中小企業診断士試験の科目免除制度について調べているあなたへ。「保有資格や科目合格を活用して負担を軽減できるのか」という疑問は、免除制度の条件と申請方法を正しく理解することで解決できます。本記事では、中小企業診断士試験における一次試験の科目免除制度、二次試験の養成課程免除、具体的な申請手順と注意点について、最新の制度情報を交えて詳しく解説します。この情報をもとに、中小企業診断士試験合格に向けて、あなたに最適な受験戦略を立てましょう。
この記事を読むとわかること
- 中小企業診断士試験で免除が認められる2つの制度(他資格免除と科目合格免除)
- 公認会計士・税理士・弁護士など免除対象となる具体的な資格一覧
- 科目免除の申請方法と期限、必要書類の詳細
- 科目免除を活用すべきケースと避けるべきケースの判断基準
押さえておきたい3つのポイント
- 他資格等保有による免除制度:公認会計士は財務・会計と経済学・経済政策が免除、税理士は財務・会計が免除されるなど、保有資格によって最大2科目まで一次試験が免除されます。ただし、免除申請後の変更はできないため、慎重な判断が必要です。
- 科目合格による免除の有効期限:一次試験で60点以上を取得した科目は、翌年度と翌々年度の2年間免除されます。この制度を活用すれば、3年計画で段階的に合格を目指す戦略が可能になります。
- 免除制度のメリットとデメリット:免除により学習負担は軽減されますが、得点源を失うリスクもあります。不得意科目や年度による難易度変動が大きい科目は免除を活用し、得意科目は受験して得点を稼ぐ戦略的判断が合格への鍵となります。
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中小企業診断士(SME診断士)試験の科目免除制度とは
中小企業診断士試験には、受験者の負担を軽減するための科目免除制度が用意されています。この制度を正しく理解することで、効率的な受験戦略を立てることができます。
免除制度は大きく分けて一次試験と二次試験で異なる仕組みが設けられており、それぞれの条件や申請方法を把握しておくことが合格への第一歩となります。
中小企業診断士一次試験の2種類の免除制度
一次試験の免除制度には、「他資格等保有による科目免除」と「科目合格による免除」の2種類があります。
他資格等保有による科目免除は、公認会計士や税理士、弁護士などの国家資格を保有している場合に、関連する科目が免除される制度です。例えば、公認会計士の資格を持っている場合、財務・会計と経済学・経済政策の2科目が免除対象となります。
科目合格による免除は、一次試験で60点以上を取得した科目について、翌年度と翌々年度の2年間免除される制度です。この制度を活用すれば、1年目に3科目、2年目に4科目というように段階的に合格を目指す戦略が可能になります。
中小企業診断士二次試験の免除制度(養成課程)
二次試験については、登録養成機関が実施する養成課程を修了することで、筆記試験と口述試験の両方が免除されます。
養成課程は、中小企業大学校や一部の大学院などで実施されている実務研修プログラムで、約6ヶ月から2年間のカリキュラムを修了することで、実務経験を積みながら中小企業診断士の資格を取得できる制度です。
ただし、養成課程の費用は200万円から300万円程度と高額であり、修了には相応の時間とコストがかかる点を考慮しておきましょう。仕事との両立や経済的負担を見極めた上で、自分に適した選択肢かどうかを慎重に検討することが大切です。
中小企業診断士試験における免除制度活用のメリット
免除制度を活用する最大のメリットは、学習負担の軽減と合格可能性の向上です。
一次試験は7科目すべてで60点以上、かつ総得点が420点満点中252点以上(60%)という基準を満たす必要があります。免除科目があれば、その分の勉強時間を他の科目に集中できるため、効率的な学習が可能になります。
特に働きながら受験する社会人にとって、限られた時間の中で合格を目指すには、免除制度の戦略的活用が有効な選択肢となります。ただし、免除によって得点源を失うというデメリットもあるため、自分の得意・不得意を考慮した判断が重要です。
中小企業診断士(SME診断士)一次試験|他資格等保有による科目免除
他資格等保有による科目免除は、既に保有している国家資格を活用して一次試験の負担を軽減できる制度です。対象資格と免除科目の組み合わせを正確に把握することで、効率的な受験計画を立てることができます。
この免除制度は、関連する専門知識を既に有していると認められる資格保有者に対して、該当科目の受験を免除するものです。ただし、免除申請は受験申込時に行い、後から変更することはできないため、慎重な判断が求められます。
経済学・経済政策の免除対象資格
経済学・経済政策が免除される主な資格は、公認会計士です。
公認会計士試験では、経済学を選択科目として受験することができ、経済理論や経済政策に関する専門知識を有していると認められるため、中小企業診断士試験の経済学・経済政策科目が免除対象となります。
この科目は理論的な内容が多く、グラフや数式を用いた問題も出題されるため、経済学のバックグラウンドがある場合は免除を活用することで、学習時間を大幅に短縮できるでしょう。
財務・会計の免除対象資格
財務・会計が免除される資格は、公認会計士、税理士、弁護士(旧司法試験合格者)の3つです。
公認会計士と税理士は、会計・財務に関する高度な専門知識を持つ資格であり、中小企業診断士試験の財務・会計科目と重複する内容が多いため、免除対象とされています。また、旧司法試験合格者についても、試験科目に会計学が含まれていたため、免除が認められています。
財務・会計は一次試験の中でも難易度が高い科目の1つとされており、簿記2級レベル以上の知識が求められます。これらの資格を保有している場合は、免除を活用することで大きなアドバンテージを得られます。
経営法務の免除対象資格
経営法務が免除される資格は、弁護士(旧司法試験合格者)です。
旧司法試験に合格し弁護士資格を有している場合、法律に関する高度な専門知識を持つと認められ、経営法務科目が免除されます。ただし、新司法試験合格者は免除対象外となっている点を押さえておきましょう。
経営法務は会社法、民法、知的財産権法など幅広い法律知識が問われる科目です。法律の専門家である弁護士にとっては比較的取り組みやすい科目ですが、免除を活用するかどうかは、得点源としての価値も考慮して判断しましょう。
経営情報システムの免除対象資格
経営情報システムが免除される資格は、情報処理技術者試験の応用情報技術者、ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト、ITサービスマネージャ、システム監査技術者などです。
これらの情報処理技術者試験の高度試験区分に合格している場合、IT・情報システムに関する専門知識を有していると認められ、経営情報システム科目が免除されます。
経営情報システムは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、ITに関する幅広い知識が問われる科目です。IT業界で働いている方や情報処理技術者試験の合格者にとっては、免除を検討する価値がある科目と言えるでしょう。
中小企業診断士一次試験の科目・難易度・合格率と対策方法では、各科目の詳しい内容や対策方法を解説していますので、免除を検討する際の参考にしてください。
中小企業診断士(SME診断士)一次試験|科目合格による免除制度
科目合格による免除制度は、一次試験で基準点以上を取得した科目について、翌年度以降の受験が免除される仕組みです。この制度を活用することで、複数年にわたって段階的に合格を目指す戦略が可能になります。
科目合格制度は、働きながら受験する社会人や、一度に全科目の準備が難しい受験者にとって非常に有効な制度です。計画的に活用することで、無理のないペースで確実に合格に近づくことができます。
科目合格の基準と仕組み
科目合格が認められる基準は、その科目で60点以上を取得することです。
一次試験は7科目で構成されており、各科目100点満点で実施されます。合格基準は「すべての科目で40点以上、かつ総得点が420点満点中252点以上(60%)」ですが、科目合格は各科目で60点以上を取得した場合に認められます。
例えば、7科目中4科目で60点以上を取得し、残り3科目が基準に達しなかった場合、その4科目については科目合格となり、翌年度と翌々年度の2年間は受験が免除されます。残りの3科目に集中して学習できるため、合格の可能性が大きく高まります。
科目合格による免除の有効期限(2年間)
科目合格による免除の有効期限は、合格した年度の翌年度と翌々年度の2年間です。
例えば、2023年度の一次試験で経済学・経済政策と財務・会計の2科目で科目合格した場合、2024年度と2025年度の一次試験でこれらの科目は免除されます。2026年度に受験する場合は、再度これらの科目を受験することになります。
この2年間という有効期限を考慮すると、1年目に3〜4科目の科目合格を目指し、2年目に残りの科目で総合合格を狙うという戦略が効果的です。ただし、有効期限を過ぎると再受験となるため、計画的なスケジュール管理がポイントとなります。
科目合格制度を活用した3年計画の受験戦略
科目合格制度を活用した効果的な受験戦略として、3年計画での合格を目指す方法があります。
1年目は比較的取り組みやすい3〜4科目に絞って学習し、科目合格を確実に獲得します。2年目は残りの科目と、1年目に合格できなかった科目を中心に学習を進め、さらに科目合格を増やします。そして3年目に、免除科目を活用しながら総合合格を目指すという流れです。
この戦略のメリットは、1年間の学習負担を分散できることと、段階的に合格に近づくことでモチベーションを維持しやすいことです。特に働きながら受験する社会人にとって、無理のないペースで進められる現実的な選択肢と言えるでしょう。ただし、科目の難易度は年度によって変動するため、得意科目は早めに合格しておくことをおすすめします。
中小企業診断士試験の合格率推移と一次・二次の傾向分析では、科目別の合格率データを詳しく解説していますので、受験戦略を立てる際の参考にしてください。
中小企業診断士試験の免除申請方法と手続き
免除制度を利用するには、受験申込時に適切な手続きを行うことが求められます。申請方法を誤ると免除が認められない場合もあるため、正確な手順と必要書類を事前に確認しておきましょう。
免除申請は一度提出すると変更できないため、慎重に判断した上で手続きを進めましょう。
他資格等保有による免除申請の手順
他資格等保有による科目免除を申請する場合、受験申込時に免除申請書と証明書類を提出します。
具体的な手順は以下の通りです。まず、中小企業診断協会のウェブサイトから受験申込を行う際に、免除科目の選択欄で該当する科目にチェックを入れます。次に、保有資格を証明する書類(資格証明書のコピーなど)を準備し、指定された方法で提出します。
証明書類としては、公認会計士であれば公認会計士登録証、税理士であれば税理士証票、弁護士であれば弁護士登録証、情報処理技術者試験合格者であれば合格証書のコピーなどが必要です。提出方法は郵送またはオンラインアップロードとなりますが、年度によって異なる場合があるため、必ず最新の受験案内を確認しましょう。
科目合格による免除申請の手順
科目合格による免除を申請する場合は、前年度または前々年度の一次試験の受験番号と科目コード番号を申請書に記入します。
科目合格の場合、基本的には中小企業診断協会側でデータを保有しているため、他資格等保有による免除と比べて手続きは簡素です。受験申込時に、免除を希望する科目を選択し、前年度または前々年度の受験番号を正確に入力します。
ただし、受験番号や科目コード番号を誤って記入すると、免除が認められない場合があります。前年度の受験票や成績通知書を手元に用意して、正確な情報を入力するようにしましょう。万が一、受験番号が不明な場合は、中小企業診断協会に問い合わせることで確認できます。
免除申請の注意点と期限
免除申請には押さえておくべき注意点がいくつかあります。
最も大切なのは、申請期限を厳守することです。受験申込期間は例年4月下旬から5月下旬頃に設定されており、この期間内に免除申請も完了させる必要があります。期限を過ぎると免除申請ができず、全科目を受験することになってしまいます。
また、一度提出した免除申請は変更や追加ができません。例えば、財務・会計を免除申請したものの、やはり受験したいと思っても、申請後の変更は認められません。免除を申請するかどうかは、過去問を解いて自分の実力を確認し、得点が見込めるかどうかを慎重に判断した上で決定しましょう。
さらに、証明書類に不備があると免除が認められない場合があります。提出前に必要書類が揃っているか、記載内容に誤りがないかを入念にチェックすることが大切です。
中小企業診断士試験の免除申請方法に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士一次試験の科目・難易度・合格率と対策方法
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中小企業診断士二次試験を免除できる養成課程とは
中小企業診断士の二次試験については、登録養成機関が実施する養成課程を修了することで、筆記試験と口述試験の両方が免除されます。養成課程は、実務経験を積みながら資格取得を目指せる制度として、一定の需要があります。
ただし、養成課程には高額な費用と長期間の受講が求められるため、自分のキャリアプランや経済状況を考慮した上で選択することがポイントです。
養成課程の概要と実施機関
養成課程は、中小企業大学校や一部の大学院などの登録養成機関が実施する実務研修プログラムです。
実施機関は全国に複数あり、主なものとして中小企業大学校(東京校)、一橋大学大学院、筑波大学大学院、兵庫県立大学大学院などが挙げられます。各機関によってカリキュラムや受講期間、費用が異なるため、自分の状況に合った機関を選ぶことが大切です。
養成課程のカリキュラムは、経営診断の実務や企業調査、診断報告書の作成など、実践的な内容で構成されています。受講期間は機関によって異なりますが、おおむね6ヶ月から2年程度です。平日夜間や週末に開講される社会人向けのコースもあり、働きながら受講することも可能です。
養成課程のメリットと費用
養成課程の最大のメリットは、二次試験を受験せずに中小企業診断士の資格を取得できることです。
二次試験は筆記試験と口述試験で構成され、特に筆記試験は記述式問題で応用力が問われるため、難易度が高いとされています。養成課程を修了すれば、これらの試験を回避でき、確実に資格取得への道が開けます。
また、養成課程では実際の企業診断を体験できるため、資格取得後すぐに実務に活かせるスキルを身につけられます。診断先企業とのネットワークや、同期受講生とのつながりも得られるため、将来のビジネスにプラスになる可能性があります。
一方、費用は200万円から300万円程度と高額であり、受講期間中は相応の時間を確保する必要があります。経済的負担と時間的制約を十分に考慮した上で、養成課程を選択するかどうかを判断しましょう。
養成課程修了による免除の範囲
養成課程を修了すると、二次試験の筆記試験と口述試験の両方が免除されます。
ただし、一次試験は免除されないため、養成課程に入る前に一次試験に合格しておく必要があります。一次試験に合格し、その後養成課程を修了すれば、実務補習(診断実務に15日間以上従事する実習)を経て、中小企業診断士として登録することができます。
なお、養成課程修了後に実務補習を受ける必要がある点は、通常の試験ルートと同じです。養成課程はあくまで二次試験を免除する制度であり、最終的な登録要件として実務経験は必要となります。
中小企業診断士の養成課程に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士養成課程とは?メリット・費用・選び方を解説
中小企業診断士試験の科目免除|メリットとデメリット
科目免除制度には明確なメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。免除を申請する前に、両面を理解した上で、自分にとって最適な選択を行いましょう。
免除制度の活用は、合格戦略の一部として捉え、得意科目や学習状況を総合的に判断することが大切です。
科目免除のメリット|学習負担の軽減
科目免除の最大のメリットは、学習負担を大幅に軽減できることです。
一次試験は7科目で構成されており、すべての科目を学習するには相当な時間と労力が必要です。免除科目がある場合、その分の勉強時間を他の科目に集中できるため、効率的な学習が可能になります。
例えば、公認会計士資格を持っている場合、財務・会計と経済学・経済政策の2科目が免除されるため、残り5科目に学習リソースを集中できます。1科目あたりの平均学習時間が100〜150時間と言われているため、2科目免除であれば200〜300時間の学習時間を削減できる計算になります。
また、科目数が減ることで試験当日の精神的・肉体的負担も軽減されます。一次試験は2日間にわたって実施されますが、免除科目がある場合は受験科目が減るため、集中力を維持しやすくなります。
中小企業診断士試験に必要な勉強時間|合格までのスケジュールでは、科目別の学習時間の目安を詳しく解説していますので、免除による時間削減効果を確認する際の参考にしてください。
科目免除のデメリット|得点源の喪失
科目免除のデメリットは、得点源を失う可能性があることです。
一次試験の合格基準は「すべての科目で40点以上、かつ総得点が420点満点中252点以上(60%)」です。免除科目は総得点の計算から除外されるため、残りの科目で確実に得点を稼ぐ必要があります。
例えば、財務・会計を免除した場合、残り6科目360点満点で252点以上を取る必要はありません。免除科目を除いた残り科目の60%が新たな合格ラインとなります。しかし、得意科目を免除してしまうと、他の科目でカバーできる余地が少なくなり、結果的に合格が難しくなる可能性があります。
特に、80点以上を安定して取れる得意科目がある場合、その科目を免除すると大きな得点源を失うことになります。免除を申請する際は、その科目が本当に不得意で勉強時間をかけても高得点が期待できないのか、慎重に見極める必要があります。
免除科目を受験しない場合の合格基準
免除科目を受験しない場合、合格基準の計算方法が変わります。
免除科目がある場合、総得点の計算から免除科目を除外し、残りの科目の満点に対する60%が合格ラインとなります。また、すべての受験科目で40点以上を取る必要がある点は変わりません。
例えば、財務・会計(100点)を免除した場合、残り6科目の満点は320点となり、その60%である192点以上が合格ラインとなります。さらに、受験する6科目すべてで40点以上を取ることが求められます。
このように、免除科目がある場合は合格に必要な総得点が減りますが、1科目でも40点未満があると不合格になるため、苦手科目への対策も怠ることはできません。免除制度を活用する際は、残りの科目でバランス良く得点できるよう、計画的な学習がポイントとなります。
中小企業診断士試験|科目免除すべきか否かの判断基準
科目免除を申請するかどうかの判断は、合格を左右する大切な決断です。自分の得意・不得意、学習状況、科目の特性を総合的に考慮して、戦略的に判断することが求められます。
過去問を解いて実力を確認し、データに基づいた客観的な判断を行いましょう。
免除すべきケース|不得意科目・時間制約
科目免除を活用すべきケースは、主に2つのパターンに分けられます。
1つ目は、明確な不得意科目がある場合です。過去問を何度解いても60点を超えることが難しく、学習時間をかけても改善の見込みが薄い科目については、免除を検討する価値があります。特に、経済学・経済政策のように理論的で難解な科目や、経営情報システムのようにバックグラウンドが大きく影響する科目は、苦手な人にとって大きな負担となります。
2つ目は、学習時間の確保が難しい場合です。働きながら受験する社会人や、家庭の事情で十分な勉強時間が取れない場合、免除科目があることで現実的な合格プランを立てることができます。1日1〜2時間の学習時間しか確保できない場合、7科目すべてを網羅するのは困難であり、免除制度を活用して科目数を減らすことが合格への近道となります。
中小企業診断士試験の難易度|他資格との比較と合格への道筋では、各科目の難易度を詳しく解説していますので、免除すべき科目を判断する際の参考にしてください。
免除しないべきケース|得意科目・得点源
科目免除を避けるべきケースも存在します。
最も重要なのは、安定して高得点が取れる得意科目は免除しないことです。過去問で80点以上を安定して取れる科目がある場合、その科目は貴重な得点源となります。免除してしまうと、他の科目でカバーできる余地が少なくなり、1科目のミスが命取りになる可能性があります。
また、保有資格に関連する科目であっても、実務で活用している知識であれば、あえて受験して高得点を狙うという戦略も有効です。例えば、税理士資格を持っていても、日常的に財務・会計業務を行っているのであれば、免除せずに受験して確実に得点を稼ぐことができます。
さらに、総得点で余裕を持って合格ラインを超えたい場合も、免除は避けるべきです。合格基準ぎりぎりを狙うよりも、得意科目で高得点を取って余裕を持って合格する方が、精神的にも安定した受験ができます。
科目難易度の年度変動を考慮した戦略
中小企業診断士試験の科目難易度は、年度によって大きく変動することがあります。この変動リスクを考慮した戦略も重要です。
特に、企業経営理論や運営管理は、出題傾向や問題の難易度が年度によって大きく異なることが知られています。ある年は比較的易しく高得点を取りやすいものの、翌年は難化して平均点が大きく下がることもあります。
このような科目については、免除を活用してリスクを回避するという選択肢も検討できます。科目合格制度を利用して、比較的易しかった年度に合格しておき、翌年度以降は免除を活用するという戦略です。
一方、比較的難易度が安定している科目(例:財務・会計、経済学・経済政策)については、年度変動のリスクが低いため、実力に応じて免除を判断できます。過去数年分の難易度傾向を確認した上で、免除戦略を立てることをおすすめします。
過去問で判断する免除活用フローチャート
免除を申請するかどうかの具体的な判断方法として、過去問を活用したフローチャートが有効です。
まず、過去3年分の過去問を時間を計って解いてみます。その結果をもとに、以下の基準で判断しましょう。
80点以上を安定して取れる科目: 免除せずに受験して得点源とする
60〜79点を取れる科目: 学習時間を確保できるなら受験、時間が限られているなら免除を検討
40〜59点の科目: 不得意科目であり免除対象資格を持っているなら免除を活用、持っていないなら集中学習
40点未満の科目: 最優先で学習するか、免除対象資格があれば積極的に免除を検討
このフローチャートを参考に、自分の実力と学習時間を考慮して、科目ごとに免除するか受験するかを判断しましょう。最終的には、受験する科目すべてで40点以上、かつ総得点60%以上を達成できる組み合わせを選ぶことが重要です。
中小企業診断士の効果的な勉強法|科目別対策と時間管理術では、科目別の効率的な学習方法を解説していますので、免除しない科目の対策に役立ててください。
中小企業診断士試験の免除に関する注意点
科目免除制度を活用する際には、いくつか押さえておきたい注意点があります。制度の変更履歴や対象外の資格についても理解しておくことで、誤った判断を避けることができます。
免除制度は年度によって変更される可能性もあるため、最新の情報を必ず確認するようにしましょう。
過去の公務員免除制度の廃止について
かつて中小企業診断士試験には、公務員に対する科目免除制度が存在しましたが、現在は廃止されています。
以前は、国家公務員や地方公務員として一定期間勤務した経験がある場合、関連する科目が免除される制度がありました。しかし、公平性の観点や試験制度の見直しに伴い、この制度は廃止されました。
現在は、国家資格を保有している場合のみ科目免除が認められるため、公務員として勤務しているだけでは免除は受けられません。過去の情報を参考にしている場合は、制度が変更されている可能性があるため、必ず中小企業診断協会の最新情報を確認してください。
簿記資格は免除対象外だが活用できる
日商簿記検定は、中小企業診断士試験の科目免除対象資格には含まれていません。
簿記2級や簿記1級を持っていても、財務・会計科目の免除は受けられません。これは、簿記検定が民間資格であり、国家資格ではないためです。科目免除が認められるのは、公認会計士、税理士、弁護士などの国家資格のみとなっています。
ただし、簿記資格を持っていることは、財務・会計科目の学習において大きなアドバンテージとなります。簿記2級レベルの知識があれば、財務・会計の基礎部分はスムーズに理解でき、応用的な内容に学習時間を集中できます。免除は受けられなくても、簿記の知識を活かして高得点を狙うことができるため、得点源として活用しましょう。
免除申請後の変更・追加はできない
科目免除の申請は、受験申込時に行う必要があり、一度提出すると変更や追加はできません。
例えば、財務・会計を免除申請したものの、試験勉強を進める中で十分な自信がついたため受験したいと思っても、申請後の変更は認められません。逆に、免除申請をせずに受験することを選択した後、やはり免除したいと思っても、追加申請はできません。
この点を考慮すると、免除申請の判断は慎重に行う必要があります。過去問を十分に解いて実力を確認し、免除すべきかどうかを判断した上で、申込期限内に申請を完了させましょう。迷っている場合は、あえて免除せずに受験するという選択肢も検討する価値があります。
中小企業診断士試験の免除に関連するよくある質問(FAQ)
中小企業診断士試験の科目免除制度について、受験者から寄せられることの多い質問をまとめました。免除制度の理解を深め、適切な判断を行うための参考にしてください。
Q. 中小企業診断士試験で全科目免除される方法はありますか?
中小企業診断士一次試験で全科目免除される方法は存在しません。他資格等保有による免除は最大でも2科目程度であり、残りの科目は必ず受験する必要があります。ただし、二次試験については養成課程を修了することで、筆記試験と口述試験の両方が免除されます。一次試験に合格し、その後養成課程を修了すれば、二次試験を受験せずに資格取得が可能です。
Q. 中小企業診断士の科目合格の有効期限は何年ですか?
中小企業診断士試験における科目合格の有効期限は2年間です。具体的には、科目合格した年度の翌年度と翌々年度の一次試験で、その科目の受験が免除されます。例えば、2023年度に経済学・経済政策で科目合格した場合、2024年度と2025年度は免除されますが、2026年度に受験する場合は再度この科目を受験する必要があります。計画的な受験戦略を立てる際に、この有効期限を考慮することが重要です。
Q. 中小企業診断士試験で簿記2級を持っていれば科目免除されますか?
中小企業診断士試験では、簿記2級を持っていても科目免除は受けられません。科目免除が認められるのは、公認会計士、税理士、弁護士などの国家資格のみであり、日商簿記検定は民間資格のため免除対象外です。ただし、簿記2級レベルの知識は財務・会計科目の学習に大きく役立ちます。簿記の基礎知識があれば、財務諸表分析や原価計算などの内容を理解しやすくなり、効率的な学習が可能です。
Q. 中小企業診断士試験の公認会計士はどの科目が免除されますか?
中小企業診断士試験において、公認会計士資格を保有している場合、財務・会計と経済学・経済政策の2科目が免除されます。公認会計士試験では会計学と経済学の知識が問われるため、中小企業診断士試験の該当科目と重複する内容が多いことから、免除が認められています。ただし、免除を申請するかどうかは任意であり、得意科目として受験して高得点を狙うという戦略も可能です。
Q. 中小企業診断士の免除申請を忘れた場合はどうなりますか?
中小企業診断士試験の免除申請を忘れた場合、その年度は全科目を受験することになります。免除申請は受験申込期間内に行う必要があり、期限を過ぎると申請できません。また、受験申込後に免除申請を追加することもできません。免除対象の資格や科目合格がある場合は、申込期限を確認し、必ず期間内に手続きを完了させるようにしましょう。翌年度以降の受験では改めて免除申請が可能です。
Q. 中小企業診断士試験で科目免除すると合格しやすくなりますか?
中小企業診断士試験で科目免除を活用すると、学習負担が軽減されるため、適切に活用すれば合格しやすくなる可能性があります。免除科目の分だけ学習時間を削減でき、残りの科目に集中できるためです。ただし、得意科目を免除してしまうと得点源を失うリスクもあります。免除すべきかどうかは、自分の得意・不得意や学習時間の確保状況を総合的に判断する必要があります。過去問で実力を確認し、戦略的に免除を活用することが合格への近道です。
Q. 中小企業診断士の養成課程を修了すると何が免除されますか?
中小企業診断士の養成課程を修了すると、二次試験の筆記試験と口述試験の両方が免除されます。ただし、一次試験は免除されないため、養成課程に入る前に一次試験に合格しておく必要があります。一次試験合格後に養成課程を修了し、さらに実務補習を経ることで、中小企業診断士として登録することができます。養成課程は6ヶ月から2年程度のカリキュラムで、費用は200万円から300万円程度と高額ですが、確実に資格取得を目指せる選択肢の1つです。
まとめ:中小企業診断士試験の科目免除制度を戦略的に活用しよう
本記事では、中小企業診断士試験の科目免除制度について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- 2つの免除制度の理解: 他資格等保有による免除では、公認会計士や税理士などの国家資格を持っている場合、関連する科目が免除されます。科目合格による免除では、一次試験で60点以上を取得した科目が2年間免除され、段階的な合格戦略が可能になります。
- 免除申請の手続きと注意点: 免除申請は受験申込時に行う必要があり、期限厳守が絶対条件です。一度申請すると変更や追加はできないため、過去問で実力を確認した上で慎重に判断しましょう。証明書類の不備にも注意が必要です。
- 戦略的な免除活用の判断基準: 不得意科目や学習時間が限られている場合は免除を活用し、得意科目や得点源となる科目は受験して高得点を狙う戦略が効果的です。科目難易度の年度変動も考慮して、総合的に判断することが合格への近道となります。
中小企業診断士試験の科目免除制度を理解できたら、次は自分の保有資格や得意・不得意科目を整理し、最適な受験戦略を立てましょう。中小企業診断士一次試験の対策方法と中小企業診断士の効率的な勉強法を参考に、計画的に学習を進めることをおすすめします。
本記事を通じて、中小企業診断士試験の科目免除制度の全体像と、申請方法、活用すべきケースと避けるべきケースの判断基準を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、中小企業診断士資格取得の実現に向けて具体的な一歩を踏み出しましょう。
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