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電気工事士1種はどんな資格?概要・できる工事・取得の魅力をまとめて解説

電気工事士1種の資格取得を検討しているあなたへ。「電気工事士1種で何ができるのか」「2種とどう違うのか」という疑問は、資格の概要と業務範囲を正しく理解することで解決できます。

本記事では、電気工事士1種の法的位置づけと業務範囲、2種との具体的な違い、取得するメリットについて、実際の施工現場のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、電気工事士1種の資格取得に向けて、具体的なキャリアプランを描きましょう。

この記事を読むとわかること
  • 電気工事士1種の資格概要と法的な位置づけ
  • 電気工事士1種でできる工事の範囲と具体的な作業内容
  • 電気工事士2種との違いと取得メリット
  • 試験制度から免状取得までの具体的な流れ
押さえておきたい3つのポイント
  1. 施工範囲の広さ:電気工事士1種は自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の工事が可能で、ビルや工場などの大型施設の電気設備工事に携われます。
  2. 免状取得の条件:試験合格後、実務経験3年または5年が必要で、この経験期間が2種との大きな違いとなります。
  3. キャリアアップの価値:大型案件への参画により収入アップが見込め、電気工事の主任者として現場をリードする立場になれます。

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目次

電気工事士1種とは?資格の基本概要

電気工事士1種は、電気工事法に基づく国家資格で、電気設備の工事に従事するための上位資格です。正式には「第一種電気工事士」と呼ばれ、電気工事士2種よりも広範囲な電気工作物の工事を行えます。

電気工事士1種の正式名称と法的位置づけ

電気工事士1種の正式名称は「第一種電気工事士」で、電気工事法第3条に基づく国家資格です。この資格は、経済産業大臣が指定する試験機関(一般財団法人電気技術者試験センター)が実施する試験に合格し、さらに実務経験を経て免状交付を受けることで取得できます。

電気工事法では、電気工事の安全を確保するため、一定の電気工作物の工事には有資格者による施工を義務づけています。電気工事士1種は、この法律に基づく最上位の電気工事士資格として位置づけられており、電気工事士2種では扱えない高圧設備の工事も担当できます。

電気工事士1種が必要とされる理由

電気工事士1種が必要とされる背景には、高圧電気設備の安全性確保があります。ビルや工場などの大型施設では、一般家庭よりも大きな電力を必要とするため、高圧で受電する自家用電気工作物が設置されます。

高圧電気設備は取り扱いを誤ると重大な事故につながるため、専門的な知識と技能を持つ電気工事士1種による施工が法律で定められています。近年、ビルや商業施設の建設需要が高まっており、電気工事士1種の需要は年々増加傾向にあります。

電気工事士1種の免状取得に必要な実務経験

電気工事士1種の免状を取得するには、試験合格後に一定期間の実務経験が必要です。実務経験の年数は、以下のように学歴や保有資格によって異なります。

  • 大学・高専の電気工学科卒業者:3年以上の実務経験
  • その他の学歴(高校卒業、専門学校卒業など):5年以上の実務経験
  • 電気工事士2種取得者:5年以上の実務経験

実務経験として認められるのは、電気工事に関する実際の施工作業や設計業務です。アルバイトやパートタイムでの経験も、実質的な業務内容が条件を満たしていれば認められます。

電気工事士1種の基本情報に関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士2種とは?資格の概要・できること・取得メリットを徹底解説

電気工事士1種でできること・業務範囲

電気工事士1種は、電気工事士2種の業務範囲に加えて、より大規模な電気設備の工事が可能です。施工できる範囲は、電気事業法と電気工事法によって明確に定められています。

自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の工事

電気工事士1種の最大の特徴は、自家用電気工作物の工事ができる点です。自家用電気工作物とは、電力会社から高圧(600Vを超える電圧)で受電する施設の電気設備を指します。

最大電力500kW未満の自家用電気工作物が電気工事士1種の施工範囲となります。この規模は、中小規模のビル、工場、商業施設、病院などに相当します。大型のオフィスビルや製造工場では、キュービクル式高圧受電設備を設置し、施設内で高圧を低圧に変換して使用するケースが一般的です。

一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物

電気工事士1種は、電気工事士2種が扱える一般用電気工作物(600V以下の低圧受電設備)の工事も当然可能です。一般用電気工作物には、一般住宅、小規模店舗、小規模事務所などが含まれます。

小規模事業用電気工作物(最大電力50kW未満の自家用電気工作物)も、電気工事士1種の施工範囲に含まれます。これにより、電気工事士1種は、住宅から大型施設まで、あらゆる規模の電気工事に対応できる幅広い業務範囲を持っています。

電気工事士1種で扱える高圧設備の範囲

電気工事士1種が扱える高圧設備には、以下のようなものがあります。

  • 高圧受電設備:6,600Vで受電する設備の配線工事
  • 変圧器(トランス):高圧を低圧に変換する機器の設置工事
  • 高圧配電盤:高圧電力を制御・分配する盤の据付工事
  • 動力制御盤:大型モーターなどへの電力供給を制御する盤の工事

これらの高圧設備工事は、電気工事士2種では施工できない範囲であり、電気工事士1種の専門領域となります。

電気工事士1種の具体的な作業内容

電気工事士1種が実際に行う作業は、住宅工事とは大きく異なります。大型施設特有の設備工事や保守作業が中心となります。

ビル・工場の高圧受電設備工事

ビルや工場の新築時には、高圧受電設備の設置工事を行います。電力会社からの高圧ケーブルを引き込み、キュービクル内の機器と接続する作業は、高度な専門知識と技能が求められます。

高圧ケーブルの接続作業では、絶縁処理や接地工事を正確に行う必要があります。施工不良は感電事故や設備故障の原因となるため、電気工事士1種の技能が欠かせません。竣工後は、電力会社の検査と電気主任技術者による確認を受けて、初めて通電が許可されます。

キュービクル(受電設備)の設置と保守

キュービクルとは、高圧受電設備を収めた金属製の箱型設備です。変圧器、遮断器、保護装置などが一体化されており、ビルや工場の電気室に設置されます。

キュービクルの設置工事では、重量のある機器の搬入から据付、配線接続まで、チームで作業を進めます。電気工事士1種は、この作業の主任者として現場を監督する役割も担います。また、既設キュービクルの定期点検や機器の更新工事も、電気工事士1種の業務範囲です。

大型施設の配電盤・動力設備の工事

大型施設では、受電した電力を施設内の各所に分配するため、多数の配電盤が設置されます。これらの配電盤への幹線ケーブルの接続工事や、分岐回路の配線工事を行います。

工場では、大型モーターやコンプレッサーなどの動力設備への電力供給工事も担当します。三相電源の配線や制御回路の結線は、電気工事士1種の専門技能が活かされる分野です。

エレベーター・空調設備への電力供給工事

ビルに欠かせないエレベーターや大型空調設備への電力供給工事も、電気工事士1種が担当します。これらの設備は大容量の電力を必要とするため、専用の動力回路を設ける必要があります。

エレベーターの制御盤や空調機の配電盤への配線工事では、設備メーカーの仕様に従った正確な施工が求められます。建築現場では、設備工事業者と連携しながら作業を進めるコミュニケーション能力も大切です。

電気工事士2種との違い

電気工事士1種と2種は、施工できる範囲や取得条件に明確な違いがあります。キャリアアップを考える上で、この違いを理解することは欠かせません。

施工できる電気工作物の範囲の違い

最も大きな違いは、施工できる電気工作物の範囲です。電気工事士2種は一般用電気工作物(600V以下の低圧受電設備)のみが施工範囲ですが、電気工事士1種はこれに加えて自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の工事も可能です。

具体的な施工範囲を比較すると、以下のようになります。

資格区分施工可能な電気工作物代表的な施設例
電気工事士2種一般用電気工作物(600V以下)一般住宅、小規模店舗、小規模事務所
電気工事士1種一般用電気工作物+自家用電気工作物(500kW未満)上記に加え、ビル、工場、商業施設、病院

この違いにより、電気工事士1種は電気工事士2種よりも幅広い現場で活躍できます。

最大電力と電圧の違い(500kW vs 600V)

電気工事士2種の施工範囲は電圧で定義されており、600V以下の電気設備が対象です。一方、電気工事士1種は最大電力で定義されており、500kW未満の自家用電気工作物が対象となります。

電圧と電力は異なる概念です。電圧は電気の圧力を表し、電力は電気のエネルギー量を表します。電気工事士1種が扱う高圧受電設備では、6,600Vという高電圧を扱いますが、最大電力が500kW未満であれば施工可能です。

免状取得条件の違い(実務経験の有無)

試験合格後の免状取得条件にも違いがあります。電気工事士2種は、試験に合格すれば実務経験なしで即座に免状を取得できます。

これに対し、電気工事士1種は試験合格後、実務経験3年または5年が必要です。この実務経験の条件により、電気工事士1種は実践的なスキルを持つ上位資格として位置づけられています。

試験難易度と合格率の違い

試験の難易度にも明確な差があります。電気工事士2種の合格率は筆記試験で約60%、技能試験で約70%程度ですが、電気工事士1種の合格率は筆記試験で約50%、技能試験で約60%程度となっています。

電気工事士1種の試験では、より高度な電気理論や複雑な配線図の読解が求められます。技能試験でも、候補問題の難易度が高く、時間内に正確に完成させるには十分な練習が必要です。

電気工事士2種との違いに関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士2種とは?資格の概要・できること・取得メリットを徹底解説

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電気工事士1種を取得するメリット

電気工事士1種の資格取得は、キャリアと収入の両面で大きなメリットをもたらします。投資した時間と努力に見合うリターンが期待できる資格です。

大型案件への参画と収入アップ

電気工事士1種を取得すると、ビルや工場などの大型案件に参画できるようになります。これらの案件は工事規模が大きく、電気工事士2種のみで対応できる住宅工事と比べて報酬も高額です。

大手電気工事会社では、電気工事士1種の有資格者に対して資格手当を支給するケースが多く、月額1万円から3万円程度の手当が一般的です。年収ベースでは、電気工事士2種取得者が平均400万円から450万円であるのに対し、電気工事士1種取得者は平均500万円から600万円と、100万円以上の差が生まれます。

電気工事作業の主任者になれる

電気工事士1種の資格を持つことで、電気工事の現場で主任者(現場責任者)として作業を監督する立場になれます。建設現場では、電気工事の各作業に主任者を配置することが法律で義務づけられており、電気工事士1種はこの役割を担えます。

主任者は、工事の品質管理、安全管理、作業員の指導など、現場全体をマネジメントする役割を持ちます。リーダーシップを発揮できる立場であり、キャリアアップの重要なステップとなります。

転職・キャリアアップの選択肢拡大

電気工事士1種の資格は、転職市場で高く評価されます。ビル管理会社、プラント運営会社、大手電気工事会社など、幅広い業界で求人があり、選択肢が大きく広がります。

求人サイトを見ると、電気工事士1種の募集は電気工事士2種と比べて給与水準が高く設定されています。未経験可の求人でも、資格保有を理由に好条件を提示される場合が多く、転職時の大きな武器となります。

独立開業時の業務範囲の広がり

将来的に独立して電気工事会社を開業する場合、電気工事士1種の資格は業務範囲を大きく広げます。電気工事士2種のみでは住宅工事が中心となりますが、電気工事士1種があれば店舗やオフィスビルの案件も受注できます。

独立開業者にとって、受注できる案件の幅は収益に直結します。電気工事士1種の資格により、より大きな市場にアクセスでき、事業の成長可能性が高まります。

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電気工事士の年収・給料は?収入の実態とキャリア別の給与体系

電気工事士1種試験の制度と概要

電気工事士1種の試験は、筆記試験と技能試験の2段階で構成されています。両方に合格して初めて、免状申請の資格が得られます。

筆記試験(学科試験)の内容と難易度

筆記試験は、電気工事に関する理論と実務の知識を問う試験です。出題範囲は以下の科目に分かれています。

  • 電気に関する基礎理論:オームの法則、電力計算、三相交流など
  • 配電理論及び配線設計:配線設計、保護装置の選定、電圧降下計算
  • 電気機器・材料及び工具:変圧器、開閉器、配線材料の特性
  • 電気工事の施工方法:高圧受電設備の施工、接地工事、配線工事
  • 一般用電気工作物及び自家用電気工作物の検査方法
  • 配線図:複雑な配線図の読解と施工条件の判断
  • 発電施設・送電施設・変電施設に関する基礎的な知識
  • 一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安に関する法令

試験は4肢択一式で50問出題され、60点以上(30問正解)で合格となります。試験時間は2時間20分です。電気工事士2種と比べて、高圧設備や三相交流に関する問題が増え、計算問題も高度になります。

技能試験(実技試験)の内容

技能試験は、実際に配線作業を行う実技試験です。事前に公表される候補問題10問の中から1問が出題され、制限時間60分以内に配線作業を完成させます。

試験では、以下のような作業が求められます。

  • 単線図から複線図への変換
  • ケーブルの切断と被覆むき
  • リングスリーブやねじなし電線管を使った接続
  • 配線用遮断器、漏電遮断器などの器具の取付け
  • 接地線の接続
  • ランプレセプタクルやコンセントの結線

電気工事士2種の技能試験と比べて、使用する材料の種類が多く、配線も複雑です。三路スイッチや四路スイッチを使った回路や、動力設備の配線など、実務で使う技能が試されます。

免状交付に必要な実務経験(3年または5年)

技能試験に合格しても、すぐには電気工事士1種として働けません。免状の交付を受けるには、所定の実務経験が必要です。

実務経験として認められる業務は、以下のようなものです。

  • 電気工作物の設置、変更または修理の作業
  • 電気工作物の設計または実地監督
  • 電気用品の製造における設計または実地監督
  • 電気工事に関する試験研究の業務

アルバイトやパートタイムでの経験も、実質的な業務内容が上記に該当すれば認められます。ただし、単なる補助作業や見習い期間は実務経験に含まれない場合があるので注意が必要です。

電気工事士1種試験に関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士1種試験の日程・申込方法|試験日程と申込期間を詳しく解説

電気工事士1種技能試験とは?実技試験の内容・対策を詳しく解説

電気工事士1種の受験資格と取得の流れ

電気工事士1種の試験は、受験資格に制限がないため、誰でもチャレンジできます。ただし、免状取得までには時間がかかる点に注意が必要です。

受験資格の制限がない国家資格

電気工事士1種の試験には、学歴、年齢、実務経験などの受験資格制限がありません。電気工事士2種を取得していなくても、いきなり電気工事士1種の試験を受験できます。

この制度により、電気系の学校を卒業した学生が在学中に電気工事士1種の試験に合格し、卒業後の実務経験を経て免状を取得するケースも増えています。計画的にキャリアを進められる柔軟性があります。

試験合格から免状取得までのプロセス

電気工事士1種の資格取得は、以下のステップで進みます。

  1. 筆記試験の受験:年1回実施される筆記試験を受験し、合格する
  2. 技能試験の受験:筆記試験合格者のみが技能試験を受験でき、合格する
  3. 実務経験の積み重ね:試験合格後、または合格前から実務経験を積む
  4. 免状の申請:必要な実務経験年数に達したら、都道府県知事に免状交付を申請
  5. 免状の交付:審査を経て、電気工事士1種の免状が交付される

試験合格から免状取得まで、最短でも3年かかることを理解しておく必要があります。試験合格は資格取得の第一歩であり、その後の実務経験が本格的な資格保有者としての道のりです。

実務経験の証明方法と申請手続き

免状の申請時には、実務経験を証明する書類の提出が必要です。具体的には、勤務先の事業主が発行する「実務経験証明書」を用意します。

実務経験証明書には、以下の情報を記載します。

  • 従事した期間(開始年月日から終了年月日まで)
  • 従事した業務の内容(具体的な作業内容)
  • 事業主の名称、住所、印鑑

転職などで複数の会社で実務経験を積んだ場合は、それぞれの会社から証明書を取得し、合計期間が必要年数を満たしていることを示します。申請手続きは各都道府県の担当窓口で行い、手数料(5,200円程度)を支払います。

電気申請書類は正確に記入し、不備がないようにすることで、スムーズな免状交付につながります。

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電気工事士1種の難易度・合格率|試験の難易度と合格率データを分析

電気工事士1種の将来性とキャリアパス

電気工事士1種の資格は、長期的なキャリア形成において強力な武器となります。需要の安定性とステップアップの可能性が魅力です。

ビル・工場の電気設備需要と将来性

日本国内のビルや工場の電気設備は、定期的な更新需要が発生します。高度経済成長期に建設された施設の老朽化が進んでおり、電気設備の改修工事やキュービクルの更新工事の需要は今後も継続的に見込まれます。

再生可能エネルギーの普及により、太陽光発電設備や蓄電池システムの設置工事も増加しています。これらの設備は自家用電気工作物として扱われるケースが多く、電気工事士1種の活躍の場が広がっています。

さらに、工場の自動化やスマートビルの普及により、電気設備の高度化が進んでいます。IoT機器や制御システムの導入に伴う電気工事の需要も拡大しており、電気工事士1種の専門性が求められる場面が増えています。

電気工事士1種からのさらなるステップアップ

電気工事士1種を取得した後も、さらなる資格取得によってキャリアアップを図れます。関連資格として、以下のようなものがあります。

  • 電気主任技術者(電験):自家用電気工作物の保安監督者となる上位資格
  • 1級電気工事施工管理技士:大規模電気工事の施工管理を行う国家資格
  • 消防設備士:防災設備の工事と点検を行う資格

これらの資格を複数取得することで、電気設備全般をカバーする専門家として、より高度な業務に携われます。

電気主任技術者・施工管理技士への道

電気工事士1種の実務経験を活かして、電気主任技術者(電験3種、電験2種)の資格取得を目指す方も多くいます。電気主任技術者は、電気設備の保安監督を行う専門職で、ビルや工場では必置の資格です。

また、1級電気工事施工管理技士の資格を取得すれば、大規模工事の現場監督や工事計画の立案など、マネジメント業務にステップアップできます。施工管理技士は監理技術者や主任技術者として現場を統括する立場となり、年収800万円以上も視野に入ります。

電気工事士1種は、これらの上位資格へのステップとして、実務経験と専門知識の両方を提供してくれる資格です。

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電気工事士1種に求められる知識とスキル

電気工事士1種として活躍するには、試験合格レベルの知識だけでなく、現場で求められる実践的なスキルが欠かせません。

高圧電気設備に関する専門知識

高圧受電設備の構成や動作原理を深く理解することは、電気工事士1種の基本です。変圧器の容量計算、保護装置の選定、接地工事の設計など、高圧設備特有の知識が求められます。

電気設備技術基準や内線規程などの規格類にも精通している必要があります。これらの規格は定期的に改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップする姿勢も大切です。

また、電気事故の原因と対策についての知識も必要です。短絡事故、地絡事故、過電流などのトラブルに対して、適切な予防措置を講じられることが、電気工事士1種の専門性を示します。

複雑な配線図の読解と設計能力

ビルや工場の電気設備図面は、住宅と比べて格段に複雑です。単線接続図から実際の配線を読み取り、現場での施工方法を判断する能力が求められます。

配線経路の選定、ケーブルサイズの決定、配管ルートの計画など、図面を基に実際の工事を具体化する設計能力も必要です。現場の状況に応じて、図面通りに施工できない場合の代替案を提案できることも、熟練した電気工事士1種の強みとなります。

安全管理と現場リーダーシップ

電気工事、特に高圧設備の工事では、安全管理が最優先事項です。作業前の危険予知活動、適切な保護具の着用、停電作業の確実な実施など、安全手順を徹底する必要があります。

現場のリーダーとして、作業員への指示出しや安全教育も担当します。若手作業員の技能向上を支援する指導力や、協力業者との調整を行うコミュニケーション能力も、電気工事士1種に求められるスキルです。

電気工事士1種を活かせる職場と仕事

電気工事士1種の資格を活かせる職場は多岐にわたります。自分のキャリアビジョンに合った働き方を選択できます。

大手電気工事会社での大型案件施工

大手電気工事会社では、オフィスビル、商業施設、工場などの大型案件を手がけます。電気工事士1種は、これらのプロジェクトで高圧受電設備の施工や現場監督として活躍します。

大規模プロジェクトでは、設計部門、施工管理部門、協力会社など、多くの関係者と連携しながら工事を進めます。プロジェクト全体を俯瞰する視点や、工程管理のスキルも磨かれます。

大手企業では、福利厚生が充実しており、資格取得支援制度や研修制度も整っています。長期的なキャリア形成を目指す方に適した環境です。

ビル管理・設備保守の専門職

ビル管理会社やビルメンテナンス会社では、電気工事士1種の資格保有者を積極的に採用しています。これらの企業では、管理物件の電気設備の保守点検、故障対応、改修工事などを担当します。

定期点検では、キュービクルの動作確認、絶縁抵抗測定、接地抵抗測定などを実施し、設備の安全性を確保します。緊急時には、停電復旧や故障機器の修理を迅速に行う対応力が求められます。

ビル管理の仕事は、夜勤や休日出勤がある一方で、比較的安定した勤務形態が多く、ワークライフバランスを重視する方にも選択されています。

工場・プラントの電気設備管理

製造業の工場やプラントでは、生産設備を動かすための電気設備が不可欠です。これらの施設では、電気工事士1種の資格保有者が設備管理部門に配属され、電気設備の維持管理を担当します。

工場では、生産ラインの稼働を止めないことが最優先です。予防保全の考え方に基づき、計画的な設備点検と部品交換を行い、突発的なトラブルを防ぎます。トラブル発生時には、原因を迅速に特定し、復旧作業を行う技術力が試されます。

プラントの電気設備管理は、専門性が高く、長期的に同じ施設で経験を積むことで、その施設のエキスパートとなれる仕事です。

電気工事士1種とはに関連するよくある質問(FAQ)

電気工事士1種について、多くの方が疑問に思うポイントをまとめました。資格取得の判断材料として参考にしてください。

電気工事士1種は2種を取得していないと受験できませんか?

電気工事士1種の試験は、電気工事士2種の資格を持っていなくても受験可能です。受験資格に学歴や実務経験の制限がないため、電気の勉強を始めたばかりの方でも、いきなり電気工事士1種の試験にチャレンジできます。 ただし、実務的には電気工事士2種から始めることをおすすめします。電気工事士2種で基礎を固めてから電気工事士1種にステップアップする方が、知識の定着と実務経験の積み重ねがスムーズです。電気工事士2種とはで2種の概要を確認できます。

電気工事士1種の実務経験はどのように証明しますか?

電気工事士1種の免状申請時には、勤務先の事業主が発行する「実務経験証明書」を提出します。この証明書には、従事した期間、業務内容、事業主の情報が記載されます。 転職などで複数の会社で実務経験を積んだ場合は、それぞれの会社から証明書を取得し、合計期間が必要年数(3年または5年)を満たしていることを証明します。アルバイトやパートタイムの経験も、実質的な業務内容が電気工事に該当すれば認められます。

電気工事士1種の合格後、すぐに免状はもらえますか?

電気工事士1種の試験に合格しても、すぐには免状を取得できません。免状の交付を受けるには、大学や高専の電気工学科卒業者で3年以上、その他の学歴の方で5年以上の実務経験が必要です。 試験合格は免状取得の第一段階であり、その後の実務経験を経て初めて電気工事士1種として働けます。この期間を逆算して、計画的に資格取得を進めることが大切です。

電気工事士1種の年収は2種と比べてどれくらい上がりますか?

電気工事士1種の資格保有者の平均年収は500万円から600万円程度で、電気工事士2種の平均年収400万円から450万円と比べて、100万円以上の差があります。 大手電気工事会社では、電気工事士1種の資格手当として月額1万円から3万円を支給するケースが多く、年間では12万円から36万円の収入増となります。さらに、大型案件への参画により基本給のアップも期待できます。詳しくは電気工事士の年収・給料をご覧ください。

電気工事士1種は独学でも合格できますか?

電気工事士1種の試験は独学でも合格可能ですが、電気工事士2種と比べて難易度が高いため、計画的な学習が必要です。筆記試験では、三相交流や高圧設備に関する高度な問題が出題され、計算問題も複雑になります。 技能試験では、候補問題10問を全て練習し、時間内に正確に完成させる技能を身につける必要があります。工具と練習用材料を揃え、繰り返し練習することで、独学でも合格を目指せます。電気工事士1種を独学で合格する方法では、効果的な学習方法を解説しています。

電気工事士1種の需要は今後も高まりますか?

電気工事士1種の需要は、今後も安定的に推移すると予想されます。既存ビルや工場の電気設備更新需要は継続的にあり、再生可能エネルギー設備の増加により新たな需要も生まれています。 建設業界全体で技能者の高齢化が進んでおり、若手の電気工事士1種資格保有者は貴重な人材として評価されます。スマートビルやIoT機器の普及により、電気設備の高度化も進んでおり、専門性を持つ電気工事士1種の役割はますます大切になります。

まとめ:電気工事士1種は高度な電気工事のプロフェッショナル資格

電気工事士1種は、自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の工事が可能な国家資格で、ビルや工場などの大型施設の電気設備工事に携われます。電気工事士2種では扱えない高圧受電設備の施工が可能となり、業務範囲が大きく広がります。試験合格後には実務経験3年または5年が必要ですが、この期間を経ることで、実践的なスキルを持つ上位資格保有者として認められます。

電気工事士1種を取得すると、大型案件への参画により収入アップが見込め、電気工事の主任者として現場をリードする立場になれます。年収は電気工事士2種と比べて100万円以上高く、転職やキャリアアップの選択肢も広がります。独立開業時には業務範囲が拡大し、より大きな市場にアクセスできる強みがあります。

まずは、電気工事士1種試験の日程を確認し、受験計画を立てることから始めましょう。電気工事士1種の難易度を把握した上で、技能試験の対策を進めることで、着実に合格へ近づけます。

計画的な学習と実務経験の積み重ねで、電気工事士1種の資格取得を実現し、高度な電気工事のプロフェッショナルとしてのキャリアを築きましょう。

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