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衛生管理者1種2種の違いとは?選び方・試験内容を徹底比較

衛生管理者資格の取得を考えているあなたへ。「第一種と第二種の違いは何か」「どちらを受験すべきか」という疑問は、両者の違いを正しく理解することで解決できます。本記事では、衛生管理者1種2種の基本的な違い、選任できる業種の違い、試験科目と難易度の違いについて、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、衛生管理者試験合格に向けて、自分に最適な資格を選択しましょう。

この記事を読むとわかること

  • 衛生管理者1種2種の基本的な違いと有害業務の範囲
  • 第一種と第二種で選任できる業種の違い
  • 試験科目・合格率・勉強時間の違い
  • 自分にとって最適な資格の選び方

押さえておきたい3つのポイント

  1. 最大の違いは「有害業務」への対応:第一種は全業種に対応できるのに対し、第二種は有害業務を含まない業種に限定されます。製造業や建設業など17業種では第一種が必須です。
  2. 試験科目数と難易度が異なる:第一種は44問400点満点、第二種は30問300点満点です。第一種の合格率は約45%、第二種は約51%と、第一種の方がやや難易度が高くなっています。
  3. 将来のキャリアを考えて選択する:現在の業種だけでなく、転職やキャリアアップの可能性も考慮すると、汎用性の高い第一種がおすすめです。ただし、学習時間は第一種が約100時間、第二種が約60時間と差があります。

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目次

衛生管理者1種2種の基本的な違い

衛生管理者には第一種と第二種の2つの区分があり、それぞれ選任できる業種や試験の範囲が異なります。この違いを理解することで、自分に適した資格を選択できます。まずは基本的な定義と最も重要な違いについて確認していきましょう。

衛生管理者制度について詳しく知りたい方は、衛生管理者とはの記事で基礎から解説しています。

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の定義

第一種衛生管理者は、全ての業種で衛生管理者として選任できる資格です。有害業務を含む製造業や建設業など、あらゆる事業場で衛生管理業務を担当できます。労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、業種に応じて衛生管理者の選任が義務付けられています。

第二種衛生管理者は、有害業務と関連の少ない業種に限定して選任できる資格です。具体的には、情報通信業、金融保険業、卸売・小売業など、有害業務を含まない業種の事業場で衛生管理者になることができます。試験範囲が第一種より狭いため、学習負担が軽減されます。

どちらの資格も、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が実施する国家試験に合格することで取得できます。取得後は労働基準監督署に免許申請を行い、事業場での選任手続きを経て、正式に衛生管理者として業務を開始します。

衛生管理者1種2種の最も大きな違いは「有害業務」

衛生管理者1種2種の最も本質的な違いは、「有害業務を取り扱う事業場に対応できるかどうか」です。有害業務とは、化学物質や粉じん、放射線、騒音など、労働者の健康に特別な影響を及ぼす可能性のある業務を指します。

第一種衛生管理者は、有害業務の知識を含む試験科目をクリアしているため、製造業や建設業などの有害業務を含む事業場でも選任が可能です。一方、第二種衛生管理者は有害業務に関する試験科目が免除されているため、有害業務を含まない業種に限定して選任されます。

この違いは試験内容にも直結しており、第一種は「有害業務に係る労働衛生」と「有害業務に係る関係法令」という追加科目があります。そのため、試験範囲が広く、学習すべき内容も多くなります。逆に言えば、第二種は有害業務関連の学習が不要なため、比較的短期間で合格を目指すことができます。

衛生管理者の業務内容は1種2種で変わらない

重要なポイントとして、衛生管理者の業務内容そのものは第一種でも第二種でも変わりません。どちらの資格でも、労働安全衛生法で定められた以下の業務を担当します。

衛生管理者の主な業務は、労働者の健康障害を防止するための対策実施、作業環境の管理、労働者の健康管理、衛生教育の実施、健康診断の実施管理などです。また、作業場の巡視(週1回以上)も重要な業務の一つです。これらの業務は、第一種でも第二種でも同じように行われます。

違いは「どの業種で選任できるか」という点のみです。第一種は全業種対応、第二種は有害業務を含まない業種限定という違いがあるだけで、選任後の業務内容に差はありません。したがって、自分の勤務する業種や将来のキャリアプランに応じて、適切な資格を選択することが大切です。

衛生管理者1種2種で選任できる業種の違い

衛生管理者1種2種の実務上の大きな違いは、選任できる業種の範囲です。特に有害業務を含む17業種では第一種の取得が必須となります。ここでは、それぞれの資格で選任できる業種を具体的に見ていきましょう。

第一種衛生管理者が選任できる業種(全業種対応)

第一種衛生管理者は、労働安全衛生法で定められた全ての業種において衛生管理者として選任することができます。これには、有害業務を含む製造業や建設業はもちろん、情報通信業や金融保険業などの非製造業も含まれます。

第一種の最大の強みは、業種を問わない汎用性の高さです。製造業から転職してサービス業に移った場合でも、資格を活かし続けることができます。また、複数の事業場で兼任する際にも、業種が異なる場合は第一種の資格が必要になるケースがあります。

企業側から見ても、第一種衛生管理者を採用すれば、将来的な事業展開や組織変更に柔軟に対応できるというメリットがあります。そのため、求人においても第一種の資格保有者が優遇される傾向にあります。キャリアアップや転職を視野に入れている方には、第一種の取得をおすすめします。

第二種衛生管理者が選任できる業種(有害業務以外)

第二種衛生管理者は、有害業務と関連の少ない業種に限定して選任することができます。具体的には、情報通信業、金融保険業、卸売・小売業、不動産業、各種サービス業などが該当します。

これらの業種では、化学物質や粉じんなどの有害物質を日常的に取り扱うことが少ないため、第二種の資格でも十分に衛生管理者として業務を遂行できます。特にオフィス環境が中心の企業では、第二種でも実務上の問題はほとんどありません。

第二種のメリットは、試験範囲が限定されているため、比較的短期間で資格取得を目指せることです。現在の勤務先が有害業務を含まない業種で、今後も同じ業界でキャリアを築く予定であれば、第二種の取得が効率的な選択と言えるでしょう。

有害業務を含む17業種の具体例

労働安全衛生法では、有害業務を含む17業種が指定されており、これらの業種では第一種衛生管理者の選任が必要です。主な業種を挙げると、以下のようになります。

製造業全般(化学工業、機械器具製造業、食料品製造業など)、鉱業(採石業、砂利採取業を含む)、建設業、運送業(道路貨物運送業、倉庫業など)、清掃業、自動車整備業、機械修理業などが該当します。これらの業種では、粉じん、有機溶剤、特定化学物質、重量物取扱いなどの有害業務が含まれることが一般的です。

また、医療業や社会福祉施設なども、放射線や病原体などの取扱いがあるため、有害業務を含む業種として第一種が求められるケースがあります。自分の勤務する業種が17業種に該当するかどうかは、所属企業の人事・総務部門や、労働基準監督署に確認することをおすすめします。

なお、同じ企業内でも部門によって有害業務の有無が異なる場合があります。その場合は、事業場全体として有害業務を含むかどうかで判断されるため、基本的には第一種の取得が必要になります。

衛生管理者試験における有害業務とは?

衛生管理者試験で重要な概念となる「有害業務」について、正確に理解しておくことが大切です。有害業務の定義や範囲を知ることで、第一種と第二種のどちらを選ぶべきか判断できます。

有害業務の定義と具体的な内容

有害業務とは、労働者の健康に特別な影響を及ぼす可能性がある業務のことを指します。労働安全衛生法および同法施行令で具体的に定められており、化学物質、物理的因子、生物学的因子などによる健康障害のリスクがある業務が該当します。

具体的には、粉じん作業(研磨、裁断、粉砕など)、有機溶剤を取り扱う業務(塗装、洗浄、印刷など)、特定化学物質を製造または取り扱う業務、鉛やクロムなどの重金属を扱う業務などが代表的です。また、騒音作業や振動工具取扱い業務、高温・低温環境での作業なども有害業務に含まれます。

これらの業務では、労働者が長期間にわたって有害因子に曝露されることで、じん肺、有機溶剤中毒、騒音性難聴、皮膚障害などの職業性疾病を発症するリスクがあります。そのため、専門的な知識を持った第一種衛生管理者による管理が求められます。

労働基準法で定められた有害業務の種類

労働安全衛生法施行令第6条では、有害業務として18の業務が列挙されています。主なものを挙げると、以下の通りです。

多量の高熱物体を取り扱う業務、多量の低温物体を取り扱う業務、ラジウム放射線やX線などの有害放射線を取り扱う業務、土石・獣毛などのじんあい・粉末を著しく飛散する場所における業務、異常気圧下における業務(潜函作業、潜水作業など)、鉛・水銀・クロム・砒素・黄りん・弗化水素・塩素などの有害物を取り扱う業務などです。

さらに、有機溶剤や特定化学物質に関しては、別途「有機溶剤中毒予防規則」や「特定化学物質障害予防規則」で詳細に規定されています。これらの物質を製造・取扱いする業務も有害業務として扱われ、第一種衛生管理者の専門知識が必要とされます。

これらの有害業務に従事する労働者に対しては、特殊健康診断の実施や作業環境測定など、通常の衛生管理に加えて特別な管理措置が義務付けられています。

衛生管理者試験で出題される有害業務の範囲

第一種衛生管理者試験では、「有害業務に係る労働衛生」と「有害業務に係る関係法令」の2科目で、有害業務に関する知識が問われます。各科目10問ずつ、合計20問が出題されます。

出題範囲は広く、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、粉じん障害防止規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、高気圧作業安全衛生規則、電離放射線障害防止規則などの特別規則に関する内容が含まれます。

また、じん肺法、作業環境測定法なども出題範囲です。具体的には、各種有害物質の健康影響、許容濃度、作業環境管理の方法、保護具の選定、特殊健康診断の項目と頻度、作業環境測定の実施方法などが問われます。これらの知識は、実務においても有害業務を適切に管理するために不可欠です。

第一種衛生管理者の試験科目と出題内容

第一種衛生管理者試験の科目構成と出題内容を理解することで、効果的な学習計画を立てることができます。ここでは、試験科目ごとの詳細を見ていきましょう。

第一種衛生管理者試験の科目構成(44問400点)

第一種衛生管理者試験は、3つの科目から構成され、合計44問400点満点の試験です。科目は、「労働衛生(有害業務に係るもの)」「労働衛生(有害業務に係るもの以外)」「関係法令(有害業務に係るもの)」「関係法令(有害業務に係るもの以外)」「労働生理」の5分野に分かれています。

各科目の配点は、労働衛生全体で170点(有害業務100点、有害業務以外70点)、関係法令全体で170点(有害業務100点、有害業務以外70点)、労働生理が100点となっています。合格には、各科目で40%以上、かつ全体で60%以上の得点が必要です。

試験時間は3時間で、マークシート方式による選択式問題です。計算問題はほとんど出題されず、主に知識を問う問題が中心となります。過去問と類似した問題が多く出題される傾向があるため、過去問演習が合格への近道となります。

関係法令(有害業務10問+有害業務以外7問)

関係法令は、労働安全衛生法を中心とした法令知識を問う科目です。有害業務に係る関係法令では10問100点、有害業務以外の関係法令では7問70点が出題されます。

有害業務に係る関係法令では、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、粉じん障害防止規則、鉛中毒予防規則などの特別規則が主な出題範囲です。作業主任者の選任要件、局所排気装置の設置基準、特殊健康診断の実施時期、保護具の使用基準などが頻出テーマとなります。

有害業務以外の関係法令では、労働安全衛生法の総則、安全衛生管理体制、衛生基準、健康の保持増進のための措置、労働者の就業に当たっての措置などが出題されます。衛生管理者の選任要件、健康診断の種類と実施時期、安全衛生委員会の設置基準などが重要なポイントです。

労働衛生(有害業務10問+有害業務以外7問)

労働衛生は、職場環境の管理や労働者の健康管理に関する実務的な知識を問う科目です。有害業務に係る労働衛生では10問100点、有害業務以外の労働衛生では7問70点が出題されます。

有害業務に係る労働衛生では、化学物質の有害性と健康影響、じん肺の種類と予防対策、有機溶剤の代謝と中毒症状、作業環境測定の方法と評価、局所排気装置の性能要件、個人ばく露測定などが主要テーマです。特に、各種有害物質の許容濃度や管理濃度、特殊健康診断の検査項目は頻出問題です。

有害業務以外の労働衛生では、作業環境管理、作業管理、健康管理の3管理が基本となります。照度基準、温熱環境の評価指標(WBGT)、換気の原理、VDT作業の労働衛生管理、メンタルヘルス対策、受動喫煙防止対策などが出題されます。健康診断結果に基づく事後措置も重要なテーマです。

労働生理(10問)

労働生理は、人体の構造と機能に関する基礎的な医学知識を問う科目です。10問100点が出題され、第一種と第二種で共通の内容です。この科目は暗記中心の学習となるため、比較的得点しやすい科目と言えます。

主な出題分野は、血液の組成と機能、心臓・血管系の構造と循環、呼吸器系の構造と呼吸のメカニズム、消化器系の構造と消化吸収、腎臓・泌尿器系の構造と尿生成、神経系の構造と機能、感覚器官(視覚、聴覚)の構造と機能、代謝とエネルギー、体温調節のメカニズムなどです。

特に、酸素と二酸化炭素の運搬、血圧の調節、肺活量と残気量、腎臓での尿生成、自律神経系の働き、視覚と聴覚の特性などは頻出問題です。専門用語が多く出てきますが、過去問を繰り返し解くことで、出題パターンを把握できます。

第二種衛生管理者の試験科目と出題内容

第二種衛生管理者試験は、第一種と比較して試験範囲が限定されています。有害業務に関する科目が免除されるため、学習すべき内容が少なくなります。

第二種衛生管理者試験の科目構成(30問300点)

第二種衛生管理者試験は、3つの科目から構成され、合計30問300点満点の試験です。科目は、「労働衛生(有害業務に係るもの以外)」「関係法令(有害業務に係るもの以外)」「労働生理」の3分野で、第一種から有害業務に関する科目が除外された形になります。

各科目の配点は、労働衛生(有害業務以外)が100点(10問)、関係法令(有害業務以外)が100点(10問)、労働生理が100点(10問)です。合格基準は第一種と同じく、各科目で40%以上、かつ全体で60%以上の得点が必要です。

試験時間は3時間で、第一種と同じくマークシート方式による選択式問題です。試験問題の約7割は第一種と共通の内容で、過去問の繰り返し学習が効果的です。第一種より問題数が少ないため、試験時間には余裕があります。

関係法令(有害業務以外10問)

第二種の関係法令は、有害業務以外の内容に限定されており、10問100点が出題されます。労働安全衛生法の基本的な内容が中心となり、特別規則に関する出題はありません。

主な出題範囲は、労働安全衛生法の目的と定義、安全衛生管理体制(衛生管理者、産業医、衛生委員会など)、労働者の就業に当たっての措置、健康の保持増進のための措置、衛生基準(事務所衛生基準規則など)などです。

特に重要なのは、衛生管理者の選任要件と職務内容、産業医の選任要件と職務内容、衛生委員会の設置基準と付議事項、一般健康診断と特殊健康診断の種類と実施時期、健康診断結果に基づく事後措置などです。これらは実務でも頻繁に確認が必要な内容であり、正確に理解しておくことが大切です。

労働衛生(有害業務以外10問)

第二種の労働衛生は、有害業務以外の内容に限定されており、10問100点が出題されます。オフィス環境を中心とした一般的な作業環境の管理が主要テーマです。

主な出題範囲は、作業環境管理の原則、事務所の環境基準(温度、湿度、照度、換気など)、VDT作業における労働衛生管理、腰痛予防対策、メンタルヘルス対策、ストレスチェック制度、受動喫煙防止対策、職場の化学物質管理などです。

特に、照度基準(一般的な事務作業で300ルクス以上など)、室温基準(10度以上28度以下)、換気基準(一人当たり毎時30立方メートル以上)、VDT作業での休憩時間の取り方などは頻出問題です。また、最近では、メンタルヘルス対策やストレスチェックに関する問題も増加傾向にあります。

労働生理(10問)

第二種の労働生理は、第一種と全く同じ内容で10問100点が出題されます。人体の構造と機能に関する基礎的な医学知識を問う科目です。

出題範囲は第一種と共通で、血液、循環器系、呼吸器系、消化器系、腎臓・泌尿器系、神経系、感覚器官、代謝、体温調節などが主要テーマです。第一種の項目で説明した内容と同じ問題が出題されるため、ここでは詳細を省略します。

労働生理は暗記が中心となる科目ですが、人体の基本的な仕組みを理解することで、記憶が定着しやすくなります。過去問を繰り返し解くことで、頻出する専門用語や数値を覚えることができます。この科目で確実に得点できれば、合格に大きく近づきます。

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衛生管理者1種2種の合格率と難易度の違い

衛生管理者試験の合格率と難易度を理解することで、学習計画を適切に立てることができます。ここでは、第一種と第二種の合格率データと難易度の違いについて詳しく見ていきましょう。

第一種衛生管理者の合格率(約45%)

第一種衛生管理者試験の合格率は、近年おおむね45%前後で推移しています。公益財団法人 安全衛生技術試験協会が発表している2023年度のデータによると、第一種の合格率は45.8%でした。

この合格率は、国家資格の中では標準的なレベルと言えます。約半数が合格できる一方で、残り半数は不合格となっており、しっかりとした準備が必要です。合格率が45%程度という数字は、適切な学習時間を確保し、過去問演習を徹底すれば十分に合格可能な水準を示しています。

合格率は試験回によって若干の変動がありますが、40%から50%の範囲で安定しています。受験者の多くが働きながら学習していることを考えると、計画的な学習スケジュールを立てることが合格への鍵となります。

第二種衛生管理者の合格率(約51%)

第二種衛生管理者試験の合格率は、第一種よりやや高く、近年おおむね51%前後で推移しています。2023年度のデータでは、第二種の合格率は52.9%でした。

第二種の合格率が第一種より高い理由は、試験範囲が限定されているため、学習すべき内容が少なく、対策が立てやすいことが挙げられます。有害業務に関する科目が免除されることで、集中すべき分野が明確になり、効率的な学習が可能です。

ただし、合格率が高いからといって油断は禁物です。合格基準は第一種と同じく、各科目で40%以上、全体で60%以上の得点が必要です。特に、労働生理のような暗記中心の科目でしっかり得点することが重要です。

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衛生管理者試験の難易度と合格率|1種2種別の傾向分析

衛生管理者試験の合格基準(科目40%以上・全体60%以上)

衛生管理者試験の合格基準は、第一種・第二種ともに共通です。合格するには、各科目で40%以上の得点、かつ全体で60%以上の得点が必要という2つの条件を満たす必要があります。

この基準は、「足切り点」と「総合点」の両方をクリアしなければならないことを意味します。例えば、第一種の場合、労働衛生(有害業務)で40点以上、労働衛生(有害業務以外)で28点以上、関係法令(有害業務)で40点以上、関係法令(有害業務以外)で28点以上、労働生理で40点以上、そして全体で240点以上が必要です。

この合格基準により、苦手科目を作らずにバランス良く学習することが重要になります。特定の科目で高得点を取っても、他の科目で40%を下回ると不合格になってしまいます。過去問演習を通じて、各科目の弱点を把握し、重点的に対策することが合格への近道です。

衛生管理者1種2種の受験資格

衛生管理者試験を受験するには、一定の実務経験が必要です。受験資格の要件を正確に理解し、自分が受験可能かどうか確認しましょう。

衛生管理者試験の受験資格は1種2種共通

重要なポイントとして、衛生管理者試験の受験資格は第一種と第二種で全く同じです。どちらを受験する場合でも、同じ実務経験の要件を満たす必要があります。

受験資格の基本は、労働衛生の実務経験を一定期間有していることです。この実務経験には、事業場における健康障害を防止するための業務、作業環境管理に関する業務、健康管理に関する業務などが含まれます。

受験資格の証明には、事業場の事業主や人事担当者が作成する「事業者証明書」が必要です。この証明書には、業務内容と従事期間が明記されます。受験申請の際に、この証明書を添付することで、受験資格が認められます。

衛生管理者の受験資格に関してもっと詳しい記事はこちら
衛生管理者の受験資格とは?実務経験の要件を詳しく解説

学歴別の実務経験年数の違い

衛生管理者試験の受験資格として必要な実務経験年数は、学歴によって異なります。高等学校卒業または同等以上の学歴があれば、基本的に受験資格を得ることができます。

大学または高等専門学校を卒業した者は、1年以上の実務経験が必要です。短期大学または高等専門学校(4年制)を卒業した者も、同じく1年以上の実務経験が求められます。

高等学校または中等教育学校を卒業した者は、3年以上の実務経験が必要です。また、学歴を問わず、10年以上の実務経験がある者も受験資格を得ることができます。この場合、中学校卒業でも10年の実務経験があれば受験可能です。

さらに、労働安全衛生の専門教育を受けた場合や、特定の資格(保健師、看護師など)を持っている場合は、実務経験年数が短縮されることがあります。詳細は、安全衛生技術試験協会のホームページで確認するか、直接問い合わせることをおすすめします。

実務経験として認められる業務内容

実務経験として認められる業務内容は、労働安全衛生法に基づいて明確に定められています。具体的には、以下のような業務が該当します。

健康診断の実施に関する業務、健康診断結果に基づく事後措置に関する業務、作業環境の測定や評価に関する業務、作業条件や施設の衛生改善に関する業務、労働衛生保護具や救急用具の点検および整備に関する業務、衛生教育の企画および実施に関する業務などです。

また、人事・総務部門での安全衛生管理業務、健康保険組合での健康管理業務、労働衛生コンサルタント事務所での業務なども実務経験として認められる場合があります。ただし、業務内容が衛生管理に直接関連していることを明確に証明する必要があります。

実務経験が受験資格として認められるかどうか不安な場合は、安全衛生技術試験協会に事前に問い合わせることをおすすめします。事業者証明書を作成する前に確認しておくことで、受験申請がスムーズに進みます。

衛生管理者1種2種の勉強時間と勉強期間

衛生管理者試験に合格するために必要な勉強時間と学習期間の目安を知ることで、現実的な学習計画を立てることができます。

第一種衛生管理者の必要勉強時間(約100時間)

第一種衛生管理者試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的に100時間から150時間程度と言われています。これは、初学者が基礎から学習して合格レベルに到達するために必要な時間の目安です。

100時間という時間は、1日2時間の学習で約50日、週末を含めて計算すると約2ヶ月から3ヶ月の学習期間に相当します。ただし、これはあくまで目安であり、個人の理解度や学習効率によって変動します。すでに関連知識がある方や、効率的な学習方法を取り入れられる方は、より短い時間で合格できる可能性があります。

科目別に見ると、有害業務に関する科目(関係法令と労働衛生)に全体の約4割の時間を割く必要があります。労働生理は暗記中心のため、約2割の時間で対応できます。残りの4割を有害業務以外の科目に充てるという配分が一般的です。

第二種衛生管理者の必要勉強時間(約60時間)

第二種衛生管理者試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的に60時間から100時間程度と言われています。第一種より試験範囲が限定されているため、必要な学習時間も少なくなります。

60時間という時間は、1日2時間の学習で約30日、つまり約1ヶ月から2ヶ月の学習期間に相当します。短期集中で学習すれば、1ヶ月程度での合格も十分可能です。ただし、働きながら学習する場合は、余裕を持って2ヶ月から3ヶ月の期間を確保することをおすすめします。

科目別の時間配分は、関係法令に約3割、労働衛生に約3割、労働生理に約4割という配分が効果的です。労働生理は暗記中心で得点源となるため、しっかり時間をかけることが合格への近道です。

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衛生管理者試験の効果的な学習スケジュール

効果的な学習スケジュールを立てることで、限られた時間で効率的に合格を目指すことができます。標準的な学習スケジュールを3つのフェーズに分けて紹介します。

第1フェーズ(基礎学習期:全体の40%)では、テキストを使って各科目の基礎知識を習得します。労働衛生、関係法令、労働生理の順に、一通り学習します。この段階では、完璧に理解する必要はなく、全体像を把握することが目的です。

第2フェーズ(過去問演習期:全体の50%)では、過去問を繰り返し解きます。最低でも過去5年分、できれば10年分の過去問を3回以上繰り返すことをおすすめします。間違えた問題はテキストに戻って確認し、理解を深めます。この段階で、出題傾向や頻出問題を把握できます。

第3フェーズ(直前対策期:全体の10%)では、苦手分野を重点的に復習し、模擬試験で本番の感覚を養います。特に、各科目の足切り点をクリアできるよう、バランス良く得点できる状態に仕上げます。試験直前の1週間は、暗記事項の最終確認に充てましょう。

衛生管理者1種2種どちらを取得すべきか?

第一種と第二種のどちらを取得すべきか迷っている方に、判断基準と選び方のポイントをお伝えします。

自分の業種で判断する方法

最も基本的な判断基準は、現在勤務している業種が有害業務を含むかどうかです。製造業、建設業、運送業、清掃業など、有害業務を含む17業種に該当する場合は、第一種の取得が必須です。

具体的には、自社の業種を確認し、化学物質、粉じん、重金属、有機溶剤などの有害物質を取り扱っているかどうかをチェックします。これらの物質を日常的に使用している場合は、間違いなく第一種が必要です。

一方、情報通信業、金融保険業、卸売・小売業、不動産業など、オフィス環境が中心の業種であれば、第二種でも問題ありません。ただし、同じ企業内でも工場や倉庫などの部門がある場合は、企業全体として有害業務を含むと判断されることがあるため、人事・総務部門に確認することをおすすめします。

将来のキャリアを考えた選び方

現在の業種だけでなく、将来のキャリアプランも考慮して資格を選ぶことが重要です。転職を視野に入れている方、キャリアアップを目指している方には、汎用性の高い第一種をおすすめします。

第一種を取得しておけば、業種を問わず衛生管理者として活躍できます。転職活動においても、第一種の資格保有者は評価が高く、選択肢が広がります。特に、製造業や建設業など人材ニーズの高い業種への転職を考えている場合は、第一種が必須です。

また、企業内でのキャリアアップを考える場合も、第一種の方が有利です。安全衛生部門の責任者や、複数事業場を統括する立場に就く際には、第一種の資格が求められることが多いためです。長期的な視点で考えると、多少学習時間がかかっても第一種を取得する価値は十分にあります。

第一種衛生管理者取得のメリット

第一種衛生管理者を取得する最大のメリットは、全ての業種で衛生管理者として選任できることです。これにより、キャリアの選択肢が大きく広がります。

第一種を持っていれば、製造業からサービス業まで、業界を越えた転職が可能です。また、企業側から見ても、第一種の資格保有者を採用すれば、将来的な事業展開や組織変更に柔軟に対応できるため、求人での優遇が期待できます。

さらに、第一種の学習過程で有害業務に関する専門知識を身につけることができます。この知識は、実務においても役立ち、より高度な衛生管理業務を担当できるようになります。資格手当についても、第二種より第一種の方が高く設定されている企業が多く、経済的なメリットもあります。

第一種衛生管理者を取得するメリット

第一種衛生管理者の資格は、キャリアの幅を広げ、長期的に大きなメリットをもたらします。ここでは、具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。

全ての業種で衛生管理者になれる汎用性

第一種衛生管理者の最大の強みは、労働安全衛生法で定められた全ての業種において衛生管理者として選任できることです。この汎用性の高さは、キャリアの柔軟性に直結します。

有害業務を含む製造業、建設業、運送業はもちろん、情報通信業、金融保険業、卸売・小売業など、あらゆる業種で資格を活かすことができます。業種の制限がないため、転職やキャリアチェンジの際に資格が無駄になることがありません。

また、企業が事業を多角化した場合や、新規事業として製造部門を立ち上げた場合でも、第一種の資格があればそのまま衛生管理者として業務を継続できます。組織変更や事業拡大にも柔軟に対応できるため、企業にとっても貴重な人材となります。

転職・キャリアアップに有利

転職市場において、第一種衛生管理者の資格は高く評価されます。特に、製造業や建設業など、常時50人以上の労働者を雇用する事業場では、衛生管理者の選任が法律で義務付けられているため、資格保有者に対する需要が常にあります。

求人情報を見ると、衛生管理者の資格を応募条件としている企業が多く見られます。その中でも、「第一種衛生管理者必須」と明記されている求人が大半を占めます。第二種では応募できない求人も多いため、転職時の選択肢を広げるには第一種が有利です。

企業内でのキャリアアップにおいても、第一種の資格は有利に働きます。安全衛生部門の管理職やマネージャーに昇進する際、第一種の資格が昇進要件となっている企業も少なくありません。資格手当についても、第一種は第二種より月額5,000円から10,000円程度高く設定されていることが一般的です。

衛生管理者の需要と将来性

衛生管理者の需要は、今後も安定的に推移すると予想されます。労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では衛生管理者の選任が義務付けられており、この法的要件は変わることがありません。

特に、近年は働き方改革やメンタルヘルス対策の重要性が高まっており、衛生管理者の役割はますます重要になっています。ストレスチェック制度の導入、長時間労働対策、テレワーク時の健康管理など、新たな課題に対応するため、専門知識を持った衛生管理者が求められています。

また、高齢化社会の進展に伴い、職場での健康管理の必要性も高まっています。労働者の高齢化により、生活習慣病対策や作業環境の改善など、衛生管理者が担う役割は拡大しています。第一種衛生管理者の資格は、こうした社会変化の中で、長期的に価値を持ち続ける資格と言えるでしょう。

衛生管理者1種2種の違いに関連するよくある質問(FAQ)

衛生管理者1種2種の違いについて、よく寄せられる質問にお答えします。

衛生管理者は第二種から第一種にステップアップできますか?

はい、衛生管理者は第二種から第一種にステップアップすることが可能です。第二種を取得した後、改めて第一種の試験を受験し、合格することで第一種の資格を取得できます。 ただし、第二種を持っているからといって、第一種の試験で科目免除があるわけではありません。第一種の試験は、44問全てに解答する必要があります。一方で、第二種の学習で習得した知識(労働衛生、関係法令、労働生理の基礎部分)は第一種でも共通しているため、追加で学習すべきは主に有害業務に関する20問分となります。 すでに第二種を取得している方が第一種にステップアップする場合、必要な追加学習時間は40時間から60時間程度が目安です。有害業務に関する科目に集中して学習することで、比較的短期間で第一種の合格を目指すことができます。

衛生管理者の第一種と第二種を同時に受験できますか?

いいえ、衛生管理者の第一種と第二種を同じ試験日に同時に受験することはできません。衛生管理者試験は、第一種または第二種のどちらか一方を選択して受験する形式です。 ただし、受験申込の際にどちらを受験するかを選択できるため、第二種を受験して不合格だった場合、次回は第一種を受験することは可能です。逆に、第一種を受験して不合格だった場合、次回は第二種に変更することもできます。 初めて受験する方には、将来的なキャリアも考慮して、最初から第一種を受験することをおすすめします。第一種に合格すれば第二種の資格も包含するため、改めて第二種を受験する必要はありません。学習時間に余裕があれば、最初から第一種を目指す方が効率的です。

衛生管理者試験で第二種の科目は第一種で免除されますか?

いいえ、衛生管理者試験において、第二種を取得しているからといって第一種の試験で科目免除はありません。第一種を受験する場合は、44問全てに解答する必要があります。 ただし、第一種の試験問題の約7割(30問)は第二種と共通の内容です。労働衛生(有害業務以外)10問、関係法令(有害業務以外)10問、労働生理10問は、第二種の試験範囲と同じです。したがって、第二種の学習で習得した知識は第一種でもそのまま活用できます。 第一種で追加される有害業務に関する20問(労働衛生10問、関係法令10問)に集中して学習すれば、第二種の知識をベースに効率的に第一種の合格を目指すことができます。第二種から第一種へのステップアップは、決して困難ではありません。

衛生管理者の資格に有効期限はありますか?

いいえ、衛生管理者の資格に有効期限はありません。一度取得すれば、生涯にわたって有効な資格です。更新手続きも不要で、資格維持のための費用もかかりません。 ただし、衛生管理者として選任された場合は、定期的に研修を受けることが推奨されています。労働安全衛生法では、選任された衛生管理者に対して能力向上のための研修を受けさせるよう努力義務が定められています。多くの企業では、年1回程度の安全衛生研修を実施しています。 また、労働安全衛生に関する法令や制度は随時改正されるため、最新の知識を保つために自主的に学習を続けることが重要です。安全衛生技術試験協会や各都道府県の労働基準協会などが開催する研修会に参加することで、最新情報を入手し、実務能力を維持・向上させることができます。

衛生管理者試験の受験資格は第一種と第二種で違いますか?

いいえ、衛生管理者試験の受験資格は第一種と第二種で全く同じです。どちらを受験する場合でも、同じ実務経験の要件を満たす必要があります。 受験資格は学歴によって異なり、大学卒業者は1年以上、高等学校卒業者は3年以上の労働衛生に関する実務経験が必要です。この要件は、第一種を受験する場合も第二種を受験する場合も変わりません。 したがって、受験資格を満たしていれば、第一種と第二種のどちらを受験するかは自由に選択できます。現在の業種、将来のキャリアプラン、確保できる学習時間などを総合的に考慮して、自分に適した方を選びましょう。迷った場合は、汎用性の高い第一種を選択することをおすすめします。

まとめ:衛生管理者1種2種の違いを理解して最適な資格を選ぼう

本記事では、衛生管理者1種2種の違いについて詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 最大の違いは有害業務への対応:第一種は全業種で選任できるのに対し、第二種は有害業務を含まない業種に限定されます。製造業や建設業など17業種では第一種が必須です。
  2. 試験科目と難易度の違い:第一種は44問400点満点で合格率約45%、第二種は30問300点満点で合格率約51%です。第一種の方がやや難易度が高いですが、適切な学習計画で十分合格可能です。
  3. 学習時間とキャリアを考慮した選択:第一種は約100時間、第二種は約60時間の学習が目安です。現在の業種だけでなく、将来のキャリアも考慮すると、汎用性の高い第一種がおすすめです。

衛生管理者1種2種の違いを理解できたら、次は具体的な学習計画を立てましょう。衛生管理者試験の勉強時間と裏ワザ衛生管理者のおすすめテキストを参考に、計画的に進めることをおすすめします。

本記事を通じて、衛生管理者1種2種の違いと選び方を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、衛生管理者試験合格に向けて最適な資格を選択し、計画的な学習を始めましょう。

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