中小企業診断士試験の合格率について知りたいあなたへ。「合格率は何パーセントなのか」「一次試験と二次試験ではどちらが難しいのか」という疑問は、過去のデータと傾向を正しく理解することで解決できます。
本記事では、中小企業診断士試験の最終合格率、一次試験と二次試験それぞれの合格率推移、合格率が低い理由について、中小企業診断協会の公式データを交えて詳しく解説します。この情報をもとに、中小企業診断士試験合格に向けた効果的な学習戦略を立てましょう。
- 中小企業診断士試験の最終合格率と一次・二次試験それぞれの合格率
- 過去10年間の合格率推移と最新年度の傾向
- 合格率が低い5つの理由と対策のポイント
- 他の国家資格と比較した難易度と合格可能性
- 最終合格率は約4~5%:中小企業診断士試験の一次試験から二次試験までストレートで合格する確率は4~5%程度です。一次試験合格率約27%、二次試験合格率約19%を掛け合わせた数値となり、国家資格の中でも低い水準です。
- 一次試験は年度変動が大きい:一次試験は絶対評価のため、試験の難易度により合格率が17~42%と大きく変動します。令和7年度(2025年)は23.7%でしたが、年度によっては30%を超えることもあります。
- 二次試験は相対評価で安定:二次試験は相対評価により上位約20%が合格となるため、合格率は18~20%程度で安定しています。記述式試験で採点基準が非公開のため、上位に入るための高い記述力が求められます。
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中小企業診断士(SME診断士)試験の合格率の全体像
中小企業診断士試験の合格率を理解するには、一次試験、二次試験、そして最終合格率の3つの視点から見る必要があります。この資格は国家資格の中でも合格率が低いことで知られていますが、具体的な数値を把握することで、試験の難易度と対策の方向性が見えてきます。
最終合格率は約4~5%
中小企業診断士試験の最終合格率は、一次試験の受験者数を母数として計算すると約4~5%となります。これは一次試験合格率(平均約27%)と二次試験合格率(平均約19%)を掛け合わせた数値です。例えば、令和5年度では一次試験受験者が約2万人、最終合格者が約1,000人でしたので、最終合格率は約5%となります。
この数値だけを見ると非常に厳しい試験に思えますが、一次試験には科目合格制度があり、複数年かけて合格を目指すことも可能です。実際には、ストレート合格を目指す受験者と、科目合格を活用して段階的に進める受験者が混在しているため、受験戦略によって合格可能性は大きく変わります。
一次試験合格率は平均約27%
中小企業診断士一次試験の合格率は、過去10年間の平均で約27%です。一次試験は7科目すべてで40点以上、かつ総合で60%以上の得点が必要な絶対評価方式のため、試験の難易度によって合格率が大きく変動します。最も低い年度では17%台、高い年度では42%に達したこともあります。
一次試験は択一式(マークシート)のため、過去問演習を重ねることで対策が立てやすい試験です。しかし、7科目すべてで足切り点40点をクリアする必要があるため、苦手科目を残したままでは合格できません。科目合格制度を活用し、確実に得点できる科目から合格していく戦略が有効です。
二次試験合格率は平均約19%
中小企業診断士二次試験の合格率は、過去10年間で約18~20%の範囲で安定しています。二次試験は相対評価方式を採用しており、上位約20%の受験者が合格となるため、合格率の変動が少ないのが特徴です。令和6年度(2024年)の合格率は18.7%でした。
二次試験は4事例の筆記試験で構成され、すべて記述式です。企業の経営課題を分析し、診断・助言する能力が問われるため、一次試験で習得した知識を実践的に活用する力が必要です。採点基準が非公開であるため、過去問演習と添削指導を通じて、評価される記述力を身につけることが合格への鍵となります。
ストレート合格率は約3~4%
ストレート合格とは、一次試験と二次試験を同一年度内で連続して合格することを指します。ストレート合格率は約3~4%と非常に低く、多くの受験者が複数年かけて合格を目指しています。一次試験に合格すると翌年度と翌々年度の2年間は一次試験が免除されるため、まず一次試験に合格し、次の年に二次試験に集中する戦略を取る受験者が多いです。
ストレート合格は理想的ですが、無理に目指す必要はありません。働きながら受験する場合、十分な学習時間を確保できない年度もあります。科目合格制度と一次試験免除制度を戦略的に活用し、2~3年計画で合格を目指す方が現実的な場合も多いでしょう。
中小企業診断士一次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士一次試験の科目・難易度・合格率と対策方法
中小企業診断士(SME診断士)一次試験の合格率推移
中小企業診断士一次試験の合格率は、年度によって大きく変動するのが特徴です。絶対評価方式を採用しているため、問題の難易度が直接合格率に影響します。過去10年間のデータを分析すると、受験者の増加傾向と合格率の変動パターンが見えてきます。
過去10年の合格率推移(17~42%)
中小企業診断士一次試験の合格率は、過去10年間で17%から42%の範囲で変動しています。最も低かったのは平成28年度(2016年)の17.7%、最も高かったのは令和2年度(2020年)の42.5%でした。この約25ポイントもの差は、絶対評価方式による影響が大きいことを示しています。
近年の傾向を見ると、令和元年度(2019年)30.2%、令和2年度(2020年)42.5%、令和3年度(2021年)36.4%、令和4年度(2022年)28.9%、令和5年度(2023年)26.6%、令和6年度(2024年)27.8%と推移しています。令和2年度の42.5%は例外的に高い数値でしたが、その後は25~30%前後で推移する傾向にあります。
令和7年度(2025年)の合格率は23.7%
令和7年度(2025年)の中小企業診断士一次試験合格率は23.7%でした。前年度の27.8%から約4ポイント低下し、やや難化したと言えます。受験者数は約2万人を維持しており、合格者数は約4,700人となりました。
この23.7%という数値は、過去10年間の平均的な水準です。特に難化した年度ではありませんが、易化した年度でもないため、標準的な難易度の試験だったと評価できます。科目別では、財務・会計と企業経営理論の難易度が高かったとの受験者の声が多く聞かれました。
年度による合格率変動が大きい理由
一次試験の合格率が年度によって大きく変動する主な理由は、絶対評価方式を採用しているためです。合格基準は「7科目すべてで40点以上、かつ総得点で60%(420点)以上」と固定されており、問題の難易度によって合格者数が変動します。
問題作成時には難易度調整が行われますが、受験者の学習レベルや試験範囲の改正などの影響により、意図した難易度と実際の難易度にずれが生じることがあります。例えば、令和2年度は新型コロナウイルスの影響で試験日程が変更され、受験者の準備期間が通常より長かったことも、高い合格率の一因と考えられます。
また、科目ごとの難易度バランスも合格率に影響します。特定の科目が極端に難しい場合、その科目で足切り点40点を下回る受験者が増え、全体の合格率が低下します。中小企業診断協会は試験後に合格率を分析し、次年度以降の問題作成に反映させていますが、完全に予測することは困難です。
受験者数の増加傾向(2万人超え)
中小企業診断士一次試験の受験者数は、近年増加傾向にあります。平成25年度(2013年)には約1万4千人でしたが、令和5年度(2023年)以降は約2万人を超える水準で推移しています。この増加は、中小企業診断士の認知度向上と、企業内でのキャリアアップに資格が有効と認識されてきたことが背景にあります。
受験者数の増加は、相対評価を採用する二次試験の競争激化には直結しますが、絶対評価の一次試験では直接的な影響は限定的です。ただし、受験者層のレベルが全体的に上がることで、試験の難易度設定にも影響を与える可能性があります。受験者数が今後も増加し続けるかは、経済状況や企業の人材育成方針によって変わってくるでしょう。
中小企業診断士一次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士一次試験の科目・難易度・合格率と対策方法
中小企業診断士一次試験の科目別合格率分析
中小企業診断士一次試験は7科目で構成されており、科目ごとに難易度と合格率が異なります。各科目で40点以上の得点が必要なため、科目別の特性を理解し、効率的な学習計画を立てることが重要です。科目別の合格率データは公表されていませんが、受験者の得点傾向から各科目の難易度を分析できます。
財務・会計の合格率(最も難関)
財務・会計は、中小企業診断士一次試験の中で最も難易度が高いとされる科目です。公式な科目別合格率は公表されていませんが、受験者の自己採点データや予備校の分析によると、財務・会計で足切り点40点を下回る受験者が最も多い傾向にあります。平均点も他科目より低く、50点台前半になることが多いです。
財務・会計が難しい理由は、計算問題の割合が高く、会計学や財務分析の専門知識が必要なためです。非経理系の受験者にとっては学習に時間がかかる科目ですが、二次試験の事例Ⅳ(財務・会計)でも必須の知識となるため、しっかりと基礎を固める必要があります。過去問を繰り返し解き、計算パターンを身につけることが合格への近道です。
企業経営理論の合格率(年度で変動大)
企業経営理論は、年度によって難易度が大きく変動する科目です。経営戦略、組織論、マーケティングなど出題範囲が広く、理論的な知識だけでなく実務的な判断力も問われます。近年は実務寄りの問題が増加しており、単純な暗記だけでは対応できない傾向にあります。
平均点は年度によって45点から65点程度まで変動し、易しい年度には70点以上取れる受験者が多い一方、難しい年度には40点を切る受験者が続出します。企業経営理論は二次試験の事例Ⅰ(組織・人事)と事例Ⅱ(マーケティング・流通)の基礎となる科目のため、単なる暗記ではなく、理論を実践に応用する力を養う学習が重要です。
中小企業経営・政策の合格率(易化傾向)
中小企業経営・政策は、近年易化傾向にある科目です。前半の中小企業経営では統計データに関する問題、後半の中小企業政策では支援施策に関する問題が出題されます。毎年の白書や施策の内容が更新されるため、最新情報を学習する必要がありますが、問題の難易度自体は比較的安定しています。
平均点は60点前後で推移することが多く、しっかりと対策すれば70点以上も狙える科目です。ただし、白書の統計データは範囲が広いため、重要な数値とトレンドを押さえる学習が効率的です。政策については、主要な支援制度の概要と要件を理解しておくことで、確実に得点できます。
その他4科目の合格率傾向
残りの4科目(経済学・経済政策、運営管理、経営法務、経営情報システム)は、それぞれ特徴的な難易度傾向があります。経済学・経済政策は、マクロ経済学とミクロ経済学の理論理解が必要で、グラフや計算問題が中心です。平均点は55点前後で、数学的思考が求められます。
運営管理は、生産管理と店舗運営の2分野から出題され、実務経験がある受験者には有利な科目です。平均点は60点程度で、比較的得点しやすい科目とされています。経営法務は、会社法、知的財産権、その他の法律知識が問われ、暗記量が多い科目です。平均点は50点台後半が多く、法律系の学習経験があると有利です。経営情報システムは、IT知識が問われる科目で、システム開発やネットワークに関する問題が出題されます。平均点は55点前後で、IT業界の経験者には取り組みやすい科目です。
中小企業診断士(SME診断士)二次試験の合格率推移
中小企業診断士二次試験の合格率は、一次試験と比較して安定しているのが特徴です。相対評価方式を採用しているため、受験者のレベルに関わらず、上位約20%が合格となります。過去10年間のデータから、二次試験の合格率の特性と傾向を見ていきましょう。
過去10年の合格率推移(約18~20%で安定)
中小企業診断士二次試験の合格率は、過去10年間で18%から20%の範囲で推移しており、非常に安定しています。平成26年度(2014年)19.4%、平成27年度(2015年)19.1%、平成28年度(2016年)19.2%、平成29年度(2017年)19.4%、平成30年度(2018年)18.8%と、ほぼ19%前後で推移してきました。
令和元年度(2019年)以降も、令和元年度18.3%、令和2年度(2020年)18.4%、令和3年度(2021年)18.3%、令和4年度(2022年)18.7%、令和5年度(2023年)19.3%、令和6年度(2024年)18.7%と、18~19%台を維持しています。この安定性は、相対評価により上位約20%を合格とする仕組みによるものです。
令和6年度(2024年)の合格率は18.7%
令和6年度(2024年)の中小企業診断士二次試験合格率は18.7%でした。受験者数は約5,500人、合格者数は約1,030人となっています。この数値は過去の平均的な水準であり、特に易化や難化はなかったと評価できます。
二次試験は4事例(事例Ⅰ:組織・人事、事例Ⅱ:マーケティング・流通、事例Ⅲ:生産・技術、事例Ⅳ:財務・会計)で構成されており、すべて記述式です。各事例で一定以上の評価を得る必要があるため、バランスの取れた記述力が求められます。令和6年度は事例Ⅳの財務計算問題がやや難しかったとの声が多く聞かれました。
相対評価のため合格率が安定する理由
二次試験の合格率が安定している理由は、相対評価方式(偏差値評価)を採用しているためです。中小企業診断協会は、受験者全体の得点分布を見て、上位約20%の受験者を合格とします。そのため、試験が難しくても易しくても、合格率はほぼ一定に保たれます。
この相対評価方式には、受験者にとって良い面と厳しい面があります。良い面は、試験が難しくても上位20%に入れば合格できる点です。厳しい面は、自分の絶対的な実力ではなく、他の受験者との相対的な位置づけで合否が決まる点です。つまり、自分が平均的な答案を書いても、他の受験者も同レベルであれば合格できません。差別化できる記述力が必要です。
また、採点基準が非公開であることも、二次試験の特徴です。予備校などが独自に再現答案を分析し、合格者の記述パターンを研究していますが、正確な採点基準は明らかになっていません。そのため、過去問演習と添削指導を通じて、評価される記述のポイントを掴むことが重要です。
口述試験の合格率はほぼ100%
二次試験には筆記試験の後に口述試験がありますが、口述試験の合格率はほぼ100%です。過去のデータでは、筆記試験合格者の99%以上が口述試験に合格しています。口述試験は面接形式で、4事例に関する質問に口頭で答えるもので、筆記試験の内容を確認する目的が主です。
口述試験で不合格になるのは、質問に全く答えられない、態度が極端に不適切、といった特殊なケースに限られます。筆記試験に合格する実力があれば、口述試験は十分対応可能です。ただし、面接の練習は必要で、予備校や受験仲間と模擬面接を行うことが推奨されます。緊張しすぎず、論理的に説明できれば問題ありません。
中小企業診断士二次試験に関してもっと詳しい記事はこちら
中小企業診断士二次試験の内容・対策・合格率を詳しく解説
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中小企業診断士試験の申込者数・受験者数・合格者数の推移
中小企業診断士試験を理解する上で、申込者数、受験者数、合格者数の推移を把握することは重要です。これらの数値から、試験の人気度や実際の競争状況が見えてきます。また、科目合格制度の影響により、単純な合格率だけでは測れない側面もあります。
申込者数と受験者数の違い
中小企業診断士試験では、申込者数と実際の受験者数に差があります。申込者数は試験の申し込みをした人数で、受験者数は実際に試験会場で受験した人数です。一次試験の場合、申込者数に対する受験率は約70~75%程度です。つまり、申込者の約25~30%は実際には受験していません。
受験しない理由としては、学習が間に合わなかった、仕事の都合がついかなかった、体調不良などが考えられます。また、科目合格制度により、すでに合格した科目を除いて受験するため、全科目を受験しない受験者もいます。合格率を見る際には、申込者数ベースではなく、実際の受験者数ベースで考えることが重要です。
過去10年の受験者数推移
中小企業診断士一次試験の受験者数は、過去10年間で約1万4千人から約2万人へと増加しています。平成25年度(2013年)約1万4千人、平成26年度(2014年)約1万5千人、平成27年度(2015年)約1万6千人と徐々に増加し、令和元年度(2019年)には約2万人を超えました。
令和2年度(2020年)以降は、新型コロナウイルスの影響で一時的に減少しましたが、令和4年度(2022年)以降は再び2万人超えの水準に回復しています。令和5年度(2023年)約2万人、令和6年度(2024年)約2万人、令和7年度(2025年)約2万人と、安定して推移しています。
二次試験の受験者数は、一次試験合格者数と一次試験免除者数の合計となります。近年は約5千~6千人程度で推移しています。一次試験免除者は、前年度・前々年度の一次試験合格者と、養成課程修了者などが含まれます。
合格者数の推移(増加傾向)
中小企業診断士試験の最終合格者数(二次試験合格者数)は、近年増加傾向にあります。平成25年度(2013年)約800人、平成26年度(2014年)約900人、平成27年度(2015年)約900人と推移し、令和元年度(2019年)以降は約1,000人前後で推移しています。
令和5年度(2023年)の最終合格者数は約1,050人、令和6年度(2024年)は約1,030人でした。この増加は、受験者数の増加に伴うものです。二次試験の合格率は約18~20%で安定しているため、受験者数が増えれば合格者数も増加します。国も中小企業診断士の増員を推進しており、今後も合格者数は増加する可能性があります。
科目合格者の影響
中小企業診断士一次試験には科目合格制度があり、60点以上を取得した科目は翌年度と翌々年度の2年間、受験が免除されます。この制度により、複数年かけて一次試験に合格することが可能です。科目合格者は、残りの科目のみを受験するため、統計上は部分的な受験者として扱われます。
科目合格制度の存在により、一次試験の合格率を単純に解釈することは難しくなります。例えば、7科目中6科目にすでに合格している受験者は、残り1科目のみを受験します。この場合、1科目で60点以上取れば一次試験合格となるため、新規受験者より合格しやすい状況です。
中小企業診断協会の公表データでは、科目合格者の内訳は明示されていませんが、科目合格制度を活用して段階的に合格を目指す戦略は、働きながら受験する社会人にとって有効な選択肢です。特に、苦手科目と得意科目がはっきりしている場合、得意科目から確実に合格していく方法は効率的です。
中小企業診断士試験の合格率が低い5つの理由
中小企業診断士試験の合格率が4~5%と低い背景には、試験制度の特性と受験者の環境が関係しています。これらの理由を理解することで、効果的な対策を立てることができます。合格率が低い理由を5つの視点から詳しく見ていきましょう。
①一次試験は絶対評価で難易度が年度で変動
一次試験が絶対評価方式を採用していることは、合格率の変動要因となっています。合格基準は「7科目すべてで40点以上、かつ総得点で60%(420点)以上」と固定されており、問題の難易度によって合格者数が変わります。問題作成者は適切な難易度を目指しますが、実際の難易度は受験者が解いてみないと分かりません。
年度によって合格率が17%から42%まで変動するのは、この絶対評価方式の影響です。難しい年度に当たると、十分な実力がある受験者でも不合格になる可能性があります。逆に易しい年度では、ボーダーライン上の受験者も合格できます。この不確実性が、一次試験の難しさの一因です。
②二次試験は相対評価で上位約20%のみ合格
二次試験は相対評価方式により、上位約20%の受験者のみが合格します。つまり、自分が良い答案を書いても、他の受験者がそれ以上に良い答案を書けば不合格になります。この相対評価の仕組みが、二次試験の合格率を一定に保つと同時に、競争を激化させています。
二次試験受験者は、一次試験を突破した優秀な層です。その中で上位20%に入るには、単に知識があるだけでなく、事例企業の課題を的確に分析し、論理的に解答を構成する高度な記述力が必要です。採点基準が非公開であることも、対策を難しくしています。合格者の答案を研究し、評価されるポイントを掴む学習が欠かせません。
③7科目すべてで足切り40点をクリアする必要
一次試験では、7科目すべてで40点以上を取る必要があります。総得点で60%(420点)以上あっても、1科目でも40点未満があれば不合格です。この足切り制度により、苦手科目を残したままでは合格できません。得意科目で高得点を取っても、苦手科目が足を引っ張る可能性があります。
7科目すべてで40点以上を確保するには、バランスの取れた学習が必要です。特に、財務・会計や経営法務など、専門性の高い科目は、非専門の受験者にとって学習に時間がかかります。科目合格制度を活用し、確実に合格できる科目から攻略していく戦略が有効です。
④二次試験は記述式で採点基準が非公開
二次試験の難しさの一つは、記述式であることと、採点基準が非公開であることです。一次試験の択一式と異なり、記述式では部分点の積み重ねで評価されます。しかし、どのような記述が高評価を得られるのか、正確には分かりません。中小企業診断協会は採点基準を公表していないためです。
予備校や受験機関は、合格者の再現答案を分析し、評価されるポイントを研究しています。一般的には、「与件文(問題文)に記載された情報を根拠として使う」「論理的な構成で記述する」「経営者の立場で助言する」などが重要とされています。過去問演習と添削指導を通じて、これらのポイントを押さえた記述力を養成することが、二次試験合格への道です。
⑤働きながら受験する人が大半
中小企業診断士試験の受験者の大半は、企業に勤めながら受験しています。仕事と学習の両立は簡単ではなく、十分な学習時間を確保できないことが、合格率を下げる要因の一つです。一次試験には1,000時間程度、二次試験にはさらに300~500時間程度の学習時間が必要とされています。
働きながら毎日2~3時間の学習時間を確保し、1年半~2年間継続するのは、強い意志と効率的な時間管理が必要です。仕事が忙しい時期や、家庭の事情で学習時間が取れない時期もあります。モチベーションを維持し、計画的に学習を進めることが、合格への鍵となります。中小企業診断士の効果的な勉強法では、働きながら合格するための時間管理術を詳しく解説しています。
中小企業診断士試験の合格者プロフィール
中小企業診断士試験の合格者は、どのような属性の人が多いのでしょうか。年齢、性別、職業などの合格者プロフィールを知ることで、自分と近い属性の合格者の事例を参考にできます。中小企業診断協会が公表しているデータから、合格者の特徴を見ていきましょう。
年齢別合格者割合(30~40代が中心)
中小企業診断士試験の合格者は、30代と40代が中心です。令和5年度(2023年)のデータでは、30代が約35%、40代が約40%を占めており、合わせて75%以上が30~40代です。次いで20代が約15%、50代が約8%、60代以上が約2%となっています。
30~40代が多い理由は、ある程度の実務経験を積んだ後に、キャリアアップや独立を視野に入れて受験するケースが多いためです。20代の受験者も一定数いますが、実務経験が浅い段階での受験は、二次試験の事例問題に苦戦する傾向があります。一方で、若いうちに合格することで、診断士としてのキャリアを長く築けるメリットもあります。
50代以上の受験者も増加傾向にあります。定年後の第二のキャリアとして中小企業診断士を目指すケースや、企業内でのキャリアの集大成として資格取得を目指すケースがあります。年齢に関わらず、学習意欲と計画的な準備があれば合格は十分可能です。
性別合格者割合(男性約80%、女性約20%)
中小企業診断士試験の合格者は、男性が約80%、女性が約20%の割合です。この比率は過去数年間ほぼ変わっていません。女性の合格者割合が低い理由は、受験者数自体が男性の方が多いためです。合格率に男女差はほとんどなく、女性受験者の合格率も男性とほぼ同じです。
近年は、女性の中小企業診断士も増加しており、女性ならではの視点を活かしたコンサルティングが評価されています。特に、女性起業家支援や、小売業・サービス業のコンサルティングなど、女性診断士の活躍の場は広がっています。性別に関わらず、診断士として活躍できる環境が整ってきています。
職業別合格者割合(会社員が最多)
中小企業診断士試験の合格者を職業別に見ると、会社員が最も多く、約70~75%を占めています。次いで、公務員が約10%、自営業が約5%、その他(学生、無職など)が約10%です。会社員の中では、製造業、金融業、サービス業など、幅広い業種の方が受験しています。
会社員が多い理由は、企業内でのキャリアアップや、社内コンサルタントとしてのスキル向上を目的に受験するケースが多いためです。また、将来的な独立を視野に入れて、働きながら資格を取得する方も多くいます。公務員の受験者は、経済産業省や地方自治体の産業振興部門など、中小企業支援に関わる職務に従事している方が中心です。
自営業の受験者は、自身の事業経営に診断士の知識を活かす目的や、他の中小企業への支援を行う目的で受験します。学生の受験者は少数ですが、在学中に合格し、卒業後すぐに診断士として活動を始めるケースもあります。
合格者の最年長・最年少
中小企業診断士試験の合格者には、幅広い年齢層が含まれています。最年少合格者は20代前半、最年長合格者は70代という記録があります。年齢に関係なく、学習意欲と計画的な準備があれば合格は可能です。
最年少合格者の多くは、大学在学中や卒業直後に合格したケースです。若いうちに合格することで、診断士としての経験を長く積むことができます。一方、最年長合格者は、長年の実務経験を活かして合格したケースです。実務経験が豊富な方は、二次試験の事例問題で実践的な視点を持てるため、有利な面もあります。
年齢による有利・不利はありますが、最も重要なのは学習への取り組み方です。若い受験者は記憶力や学習時間の確保で有利な面がありますが、実務経験が浅いため事例問題の理解に時間がかかることがあります。年配の受験者は実務経験が豊富で事例問題に強い反面、暗記科目や新しい知識の習得に時間がかかることがあります。自分の強みを活かし、弱みを補う学習戦略が重要です。
中小企業診断士の合格率から見る試験対策のポイント
中小企業診断士試験の合格率データから、効果的な試験対策のポイントが見えてきます。一次試験と二次試験それぞれの特性を理解し、戦略的に学習を進めることが合格への近道です。ここでは、合格率を踏まえた具体的な対策方法を解説します。
一次試験は科目合格制度を活用する
一次試験の合格率が年度によって変動することを考えると、科目合格制度を活用する戦略が有効です。科目合格制度では、60点以上を取得した科目は翌年度と翌々年度の2年間、受験が免除されます。7科目すべてを一度に合格するのではなく、計画的に複数年かけて合格を目指すことができます。
科目合格制度を活用する際のポイントは、得意科目から確実に合格していくことです。例えば、1年目に比較的得点しやすい運営管理や中小企業経営・政策など3~4科目に絞って高得点を目指し、2年目に残りの科目に集中する戦略が考えられます。特に働きながら受験する場合、年間の学習時間に限りがあるため、無理に7科目すべてを狙うより、確実に合格できる科目を増やしていく方が効率的です。
ただし、科目合格の有効期間は2年間(翌年度と翌々年度)なので、計画的に進める必要があります。1年目に合格した科目が3年目に失効しないよう、2年以内に一次試験全体を突破する計画を立てましょう。
得意科目で不得意科目をカバーする戦略
一次試験は総得点で60%(420点)以上が必要ですが、各科目で60点を目指す必要はありません。得意科目で70~80点を取り、不得意科目を50点台でカバーする戦略が現実的です。ただし、すべての科目で40点以上は必須なので、極端に苦手な科目を放置することはできません。
効果的な戦略は、財務・会計と企業経営理論の2科目を重点的に学習することです。この2科目は配点が高く(各100点)、かつ二次試験でも重要な科目です。財務・会計で70点、企業経営理論で70点取れれば、それだけで140点確保できます。残りの5科目で平均56点(280点)取れば、合計420点に達します。
不得意科目は、足切り点40点を確実にクリアすることを第一目標とし、余裕があれば50点台を目指す学習が効率的です。完璧を目指すより、確実に合格点を取る戦略が重要です。
二次試験は上位20%に入る記述力が必要
二次試験は相対評価で上位約20%が合格するため、平均的な答案では不合格です。他の受験者と差別化できる記述力を身につける必要があります。具体的には、「与件文の情報を根拠として明確に示す」「論理的な構成で分かりやすく記述する」「経営者の立場で実践的な助言をする」ことが重要です。
二次試験対策では、過去問演習と添削指導が欠かせません。自分で答案を書き、予備校や学習仲間に添削してもらうことで、自分の記述の癖や弱点が分かります。合格者の再現答案を研究し、評価されるポイントを理解することも有効です。独学では限界があるため、通信講座や予備校の利用を検討する価値があります。
また、4事例すべてでバランス良く得点する必要があります。得意な事例で高得点を取っても、苦手な事例で極端に低い評価を受けると、総合評価が下がります。事例Ⅳ(財務・会計)は計算問題があり、得点差がつきやすいので、重点的に対策することをおすすめします。
過去問演習で出題傾向を把握する
一次試験、二次試験ともに、過去問演習は最も効果的な対策方法です。中小企業診断士試験は、出題範囲が広い一方で、出題パターンには一定の傾向があります。過去問を繰り返し解くことで、出題傾向を把握し、効率的に学習を進めることができます。
一次試験の過去問は、最低でも過去5年分、できれば過去10年分を解くことをおすすめします。同じ論点が形を変えて繰り返し出題されることが多いため、過去問で出題された内容は確実に理解しておく必要があります。特に、財務・会計や経済学・経済政策などの計算問題は、解法パターンを身につけることが重要です。
二次試験の過去問は、事例の分析方法や記述のポイントを学ぶ教材として活用します。まず、制限時間内に自分で答案を作成し、その後、模範解答や合格者の再現答案と比較します。自分の答案に何が足りないのか、どのような視点が欠けていたのかを分析することで、記述力が向上します。中小企業診断士試験の過去問活用法では、効果的な過去問の使い方を詳しく解説しています。
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中小企業診断士の合格率と他資格の比較
中小企業診断士の合格率を他の国家資格と比較することで、難易度の位置づけが明確になります。主要な経営・法律系資格との比較を通じて、中小企業診断士試験の特徴を見ていきましょう。
社労士の合格率(約6~7%)
社会保険労務士(社労士)の合格率は、近年約6~7%で推移しています。中小企業診断士の最終合格率(約4~5%)とほぼ同レベルか、やや高い水準です。社労士試験は択一式と記述式で構成され、労働法や社会保険法など、専門的な法律知識が問われます。
社労士試験も中小企業診断士試験と同様に、働きながら受験する社会人が多く、合格までに2~3年かかるのが一般的です。合格に必要な学習時間は1,000時間程度とされており、中小企業診断士試験とほぼ同じです。どちらも企業の経営管理に関わる資格ですが、社労士は労務管理に特化し、中小企業診断士は経営全般をカバーする点が異なります。
行政書士の合格率(約10~15%)
行政書士の合格率は、近年約10~15%で推移しています。中小企業診断士の最終合格率(約4~5%)より高い水準です。行政書士試験は法令科目と一般知識科目で構成され、択一式と記述式の試験です。合格に必要な学習時間は600~800時間程度とされており、中小企業診断士試験より少ない時間で合格を目指せます。
行政書士試験は一発試験で、中小企業診断士のような二段階試験ではありません。そのため、学習期間は比較的短く、1年程度の準備で合格する受験者も多くいます。ただし、法律知識がない初学者にとっては、法令科目の理解に時間がかかります。行政書士は官公署への許認可申請を主な業務とし、中小企業診断士は経営コンサルティングを主な業務とする点で、業務内容が大きく異なります。
公認会計士の合格率(約10%)
公認会計士の合格率は、近年約10%で推移しています。ただし、この数値は短答式試験と論文式試験の両方を含めた最終合格率です。公認会計士試験は、中小企業診断士試験よりも難易度が高いとされる最難関資格の一つです。合格に必要な学習時間は3,000~5,000時間とされており、中小企業診断士試験の約3~4倍です。
公認会計士試験の合格率が中小企業診断士より高く見えるのは、受験者層の違いも影響しています。公認会計士試験の受験者は、大学在学中から専門学校に通い、集中的に学習している層が多く、全体的な学習レベルが高いためです。一方、中小企業診断士試験は働きながら受験する社会人が中心で、受験者層が幅広いため、合格率が低くなる傾向があります。
公認会計士は監査業務を主な業務とし、中小企業診断士は経営コンサルティングを主な業務とします。両者の業務内容は異なりますが、財務・会計の知識は共通しており、ダブルライセンスを目指す方もいます。
司法書士の合格率(約4~5%)
司法書士の合格率は、近年約4~5%で推移しており、中小企業診断士の最終合格率とほぼ同じ水準です。司法書士試験は、筆記試験(択一式と記述式)と口述試験で構成され、不動産登記法や商業登記法など、専門的な法律知識が問われます。合格に必要な学習時間は3,000時間程度とされており、中小企業診断士試験の約2倍以上です。
司法書士試験は、中小企業診断士試験と同様に難関資格として知られていますが、出題範囲がより専門的で深い知識が求められます。合格までに3~5年かかる受験者が多く、長期的な学習計画が必要です。司法書士は登記業務を主な業務とし、中小企業診断士とは業務内容が大きく異なります。
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中小企業診断士試験の合格率は今後どうなるか
中小企業診断士試験の合格率は、今後どのように変化する可能性があるのでしょうか。受験者数の動向、国の政策、試験制度の改正などの要因から、今後の見通しを考察します。
受験者数の増加と合格率の関係
中小企業診断士試験の受験者数は、近年増加傾向にあります。令和7年度(2025年)には一次試験の受験者数が約2万人に達しました。受験者数の増加が合格率に与える影響は、一次試験と二次試験で異なります。
一次試験は絶対評価方式のため、受験者数の増加が直接的に合格率を下げることはありません。合格基準は「7科目すべてで40点以上、かつ総得点で60%以上」と固定されているため、理論上は受験者全員が合格することも、全員が不合格になることもあり得ます。ただし、受験者層のレベルが全体的に上がると、問題の難易度設定にも影響を与える可能性があります。
一方、二次試験は相対評価方式のため、受験者数が増えても合格率は約18~20%で一定です。しかし、受験者数の増加により競争が激化し、上位20%に入るために必要なレベルが上がる可能性があります。特に、予備校や通信講座の普及により、受験者全体の学習レベルが向上していることを考慮すると、今後は一層の実力向上が求められるでしょう。
国の政策と診断士増員の動向
国(経済産業省)は、中小企業診断士の増員を推進しています。日本全国の中小企業数は約358万社(2021年時点)に対し、中小企業診断士の登録者数は約2.8万人(2024年時点)です。中小企業支援のニーズは高まっており、診断士の数を増やす必要があるとされています。
診断士を増やす方法としては、試験の合格者数を増やすか、養成課程の修了者数を増やすかの選択肢があります。試験の合格者数を増やすには、二次試験の合格率を現在の約18~20%から引き上げる方法が考えられます。例えば、合格率を25%に引き上げれば、年間の合格者数は約1,000人から約1,250人に増加します。
ただし、合格率を大幅に引き上げると、中小企業診断士の質の低下が懸念されます。国としては、質を維持しながら数を増やすバランスを取る必要があります。今後、養成課程の拡充や、実務補習制度の見直しなど、多面的なアプローチが取られる可能性があります。
試験制度改正の可能性
中小企業診断士試験の制度は、数年ごとに改正が行われています。最近では、令和元年度(2019年度)に一次試験の出題範囲が一部改正されました。今後も、経済環境の変化や中小企業が直面する課題の変化に応じて、試験制度が改正される可能性があります。
考えられる改正の方向性としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)やSDGs(持続可能な開発目標)など、現代的なテーマの出題比重を増やすことが挙げられます。また、CBT(Computer Based Testing)方式の導入により、試験日程の柔軟化や、年複数回の実施などが検討される可能性もあります。
試験制度の改正により、合格率が変動する可能性もあります。例えば、一次試験の科目数を減らしたり、二次試験の事例数を変更したりすることで、受験者の負担が変わり、合格率にも影響を与えるでしょう。ただし、大幅な制度改正は受験者に混乱を招くため、段階的に実施される可能性が高いです。
今後の合格率予測
以上の要因を総合すると、中小企業診断士試験の合格率は、今後も大きく変動しない可能性が高いと予測されます。一次試験の合格率は、絶対評価方式により年度で変動するものの、平均的には25~30%程度で推移するでしょう。二次試験の合格率は、相対評価方式により18~20%程度で安定すると考えられます。
ただし、国の政策として診断士の増員が推進される場合、二次試験の合格率が段階的に引き上げられる可能性もあります。例えば、今後5年間で合格率を20%から25%に引き上げるといった政策が取られるかもしれません。その場合、年間の合格者数は約1,000人から約1,250人に増加します。
受験者としては、現在の合格率を前提に学習計画を立てることが現実的です。将来的に合格率が上がる可能性はありますが、それを当てにするのではなく、現在の基準で確実に合格できる実力を身につけることが重要です。合格率の変動に一喜一憂するのではなく、自分の学習に集中しましょう。
中小企業診断士試験の合格率に関連するよくある質問(FAQ)
中小企業診断士試験の合格率について、受験者からよく寄せられる質問と回答をまとめました。これらの情報を参考に、試験対策の方向性を明確にしましょう。
Q. 中小企業診断士の合格率はなぜ低いのですか?
中小企業診断士試験の合格率が低い主な理由は、一次試験と二次試験の二段階選抜方式であること、一次試験で7科目すべてに足切り点があること、二次試験が相対評価で上位約20%のみが合格することです。さらに、受験者の大半が働きながら受験しており、十分な学習時間を確保できないことも合格率を下げる要因となっています。ただし、科目合格制度を活用し、計画的に学習を進めることで合格可能性は高まります。
Q. 中小企業診断士の一次試験と二次試験、どちらの合格率が低いですか?
数値だけを見ると、二次試験の合格率(約18~20%)の方が、一次試験の合格率(平均約27%)より低いです。しかし、二次試験は一次試験を突破した優秀な層が受験するため、実質的な難易度はさらに高いと言えます。一次試験は7科目の幅広い知識が問われ、二次試験は記述式で実践的な思考力が問われるため、求められる能力が異なります。どちらが難しいかは、受験者の得意分野や学習スタイルによって異なります。
Q. 中小企業診断士にストレート合格する人の割合は?
中小企業診断士試験にストレート合格(一次試験と二次試験を同一年度内で連続合格)する人の割合は、約3~4%です。一次試験合格率(平均約27%)と二次試験合格率(平均約19%)を掛け合わせた数値となります。ストレート合格は理想的ですが、多くの合格者は複数年かけて合格しています。一次試験合格後、翌年度に二次試験に集中する戦略を取る方が、働きながら受験する場合は現実的です。
Q. 中小企業診断士の合格率は年々下がっていますか?
中小企業診断士試験の合格率は、年々下がっているわけではありません。一次試験は年度によって17%から42%まで変動しますが、長期的な傾向として低下しているわけではなく、平均的には25~30%程度で推移しています。二次試験は相対評価方式により18~20%程度で安定しており、大きな変化はありません。受験者数は増加傾向にありますが、合格率への直接的な影響は限定的です。
Q. 中小企業診断士の科目別合格率はどこで確認できますか?
中小企業診断士試験の科目別合格率は、中小企業診断協会から公式には公表されていません。公表されているのは、一次試験全体の合格率と二次試験全体の合格率のみです。ただし、予備校や受験機関が独自に受験者の自己採点データを集計し、科目別の平均点や得点分布を分析しています。これらの情報は、各予備校のウェブサイトや受験生向けセミナーで公開されることがあります。
Q. 中小企業診断士の合格率は予備校利用で上がりますか?
予備校や通信講座を利用することで、合格率を高めることは可能です。予備校では、試験傾向を分析したカリキュラム、効率的な学習スケジュール、過去問演習、添削指導などが提供されます。特に二次試験の記述対策では、添削指導が非常に有効です。ただし、予備校を利用するだけで合格できるわけではなく、自己学習の質と量が最も重要です。中小企業診断士の通信講座比較では、各予備校の特徴と合格実績を詳しく解説しています。
Q. 中小企業診断士の合格率4%は他の資格と比べてどうですか?
中小企業診断士の最終合格率約4~5%は、国家資格の中でも低い水準です。司法書士(約4~5%)とほぼ同じで、社労士(約6~7%)より低く、公認会計士(約10%)や行政書士(約10~15%)よりも低い数値です。ただし、合格率だけで難易度を判断することはできません。必要な学習時間、出題範囲、受験者層などを総合的に考慮する必要があります。中小企業診断士試験は、幅広い経営知識が問われる点で特徴的な資格です。
まとめ:中小企業診断士は低合格率だが戦略次第で合格可能
中小企業診断士試験の合格率について詳しく解説してきました。重要なポイントを改めて確認しましょう。
- 最終合格率は約4~5%だが段階的な合格が可能:一次試験合格率約27%、二次試験合格率約19%を掛け合わせた最終合格率は4~5%と低い水準ですが、科目合格制度と一次試験免除制度を活用することで、複数年かけて段階的に合格を目指すことができます。ストレート合格にこだわらず、2~3年計画で確実に合格する戦略が有効です。
- 一次試験は絶対評価で年度変動があり、二次試験は相対評価で安定:一次試験の合格率は17%から42%まで年度によって変動しますが、平均的には25~30%程度です。二次試験は相対評価により18~20%で安定していますが、上位20%に入るための高い記述力が求められます。それぞれの試験特性を理解し、適切な対策を取ることが重要です。
- 過去問演習と計画的な学習が合格への鍵:合格率が低い理由は、7科目すべてに足切り点があること、二次試験が相対評価であること、働きながら受験する人が多いことなどが挙げられます。しかし、過去問を繰り返し解き、出題傾向を把握すること、科目合格制度を戦略的に活用すること、二次試験では添削指導を受けることで、合格可能性は大きく高まります。
中小企業診断士試験の合格率を理解できたら、次は具体的な学習計画を立てましょう。中小企業診断士試験に必要な勉強時間と中小企業診断士の効果的な勉強法を参考に、自分に合った学習スケジュールを作成することをおすすめします。また、独学か予備校利用かで迷っている方は、中小企業診断士の通信講座比較も参考にしてください。
本記事を通じて、中小企業診断士試験の合格率の実態と、合格するための戦略を理解いただけたはずです。合格率の低さに不安を感じるかもしれませんが、適切な対策と計画的な学習により、合格は十分に可能です。これらの情報を活用して、中小企業診断士試験合格に向けて着実に歩みを進めましょう。
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