中小企業診断士養成課程について知りたいあなたへ。「二次試験を避けて確実に資格を取得したい」という思いは、養成課程という選択肢で実現できます。本記事では、中小企業診断士養成課程の基本的な仕組みと試験免除のメリット、300万円〜600万円という費用の実態と費用対効果、そして働きながら通える機関の選び方について、実際のデータを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、中小企業診断士資格取得に向けて、自分に最適なルートを選択しましょう。
この記事を読むとわかること
- 中小企業診断士養成課程の仕組みと二次試験免除のメリット
- 養成課程の費用相場(300万円〜600万円)と各機関の比較
- 働きながら通える養成課程機関と時間管理のコツ
- 養成課程と試験ルートの選択基準と判断ポイント
押さえておきたい3つのポイント
- 二次試験免除で確実に資格取得:中小企業診断士養成課程を修了すると、難関の二次試験(筆記・口述)が免除され、修了と同時に実務補習を経て登録できます。二次試験の合格率は約20%と低いため、養成課程は確実性の高いルートといえるでしょう。
- 費用は300万円〜600万円程度:中小企業診断士養成課程の受講料は機関によって異なりますが、多くは300万円〜600万円程度です。試験ルートの費用(予備校利用で10万円〜50万円)と比べると高額ですが、二次試験対策の時間と労力、不合格のリスクを考慮すると、費用対効果は個人の状況によって変わります。
- 働きながら通える機関も充実:夜間・土日開講の養成課程機関も増えており、社会人でも働きながら通学できる環境が整っています。オンライン併用が可能な機関もあり、柔軟な学習スタイルで資格取得を目指せます。
中小企業診断士で一発合格合格をめざす!人気の通信講座がこちら
中小企業診断士(SME診断士)養成課程とは?
中小企業診断士養成課程は、二次試験を経由せずに中小企業診断士資格を取得できる制度です。このセクションでは、養成課程の基本的な仕組みから試験免除のメリット、修了までの流れまで、養成課程の全体像を解説します。
養成課程の基本的な仕組み
中小企業診断士養成課程は、中小企業大学校や大学院などの登録養成機関で実施される実務研修プログラムです。一次試験に合格した方が入学でき、約6ヶ月〜2年間のカリキュラムを通じて、企業診断の実務スキルを体系的に学びます。座学だけでなく、実際の企業を対象とした診断実習が含まれており、実践的な経験を積むことができます。
養成課程では、中小企業の経営課題を分析し、改善提案を行う一連のプロセスを実習形式で学びます。グループワークやプレゼンテーションを通じて、コンサルティングに必要なコミュニケーション能力やチームワークも養われます。修了要件を満たせば、難関の二次試験を受けることなく、実務補習を経て中小企業診断士として登録できるのが最大の特徴です。
「養成課程」と「登録養成課程」の違い
中小企業診断士の養成には「養成課程」と「登録養成課程」の2種類があります。養成課程は中小企業大学校東京校が実施する国の機関によるプログラムで、年間約40名の定員で運営されています。一方、登録養成課程は経済産業大臣の登録を受けた民間の大学院やビジネススクールが実施するもので、全国に約10機関以上が存在します。
両者の主な違いは実施主体と費用です。養成課程は国の機関が運営するため費用が比較的抑えられていますが、登録養成課程は民間機関のため費用が高額になる傾向があります。ただし、カリキュラムの質や二次試験免除という点では、両者に大きな差はありません。自分の居住地や通学可能な時間帯、予算に応じて選択することをおすすめします。
二次試験免除で確実に資格取得できるルート
中小企業診断士養成課程の最大のメリットは、二次試験が免除される点です。中小企業診断士試験の二次試験は筆記試験と口述試験で構成され、合格率は約20%と低く、多くの受験者が苦戦しています。中小企業診断士二次試験は記述式の問題が中心で、企業の経営課題を分析し、具体的な改善策を提案する能力が問われるため、独学での対策が難しいとされています。
養成課程を修了すれば、この難関試験を経由せずに資格取得が可能です。修了率は機関によって異なりますが、一般的に80%〜90%程度といわれており、しっかりとカリキュラムに取り組めば確実に修了できる水準です。二次試験に何度も挑戦する時間と労力、精神的な負担を考えると、養成課程は確実性の高いルートといえるでしょう。
養成課程修了までの流れ
中小企業診断士養成課程の修了までの基本的な流れを説明します。まず、中小企業診断士一次試験に合格することが前提条件です。一次試験合格後、希望する養成課程機関の入学試験に出願し、書類審査や面接、小論文などの選考を受けます。合格すれば養成課程への入学が認められます。
入学後は、演習科目と実習科目を履修します。演習科目では経営戦略、マーケティング、財務分析などの理論を学び、実習科目では実際の企業を対象とした診断実習を行います。通常、5社程度の企業診断実習が含まれており、各企業の経営課題を分析し、改善提案をまとめて報告書を作成します。全てのカリキュラムを修了し、評価基準を満たせば養成課程修了となり、その後、実務補習を15日間受講することで中小企業診断士として登録できます。
中小企業診断士試験の全体像に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士とは?資格の仕事内容・試験概要・取得メリットを徹底解説
中小企業診断士(SME診断士)養成課程のメリット5つ
中小企業診断士養成課程には、試験ルートにはない独自のメリットが数多くあります。このセクションでは、養成課程を選ぶことで得られる5つの主要なメリットについて、具体的に解説します。
二次試験(筆記・口述)が免除される
養成課程の最大のメリットは、難関の二次試験が完全に免除されることです。中小企業診断士二次試験の合格率は例年20%前後と低く、一次試験に合格しても二次試験で何年も足踏みする受験者が少なくありません。二次試験は4科目の筆記試験と口述試験で構成され、事例問題を読み解いて記述式で回答する形式のため、対策に多くの時間を要します。
養成課程を修了すれば、この難関を経由せずに確実に資格取得へと進めます。修了率は一般的に80%〜90%程度で、真面目にカリキュラムに取り組めば、ほぼ確実に修了できるといえるでしょう。二次試験の不合格リスクや、複数年にわたる受験勉強のストレスから解放されることは、社会人にとって大きな安心材料となります。
実務に即したスキルが体系的に身につく
養成課程では、試験勉強では得られない実務的なスキルを体系的に学べます。座学で経営理論や分析手法を学ぶだけでなく、実際の企業を対象とした診断実習を通じて、現場で使える実践力が身につきます。企業の経営者や幹部と直接対話し、経営課題をヒアリングし、データを分析して改善提案をまとめるという一連のプロセスを経験できるのです。
試験ルートの場合、試験合格後に実務補習や実務従事を通じて実務経験を積みますが、養成課程ではより長期間、かつ体系的に実務を学べます。講師陣には実績豊富な現役コンサルタントや中小企業診断士が多く、彼らの知見やノウハウを直接吸収できることも大きな価値です。卒業後すぐにコンサルタントとして活動を始めたい方にとって、この実務スキルの習得は非常に役立ちます。
5社程度の企業診断実習で実践経験を積める
養成課程の実習科目では、通常5社程度の実際の企業を対象とした診断実習を行います。これは試験ルートの実務補習(15日間で約5社)よりも深く、時間をかけて取り組むことができる点が特徴です。チームを組んで企業を訪問し、経営者へのヒアリング、財務分析、市場調査、競合分析などを実施し、最終的に診断報告書を作成して経営者にプレゼンテーションを行います。
この実習を通じて、単なる知識ではなく、実際に企業の経営改善に貢献できる実践力が身につきます。また、様々な業種や規模の企業を診断することで、幅広い経営課題に触れることができ、コンサルタントとしての引き出しが増えます。実習先の企業から感謝されることも多く、やりがいを感じながら学べる環境が整っています。
中小企業診断士を目指す仲間と人脈ができる
養成課程では、同じ目標を持つ仲間との出会いが得られます。受講生は様々な業界・職種から集まっており、年齢層も20代から50代まで幅広いのが特徴です。グループワークや実習を通じて、互いに切磋琢磨しながら学ぶ環境があり、修了後も続く貴重な人脈が形成されます。
この人脈は、中小企業診断士として活動を始めた後も大きな資産となります。得意分野が異なる仲間と協力してプロジェクトに取り組んだり、情報交換をしたり、互いに案件を紹介し合ったりすることができます。また、養成課程を通じて知り合った講師陣とのつながりも、その後のキャリアにおいて貴重なネットワークとなるでしょう。
MBAを同時取得できる機関もある
一部の登録養成課程では、中小企業診断士資格とMBA(経営学修士)を同時に取得できるプログラムを提供しています。法政大学ビジネススクールや兵庫県立大学ビジネススクールなどがその代表例で、2年間のカリキュラムを修了することで、両方の資格・学位を手にすることができます。
MBA取得により、経営理論をより深く学べるだけでなく、学位としての社会的信用も得られます。特に、大手企業への転職やキャリアアップを考えている方、将来的に独立を視野に入れている方にとって、中小企業診断士とMBAの両方を持つことは大きなアドバンテージとなるでしょう。ただし、MBA取得には追加の学費と時間が必要となるため、自分のキャリアプランに照らして慎重に検討することをおすすめします。
中小企業診断士資格全体のメリット・デメリットに関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士のメリット・デメリット|資格取得の価値を検証
中小企業診断士(SME診断士)養成課程のデメリット5つ
中小企業診断士養成課程には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。このセクションでは、養成課程を選択する前に知っておくべき5つの主要なデメリットについて解説します。
費用が高額(300万円〜600万円程度)
養成課程の最大のデメリットは、受講費用が非常に高額であることです。機関によって異なりますが、多くの登録養成課程では300万円〜600万円程度の費用がかかります。これに加えて、教材費、交通費、実習に伴う費用なども必要となるため、トータルコストはさらに増加します。
試験ルートの場合、独学であれば参考書代や受験料を含めても10万円程度、予備校を利用しても20万円〜50万円程度で済むことを考えると、養成課程の費用負担は非常に大きいといえます。ただし、二次試験対策にかかる時間や労力、不合格を繰り返すリスクを考慮すれば、費用対効果は個人の状況によって変わります。教育訓練給付金制度が利用できる機関もあるため、制度の活用も検討するとよいでしょう。
通学の時間的負担が大きい
養成課程は通学が基本となるため、時間的な負担が大きくなります。平日の日中に開講される機関が多く、フルタイムで働いている社会人にとっては、仕事との両立が困難な場合があります。夜間・土日開講の機関もありますが、それでも週に数日、数時間の通学時間を確保する必要があります。
また、受講期間は6ヶ月〜2年と長期にわたるため、その間は仕事やプライベートの時間を大きく制約されることになります。転勤や異動、家庭の事情などで通学が困難になるリスクも考慮しなければなりません。養成課程を検討する際は、自分のライフスタイルや仕事の状況を十分に考慮し、本当に通学を継続できるか慎重に判断することが重要です。
修了できずに途中退学するケースもある
養成課程の修了率は80%〜90%程度と高い水準ですが、逆に言えば10%〜20%の受講生は修了できずに途中退学しているということです。主な理由としては、仕事との両立が困難になった、家庭の事情で通学できなくなった、カリキュラムについていけなかったなどが挙げられます。
修了要件は機関によって異なりますが、一定の出席率を満たす必要があり、実習報告書の提出や発表なども義務付けられています。これらの課題をこなすには相当の時間と労力が必要で、仕事が忙しい時期と重なると、両立が難しくなることもあります。途中退学した場合でも受講料は返還されないため、数百万円の投資が無駄になってしまうリスクがあることを理解しておく必要があります。
実施機関が関東・関西に集中している
中小企業診断士養成課程の実施機関は、関東地方(東京・神奈川など)と関西地方(大阪・兵庫など)に集中しており、地方在住者にとっては通学が困難な場合があります。地方にも一部の機関が存在しますが、選択肢が限られているのが現状です。
関東・関西以外の地域に住んでいる方が養成課程を受講する場合、転居や長距離通学を余儀なくされることもあります。これには追加の費用(家賃、交通費など)や時間的負担が伴います。オンライン併用が可能な機関も増えつつありますが、実習科目は対面での参加が必須の場合が多いため、完全にオンラインで完結させることは難しいでしょう。
入学試験に合格する必要がある
養成課程に入学するには、まず中小企業診断士一次試験に合格していることが前提条件です。その上で、各機関が実施する入学試験に合格する必要があります。入学試験の内容は機関によって異なりますが、書類審査、面接、小論文などが一般的です。
人気の高い機関では競争率が高く、入学試験に不合格となる可能性もあります。せっかく一次試験に合格しても、養成課程の入学試験に落ちてしまえば、養成課程ルートでの資格取得は難しくなります。入学試験対策にも時間を割く必要があり、志望動機や将来のキャリアプランを明確に説明できるよう準備しておくことが求められます。
中小企業診断士養成課程の実施機関一覧
中小企業診断士養成課程は、国の機関である中小企業大学校と、民間の登録養成機関で実施されています。このセクションでは、主要な実施機関を地域別に紹介し、それぞれの特徴を解説します。
養成課程(中小企業大学校東京校)
中小企業大学校東京校は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する国の養成課程です。国の機関が実施しているため、受講料は登録養成課程と比べて比較的抑えられているのが特徴です。年間の定員は約40名程度で、6ヶ月間の集中的なカリキュラムが組まれています。
中小企業大学校の養成課程は、平日の日中に開講されるため、基本的には休職や退職をして専念する必要があります。カリキュラムは演習科目と実習科目で構成され、実際の中小企業を対象とした診断実習も含まれます。国の機関ならではの充実した講師陣と、長年の実績に基づいた確立されたプログラムが魅力です。
登録養成課程の主な実施機関
登録養成課程は、経済産業大臣の登録を受けた民間の大学院やビジネススクールが実施しています。全国に約10機関以上が存在し、それぞれ独自のカリキュラムや特色を持っています。多くの機関では社会人向けに夜間・土日開講のプログラムを提供しており、働きながらでも通学できる環境が整っています。
登録養成課程の受講料は機関によって大きく異なりますが、概ね300万円〜600万円程度です。一部の機関では教育訓練給付金制度の対象となっており、条件を満たせば受講料の一部が給付されます。また、MBA同時取得が可能な機関もあり、キャリアプランに応じて選択できるのが特徴です。
関東地方の養成課程機関
関東地方には多くの登録養成課程機関が集中しており、選択肢が豊富です。代表的な機関としては、法政大学ビジネススクール(東京)、多摩大学大学院(東京)、国士舘大学大学院(東京)、日本生産性本部(東京)などがあります。
法政大学ビジネススクールは、MBAと中小企業診断士を同時取得できるプログラムを提供しており、2年間のカリキュラムで両方の資格を得ることができます。多摩大学大学院も同様にMBA取得が可能で、社会人向けに週末を中心としたスケジュールを組んでいます。日本生産性本部は平日夜間と土曜日の開講で、仕事を続けながら通える点が特徴です。
関西地方の養成課程機関
関西地方にも複数の登録養成課程機関があります。代表的な機関としては、兵庫県立大学ビジネススクール(兵庫)、流通科学大学大学院(兵庫)、関西生産性本部(大阪)などが挙げられます。
兵庫県立大学ビジネススクールは、公立大学が運営する養成課程で、MBAも同時取得できるプログラムが用意されています。神戸と大阪にキャンパスがあり、社会人が通いやすい夜間・土日開講です。関西生産性本部は平日夜間と土曜日に開講しており、働きながら受講できる環境が整っています。
その他地域の養成課程機関
関東・関西以外の地域にも、いくつかの養成課程機関が存在します。愛知県では名古屋商科大学ビジネススクールが登録養成課程を実施しており、東海地方の受講生にとって貴重な選択肢となっています。また、一部の機関ではオンライン併用のプログラムも提供されており、地方在住者でも受講しやすくなりつつあります。
ただし、地方の機関は数が限られているため、希望する時期や条件に合う養成課程が見つからない場合もあります。その場合は、関東や関西の機関への通学を検討するか、試験ルートでの資格取得を選択することになります。オンライン授業の拡充により、今後は地方在住者にとっても養成課程がより身近な選択肢となることが期待されます。
中小企業診断士で一発合格合格をめざす!人気の通信講座がこちら
働きながら通える中小企業診断士養成課程
社会人にとって、仕事を続けながら養成課程に通えるかどうかは重要な判断材料です。このセクションでは、働きながら通える養成課程機関の情報と、仕事との両立方法について解説します。
夜間・土日開講の養成課程機関一覧
多くの登録養成課程機関では、社会人向けに夜間・土日開講のプログラムを提供しています。関東地方では、法政大学ビジネススクール、多摩大学大学院、日本生産性本部などが平日夜間(18時30分〜21時30分頃)と土曜日を中心に授業を実施しています。
関西地方では、兵庫県立大学ビジネススクールと関西生産性本部が同様に夜間・土日開講のプログラムを提供しており、フルタイムで働きながらでも通学可能です。これらの機関では、受講生の多くが現役の社会人で、様々な業界・職種の人たちと交流できる環境が整っています。ただし、実習期間中は平日日中の企業訪問が必要になる場合もあるため、職場の理解と協力を得ておくことが重要です。
オンライン併用可能な機関
近年、オンライン授業を併用できる養成課程機関が増えています。一部の演習科目をオンラインで受講できる機関もあり、遠方からの通学負担を軽減できるようになってきました。ただし、実習科目は対面での参加が基本となるため、完全にオンラインのみで修了することは現状では難しいでしょう。
オンライン併用の形式は機関によって異なりますが、一般的には講義部分をオンライン配信し、グループワークや実習は対面で実施する「ハイブリッド型」が主流です。出張が多い仕事や、遠方に住んでいる方にとっては、オンライン併用が可能な機関を選ぶことで、通学の負担を大幅に軽減できます。各機関のウェブサイトや説明会で、オンライン対応の詳細を確認することをおすすめします。
働きながら通うための時間管理のコツ
働きながら養成課程に通うには、徹底した時間管理が不可欠です。まず、入学前に職場の上司や人事部門に相談し、業務調整や残業の削減について理解を得ておきましょう。養成課程に通っていることを職場に伝えることで、繁忙期の配慮や出張スケジュールの調整がしやすくなります。
日々のスケジュール管理では、授業のある日は定時退社を基本とし、授業後の課題や予習は週末にまとめて行うなど、メリハリをつけることが重要です。通勤時間を活用してテキストを読んだり、昼休みに課題を進めたりするなど、隙間時間を有効活用する工夫も必要です。中小企業診断士の勉強時間の管理術も参考にしながら、無理のない学習計画を立てましょう。
実習期間の仕事との両立方法
養成課程の実習期間は、仕事との両立が最も難しい時期といえます。企業診断実習では、実習先企業を訪問してヒアリングを行ったり、チームメンバーと打ち合わせをしたりする必要があり、平日の日中に時間を確保しなければならない場合があります。
実習期間に備えて、あらかじめ有給休暇を計画的に取得できるよう調整しておきましょう。また、職場に養成課程の意義を説明し、実習のための休暇取得や業務調整について理解を得ることが重要です。リモートワークが可能な職場であれば、実習の前後で在宅勤務を活用するなど、柔軟な働き方を検討するのも一つの方法です。チームメンバーと協力して、実習スケジュールを効率的に組むことも、両立を成功させるポイントとなります。
MBA同時取得可能な中小企業診断士養成課程
中小企業診断士資格とMBA(経営学修士)を同時に取得できる養成課程は、キャリアアップを目指す方にとって魅力的な選択肢です。このセクションでは、MBA同時取得が可能な主要機関と、そのメリット・負担について解説します。
法政大学ビジネススクール
法政大学ビジネススクール(イノベーション・マネジメント研究科)は、中小企業診断士資格とMBAを同時取得できる代表的な養成課程機関です。2年間のカリキュラムで両方を取得でき、1年目は主にMBAの科目を履修し、2年目に中小企業診断士養成課程のプログラムを集中的に履修する流れとなっています。
授業は平日夜間(19時〜22時頃)と土曜日に開講されており、社会人が働きながら通える環境が整っています。市ヶ谷キャンパスという都心の好立地も通学しやすさのポイントです。受講料は2年間で約500万円〜600万円程度と高額ですが、中小企業診断士とMBAの両方を効率的に取得できることを考えると、費用対効果は高いといえるでしょう。教育訓練給付金制度の対象にもなっています。
兵庫県立大学ビジネススクール
兵庫県立大学ビジネススクール(経営研究科)も、中小企業診断士資格とMBAを同時取得できるプログラムを提供しています。公立大学が運営しているため、私立大学と比較して受講料が抑えられているのが特徴で、2年間で約300万円〜400万円程度です。
神戸と大阪にキャンパスがあり、関西地方の社会人にとって通いやすい立地です。平日夜間と土日に開講しており、働きながらでも無理なく通学できます。関西地方でMBAと中小企業診断士の同時取得を目指す方にとって、最も有力な選択肢の一つといえるでしょう。充実した教授陣と実務家講師による指導も高く評価されています。
MBA取得のメリットと負担
中小企業診断士とMBAを同時取得することには、いくつかのメリットがあります。まず、経営理論をより深く体系的に学べることです。中小企業診断士の養成課程だけでも実務的なスキルは身につきますが、MBAではより学術的・理論的な経営学を学ぶことができ、知識の幅と深さが増します。
また、MBAという学位は社会的な信用度が高く、特に大手企業への転職や昇進、海外でのキャリア展開において有利に働くことがあります。中小企業診断士という実務的な資格と、MBAという学術的な学位の両方を持つことで、コンサルタントとしての信頼性や専門性をより強くアピールできるでしょう。
一方で、MBA取得には追加の負担も伴います。受講期間が2年間と長くなり、学費も高額になります。また、MBA科目の履修に加えて修士論文の執筆も必要となるため、時間的・精神的な負担は大きくなります。自分のキャリアプランや経済状況を踏まえて、MBA取得が本当に必要かどうかを慎重に判断することをおすすめします。
中小企業診断士養成課程の費用と期間
養成課程を選択する際、費用と期間は最も重要な検討事項の一つです。このセクションでは、各機関の費用比較から、期間、その他の必要経費まで、養成課程にかかるコストを詳しく解説します。
各機関の費用比較(300万円〜600万円)
中小企業診断士養成課程の受講料は、機関によって大きく異なります。国の機関である中小企業大学校東京校は比較的費用が抑えられており、約150万円〜200万円程度です。一方、民間の登録養成課程機関では、概ね300万円〜600万円程度が相場となっています。
具体的には、日本生産性本部や関西生産性本部などは約300万円〜350万円程度、MBA同時取得が可能な法政大学や多摩大学などは約500万円〜600万円程度となっています。公立大学である兵庫県立大学ビジネススクールは約300万円〜400万円程度と、私立大学よりも費用が抑えられています。教育訓練給付金制度が利用できる機関も多く、条件を満たせば受講料の一部(最大で56万円または70万円)が給付されます。
受講期間(6ヶ月〜2年)
養成課程の受講期間は機関によって異なり、短いもので6ヶ月、長いもので2年となっています。中小企業大学校東京校は約6ヶ月間の集中プログラムで、平日の日中に開講されるため、仕事を休職または退職して専念する必要があります。短期間で集中的に学べるメリットがある一方、時間的な拘束が大きいのが特徴です。
社会人向けの夜間・土日開講の機関では、1年〜1年半程度のプログラムが一般的です。働きながら通えるように授業が分散されているため、受講期間は長くなりますが、無理なく両立できる設計となっています。MBA同時取得の場合は2年間のプログラムとなり、1年目にMBA科目、2年目に中小企業診断士養成課程を履修する流れが多いです。
その他必要な費用(教材費・交通費等)
受講料以外にも、様々な費用が発生します。まず、教材費として年間数万円程度が必要です。また、通学にかかる交通費も無視できません。週に2〜3回通学する場合、定期券代を含めて年間10万円〜30万円程度かかることもあります。遠方から通う場合は、宿泊費も考慮する必要があります。
実習期間中には、実習先企業への訪問交通費や、チームメンバーとの打ち合わせのための飲食費なども発生します。また、実習報告書の作成や発表資料の印刷費用なども必要です。これらの諸経費を合計すると、受講料以外に年間20万円〜50万円程度の追加費用が発生すると見込んでおくとよいでしょう。
費用対効果の考え方
養成課程の費用対効果を考える際は、単純な金額だけでなく、時間や確実性も含めて総合的に判断することが重要です。試験ルートの場合、予備校を利用しても費用は20万円〜50万円程度で済みますが、二次試験の合格率は約20%と低く、何年も受験を繰り返す可能性があります。中小企業診断士試験の難易度を考えると、養成課程の確実性は大きな価値といえます。
また、養成課程で得られる実務経験や人脈も、金額には換算しにくい価値があります。修了後すぐにコンサルタントとして活動を始められる実践力や、同期や講師とのネットワークは、長期的なキャリアにおいて大きな資産となります。自分の年齢、キャリアステージ、経済状況を考慮して、養成課程への投資が自分にとって価値あるものかどうかを判断しましょう。
中小企業診断士試験の難易度に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士試験の難易度|他資格との比較と合格への道筋
中小企業診断士養成課程の入学資格と入学試験
養成課程に入学するには、一定の資格を満たし、入学試験に合格する必要があります。このセクションでは、受講資格から入学試験の内容、対策方法まで詳しく解説します。
受講資格(一次試験合格が必須)
中小企業診断士養成課程を受講するための最も基本的な条件は、中小企業診断士一次試験に合格していることです。一次試験は7科目の択一式マークシート試験で、合格率は例年20%〜30%程度です。まだ一次試験に合格していない方は、まず一次試験の合格を目指す必要があります。
一次試験合格後、その合格資格は合格年度を含めて3年間有効です。つまり、一次試験に合格してから3年以内であれば、養成課程への出願が可能です。ただし、養成課程の募集時期や定員は機関によって異なるため、一次試験合格後は早めに希望する機関の情報を収集し、出願準備を進めることをおすすめします。
入学試験の内容(書類審査・面接・小論文)
養成課程の入学試験は、一般的に書類審査、面接、小論文の3つで構成されます。書類審査では、志望動機書や職務経歴書、一次試験の合格証明書などを提出します。志望動機書では、なぜ養成課程を選択するのか、養成課程で何を学びたいのか、修了後どのようなキャリアを描いているのかを明確に記述することが求められます。
面接試験では、志望動機やこれまでの職務経験、中小企業診断士としてのキャリアビジョンなどについて質問されます。面接官は現役の中小企業診断士や大学教授が務めることが多く、受験者の適性やコミュニケーション能力、学習意欲などを総合的に評価します。小論文試験では、経営課題に関するテーマが出題され、論理的思考力や文章表現力が問われます。
入学試験の難易度
養成課程の入学試験の難易度は、機関によって異なります。人気の高い機関や定員の少ない機関では競争率が高くなり、入学試験の難易度も上がります。一般的に、MBA同時取得が可能な大学院や、都心の好立地にある機関は人気が高く、倍率が2倍〜3倍程度になることもあります。
ただし、養成課程の入学試験は、一次試験や二次試験ほど高い難易度ではありません。一次試験に合格する学力があり、明確な志望動機とキャリアビジョンを持っていれば、十分に合格可能な水準です。重要なのは、自分がなぜ養成課程を選ぶのか、修了後どのように中小企業診断士として活動していくのかを、説得力を持って説明できることです。
入学試験対策のポイント
入学試験対策で最も重要なのは、志望動機を明確にすることです。「二次試験が難しいから」「確実に資格を取りたいから」といった消極的な理由だけでなく、「実務的なスキルを体系的に学びたい」「企業診断実習を通じて実践力を身につけたい」といった前向きな動機を準備しましょう。自分の職務経験と絡めて、養成課程での学びが将来のキャリアにどう活きるのかを具体的に説明できるとよいでしょう。
面接対策としては、想定される質問に対する回答を事前に準備し、模擬面接を行うことをおすすめします。「なぜこの機関を選んだのか」「修了後、どのような分野のコンサルティングをしたいか」「仕事との両立はどう考えているか」といった典型的な質問には、スムーズに答えられるようにしておきましょう。小論文対策としては、経営に関する時事問題や中小企業の課題について日頃から情報収集し、論理的に文章を書く練習をしておくことが有効です。
中小企業診断士養成課程のカリキュラム内容
養成課程では、座学の演習科目と実践的な実習科目を通じて、中小企業診断士として必要なスキルを習得します。このセクションでは、カリキュラムの具体的な内容と修了要件について解説します。
演習科目の内容
演習科目では、中小企業診断士に必要な経営理論や分析手法を体系的に学びます。主な科目としては、経営戦略論、マーケティング論、財務分析、組織・人事管理、生産管理、情報システムなどがあり、一次試験で学んだ知識をさらに深め、実務に応用できるレベルまで引き上げます。
授業は講義形式だけでなく、ケーススタディやグループディスカッションも多く取り入れられています。実際の企業事例を題材に、経営課題を分析し、改善策を提案する訓練を繰り返すことで、実践的な思考力が養われます。また、プレゼンテーション能力やファシリテーション能力など、コンサルタントに必要なソフトスキルも磨かれます。
実習科目の内容(企業診断実習)
実習科目は、養成課程の最も重要な要素です。受講生はチームを組んで実際の中小企業を訪問し、経営診断を行います。通常、5社程度の企業を対象に実習を行い、各企業について2〜3ヶ月かけて診断から報告までを完結させます。
実習の流れは、まず企業訪問でのヒアリングから始まります。経営者や従業員にインタビューし、企業の現状や課題を把握します。次に、財務データの分析、市場調査、競合分析などを行い、経営課題を明確化します。そして、具体的な改善提案をまとめた診断報告書を作成し、最後に経営者に対してプレゼンテーションを行います。このプロセスを通じて、座学では得られない実践的なコンサルティングスキルが身につきます。
修了要件と評価基準
養成課程を修了するには、一定の要件を満たす必要があります。まず、出席率が重要で、多くの機関では全授業の80%以上の出席が求められます。病気や仕事の都合でやむを得ず欠席する場合でも、規定の出席率を下回ると修了できない可能性があります。
また、各科目の評価も修了要件に含まれます。演習科目ではレポートやプレゼンテーションが評価対象となり、実習科目では診断報告書の質や実習への取り組み姿勢が評価されます。全ての科目で合格点を取得し、かつ総合評価が一定水準以上であることが修了の条件です。評価基準は機関によって異なりますが、真面目にカリキュラムに取り組み、課題を期限内に提出していれば、修了は十分に可能です。
途中退学になるケース
残念ながら、全ての受講生が修了できるわけではなく、途中退学となるケースも存在します。主な理由としては、仕事との両立が困難になった場合が最も多いです。転勤や異動、業務量の増加などで通学が難しくなり、やむを得ず退学を選択するケースがあります。
また、家庭の事情(介護、育児、配偶者の転勤など)で継続が困難になることもあります。さらに、カリキュラムについていけず、課題の提出が滞ったり、出席率が基準を下回ったりして、修了要件を満たせなくなるケースもあります。養成課程は決して易しいものではなく、相当の時間と労力が必要です。入学前に、本当に最後まで継続できるかを慎重に検討し、家族や職場の理解と協力を得ておくことが重要です。
養成課程vs試験ルート|どちらを選ぶべきか?
中小企業診断士資格を取得するには、養成課程ルートと試験ルートの2つがあります。このセクションでは、費用、時間、確実性、学べる内容の4つの観点から両者を比較し、選択のポイントを解説します。
費用で比較(養成課程300万円〜 vs 試験ルート10万円〜)
費用面では、試験ルートが圧倒的に有利です。独学で進める場合、参考書代と受験料を含めても10万円程度で済みます。中小企業診断士の通信講座や予備校を利用する場合でも、20万円〜50万円程度が相場です。一方、養成課程は最低でも300万円、高いところでは600万円程度の費用がかかります。
この費用差を考えると、経済的な余裕がない方や、コストを抑えて資格取得を目指したい方には試験ルートが適しています。ただし、養成課程には教育訓練給付金制度が利用できる機関もあり、条件を満たせば最大56万円〜70万円の給付を受けられます。また、二次試験に何度も挑戦する場合の受験料や予備校費用を考慮すると、長期的には養成課程の方がコストパフォーマンスが良い場合もあります。
時間で比較(通学時間 vs 勉強時間)
時間の使い方も両者で大きく異なります。試験ルートの場合、中小企業診断士試験に必要な勉強時間は一次試験で800時間〜1,000時間、二次試験でさらに400時間〜600時間、合計で1,200時間〜1,600時間程度が目安とされています。働きながら勉強する場合、平日2時間、休日5時間の学習で約1年半〜2年かかる計算です。
養成課程の場合、通学時間と授業時間、課題や実習に取られる時間を合計すると、同程度かそれ以上の時間が必要です。ただし、養成課程はカリキュラムが決まっているため、学習計画を立てる手間が省け、モチベーション維持もしやすいというメリットがあります。自己管理が得意で自分のペースで学習したい方は試験ルート、決まったカリキュラムに沿って学びたい方は養成課程が向いているでしょう。
確実性で比較(修了すれば資格取得 vs 合格率20%以下)
確実性の面では、養成課程が大きく優れています。養成課程の修了率は80%〜90%程度で、真面目に取り組めばほぼ確実に修了できます。一方、試験ルートの二次試験合格率は約20%と非常に低く、一次試験に合格しても二次試験で何年も苦戦する受験者が多いのが現実です。
特に、記述式の二次試験は独学での対策が難しく、予備校に通っても合格できない人が少なくありません。時間をかけて勉強しても合格できる保証がないため、精神的な負担も大きくなります。確実に資格を取得したい方、二次試験の不合格リスクを避けたい方、年齢的に長期戦を避けたい方には、養成課程が適した選択といえるでしょう。
学べる内容で比較(実務スキル vs 試験知識)
学べる内容にも違いがあります。試験ルートの場合、一次試験では経営理論、財務、マーケティングなどの幅広い知識を体系的に学べます。二次試験では事例問題を通じて分析力や提案力が磨かれますが、あくまで試験対策であり、実際の企業を相手にした経験は積めません。中小企業診断士として活動するには、合格後に実務補習や実務従事を通じて実践力を身につける必要があります。
養成課程では、座学で理論を学ぶだけでなく、実際の企業を対象とした診断実習を通じて、実務的なスキルを体系的に習得できます。経営者とのコミュニケーション、チームでのプロジェクト遂行、プレゼンテーションなど、コンサルタントに必要な実践的なスキルが身につきます。修了後すぐにコンサルタントとして活動を始めたい方、実務重視で学びたい方には、養成課程が適しているでしょう。
中小企業診断士試験の全体像に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士とは?資格の仕事内容・試験概要・取得メリットを徹底解説
中小企業診断士二次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士二次試験の内容・対策・合格率を詳しく解説
中小企業診断士養成課程が向いている人・向いていない人
養成課程は全ての人に適しているわけではありません。このセクションでは、養成課程が向いている人と向いていない人の特徴、そして判断基準について解説します。
養成課程が向いている人の5つの特徴
養成課程が向いている人の特徴として、まず「確実に資格を取得したい人」が挙げられます。二次試験の合格率は約20%と低く、何年も挑戦するリスクを避けたい方には養成課程が適しています。特に、年齢的に長期戦を避けたい方や、明確なキャリアプランがあり早期に資格を取得したい方にはおすすめです。
次に、「実務的なスキルを重視する人」です。試験知識だけでなく、実際の企業診断を通じて実践力を身につけたい方には、養成課程の充実した実習プログラムが最適です。また、「経済的な余裕がある人」も養成課程に向いています。300万円〜600万円という高額な費用を負担できる経済状況にあることが前提となります。
「人脈づくりを重視する人」にも養成課程はおすすめです。同じ目標を持つ仲間や、現役コンサルタントの講師陣とのネットワークは、修了後のキャリアにおいて貴重な資産となります。最後に、「学習環境が整っている人」です。職場の理解があり、通学時間を確保でき、家族のサポートが得られる環境にある方は、養成課程を無理なく継続できるでしょう。
養成課程が向いていない人の3つの特徴
一方、養成課程が向いていない人の特徴としては、まず「費用を抑えたい人」が挙げられます。経済的な制約がある方や、できるだけ低コストで資格を取得したい方には、試験ルートの方が適しています。独学や通信講座を活用すれば、10万円〜50万円程度で資格取得を目指せます。
次に、「通学時間を確保できない人」です。仕事が非常に忙しく、定期的に通学する時間を確保できない方や、転勤が多く通学の継続が難しい方には、養成課程は向いていません。また、「自分のペースで学習したい人」も試験ルートの方が適しているでしょう。養成課程は決まったカリキュラムに沿って進むため、自由度が低く、自分のペースで学習することは難しくなります。独学で計画的に学習を進められる方には、試験ルートの方が柔軟性が高いといえます。
判断基準のチェックリスト
養成課程と試験ルートのどちらを選ぶべきか迷っている方は、以下のチェックリストを参考にしてください。まず、「経済面」では、300万円〜600万円の費用を負担できるか、教育訓練給付金制度を利用できるかを確認しましょう。次に、「時間面」では、通学時間を確保できるか、仕事との両立は可能か、家族の理解とサポートは得られるかをチェックします。
「確実性」の観点では、二次試験の合格に自信があるか、不合格のリスクをどう考えるか、何年かけてでも試験に挑戦したいかを自問してみましょう。「学習スタイル」については、決まったカリキュラムに沿って学びたいか、自分のペースで学習したいか、実務経験を重視するか試験対策を重視するかを考えます。これらの項目を総合的に検討し、自分に最適なルートを選択することが、中小企業診断士資格取得への第一歩となります。
中小企業診断士養成課程に関連するよくある質問(FAQ)
中小企業診断士養成課程について、よくある質問とその回答をまとめました。養成課程を検討している方の疑問解消に役立ててください。
Q. 中小企業診断士養成課程とは何ですか?
中小企業診断士養成課程とは、二次試験を経由せずに中小企業診断士資格を取得できる制度です。中小企業大学校や登録養成機関が実施する実務研修プログラムで、演習科目と実習科目を通じて企業診断の実務スキルを体系的に学びます。一次試験に合格した方が入学でき、約6ヶ月〜2年間のカリキュラムを修了すると、難関の二次試験が免除され、実務補習を経て中小企業診断士として登録できます。
Q. 中小企業診断士養成課程の費用はいくらですか?
中小企業診断士養成課程の費用は機関によって異なりますが、概ね300万円〜600万円程度です。国の機関である中小企業大学校東京校は約150万円〜200万円程度と比較的抑えられています。MBA同時取得が可能な大学院では500万円〜600万円程度となることが多いです。受講料以外にも、教材費、交通費、実習関連費用などで年間20万円〜50万円程度の追加費用がかかります。教育訓練給付金制度が利用できる機関もあるため、条件を満たせば受講料の一部が給付されます。
Q. 中小企業診断士養成課程は働きながら通えますか?
多くの登録養成課程機関では、社会人向けに夜間・土日開講のプログラムを提供しており、働きながらでも通学可能です。法政大学、兵庫県立大学、日本生産性本部などが代表的な機関です。ただし、実習期間中は平日日中に企業訪問が必要になる場合もあるため、職場の理解と協力を得ておくことが重要です。有給休暇を計画的に取得したり、リモートワークを活用したりすることで、仕事との両立が可能になります。
Q. 中小企業診断士養成課程と試験ルートはどちらがおすすめですか?
どちらがおすすめかは、個人の状況によって異なります。確実に資格を取得したい方、実務的なスキルを重視する方、経済的に余裕がある方には養成課程が適しています。一方、費用を抑えたい方、自分のペースで学習したい方、通学時間の確保が難しい方には試験ルートが適しているでしょう。中小企業診断士の勉強法を参考に、自分に合ったルートを選択することをおすすめします。
Q. 中小企業診断士養成課程の修了は難しいですか?
養成課程の修了率は一般的に80%〜90%程度で、真面目にカリキュラムに取り組めばほぼ確実に修了できる水準です。ただし、出席率が80%以上必要で、各科目の課題提出や実習報告書の作成など、相応の時間と労力が求められます。途中退学の主な理由は、仕事との両立が困難になったケースや家庭の事情です。事前に職場や家族の理解を得て、通学時間を確保できる体制を整えておくことが、修了への鍵となります。
Q. 中小企業診断士養成課程でMBAも取得できますか?
一部の登録養成課程では、中小企業診断士資格とMBA(経営学修士)を同時に取得できるプログラムを提供しています。法政大学ビジネススクールや兵庫県立大学ビジネススクールが代表的な機関で、2年間のカリキュラムで両方を取得できます。MBA取得により経営理論をより深く学べ、学位としての社会的信用も得られますが、受講期間が長くなり、費用も高額になります。自分のキャリアプランに照らして、MBA取得の必要性を慎重に検討しましょう。
Q. 中小企業診断士養成課程に入学するには一次試験合格が必要ですか?
はい、中小企業診断士養成課程に入学するには、一次試験に合格していることが必須条件です。一次試験は7科目の択一式試験で、合格率は例年20%〜30%程度です。一次試験合格後、その合格資格は合格年度を含めて3年間有効で、この期間内であれば養成課程への出願が可能です。さらに、各機関が実施する入学試験(書類審査、面接、小論文など)に合格する必要があります。
まとめ:中小企業診断士養成課程は自分に合った選択か検討しよう
本記事では、中小企業診断士養成課程について詳しく解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- 二次試験免除で確実に資格取得:中小企業診断士養成課程を修了すると、難関の二次試験(筆記・口述)が免除され、修了率は80%〜90%と高い水準です。二次試験の合格率が約20%と低いことを考えると、養成課程は確実性の高いルートといえます。実務的なスキルを体系的に学べる環境と、5社程度の企業診断実習を通じた実践経験が得られることも大きな魅力です。
- 費用は300万円〜600万円程度と高額:養成課程の最大のデメリットは費用の高さです。試験ルートと比較すると10倍以上の費用がかかり、さらに通学時間や家庭・職場の理解も必要です。ただし、教育訓練給付金制度が利用できる機関もあり、二次試験を何年も受験し続けるリスクと比較すれば、費用対効果は個人の状況次第で変わります。
- 働きながら通える機関も充実:夜間・土日開講の養成課程機関が増えており、社会人でも仕事を続けながら通学できる環境が整っています。オンライン併用が可能な機関もあり、柔軟な学習スタイルで資格取得を目指せます。MBA同時取得が可能な機関もあるため、自分のキャリアプランに合わせて選択できます。
中小企業診断士養成課程は、確実性と実務スキル習得を重視する方にとって優れた選択肢です。一方で、費用や時間の負担が大きいため、自分の経済状況、ライフスタイル、キャリアプランを総合的に考慮して判断することが重要です。中小企業診断士とはの記事で資格の全体像を理解し、中小企業診断士二次試験の難易度も確認した上で、養成課程が自分に合った選択かどうかを検討しましょう。
本記事を通じて、中小企業診断士養成課程の仕組みとメリット・デメリット、費用や期間、実施機関の情報を理解いただけたはずです。これらの情報を活用して、中小企業診断士資格取得に向けて、自分に最適なルートを選択し、具体的な一歩を踏み出しましょう。
中小企業診断士で一発合格合格をめざす!人気の通信講座がこちら
中小企業診断士の関連記事
コメント