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公認会計士試験の合格率推移と短答式・論文式の傾向分析

公認会計士試験の勉強を始めようと考えているあなたへ。「公認会計士試験の合格率はどのくらいなのか」「短答式と論文式でどう違うのか」という疑問は、試験の実態を正確に把握することで解決できます。

本記事では、公認会計士試験の最新合格率データ、過去10年間の推移、短答式試験と論文式試験それぞれの傾向について、公認会計士・監査審査会の公式データを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、公認会計士試験合格に向けた現実的な学習計画を立てましょう。

この記事を読むとわかること
  • 公認会計士試験の最新合格率と過去10年の推移
  • 短答式試験と論文式試験の合格率の違いと傾向
  • 年齢別・職業別の合格率データと分析
  • 合格率を上げるための具体的な戦略
押さえておきたい3つのポイント
  1. 公認会計士試験全体の合格率は約7-8%:願書提出者ベースでは7-8%程度ですが、短答式試験の合格率は10%前後、論文式試験の合格率は36%前後と、試験段階によって大きく異なります。
  2. 短答式試験の突破が最大の関門:公認会計士試験では短答式試験の合格率が低く、受験者の約9割がこの段階で不合格となります。短答式試験対策に十分な時間を割くことが合格への近道です。
  3. 合格率は受験者層によって変動:20代の合格率が最も高く、学生と社会人では合格率に差があります。自分の属性に応じた学習戦略を立てることで、効率的に合格を目指せます。

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目次

公認会計士(CPA)試験の最新合格率【令和6年度】

公認会計士試験の合格率を正確に理解することは、学習計画を立てる上で非常に重要です。令和6年度(2024年度)の最新データをもとに、公認会計士試験の合格率について詳しく見ていきましょう。

公認会計士試験全体の合格率は7.4%

令和6年度の公認会計士試験において、願書提出者ベースでの合格率は7.4%となっています(公認会計士・監査審査会発表データ)。願書提出者数が約13,000人に対し、最終合格者数は約1,000人という数値です。

この数値だけを見ると非常に低い合格率に感じられますが、実際には試験の各段階で異なる合格率となっています。願書提出者の中には短答式試験を受験しない者も含まれるため、実際の受験者ベースで見ると合格率は若干上昇します。

公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2段階に分かれており、それぞれの合格率を分けて理解することで、試験の実態がより明確になります。

短答式試験の合格率は10%前後

公認会計士試験の第一関門である短答式試験の合格率は、例年10%前後で推移しています。令和6年度の第Ⅰ回短答式試験では合格率が12.1%、第Ⅱ回では9.8%となっており、平均すると約11%程度です。

短答式試験は4科目(企業法、管理会計論、監査論、財務会計論)のマークシート形式の試験で、総点の70%以上を取得し、かつ1科目でも満点の40%未満がないことが合格基準となっています。この足切り制度により、苦手科目がある受験者は総得点が高くても不合格となるリスクがあります。

短答式試験は年2回(5月・12月)実施されており、受験チャンスは多いものの、合格率の低さから何度も挑戦する受験者も少なくありません。

論文式試験の合格率は36.8%

短答式試験を突破した受験者が挑む論文式試験の合格率は、令和6年度で36.8%となっています。短答式試験と比較すると合格率は約3.7倍高く、短答式試験さえ突破できれば、論文式試験での最終合格の可能性は大きく高まります。

論文式試験は5科目(会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目)の記述式試験で、各科目の偏差値をもとに合格判定が行われます。偏差値52以上(科目合格の場合は偏差値56以上)が一つの目安とされており、全体的にバランスの取れた得点が求められます。

論文式試験は年1回(8月)のみの実施のため、不合格の場合は次のチャンスまで1年待つ必要があります。ただし、短答式試験の免除期間は2年間あるため、論文式試験には2回までチャンスがあります。

公認会計士試験の難易度について、より詳しく知りたい方は公認会計士試験の難易度の記事も参考にしてください。

公認会計士試験の難易度に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験の難易度|他資格との比較と合格への道筋

公認会計士(CPA)試験の合格率推移【過去10年】

公認会計士試験の合格率は、時代とともに変動してきました。過去10年間のデータを分析することで、現在の試験環境をより深く理解できます。

願書提出者数と合格者数の推移

過去10年間(平成26年度~令和6年度)の公認会計士試験における願書提出者数と合格者数の推移を見ると、いくつかの傾向が見えてきます。

願書提出者数は平成26年度の約10,800人から令和6年度の約13,000人へと増加傾向にあります。これは公認会計士という資格への注目度が高まっていることを示しています。一方、合格者数は年度によって変動があるものの、概ね1,000人~1,300人の範囲で推移しています。

特に注目すべきは、令和3年度以降、願書提出者数が急増している点です。コロナ禍を契機として資格取得への関心が高まったこと、リモートワークの普及により学習時間を確保しやすくなったことなどが背景にあると考えられます。

合格率の変遷と転換点

過去10年間の公認会計士試験の合格率推移を見ると、平成26年度の10.1%から令和6年度の7.4%へと、緩やかな低下傾向にあります。これは願書提出者数の増加に対し、合格者数の増加ペースが追いついていないためです。

短答式試験の合格率については、平成26年度から令和6年度まで概ね10-13%の範囲で推移しており、比較的安定しています。一方、論文式試験の合格率は35-38%の範囲で推移しており、こちらも大きな変動は見られません。

令和元年度から令和2年度にかけて、合格率がやや上昇した時期がありました。これは新型コロナウイルス感染症の影響により、受験者の学習環境が変化したことが一因と考えられます。在宅時間の増加により、集中的に学習できた受験者が増えた可能性があります。

平成19年のピークと平成23年の最低値

公認会計士試験の歴史を振り返ると、平成19年(2007年)が合格率のピークでした。この年の合格率は14.8%に達し、合格者数も約2,695人と過去最多を記録しました。これは、公認会計士の数を増やすという国の政策方針により、意図的に合格者数を増加させたためです。

しかし、その後の監査法人における就職難問題などを受けて、合格者数は段階的に抑制される方向に転換しました。平成23年(2011年)には合格率が6.5%まで低下し、近年の水準に近い数値となりました。

現在の合格率7-8%という水準は、平成23年以降の基調が継続しているものと言えます。公認会計士・監査審査会は、合格者数について「年間1,500人程度を目安とする」という方針を示しており、今後も大きな変動はないと予想されます。

公認会計士(CPA)短答式試験の合格率と傾向

公認会計士試験の第一関門である短答式試験は、合格率が低く、多くの受験者がここでつまずきます。短答式試験の合格率と傾向を詳しく理解することで、効果的な対策が立てられます。

第Ⅰ回と第Ⅱ回の合格率の違い

公認会計士短答式試験は年2回実施されており、第Ⅰ回(5月)と第Ⅱ回(12月)では合格率に若干の違いが見られます。

令和6年度のデータを見ると、第Ⅰ回短答式試験の合格率は12.1%、第Ⅱ回は9.8%でした。第Ⅰ回の方が合格率がやや高い傾向にありますが、これは受験者層の違いが影響していると考えられます。

第Ⅰ回は大学4年生や社会人など、十分な準備期間を経た受験者が多く受験する傾向があります。一方、第Ⅱ回は大学3年生など、学習途中の受験者も含まれるため、全体の合格率がやや低くなります。ただし、これはあくまで傾向であり、個々の受験者の学習状況によって合格可能性は大きく異なります。

短答式試験のボーダーライン推移

公認会計士短答式試験のボーダーラインは、原則として総点数の70%以上とされています。令和6年度第Ⅰ回試験では、合格最低点が総点400点満点中280点(70%)でした。

ただし、試験の難易度によってボーダーラインが調整されることがあります。過去には、試験が難しかった回で合格最低点が65-68%程度に引き下げられたこともあります。近年は概ね68-72%の範囲で推移しており、70%を一つの目安として学習を進めることが推奨されます。

また、科目別の足切り基準(各科目40%以上)も重要です。総得点が70%を超えていても、1科目でも40%未満の科目があれば不合格となります。このため、苦手科目を作らないバランスの取れた学習が必要です。

短答式試験の合格率が低い理由

公認会計士短答式試験の合格率が10%前後と低い理由は、複数の要因が重なっています。

第一に、試験範囲の広さです。4科目それぞれが専門的な知識を問う内容であり、全範囲をカバーするには1,500-2,000時間程度の学習時間が必要とされています。会計学(財務会計論・管理会計論)だけでも膨大な学習量が求められます。

第二に、足切り制度の存在です。総得点が70%以上でも、1科目でも40%未満があれば不合格となる仕組みは、受験者にとって大きなプレッシャーとなります。得意科目で高得点を取っても、苦手科目で足を引っ張られるリスクが常にあります。

第三に、受験者全体のレベル上昇です。公認会計士を目指す受験者の多くは予備校を利用しており、平均的な学習レベルが年々上昇しています。相対的な競争の中で上位10%に入ることは、決して容易ではありません。

短答式試験の科目別合格基準

公認会計士短答式試験の科目別合格基準を理解することは、効率的な学習戦略を立てる上で重要です。

短答式試験は以下の4科目から構成されています。

  • 財務会計論:200点満点(問題19問)
  • 管理会計論:100点満点(問題19問)
  • 監査論:100点満点(問題19問)
  • 企業法:100点満点(問題19問)

合格基準は、総点数の70%以上(400点満点中280点以上)かつ、各科目の得点が満点の40%以上であることです。つまり、財務会計論は80点以上、その他3科目はそれぞれ40点以上を確保する必要があります。

科目別の配点を考えると、財務会計論が全体の50%を占めており、最も重要な科目と言えます。財務会計論で高得点を確保できれば、全体の合格可能性が大きく高まります。一方で、他の科目も40%以上を確保しなければならないため、バランスの取れた学習が不可欠です。

公認会計士短答式試験の詳細な対策方法については、公認会計士短答式試験の対策方法の記事で詳しく解説しています。

公認会計士短答式試験に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士短答式試験の科目・難易度・合格率と対策方法

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公認会計士論文式試験の合格率と傾向

短答式試験を突破した受験者が挑む論文式試験は、短答式とは異なる特徴と傾向があります。論文式試験の合格率と対策のポイントを理解しましょう。

論文式試験の合格率が安定している理由

公認会計士論文式試験の合格率は、過去10年間で35-38%の範囲で安定的に推移しています。令和6年度は36.8%と、ほぼ例年通りの水準でした。

論文式試験の合格率が比較的高く安定している理由は、受験者層の質が均一化されているためです。短答式試験を突破した受験者のみが論文式試験を受験できるため、一定以上の学力を持つ受験者に絞られています。

また、公認会計士・監査審査会は、年間合格者数を概ね1,000-1,500人程度とする方針を示しています。短答式試験の合格者数が年間2,500-3,000人程度であることを考えると、論文式試験の合格率が35-40%程度に落ち着くのは自然な結果と言えます。

短答式試験を突破できた受験者にとって、論文式試験は決して低いハードルではありませんが、適切な対策を行えば十分に合格可能な水準です。

論文式試験の偏差値とボーダーライン

公認会計士論文式試験では、偏差値を基準とした合格判定が行われます。これは短答式試験の点数制とは大きく異なる特徴です。

論文式試験の合格基準は以下の通りです。

  • 総合偏差値が52以上であること
  • 40%未満の得点比率となった科目がないこと(足切り防止)
  • 科目合格基準(偏差値56以上)を満たす科目がある場合、その科目は次回以降免除

偏差値52という基準は、受験者全体の上位約30-40%に相当します。絶対的な得点ではなく、他の受験者との相対的な位置で合否が決まるため、「何点取れば合格」という明確な目標は設定しにくい特徴があります。

ただし、過去のデータから、各科目で50-55%程度の得点率を確保できれば、偏差値52以上に達する可能性が高いことが分かっています。極端に低い得点の科目を作らず、全科目でバランス良く得点することが重要です。

論文式試験の科目別得点比率

公認会計士論文式試験は5科目から構成されており、それぞれの配点比率が異なります。

科目別の配点は以下の通りです。

  • 会計学:300点(監査論100点、財務会計論200点)
  • 監査論:100点
  • 企業法:100点
  • 租税法:100点
  • 選択科目:100点(経営学、経済学、民法、統計学から1科目選択)

会計学の配点が全体の300点/700点(約43%)を占めており、論文式試験においても会計学が最重要科目であることが分かります。特に財務会計論は200点と最も配点が高く、ここでの得点が合否を大きく左右します。

選択科目については、多くの受験者が経営学を選択しています。経営学は公認会計士業務との親和性が高く、比較的対策がしやすいためです。ただし、大学での専攻や得意分野に応じて、他の科目を選択することも可能です。

各科目で40%以上の得点比率を確保することが足切り回避の最低条件ですが、実際には50%以上を目標に学習を進めることが推奨されます。

公認会計士論文式試験の詳細については、公認会計士論文式試験の内容の記事も参考にしてください。

公認会計士論文式試験に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士論文式試験の内容・対策・合格率を詳しく解説

公認会計士試験の合格率を年齢別・職業別に分析

公認会計士試験の合格率は、受験者の年齢や職業によって傾向が異なります。自分の属性に応じた学習戦略を立てることで、効率的に合格を目指せます。

20代の合格率が高い理由

公認会計士試験の合格者を年齢別に見ると、20代が全体の約70-75%を占めています。令和6年度の合格者データでは、25歳以下が約55%、26-30歳が約20%となっており、合計で75%を超えています。

20代の合格率が高い理由は、学習時間を確保しやすい環境にあることが大きな要因です。大学生や大学院生、または社会人経験が浅い時期は、相対的に時間的余裕があり、集中的に学習に取り組めます。

また、記憶力や集中力などの学習能力も、20代が最も高い水準にあると考えられます。公認会計士試験は膨大な知識を記憶する必要があるため、若年層に有利な面があることは否定できません。

ただし、これは統計的な傾向であり、30代以降でも合格する受験者は多数います。年齢よりも、適切な学習方法と十分な学習時間の確保が重要です。

学生と社会人の合格率比較

公認会計士試験の合格者を職業別に分類すると、学生(大学生・大学院生)が約50-55%、会社員が約25-30%、その他(無職、専念受験生など)が約15-20%となっています。

学生の合格率が高い理由は、学習時間を確保しやすいことに加え、大学の授業で会計や法律を学んでいることが挙げられます。特に商学部や経済学部の学生は、公認会計士試験の学習内容と大学の授業が重なる部分が多く、効率的に学習を進められます。

社会人の場合、仕事と学習の両立が最大の課題となります。しかし、適切な時間管理と効率的な学習方法を実践することで、社会人でも十分に合格は可能です。実際に、働きながら合格を果たす受験者は毎年一定数存在しています。

社会人受験者の多くは、予備校の通信講座やオンライン講座を活用し、通勤時間や早朝・夜間を学習時間に充てています。週末にまとまった学習時間を確保し、平日は1-2時間程度の学習を継続することで、2-3年での合格を目指すケースが一般的です。

高卒者の合格率と学歴別傾向

公認会計士試験には学歴要件がなく、高卒者でも受験可能です。ただし、実際の合格者の学歴を見ると、大学卒業以上が約95%を占めており、高卒者の合格は少数派です。

高卒者の合格率が低い傾向にある理由は、試験内容の専門性の高さが挙げられます。公認会計士試験は大学レベルの会計学や法律学の知識を前提としており、独学で全範囲をカバーするには相当な努力が必要です。

ただし、高卒であっても予備校を活用すれば、十分に合格は可能です。予備校のカリキュラムは大学の授業を前提としていないため、基礎から体系的に学習できます。実際に、高卒から公認会計士試験に合格し、活躍している会計士も存在します。

大学別の合格率については、慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学などの有名私立大学や、東京大学、京都大学などの国立大学の合格者数が多い傾向にあります。これらの大学には公認会計士を目指す学生が多く、大学のサポート体制も充実していることが背景にあります。

公認会計士試験の合格率が低い5つの理由

公認会計士試験の合格率が7-8%と低い水準にある背景には、試験制度と受験環境の特性があります。合格率が低い理由を理解することで、効果的な対策が見えてきます。

試験範囲の広さと専門性の高さ

公認会計士試験の合格率が低い最大の理由は、試験範囲の広さと内容の専門性です。短答式試験だけでも4科目、論文式試験では5科目を学習する必要があり、全範囲をカバーするには3,000-4,000時間程度の学習時間が必要とされています。

会計学(財務会計論・管理会計論)は、企業会計や原価計算など、非常に幅広い知識が求められます。監査論は監査の理論と実務、企業法は会社法を中心とした法律知識、租税法は所得税法や法人税法など、それぞれが専門的な内容です。

各科目が独立した専門分野であり、全科目で高いレベルの理解と記憶が求められることが、公認会計士試験の難易度を高めています。特に法律系科目は、会計学とは異なる思考法が必要となるため、苦手意識を持つ受験者も多くいます。

足切り制度による不合格リスク

公認会計士試験では、短答式・論文式ともに足切り制度が設けられています。これは、総得点が高くても、特定の科目で基準点を下回れば不合格となる仕組みです。

短答式試験では各科目40%以上、論文式試験では各科目の得点比率が40%以上であることが条件です。この制度により、得意科目で高得点を取って苦手科目をカバーする戦略が通用しません。

足切り制度は、公認会計士として必要な幅広い知識を持つことを担保するための仕組みですが、受験者にとっては大きなプレッシャーとなります。苦手科目を作らないバランスの取れた学習が必須であり、これが合格率の低さに繋がっています。

受験者全体のレベル上昇

公認会計士試験の受験者全体のレベルは、年々上昇しています。現在、公認会計士を目指す受験者の約90%以上が予備校を利用しており、体系的かつ効率的な学習を行っています。

大手予備校(CPA会計学院、TAC、大原など)のカリキュラムは非常に洗練されており、適切に学習を進めれば短答式試験突破レベルには到達できる内容です。つまり、受験者の大多数が一定水準以上の学力を持っており、その中で上位10%(短答式)、上位35%(論文式)に入る必要があります。

相対評価の側面が強い試験において、受験者全体のレベル上昇は、個々の受験者にとってより高い学習レベルが求められることを意味します。予備校のテキストを一通り学習するだけでは不十分で、過去問演習や答練での実践力養成が不可欠です。

短答式免除が2年間のみという時間制約

公認会計士試験では、短答式試験に合格すると2年間の免除期間が与えられます。この期間内に論文式試験に合格できなかった場合、再度短答式試験から受け直す必要があります。

2年間で2回の論文式試験受験チャンスがありますが、十分な準備期間を確保できずに不合格となるケースも少なくありません。特に1回目の論文式試験で不合格となった場合、次回まで1年間の準備期間がありますが、学習のモチベーション維持や生活費の確保など、精神的・経済的な負担が大きくなります。

また、2年の免除期間が切れて短答式試験から再受験となると、論文式試験の学習に費やした時間が一部無駄になってしまいます。この時間制約が、受験者に大きなプレッシャーを与え、合格率の低下要因の一つとなっています。

効率的な学習計画については、公認会計士試験の勉強時間の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

公認会計士試験の勉強時間に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士試験に必要な勉強時間|合格までのスケジュール

公認会計士試験の合格率を上げるための戦略

公認会計士試験の合格率は低いものの、適切な戦略を立てることで合格可能性を大きく高めることができます。実践的な合格戦略を紹介します。

予備校活用で合格率を大幅に向上

公認会計士試験において、予備校の活用は合格率を大きく左右する要因です。実際に、合格者の約90%以上が予備校を利用しています。

予備校を活用するメリットは、以下の点にあります。第一に、試験範囲を網羅した体系的なカリキュラムが提供されることです。独学では何をどの順序で学習すべきか判断が難しいですが、予備校ではプロが設計した最適な学習順序で進められます。

第二に、最新の試験傾向に対応した教材と情報が得られることです。公認会計士試験は毎年出題傾向が変化しますが、予備校は過去のデータを分析し、重要論点を絞り込んだ教材を提供しています。

第三に、定期的な答練や模擬試験で実力を測定できることです。自分の現在地を把握し、弱点を特定することで、効率的な学習が可能になります。

主要な予備校には、CPA会計学院、TAC、大原などがあります。それぞれ特徴が異なるため、自分の学習スタイルに合った予備校を選ぶことが重要です。予備校選びについては、公認会計士予備校の選び方で詳しく比較していますので、参考にしてください。

短答式試験の突破が最重要

公認会計士試験において、短答式試験の突破が最も重要な課題です。合格率10%という難関を突破できれば、論文式試験の合格率は36%と大きく上昇します。

短答式試験対策のポイントは、まず4科目すべてで40%以上を確保できる基礎力を固めることです。足切りを避けるため、苦手科目を作らないことが絶対条件となります。

次に、財務会計論での高得点を目指すことです。配点が200点と全体の50%を占めるため、財務会計論で確実に得点できれば、全体の合格可能性が大きく高まります。簿記や財務諸表論の基礎を徹底的に固め、過去問演習を繰り返すことが効果的です。

また、過去問と答練の活用も重要です。短答式試験は択一式問題のため、過去問のパターンを理解し、解答テクニックを身につけることで得点力が向上します。予備校の答練を積極的に受験し、本番と同じ時間配分で問題を解く訓練を重ねましょう。

論文式試験の偏差値対策

公認会計士論文式試験は偏差値による相対評価のため、短答式試験とは異なる対策が必要です。偏差値52以上を目標とし、全体のバランスを意識した学習が求められます。

論文式試験対策のポイントは、まず答案作成能力を高めることです。論文式試験は記述式のため、知識があっても答案として表現できなければ得点になりません。模範解答を参考にしながら、分かりやすく論理的な答案を書く訓練が必要です。

次に、時間配分の練習を繰り返すことです。論文式試験は各科目で制限時間があり、時間内にすべての問題に解答する必要があります。事前に時間配分を決め、その通りに解答する練習を重ねることで、本番でも落ち着いて対応できます。

また、苦手科目を作らないことも重要です。偏差値は相対評価のため、得意科目で高得点を取っても、苦手科目が足を引っ張ると全体の偏差値が下がります。全科目で平均以上を目指し、バランスの取れた学習を心がけましょう。

科目別の得点バランスを意識

公認会計士試験では、科目別の得点バランスが合否を大きく左右します。足切り制度があるため、特定の科目で極端に低い点数を取ると、他の科目で高得点を取っても不合格となってしまいます。

科目別の学習時間配分の目安は、以下の通りです。

  • 財務会計論:全体の35-40%(最重要科目)
  • 管理会計論:全体の20-25%
  • 監査論:全体の15-20%
  • 企業法:全体の15-20%
  • 租税法(論文式):全体の10-15%

財務会計論に最も多くの時間を割くべきですが、他の科目も疎かにしてはいけません。特に法律系科目(企業法・租税法)は、暗記項目が多いため、継続的な学習が必要です。

苦手科目がある場合は、早めに克服することが重要です。短答式試験の直前期に苦手科目に時間を割くと、得意科目の得点力が低下するリスクがあります。学習初期の段階で、全科目の基礎を固め、バランスの取れた得点力を養成しましょう。

公認会計士予備校の選び方に関してもっと詳しい記事はこちら
公認会計士予備校の選び方|大手校の特徴と費用を比較

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公認会計士の合格率に関連するよくある質問(FAQ)

公認会計士試験の合格率について、受験者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q. 公認会計士試験の合格率は今後どうなりますか?

公認会計士試験の合格率は、今後も概ね7-8%程度で推移すると予想されます。公認会計士・監査審査会は年間合格者数を1,500人程度とする方針を示しており、願書提出者数が大きく変動しない限り、合格率も安定的に推移するでしょう。

ただし、短期的には受験者数の増減により合格率が変動する可能性があります。近年は公認会計士への関心が高まっており、受験者数が増加傾向にあるため、一時的に合格率が低下することも考えられます。長期的な視点では、公認会計士の需要は堅調であり、合格者数の大幅な変更はないと見られています。

Q. 公認会計士の短答式と論文式、どちらの合格率が低いですか?

公認会計士試験では、短答式試験の合格率の方が圧倒的に低いです。短答式試験の合格率は約10%であるのに対し、論文式試験の合格率は約36%です。つまり、短答式試験を突破することが、公認会計士試験における最大の関門と言えます。

短答式試験の合格率が低い理由は、受験者層が幅広く、学習途中の受験者も多く含まれるためです。一方、論文式試験は短答式試験を突破した受験者のみが受験するため、一定水準以上の学力を持つ受験者に絞られ、相対的に合格率が高くなります。

Q. 公認会計士試験の合格率は他の資格と比べて低いですか?

公認会計士試験の合格率7-8%は、他の難関資格と比較しても低い水準です。例えば、税理士試験の各科目合格率は10-15%程度、司法書士試験の合格率は約4-5%、司法試験の合格率は約30-40%(予備試験突破者のみ)となっています。

公認会計士試験の合格率が低い主な理由は、試験範囲の広さと専門性の高さにあります。短答式4科目、論文式5科目という多くの科目を学習する必要があり、全範囲をカバーするには3,000-4,000時間の学習時間が必要です。

ただし、合格率だけで難易度を判断することはできません。受験者層や試験内容によって難易度は異なるため、自分に合った資格を選択することが重要です。公認会計士と他の資格の比較については、公認会計士と税理士の違いの記事も参考にしてください。

Q. 公認会計士試験の合格率が低下している理由は何ですか?

公認会計士試験の合格率が近年やや低下している主な理由は、受験者数の増加にあります。令和3年度以降、願書提出者数が急増しており、令和6年度には約13,000人に達しました。一方、合格者数は年間1,000-1,300人程度で安定しているため、相対的に合格率が低下しています。

受験者数増加の背景には、コロナ禍を契機とした資格取得への関心の高まりや、リモートワークの普及による学習時間の確保がしやすくなったことなどがあります。また、公認会計士の年収や働き方の魅力が広く認知されるようになり、新たに挑戦する受験者が増えたことも要因の一つです。

ただし、合格者数自体は大きく変動していないため、適切な学習を行えば合格可能性は十分にあります。むしろ、受験者全体のレベル上昇に対応した、質の高い学習が求められていると言えるでしょう。

Q. 公認会計士試験の合格率は年齢によって違いますか?

公認会計士試験の合格率は、年齢によって統計的な差があります。合格者の約70-75%が20代であり、25歳以下が約55%、26-30歳が約20%を占めています。30代以降の合格者は全体の約25%程度です。

20代の合格率が高い理由は、学習時間を確保しやすいことや、記憶力などの学習能力が高い水準にあることが挙げられます。特に大学生や大学院生は、学業と並行して公認会計士試験の学習を進められるため、効率的に合格を目指せます。

ただし、30代以降でも合格する受験者は多数おり、年齢が高いことが不利になるわけではありません。社会人経験を活かした理解力や、目的意識を持った集中的な学習により、効率的に合格を目指すことが可能です。重要なのは年齢ではなく、適切な学習方法と十分な学習時間の確保です。

Q. 公認会計士試験で複数回受験する人の割合はどのくらいですか?

公認会計士試験は難関資格のため、複数回受験して合格する人が多数います。合格者の平均受験回数は、短答式試験で2-3回、論文式試験で1-2回程度と言われています。

初回受験で最終合格する受験者は全体の約10-20%程度であり、多くの受験者は2回以上の挑戦を経て合格しています。特に短答式試験は合格率が10%と低いため、複数回受験することは珍しくありません。

複数回受験することは決して失敗ではなく、むしろ一般的なプロセスです。重要なのは、各回の受験で得た経験や反省を次回の学習に活かし、着実にレベルアップを図ることです。予備校の答練や模擬試験を活用し、自分の弱点を克服しながら学習を進めることで、合格に近づくことができます。

まとめ:公認会計士試験の合格率と合格への道筋

本記事では、公認会計士試験の合格率について、最新データと過去の推移、短答式試験と論文式試験それぞれの傾向、そして合格率を上げるための戦略について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  1. 公認会計士試験全体の合格率は7-8%:願書提出者ベースでの合格率は低いものの、短答式試験(10%)と論文式試験(36%)に分けて考えることで、現実的な目標設定が可能です。短答式試験を突破できれば、最終合格の可能性は大きく高まります。
  2. 短答式試験の突破が最大の関門:公認会計士試験では短答式試験の合格率が最も低く、ここを突破することが最重要課題です。4科目すべてで40%以上を確保し、特に財務会計論での高得点を目指すことが効果的な戦略です。
  3. 適切な学習戦略で合格率は大きく向上:予備校の活用、科目別のバランスを意識した学習、過去問演習の徹底により、合格可能性を大きく高めることができます。自分の属性(年齢、職業、学習環境)に応じた現実的な学習計画を立てることが重要です。

公認会計士試験の合格率を理解できたら、次は具体的な学習計画を立てましょう。公認会計士試験の勉強時間公認会計士の勉強法を参考に、自分に合った学習スケジュールを組み立てることをおすすめします。また、予備校の活用を検討している方は、公認会計士予備校の選び方で各校の特徴を比較してみてください。

本記事を通じて、公認会計士試験の合格率の実態と、合格に向けた具体的な道筋を理解いただけたはずです。合格率は決して高くありませんが、適切な戦略と継続的な努力により、十分に達成可能な目標です。これらの情報を活用して、公認会計士試験合格に向けて着実な一歩を踏み出しましょう。

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