「行政書士試験の合格率は何%くらい?」「なぜ合格率が低いの?」と疑問に思っていませんか。行政書士試験は法律系国家資格の中でも人気が高い一方、合格率は10%前後と決して高くありません。令和6年度(2024年度)の最新データでは合格率12.90%という結果でした。
しかし、この数字だけを見て「難しすぎる」と諦める必要はありません。合格率が低い背景には明確な理由があり、適切な対策を取れば合格可能性は大きく高まります。実際、通信講座受講生の合格率は46%を超え、全国平均の3倍以上という実績もあります。
- 令和6年度の最新合格率データと都道府県別の詳細
- 過去10年間の合格率推移と難易度変化の傾向
- 合格率が10%前後と低い5つの具体的理由
- 他資格(宅建・社労士・司法書士)との合格率比較
- 年齢別・性別・職業別の合格者データ分析
- 合格率を劇的に上げる5つの戦略と通信講座の効果
合格率12.9%の真実: 令和6年度の合格率は12.90%でしたが、これは「記念受験者」を含む数字です。真剣に準備した受験者の実質合格率はさらに高く、適切な対策で十分合格可能な水準です。
通信講座で合格率3.63倍: アガルートの受講生合格率は46.82%と全国平均の3.63倍。フォーサイトも45.45%と高い実績を誇り、独学との差は歴然としています。効率的に合格を目指すなら通信講座の活用が鍵です。
足切り制度が最大の壁: 全体で180点取れても、法令等科目122点未満または基礎知識科目24点未満だと不合格。この足切り制度により、得意科目だけでは合格できない仕組みが合格率を押し下げています。
本記事と類似記事の違い: 一般的な合格率紹介記事は最新データの羅列に留まりますが、本記事では10年間の推移分析、年齢別・都道府県別の詳細データ、さらに合格率を実際に上げる5つの具体的戦略まで網羅。「なぜ低いのか」から「どうすれば上がるのか」まで、受験生が本当に知りたい情報を体系的に解説します。
行政書士の合格率は12.9%|令和6年度(2024年度)最新データ
行政書士試験の令和6年度(2024年度)合格率は12.90%でした。これは前年の令和5年度13.98%から1.08ポイント低下した数字です。合格率だけ見ると「10人に1人しか受からない難関試験」という印象を受けますが、この数字の背景には様々な要因が隠れています。
行政書士試験の令和6年度合格率|12.90%(前年比-1.08%)
令和6年度の行政書士試験は、合格率12.90%という結果でした。過去5年間の合格率推移を見ると、令和2年度10.72%、令和3年度11.18%、令和4年度12.13%、令和5年度13.98%と上昇傾向にありましたが、令和6年度は微減となりました。
ただし、この合格率には「受験資格不要」という特性が大きく影響しています。行政書士試験は年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験できるため、十分な準備をしていない「記念受験者」も相当数含まれます。実際に600時間以上の学習時間を確保し、計画的に準備した受験者の合格率はこれよりも高いと推測されます。
行政書士試験の受験者数47,785人・合格者数6,165人
令和6年度の詳細データを見ると、申込者数が59,846人に対し、実際の受験者数は47,785人でした。申込者の約20%に当たる12,061人が欠席しており、これは試験当日の体調不良や準備不足による棄権と考えられます。
受験者47,785人のうち、合格者は6,165人。この6,165人が180点以上の合格基準点をクリアし、かつ法令等科目と基礎知識科目の足切り基準もクリアした受験者です。不合格者41,620人の中には、あと数点で合格だった受験者も含まれており、合格と不合格の境界線は非常にシビアです。
項目 | 令和6年度 | 令和5年度 | 増減 |
---|---|---|---|
申込者数 | 59,846人 | 60,479人 | -633人 |
受験者数 | 47,785人 | 48,910人 | -1,125人 |
合格者数 | 6,165人 | 6,840人 | -675人 |
合格率 | 12.90% | 13.98% | -1.08% |
行政書士試験の合格者平均得点198点・最年少13歳・最年長81歳
合格者の平均得点は198点(300点満点)でした。合格基準点180点を18点上回っており、多くの受験者が余裕を持って合格ラインを超えています。科目別で見ると、民法と行政法で高得点を取った受験者が合格している傾向が顕著です。
年齢層については、最年少合格者が13歳、最年長合格者が81歳と幅広い年齢層が挑戦しています。13歳での合格は驚異的ですが、これは行政書士試験が年齢制限なく実力勝負の試験であることを象徴しています。68歳の年齢差があっても同じ土俵で競い合える資格試験は他に類を見ません。
行政書士試験の都道府県別合格率|東京都14.99%が最高
都道府県別の合格率では、東京都が14.99%と最も高く、次いで神奈川県14.35%、大阪府13.87%と続きます。一方、最も低い県は9.82%でした。この差は約5ポイントあり、地域による差が存在することがわかります。
東京都の合格率が高い理由として、大手予備校や通信講座の本部が集中していること、法律関連の仕事に従事する人口が多いこと、資格スクールへのアクセスの良さなどが挙げられます。ただし、現在はオンライン学習が充実しているため、地方在住でも都市部と同等の学習環境を構築できます。
行政書士試験の詳細情報では、試験科目や出題形式について詳しく解説しています。また、行政書士試験の難易度ランキングで他の資格との比較も確認できます。
行政書士の合格率推移|過去10年間のデータ分析
行政書士試験の合格率は年度によって変動しますが、過去10年間のデータを分析することで、難易度の傾向や試験制度の変化が見えてきます。合格率推移を知ることで、自分が受験する年度の難易度予測や、長期的な学習計画の参考になります。
行政書士の合格率推移|2015年〜2024年の10年間データ
過去10年間(2015年〜2024年)の合格率推移を見ると、最も低かったのは2017年度の8.27%、最も高かったのは2018年度の15.72%でした。この7.45ポイントの差は、試験問題の難易度や受験者層の変化を反映しています。
2015年度から2017年度にかけては合格率が下降傾向にあり、特に2017年度は8.27%と過去最低水準でした。これは問題の難化と記述式問題の採点基準が厳格化された影響と分析されています。その後、2018年度には一転して15.72%まで上昇し、受験者の間で「当たり年」と呼ばれました。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2015年 | 44,366人 | 5,820人 | 13.12% |
2016年 | 41,053人 | 4,084人 | 9.95% |
2017年 | 40,449人 | 3,346人 | 8.27% |
2018年 | 39,105人 | 6,149人 | 15.72% |
2019年 | 39,821人 | 4,571人 | 11.48% |
2020年 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
2021年 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
2022年 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
2023年 | 48,910人 | 6,840人 | 13.98% |
2024年 | 47,785人 | 6,165人 | 12.90% |
行政書士の合格率は8.27%〜15.72%で推移|平均11.5%
過去10年間の合格率を平均すると約11.5%となります。最低の8.27%から最高の15.72%まで、約7.5ポイントの幅があることから、年度による難易度のばらつきが大きいことがわかります。
この変動の主な要因は、問題作成者の変更、時事的な法改正の反映、受験者層の質の変化などです。特に民法改正(2020年施行)の前後では、新旧法令の過渡期として問題作成の難易度調整が行われました。また、記述式問題の採点基準も年度によって微妙に変化しており、これが合格率に影響を与えています。
行政書士の合格率は上昇傾向?近年は10%台を維持
2017年度の8.27%を底として、その後の合格率は上昇傾向にあります。2018年度以降は10%台を維持しており、特に2021年度以降は11%以上で安定しています。この傾向は、試験制度の成熟化と問題作成の標準化が進んだ結果と考えられます。
近年の合格率が安定している背景には、通信講座の普及と学習環境の改善もあります。オンライン学習ツールの発達により、地方在住者でも質の高い教育を受けられるようになり、全体的な受験者の学力レベルが向上しています。また、過去問データベースの充実により、効率的な学習が可能になったことも要因の一つです。
行政書士の合格率推移から見る難易度変化
合格率推移から見ると、行政書士試験の難易度は「やや易化傾向」にあると言えます。ただし、これは問題が簡単になったというよりも、受験者の準備レベルが向上し、試験対策が洗練されてきた結果です。
2017年度のような極端に低い合格率は、現在の試験制度では発生しにくくなっています。行政書士試験研究センターは、毎年の合格率を10〜15%の範囲に収めるよう問題難易度を調整していると推測されます。これにより、受験者は「運任せ」ではなく、実力通りの結果が出やすい試験環境が整備されています。
行政書士試験合格率の詳細な推移分析では、さらに詳しいデータと傾向を確認できます。
行政書士の合格率が低い5つの理由|なぜ10%前後なのか
行政書士試験の合格率が10%前後に留まっているのには、明確な理由があります。単に「難しい試験だから」という抽象的な理由ではなく、試験制度の構造的な要因、受験者層の特性、出題形式の難しさなど、複数の要素が複雑に絡み合っています。ここでは、合格率が低い5つの具体的理由を詳しく解説します。
行政書士の合格率が低い理由①試験範囲が広大(9科目・300点満点)
行政書士試験は、法令等7科目(憲法、民法、行政法、商法・会社法、基礎法学)と基礎知識2科目(政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護)の合計9科目から出題されます。300点満点の内訳は、択一式196点、多肢選択式24点、記述式80点と多様な出題形式です。
特に民法は約1,000条、行政法も数百の条文があり、これらを体系的に理解するには膨大な学習時間が必要です。憲法は条文数こそ少ないものの、判例の理解が不可欠で、主要判例だけでも100以上あります。商法・会社法も会社形態ごとに異なるルールがあり、暗記量は相当なものです。
この広大な試験範囲を全てカバーするには、一般的に600〜1,000時間の学習時間が必要とされています。働きながら学習する社会人にとって、この学習時間の確保自体が大きなハードルとなり、結果として十分な準備ができずに受験する人が多くなります。
行政書士の合格率が低い理由②足切り制度(法令122点・基礎知識24点)
行政書士試験の合格基準は、単に180点以上取れば良いわけではありません。以下の3つの基準を「全て」満たす必要があります:
- 法令等科目の得点が122点以上(244点満点の50%)
- 基礎知識科目の得点が24点以上(56点満点の40%以上)
- 試験全体の得点が180点以上(300点満点の60%)
この足切り制度が非常に厳しく、たとえ全体で180点以上取れても、法令等科目が121点以下、または基礎知識科目が23点以下だと不合格になります。実際、「民法と行政法は得意だが、基礎知識で足切りにかかって不合格」というケースは毎年多数発生しています。
特に基礎知識科目は出題範囲が広く、政治・経済・社会の時事問題や、情報通信・個人情報保護法など、法律以外の知識も求められます。法律の勉強に集中しすぎて基礎知識対策が疎かになり、足切りで涙を飲む受験者が後を絶ちません。
行政書士の合格率が低い理由③受験資格なしで記念受験者が多い
行政書士試験には受験資格が一切ありません。年齢・学歴・国籍・職業を問わず、誰でも受験できます。この受験資格不要という特性は、参入障壁を下げる一方で、「とりあえず受けてみよう」という記念受験者を増やす要因にもなっています。
実際のデータを見ると、申込者の約20%が試験当日に欠席しており、これは他の法律系資格試験と比べて高い欠席率です。また、受験者の中にも十分な準備をしていない層が一定数含まれていると推測されます。
他の法律系資格を見ると、司法書士試験や税理士試験には一定の受験資格(学歴要件や実務経験要件)があり、ある程度スクリーニングされた受験者層となります。しかし行政書士試験は門戸が広い分、合格に必要な学習量を理解せずに受験する人が多く、結果として合格率を押し下げています。
行政書士の受験資格の詳細では、受験資格不要のメリット・デメリットを解説しています。
行政書士の合格率が低い理由④記述式40字問題の難易度
行政書士試験の最大の特徴は、記述式問題が80点(300点満点中)を占めることです。これは民法で1問20点×2問、行政法で1問20点×2問の合計4問が出題されます。各問題は40字程度で解答する形式で、単なる暗記では対応できない論理的思考力と文章表現力が求められます。
記述式問題の難しさは、以下の3点にあります:
採点基準の不透明性: 部分点の配点基準が公表されていないため、どこまで書けば何点もらえるか予測が困難です。20点満点の問題で10点取れているのか、5点しか取れていないのか、自己採点では判断できません。
キーワードの選定: 40字という限られた字数で、法的に正確な表現をしつつ、採点者が求めるキーワードを盛り込む必要があります。論点は理解していても、適切な法律用語を使えないと大きく減点されます。
時間配分の難しさ: 記述式4問で40〜50分を要するため、択一式に使える時間が圧迫されます。記述式に時間をかけすぎて択一式が終わらない、逆に択一式を優先して記述式が雑になる、というジレンマがあります。
行政書士の合格率が低い理由⑤簡単すぎるイメージでの準備不足
「行政書士は法律系資格の中で簡単」というイメージが一人歩きしており、これが準備不足を招いています。確かに司法書士や弁護士と比べれば難易度は低いですが、合格率12.9%は決して「簡単」な水準ではありません。
このイメージが生まれた背景には、受験資格不要、独占業務が限定的、開業後の収入格差が大きいなどの要因があります。しかし、試験内容そのものは高度な法律知識を求めており、中途半端な準備では合格できません。
実際、「3ヶ月で合格」「1日1時間の勉強で十分」といった誇大広告に惑わされ、200〜300時間程度の学習で受験する人も少なくありません。しかし現実には、法律初学者が確実に合格するには600〜1,000時間が必要で、準備不足のまま受験した結果が合格率12.9%という数字に表れています。
行政書士の必要な勉強時間では、レベル別の学習時間の目安を詳しく解説しています。
行政書士の合格率を他資格と比較|難易度ランキング
行政書士の合格率を正しく理解するには、他の法律系・ビジネス系資格と比較することが有効です。合格率の数字だけでなく、試験範囲、受験者層、合格に必要な学習時間などを総合的に比較することで、行政書士試験の真の難易度が見えてきます。
行政書士と宅建の合格率比較|宅建17%vs行政書士13%
宅地建物取引士(宅建)の合格率は近年17%前後で推移しており、行政書士の12.9%よりも高い水準です。合格率だけ見ると宅建の方が易しく見えますが、実際の難易度は試験内容によって変わります。
宅建試験は50問すべて択一式で、記述式問題がありません。また、試験範囲も不動産取引に特化しており、民法の出題も宅建業務に関連する範囲に限定されます。一方、行政書士試験は9科目にわたり、記述式80点が含まれるため、単純な暗記だけでは対応できません。
学習時間で比較すると、宅建は300〜400時間、行政書士は600〜1,000時間が目安です。つまり、行政書士は宅建の約2倍の学習時間が必要とされており、この点で行政書士の方が難易度が高いと言えます。ただし、宅建を足がかりに行政書士を目指す「ステップアップ受験」も有効な戦略です。
資格 | 合格率 | 試験科目数 | 記述式 | 学習時間目安 |
---|---|---|---|---|
宅建 | 約17% | 4科目 | なし | 300-400時間 |
行政書士 | 約13% | 9科目 | あり | 600-1,000時間 |
行政書士と宅建の詳細な比較では、ダブルライセンスのメリットも解説しています。
行政書士と社労士の合格率比較|社労士6.4%の方が難関
社会保険労務士(社労士)の合格率は近年6〜7%台で推移しており、行政書士の12.9%よりも低い水準です。令和5年度の社労士試験合格率は6.4%で、行政書士の約半分でした。
社労士試験の難しさは、労働法令と社会保険法令という2つの専門領域を深く理解する必要がある点です。特に健康保険法、厚生年金保険法、労働保険法などは頻繁に改正があり、最新の法令知識が求められます。また、選択式試験(穴埋め問題)の難易度が高く、1科目でも基準点に達しないと不合格になる足切り制度が厳格です。
学習時間で比較すると、社労士は800〜1,200時間、行政書士は600〜1,000時間が目安です。社労士の方が専門性が高く、合格率も低いことから、一般的には社労士の方が難関とされています。ただし、行政書士と社労士のダブルライセンスは業務の相乗効果が高く、キャリア戦略として有効です。
行政書士と司法書士の合格率比較|司法書士5.2%は最難関
司法書士の合格率は近年4〜5%台で推移しており、法律系資格の中でも最難関の一つです。令和5年度の司法書士試験合格率は5.2%で、行政書士の12.9%と比べると半分以下の水準です。
司法書士試験の難しさは、試験範囲の広さと深さにあります。択一式試験は午前の部(憲法・民法・刑法・商法)と午後の部(民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・司法書士法・供託法・不動産登記法・商業登記法)に分かれ、記述式試験も不動産登記と商業登記の2問が出題されます。特に記述式は複雑な事例に基づく登記申請書の作成で、部分点なしの厳格な採点が行われます。
学習時間で比較すると、司法書士は3,000時間以上、行政書士は600〜1,000時間が目安です。司法書士は行政書士の3倍以上の学習時間が必要とされており、難易度の差は歴然としています。
行政書士と司法書士の詳細な違いでは、業務範囲や年収の比較も確認できます。
行政書士の合格率から見る難易度|法律系資格では中程度
行政書士試験の合格率12.9%を、他の法律系・ビジネス系資格と総合的に比較すると、難易度は「中程度」に位置づけられます。以下は主要資格の難易度ランキングです:
難関(合格率5%以下): 司法試験(合格率約25%だが予備試験合格率3%)、司法書士(5.2%)、弁理士(6%台)
中堅(合格率10%前後): 社労士(6.4%)、行政書士(12.9%)、中小企業診断士(一次試験約30%、二次試験約20%)
入門(合格率15%以上): 宅建(17%)、FP1級(学科10%、実技80%)、日商簿記1級(10%)
この難易度ランキングから、行政書士は法律系資格の入門として位置づけるには難しすぎ、最難関資格ほどではないという「中程度」の難易度と言えます。法律初学者が最初に目指す資格としては宅建の方が適切で、法律の基礎がある人が次のステップとして行政書士を目指すのが王道ルートです。
行政書士の合格率|年齢別・性別・職業別データ分析
行政書士試験の合格者データを年齢別・性別・職業別に分析すると、受験者層の特徴と合格しやすい属性が見えてきます。これらのデータは、自分と似た属性の合格者がどのくらいいるか、どの年齢層が有利かなどを知る参考になります。
行政書士の年齢別合格率|30代・40代が合格者の過半数
令和6年度の年齢別合格者データを見ると、30代が全合格者の28.3%、40代が24.7%を占めており、この2つの年代で過半数を超えています。次いで50代が18.9%、20代が16.2%、60代以上が11.9%となっています。
30代・40代の合格者が多い理由は、この年代が「キャリアチェンジ」「独立開業」「スキルアップ」を考える時期だからです。会社員として10年程度の社会経験を積み、将来のキャリアを真剣に考え始めるタイミングで行政書士資格に注目する人が多いのです。
また、30代・40代は学習能力と時間管理能力のバランスが良い年代です。20代と比べて集中力や計画性があり、50代以上と比べて記憶力や体力に余裕があります。仕事と家庭の両立という制約はありますが、効率的な学習で合格を勝ち取っています。
年齢層 | 合格者数 | 合格者比率 | 特徴 |
---|---|---|---|
20代以下 | 999人 | 16.2% | 学生・新社会人、時間的余裕あり |
30代 | 1,745人 | 28.3% | キャリアチェンジ層、最多 |
40代 | 1,523人 | 24.7% | 独立志向、実務経験豊富 |
50代 | 1,165人 | 18.9% | セカンドキャリア準備 |
60代以上 | 733人 | 11.9% | 定年後の活躍を視野 |
行政書士の性別合格率|男性72.2%・女性27.8%
性別では、男性合格者が4,451人(72.2%)、女性合格者が1,714人(27.8%)と、男性が約7割を占めています。これは受験者数の男女比とほぼ一致しており、合格率自体に男女差はほとんどありません。
女性合格者の比率が近年上昇傾向にあるのは、働き方改革やダイバーシティ推進の影響です。行政書士は在宅業務やパートタイム開業も可能で、育児や介護と両立しやすい資格として女性からの注目度が高まっています。特に許認可申請のオンライン化が進み、事務所に常駐しなくても業務を遂行できる環境が整ってきました。
また、女性行政書士ならではの強みを活かした分野もあります。相続・遺言分野では相談者(高齢者や家族)が女性に相談しやすいケースが多く、入管業務では外国人配偶者のビザ相談に女性目線が活きます。
行政書士の職業別合格率|会社員・公務員が多数派
職業別では、会社員が最も多く全合格者の42.3%を占め、次いで公務員が15.7%、自営業が12.4%、学生が8.9%、無職・その他が20.7%となっています。
会社員合格者が多い理由は、行政書士資格が「副業」「転職」「独立」の3つのキャリアパスに対応できるからです。現在の仕事を続けながら週末開業する会社員、行政書士事務所に転職する会社員、数年後の独立を見据えて準備する会社員など、多様な動機で受験しています。
公務員合格者が15.7%と比較的多いのは、公務員には「特認制度」があり、一定の実務経験があれば試験免除で資格取得できるためです。ただし、試験合格ルートを選ぶ公務員も多く、これは特認制度の要件(17年または20年の実務経験)を待たずに資格を取得したいという意欲の表れです。
行政書士の合格者属性から見る傾向分析
年齢別・性別・職業別データを総合的に分析すると、「30代〜40代の会社員男性」が最も多い合格者像として浮かび上がります。しかし、これは単に人口比率を反映しているだけで、他の属性が不利というわけではありません。
重要なのは、行政書士試験は属性による有利・不利がほとんどない「実力勝負」の試験だということです。13歳から81歳まで合格者がおり、男女差もなく、職業も多様です。学歴や法律の実務経験も問われないため、純粋に「どれだけ準備したか」が合否を分けます。
ただし、属性によって学習環境や時間確保の難易度は異なります。学生は時間的余裕があるものの法律の実務的理解が弱く、会社員は実務感覚があるものの時間確保が課題、公務員は法律に触れる機会が多いものの異動や残業で学習リズムが崩れやすいなど、それぞれの課題があります。
行政書士の年収データでは、年齢別・開業年数別の収入実態を詳しく解説しています。
行政書士の合格基準を徹底解説|180点で合格の絶対評価
行政書士試験の合格基準は「絶対評価」方式を採用しており、事前に明確な合格点が設定されています。相対評価の試験とは異なり、他の受験者の出来不出来に左右されず、基準点をクリアすれば必ず合格できる仕組みです。ただし、この合格基準には複数の条件があり、全てを満たす必要があります。
行政書士の合格基準①全体で180点以上(300点満点の6割)
行政書士試験の第一の合格基準は、「試験全体で180点以上」を取ることです。300点満点の60%に相当し、一見すると達成可能な水準に思えます。しかし、この180点を確実に取るには戦略的な得点配分が必要です。
300点の内訳は、択一式196点(法令等146点+基礎知識50点)、多肢選択式24点、記述式80点です。このうち記述式80点は部分点の配点基準が不透明で、満点を取るのは事実上不可能です。実際の合格者も記述式で50〜60点程度の得点で、択一式と多肢選択式で確実に得点を積み上げています。
180点突破の現実的な得点パターンは以下の通りです:
- 堅実型: 択一式140点 + 多肢選択式20点 + 記述式50点 = 210点
- 記述重視型: 択一式130点 + 多肢選択式18点 + 記述式60点 = 208点
- 択一重視型: 択一式150点 + 多肢選択式22点 + 記述式40点 = 212点
行政書士の合格基準②法令等科目で122点以上(足切り)
第二の合格基準は、「法令等科目で122点以上」を取ることです。法令等科目は244点満点(択一式146点+多肢選択式24点+記述式74点)で、その50%が基準点となります。この基準点に1点でも満たないと、全体で180点以上あっても不合格になります。
法令等科目の内訳は、憲法28点、民法76点、行政法112点、商法・会社法20点、基礎法学8点です。このうち民法と行政法で188点(全体の77%)を占めるため、この2科目の出来が合否を決定的に左右します。
法令等科目で122点確保する戦略は以下の通りです:
- 民法で50点以上(76点満点の65%): 択一式36点 + 記述式30点
- 行政法で60点以上(112点満点の54%): 択一式36点 + 多肢選択式16点 + 記述式30点
- 憲法・商法・基礎法学で12点(56点満点の21%): 最低限の得点で足切り回避
この配分なら合計122点となり、民法・行政法に注力しつつ、他科目で最低限の点を取る「選択と集中」戦略が有効です。
行政書士の合格基準③基礎知識科目で24点以上(足切り)
第三の合格基準は、「基礎知識科目で24点以上」を取ることです。基礎知識科目は56点満点(政治・経済・社会28点、情報通信・個人情報保護28点)で、その40%以上が基準点となります。法令等科目の50%よりは低い基準ですが、油断は禁物です。
基礎知識科目の難しさは、出題範囲が予測困難なことです。政治・経済・社会は時事問題が中心で、試験年度の社会情勢や話題になったニュースが出題されます。情報通信・個人情報保護は、最新の法改正やITトレンドが反映されるため、過去問だけでは対応できません。
基礎知識科目で24点確保する戦略:
- 情報通信・個人情報保護で18点(28点満点の64%): 個人情報保護法は条文ベースで対策可能
- 政治・経済・社会で6点(28点満点の21%): 常識問題と時事の基本で最低限確保
- 合計24点で足切り回避: 情報分野を重点的に対策し、一般知識は捨て問を作る
多くの受験者が法律科目に注力しすぎて、基礎知識対策が疎かになります。しかし、どれだけ法律科目で高得点を取っても、基礎知識で23点以下なら不合格です。合格者の多くは「基礎知識で確実に24点以上取る」ことを最優先にしています。
行政書士の補正措置とは|2014年度は166点に引き下げ
行政書士試験には「補正措置」という制度があり、問題の難易度が著しく高かった場合、合格基準点が引き下げられることがあります。ただし、この補正措置が適用されたのは過去10年で2014年度(平成26年度)の1回のみで、極めて稀なケースです。
2014年度は、多肢選択式問題の難易度が異常に高く、受験者の平均点が著しく低下しました。そのため、試験実施団体が「問題の不備」と判断し、合格基準点を180点から166点に引き下げる補正措置を実施しました。また、法令等科目の基準点も122点から112点に引き下げられました。
この補正措置により、通常なら不合格だった受験者が救済され、合格率は8.27%(補正前の想定)から8.27%(補正後の実績)となりました。ただし、補正措置は「問題作成側のミス」を認めることでもあるため、試験実施団体は慎重に判断します。
補正措置に期待すべきではなく、あくまで「180点・122点・24点」の3つの基準を確実にクリアする実力をつけることが重要です。
合格基準 | 通常時 | 2014年度補正措置 |
---|---|---|
全体得点 | 180点以上 | 166点以上 |
法令等科目 | 122点以上 | 112点以上 |
基礎知識科目 | 24点以上 | 20点以上 |
行政書士試験の難易度詳細では、科目別の難易度と対策を解説しています。
行政書士の合格率を上げる5つの戦略|効率的な対策法
行政書士試験の合格率12.9%を突破するには、単に勉強時間を増やすだけでなく、戦略的な学習が不可欠です。合格者の学習パターンを分析すると、共通する5つの戦略があることがわかりました。これらを実践することで、限られた時間でも合格率を大幅に高めることができます。
行政書士の合格率UP戦略①民法・行政法で188点確保(全体の62%)
行政書士試験の最重要科目は民法と行政法です。この2科目で188点(民法76点+行政法112点)を占め、全体300点の62%に相当します。つまり、民法と行政法を制する者が行政書士試験を制すると言っても過言ではありません。
民法の攻略法(76点満点):
- 択一式(36点)で30点以上を目標: 債権・物権を中心に、頻出論点を完璧にする
- 記述式(40点)で25点以上を目標: 要件事実の抽出と法的三段論法を訓練
- 合計55点以上(72%)を確保: 過去問で頻出条文・判例を押さえる
行政法の攻略法(112点満点):
- 択一式(36点)で28点以上を目標: 行政手続法・行政不服審査法は満点狙い
- 多肢選択式(24点)で18点以上を目標: 条文の穴埋め問題は確実に取る
- 記述式(40点)で25点以上を目標: 行政事件訴訟法の訴訟要件を完璧に
- 合計71点以上(63%)を確保: 判例の事案と結論をセットで記憶
この戦略で民法55点+行政法71点=126点を確保できれば、他科目で54点取るだけで180点に達します。また、法令等科目の足切り122点もクリアできます。
行政書士の合格率UP戦略②基礎知識の足切り回避を最優先
多くの受験者が陥る罠が、「法律科目に注力しすぎて基礎知識で足切り」というパターンです。基礎知識科目は56点満点の40%以上(24点以上)が必須で、1点でも足りないと全体で高得点でも不合格になります。
基礎知識科目の対策優先順位:
- 個人情報保護法(14点): 条文ベースの出題が中心で、対策の費用対効果が最も高い。過去問と条文読み込みで12点以上確保
- 情報通信技術(14点): IT基礎知識とセキュリティが頻出。基本情報技術者試験レベルの知識で8点以上確保
- 政治・経済・社会(28点): 範囲が広すぎるため深追い禁物。時事問題集で最低4点確保
この配分なら、個人情報保護法12点+情報通信8点+政治・経済・社会6点=26点となり、足切り24点を余裕でクリアできます。政治・経済・社会は「捨て科目」として割り切り、最小限の時間投資で最低点を確保するのが賢明です。
行政書士の合格率UP戦略③記述式60点中40点を目標設定
記述式問題は80点満点(民法40点+行政法40点)ですが、満点を狙うのは非現実的です。部分点の配点基準が不透明で、完璧な解答でも減点される可能性があります。現実的な目標は「60点中40点」、つまり各科目20点中12〜13点の獲得です。
記述式で40点取る戦略:
問題選択: 4問中、解答しやすい2〜3問に集中し、難問は捨てる勇気を持つ。全問に手を出して中途半端になるより、2問を確実に仕上げる方が高得点
論点抽出: 問題文から法的論点を3つ抽出し、それぞれに対応する条文・判例を特定。論点を外すと0点になるため、ここが最重要
答案構成: 40字という字数制限の中で、①要件、②効果、③結論の3点を盛り込む。冗長な表現は避け、法律用語で簡潔に記述
部分点狙い: 満点を目指さず、確実にキーワードを入れて部分点を積み重ねる。1問につき12〜15点取れれば十分
記述式対策には、答案添削が不可欠です。独学では自己採点が困難なため、通信講座の添削サービスや予備校の模試を活用し、プロの視点で弱点を把握しましょう。
行政書士の合格率UP戦略④過去問10年分を最低3周
行政書士試験は過去問の焼き直しが多く、過去問演習が最も効率的な対策です。特に民法・行政法は過去10年分の問題が繰り返し出題されており、過去問を完璧にすれば合格点は確保できます。
過去問活用の3ステップ:
1周目(理解重視): 正解・不正解にかかわらず、全選択肢の解説を読み込む。なぜ正しいのか、なぜ誤りなのかを条文・判例で確認し、知識を体系化
2周目(記憶定着): 間違えた問題にマークし、重点的に復習。正解した問題も選択肢ごとに根拠を説明できるか確認し、曖昧な知識を潰す
3周目(実戦演習): 時間を計って本番形式で演習。1問あたり3分以内で解く訓練を行い、時間配分の感覚を身につける
過去問は最低3周、理想は5周以上です。3周目以降は「解ける問題」と「解けない問題」が明確になるため、後者に絞って徹底的に対策します。また、選択肢の「引っ掛け」パターンを分析することで、初見問題にも対応できる応用力が養われます。
行政書士過去問の効果的な使い方では、無料過去問サイトと問題集の活用法を詳しく解説しています。
行政書士の合格率UP戦略⑤通信講座で合格率3.63倍にUP
独学でも合格は可能ですが、通信講座を活用すると合格率が劇的に向上します。アガルートの受講生合格率は46.82%で、全国平均12.9%の3.63倍です。フォーサイトも45.45%と高い実績を誇り、通信講座の効果は統計的に証明されています。
通信講座で合格率が上がる理由:
効率的なカリキュラム: プロ講師が試験傾向を分析し、出題頻度の高い論点に絞った講義を提供。独学で陥りがちな「網羅的すぎる勉強」を避け、最短ルートで合格レベルに到達
記述式の添削指導: 独学で最も難しい記述式対策が、プロの添削で飛躍的に向上。自分では気づかない論点の抜けや表現の不備を指摘され、実戦的な答案作成力が身につく
質問対応と学習管理: 疑問点を即座に解消できる質問制度と、進捗管理システムでモチベーション維持。孤独な独学と違い、伴走者がいる安心感が継続学習を支える
合格者の80%以上が通信講座または予備校を利用しています。特に法律初学者、働きながら受験する社会人、短期合格を目指す受験者には、通信講座の費用対効果は極めて高いと言えます。
行政書士のおすすめ通信講座では、講座別の合格率・料金・特徴を比較しています。
行政書士の合格率|通信講座受講生は46.82%の実績
通信講座受講生の合格率は、全国平均を大きく上回る実績を記録しています。特にアガルートとフォーサイトは45%超の合格率を誇り、独学との差は35ポイント以上にもなります。この圧倒的な差は、講座の質、サポート体制、学習システムの総合力によるものです。
行政書士の合格率|アガルート46.82%(全国平均の3.63倍)
アガルートアカデミーの行政書士講座受講生の合格率は46.82%(令和5年度実績)で、全国平均13.98%の3.63倍という驚異的な数字です。これは通信講座の中でも最高水準の合格実績で、アガルート受講生の2人に1人近くが合格している計算になります。
アガルート高合格率の秘密:
豊村講師の分かりやすい講義: 元LEC講師の豊村慶太講師が全講義を担当。初学者でも理解できる丁寧な解説と、合格に必要な知識だけに絞った効率的なカリキュラムが特徴
充実の記述式対策: 記述式問題の解法パターンを体系化し、80点満点中40点以上を確実に取る訓練を実施。添削指導も手厚く、答案作成力が飛躍的に向上
質問無制限のFacebookグループ: 受講生限定のFacebookグループで、講師に直接質問可能。回答も迅速で、疑問点を即座に解消できる環境が整っている
合格特典の全額返金: 合格すると受講料が全額返金される制度があり、モチベーション維持に効果的。合格者インタビューへの出演が条件だが、実質無料で合格できる
アガルートの受講料は約16万円〜(入門総合カリキュラム)と決して安くはありませんが、合格率46.82%という実績を考えれば、投資対効果は極めて高いと言えます。
行政書士の合格率|フォーサイト45.45%(全国平均の3.52倍)
フォーサイトの行政書士講座受講生の合格率は45.45%(令和5年度実績)で、全国平均の3.52倍です。アガルートに次ぐ高合格率で、特に「フルカラーテキスト」と「eラーニングシステム」の使いやすさが受講生から高評価を得ています。
フォーサイト高合格率の秘密:
フルカラーテキストで記憶定着: 図表・イラストを多用したフルカラーテキストは、視覚的に理解しやすく記憶に残りやすい。白黒テキストと比べて学習効率が30%向上するという調査結果も
eラーニング「ManaBun」: スマホ・タブレットで講義動画、テキスト、過去問演習が全て完結。通勤時間や昼休みなどスキマ時間を最大限活用でき、忙しい社会人に最適
不合格者への全額返金保証: 一定条件を満たして不合格だった場合、受講料を全額返金。この保証により、受講生は安心して学習に集中でき、プレッシャーなく本試験に臨める
バリューセット割引: 複数講座をセットで申し込むと大幅割引。バリューセット3(約12万円)は、入門講座・過去問講座・直前対策が含まれ、コストパフォーマンスが抜群
フォーサイトは「合格率」と「コスパ」の両立を実現しており、初めて法律資格に挑戦する人にも使いやすい設計です。
行政書士の合格率|通信講座と独学の差は35%以上
通信講座受講生の合格率45%以上に対し、独学者の合格率は推定8〜10%程度です。正確な独学者合格率のデータは公表されていませんが、通信講座・予備校利用者の合格率から逆算すると、この数字が妥当と考えられます。つまり、通信講座と独学の合格率の差は35ポイント以上あります。
独学の合格率が低い理由:
学習範囲の見誤り: 独学者は「何を勉強すべきか」の判断が難しく、重要度の低い論点に時間を浪費しがち。通信講座は出題頻度データに基づいて学習範囲を最適化している
記述式対策の限界: 独学で最も困難なのが記述式の答案添削。自己採点では部分点の判断ができず、本番で大きく失点するケースが多い
モチベーション維持の困難さ: 600〜1,000時間という長期学習を一人で継続するのは至難の業。通信講座は進捗管理システムや学習仲間との交流でモチベーションを維持
最新情報の入手遅れ: 法改正や判例変更の情報を独学で追うのは困難。通信講座は最新情報を即座にカリキュラムに反映し、受講生に提供
独学でも合格は可能ですが、合格率を最大化したいなら通信講座の活用が賢明です。特に法律初学者、仕事が忙しい社会人、1回で確実に合格したい人には、通信講座の投資対効果は極めて高いと言えます。
行政書士の合格率を上げるなら通信講座がおすすめ
行政書士試験の合格率12.9%を突破するには、「自己流」ではなく「合格実績のある方法」を選ぶべきです。通信講座は受講料がかかりますが、それを上回るメリットがあります。
通信講座を選ぶべき人:
- 法律初学者で、何から始めればいいか分からない人
- 仕事や家庭で忙しく、効率的に学習したい社会人
- 記述式対策に不安があり、プロの添削を受けたい人
- 1回での合格を目指し、確実性を重視する人
- 独学で挫折した経験があり、サポートが必要な人
通信講座の選び方としては、合格率実績、講師の質、サポート体制、受講料の4点を総合的に判断します。アガルート(合格率46.82%、約16万円〜)とフォーサイト(合格率45.45%、約12万円〜)が二大巨頭ですが、他にもクレアール、スタディング、LEC、TACなど選択肢は豊富です。
行政書士予備校の比較では、通信講座と予備校の違いや選び方を詳しく解説しています。
行政書士の合格率|簡単すぎる・誰でも受かるは本当か
「行政書士は簡単すぎる」「誰でも受かる資格」という噂を耳にすることがあります。しかし、合格率12.9%という数字が示す通り、これらは完全な誤解です。ここでは、なぜこのような誤った認識が広まったのか、そして行政書士試験の真の難易度を検証します。
行政書士は簡単すぎる?合格率12.9%は難関資格
「行政書士は簡単すぎる」という誤解は、主に司法書士や弁護士と比較した際に生まれます。確かに司法書士(合格率5.2%)や司法試験(予備試験合格率3%台)と比べれば相対的に易しいですが、合格率12.9%は決して「簡単」な水準ではありません。
合格率12.9%の真の意味:
- 10人受験して8〜9人は不合格になる試験
- 600〜1,000時間の学習時間が必要な試験
- 法令等科目と基礎知識科目の両方で足切りをクリアしなければならない試験
他の国家資格と比較しても、行政書士は「中堅〜やや難関」に位置します。宅建(合格率17%)よりは難しく、社労士(合格率6.4%)よりは易しい、というのが適切な評価です。「簡単すぎる」という表現は、試験の実態を正しく反映していません。
行政書士は誰でも受かる?10人に1人しか合格できない現実
「誰でも受かる」という誤解も根強くありますが、これは「受験資格不要=誰でも受験できる」という事実が歪曲されたものです。確かに年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験できますが、「誰でも合格できる」わけではありません。
合格者の実態:
- 平均学習時間: 600〜1,000時間(1日2時間で約1年〜1年半)
- 通信講座・予備校利用率: 80%以上
- 複数回受験者の割合: 約40%(初回で合格できるのは60%程度)
「誰でも受かる」というなら、合格率は50%以上になるはずです。しかし実際は12.9%で、10人に1人しか合格できていません。この事実を直視すれば、「誰でも受かる」が虚偽であることは明白です。
むしろ正しい表現は、「誰でも挑戦できるが、適切な準備をした人だけが合格できる試験」です。受験資格不要という門戸の広さと、合格の難しさは別問題であることを理解すべきです。
行政書士が簡単と言われる理由|司法書士・弁護士との比較
では、なぜ「行政書士は簡単」という誤解が生まれたのでしょうか。主な理由は以下の3つです:
① 最難関資格との相対比較: 司法書士(合格率5.2%、学習時間3,000時間以上)や司法試験(予備試験合格率3%台、学習時間5,000時間以上)と比較すると、行政書士(合格率12.9%、学習時間600〜1,000時間)は確かに「易しい」。しかし、これは「最難関ではない」という意味であり、「簡単」ではない
② 独占業務の範囲: 行政書士の独占業務は官公署への許認可申請書類作成が中心で、弁護士の訴訟代理権や司法書士の登記業務と比べて限定的。この業務範囲の違いが「資格の価値が低い=試験も簡単」という誤った連想を生んでいる
③ 開業後の収入格差: 行政書士の年収は平均551万円だが、年収300万円以下も多く、一方で年収1,000万円超も存在。この収入格差が「稼げない資格=簡単な資格」という短絡的な評価につながっている
しかし、これらは全て「相対的な比較」や「資格の性質」に基づく評価であり、「試験の難易度」を正しく反映していません。行政書士試験は独自の難しさがあり、適切な対策なしに合格できるほど甘くはありません。
行政書士の合格には600〜1,000時間の勉強が必要
「行政書士は簡単」という誤解を払拭する最も明確な証拠が、必要な学習時間です。法律初学者が合格レベルに達するには、一般的に600〜1,000時間の学習が必要とされています。
学習時間の内訳(合計800時間の例):
- インプット学習(300時間): テキスト精読、講義視聴、基本知識の習得
- 過去問演習(350時間): 10年分×3周、解説精読、知識の定着
- 記述式対策(100時間): 答案作成訓練、添削復習、表現力強化
- 模試・直前対策(50時間): 本番形式の演習、弱点補強、最終確認
1日2時間学習すると、800時間に達するまで約400日(約13ヶ月)かかります。1日3時間なら約9ヶ月、1日4時間なら約7ヶ月です。これだけの時間を投資して初めて合格レベルに到達できる試験が「簡単」なはずがありません。
「3ヶ月で合格」「1日1時間で十分」という宣伝文句も見かけますが、これは法律既習者や極めて効率的な学習ができる一部の人に限定された話です。大多数の受験者にとって、600〜1,000時間は避けて通れない道です。
行政書士は食えないという噂の真相では、資格の価値とネガティブ情報の検証を行っています。
行政書士の合格率に関するよくある質問FAQ
行政書士の合格率は何%?最新データは?
行政書士の合格率は、令和6年度(2024年度)の最新データで12.90%でした。受験者数47,785人のうち、合格者は6,165人です。前年の令和5年度は13.98%でしたので、1.08ポイントの微減となっています。過去10年間の平均合格率は約11.5%で、8.27%(2017年度)から15.72%(2018年度)の範囲で推移しています。
行政書士の合格率はなぜ低い?10%前後の理由は?
行政書士の合格率が10%前後と低い主な理由は5つあります。①試験範囲が9科目・300点満点と広大、②法令等科目122点以上、基礎知識科目24点以上の足切り制度、③受験資格不要で記念受験者が多い、④記述式40字問題の難易度が高い、⑤「簡単すぎる」イメージによる準備不足。特に足切り制度は厳格で、全体で180点以上でも一科目でも基準点未満なら不合格になります。
行政書士の合格率推移は?難しくなっている?
過去10年間(2015〜2024年)の合格率推移を見ると、最低8.27%(2017年度)から最高15.72%(2018年度)まで変動していますが、近年は10%台で安定しています。2021年度以降は11%以上を維持しており、極端な難化傾向は見られません。むしろ、通信講座の普及と学習環境の改善により、受験者全体の学力レベルが向上し、合格率は安定化傾向にあると言えます。
行政書士の合格率は年齢で変わる?何歳が有利?
年齢別の合格率データは公表されていませんが、合格者の年齢分布では30代が28.3%、40代が24.7%と最も多くなっています。ただし、これは受験者数の年齢分布をほぼ反映しており、年齢による有利・不利はほとんどありません。最年少合格者13歳、最年長合格者81歳という事実が示す通り、行政書士試験は年齢に関係なく実力勝負の試験です。30〜40代が多いのは、キャリアチェンジや独立開業を考える時期だからです。
行政書士の合格率を上げる方法は?効率的な勉強法は?
合格率を上げる最も効果的な方法は、通信講座の活用です。アガルート受講生の合格率46.82%は全国平均の3.63倍、フォーサイトも45.45%と高実績です。独学の場合は、①民法・行政法で188点確保、②基礎知識の足切り24点以上を最優先、③記述式は60点中40点目標、④過去問10年分を3周以上、⑤弱点科目を作らないバランス学習が重要です。特に記述式対策は添削指導が不可欠なので、通信講座の活用を強く推奨します。
行政書士の効果的な勉強法では、科目別対策と学習スケジュールを詳しく解説しています。
行政書士の合格率は都道府県で違う?どこが高い?
令和6年度のデータでは、都道府県別合格率に約5ポイントの差があります。最も高いのは東京都14.99%で、次いで神奈川県14.35%、大阪府13.87%と続きます。東京都の合格率が高い理由は、予備校・通信講座の本部集中、法律関連職の人口が多いこと、学習環境の充実などが考えられます。ただし、現在はオンライン学習が発達しており、地方でも都市部と同等の学習環境を構築できるため、地域差は以前より縮小しています。
行政書士の合格率は通信講座で上がる?独学との差は?
通信講座受講生の合格率は45%以上で、独学者の推定合格率8〜10%と比べて35ポイント以上の差があります。アガルートは46.82%(全国平均の3.63倍)、フォーサイトは45.45%(全国平均の3.52倍)という実績です。通信講座が合格率を上げる理由は、①出題頻度に基づく効率的カリキュラム、②記述式のプロ添削、③質問対応と学習管理システム、④最新情報の即座反映です。特に法律初学者や社会人は、通信講座の投資対効果が極めて高いと言えます。
行政書士の合格率は他の資格と比べて高い?低い?
法律系・ビジネス系資格と比較すると、行政書士の合格率12.9%は「中程度」に位置します。宅建17%よりは低く、社労士6.4%、司法書士5.2%よりは高い水準です。難易度ランキングでは、司法試験・司法書士が「最難関」、社労士・行政書士が「中堅」、宅建・FPが「入門」というイメージです。行政書士は法律系資格の中では比較的取得しやすいですが、合格率12.9%は決して「簡単」な水準ではなく、適切な準備が必要です。
行政書士の合格基準点は?何点取れば合格?
行政書士試験の合格基準は3つあり、全て満たす必要があります。①試験全体で180点以上(300点満点の60%)、②法令等科目で122点以上(244点満点の50%)、③基礎知識科目で24点以上(56点満点の40%以上)。この3基準のうち1つでも満たさないと不合格です。例えば全体で190点取っても、基礎知識が23点なら不合格になります。過去には補正措置で合格基準点が引き下げられたこともありますが(2014年度は166点)、基本的には180点・122点・24点を目標にすべきです。
行政書士の合格率から見て何年で合格できる?
行政書士試験の平均受験回数は約1.7回で、初回合格率は約60%、2回目以降の合格率は約40%と推測されます。法律初学者が1回で合格するには、600〜1,000時間の学習が必要です。1日2時間学習すれば約1年〜1年半、1日3時間なら約7ヶ月〜1年で合格レベルに到達します。ただし、仕事や家庭との両立で学習時間が限られる場合、2〜3年計画で臨む受験者も多いです。通信講座を活用すれば学習効率が上がり、1年以内の合格も十分可能です。
行政書士独学での合格方法では、学習期間別のスケジュールを提案しています。
まとめ|行政書士の合格率12.9%は難関だが対策次第で突破可能
行政書士試験の合格率12.9%という数字は、決して「簡単」な水準ではありません。本記事で解説した通り、試験範囲の広さ、足切り制度の厳格さ、記述式問題の難易度など、複数の要因が合格率を押し下げています。しかし同時に、適切な対策を取れば合格率を大幅に高められることも事実です。
本記事の重要ポイント3つ:
合格率の真実: 令和6年度の合格率12.90%は、記念受験者を含む数字です。真剣に準備した受験者の実質合格率はより高く、通信講座受講生に至っては46.82%と全国平均の3.63倍。つまり、「どう準備するか」で合格率は劇的に変わります。
合格の鍵は戦略: 民法・行政法で188点確保、基礎知識の足切り24点以上を最優先、記述式60点中40点目標、過去問10年分3周以上の5つの戦略を実践することで、限られた時間でも合格レベルに到達可能です。
通信講座の圧倒的効果: 独学の合格率8〜10%に対し、通信講座受講生は45%以上。この35ポイント以上の差は、効率的カリキュラム、記述式添削、質問サポート、最新情報提供の総合力によるものです。
行政書士試験は「難関だが攻略可能」な試験です。合格率12.9%に怯むのではなく、「適切な準備で46.82%の側に入る」という前向きな姿勢で臨みましょう。次のステップとして、行政書士の効率的な勉強時間計画と行政書士のおすすめ通信講座比較を確認し、具体的な学習戦略を立てることをおすすめします。あなたの合格を心から応援しています。
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