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電気工事士2種とは?資格の概要・できること・取得メリットを徹底解説

電気工事士2種試験の受験を検討しているあなたへ。「電気工事士2種とは何か」「どんな仕事ができるのか」という疑問は、資格の全体像を正しく理解することで解決できます。

本記事では、電気工事士2種の法的位置づけと施工範囲、具体的な作業内容と業務範囲、資格取得のメリットとキャリアパスについて、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、電気工事士2種取得に向けて、具体的な一歩を踏み出しましょう。

この記事を読むとわかること
  • 電気工事士2種の資格概要と法的な位置づけ
  • 施工可能な電気工作物の範囲と具体的な作業内容
  • 資格取得によるキャリア上のメリットと将来性
  • 試験制度の詳細と合格に必要な知識・スキル
押さえておきたい3つのポイント
  1. 電気工事士2種は一般用電気工作物の工事が可能な国家資格:600V以下の住宅や小規模店舗の電気工事を行うために必要不可欠な資格で、受験資格の制限がなく誰でも挑戦できます。
  2. 筆記試験と技能試験の2段階で合格を目指す:年2回実施される試験では、電気理論などの学科知識と配線工事の実技スキルの両方が求められ、合格率は筆記が約60%、技能が約70%です。
  3. 就職・転職から独立開業まで幅広く活用できる:電気工事会社やビル管理、家電量販店など活躍の場は多岐にわたり、資格手当による収入アップや将来的な独立の可能性も広がります。

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目次

電気工事士2種とは?資格の基本概要

電気工事士2種は、一般住宅や小規模な店舗などの電気工事を行うために必要な国家資格です。正式には「第二種電気工事士」といい、電気工事士法に基づいて設けられています。この資格がなければ、家庭用のコンセントやスイッチの取り付けといった基本的な電気工事でさえ行うことができません。

電気工事士2種の正式名称と法的位置づけ

電気工事士2種の正式名称は「第二種電気工事士」で、電気工事士法第3条に規定される国家資格です。この法律では、電気工事による感電や火災などの危険を防ぐため、一定の電気工事には有資格者による作業を義務付けています。

電気工事士2種の免状を持たない者が電気工事を行った場合、電気工事士法違反として3万円以下の罰金が科される可能性があります。つまり、電気に関わる安全を守るための法的根拠を持つ重要な資格といえます。

試験は一般財団法人電気技術者試験センターが実施しており、合格者には都道府県知事から免状が交付されます。この免状があって初めて、法律上の「電気工事士」として電気工事に従事できるようになります。

電気工事士2種が必要とされる理由

電気工事は常に感電や火災のリスクを伴う作業です。2022年度の消防庁データによると、電気関係の火災は年間約4,000件発生しており、不適切な電気工事が原因となるケースも少なくありません。

電気工事士2種の資格制度は、このような事故を未然に防ぐために存在します。資格保有者は電気理論、配線図の読解、安全な工具の使用方法など、電気工事に必要な知識と技能を習得していることが試験によって証明されています。

住宅の新築やリフォーム、設備の増設など、電気工事が必要な場面は日常的に発生します。こうした工事を安全に行うために、電気工事士2種の存在が欠かせないのです。

電気工事士2種の免状(資格証)について

電気工事士2種試験に合格した後、都道府県知事に免状の交付申請を行うことで、正式な電気工事士としての資格証が発行されます。免状の交付手数料は都道府県によって異なりますが、概ね5,000円〜6,000円程度です。

免状はカード型の資格証で、氏名、生年月日、免状番号、交付年月日などが記載されています。電気工事に従事する際は、この免状を携帯することが電気工事士法で義務付けられています。

電気工事士2種の免状には有効期限がなく、一度取得すれば生涯有効です。更新手続きも不要なため、資格維持のコストがかからない点も大きなメリットといえます。

電気工事士2種の資格取得の流れに関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士資格の取り方|資格取得の全体的な流れを解説

電気工事士2種でできること・業務範囲

電気工事士2種で施工できるのは「一般用電気工作物」と呼ばれる電気設備です。具体的には、一般住宅、小規模店舗、事務所など、600V以下で受電する建物の電気工事が対象となります。この範囲を正しく理解することで、実務での活躍の場が明確になります。

一般用電気工作物の電気工事とは

一般用電気工作物とは、電気事業法で定義される設備区分の一つで、主に低圧(600V以下)で受電する小規模な電気設備を指します。具体的には以下のような施設が該当します。

一般用電気工作物に該当する施設:

  • 一般住宅:戸建て住宅、マンション・アパートの各住戸
  • 小規模店舗:コンビニ、飲食店、美容院など
  • 小規模事務所:受電電力が50kW未満の事務所
  • その他:倉庫、車庫、農業用施設など

電気工事士2種は、これらの施設における電気工事を単独で行うことができます。住宅の電気工事市場は年間約1.5兆円規模とされており、電気工事士2種の活躍の場は非常に広範囲に及びます。

600V以下の低圧電気設備の施工範囲

電気工事士2種が扱える電圧は600V以下と定められています。日本の一般家庭に供給される電気は単相100Vまたは単相200Vですから、住宅のほぼ全ての電気工事をカバーできます。

低圧電気設備で扱う主な電圧:

  • 単相100V:照明、コンセント、テレビなどの一般家電
  • 単相200V:エアコン、IHクッキングヒーター、電気温水器など
  • 三相200V:小規模店舗の業務用エアコンや冷蔵設備

ただし、600Vを超える高圧受電設備や、最大電力500kW以上の大規模施設は電気工事士1種の範囲となります。電気工事士2種では、あくまで小規模な建物の電気工事に限定されることを理解しておきましょう。

電気工事士2種で扱える具体的な工事内容

電気工事士2種の資格で行える工事は多岐にわたります。新築時の配線工事から、既存設備の修理・交換まで、住宅の電気に関わるほとんどの作業が可能です。

主な工事内容:

  • 屋内配線工事:壁内や天井裏の電線の敷設と接続
  • コンセント・スイッチ工事:新設、移設、交換作業
  • 照明器具の設置:シーリングライトやダウンライトの取り付け
  • エアコン工事:電気配線部分の接続作業
  • 分電盤工事:ブレーカーの交換や回路の増設
  • インターホン設置:配線を含む取り付け作業
  • 太陽光発電設備:接続箱までの配線工事(一般用電気工作物の範囲内)

これらの工事は、電気工事士2種の免状がなければ行うことができません。DIYブームの昨今でも、電気工事だけは有資格者による作業が法律で義務付けられているのです。

電気工事士2種の詳しい業務範囲に関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士2種でできること|業務範囲とできる工事内容を詳しく解説

電気工事士2種の具体的な作業内容

電気工事士2種の実際の作業は、現場の状況に応じて多様です。ここでは、日常的に行われる代表的な作業内容を具体的に解説します。これらの作業を理解することで、資格取得後の実務イメージが明確になります。

住宅の屋内配線工事

屋内配線工事は、電気工事士2種の最も基本的な業務です。新築住宅の場合、設計図面に基づいて壁内や天井裏に電線を這わせ、各部屋のコンセントやスイッチ、照明器具へ電気を供給する配線を行います。

配線工事では、VVFケーブル(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)と呼ばれる電線を主に使用します。電線の太さは電流容量に応じて選定し、1.6mmや2.0mmの線径が一般的です。配線経路の選定、電線の接続、絶縁処理など、電気の安全を確保するための細やかな技術が求められます。

リフォーム工事では、既存の配線状況を確認しながら新しい配線を追加したり、老朽化した配線を交換したりします。壁を開口する必要がある場合もあり、建築の知識も活かされる作業です。

コンセント・スイッチの取付と交換

コンセントやスイッチの取り付け・交換は、電気工事士2種の日常的な業務の一つです。コンセントの増設は生活の利便性を高めるため、リフォーム時によく依頼される工事です。

作業の流れとしては、まず該当する回路のブレーカーを落として電源を遮断します。次に、壁に設けられた埋込ボックスに配線を接続し、コンセントやスイッチ本体を取り付けます。最後に、電圧テスターで正常に通電することを確認します。

近年は、調光機能付きスイッチやタイマー付きコンセント、USB充電ポート一体型コンセントなど、高機能な器具も増えています。これらの設置にも電気工事士2種の資格が必要です。

照明器具・エアコンの設置工事

照明器具の設置では、天井に設けられた引掛シーリングへの取り付けから、ダウンライトやシャンデリアなどの直接配線が必要な器具まで、さまざまなパターンがあります。

特に注意が必要なのは、重量のある照明器具の取り付けです。天井の強度を確認し、必要に応じて補強を行った上で設置します。また、調光器と組み合わせる場合は、照明器具が調光対応であることを確認する必要があります。

エアコンの設置工事では、室内機と室外機を電気的に接続する作業が電気工事士2種の担当範囲です。専用回路の設置、ブレーカーの選定、200V回路への対応など、電気工事の知識が欠かせません。冷媒配管の接続は別の技能が必要ですが、電気配線部分は電気工事士の専門分野です。

ブレーカー・分電盤の工事

分電盤は住宅の電気を各部屋へ分配する重要な設備です。電気工事士2種は、分電盤内のブレーカー交換や回路の増設といった工事を行います。

家電製品の増加に伴い、電気容量が不足して頻繁にブレーカーが落ちるという相談は少なくありません。このような場合、分電盤の容量を確認し、必要に応じて主幹ブレーカーの交換や回路の追加を提案します。

近年は、漏電ブレーカーの定期的な交換推奨や、太陽光発電に対応した分電盤への改修など、分電盤に関わる工事の需要が高まっています。電気の安全を守る要となる設備だけに、正確な知識と慎重な作業が求められます。

電気工事士1種との違い

電気工事士には2種と1種があり、施工できる電気工作物の範囲が大きく異なります。キャリアアップを考える上で、両者の違いを正しく理解することが重要です。

施工できる電気工作物の範囲の違い

電気工事士2種と1種の最も大きな違いは、施工できる電気工作物の範囲です。電気事業法では、電気設備を「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」に分類しています。

資格区分施工可能範囲主な対象施設
電気工事士2種一般用電気工作物一般住宅、小規模店舗・事務所
電気工事士1種一般用電気工作物 + 自家用電気工作物(最大電力500kW未満)上記に加え、ビル、工場、大型商業施設

電気工事士1種は、高圧で受電する建物の電気工事も行えるため、活躍の場が大幅に広がります。ビルメンテナンス業界や大規模施設の電気工事では、電気工事士1種の資格が必須となる現場も多くあります。

最大電力と電圧の違い

電気工事士2種は600V以下の低圧電気設備のみを扱えますが、電気工事士1種は7,000V以下の高圧電気設備も施工範囲に含まれます。

実務上の違いとしては、以下のような点が挙げられます。

電圧による施工範囲の違い:

  • 電気工事士2種:単相100V/200V、三相200Vまでの低圧設備
  • 電気工事士1種:上記に加え、6,600Vなどの高圧受電設備

大型のビルや工場は、電力会社から6,600Vの高圧で受電し、建物内の変圧器で100Vや200Vに降圧して使用します。この高圧部分の工事や保守には電気工事士1種の資格が必要です。

最大電力についても、電気工事士2種は特に制限がありませんが、電気工事士1種は500kW未満という上限があります。500kW以上の大規模施設では、電気主任技術者の監督下での作業となります。

免状取得の条件と実務経験の有無

電気工事士2種と1種では、免状取得の条件にも違いがあります。

電気工事士2種の場合、試験に合格すればすぐに免状の交付申請が可能で、実務経験は不要です。そのため、学生や未経験者でも資格を取得でき、その後に実務経験を積むことができます。

一方、電気工事士1種は試験合格だけでは免状が交付されません。免状の交付には、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

電気工事士1種の免状交付条件:

  • 電気工事士2種の免状取得後、3年以上の実務経験
  • 電気工事に関する5年以上の実務経験
  • 大学・高専で電気工学を修め、3年以上の実務経験
  • 電気主任技術者の免状取得

つまり、電気工事士1種の資格を完全に取得するには、実務経験が不可欠です。多くの人は、まず電気工事士2種を取得して電気工事の現場で経験を積み、その後に電気工事士1種を目指すというステップを踏みます。

電気工事士1種に関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士1種とは?資格の概要・できること・取得メリットを徹底解説

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電気工事士2種を取得するメリット

電気工事士2種の資格は、就職・転職から独立開業まで、幅広い場面で価値を発揮します。ここでは、資格取得によって得られる具体的なメリットを解説します。

就職・転職活動での優位性

電気工事士2種は、電気工事業界で最も需要の高い資格の一つです。求人サイトで「電気工事士」を検索すると、常時数千件の求人が掲載されており、その多くで電気工事士2種が応募条件または歓迎条件となっています。

電気工事業界は慢性的な人手不足の状況にあり、2023年の有効求人倍率は約3.5倍と高水準です。資格保有者は未経験でも採用されやすく、実務経験を積みながらキャリアを築くことができます。

また、電気工事士2種は電気工事会社だけでなく、建設会社、ビル管理会社、設備メンテナンス会社、家電量販店など、多様な業界で評価されます。異業種からの転職でも、資格があることで選考を有利に進められます。

資格手当による収入アップ

多くの企業では、電気工事士2種の資格保有者に対して資格手当を支給しています。金額は企業によって異なりますが、月額5,000円〜15,000円が一般的です。

年間ベースで考えると、6万円〜18万円の収入増となります。資格取得にかかる費用(受験料、教材費など)は3万円〜5万円程度ですから、1年以内に投資を回収できる計算です。

さらに、電気工事士2種を持っていることで、基本給のベースアップや昇進の機会も広がります。現場監督や施工管理技士へのステップアップにも有利に働き、中長期的な収入アップにつながります。

独立・開業の可能性

電気工事士2種の資格は、将来的な独立開業の可能性も開きます。電気工事業を営むには、電気工事業法に基づく登録が必要ですが、その要件の一つが電気工事士の資格保有です。

個人で電気工事業を開業する場合、初期投資は比較的少額で済みます。工具一式で10万円〜20万円程度、車両と必要な保険を含めても100万円〜200万円で開業できます。

実際に、電気工事会社で経験を積んだ後、30代〜40代で独立する電気工事士は少なくありません。住宅の電気工事は地域密着型のビジネスとして成り立ちやすく、リピーターや口コミによる受注が期待できます。

DIYやリフォームでの活用

電気工事士2種は、自宅のDIYやリフォームにも大いに役立ちます。通常であれば業者に依頼する必要がある電気工事を、自分で行うことができます。

自宅で行えるようになる作業の例:

  • コンセントの増設や移設
  • スイッチの交換や追加
  • 照明器具の取り付け
  • エアコン専用回路の設置
  • 分電盤のブレーカー交換

業者に依頼すると数万円かかる工事も、自分で行えば材料費だけで済みます。また、電気の知識があることで、家電製品の選定や配置計画もより適切に行えるようになります。

ただし、自宅の電気工事であっても、電気工事士法に基づく適切な施工が求められます。資格があるからこそ、安全で正確な工事が可能になるのです。

電気工事士2種試験の制度と概要

電気工事士2種試験は、筆記試験と技能試験の2段階で構成されています。試験制度を正しく理解することで、効率的な学習計画を立てることができます。

筆記試験(学科試験)の内容

筆記試験は、電気工事に必要な理論的知識を問う試験です。四肢択一式のマークシート方式で、50問が出題されます。試験時間は120分、合格基準は60点以上(50問中30問以上の正解)です。

筆記試験の出題科目:

  • 電気に関する基礎理論:オームの法則、電力計算、直流・交流回路など
  • 配電理論及び配線設計:配線設計、電圧降下、幹線・分岐回路など
  • 電気機器・配線器具及び電気工事用材料:変圧器、電動機、スイッチ、ケーブルなど
  • 電気工事の施工方法:工具の使用方法、接地工事、各種工事の手順など
  • 一般用電気工作物の検査方法:絶縁抵抗測定、接地抵抗測定など
  • 配線図:図記号の読解、複線図の作成など
  • 一般用電気工作物の保安に関する法令:電気工事士法、電気設備技術基準など

配線図問題は20問と出題数が多く、得点源となります。図記号を覚え、複線図を描く練習を重ねることが合格への近道です。

技能試験(実技試験)の内容

技能試験は、実際に配線工事を行う実技試験です。事前に公表される13の候補問題の中から1問が出題され、40分の制限時間内に完成させます。

技能試験で求められる作業:

  • 配線図の読解と複線図の作成
  • VVFケーブルの切断と被覆剥き
  • 電線の接続(リングスリーブ、差込形コネクタ)
  • 器具への結線(ランプレセプタクル、コンセント、スイッチなど)
  • ボックス内の配線処理

合格基準は「欠陥がないこと」で、重大な欠陥が一つでもあると不合格となります。欠陥の例としては、電線の接続不良、誤配線、絶縁不良、寸法違反などが挙げられます。

技能試験の合格には、工具の正しい使い方を身につけ、13の候補問題全てを時間内に完成できるまで練習することが不可欠です。

年2回実施される試験日程(上期・下期)

電気工事士2種試験は、年2回(上期・下期)実施されます。それぞれの筆記試験と技能試験は別日程で行われ、筆記試験合格者のみが技能試験を受験できます。

標準的な試験スケジュール:

  • 上期筆記試験:5月下旬〜6月上旬
  • 上期技能試験:7月中旬〜下旬
  • 下期筆記試験:10月下旬〜11月上旬
  • 下期技能試験:12月中旬〜下旬

2023年度から、筆記試験については従来の筆記方式に加えてCBT方式(コンピュータ試験)も選択できるようになりました。CBT方式では、試験会場と日程の選択肢が増え、より受験しやすくなっています。

受験申込は、筆記試験の約2〜3ヶ月前から受付が開始されます。インターネットまたは郵送で申し込みができ、受験手数料は9,300円(2024年度)です。

電気工事士2種試験の日程に関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士2種試験の日程・申込方法|試験日程と申込期間を詳しく解説

電気工事士2種技能試験に関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士2種技能試験とは?実技試験の内容・日程・対策を徹底解説

電気工事士2種の受験資格と難易度

電気工事士2種は、受験のハードルが低く、適切な準備をすれば十分に合格可能な試験です。ここでは、受験資格と試験の難易度について詳しく見ていきます。

受験資格の制限がない国家資格

電気工事士2種の大きな特徴は、受験資格に制限がないことです。年齢、学歴、実務経験の有無を問わず、誰でも受験できます。

この門戸の広さにより、以下のような多様な受験者が挑戦しています。

主な受験者層:

  • 工業高校・専門学校の学生:在学中に資格を取得し、就職活動に活用
  • 電気工事業界の新入社員:入社後の早い段階で取得を目指す
  • 他業種からの転職希望者:キャリアチェンジの第一歩として受験
  • DIY愛好家:自宅の電気工事を自分で行うために取得
  • 定年退職者:セカンドキャリアとして電気工事業を目指す

年間の受験者数は約15万人で、幅広い年齢層が受験しています。10代から60代まで、実際に合格者が出ている実績があります。

合格率から見る試験の難易度

電気工事士2種試験の合格率は、筆記試験が約60%、技能試験が約70%です。両方を合わせた最終合格率は約40%〜45%となります。

直近3年間の合格率推移:

年度筆記試験合格率技能試験合格率最終合格率
2021年度61.3%71.7%43.9%
2022年度58.4%69.8%40.8%
2023年度62.1%73.2%45.4%

国家資格の中では、比較的高い合格率といえます。例えば、宅地建物取引士が15%〜17%、社会保険労務士が6%〜7%であることを考えると、電気工事士2種は努力が報われやすい資格です。

ただし、技能試験の合格率が筆記試験より高いのは、筆記試験で一定の知識を身につけた人だけが受験するためです。最初から気を抜かず、両方の試験に向けてしっかり準備することが大切です。

必要な勉強時間の目安

電気工事士2種試験の合格に必要な勉強時間は、受験者の予備知識によって異なりますが、一般的には以下が目安となります。

学習背景別の必要勉強時間:

  • 電気の知識がほとんどない初学者:150〜300時間(3〜6ヶ月)
  • 工業高校や理系学部で電気を学んだ経験がある人:80〜150時間(2〜3ヶ月)
  • 電気関連の仕事に従事している人:50〜100時間(1〜2ヶ月)

筆記試験と技能試験の時間配分は、筆記試験に全体の60%、技能試験に40%程度を割り当てるのが標準的です。初学者の場合、筆記試験に100〜150時間、技能試験に50〜100時間という配分になります。

働きながら勉強する場合、平日に1〜2時間、週末に3〜4時間を確保できれば、3〜6ヶ月で合格レベルに到達できます。計画的に学習を進めることで、無理なく合格を目指せる試験です。

電気工事士2種の難易度に関してもっと詳しい記事はこちら
電気工事士2種の難易度・合格率|試験の難易度と合格率データを分析

電気工事士2種の将来性とキャリアパス

電気工事士2種は、社会インフラを支える重要な資格として、今後も安定した需要が見込まれます。さらに、キャリアアップの選択肢も豊富です。

電気工事業界の需要と将来性

電気工事の需要は、今後も継続的に高まると予測されています。その背景には、以下のような社会的要因があります。

電気工事需要が高まる要因:

  • 住宅の老朽化対策:築30年以上の住宅が増加し、電気設備の更新需要が拡大
  • 省エネ・脱炭素化:LED照明への切り替え、太陽光発電設備の設置
  • 電化の進展:オール電化住宅、EV充電設備の普及
  • 防災意識の高まり:蓄電池システム、非常用電源の設置
  • IoT・スマートホーム:通信設備を含む電気工事の複雑化

一方で、電気工事士の高齢化は深刻で、60歳以上が全体の約30%を占めています。若手の電気工事士不足は業界全体の課題となっており、資格保有者の価値は今後さらに高まる見通しです。

国土交通省の建設業就業者数調査によると、電気工事業の就業者は約33万人で、その需要は安定しています。技術の進化に伴い、専門性の高い電気工事士が求められる時代になっています。

電気工事士2種からのキャリアアップ

電気工事士2種を取得した後のキャリアパスは多様です。実務経験を積みながら、さらなる資格取得や専門性の向上を目指すことができます。

主なキャリアアップの道筋:

  • 現場の職長・監督者:経験を積んで現場をまとめる立場へ
  • 施工管理技士:電気工事施工管理技士(1級・2級)の資格を取得
  • 電気工事士1種:より大規模な施設の電気工事に対応
  • 電気主任技術者:電気設備の保安管理を行う上位資格
  • 独立開業:自身の電気工事会社を経営

特に、電気工事施工管理技士は、工事現場の管理を行う重要な資格です。電気工事士2種の実務経験を積むことで受験資格が得られ、年収アップにも直結します。

電気工事士1種や電気主任技術者への道

電気工事士2種は、より上位の資格へのステップとしても位置づけられます。キャリアの方向性に応じて、以下のような資格を目指すことができます。

電気工事士2種から目指せる上位資格:

  • 電気工事士1種:自家用電気工作物の工事が可能になり、大型施設でも活躍できる
  • 電気主任技術者(第三種):電気設備の保安監督を行う資格で、ビル管理などで重宝される
  • 電気工事施工管理技士:工事現場の施工管理を行う資格で、現場監督として活躍できる
  • 消防設備士:火災報知設備などの工事・点検を行える資格

これらの資格を組み合わせることで、電気設備のスペシャリストとしての地位を確立できます。例えば、電気工事士1種と電気主任技術者を両方持っていれば、電気設備の工事と保守管理の両方に対応でき、独立開業時の強みになります。

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電気工事士1種とは?資格の概要・できること・取得メリットを徹底解説

電気工事士2種に求められる知識とスキル

電気工事士2種試験に合格するには、理論的な知識と実技的なスキルの両方が必要です。ここでは、試験で問われる主要な知識とスキルを解説します。

電気理論と電気工事法の基礎知識

電気工事士2種の筆記試験では、電気の基礎理論が出題されます。オームの法則、電力計算、抵抗の直列・並列接続など、中学・高校の理科で学ぶレベルの計算問題が中心です。

押さえるべき基礎理論:

  • オームの法則:電圧=電流×抵抗(V=I×R)
  • 電力と電力量:電力=電圧×電流、電力量=電力×時間
  • 抵抗の計算:直列接続と並列接続の合成抵抗
  • 交流回路:力率、有効電力、無効電力、皮相電力

これらの計算は、実際の電気工事でも電線の太さの選定や回路設計に使われる実用的な知識です。公式を暗記するだけでなく、意味を理解することで実務にも活かせます。

また、電気工事士法や電気設備技術基準といった法令知識も必要です。電気工事士の義務や、安全に関する基準を理解することで、法令遵守の重要性を認識できます。

配線図の読解と複線図の作成能力

配線図の読解は、電気工事士2種試験の最重要ポイントです。筆記試験では20問、技能試験でも配線図から作業を行うため、図記号を正確に理解する必要があります。

主要な図記号:

  • 電源記号:単相100V、単相200V、三相200Vなど
  • 器具記号:スイッチ、コンセント、照明器具、換気扇など
  • 配線記号:VVFケーブル、VVRケーブル、接地線など
  • 機器記号:分電盤、端子台、リモコンリレーなど

特に重要なのが複線図の作成です。単線図(簡略化された配線図)を複線図(実際の配線を示す図)に変換する能力は、技能試験で必須です。複線図を正確に描けないと、配線ミスにつながり不合格となります。

複線図の練習は、候補問題13問全てについて、自分の手で描けるようになるまで繰り返すことが合格への近道です。

工具の使用方法と安全管理スキル

技能試験では、電気工事用の工具を正しく使いこなすスキルが求められます。主要な工具とその用途を理解し、安全かつ正確に作業できるようになる必要があります。

技能試験で使用する主要工具:

  • ペンチ:電線の切断、曲げ加工
  • ドライバー:ネジの締め付け、器具の取り付け
  • ストリッパー:電線の被覆剥き
  • リングスリーブ用圧着工具:電線接続用のリングスリーブの圧着
  • ウォーターポンププライヤー:ロックナットの締め付け
  • 電工ナイフ:ケーブルの外装剥き

工具の使い方次第で、作業のスピードと品質が大きく変わります。電線の被覆を傷つけずに剥く、リングスリーブを適切な強さで圧着するといった技術は、練習によって身につきます。

また、安全管理も重要なスキルです。感電防止、工具の正しい取り扱い、作業環境の整理整頓など、事故を防ぐための意識と行動が求められます。

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電気工事士2種を活かせる職場と仕事

電気工事士2種の資格は、多様な業界・職場で活用できます。ここでは、資格を活かせる代表的な就職先と仕事内容を紹介します。

電気工事会社・建設会社での現場作業

最も一般的な就職先は、電気工事を専門とする電気工事会社です。住宅、店舗、小規模ビルなどの新築工事やリフォーム工事に携わります。

電気工事会社での主な業務:

  • 新築住宅の屋内配線工事
  • リフォームに伴う電気設備の改修
  • 店舗の電気工事とメンテナンス
  • 太陽光発電設備の設置工事

総合建設会社(ゼネコン)やハウスメーカーでも、電気工事士2種の資格保有者を求めています。これらの企業では、建築工事全体の中で電気工事を担当し、他の職種(大工、設備工事など)との連携も経験できます。

現場作業では体力も必要ですが、技術を磨くことで職長や現場監督へのキャリアアップも可能です。また、経験を積んだ後に独立開業する道も開かれています。

ビル管理・設備管理の業務

ビル管理会社や設備管理会社では、建物の電気設備の保守・点検・修繕を行います。電気工事士2種は、これらの業務に不可欠な資格です。

ビル管理での主な業務内容:

  • 電気設備の定期点検と保守
  • 照明器具やコンセントの修理・交換
  • テナント退去時の原状回復工事
  • 緊急時の故障対応

ビル管理の仕事は、新規工事よりも既存設備の維持管理が中心です。一つの建物を長期的に管理するため、設備全体を深く理解できるメリットがあります。

また、夜間や休日の当番勤務がある場合もありますが、比較的規則的な勤務時間で働けることが多く、ワークライフバランスを重視する人に適しています。

家電量販店・ホームセンターでの設置サービス

家電量販店やホームセンターの設置サービス部門でも、電気工事士2種の資格が活かせます。家電製品の配送と同時に、設置に必要な電気工事を行います。

主な業務内容:

  • エアコンの設置と電気配線工事
  • IHクッキングヒーターへの交換工事
  • 電気温水器の設置工事
  • ウォシュレットの電気配線
  • アンテナ・光回線の設置に伴う電気工事

これらの仕事は、お客様と直接接する機会が多いため、コミュニケーション能力も重視されます。工事の説明、料金の案内、作業後の確認など、接客スキルも磨かれます。

家電量販店の多くは大手企業であり、福利厚生が充実している点も魅力です。また、繁忙期(引っ越しシーズン、夏のエアコン需要期)には収入が増えることもあります。

電気工事士2種とはに関連するよくある質問(FAQ)

電気工事士2種は独学でも合格できますか?

電気工事士2種試験は独学でも十分に合格可能です。筆記試験の合格率は約60%、技能試験は約70%と、国家資格の中では比較的高い水準にあります。市販のテキストと過去問題集を使い、筆記試験に100〜150時間、技能試験に50〜100時間の学習時間を確保できれば、独学でも合格を目指せます。電気工事士2種を独学で合格する方法では、効果的な独学のコツと注意点を詳しく解説しています。

電気工事士2種の資格取得にかかる費用はどれくらいですか?

電気工事士2種の資格取得にかかる費用は、受験料9,300円(2024年度)に加えて、テキスト代が約3,000〜5,000円、過去問題集が約2,000円程度です。技能試験用の工具セットは1万円〜2万円、練習用の材料セットが5,000〜1万円程度必要です。免状の交付手数料が約5,000円ですので、総額で3万〜5万円が目安となります。講習会を利用する場合は、さらに3万〜5万円が追加されます。

電気工事士2種の資格は更新が必要ですか?

電気工事士2種の免状は、一度取得すれば生涯有効で更新手続きは不要です。免状の有効期限もありません。ただし、実際に電気工事業務に従事する場合は、電気工事業法に基づく登録が別途必要です。また、長期間電気工事から離れていた場合は、法令や技術基準の変更について自主的に学習することが推奨されます。資格を維持するための費用や手間がかからない点は、電気工事士2種の大きなメリットです。

電気工事士2種を取得すると年収はどれくらいになりますか?

電気工事士2種保有者の平均年収は約350万〜450万円です。ただし、経験年数や勤務先によって大きく異なります。未経験で入社した場合は年収300万円前後からスタートし、経験を積むにつれて上昇します。10年以上の経験者や現場監督クラスになると、年収500万〜600万円に達することもあります。電気工事士の年収・給料の実態では、職種別・経験年数別の年収データを詳しく解説しています。

電気工事士2種は未経験でも就職できますか?

電気工事士2種の資格があれば、電気工事の実務未経験でも就職は十分可能です。電気工事業界は慢性的な人手不足で、有効求人倍率は約3.5倍と高水準です。多くの企業が、資格保有者を未経験でも採用し、OJT(現場での実地訓練)を通じて育成する体制を整えています。ただし、実務経験を積むまでは見習いとして補助的な作業から始めることが一般的です。資格取得が就職の入り口となり、実務経験がキャリアの土台になります。

電気工事士2種でDIYはどこまでできますか?

電気工事士2種の資格があれば、自宅の電気工事をDIYで行うことが可能です。具体的には、コンセントやスイッチの増設・交換、照明器具の取り付け、エアコン専用回路の設置、分電盤のブレーカー交換などが行えます。ただし、電気工事士法や電気設備技術基準に準拠した適切な施工が求められます。作業後は必ず絶縁抵抗測定などの検査を行い、安全を確認する必要があります。資格がなければこれらの工事は一切行えないため、DIY愛好家にとって電気工事士2種は非常に価値のある資格です。

まとめ:電気工事士2種は将来性の高い国家資格

電気工事士2種は、一般用電気工作物(600V以下の住宅や小規模店舗)の電気工事を行うために必要不可欠な国家資格です。受験資格に制限がなく、筆記試験と技能試験の合格率はそれぞれ約60%、約70%と、適切な準備をすれば十分に合格可能な試験です。資格取得により、電気工事会社、ビル管理、家電量販店など多様な業界で就職・転職が有利になり、資格手当による収入アップや将来的な独立開業の道も開かれます。

まずは、電気工事士2種のおすすめテキストを使って基礎知識を固め、電気工事士2種の過去問で実力を確認しましょう。電気工事士2種の勉強時間を参考に学習計画を立て、電気工事士2種技能試験の対策で実技スキルを磨くことで、着実に合格へ近づけます。

電気工事士2種は、社会インフラを支える技術者としての第一歩であり、長期的なキャリアの土台となる資格です。計画的な学習と継続的な努力で、電気工事士2種の資格取得を実現し、新たなキャリアの可能性を広げましょう。

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