存在します。一方、社会人として働きながら勉強する場合、平日は2〜3時間、週末に8〜10時間程度の学習時間となるため、3〜5年かかることが一般的です。

合格までの期間は、短答式試験の合格時期によっても影響を受けます。12月の短答式試験に合格した場合、翌年8月の論文式試験まで8ヶ月間の準備期間があります。一方、5月の短答式試験合格の場合は3ヶ月しか準備期間がなく、多くの受験生は翌年の論文式試験を目指すことになります。

期間が長くなればモチベーションの維持が課題となります。そのため、マイルストーンを設定して達成感を得ながら学習を進めることや、同じ目標を持つ仲間とのつながりを持つことが長期戦を乗り切るコツです。

1日の学習時間別のスケジュール例

1日にどれくらいの学習時間を確保できるかによって、合格までの期間は大きく変わります。ここでは、いくつかのパターン別にスケジュール例を紹介します。

大学生専念型(1日6〜8時間)
合格目標期間:1年半〜2年
朝:9時〜12時(3時間)、昼:13時〜17時(4時間)、夜:20時〜22時(2時間)の計9時間学習が可能です。短答式試験まで約1,500時間(6ヶ月〜8ヶ月)、論文式試験までさらに1,000時間(4ヶ月〜6ヶ月)を確保できるため、順調に進めば1年半〜2年での合格が目指せます。

大学生ダブルスクール型(1日4〜5時間)
合格目標期間:2年〜3年
大学の授業に出席しながら勉強する場合、平日は3〜4時間、週末は8時間程度の学習になります。年間の学習時間は約1,500時間となるため、2年〜3年での合格を目指すスケジュールとなります。

社会人型(平日2〜3時間、週末8〜10時間)
合格目標期間:3年〜5年
平日は仕事後に2〜3時間、週末に集中して勉強するパターンです。年間の学習時間は約800〜1,000時間となるため、3年〜4年での合格を目指すことになります。通勤時間や昼休みなどのスキマ時間も有効活用することで、効率を上げることができます。

これらはあくまで目安であり、個人の学習効率や環境によって調整が必要です。重要なのは、自分のライフスタイルに合った無理のないスケジュールを立て、それを継続することです。

短期合格を目指すためのポイント

短期間で公認会計士試験に合格するには、効率的な学習戦略と高い集中力が必要です。以下のポイントを押さえることで、合格までの期間を短縮できる可能性が高まります。

まず、予備校の利用は必須と言えます。独学では非効率な部分が多く、試験範囲の膨大さから全てを網羅することは極めて困難です。予備校のカリキュラムに沿って学習することで、無駄を省き効率的に学習を進められます。

次に、学習の優先順位をつけることが重要です。財務会計論は配点が大きく、全ての科目の基礎となるため、最優先で取り組むべきです。また、論文式試験を見据えて、短答式試験の段階から記述式の問題にも触れておくことで、後々の負担を軽減できます。

アウトプットを重視した学習も短期合格の鍵です。テキストを読むだけのインプット学習に偏らず、問題演習を通じて知識を定着させることが大切です。特に、過去問や答練(答案練習会)を繰り返し解くことで、試験の傾向をつかみ、時間配分の感覚を養うことができます。

最後に、継続的な学習習慣の確立が何より重要です。短期合格を目指すには、毎日一定時間の学習を継続する必要があります。モチベーションが下がった時も、最低限のノルマをこなす習慣を作ることで、長期的な学習継続が可能になります。

公認会計士試験の勉強時間に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験に必要な勉強時間|合格までのスケジュール

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公認会計士を目指すための大学・学部の選び方

公認会計士試験に学歴は不問ですが、大学や学部の選択は合格への道のりに影響を与えることがあります。効率的に学習を進めるための環境選びのポイントを解説します。

大学選びにおいては、公認会計士試験の学習環境が整っているか、合格実績があるか、在学中に十分な学習時間を確保できるかといった観点が重要です。また、学部によっては試験科目と関連する内容を授業で学べるため、効率的に準備を進められる利点もあります。

公認会計士試験に学歴は不問だが経済・商・経営学部が有利な傾向

公認会計士試験には学歴要件がないため、どの大学のどの学部からでも挑戦できます。実際に合格者の出身学部は多岐にわたり、文学部や理工学部出身の合格者も珍しくありません。

ただし、統計的には経済学部、商学部、経営学部出身の合格者が多い傾向があります。これらの学部では、会計学や経営学、経済学といった試験科目と関連する内容を大学の授業で学ぶことができるためです。簿記や財務会計の基礎知識を大学の授業で習得できれば、試験勉強の導入がスムーズになります。

また、これらの学部では公認会計士を目指す学生が多く、勉強仲間を見つけやすい環境にあります。同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できることは、モチベーション維持の面でも大きなメリットです。予備校のダブルスクールを前提としたカリキュラムを組んでいる大学もあり、学業と試験勉強の両立がしやすい体制が整っています。

一方で、他学部出身でも不利というわけではありません。予備校のカリキュラムは初学者を前提に設計されているため、会計の知識がゼロでも体系的に学習できます。重要なのは学部選びよりも、公認会計士になるという明確な目標を持ち、計画的に学習時間を確保することです。

公認会計士試験に強い大学の特徴

公認会計士試験で高い合格実績を誇る大学には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を理解することで、大学選びの参考になります。

まず、専門教育の充実度が挙げられます。会計大学院を設置している大学や、公認会計士試験対策を意識したカリキュラムを提供している大学では、試験科目と大学の授業内容が連動しているケースが多くあります。慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、明治大学などは、毎年多くの合格者を輩出している大学として知られています。

次に、学習環境の整備も重要な要素です。図書館の充実度、自習スペースの確保、学習サポート体制などが整っている大学では、集中して勉強できる環境が整っています。また、キャンパスの近くに大手予備校の校舎がある大学は、ダブルスクールがしやすいという利点もあります。

さらに、合格者のネットワークも見逃せない要素です。先輩に公認会計士が多い大学では、学習方法や試験情報、就職活動についてのアドバイスを得やすい環境にあります。大学のOB・OGネットワークは、就職活動の際にも有利に働くことがあります。

公認会計士試験に強い大学については、合格者数や合格率のランキングを含めて詳しく分析した記事もご覧ください。

高卒でも公認会計士を目指せる理由

公認会計士試験には学歴要件がないため、高卒であっても公認会計士を目指すことは十分に可能です。受験資格に年齢や学歴の制限がないことは、公認会計士試験の大きな特徴の1つです。

実際に、高卒で公認会計士試験に合格した方は過去にも存在します。試験は知識と実力が評価されるものであり、学歴は一切関係ありません。予備校のカリキュラムも初学者を前提に設計されているため、高校卒業程度の学力があれば十分に学習を進めることができます。

ただし、現実的には大学に進学してから公認会計士を目指す方が一般的です。その理由は、大学生活の方が学習時間を確保しやすく、同じ目標を持つ仲間と出会える機会が多いためです。また、就職活動の際には、大卒の学歴があった方が選択肢が広がる傾向にあります。

それでも、高卒から直接挑戦することのメリットもあります。早い段階から試験勉強に専念できるため、若いうちに合格できる可能性があります。また、大学の学費を節約できるという経済的なメリットもあります。重要なのは、自分の状況と目標に合った選択をすることです。

大学在学中に合格するメリット

大学在学中に公認会計士試験に合格することには、いくつかの大きなメリットがあります。多くの受験生が大学生のうちに合格を目指す理由を理解しておきましょう。

最大のメリットは、学習時間を確保しやすいことです。大学生は社会人と比べて自由な時間が多く、試験勉強に専念しやすい環境にあります。また、夏休みや春休みといった長期休暇を活用して集中的に学習することができます。特に1年生や2年生の段階から準備を始めれば、卒業までに合格できる可能性が高まります。

次に、就職活動で有利になることも大きなメリットです。試験合格者は監査法人から引く手あまたの状態で、大手監査法人への就職が比較的容易になります。また、一般企業への就職を考える場合でも、公認会計士試験合格は高い評価を受けることが多く、就職活動において大きなアドバンテージとなります。

さらに、早く実務経験を積み始められるという点も重要です。大学卒業と同時に監査法人で働き始めれば、20代半ばで公認会計士として登録できます。キャリアのスタートが早いほど、その後の選択肢も広がります。

ただし、大学生活と試験勉強の両立には困難も伴います。サークル活動やアルバイト、友人との時間を犠牲にする必要があるかもしれません。それでも、計画的に学習を進め、メリハリをつけた生活を送ることで、充実した大学生活と試験合格の両立は十分に可能です。

公認会計士を目指す大学生の学習計画に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士を目指す大学生へ|在学中の学習計画と合格戦略

公認会計士試験の勉強方法と予備校の活用

公認会計士試験に合格するためには、効率的な勉強方法と適切な学習ツールの選択が不可欠です。特に予備校の活用は、ほとんどの合格者が採用している方法です。

独学での合格は理論上は可能ですが、実際には極めて困難な道のりとなります。試験範囲の広さ、最新の試験傾向への対応、モチベーション維持など、様々な面で予備校のサポートが有効です。ここでは、効果的な勉強方法と予備校選びのポイントを詳しく解説します。

公認会計士試験は独学での合格が難しい理由

公認会計士試験を独学で突破することは、理論的には可能ですが、現実的には非常に困難です。合格者の大半が予備校を利用しているという事実が、この難しさを物語っています。

最大の理由は、試験範囲の膨大さと複雑さです。財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法など、各科目とも専門性が高く、独学で全範囲を体系的に理解することは容易ではありません。市販のテキストだけでは、どこが重要でどこまで深く学習すべきか判断が難しく、非効率な学習になりがちです。

また、最新の試験傾向への対応も独学では困難です。公認会計士試験は年度によって出題傾向が変化することがあり、最新の会計基準改正なども試験に反映されます。予備校では常に最新の情報を提供し、試験対策も更新されますが、独学ではこうした情報収集に多大な時間がかかります。

さらに、論文式試験の記述対策は独学では特に難しい部分です。採点基準が明確に公開されていない中で、どのような答案が高評価を得られるのかを独学で把握することは困難です。予備校では答案添削サービスがあり、自分の答案の弱点を客観的に知ることができます。

モチベーション維持の面でも、独学は困難を伴います。長期間にわたる孤独な学習は、挫折のリスクが高くなります。予備校に通うことで、同じ目標を持つ仲間と出会い、切磋琢磨できる環境が得られます。

公認会計士の独学勉強法については、どうしても独学で挑戦したい方向けの情報を別途まとめていますが、基本的には予備校の活用を強く推奨します。

予備校・専門学校を活用するメリット

予備校を活用することには、独学では得られない多くのメリットがあります。合格への近道として、予備校の利用は極めて有効です。

最も大きなメリットは、体系的なカリキュラムに沿って効率的に学習できることです。予備校では長年の実績に基づいて最適化されたカリキュラムが用意されており、必要な知識を無駄なく習得できます。初学者でも理解できるよう段階的に構成されているため、会計の知識がゼロでも安心してスタートできます。

講師のサポートも大きな利点です。経験豊富な講師による講義は、テキストを読むだけでは理解しにくい複雑な論点を分かりやすく解説してくれます。また、質問対応も充実しており、疑問点をすぐに解消できる環境があります。

答練(答案練習会)による実践的な演習も、予備校活用の重要なメリットです。本試験を想定した問題を時間内に解く練習を繰り返すことで、時間配分の感覚や本番での対応力が身につきます。答案添削により自分の弱点も明確になり、効率的に改善できます。

さらに、最新の試験情報や法改正情報を常にアップデートしてもらえることも大きな利点です。会計基準や税法の改正は頻繁に行われますが、予備校ではこれらの情報を即座に教材に反映し、受講生に提供してくれます。

学習仲間との出会いもモチベーション維持に大きく貢献します。同じ目標を持つ仲間と情報交換したり、励まし合ったりすることで、長期間の学習を継続する原動力となります。

大手予備校の特徴と選び方のポイント

公認会計士試験の大手予備校としては、CPA会計学院、TAC、大原、LECなどがあります。それぞれに特徴があり、自分に合った予備校を選ぶことが重要です。

CPA会計学院は、近年合格者占有率を伸ばしている予備校です。少人数制のクラス編成と充実したサポート体制が特徴で、講師との距離が近く質問しやすい環境があります。教材の質も高く評価されており、特に初学者向けの丁寧な指導に定評があります。

TACは公認会計士試験対策の最大手で、長年の実績と豊富な合格者輩出数を誇ります。全国に校舎があり、通学しやすい立地が魅力です。カリキュラムの完成度が高く、大量の問題演習により実力を養成するスタイルです。

大原も老舗の予備校で、安定した合格実績があります。きめ細かいサポートと分かりやすい講義に定評があり、初学者でも安心して学習を進められます。通信講座も充実しており、地方在住者や社会人にも利用しやすい環境です。

予備校選びのポイントとしては、まず合格実績を確認することが重要です。ただし、合格者数だけでなく、合格率や受講生の満足度も参考にしましょう。次に、自宅や大学からの通いやすさも考慮すべき点です。通学に時間がかかりすぎると、学習時間を圧迫してしまいます。

また、講師との相性も大切です。多くの予備校では無料の体験講義を実施しているので、実際に参加してみて自分に合う講師かどうか確認することをおすすめします。受講料も重要な検討要素ですが、最も安い選択肢が必ずしも最良とは限りません。トータルでのコストパフォーマンスを考えることが大切です。

公認会計士予備校の選び方では、各予備校の料金や特徴を詳しく比較していますので、ぜひ参考にしてください。

ダブルスクールと専念型の選択

公認会計士試験の勉強方法として、大学に通いながら予備校にも通う「ダブルスクール」と、大学を休学または卒業後に予備校に専念する「専念型」の2つの選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあります。

ダブルスクールは、大学生活を送りながら試験勉強も並行して進める方法です。メリットは、大学の授業で会計や経営の基礎知識を学べること、友人関係やサークル活動など大学生活も楽しめること、万が一試験に不合格でも大学卒業の学歴は確保できることです。デメリットは、時間管理が難しくストレスが大きいこと、学習時間の確保に苦労することです。

専念型は、試験勉強だけに集中する方法です。メリットは、1日の大半を勉強に充てられるため短期合格を目指しやすいこと、試験に集中できる環境でモチベーションを保ちやすいことです。デメリットは、収入がないか限定的なこと、不合格の場合のリスクが大きいこと、社会経験を積む機会が限られることです。

どちらを選ぶかは、個人の状況や性格によります。大学1年生や2年生であれば、まずはダブルスクールで様子を見て、必要に応じて専念に切り替えるという選択肢もあります。社会人の場合は、仕事を続けながら通信講座で学習するか、退職して専念するかの選択になります。

重要なのは、自分のライフスタイルや経済状況、性格に合った方法を選ぶことです。周囲の意見に流されず、自分にとって最適な学習スタイルを見つけることが、合格への近道となります。

公認会計士試験の勉強方法に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士の効果的な勉強法|科目別対策と時間管理術

公認会計士試験合格後の就職活動と実務経験

公認会計士試験に合格した後は、実務経験を積むための就職活動が始まります。多くの合格者は監査法人に就職しますが、就職活動の時期や選考プロセスには特徴があります。

試験合格者の就職市場は売り手市場であり、特に大手監査法人では積極的な採用が行われています。ただし、希望する監査法人に就職するためには、適切な時期に準備を始め、効果的な就職活動を行うことが重要です。

論文式試験後すぐに始まる就職活動

公認会計士試験合格者の就職活動は、論文式試験の直後から始まります。これは一般的な就職活動とは異なるスケジュールであり、試験勉強と並行して就職活動の準備を進める必要があります。

論文式試験は8月に実施され、合格発表は11月中旬です。しかし、就職活動は試験終了直後の9月から本格的に始まります。つまり、自分が合格しているかどうか分からない状態で就職活動を行うことになります。これは、監査法人側が合格者を早期に確保したいという事情と、合格者側も早く就職先を決めたいという思いが一致した結果です。

就職活動の具体的な流れとしては、まず9月上旬にエントリーシートの提出が始まります。その後、9月中旬から10月にかけて面接や内定が集中します。大手監査法人では複数回の面接が行われるのが一般的で、個人面接やグループディスカッション、懇親会などを通じて人物評価が行われます。

試験勉強との両立は大変ですが、論文式試験後は開放感もあり、気持ちを切り替えて就職活動に臨むことができます。ただし、試験の手応えが良くない場合は、就職活動を翌年に回すという選択肢もあります。

監査法人(Big4と中小)への就職

公認会計士試験合格者の就職先として最も一般的なのが監査法人です。監査法人は大きくBig4と呼ばれる4大監査法人と、中小監査法人に分類されます。

Big4監査法人とは、有限責任あずさ監査法人(KPMG)、有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)、EY新日本有限責任監査法人(EY)、PwCあらた有限責任監査法人(PwC)の4つを指します。これらは世界的な会計事務所のネットワークに属しており、大企業や上場企業の監査を主に担当しています。

Big4のメリットは、給与水準が高いこと、多様な業界の監査経験を積めること、研修制度が充実していること、グローバルな案件に携わる機会があることです。デメリットとしては、忙しい時期の労働時間が長いこと、大規模な組織のため個人の裁量が限られることが挙げられます。

中小監査法人は、規模は小さいものの、それぞれに特徴があります。特定の業界に特化した監査法人や、IPO(新規株式公開)支援に強みを持つ監査法人などがあります。中小監査法人のメリットは、若いうちから責任ある業務を任されやすいこと、ワークライフバランスが取りやすい場合があること、アットホームな雰囲気で働けることです。

どちらを選ぶかは、自分のキャリアプランや働き方の価値観によります。Big4で幅広い経験を積んでから独立や転職を考える方もいれば、最初から中小監査法人で専門性を高める方もいます。また、数年後に別の監査法人に転職することも一般的で、最初の就職先が全てを決めるわけではありません。

業務補助として3年間の実務経験を積む

監査法人に就職した後は、業務補助として実務経験を積むことになります。公認会計士として登録するには、3年以上の実務経験が必要です。

実務経験として認められる業務は、公認会計士法で定められています。主なものとしては、財務諸表の監査及び証明業務、財務諸表の調製業務、財務諸表の監査及び証明業務に関する補助的な業務などがあります。監査法人での監査業務は当然ながら実務経験として認められ、一般企業の経理部門での業務も条件を満たせば認められることがあります。

監査法人での最初の数年間は、主にスタッフとして監査チームに配属され、監査調書の作成、資料の確認、クライアントとのやり取りなどを担当します。段階的に責任ある業務を任されるようになり、3年程度で主査(インチャージ)として監査現場の責任者を務めるようになります。

この期間は、実務を通じて会計や監査の知識を深めるとともに、実務補習所での学習も並行して進めます。忙しい時期には長時間労働になることもありますが、多くの監査法人では働き方改革が進んでおり、以前と比べてワークライフバランスは改善傾向にあります。

3年間の実務経験と実務補習所の修了、修了考査の合格という3つの要件を満たすことで、ようやく公認会計士として登録できます。この期間を有意義に過ごし、実務能力を高めることが、その後のキャリアの基盤となります。

就職活動で学歴や年齢は関係するか

公認会計士試験合格者の就職活動において、学歴や年齢がどの程度影響するのかは多くの受験生が気になる点です。結論から言えば、試験合格という実績が最も重視され、学歴や年齢は大きな障壁にはなりません。

学歴については、大手監査法人でも中小監査法人でも、試験合格者であれば高卒であっても採用の対象となります。もちろん、有名大学出身者が多いのは事実ですが、それは有名大学の学生が試験に合格しやすい環境にあるためであり、就職活動で不当に優遇されているわけではありません。面接では人物評価が中心となり、コミュニケーション能力や仕事への意欲が重視されます。

年齢についても、かつてほど厳しくはありません。20代であれば年齢はほとんど問題になりませんし、30代前半でも十分に採用の可能性があります。特に、社会人経験がある方は、その経験が評価されることもあります。ただし、30代後半以降になると、監査法人によっては採用に慎重になる傾向があるのも事実です。

それでも、公認会計士試験合格という事実は非常に高く評価されます。試験の難易度を考えれば、合格者は優秀な人材であるという前提で選考が行われます。重要なのは、自分の強みや監査法人で働きたい理由を明確に伝えられることです。

また、監査法人以外の選択肢も広がっています。一般企業の経理部門、コンサルティングファーム、金融機関、税理士法人など、公認会計士試験合格者を求める業界は多岐にわたります。自分のキャリアビジョンに合った就職先を選ぶことが大切です。

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公認会計士の実務補習所と修了考査

公認会計士試験に合格し、監査法人などで働き始めた後も、公認会計士として登録するためには実務補習所での学習が必要です。実務補習所は、実務に必要な知識とスキルを体系的に学ぶための教育機関です。

実務補習所では3年間のカリキュラムが用意されており、働きながら通うことを前提としたスケジュールになっています。最終的に修了考査に合格することで、公認会計士登録の要件を満たすことができます。

実務補習所での3年間のカリキュラム

実務補習所は、日本公認会計士協会が運営する教育機関で、試験合格者に対して実務に必要な知識とスキルを提供します。東京、東海、近畿、九州の4箇所に設置されており、居住地に応じて通う場所が決まります。

カリキュラムは3年間(第1期、第2期、第3期)で構成されており、合計で約400単位の取得が必要です。講義は主に平日の夜間(18時30分〜21時30分)と土曜日に行われ、監査法人で働きながら通うことができるスケジュールになっています。ただし、繁忙期には仕事との両立が大変になることもあります。

学習内容は多岐にわたり、監査実務、会計実務、税務、経営、法規、職業倫理などのテーマが含まれます。単なる知識の習得だけでなく、実務での判断力やコミュニケーション能力を養うためのグループワークやケーススタディも重視されています。実務で直面する課題をテーマにした講義も多く、実践的な内容となっています。

また、実務補習所では考査と呼ばれる試験が定期的に実施されます。これに合格することで単位が取得でき、一定の成績を維持することが求められます。出席やレポート提出も単位取得の要件となるため、計画的に学習を進める必要があります。

単位取得と考査の合格要件

実務補習所で公認会計士として登録するためには、3年間で所定の単位を取得し、各期の考査に合格する必要があります。具体的な要件は厳格に定められています。

単位取得の要件としては、講義への出席、課題レポートの提出、考査の合格などがあります。講義は一定以上の出席率が求められ、無断欠席や遅刻は単位に影響します。監査法人の業務が忙しい時期でも、可能な限り出席する努力が必要です。

考査は各期に複数回実施され、一定の成績を収めることが求められます。考査の難易度は修了考査ほど高くありませんが、実務補習での学習内容をしっかりと理解していないと合格は困難です。不合格の場合は再考査を受ける必要があり、単位取得が遅れることになります。

課題レポートも重要な評価要素です。実務での経験を踏まえた考察や、特定のテーマについての調査レポートなどが課されます。これらのレポートは、単なる知識の再現ではなく、自分の考えを論理的に表現する能力が問われます。

3年間で全ての単位を取得できない場合は、実務補習を継続する必要があり、修了考査の受験資格が得られません。そのため、計画的に学習を進め、仕事との両立を図ることが重要です。多くの監査法人では、実務補習所への通学に理解があり、業務調整などのサポートを行っています。

修了考査の内容と合格率

実務補習所の3年間のカリキュラムを修了すると、修了考査の受験資格が得られます。修了考査は、公認会計士として登録する前の最後の関門となる試験です。

修了考査は年1回、12月に実施される論文式の試験です。会計、監査、税務、経営、法規の5科目から出題され、2日間にわたって実施されます。出題内容は実務に即したものが多く、実際の業務で直面するような複合的な問題が出されます。単なる知識の暗記では対応できず、実務補習での学習と監査法人での実務経験の両方が必要です。

合格率は例年70%前後で、公認会計士試験と比べると比較的高い水準です。しかし、これは受験者全員が公認会計士試験合格者であり、3年間の実務補習を修了した上での合格率であることを考慮する必要があります。決して簡単な試験ではありません。

不合格の場合は翌年再受験することになりますが、実務補習所の単位は保持されるため、再度3年間通う必要はありません。ただし、修了考査に合格するまでは公認会計士として登録できないため、できるだけ一発合格を目指すべきです。

修了考査対策としては、実務補習所での学習を真面目に取り組むことが基本です。また、直前期には答練や模擬試験を活用して、本番を想定した練習を重ねることが効果的です。監査法人の先輩や同期と情報交換しながら、効率的に準備を進めることも重要です。

働きながら実務補習所に通う方法

実務補習所は働きながら通うことを前提としていますが、仕事と学習の両立には工夫が必要です。効果的な時間管理と優先順位付けが、3年間を乗り切る鍵となります。

まず、監査法人の業務の繁閑を理解しておくことが重要です。監査業務には繁忙期と閑散期があり、3月決算企業が多い日本では、4月から6月が最も忙しい時期となります。この期間は残業も多くなるため、実務補習所との両立が特に大変です。一方、7月から11月は比較的余裕があり、学習時間を確保しやすい時期です。

効率的な学習方法としては、講義の予習・復習を短時間で済ませる工夫が必要です。通勤時間を活用したり、昼休みを利用したりすることで、まとまった時間を確保しなくても学習を進められます。また、グループワークでは同期と協力して効率的に課題をこなすことも大切です。

監査法人の理解とサポートも重要な要素です。多くの監査法人では、実務補習所への通学を業務の一部として認識しており、スケジュール調整などの配慮があります。上司や先輩に相談しながら、無理のない範囲で仕事と学習を両立させる計画を立てましょう。

また、体調管理も忘れてはいけません。仕事と学習の両立は体力的にも精神的にも負担が大きいため、適度な休息を取ることが長期的には効率的です。週末は全て学習に充てるのではなく、リフレッシュの時間も確保することで、持続可能なペースを維持できます。

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社会人や働きながら公認会計士を目指す方法

社会人として働きながら公認会計士を目指すことは十分に可能ですが、学生時代とは異なる困難や課題があります。時間の制約がある中で、どのように学習を進め、合格を目指すかを理解することが重要です。

働きながらの挑戦には、経済的な安定や社会経験を積めるメリットがある一方で、学習時間の確保やモチベーション維持の難しさというデメリットもあります。自分の状況に合った学習計画を立て、長期的な視点で取り組むことが成功の鍵です。

社会人が公認会計士を目指すメリットとデメリット

社会人として働きながら公認会計士を目指すことには、学生時代にはない独自のメリットとデメリットがあります。まずは両者を理解した上で、挑戦するかどうかを判断することが大切です。

メリットとしては、まず経済的な安定が挙げられます。収入を得ながら勉強できるため、予備校の受講料や生活費の心配が少なくなります。また、社会人経験は公認会計士になった後のキャリアにもプラスに働きます。ビジネスの実務を知っていることは、監査業務やコンサルティング業務で大きな強みとなります。

さらに、明確な目的意識を持ちやすいことも利点です。社会人として働く中で、キャリアアップや専門性の獲得といった具体的な目標を持って勉強に取り組めるため、モチベーションを維持しやすい面があります。年齢を重ねた分、学習の重要性や優先順位を理解しており、効率的に学習を進められる可能性もあります。

デメリットとしては、学習時間の確保が最大の課題です。フルタイムで働きながら勉強時間を捻出するのは容易ではなく、1日2〜3時間の学習でも維持するのは大変です。また、仕事のストレスや疲労が学習に影響することもあります。

年齢的な制約も考慮すべき点です。公認会計士試験自体に年齢制限はありませんが、合格までに時間がかかると、監査法人への就職や長期的なキャリア形成に影響が出る可能性があります。特に30代後半以降の挑戦には、より慎重な判断が必要です。

働きながらの学習計画と時間管理術

働きながら公認会計士試験の合格を目指すには、効率的な学習計画と厳格な時間管理が不可欠です。限られた時間を最大限に活用する工夫が成功の鍵となります。

まず、現実的な学習時間の見積もりから始めましょう。平日は仕事後に2〜3時間、週末に各8〜10時間程度が一般的な目安です。これで週に約30時間、年間で約1,500時間の学習時間を確保できます。公認会計士試験の合格に必要な2,500〜3,500時間を考えると、2〜3年での合格を目指すのが現実的なラインです。

学習時間を確保するための具体的な方法としては、朝型の生活リズムに切り替えることが効果的です。仕事前の早朝に1〜2時間勉強することで、頭がすっきりした状態で効率的に学習できます。また、通勤時間を活用したスキマ時間学習も重要です。電車の中で理論の暗記やテキストの読み込みを行うことで、まとまった時間がなくても学習を進められます。

週末は集中的に学習する貴重な時間です。図書館や予備校の自習室を利用して、家とは違う環境で勉強することで集中力を高められます。ただし、毎週末を全て勉強に費やすと燃え尽きるリスクがあるため、月に1〜2回はリフレッシュの時間を設けることも大切です。

職場での時間管理も重要です。残業をできるだけ減らし、定時退社を心がけることで学習時間を確保できます。上司や同僚に公認会計士試験に挑戦していることを伝え、理解を得ることも一つの方法です。ただし、仕事のパフォーマンスを落とさないよう、業務時間中は仕事に集中することが前提です。

通信講座やオンライン予備校の活用

働きながら公認会計士を目指す社会人にとって、通信講座やオンライン予備校は非常に有効な選択肢です。通学の時間を節約でき、自分のペースで学習を進められるメリットがあります。

通信講座の利点は、時間と場所の制約がないことです。通学の必要がないため、仕事が終わった後に自宅ですぐに学習を始められます。また、講義を録画視聴できるため、自分の理解度に応じて再生速度を調整したり、分からない部分を繰り返し視聴したりすることができます。

現在、多くの予備校がオンライン講座を充実させています。CPA会計学院、TAC、大原などの大手予備校では、通学講座と同等の内容をオンラインで受講できるコースを提供しています。教材も郵送されるため、地方在住の方でも大都市圏と同じ質の教育を受けられます。

オンライン予備校を活用する際の注意点としては、自己管理能力が求められることです。通学講座と違って強制力がないため、自分で学習ペースを維持する必要があります。定期的に学習時間を記録したり、週ごとの目標を設定したりすることで、計画的に進めることができます。

また、孤独になりがちな点も課題です。オンライン受講生同士のコミュニティや、予備校が提供する質問対応サービスを積極的に活用することで、疑問点を解消し、モチベーションを維持できます。一部の予備校では、定期的なオンライン交流会や勉強会を開催しており、同じ目標を持つ仲間と繋がる機会を提供しています。

費用面でも、通信講座は通学講座より安価な場合が多く、経済的なメリットがあります。ただし、最も安い選択肢が必ずしも最良とは限らないため、サポート体制や教材の質も含めて総合的に判断することが大切です。

20代後半までに決意するのが理想的な理由

社会人として公認会計士を目指す場合、20代後半までに決意して挑戦を始めるのが理想的とされています。これにはいくつかの理由があります。

まず、学習能力と記憶力の面で、若いほど有利であることは否定できません。公認会計士試験は膨大な知識を習得する必要があり、特に暗記が求められる部分も多くあります。20代のうちに始めれば、学生時代の学習習慣が残っている状態で取り組めるため、スムーズに勉強を進められる可能性が高くなります。

次に、合格後のキャリア形成を考えると、早い方が選択肢が広がります。仮に27歳で挑戦を始めて3年で合格した場合、30歳で監査法人に入所できます。その後3年間の実務経験を経て33歳で公認会計士として登録できれば、十分に長いキャリアを築けます。一方、30代半ばで合格した場合、監査法人での昇進スピードや独立のタイミングなどで制約が出る可能性があります。

ただし、これは一般論であり、30代以降の挑戦が不可能というわけではありません。実際に40代で合格し、活躍している公認会計士も存在します。重要なのは、自分のライフステージや目標に照らして、挑戦するタイミングが適切かどうかを冷静に判断することです。

結婚や子育てといったライフイベントも考慮すべき要素です。家族がいる場合、長時間の学習時間を確保することが難しくなるため、家族の理解と協力が不可欠です。20代後半であれば、こうしたライフイベントの前に挑戦できる可能性が高く、集中して学習に取り組める環境を作りやすいと言えます。

公認会計士になるにはに関連するよくある質問(FAQ)

公認会計士を目指す方から寄せられる代表的な質問とその回答をまとめました。資格取得までの道のりについて、具体的な疑問を解消していきましょう。

Q. 公認会計士になるには何年かかりますか?

公認会計士として登録するまでには、最短でも5年程度の期間が必要です。試験合格まで2〜4年、合格後の実務経験と実務補習所が各3年(並行して進める)というのが一般的な流れです。

ただし、これは全てのステップを一度でクリアした場合の最短ルートです。試験に複数回挑戦する場合や、実務補習所で単位取得が遅れる場合は、さらに時間がかかります。大学在学中に試験に合格すれば、卒業後すぐに実務経験を積み始められるため、20代半ばで公認会計士として登録することも可能です。社会人から挑戦する場合は、試験勉強に3〜5年かかることも珍しくないため、トータルで7〜8年程度を見込んでおくのが現実的でしょう。

Q. 公認会計士試験に受験資格はありますか?

公認会計士試験には一切の受験資格がありません。年齢、学歴、国籍を問わず、誰でも受験することができます。

これは公認会計士試験の大きな特徴で、他の難関資格と比較しても非常に開かれた制度です。高校生でも大学生でも社会人でも、試験に合格する実力があれば公認会計士を目指せます。実際に、大学1年生や2年生で合格する方や、社会人になってから挑戦して合格する方も毎年一定数います。受験資格が不要であることは、誰にでもチャンスが開かれている一方で、それだけ競争も激しいということを意味しています。

Q. 公認会計士は高卒でも目指せますか?

はい、公認会計士は高卒でも十分に目指すことができます。試験に受験資格がないため、高校卒業後すぐに試験勉強を始めて合格することは理論上可能です。

実際に高卒で公認会計士試験に合格した方も過去に存在します。予備校のカリキュラムは初学者を前提に設計されているため、高校卒業程度の学力があれば学習を進めることができます。ただし、現実的には大学に進学してから公認会計士を目指す方が一般的です。その理由は、大学生の方が学習時間を確保しやすいこと、同じ目標を持つ仲間と出会える機会が多いこと、就職活動の際に大卒の学歴があった方が選択肢が広がることなどが挙げられます。

Q. 公認会計士は独学で合格できますか?

公認会計士試験を独学で合格することは理論上は可能ですが、現実的には極めて困難です。合格者の大半が予備校を利用している事実が、独学の難しさを物語っています。

独学が困難な理由は、試験範囲が膨大で専門性が高いこと、最新の試験傾向や法改正への対応が難しいこと、論文式試験の記述対策が独学では不十分になりやすいこと、長期間のモチベーション維持が困難であることなどです。予備校を利用することで、体系的なカリキュラム、経験豊富な講師のサポート、答案添削サービス、最新の試験情報などが得られます。これらは独学では代替が難しい価値があります。公認会計士の独学勉強法については別途記事で解説していますが、基本的には予備校の活用を強く推奨します。

Q. 公認会計士になるにはどの大学・学部がおすすめですか?

公認会計士試験には学歴要件がないため、どの大学・学部からでも挑戦できます。ただし、効率的に学習を進めるという観点では、経済学部、商学部、経営学部が有利な傾向にあります。

これらの学部では、会計学や簿記、経営学といった試験科目と関連する内容を授業で学べるため、試験勉強の導入がスムーズです。また、公認会計士を目指す学生が多く、勉強仲間を見つけやすい環境があります。大学としては、慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、明治大学などが毎年多くの合格者を輩出しています。これらの大学は、専門教育の充実度、学習環境、合格者ネットワークなどの面で優れています。ただし、最も重要なのは大学選びよりも、明確な目標を持って計画的に学習時間を確保することです。詳しくは公認会計士試験に強い大学の記事をご覧ください。

Q. 公認会計士は働きながらでも目指せますか?

はい、公認会計士は働きながらでも目指すことができます。実際に社会人として働きながら合格する方も毎年一定数います。

ただし、学生時代と比べて学習時間の確保が大きな課題となります。平日は仕事後に2〜3時間、週末に8〜10時間程度の学習時間を確保すると、年間で約800〜1,000時間の学習が可能です。この場合、合格までに3〜5年程度かかることが一般的です。効率的な学習計画と時間管理が成功の鍵となります。通信講座やオンライン予備校を活用することで、通学時間を節約し、自分のペースで学習を進めることができます。また、20代後半までに挑戦を始めることが、その後のキャリア形成を考えると理想的です。

Q. 公認会計士試験の合格率はどれくらいですか?

公認会計士試験の合格率は、短答式試験と論文式試験を合わせて10%前後です。短答式試験の合格率は例年10〜12%程度、論文式試験の合格率も10%前後で推移しています。

2023年度のデータでは、短答式試験第I回(12月実施)の合格率が11.2%、第II回(5月実施)が12.5%、論文式試験の合格率が10.1%でした。これらの数字から分かるように、公認会計士試験は日本の資格試験の中でも特に難易度が高い試験の1つです。合格には2,500〜3,500時間の学習が必要とされ、多くの受験生が2〜4年かけて合格を目指します。ただし、合格率が低いからといって諦める必要はありません。適切な学習方法と十分な準備期間があれば、合格は十分に可能です。詳しくは公認会計士試験の合格率の記事で傾向分析を行っています。

まとめ:公認会計士になるには試験合格と実務経験が必要

本記事では、公認会計士になるための全体像について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 資格取得には3つのステップが必要:公認会計士になるには、試験合格(短答式試験+論文式試験)、3年以上の実務経験、実務補習所の修了と修了考査合格という3つのステップを全てクリアする必要があります。最短でも5年程度の期間がかかることを理解し、長期的な視点で計画を立てることが重要です。
  2. 試験合格には戦略的な学習が不可欠:公認会計士試験の合格には2,500〜3,500時間の学習が必要とされ、合格率は10%前後の難関試験です。独学は極めて困難で、ほとんどの合格者が予備校を利用しています。効率的な学習計画を立て、自分に合った予備校を選ぶことが合格への近道です。
  3. 挑戦のタイミングと環境選びが重要:公認会計士試験には受験資格がなく、誰でも挑戦できます。大学在学中に合格すれば早期にキャリアをスタートでき、社会人からの挑戦も十分可能です。ただし、社会人の場合は学習時間の確保が課題となるため、20代後半までに挑戦を始めるのが理想的です。

公認会計士になるための道のりを理解できたら、次は具体的な行動を始めましょう。公認会計士試験の勉強時間公認会計士予備校の選び方を参考に、自分に合った学習計画を立てることをおすすめします。

本記事を通じて、公認会計士になるための具体的なステップと必要な準備を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、公認会計士資格取得に向けて計画的な第一歩を踏み出しましょう。

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